ザラ Zara
〜オリエンタル系ロシアン・ポップスの歌姫〜

 

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 ソグヂアナと共にロシアで絶大な人気を誇るオリエンタル系女性ヴォーカリスト、ザラ。若干14歳にしてプロ・デビューし、天才少女としてロシア国内の音楽祭を軒並み制覇。06年に出場したテレビの人気オーディション番組『スター工場』シーズン6で3位入賞を果たし、またたく間にメジャー音楽シーンを席巻する存在となった。
 ちょうど同じシーズンに出場したウズベキスタン出身のソグヂアナも同時期に大ブレイク。それまでロシアにおけるオリエンタル系アーティストといえば、アブラーム・ルッソやミスター・クレドーといった男性アーティストが主流だったが、このザラとソグヂアナの二人がその流れを変えつつあると言えるだろう。
 ちなみに、ロシアではジャスミンやブレスチャーシエ、Hi-Fiなどのポップ・アーティストが早くからオリエンタル・サウンドを積極的に取り入れてきたし、タルカンに代表されるターキッシュ・ポップやアラシュのようなペルシャン・ポップの人気も根強い。そもそもロシアは多民族国家。一口にロシアン・ポップスと言っても、その裾野は実に幅広いのだ。

 ザラの本名はザリーファ・パシャエフナ・ムゴヤン。1983年7月26日サンクト・ペテルブルグ(当時はレニングラード)生まれのクルド系アルメニア人である。父親は機械技師だったというから、恐らく平均的な中流家庭に育ったのであろう。
 96年にマキシ・シングル“Serdtse Djulyettui(ジュリエットの心)”でプロ・デビュー。97年にモスクワで収録されたテレビのオーディション番組『朝の星』で優勝したのをきっかけに、同じ年エジプトのカイロで行われた音楽祭“子供たちに笑顔
を”、98年シベリアのオムスクで行われた音楽コンテスト“シベリアの希望”、サンクト・ペテルブルグで収録されたテレビの音楽コンテスト番組『今年の大ヒット』などで次々とグランプリを獲得した。
 その勢いに乗って、99年には初のフル・アルバム“Serdtse Djulyettui”をリリース。さらにソチで行われた音楽コンテスト“ヨーロッパの希望”で優勝し、同じくソチで開催された音楽祭“声ー'99”で観客賞を受賞。こうした音楽賞キラーとしての実績を評価され、01年にはロシアの音楽家組合から“ロシアの希望”賞を授与されている。
 一方、レコーディング・アーティストとしては、00年の“Zara”、02年の“Gdye Tyechet Ryeka(河の流れるところ)”、05年の“Nye Astavlyai Menya Adnu(私を一人にしないで)”とコンスタントにアルバム及びシングルをリリースしたものの、どうやら大きなヒットには恵まれなかったようだ。
 04年にサンクト・ペテルブルグ演劇アカデミーを卒業した彼女は、06年にファブリカやユーリャ・サヴィチェワなどを排出したオーディション番組『スター工場』シーズン6へ出場。見事3位入賞を果たし、シングル“Zamyela Zima(冬の嵐)
”が大ヒット。翌年に発表されたアルバム“Ya Nye Ta(私はそうじゃない)”とシングル“Lyubov-Krasavitsa(美しい愛)”も評判となり、女優としても映画やテレビ・ドラマで活躍するようになった。
 ザラの魅力はエキゾチックなオリエンタル・ビートに加えて、今は亡きイスラエルの歌姫オフラ・ハザを彷彿とさせる卓越したボーカル。実際にオフラの出世作“Im nin' alu”のカバーも発表しており、多分に影響を受けているものと思われる。
 ただその一方で、オーソドックスなロシア歌謡的ポップス作品も少なくない。その辺りは、やはり活動の基盤をロシアに置いているため、致し方ないところではあるだろう。昨年は哀愁系歌謡ロックとも言うべきバラード“Dlya Nie(彼女のために)”をラジオ・チャート1位へ送り込んでいるが、より一層のことオリエンタル色が薄まりつつあるようにも感じる。

 

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

YA_NYE_TA.JPG NYA_DOLYUBILA.JPG DLYA_NIE.JPG

Ya Nye Ta (2007)
I'm Not That

Nye Dalyubila (2009)

Dlya Nie (2009)
For Her

(P)2007 Plazma (Russia) (P)2009 Sound Pro Russia) (P)2009 Vigma Kompania (Russia)
1,Intro
2,Im nin' alu ビデオ
3,Lyubov-Krasavitsa ビデオ
4,Edinstvyennuii ビデオ
5,Upustila
6,Byelaye Solntse ビデオ
7,Inostranyets ビデオ
8,Ya Nye Ta ビデオ
9,Ya Umnojayu Na Lyubov
10,Adajio ビデオ
11,Vals
12,Ablakami Siryeni ビデオ
13,Zamyela Zima ビデオ
14,Dle Yaman ビデオ
1,Nye Dalyubila ビデオ
2,Koltsa-Brilliantui
3,Dlya Nie
4,Po Krayu Lyubvi ビデオ
5,Lyubov-Krasavitsa ビデオ
6,Edinstvyennuii
7,Zamyela Zima ビデオ
8,Upustila (feat. IGS Brook)
9,Vals
10,Ya Nye Ta ビデオ
11,Lyetim (duet with S.Mihailovuim)
12,Ablakami Siryeni
13,Ya Umnoiayu Na Lyubov
14,Byelaye Solntse
15,Inostranyets (feat. V. Myeladze)
16,Adajio (feat. O. Byezinskih)
17,Im nin alu ビデオ
18,Dlya Nie (DJ Kirill Clash Mix) ビデオ
1,Dlya Nie ビデオ
2,Lyetim (with Stas Mihailov)
3,Po Krayu Lyubvi ビデオ
4,Koltsa-Brilliantui ビデオ
5,Nichya ビデオ
6,Nyedalyubila ビデオ
7,Nyeba Na Dvaih ビデオ
8,Kazalas
9,Vse Shto Buila Sa Mnoi
10,Adinochyestva
11,Glaza Lyubvi
12,Skara Zima
13,Dlya Nie (DJ Kirill Clash Radio Remix)
14,Koltsa-Brilliantui (Remix)
15,Dle Yamah (feat. Djivan Gasnaryan)
16,Ya Nye Ta
17,Ablakami Siryeni

 出世作#13や大ヒット#3に加え、過去の作品からセレクトした楽曲も収録した話題作。オフラ・ハザの秀逸なカバー#2を筆頭として、全体的にオリエンタル色の強い仕上がりです。とはいえ、#3や#8はコテコテのロシア歌謡だし、#9ではラテン・ポップス、#5ではヒップ・ホップといった具合に、よくよく聴くとかなり雑食な音楽性の持ち主であることが分ると思います。その辺が、民族色の強いソグヂアナに比べると物足りなく感じる向きもあるかもしれません。

 ロシアでいうところのセミ・オフィシャルとしてリリースされたコンピレーション盤。過去の作品にリリース当時の新曲を加えただけの即席仕様です。新曲#1や#2、#3、#4は、いずれも典型的な演歌系ロシアン・ポップス。個人的に嫌いな路線ではないものの、オリエンタル系サウンドを期待すると結構裏切られた気分になるかもしれませんね。また、#18ではクラブ・ミックスにも挑戦していますが、こちらもワリと凡庸なユーロ・ハウスといった按配になっております。

 一応、こちらが正規の最新アルバムということだそうですが、内容的には新旧ヒット曲を寄せ集めにしたコンピレーション盤です。アルバム“Y Nye Ta”との被りが少ないという意味では、右のセミ・オフィシャル盤よりもお買い得感はあるかもしれません。ただ、その分だけオリエンタル感は激薄になってしまっておりますのでご了承を(笑)。ただ、#4はセミ・オフィシャル盤とは別バージョンで、かなりオリエンタル・ファンク寄りの仕上がり。結構好きです。

 

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