Lesbian Vampire Killers (2009)

 

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(P)2009 The Weinstein Company (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/5.1chサラウンド/音声:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:1/86分/製作:イギリス

特典映像
なし
監督:フィル・クレイドン
製作:スティーヴ・クラーク=ホール
脚本:スチュワート・ウィリアムス
   ポール・ハプフィールド
撮影:デヴィッド・ヒッグス
音楽:デビー・ワイズマン
出演:ジェームズ・コーデン
   マシュー・ホーン
   マイアンナ・バーリング
   ポール・マッギャン
   ヴェラ・フィラトワ
   シルヴィア・コロカ
   ティファニー・マルヘロン
   ルーシー・ガスケル
   アシュリー・マルヘロン
   ルイーズ・ディラン

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イングランドの村に現れたレズビアン・ヴァンパイアたち

ヴァンパイア退治に立ち上がるマクラーレン男爵(M・ホーン)

 タイトルだけ見て、“くっだらね〜!”と思ったそこのあなた。いや、まさしくその通り(笑)。なにしろ、ドジでマヌケなおバカ・コンビがお色気ムンムンのレズビアン・ヴァンパイアたちを片っ端から退治していくという、まさにタイトルが中身の全てを物語った映画。中学生レベルの下ネタ・ギャグをこれでもかと盛り込んだ、頭が悪すぎてとっても愉快な英国産B級ホラー・コメディである。
 主人公は真面目なだけが取り得のトボケた小心者ジミーと、セクシー・ギャルに目がないデブでずぼらなお調子者フレッチ。ド田舎の小さな村へハイキングにやって来た二人は、そこで旅行中の若くてピチピチした外国人ギャル・グループと遭遇する。これは是非ともお近づきになりたい!ということで、彼女たちと同じコッテージへ泊まることにした二人。ところが、その周辺の森はレズビアン・ヴァンパイアたちの巣窟だった。
 次々とヴァンパイアの餌食になっていく美女たち。その一方、ギャル・グループの中で唯一の処女ロッテとジミーが捕虜となってしまう。実は、ジミーはヴァンパイア・ハンターの末裔。レズビアン・ヴァンパイア軍団は、彼の血と処女ロッテの血を混ぜることで、ヴァンパイア女王カーミラを復活させようとしていたのだ・・・!
 という、な〜んもヒネりのないストーリー展開が非常によろしい。ありきたりなキャラクター設定や定番ギャグのオンパレードを連発しながら、下らなくてバカバカしくて肩のこらないエンターテインメント作品に仕上げている。その素直な姿勢(?)は好感度が高い。
 また、下ネタといっても、オッパイだオチンチンだオシッコだといった、基本的に子供でも安心して(?)笑えるような類のものばかり。レズビアンとかなんとか言っても、せいぜいオッパイを揉みあったりキスしたりする程度。このくらいのエロだったら、お父さんも安心して息子さんと一緒に楽しめるはず!?
 そうかと思えば、オノで頭の天辺から体を真っ二つに!みたいなスプラッター・シーンも存分に用意されている。普通、ヴァンパイアを殺すと燃えたり爆発したりして灰になるのだが、本作では白い液体を撒き散らしながら溶けてしまうというのが特徴。中には、オッパイに入れていたシリコンだけ残して溶けちゃうヴァンパイアもいたりするのがご愛嬌だ。
 さらに、全編を通してハマー・ホラー、特に『ヴァンパイア・ラヴァーズ』をはじめとするエロティック・ヴァンパイア物へのオマージュが散りばめられているのも、熱心なホラー・ファンには嬉しいサービスだろう。セットやカメラワークなども含めて、古典的なゴシック・ホラーの伝統がしっかりと受け継がれている。つまり、単にヴァンパイアをネタにしただけのコメディ映画なのではなく、ホラー映画としても十分(?)に通用するような作品に仕上がっているのだ。
 確かに、ゲラゲラと笑った後は何にも残らない映画ではある。恐らく、10年後にはその存在すら忘れ去られているに違いない。しかし、“レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ”なんてタイトルの映画に、後世に残るような名作を期待する方がおかしいというもの。作り手側もそんなことは予め承知済みであろう。“くっだらね〜!”とワイワイ騒ぎながら楽しんで、見終わったらきれいさっぱり忘れてしまう。この映画に限っては、それが正しい鑑賞法であろう。

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田舎をハイキングするジミー(M・ホーン)とフレッチ(J・コーデン)

パブでセクシー・ギャルたちの行き先を聞いた二人

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ギャルに囲まれて浮かれまくるフレッチ

大人しいロッテ(M・バーリング)と親しくなるジミー

 それは数百年も前のこと。イングランドのとある村では、ヴァンパイアの女王カーミラとその仲間たちが若い娘を次々と毒牙にかけ、レズビアン・ヴァンパイアに変えてしまっていた。もちろん、男は最後の一滴まで血を吸われてオシマイ。
 そこへ、領主ウォルフガング・マクラーレン男爵(マシュー・ホーン)が戦の遠征から帰ってくる。最愛の妻エヴァ(ヴェラ・フィラトワ)がカーミラの愛人になってしまったことを知ったマクラーレン男爵は、ヴァンパイア軍団を一網打尽にすべく立ち上がった。
 女王カーミラと最後の死闘を繰り広げる男爵。その剣がカーミラの腹を切り裂く。断末魔の叫びを上げたカーミラは、18才を迎えた村の娘は全員レズビアン・ヴァンパイアになってしまう、そして彼女たちが数百年後にマクラーレン家の末裔を殺害し、その血によって自分を甦らせることになるとの呪いをかけた。
 時代は変わって現在のロンドン。ジミー(マシュー・ホ−ン)は恋人ジュディ(ルーシー・ガスケル)から一方的に振られ、フレッチ(ジェームズ・コーデン)は生意気な子供を殴ったおかげでピエロのバイトをクビになってしまう。ジュディに振られるのはこれが9回目というジミーはひどく落ち込むが、フレッチはいたって前向きだ。
 ちょうど夏休みシーズンだし、ここはイビザ島にでも行って、おネエちゃんとマリファナとクラビングを楽しもうぜ!と浮き足立つフレッチ。だが、ジミーは貯金を全てジュディに貢いでしまったため金欠状態。お前の財布は俺の財布、とジミーの金を当てにしていたフレッチはブーブー文句をたれる。
 別に海外へ遠出するばかりがバカンスではなかろうに、というわけで、ジミーはお金のかからないハイキング旅行を提案。国内地図に向ってダーツを投げたところ、クラグウィッチという小さな村にヒットした。そんな村、聞いたことすらね〜よ!と文句をたれるフレッチだったが、ジミーは俄然行く気マンマンだ。
 ということで、クラグウィッチへやって来たジミーとフレッチ。すると、ジミーの携帯が鳴る。ジュディからだった。実は、ジミーを振って浮気相手のところへ逃げた彼女だったが、その男に奥さんがいたのだ。肥満体型をバカにするジュディのことが大嫌いなフレッチは、ジミーの携帯を粉々に踏み潰してしまった。
 村の中心へと到着した二人。すると、パブの中から若くてピチピチしたギャルの集団が出てきて、バンに乗って走り去っていった。きっとあのパブにはキレイなお ネエちゃんがウヨウヨいるに違いない!こりゃ凄い穴場を見つけちゃったぞ!と大はしゃぎのフレッチは、ジミーを引っ張って一路パブへと突進。
 ところが、パブの中へ入ってみるとオッサンだらけ。しかも、いきなり入ってきた牧師(ポール・マッギャン)がワケの分らないことをわめき散らし、ジミーを誰かと勘違いして騒ぎ出す始末。すっかりテンションの下がった二人だったが、パブの主人から先ほどのギャルたちの行き先を聞き、後を追いかけることにする。
 すっかり日も暮れた頃。北欧から来たとおぼしきギャル集団は、バンに乗って森の中を走っていた。目指すのは、パブの主人が教えてくれた無料で泊まれるというコッテージ。すると、突然バンのエンジンが止まってしまう。辺りで聞こえる奇妙な物音。恐る恐る窓のカーテンを開けると、なんとそこには人の顔が!
 なんてことはない、それは彼女たちを追いかけてきたジミーとフレッチだった。緊張してオドオドするジミーと、興奮してウハウハ状態のフレッチ。二人がビールを持ってきたと知ったギャルたちは大喜びする。なぜだかエンジンも回復したということで、一行はコッテージへと向った。その背後に、不気味な人影があることも知らずに・・・。
 ようやくコッテージへと到着した一行。CDラジカセで音楽をガンガンにかけながら、ビールを飲んで浮かれまくるフレッチとギャルたち。そんな彼らを黙って見守るジミーに、ギャル集団の中で唯一大人しいロッテ(マリアンナ・バーリング)が話しかけてくる。
 二人はコッテージの壁にかけられた古い肖像画に気付いた。それは、伝説の女吸血鬼カーミラの肖像なのだという。実は、ロッテたち一行は民俗学を勉強する大学生で、カーミラのことについて調べるためクラグウィッチへとやって来たのだった。ジミーとロッテはそれとなくお互いを意識する。

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アンキ(L・ディラン)は誰かに見られているような気がする

恐る恐るトイレから顔を出したハイジ(T・マルヘロン)の背後に・・・

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シャワーを浴びていたトルーディ(A・マルヘロン)は物音に気付く

窓の外から恐ろしい顔が覗きこむ・・・!

 やがて、ビールを飲みすぎたハイジ(ティファニー・マルヘロン)が尿意をもよおす。だが、トイレは屋外。一人では心細いため、彼女はアンキ(ルイーズ・ディラン)について来てもらう。だが、外で待っていたアンキが蒸発。物音に気付いて恐る恐るトイレから顔を出したハイジ。その背後から不気味な顔が近寄る。
 一方、ワキガが臭いとロッテに注意されたトルーディ(アシュリー・マルヘロン)はシャワーを浴びることに。すると、窓の外から奇妙な声がする。恐る恐る窓に近づくトルーディ。すると天井から蜘蛛が!な〜んだと思った次の瞬間、窓の外から恐ろしい顔が覗き込む。
 トルーディの悲鳴とガラスの割れる音を聞いたロッテとジミーとフレッチはシャワー・ルームへと駆け込む。だが、すでにトルーディの姿はなく、窓は壊されていた。ふと見ると、窓の外に妖艶な美女が立っている。カーミラの愛人エヴァだ。
 何も見なかったことにしよう、何もなかったことにしようというフレッチを無視して、ロッテとジミーはトルーディたちの行方を捜して森の中へ。すると、そこにはレズビアン・ヴァンパイア軍団が!トルーディも餌食になっていた。その内の一人を退治した3人は、大急ぎでコッテージへと引き返す。
 入り口に鍵をかけた上にタンスで塞いだ3人。すると、ドアを激しくノックする音が聞こえる。なんと、ジミーの後を追いかけてきたジュディだった。大袈裟にジミーの肩へもたれかかり、目に入ったフレッチをアホデブ呼ばわりするジュディ。しかし、彼女もまたヴァンパイアになっていたのだ。
 ジミーに牙をむくジュディ。ナイス・タイミングで、フレッチが彼女の脳天をオノで一撃。だがそう簡単に死ぬわけもなく、オノが頭に刺さったまま大暴れするジュディ。仕方がない!とばかりに、ジミーはオノに手をかけグッと力を入れ、ジュディを真っ二つに裂いてしまった。
 外へ逃げようとドアへ向うジミーとロッテ、その前におしっこ!とシャワールームへ向うフレッチ。しかし、ドアの外にはヴァンパイアたちが。だが、彼女たちは中にいる人間の招きがないと入れない。そうと知ったジミーは、嬉しそうに“そーか!どうぞいらっしゃいませ、なんて言わなけりゃいいんだ!”と口走ってしまう。もちろん、次の瞬間ヴァンパイアたちは中へ。いとも簡単に二人は連れ去られてしまった。
 一方、シャワールームの洗面台でおしっこを済ませたフレッチ。そんな彼の背後からヴァンパイアが近づいてくるが、間一髪のところを昼間パブで会った牧師に救われる。牧師はジミーの顔を見て、彼がマクラーレン男爵の末裔だと気付いていたのだ。早くしなければ女王カーミラが甦ってしまう。実は、牧師の娘レベッカ(エマー・ケニー)があと数時間で18歳の誕生日を迎える。娘がヴァンパイアになることを阻止するためにも、カーミラを退治しなくてはいけないのだ。
 牧師に連れられてマクラーレン男爵の墓へとやって来たフレッチ。その中に、女王カーミラを退治するために必要な剣が眠っているのだという。牧師に指示されて、嫌々ながら墓の中へ入ったフレッチ。なんと、その剣は取っ手が巨大なおチンチンの形をしていた!
 くっだらね〜!とゲラゲラ笑いながら墓の外へと出たフレッチ。牧師は一足先に車へ向った。すると、そこへレベッカが姿を現す。その
妖艶な姿にムラムラするフレッチ。だが、既に日付が変わり、彼女はヴァンパイアになっていた。とっさに剣でレベッカを退治してしまったフレッチ。“パパ〜!”と叫んでプシュッと溶けるレベッカ。一瞬ヤバッ!と思ったフレッチだったが、知ーらんべ!ということで、何食わぬ顔して牧師と合流する。
 その頃、森の奥では女王カーミラを甦らせる儀式が行われていた。マクラーレン男爵の末裔ジミーと、実は処女だったロッテ。二人の血を混ぜ合わせることにより、女王カーミラが復活するのだ。そこへ牧師とフレッチが現れ、ジミーとロッテは救出される。だが時すでに遅く、最強にして最悪のレズビアン・ヴァンパイア、カーミラが彼らの前にその姿を現すのだった・・・。

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友達の行方を捜すロッテたち

森の向うからおいでおいでをするヴァンパイアたち

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ジミーの元恋人ジュディ(L・ガスケル)が追いかけてきた

だが、彼女もまたヴァンパイアに・・・!

 ヴァンパイアを退治するたびに何故かフレッチだけが白い液体を浴びたり、結局ジミーとフレッチの助けなんか必要ないくらいロッテが強かったり、本来なら助けなきゃいけないレベッカをさっさと殺しちゃったりと、随所に皮肉を効かせたユーモアが見られるのは英国コメディならではだろうか。トルーディのセリフがほとんど“ヤー、ヤー”だけなのは、北欧系ヨーロッパ人のステレオタイプを茶化したジョークだ。
 脚本を手掛けたスチュワート・ウィリアムスとポール・ハプフィールドは、もともとイギリスMTVでコメディ番組の製作・脚本を手掛けていたコンビ。とにかく最高に下らなくてしかもキャッチーなタイトルの映画を作ろうぜ、と考えた二人の導き出した答えが、この“レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ”だったというわけだ。
 そして、そのタイトルをもとにしてストーリーを練った二人。当初はDVD発売が目的で劇場公開するつもりなどなく、ハプフィールドが監督を手掛けてウィリアムスがフレッチ役を演じる予定だったという。
 しかし、03年に脚本を書き上げたものの、どこの映画会社やプロデューサーからもそっぽを向かれっぱなし。新進の若手監督フィル・クレイドンが脚本に興味を示したことから、苦節5年目にしてようやく映画化の実現が決まったのである。
 イギリスの中堅配給会社モメンタム・フィルムスなどが共同で出資をすることとなり、08年5月より撮影が開始。だが、そこからまたいろいろと紆余曲折があったらしく、実際に製作完了から劇場公開へこぎ着けるまで10ヶ月近くもかかってしまった。
 09年3月の全英ロードショーを皮切りに、ヨーロッパ各国及びオセアニア、南米で劇場公開された本作。案の定と言うか、批評家からはコテンパンに酷評されてしまった。そもそも、この手の映画にいちいち文句つけるのもいかがなもんだろうかとは思うものの、まあ、それも致し方ないといったところだろうか。確かに下らないと言えば下らない映画だし、クソ真面目な人が間違って見ちゃったらそりゃ頭に来るだろうな〜と想像がつかないことはないので(笑)。
 ちなみに、本作はレズビアンを興味本位に茶化しているということで、冗談の通じないレズビアン人権団体からも相当なお目玉を食らったらしい。なので・・・かどうかは定かでないが、アメリカでは“レズビアン”という言葉を省いた“Vampire Killers”という当たり障りのないタイトルでDVD発売されている。

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ちょーっと待った!とジュディの脳天にオノを打ち込むフレッチ

ジミーはジュディを真っ二つに

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ヴァンパイア軍団に囲まれるジミーとロッテ

二人を連れ去るヴァンパイアたち

 “『ゴーストバスターズ』にハマー・ホラーとユニバーサル・ホラーをミックスしてみた”というフィル・クレイドン監督は、これが劇場用長編映画2作目という新進の映像作家。シリアス路線のホラー・ミステリーに仕上げたデビュー作“Alone”(02)が大コケしてしまったものの、本作が少なくとも興行的には当たったおかげで、既に次回作の製作も決定しているという。ひとまず、09年に劇場公開されたイギリス映画の中で、年間興行成績第18位というのは確かに立派な成績だ。
 撮影監督を担当したデヴィッド・ヒッグスは、ガイ・リッチー監督のクライム・コメディ『ロックンローラ』(08)を手掛けた新進気鋭のカメラマン。また、編集のジェームズ・ハーバートも『ロックンローラ』や『シャーロック・ホームズ』(09)を担当した編集マンだ。そもそもプロデューサーのスティーヴ・クラーク=ホールが近年のガイ・リッチー作品を制作している人物なので、主だったスタッフは彼が集めたのかもしれない。
 また、『オスカー・ワイルド』(97)や『ルパン』(04)など時代物映画のスコアを得意とする女流作曲家デビー・ワイズマンが音楽を担当。これが意外(?)にもゴシック・ムード溢れる正統派のオーケストラ・スコアに仕上がっており、なかなか聴き応えがあって良い。
 さらに、ガイ・リッチーの『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)や『スナッチ』(00)などで絶妙なBGM選曲を手掛けたイアン・ニールが、本作でも音楽スーパーバイザーとして参加。今聴くと微妙にダサくて恥ずかしい往年のヒット曲からロックンロールの隠れた名曲まで、実にツボを心得た選曲ワザを披露してくれる。中でも、90年代に全英ナンバー・ワンを獲得したウィッグフィールドのおバカさん系ユーロ・ディスコ“Saturday Night”の使い方は抱腹絶倒だ。
 なお、VFXには『28週後・・・』(07)や『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)のラッシェズ、特殊メイクには人気ドラマ『ドクター・フー』シリーズのミレニアムFX、特殊効果には『ザ・ビーチ』(00)や『ブラック・ホーク・ダウン』(01)のスペシャル・エフェクツUKが携わっている。

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女王カーミラの復活を阻止しようとする牧師(P・マッギャン)

いやいやながらヴァンパイア退治に参加させられるフレッチ

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マクラーレン男爵の墓に眠っている最強の武器とは・・・

取っ手がおチンチンの形をしている剣だった!

 主人公ジミーとフレッチを演じているマシュー・ホーンとジェームズ・コーデンは、イギリスの人気コメディ番組“Gavin & Stacey”(07〜09)で大ブレイクした喜劇俳優コンビ。この二人のネーム・バリューというのも、本作がイギリスでヒットした大きな要因の一つと言って間違いないだろう。
 中でも、自分勝手で厚かましくてドスケベだけど、やけに無邪気で憎めないデブ、フレッチ役を生き生きと演じているジェームズ・コーデンが最高に面白い。一方、ジミー役のマシュー・ホーンは役柄の設定がワリと地味なこともあって、いまひとつ存在感に欠けてしまったような印象を受ける。
 そんなジミーと惹かれあう聡明でタフな処女ロッテ役には、『ディセント』(05)や『ドゥームズデイ』(08)などニール・マーシャル監督の常連として知られるスウェーデン人女優マイアンナ・バーリング。美人じゃないけど親しみやすいというキャラクターが役柄とマッチしていると言えるだろう。
 さらに、主人公たちを助ける牧師役として、『ウィズネイルと僕』(88)や『レインボウ』(89)に主演して一時は人気スターだった英国俳優ポール・マッギャンが登場。ここではかつての2枚目俳優のイメージをかなぐり捨てるような怪演を披露しており、『忍者と悪女』(63)などの怪奇コメディにおけるヴィンセント・プライスを彷彿とさせるのが興味深い。
 そしてもちろん、本作は脇役で顔を出すセクシー美女たちにも要注目。B級映画にありがちなオッパイは大きいけど顔はエグイ・・・という安っぽいスクリーム・クィーンなんかじゃなく、ちゃんと粒揃いの美形ばかりをセレクトしているのが偉い。
 中でもイチオシなのが、女王カーミラの愛人エヴァ役を演じているウクライナ人女優ヴェラ・フィラトワ。憂いのある東欧的なベビー・フェイスが魅力だ。実は彼女、名門ロンドン音楽演劇アカデミーを卒業し、ドストエフスキーなどの古典舞台劇で実績を積んだ本格派なのだという。
 また、セリフの殆んどが“ヤー、ヤー”だけというトルーディ役でセミ・ヌードまで披露しているアシュリー・マルヘロンも、往年のイタリア系セクシー女優を彷彿とさせるような美女。これが初めての映画出演だったという彼女だが、最新作”The Task”では早くもアメリカ映画進出を果たしている。なお、トイレでヴァンパイアに襲われるハイジ役のティファニー・マルヘロンは実の妹だ。
 そのほか、イギリスの人気ドラマ“Cutting It”(02〜05)のルーシー・ガスケル、25年以上も続く長寿昼メロ・ドラマ“EastEnders”に現在出演しているエマー・ケニーなどが出演。
 さらに、レズビアン・ヴァンパイアの女王カーミラ役には、『ヴァン・ヘルシング』(04)でも同じくヴァンパイア役を演じていたイタリア女優シルヴィア・コロカ。ウェズリー・スナイプス主演のアクション映画『デトネーター』(06)ではヒロイン役を演じており、ここ数年にわかに活躍の場を広げている濃厚なセクシー女優だが、本作ではちょっと出番が少ないのが残念。

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いよいよカーミラ復活の儀式が始まる

生贄にされたジミーとロッテ

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牧師とフレッチに救出されたジミーとロッテだが・・・

ついに女王カーミラが復活してしまう

 

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