Whisper (2007)

 

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(P)2007 Universal Studios (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/5.1chサラウンド/音声:英語・スペイン語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:1/95分/製作:アメリカ

特典映像
別エンディング
未公開シーン集
長尺版シーン集
メイキング・ドキュメンタリー
監督:スチュワート・ヘンドラー
製作:ポール・ブルックス
   デイモン・リー
   ウォルター・ハマダ
脚本:クリストファー・ボレリ
撮影:ディーン・カンディ
音楽:ジェフ・ロナ
出演:ジョシュ・ホロウェイ
   サラ・ウェイン・キャリーズ
   ブレイク・ウッドラフ
   マイケル・ルーカー
   ジョエル・エドガートン
   ドゥーレ・ヒル
   ジョン・カペロス
   テリル・ロセリー
   タラ・ウィルソン
   コリー・モンテイス

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若い夫婦マックス(J・ホロウェイ)とロクサンヌ(S・W・キャリーズ)

身代金目的の誘拐計画を持ちかけるシドニー(M・ルーカー)

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サンタの扮装で大富豪の一人息子デヴィッド(B・ウッドラフ)に近づく

息子が誘拐されたことに気づいたサンドボーン夫人(T・ロセリー)

 「LOST」('04〜10)のジョシュ・ホロウェイ、「プリズン・ブレイク」('05〜09)のサラ・ウェイン・キャリーズ、「サイク」('06〜)のドゥーレ・ヒル、「Glee/グリー」('09〜)のコリー・モンテイスなどなど、人気テレビ・ドラマでお馴染みのスターが勢ぞろいした日本未公開作。身代金目的の誘拐事件を題材にしたサスペンス・スリラーかと思いきや、やがて人里離れた冬のキャンプ場を舞台にして、恐るべき悪魔の子を誘拐してしまった犯人たちの恐怖と絶望が描かれていく。「オーメン」や「シャイニング」などの古典的ホラー映画をヒントにしつつ、一種独特のダークで荒涼とした世界を描き出したユニークなオカルト映画である。
 主人公は低所得者層の若い夫婦マックスとロクサンヌ。自分たちのカフェを持ちたいと思っている彼らだが、犯罪歴のあるマックスに銀行が融資してくれるはずもない。そんな二人に身代金目的の誘拐計画を持ちかけたのは、マックスの旧友シドニーとヴィンス。再び犯罪に手を染めるのは気乗りしなかったものの、切羽詰まった夫婦はその計画に加担することとなる。謎の黒幕ジョーンズの指示通りに、裕福な家庭の少年デヴィッドを誘拐したマックスたち。ところが、この子供には恐るべき秘密が隠されていた…。
 子供らしからぬデヴィッドの落ち着きぶりに、なんとも言えぬ薄気味悪さを感じるマックスたち。そんな大人たちの不安を見透かすかのようにデヴィッドは彼らを巧みに翻弄し、不気味な笑顔を浮かべながら誘拐犯グループの仲をかき乱していく。そればかりか、たまたま彼らの姿を目撃した通りがかりの人々が次々と狂死。それはまるで、マックスたちの犯罪がバレないよう不思議な力に守られているかのようだった。
 だがそうかと思えば、デヴィッドはわざと誘拐犯同士の秘密がバレるように仕向け、彼らの意識の中へと入り込んで邪悪な言葉を囁き、身内の対立が激しくなっていくようそそのかす。そう、まるで邪悪な悪魔のように。やがて一人また一人と自滅していく誘拐犯たち。果たして少年の正体は何者なのか、その目的とは何なのか?あえてオカルト色を前面に出さず、余計な説明を省きながら視聴者の想像力に訴えかけていく、サイコロジカルでインテリジェントな脚本が見事だ。
 絶対悪を前にして浮き彫りにされる人間の弱さと業の深さ、そしてその絶対悪がまだ年端もいかぬ少年だということで問われる善悪の境界線。決して悪人ではないものの、とはいえ善人だとも言えない主人公たちは、この悪夢のような体験を通して己の犯した罪と向き合わねばならなくなる。ある意味で、これは人間という不完全な生き物の悲しき性(さが)と贖罪をテーマにしたダーク・ファンタジーとも言えるだろう。
 また、雪の降り積もる真冬の広大なメイン州を舞台とし、寒々とした風景の中で静かに淡々とストーリーを語っていく作風は、それこそ北欧映画のごとき雰囲気を醸し出す。大御所カメラマン、ディーン・カンディによるファンタジックでありながら、どこか乾いたタッチのビジュアルも非常に美しい。直接的な残酷描写を最大限に排除し、役者の演技や象徴的イメージを通して不穏なムードを高めていく演出も上手いと思う。
 ただ、そうした作風ゆえに極めて地味な映画だということは否めない。その上、必ずしも観客を怖がらせることを意図しているわけではないため、ホラー映画ファンでなくとも好き嫌いが分かれることだろう。アート映画なのか娯楽映画なのかいまひとつハッキリとしない、という点も大きな弱点だ。加えて、後半へ進むに従って物語は尻つぼみになっていき、ありきたりなクライマックスでお茶を濁してしまったのは非常に残念。予算の都合もあって話を広げられなかったであろうことは想像に難くないのだが、それにしてももう少し工夫のしようがあったのではないかと悔やまれる。

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少年を誘拐したマックスは仲間と合流する

捜査を担当することになったマイルズ刑事(D・ヒル)

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真冬のキャンプ小屋は隠れ家に持ってこいだった

自分たちは悪人なのだろうかと自問自答するマックスとロクサンヌ

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誘拐犯たちの会話や行動をじっと観察しているデヴィッド少年

オオカミが常に小屋の様子をうかがっている

 森の中を必死の形相で駆ける若い女性。その後を追う一匹の狼の瞳が怪しく光る。なんとか森を抜けて道路工事の現場へと飛び出した女性だったが、通りがかった車に跳ね飛ばされて死亡。彼女の最期を見届けるようにして、狼は森へと帰っていった。その頃、大富豪のサンドボーン邸では、幼い一人息子デヴィッド(ブレイク・ウッドラフ)が人知れず薄ら笑いを浮かべている。死んだ女性は彼の乳母だった…。
 窃盗罪で3年間服役していたマックス(ジョシュ・ホロウェイ)は、妻ロクサンヌ(サラ・ウェイン・キャリーズ)と一緒に空き店舗の下見をしていた。建物はボロボロだが、周りは交通の便が良いから集客も見込める。しかし、貯金はない、担保もない、前科だけはあるというマックスに、銀行はローンを組んでくれるはずもなかった。真っ当に暮らそうと思っても、犯罪歴があると職を探すのも難しい。人生を立て直すためには、自分の店を持つことが重要だった。
 そんな彼に、昔の仲間シドニー(マイケル・ルーカー)が声をかける。彼はジョーンズという人物と組んで金持ちの子供を誘拐し、まんまと身代金をせしめたばかりだった。そのジョーンズから再び誘拐計画を持ちかけられており、マックスも一緒に加わらないかというのだ。大親友のヴィンス(ジョエル・エドガートン)も参加するという。ロクサンヌは猛反対だったし、彼自身も気乗りはしなかった。だが、今のマックスには他に選択肢がない。
 サンタクロースに扮したマックスは、デヴィッドの誕生パーティに紛れてサンドボーン邸へと忍び込んだ。母親のサンドボーン夫人(テリル・ロセリー)は、雪の降り積もる庭に残された脅迫状を見つけ、息子が誘拐されたことに気づく。すぐさま警察へ通報すると、担当刑事のホイットリー(ジョン・カペロス)とマイルズ(ドゥーレ・ヒル)が駆けつける。だが、自信家の年配者ホイットリーは若手のマイルズを小バカにし、捜査は初めから波乱含みだった。
 一方、デヴィッド少年を誘拐したマックスは、人気のない橋の下で仲間と合流した。そこへ、道路工事のトラックが通りがかる。不審に思ったドライバーは彼らに声を掛けるが、車のトランクに閉じ込められたデヴィッド少年の呪文に操られ、まるで催眠術にでもかけられたかのように去っていった。車を乗り換え、森の奥のキャンプ小屋へと向かう一行。冬場は誰も近寄らないので、隠れ家には好都合だ。小屋へ到着してテレビをつけたシドニー。映し出されたニュースには、先ほどのドライバーが職場で同僚を皆殺しにしたという事件を報道していた。何かにとり憑れたようなその表情を見て、シドニーは軽い衝撃を受ける。
 デヴィッド少年はどこか薄気味悪いところのある子供だった。一切の抵抗をしないばかりか、泣きも笑いもしない。あたかも感情がないようだった。ショックを受けているのではと心配するロクサンヌだったが、部屋へ閉じ込められた彼は誘拐犯たちの会話に逐一聞き耳を立て、物音を追いながらその行動を監視している。そうとも知らず、自分たちは果たして悪人なのだろうかと自問自答するマックスとロクサンヌ。外では一匹の狼が静かに小屋の様子を伺っていた。
 その翌朝、小屋にヴィンスの怒鳴り声が鳴り響いた。糖尿病を患っている彼は、毎朝のインシュリン注射が必須なのだが、そのインシュリンのビンをデヴィッド少年が粉々にしてしまったのだ。部屋のドアはしっかりとロックしたはずなのに、いつの間にかリビングへと出ていたデヴィッド少年。おかげで顔がバレてしまった。誰かが鍵を閉め忘れたのだと、誘拐犯たちは激しくお互いを責め合う。その様子を見ながら、デヴィッド少年は薄ら笑いを浮かべる。
 車は一台しかないため、マックスとヴィンスがインシュリンを買うため隣町の薬局へと向かい、シドニーとロクサンヌが留守番をすることとなった。デヴィッド少年の勝手な行動を戒めようと、脅迫めいた説教を始めるシドニー。だが、少年は誰も知るはずのないシドニーの過去を喋り始める。それは、彼が忘れようとしていた大罪だった。サディスティックに微笑みながら、シドニーを糾弾するデヴィッド少年。驚いたシドニーは心臓発作を起こし、悶え苦しみながら息を引き取る。監禁部屋の壁にデヴィッド少年は誘拐犯たちの似顔絵を描いていたのだが、いつの間にかシドニーの姿が黒く塗りつぶされていた。
 シドニーの死に戸惑いを隠しきれないマックスやヴィンス。だが、もう後戻りはできない。謎の黒幕ジョーンズとの連絡役はシドニーだった。マックスはその後を引き継ぐことにし、シドニー死亡の報告と今後の指示を仰ぐためにジョーンズと連絡を取ることにする。決められた時間に公衆電話へ出向き、ジョーンズからの連絡を受けるマックス。次は身代金の要求だった。デヴィッド少年の生存を証明するための証拠写真をロクサンヌがポラロイドで撮影していたのだが、そこには誰の姿も写っていなかった。女はカメラに疎いから仕方ない、と気を取り直すマックス。とりあえず、デヴィッド少年の母親に身代金要求の電話をかけることにする。
 ジョーンズの指示に従い、デヴィッド少年を外へ連れ出し、逆探知されても困らない森の中でサンドボーン家に電話をかけるマックスたち。だが、息子の安否確認を要求する母親の電話にデヴィッド少年が答えようとせず、なおかつ少年に殴りかかろうとしたヴィンスを制止しようとしたロクサンヌが彼の名前を大きな声で口走ってしまった。これで身代金要求の電話も台無しだ。激しく口論し合うマックスとヴィンス、ロクサンヌ。デヴィッド少年は不敵な笑みを浮かべる。その帰り道、行きがけに遭遇した若いカップルの車が乗り捨てられていた。デヴィッド少年の呪文によって発狂した少年(コリー・モンテイス)が、恋人の少女を殴り殺していたのだ。
 翌朝、マックスはジョーンズの指示でボストン美術館へ向かった。次の指示を受けるためだ。用意された携帯電話の向こうで、ジョーンズは少年を殺害するよう命じる。もう身代金を要求している余裕はない。さもなくば、警察に尻っぽをつかまれてしまう。だが、マックスはそれを頑なに拒絶する。ジョーンズは明日の午前中に直接会って話し合うことを約束した。どうも腑に落ちないマックスは、携帯電話を回収に来た男を尾行し、ジョーンズが何者なのかを問いただす。すると、ビルの上から落ちてきたスクリュードライバーが男の脳天に突き刺さり、男は即死してしまった。
 その頃、それと同じ光景をデヴィッド少年は部屋の壁に描いていた。まるで、すべてが彼の書いたシナリオ通りに進んでいるかのように。さらに、少年はロクサンヌがヴィンスの子供を堕ろしていたことを彼に伝える。マックスが服役している間、二人は不倫の関係にあったのだ。ロクサンヌはそのことを今も深く後悔していた。ヴィンスも彼女への拭い去れない想いと親友への罪悪感に悩んでいた。
 しかし、マックスに事実をバラすとうそぶくデヴィッド少年に、ヴィンスは怒りを爆発させた。ロクサンヌに見つからないよう少年を外へと連れ出し、森の中で暴行を加えようとする。すると、ガラスの割れる音がした。デヴィッド少年はヴィンスのインシュリンを隠し持っていて、そうとは知らずにヴィンスはその瓶を踏みつけてしまったのだ。
 唖然とするヴィンスの隙をついて逃げ出すデヴィッド少年。そのあとを追いかけるヴィンス。少年は氷の張った湖の上に立っていた。ここまで来れるかと挑発する少年。だが、大人の体重では氷が割れてしまう危険がある。そこで、ヴィンスは逆に寒空の下で少年が凍えるのを待つことにした。ところが、そこへ一匹の狼が現れてヴィンスへと迫ってくる。驚いた彼は、思わず湖の方向へと走り出してしまった。振り返ると、狼は少年のそばにぴたりとくっつている。デヴィッド少年は邪悪なほほ笑みを浮かべ、湖の氷を足で叩いた。次の瞬間、ヴィンスの足元の氷が割れ、彼は冷たい水の中で溺死してしまう。
 一方、警察のマイルズ刑事は、脅迫電話の内容からヴィンスの身元を突き止めていた。さらに、彼が糖尿病のインシュリンを処方箋で購入していたことから、潜伏先の目星もおおよそ見当がついてた。自分を若造扱いするホイットリーの鼻をあかすため、マイルズは誰にも言わず一人で隠れ家の捜査に乗り出す。
 やがて明らかになる黒幕ジョーンズの意外な正体。果たして、この誘拐計画の裏には何が隠されているのか?そもそも、デヴィッド少年とはいったい何者なのか?何のために周囲の大人たちを翻弄して陥れていくのか?彼は自らを天使だと名乗り、ロクサンヌの目の前で不思議なパワーを見せ、マックスを殺害するようにそそのかす。彼の汚れた魂を救済するには、それ以外に方法がないのだと…。

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心臓発作を起こして息絶えるシドニー

デヴィッド少年の描いた絵からシドニーが消えていた

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謎の黒幕ジョーンズはマックスに少年を殺すよう命じる

ジョーンズの正体を探ろうとしたマックスだが…

 メイン州の森林地帯が舞台になっているものの、実際の撮影場所はカナダ。森や湖などの大自然はユーコンでロケをしているが、それ以外は全てバンクーバーのスタジオと市街地で撮影されている。しかも、撮影時期は4月から6月にかけて。例年にないほどの暖かい春で、一時は最高気温33度を記録したという。もちろん、雪や氷なんぞどこにもナシ。そのため、セルロイド製のペーパー・スノウはもとより、ケムガード・フォーム(白い泡状の非燃剤)やポリマー・スノウ、アイスワックスなどを駆使して、真冬の雪深い大自然の光景を再現。ロングショットの空撮などは全てCG加工が施されている。
 また、ヴィンスが湖で氷の割れ目に落ちるシーンの撮影にはプールを使用。クライマックスでマックスとデヴィッド少年が死闘を演じるシーンはグリーンスクリーン合成を使って撮影されており、キャンプ小屋の屋根等は全てCG加工なのだそうだ。そもそも、キャンプ小屋のセット自体が表面だけしか作られておらず、あとはぜ〜んぶCGを使って立体的に見せている。地味なようでいて、実は意外に手間と暇がかけられているのだ。
 さらに、デヴィッド少年が屋根から落ちたりするなどのアクション・シーンは、当時10歳だったコナー・クラッシュ・ダンというちびっ子スタントマンが代役を担当。監督自身も撮影に入るまで、子供のスタントマンが存在するなど考えてもみなかったという。
 なお、本国アメリカでは劇場公開されず、DVDストレートとなった本作。一部ヨーロッパや東南アジア、南米諸国では劇場公開されている。

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氷の張った湖でヴィンス(J・エドガートン)を挑発する少年

オオカミの襲来に驚いたヴィンスは湖の真ん中へ…

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邪悪な微笑みを浮かべるデヴィッド少年

氷の割れ目に落ちて溺死するヴィンス

 監督は「スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮」('09)のスチュワート・ヘンドラー。これが劇場用長編映画デビュー作だった。ジャンルとしては同じホラーではあるものの、「スプラッター・ナイト〜」と本作とでは性質および傾向として対極にあると言えるかもしれない。こちらは芸術性という面ではなかなか優れているものの、エンターテインメントとしては及第点。で、あちらはエンターテインメントとしてはまずまずの出来で面白かったものの、映画作品としてのクオリティは及第点。ポテンシャルはある人だと思うので、これからの活躍に期待したいところだ。
 脚本を手がけたクリストファー・ボレリは、「コン・エアー」('97)や「アルマゲドン」('98)に特殊効果スタッフとして参加していた人物。さらに、「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」('00)や「スリザー」('06)のポール・ブルックス、「13日の金曜日」('09)や「エルム街の悪夢」('10)のウォルター・ハマダなどが製作を担当している。
 そして、撮影監督としてクレジットされているのが、「ハロウィン」('78)や「遊星からの物体X」('82)などのジョン・カーペンター作品を筆頭に、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('84)シリーズや「ロジャー・ラビット」('88)、「フック」('91)、「アポロ13」('95)など数多くのメガヒット映画を手がけたカメラマン、ディーン・カンディ。そもそも本作のような新人監督の低予算映画に参加すること自体が奇跡のようなビッグ・ネームなだけに、スタッフもキャストも最初は恐縮することしきりだったようだ。
 そのほか、音楽スコアに「白い嵐」('96)や「プロフェシー」('02)のジェフ・ロナ、編集には「デアデビル」('03)や「アイ、ロボット」('04)のアルメン・ミナジャン、特殊視覚効果監修には「マトリックス・リローデッド」('03)や「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」('06)のマーク・フルーンドなど、ハリウッドの中堅どころスタッフが揃っている。

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マックスたちの隠れ家を突き止めたマイルズ刑事だったが…

デヴィッド少年はマックスを殺すようロクサンヌをそそのかす

 主人公マックス役を演じているのは、世界中で一世を風靡したテレビドラマ「LOST」のソーヤー役で人気者になった俳優ジョシュ・ホロウェイ。本作でも善悪の狭間で葛藤するアウトロー的な役柄を演じており、やはりソーヤーのイメージが強いのかなと感じさせる。とはいえ、彼にはピッタリのはまり役であることは間違いないのだが。
 その妻のロクサンヌ役には、やはり爆発的なブームとなった大ヒットドラマ「プリズン・ブレイク」の女医サラ・タンクレディ役や、現在話題沸騰中のゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」('10〜)のローリ役などでお馴染みの知性派女優サラ・ウェイン・キャリーズが登場。ホワイト・トラッシュの人妻というのはちょっと珍しいかもしれないが、それでも温厚で理性的な女性というのは彼女らしい役柄と言えよう。作品に風格を与えるような存在感が貴重だ。
 また、シリアル・キラーを演じた問題作「ヘンリー」('86)で映画ファンに衝撃を与え、「ミシシッピー・バーニング」('88)や「JFK」('91)、「トゥームストーン」('93)、「シックス・デイ」('00)、「ジャンパー」('08)など数多くの話題作や名作に出演してきた個性派マイケル・ルーカーが、マックスを誘拐計画に引きずり込むシドニー役として、少ない出番ながらも強烈な印象を残している。
 そして、世にも恐ろしい邪悪な少年デヴィッド役には、撮影当時12歳だった子役俳優ブレイク・ウッドラフ。もともとファミリー向けコメディ映画「12人のパパ」('03)シリーズで、スティーヴ・マーティンの息子役を演じていた男の子なのだが、本格的にメインクラスの役柄を演じるのはこれが初めて。妙に大人びだ表情や仕草がなんとも絶妙だ。可愛らしい顔をした子供ほど、不気味な役を演じると説得力があるということを再認識させられる。
 さらに、アメリカでは人気の高い探偵コメディ「サイク」の黒人俳優ドゥーレ・ヒルが、野心家の若手刑事マイルズ役で登場。そのほか、「キンキー・ブーツ」('05)の主人公チャーリー役で有名なオーストラリア人俳優ジョエル・エドガートン、SFドラマ「スターゲイト SG-1」('97〜07)のフレイザー博士役で知られる女優テリル・ロセリー、「すてきな片想い」('84)や「ブレックファスト・クラブ」('85)などジョン・ヒューズ監督作品の常連俳優だったジョン・カペロスなど、脇役陣もなかなかいい顔ぶれが揃っている。
 なお、デヴィッド少年の呪文にかかって恋人を殴り殺してしまうティーンエージャー役で、大人気ドラマ「Glee/グリー」のアメフト選手フィン役でお馴染みのコリー・モンテイスがチラリと登場。また、「バトルスター・ギャラクティカ」('04〜'09)の報道官トーリー・フォスター役やリメイク版「V」('09〜11)のFBI捜査官サリタ役などで知られる女優レカ・シャーマが、女性刑事モラ役でワン・シーンのみ顔を出しているのも見逃せない。

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デヴィッドの呪文で発狂する少年を演じるコリー・モンテイス

警察の女性刑事モラを演じているレカ・シャーマ

 

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