ヴィタス Vitas
〜奇跡のボーイ・ソプラノ〜

 

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 その耽美的なルックスと奇跡のボーイ・ソプラノで一躍脚光を浴びたヴィタス。5オクターブ半と言われる歌声は、早くからロシア国内のみならずヨーロッパ各国の音楽界からも注目を集め、近年はアメリカや中国、台湾へも進出。ここ日本でも、テレビなどのメディアで少なからず取り上げられるようになった。
 なんと言っても衝撃的だったのは、00年に発表されたデビュー曲“Opera #2”だろう。テクノにオペラ、シャンソン、ミュゼット、オペレッタ、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにした、あまりにも独創的過ぎる音世界をつんざく超高音のソプラノ・ボイス。
 続くセカンド・シングル“Good Bye”のプログレッシブ・ディスコなサウンドも非常に面白かった。この2作品に象徴されるような、ロシアならではのアバンギャルドでノスタルジックな退廃感こそ、ヴィタスというアーティストの魅力なのだといえるかもしれない。
 ただ、活躍の場が国際的になるにつれて、次第にそのアバンギャルド感が薄れつつあるような印象を受ける。トレード・マークのボーイ・ソプラノも最近はちょっと抑え気味で、楽曲的にも平凡な歌謡ポップスに傾倒しつつある様子。個人的には、デビュー当初のアナーキーでクイアーなヴィタスが懐かしい。

 1979年2月19日、ラトヴィア共和国ダウガフピルスの生まれ。本名をヴィタリー・ヴラダソヴィッチ・グラチェフという。育ったのはウクライナ共和国のオデッサで、国籍もウクライナである。
 00年にシングル“Opera #2”でデビュー。この曲はロシア国内で大変な反響を呼び、01年と02年、03年と3年連続で年間ベストセラー・シングルに輝いた。さらに、02年3月には史上最年少でクレムリン宮殿におけるソロ・コンサートを敢行。ギリシャの世界的歌手デミス・ルソスやイタリアのスーパー・スター、ルチオ・ダーラとのデュエットも実現させた。
 さらに、04年に発売されたアルバム“Potsyelui Dlinoyu v Vyechnost(永遠に等しいキス)”は発売後半年で200万枚を越えるセールスを記録。04年から06年にかけては、アメリカやドイツ、イスラエル、オーストラリアなどを含むワールド・ツアーも行われた。
 また、05年からアジア進出を図るようになり、中国では1年半で1200万枚のCDが売れたと言われている。また、08年にはアメリカでもベスト盤をリリース。昨年は中国9都市を巡るコンサート・ツアーを成功させ、歴史スペクタクル映画“Mulan”にも出演している。

 

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※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

OPERA_2.JPG PHILOSOPHIA.JPG GOOD_BYE.JPG ULYBNIS.JPG

Opera #2 (2000)

Philosophiya Chuda (2001)
Philosophy of Miracle

Good Bye (2001)

Ulybnis! (2002)
Smile!

(P)2001 Real Records (Russia) (P)2001 Iceberg Music (Russia) (P)2001 Iceberg Music (Russia) (P)2002 Iceberg Music (Russia)
1,Opera #2 ビデオ
2,Opera #2/Ustas Mix
3,Opera #2/Akusticheskaya Versiya
4,Opera #2/Analog Orchestra Mix
5,Opera #2/FM Remix
6,Den Rodjdeniya Moei Smerti
bonus video
Opera #2/Klip
Opera #2/TV6

#2 remixed by Moscow Grooves Institute
#4 remixed by That Black
1,Mechtui
2,7 Element ビデオ
3,Opera #2
4,Prelyudiya
5,Karlson
6,Opera #1 (Asian Version) ビデオ
7,Den Rodjdeniya Moei Smerti
8,Dusha
9,Telo
10,Starui Grammofon
11,Tsirk
12,Opera #1 (Euro Version)
13,Den Rodjdeniya Smerti
  (That Black Ragamix)
1,Good Bye (Original Version)
2,Good Bye (Bez Obrabotki Vocala)
3,Good Bye
  (Ba Arabo-Frantsuskom Slenge)
4,Ave Maria
5,Byelorussiya
6,Good Bye
  (La Track Gangsta Pumping Mix)
7,Good Bye(La Track Gangsta Club Mix)
bonus video
Opera #1
1,Ulybnis! ビデオ
2,Bladjennui Guru ビデオ
3,Voskobuiye Figuru
4,Prachet Chudjaya Toska
5,Ave Maria ビデオ
6,Holodnui Mir
7,Ostrov Zatonuvshuih Krablei
8,Fantasticheskiye Snui
9,Good Bye
10,Schastye
11,Ottsvyeli Hrizantyemui
12,Dodjdu v Tbilisi
13,Slyepoi Hudodjnik
14,Milaya Muzuika
15,Byelorussiya
16,Do Svidaniya
 4種類のリミックス・バージョンを収録したデビュー・シングル。マキシ・シングルという形態がロシアでは結構珍しいので、当時どれだけ注目されていたのかが分かるような気がします。個人的に好きなのは、オーソドックスなジャズに仕上げたアコースティック・バージョン#3。エレクトリックでノイジーなロック・サウンドでまとめた#5も悪くありません。#2と#4は90年代のアシッド・ジャズっぽい仕上がり。  こちらが記念すべきデビュー・アルバム。#4以外は全てヴィタス本人の作曲です。プログレッシブなエレクトロ・サウンドをベースに、オペラからシャンソンまであらゆるジャンルをミックスしたアバンギャルドな仕上がりがインパクト強烈。ヴィタスのボーイソプラノをサンプリングで遊びまくった#1や、エキゾチックな女性ボーカルをフィーチャーしたオリエンタル・ハウス#2などなど、全曲おススメです。  ヴィタスの楽曲の中で個人的に一番のお気に入りがこれ。4種類のリミックスを収録したマキシ・シングルです。ここでは得意のソプラノを封印し、なんと超低音のバリトンを披露。70'sユーロ・ディスコを彷彿とさせるキャッチーなバック・トラックも痛快です。#2はほとんどオリジナルと一緒。#3ではアラブ語とフランス語をミックスし、#6と#7ではバウンシーなプログレッシブ・ハウスを聴かせてくれます。  前作と同じくエレクトリックなサウンドを前面に押し出しつつも、よりロシア的な哀愁とメランコリーを際立たせたセカンド・アルバム。古き良き時代のシャンソンやフレンチ・ジャズを彷彿とさせる#3と#4
、シューベルトの名曲を美しいボーイソプラノとアバンギャルドなエレクトロ・サウンドで聴かせる#5、70年代ユーロ・ディスコ全開の#8と#9などなど、懐かしくも近未来的な音世界が非常に魅力です。

MAMA.JPG POTSELUI.JPG TOPOL.JPG RETURN_HOME.JPG

Mama (2003)

Potsyelui Dlikoyu v Vyechnost (2004)
Kiss As Long As Eternity

Topol (2006)
Popular

Vozvrashyeniye Domoi (2006)
Return Home

(P)2003 Iceberg Music (Russia) (P)2004 CD Land (Russia) (P)2006 Sound MAN Records (Russia) (P)2006 CD Land (Russia)
1,Zvyezda ビデオ
2,Mama ビデオ
3,List Osyennii
4,Chyeryez Godui
5,Ptitsui Ulyetyeli
6,Posvyashyeniye ビデオ
7,Zvyozdnaya Ryeka
8,Dodjye, Kak Ya Lyublyu ビデオ
9,Kosichki
10,Dadhye Zbyozdui Pokadjutsya
  (Byessonnitsa)
11,Inoplanyetnuii
12,List Osyennii (Remix)
13,Pododhdi Nyemnogo
bonus video
Zvyezda
1,Potsyelui Dlikoyu v Vyechnost ビデオ
2,Kuda tui, Tuda Ya
3,Nye Molchi Tak Gromko
4,Nyevyezuchii
5,Noch Popolam, Den Popolam
6,Syerdtsyebiyeniye
7,V shortikah i Mayechkye ビデオ
8,Mantra
9,Ulitsui Stolitsui
10,Vyeryu v Lyubov
11,Nhternet-Nastroyeniye
1,Topol
2,Mudryets
3,Starui Kalyendar
4,Ya Proshu Vsyeh Sbyatuih
5,U Ikonui Svyatoi
6,Krikom Djuravlinuim
7,Dyebed Moi
8,Ya Tvoye Povtoryayu Imya
9,Rodina Lyubimaya Moya
10,Byeryeza Rossii
11,Noch Popolam, Den Popolam
12,Vyeryu v Lyubov
13,Nyevyezuchii
14,Potsyelui
15,V Krayu Magnolii
16,Buket
17,Gadalka
18,Potolok Lyedyanoi
19,Ptitsa Schastya ビデオ
20,Komarovo
21,Malinovka
22,Brodyachiye Artistui
  (duet with Aleksandrom Buinovuim)
1,Lucia Di Lammermoor ビデオ
2,Opyernaya
3,Lyebyed Moi
4,Ya Proshu Vsyeh Svyatuih
5,Gdye Eti Zimui ?
6,Byeryega Rossii ビデオ
7,Zdravstbui, Rpdina Lyubimaya Moya
8,Prosti, Gospod !
9,Vishnyevuii Sad
10,Milostuinya
11,Inoplanyetnuii Drug
12,Drudjba
bonus video
Byeryega Rossii
Lucia Di Lammermoor
Krikom Djuravlinuim
 01年に亡くなった最愛の母親へ捧げられたアルバム。前作までとはうって変わって、サウンド的にはクラシカルなアコースティック色が濃厚。楽曲も切なくて哀しいバラードを中心に構成されています。中でも、哀切に満ちた美しいメロディをボーイソプラノで絶唱する#3は名曲。ロシア歌謡風のノスタルジックな#4や古い映画音楽を彷彿とさせるスキャット・ナンバー#6も思わず聴き惚れてしまうような素晴らしい出来栄え。おススメです。  CDの売れないロシアで200万枚以上を売り上げたという本作。それ自体は凄いことだとは思いますが、個人的にはイマイチな印象の強い作品でもあります。全体的に角が取れてしまい、いわゆる平均的なロシアン・ポップスに終始してしまったという感じなんですよね。エイス・オブ・ベイス風の歌謡ポップ・レゲエ#5なんか、正直なところちょっとねえ・・・って(笑)この辺りから、徐々に普通のポップ・シンガーになっていったように思います。  03〜06年の間に発表された楽曲で構成されたコンピレーション盤。ロシアお得意の、いわゆるセミ・オフィシャルってヤツです。でも、この手のCDってアルバム未収録曲が含まれていることも多いので、意外と侮れないんですよね。中でも、ボクが少年時代に大好きだった懐メロ・ポップスのカバー#21は嬉しい選曲。恐らくテレビ・ライブ用にでもレコーディングされたのでしょう。チープなバックトラックが若干気になるところではあります(笑)  07年春に行われた大規模なソロ・コンサートに向けて発表されたアルバム。イタリアン・オペラ『ランメルモールのルチア』を、ヴィタスお得意のボーイ・ソプラノとアンビエントなテクノ・サウンドで仕上げた#1は、彼らしさが十二分に発揮された傑作です。続く#2も、ひたすらヴィタスのソプラノ・ボイスを堪能させる美しい作品。幻想的でノスタルジックなワルツ#10もなかなか秀逸です。ただ、それ以外は割とフツーの歌謡ポップスが中心かな。

RETURN_HOME_2.JPG XXTH_CENTURY_HITS.JPG

Krikom Djuravlinuim (2007)
Crane's Crying

Hit XX Vyeka (2008)
XXth Century Hits

(P)2007 Kvadro Disc/Universal (Russia) (P)2009 Kvadro Disc (Russia)
1,Krikom Djuravlinuim ビデオ
2,Jamaica ビデオ
3,Angel Byez Kruila
4,Malyenkii Prints
5,Printsyessa
6,Mudryets
7,Topol
8,Staruii Kalyendar
9,Ya Tvoye Povtoryayu Imya
10,Koluibyelnaya
11,List Osyennii ビデオ
bonus video
Jamaica
Krikom Djuravlinuim
1,V Krayu Magnodii
2,Kukla
3,Lyubitye, Poka Lyubitsya
4,Prosti, Gospod !
5,Ulyetyeli Listya s Topolyei
6,V Gornitsye
7,Strannoye Chuvstvo
8,Luna
9,Ptashyechka
10,Ryedkaya Ptitsa
11,Potyemkinskaya Lyestnitsa
12,Zorka Alaya
 前作に続くソロ・コンサート用新曲集第2弾として発表されたアルバム。より歌謡ポップス色が強くなっているので、恐らく好き嫌いが大きく分かれるでしょう。それでも、まるでデビュー当初のアルスーを彷彿とさせる甘いずっぱいポップ・バラード#8は悪くありません。また、#11はスケールの大きなソプラノボイスも堪能させてくれます。もうちょっと尖がった遊びがあれば良かったかもしれませんね。  ロシア歌謡界の大御所シンガー・ソングライター、アレクサンドル・モロゾフの楽曲ばかりを集めたカバー・アルバム。#4のみヴィタスとの共作になっています。とりあえず、個人的には“ん〜・・・”といった感じの1枚かな。モロゾフの作品そのものに特別な思い入れもありませんし。本当に、ごくありきたりな歌謡ポップス集といった按配です。共産主義時代を懐かしいと思える人でないと楽しめなのでは。

 

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