発掘!テレビ映画って結構面白いじゃん!?

 

 テレビ映画というのは、文字通りテレビ放送用に作られた映画作品のこと。放送形態としては2時間ドラマに限りなく近いのだが、日本の2時間ドラマがビデオ・カメラで撮影されているのに対し、アメリカのテレビ映画は基本的に劇場用映画と同じフィルムで撮影されている。製作費の規模はまちまちで、大抵の場合はかなり低予算で作られているが、一方で劇場用映画並みの製作費を投じて作られている作品も決して少なくない。
 例えば、日本では劇場公開されたスピルバーグ監督の出世作「激突!」('71)が、アメリカではテレビ映画として放送されていたというのは有名な話だろう。その他にも、日本で大ヒットした「ジョーイ」('77)や「ロング・ウェイ・ホーム」('81)、アン・マーグレット主演の「ファミリー」('84)、ジョージ・ルーカス製作総指揮の「イウォーク・アドベンチャー」('84)なども、実はもともとテレビ映画として作られていた。
 こうして振り返ってみても分かるように、アメリカのテレビ映画は劇場用映画と比べても遜色ないくらいに完成度の高い作品が多い。そうしたことから、普段はテレビ・ドラマには出ないような映画スターや名優が、テレビ映画だからという事で出演するケースも結構あったりす。もちろん、全てのテレビ映画がこうした例に当てはまるわけではなく、放送枠を埋めるためだけに急ごしらえで作られたような作品や、ニュースで話題になっている事件を再現しただけの薄っぺらい作品も少なくはないのだが。
 とはいえ、やはりビデオ・カメラで撮影された作品と、フィルムで撮影された作品とでは映像の奥行きや雰囲気が決定的に違ってくる。ビデオ映像は画面が平坦になってしまう上に、被写体をそのままにしか映さないので、芸術的な表現方法に限界がある。が、フィルムは被写体の立体感を再現できるし、何よりも照明やフィルターなどによって非日常的なイメージを自由に描き出すことが出来る。
 もちろん、フィルムの方がビデオよりも粒子がきめ細かいので、映像の美しさも遥かに違ってくる。最近でこそ、ハイビジョンのビデオ・カメラでフィルム並の映像が撮影できるようになったが、それでも現段階ではハイビジョンも厳密にはフィルムより画質が落ちる。まあ、最終的には同じテレビ・モニターで見るわけだから、画質という点ではフィルムのメリットが十分に生かされるとは言いがたいものの、やはり映像の質感はフィルムで撮影した方が高級感がある事は確かだ。

 アメリカでテレビ映画が製作されるようになったのは、1960年代半ば頃。それには、テレビと映画を取り巻く様々な事情が絡んでいた。50年代半ばから急速に勢いを失ったハリウッド映画。観客動員数の急激な減少の大きな原因として挙げられたのが、テレビの存在だった。それ故に、映画界はテレビ業界を敵対視する風潮が強く、テレビで放送される映画といえば独立系会社のB級映画か、劇場では商品価値のなくなってしまった戦前の映画ばかりだった。
 そうした状況に初めて風穴を開けたのが20世紀フォックスで、大手NBCと提携して1961年からロードショー番組“Saturday Night at the Movies”を放送。この番組で、戦後のカラー映画を毎週提供するようになった。番組の最後に最新映画の予告編を放送し、映画館に観客を呼び戻そうというのがフォックスの最大の狙いだった。
 これが大当たりしたことから、他局も映画会社と組んで同じようなロードショー番組を放送するようになったのだが、次第にネタが尽きていってしまった。そこでテレビ局が考えついたのが、テレビ放送用のオリジナル映画の製作だった。当時はハリウッド映画の不況とスタジオ・システムの崩壊で、仕事にあぶれている映画関係者も多かった。彼らにとっても、テレビ映画の誕生は願ってもないチャンスだったのだ。
 アメリカのテレビ映画第一号と言われているのは、1964年に製作された人気子役パメラ・フランクリン主演の「小さな逃亡者」('64)。監督はテレビ出身のデヴィッド・ローウェル・リッチだったが、撮影は「80日間世界一周」('56)でアカデミー賞を受賞した大御所ライオネル・リンドン、音楽はフランス映画「危険がいっぱい」('64)で当時注目されつつあったラロ・シフリンが担当していた。ちなみに、本当はドン・シーゲル監督の「殺人者たち」('64)がテレビ映画第一号となるはずだったが、暴力シーンが過激すぎるという理由から劇場用に変更されていた。
 なお、日本でも1980年代までは2時間ドラマがフィルムで撮影されており、映画界出身の監督やスタッフが製作した質の高い作品も作られていたが、ビデオ・カメラの進歩と共に急速に消えてしまった。
 その後、アメリカでは70年代半ばにミニ・シリーズと呼ばれる、長時間の作品を数回に分けて放送するというドラマ形態が生まれ、テレビ映画よりもさらにスケールが大きくて質が高い作品が作られるようになった。代表的なところでは、日本でも評判になった「ルーツ」('77)や「ホロコースト」('78)、日本では短縮版が劇場公開された「将軍」('80)などが挙げられる。これらのミニ・シリーズはハリウッドのメジャー映画並みの製作費を投じて作られる場合が殆どで、もちろん撮影もフィルムを使って行われている。
 ひとまず、ミニ・シリーズについては別の機会に詳しく紹介するとして、今回はアメリカでDVDソフト化されているテレビ映画の中から、映画ファンなら一度は見ておきたい作品を幾つかピックアップしてみたい。残念ながら、日本ではアメリカのテレビ映画のDVDソフト化は非常に少ないので、輸入盤に頼らざるを得なくなってしまうのだが、いずれ衛星放送やケーブル・テレビなどで放送されることもあるかもしれない。

 

Ants (1977)
キラー・アンツ/殺人蟻軍団・リゾートホテル大襲撃!
日本ではテレビ放送&VHS発売

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(P)2006 Direct Source (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/ 93分/製作:アメリカ

映像特典
なし
監督:ロバート・シアラー
製作:ピーター・ネルソン
脚本:ゲルドン・トゥルーブラッド
撮影:バーニー・アブラムソン
音楽:ケン・リッチモンド
出演:ロバート・フォックスワース
    リンダ・デイ・ジョージ
    マーナ・ロイ
    バーニー・ケイシー
    バリー・ヴァン・ダイク
    スザンヌ・ソマーズ
    ブライアン・デネヒー

 あ、こいつはあくまでもポンコツ・パニック映画ファン限定で(笑)。70年代といえばオールスター・パニック映画ブーム。「ポセイドン・アドベンチャー」('72)に始まって、「タワーリング・インフェルノ」('74)、「大地震」('74)など、大掛かりなパニック映画が数多く作られた。その辺の詳細は、当HP内のパニック映画のページをご参照いただくとして、問題のこの映画。パニック映画のサブ・ジャンルとして登場した動物パニックものの系統に入る作品と言えるだろう。
 当時はテレビ界でも「大洪水」('76)やら「大火災」('77・日本では劇場公開)やらといったパニック映画が大量に作られていた。昆虫ものパニック映画としてはアーウィン・アレン監督・製作の「スウォーム」('78)が有名だが、本作はそれを先駆けていた作品だとも言える・・・あ、ゴメン、「キラー・ビー」('76)ってのがあった(笑)。とにもかくにも、そんな時代だったわけだ。

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工事の責任者マイク(R・フォックスワース)

借金を心配するヴァレリー(L・D・ジョージ)

頑固なアダムス夫人(マーナ・ロイ)

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フレミングとグロリア(S・ソマーズ)

秘かにデキてるマイクとヴァレリー

配水管からあふれ出る殺人蟻の群れ

 ざっくりとストーリーをご紹介しよう。舞台となるのは、とある湖畔で開発中のリゾート地。所有者のアダムス夫人(マーナ・ロイ)はもともとこの土地で古い高級ホテルを経営していたが、時代遅れで客足が遠のいてしまっていた。そこで、広い敷地を有効活用した巨大リゾートの建設を進めていたのだ。しかし、多額の借金を抱えることとなってしまい、娘のヴァレリー(リンダ・デイ・ジョージ)は土地と施設の売却を母親に勧める。だが、頑固なアダムス夫人は全く聞く耳を持たない。
 そこへやってきたのが、全米にカジノを経営する実業家フレミング(ジェラルド・ゴードン)と、そのビジネス・パートナー兼愛人のグロリア(スザンヌ・ソマーズ)。二人はホテルとリゾートを買収し、巨大なカジノを作ろうと目論んでいた。
 一方、ホテルの脇の工事現場では、作業員の男性が行方をくらましていた。実は、壊れた配水管から現れた蟻の大群に襲われ、体が麻痺して動けなくなってしまったところを、トラックの運んできた土砂に生き埋めにされてしまったのだった。そうこうしているうちに、ホテルの内外に蟻の群れが徐々に行動範囲を広げていく。
 工事現場を監督するのはヴァレリーの恋人でもあるマイク(ロバート・フォックスワース)。土砂の下から作業員が発見され、死体は鑑識に回される。その頃、ホテルのプールでは少年が蟻の大群に襲われという事件が発生。さらに、ホテルのコックやグロリアまでもが死体で発見される。
 マイクやヴァレリーは一連の事件に蟻が関係していると疑うが、ホテルを調べに来た保健所調査員はバカバカしいと一笑に付す。その間にも蟻の大群は増え続け、気がつくとホテルの周囲を完全に埋め尽くしていた。事態を甘く見ていた保健所調査員も蟻の餌食となってしまった。
 その頃、病院では土地の汚染が原因で蟻が毒を持って凶暴化している事が分かり、ホテルには警官隊が救助に駆けつけた。こうして警官やマスコミが見守る中、ホテルに残された人々の決死の脱出劇が展開される。

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全身蟻だらけで大パニックの子供

蟻の大群に包囲されてしまったホテル

グロリアも裸のまま蟻まみれ

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警官隊の隊長を演じるブライアン・デネヒー

蟻さん、蟻さん、あっちに行って・・・

 この作品の最大の難点は、敵が蟻という地味な昆虫だということ。確かに群れになって襲って来る姿は不気味ではあるのだが、映像的なダイナミズムには極めて乏しい。ただ、これが劇場用映画であれば、蟻に襲われた人々の無残な死に様を特殊メイクでグロテスクに見せることも出来ただろう。しかし、いかんせんテレビ映画なので、スプラッター描写は基本的にご法度。ゆえに、全身蟻まみれになった人間がのた打ち回るくらいが関の山になってしまったのだ。
 とはいえ、身体中に砂糖水を塗って本物の蟻を這いつくばらせたという俳優たちの役者根性だけは立派。「燃える昆虫軍団」('75)みたいな、スリルとサスペンスいっぱいの残酷昆虫パニックを期待すると相当裏切られるものの、最初から低予算のB級映画と割り切って見れば結構楽しめたりする。
 ちなみに、DVDジャケットにはスザンヌ・ソマーズの名前がデカデカと掲げられているが、実際にはゲスト出演程度の扱い。日本では殆ど知られていない女優だが、アメリカではテレビの昼メロの女王として80年代に一大ブームを巻き起こした人で、映画「シリアル・ママ」('94)でも本人役で登場している。当時はまだテレビ女優として注目され始めたばかりだったが、今や出演者の中で最も全米で知名度の高い人になってしまったので、DVDのジャケットでは主演に格上げされてしまったのだ。
 本作の主演はロバート・フォックスワースとリンダ・デイ・ジョージ。二人とも日本では知名度が低いが、アメリカでは当時かなりの売れっ子だった。特にリンダ・デイ・ジョージは「スパイ大作戦」の後期レギュラーとして人気を集め、70年代半ば以降はテレビ映画の女王と呼んでいいくらいの大活躍ぶりだった。
 また、この手のパニック映画には、ゴージャス感を演出するために往年のハリウッド・スターが必ずキャスティングされるが、本作ではマーナ・ロイがアダムス夫人役で登場する。マーナ・ロイといえば、ウィリアム・パウエルとの名コンビで一世を風靡した「影なき男」('34)シリーズでスターとなり、戦後は巨匠ウィリアム・ワイラーの大傑作「我等の生涯の最良の年」('46)でアメリカの理想とする良妻賢母を演じた大女優。残念ながらアカデミー賞の演技賞には縁がなかったが、1990年にはその功績を讃えて名誉賞が贈られている。そんな大女優が、こんなトホホ映画に出演してしまうなんてお気の毒・・・と言いたいところだが、よくよく考えれば当時は仕事のなくなった老優たちが低予算映画にバンバン出演していた時代。パニック映画なんて、まさにハリウッドの姥捨て山状態だったわけだから、実際のところは大してお気の毒でもないわけである。
 ということで、70年代のパニック映画ならどんなもんでもOK!という熱心なマニアや、大作のふりしたポンコツ映画に萌え♪という特殊な映画ファンにのみオススメする、時代の徒花的テレビ映画である。・・・って薦めてるんだか何だか分からんが(笑)。

 

Pack Of Lies (1987)
裏切りの街角
日本ではVHS発売のみ

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(P)2005 Echo Bridge (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆

DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL
/100分/製作:アメリカ

映像特典
なし

監督:アンソニー・ペイジ
製作:ロバート・ハルミ・シニア
脚本:ラルフ・ギャラップ
原作:ヒュー・ホワイトモア
撮影:ケネス・マクミラン
音楽:スタンレー・マイヤース
出演:エレン・バースティン
    テリー・ガー
    アラン・ベイツ
    サミ・デイヴィス
    ロナルド・ハインズ
    クライヴ・スウィフト
    ダニエル・ベンザリ

 アメリカの有名なケーブル・テレビ、ホールマーク社の看板シリーズ“Hallmark Hall Of Fame”の一本として製作された作品。1960年代初頭に実際にイギリスで起きたスパイ事件を題材にしており、初期のヒッチコック作品を思わせる良質なサスペンス・スリラーに仕上がっている。
 舞台はロンドン郊外の静かな住宅街。バーバラ(エレン・バースティン)とボブ(ロナルド・ハインズ)のジャクソン夫妻は、通りを挟んで向かいに住むアメリカ人のシェファー夫妻と家族ぐるみの付き合いをしている。古風で控えめという典型的なイギリス中流階級の主婦バーバラにとって、明朗快活で社交的なワーキング・ウーマン、ヘレン・シェファー(テリー・ガー)は最高の親友だ。多感な年頃に成長したジャクソン家の一人娘ジュリー(サミ・デイヴィス)にとっても、恋愛や性にオープンなヘレンは信頼できる相談相手。
 そんなある日、ジャクソン家に一人の男性が訪れる。スチュワート(アラン・ベイツ)と名乗るその男性は、英国諜報機関の諜報員だった。この住宅街でスパイ活動が行われている疑いがあるのだという。大通りを見渡せる位置にあるジャクソン家の2階の窓を、監視のために使わせて欲しいということだった。もちろん、他言は一切無用。一瞬、バーバラとボブの表情に緊張が走ったが、夫妻は国民の義務としてスチュワートを快く迎え入れることにする。
 やがて、諜報機関の上層部の人間からディナーに招待されたジャクソン夫妻は、彼らから衝撃的な事実を知らされる。スパイ活動の容疑がかけられているのは、他でもないシェファー夫妻だったのだ。バーバラは激しいショックを隠せない。それでも親友ヘレンを信じ、何かの間違いであろうと自分に言いきかせるバーバラ。だが、シェファー夫妻がイギリスにやって来るまで何をしていたのか、普段の仕事は何をしているのか、彼らの口から話を聞いているだけではっきりとした証拠は何もない。
 親友であれば何が何でも信じてあげるのが本当の友情なのではないか?それとも、全ては偽りの友情だったのか?信じていた親友に裏切られているかもしれないという憤り、そう疑ってしまう自分への怒りとヘレンへの申し訳ないという気持ち、そして何よりも本当の事を直接ヘレンに尋ねることが出来ないという苛立ち。これらの複雑な感情で胸がズタズタに引き裂かれるバーバラ。
 一方、ヘレンはバーバラの様子がおかしいことに気付き、何かあったのではないかと心配する。果たして、彼女は本当にバーバラのことを心配しているのか、それとも自分の身に迫り来る危険を心配しているのか・・・?やがて、バーバラにとってもヘレンにとっても、最悪とも言える事態が引き起こされることとなる・・・。

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平凡な主婦バーバラ(E・バースティン)

ジャクソン夫妻とシェファー夫妻の団欒

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明るくて社交的なアメリカ人ヘレン(T・ガー)

年頃の娘ジュリー(S・デイヴィス)

 この作品の成功は、まず役者の顔ぶれが決まった時点で約束されたも同然だろう。バーバラ役のエレン・バースティン、ヘレン役のテリー・ガー、そしてスチュワート役のアラン・ベイツ。全く申し分のない絶妙なキャスティングである。
 まずはエレン・バースティン。困った顔をさせたらこの人の右に出る者はいないだろう。「エクソシスト」('74)でも、アカデミー主演女優賞に輝いた「アリスの恋」('75)でも、エレン・バースティンは常に何か不安や問題を抱えて困った顔をしていた。「レクイエム・フォー・ドリーム」('00)では老後の孤独に耐えられずに麻薬に手を出し、挙句の果てにはジャンキーと化してしまった。温厚で優しい顔をしている人なだけに、その苦渋を滲ませた姿はあまりにも痛々しい。「ハンナ・セネッシュ」('88)だって、パルチザンとしてナチに拷問された我が娘の姿を見て思わず見せるエレン・バースティンの、あの表情がなければ何とも陳腐なメロドラマになっていただろう。
 また、ハリウッド女優のエレン・バースティンがイギリス人役だなんて・・・と最初は思ったが、これがもう全く違和感ないくらいに上品で心優しいイギリスの中流階級婦人になりきっている。そんな善良な主婦バーバラが、友情と疑惑に翻弄されながら身も心もズタズタにされていく姿を圧倒的なリアリズムで演じていく。70年代のオスカー女優は賞味期限の短い人ばかりだったが、やっぱりエレン・バースティンは別格だった。あ、あとジェーン・フォンダも。
 そして、ヘレン役のテリー・ガー。これまた意表をつくキャスティングだ。テリー・ガーと言えば、「トッツィー」('82)や「ミスター・マム」('83)、「アフター・アワーズ」('85)などで当時売れっ子だったコメディエンヌ。明るくて可愛いアメリカの典型的な隣の奥さん、誰もが好きにならずにはいられない愛すべき女性、それがテリー・ガーだった。そんな彼女がソヴィエトのスパイかもしれない・・・という意外性が、逆に見る者の不安感を煽る。それはちょうど、「風と共に去りぬ」('39)のメラニーのイメージが強いオリヴィア・デ・ハヴィランドが、その天使のような笑顔の裏でベティ・デイヴィスを徐々に狂気へと追いやっていく「ふるえて眠れ」('65)に共通するものがある。まさしく、サスペンスにおけるキャスティングの重要性を改めて認識させてくれるのだ。ヒッチコックの「バルカン超特急」('38)だって、温厚で上品な老婦人デイム・メイ・ウィッティがどう見ても女スパイには見えないからこそ、クライマックスのどんでん返しに驚かされるわけだし。
 さらに、英国諜報部員スチュワートを演じるアラン・ベイツも、穏やかで落ち着いた上品な紳士の顔と、冷静沈着でしたたかな諜報部員の顔を併せ持つ一筋縄ではいかない男を演じてバツグンに巧い。鬼才ケン・ラッセル監督の「恋する女たち」('69)や「恋」('71)、ジョン・シュレシンジャー監督の「遥か群衆を離れて」('67)、ハーバート・ロス監督の「ニジンスキー」('79)など、60年代から70年代にかけて素晴らしい仕事を残した名優だが、ここでも主演女優二人の脇をピシッと引き締めている。
 ちなみに、ジャクソン家の一人娘ジュリーを演じているのがサミ・デイヴィス。ケン・ラッセル監督の「白蛇伝説」('88)と「レインボウ」('89)でクセ者ぶりを発揮して注目された女優だが、本作でもその情緒不安定気味のユニークな個性を遺憾なく発揮していた。

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大親友のバーバラとヘレン

政府の諜報部員スチュワート(A・ベイツ)

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スチュワートの話に緊張を隠せないジャクソン夫妻

親友のスパイ疑惑に苦悩するバーバラ

 監督を務めるのはアンソニー・ペイジ。ヒッチコックの「バルカン超特急」('38)をリメイクした「レディ・バニッシュ/暗号を歌う女」('79)やリチャード・バートン主演のサスペンス「告白の罠」('81・日本ではビデオ発売のみ)などの映画で知られる人で、そのフィルモグラフィーを見ても相当なヒッチコキアンであることが良く分かる。本作でもヒッチの「サボタージュ」('36)をかなり意識しているのは明白。日常の中に潜む冷戦の不安と恐怖を、何も知らずに巻き込まれてしまった平凡な主婦の視点からじっくりと描いていく。奇をてらうことなく、徹底したリアリズムで緊張感を持続させていく演出は大正解だろう。
 もちろん、一切の装飾や荒唐無稽を排した脚本の力も大きい。脚本を手掛けたラルフ・ギャラップとは、劇作家としても有名なヒュー・ホイットモアの変名。ホイットモアはフランコ・ゼフィレッリ監督の「ジェーン・エア」('96)や「マイセン幻影」('92)などを手掛けた名脚本家だ。
 なお、本作はエミー賞の3部門(特番部門作品賞、主演女優賞、脚本賞)にノミネートされている。

 


 

Onassis : The Richest Man In The World (1988)
海運王オナシス/世界で最も富を得た男
日本ではテレビ放送&VHS発売

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(P)2006 Direct Source (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/ステレオ/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/ 118分/製作:アメリカ・スペイン

映像特典
なし
監督:ワリス・フセイン
製作:アルフレッド・R・ケルマン
脚本:ジャクリーン・フェザー
    デヴィッド・シードラー
原作:ピーター・エヴァンズ
撮影:アラン・ドーベルマン
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
出演:ラウル・ジュリア
    ジェーン・セイモア
    アンソニー・クィン
    フランチェスカ・アニス
    アンソニー・ザーブ
    イライアス・コティーズ
    ビーティ・エドニー
    シモン・アンドリュ
    ディミトラ・アーリス

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若き日のアリストテレス(E・コティーズ)

厳格な父ソクラテス(アンソニー・クイン)

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トルコ軍の侵攻で町は戦乱状態に

捕えられた父を面会するアリストテレス

 ギリシャの海運王アリストテレス・オナシスの生涯を、ピーター・エヴァンズの伝記本をもとに映画化した大河ドラマ。当時アメリカでは前後篇に分けて放送されているが、さすがにあれだけの大物の波乱万丈に満ちた生涯を2時間弱でまとめるのはちょっと無理があるように感じる。どうしても駆け足のダイジェスト版的な印象は拭えない。とはいえ、壮大なスケール感と豪華なキャスティングは、テレビ映画にしておくにはもったいないくらい立派なもの。劇場用映画としても十分に通用するスペクタクルな大作に仕上がっている。

 物語はギリシャ占領下のスミルナ(現在のトルコ領イズミル)に始まる。裕福な家庭に生まれ育った若者アリストテレス・オナシス(イライアス・コティーズ)は、何一つ不自由ない生活を送っている。しかし、何事でも一番でなくては意味がないという厳格な父親ソクラテス(アンソニー・クィン)は、勉強やスポーツよりも遊びに精を出す息子を認めようとはしない。
 そんな折、スミルナがトルコ軍に奪還され、ギリシャ人であるオナシス家は財産を没収された上に父親が逮捕されてしまう。親子の絆を再確認するアリストテレスと父ソクラテス。一家はギリシャへと移住し、ほどなくして釈放された父親も合流した。しかし、ギリシャでの生活は貧しく、アリストテレスは成功のチャンスを求めて南米のアルゼンチンへと旅立つ。
 アルゼンチンで一から身を起したアリストテレスは海運業で成功した。すっかり立派な大人になってギリシャに戻ってきたアリストテレス(ラウル・ジュリア)を、年老いた父ソクラテスが迎える。わが子の成功を誰よりも喜んだ父だったが、歓迎会の席で心臓発作を起して帰らぬ人となってしまった。
 さらなる野心を燃やすアリストテレスは、海運王リバノス(アンソニー・ザーブ)の愛娘アシーナ(ビーティ・エドニー)と結婚。しかし、お嬢様育ちで勝気なアシーナとの間は最初から冷めていた。そもそも、アリストテレスは義父リバノスのビジネス基盤を利用して、己の商売を拡大することしか眼中になかった。
 ある晩、オペラを鑑賞に行ったアリストテレスは、ステージに立つ歌手マリア・カラス(ジェーン・セイモア)を見て心惹かれる。やがて、アリストテレスとマリアの関係は急接近。二人が抱擁しあう姿を目撃したアシーナは、烈火のごとく怒り狂う。
 アシーナと離婚したアリストテレスは、周囲の目を憚ることなくマリアとの情熱的な愛に溺れる。マリアは、アリストテレスの富と権力、愛への飽くなき欲望を誰よりも理解し、共感していた。文字通り、二人は似た者同志だったのだ。しかし、永遠に続くと思われた二人の蜜月も、ある女性の登場で大きく揺らいでいくことになる。それが、ジャクリーン・ケネディ(フランチェスカ・アニス)だった。

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アルゼンチンへ渡ったアリストテレス

実業家アリストテレス(R・ジュリア)

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晴れてギリシャに帰国する

息子の成功を喜ぶ父ソクラテス

 この作品の見どころは、前半と後半で大きく二つに分けることが出来るだろう。まず、前半では野心的な若者であるアリストテレスが、激動の時代を背景に家族のため自らの人生を切り開いていく姿が描かれていく。ギリシャ占領下のトルコを再現した豪華なセットや衣装、美しいロケーション、そしてトルコ軍の侵攻によって荒れ狂う戦乱の嵐。デヴィッド・リーンの作品を思わせるような重厚でスケールの大きな映像は、なかなか見応えがある。アリストテレスがアルゼンチンで財を成すまでのストーリーが丸々省略されてしまっているのは賛否両論分かれるところだとは思うが、彼と父親や家族との絆が重要な鍵になっていることを考えると、あえてその部分を削ったのは正解だったろう。
 一方、後半では世界中の人々が注目したマリア・カラス、ジャクリーン・ケネディという2人の女性を巡る世紀のロマンスに焦点が当てられていく。こちらは一転して華麗なメロドラマといった趣きで、上流階級を舞台にした情熱的で華やかな愛憎劇が繰り広げられていく。激しく愛し合いながらも似たもの同志ゆえに結婚に踏み切れなかったアリストテレスとマリア、ある種の契約のもとに成立していたジャクリーンとの結婚。孤独のうちに晩年を迎えたアリストテレスを、最後まで支えた唯一の女性がマリアだったという皮肉。もう少しじっくりと掘り下げれば、もっと見応えのあるドラマになっていただろうと思う。
 総じて、やはりランニング・タイムが足りなかった。これだけの物語を十分に描き切るためには、やはり最低でもあと1時間は必要だったかもしれない。ただ、誤解のないように言っておくと、現時点でも十分に見応えのある作品には仕上がっている。ワリス・フセイン監督の演出には風格があるし、脚本も要点をしっかりと押さえていて無駄がない。ただ、無駄がなさ過ぎてしまって、逆に食い足りなさを感じてしまうというのも否定できないのだ。ちなみに、ワリス・フセインはあの名作「小さな恋のメロディ」('71)を監督した人。80年代には「プリンセス・デージー」('83)や「凱旋門」('85)といった大作テレビ映画を数多く手掛けていた。

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海運王としての道を歩み始める

アシーナとの政略結婚

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オペラ歌手マリア・カラス(J・セイモア)

ジャクリーン・ケネディ(F・アニス)との出会い

 そして、本作をより魅力あるものにしているのが、やはり豪華な顔ぶれの出演者たちだろう。アリストテレス・オナシス役を演じるのは、故ラウル・ジュリア。日本では「アダムス・ファミリー」('91)のゴメス役が有名で、テレビのCMにも出演していたが、あの濃厚なフェロモン系オヤジぶりは天下の大富豪オナシスのイメージそのもの。恋にも仕事にも情熱的でスケールの大きな大物を演じるのに、この人ほどの適役はいないだろう。まさにラージャー・ザン・ライフ!ただし、その青年時代を演じるイライアス・コティーズが全く似ていないのにはちょっと不満が残る。
 意外にもはまり役だったのは、マリア・カラス役のジェーン・セイモア。もともと綺麗すぎるくらいに綺麗な人なのだが、もしかしたら「永遠のマリア・カラス」('02)のファニー・アルダンよりもカラスに似てるかもしれない、というくらいの大熱演を披露してくれる。その美しさばかりが先行してしまい、女優として正当な評価を得ているとは言いがたいジェーン・セイモア。日本ではテレビ・ドラマ「ドクター・クイン 大西部の女医物語」のクイン先生役でお馴染みだが、個人的にはこういうディーバ・ライクな役柄でこそ真価を発揮できる人だと思う。恐らく、1930〜40年代であれば映画スターとして大成できたであろう。生まれる時代を間違えてしまった女優だと思う。
 一方の、ジャクリーン・ケネディ役を演じたフランチェスカ・アニスはミス・キャスト。そもそも全く顔が似ていないというのもあるのだが、やはりジャクリーンを演じるにはちょっとアクが強過ぎるのだ。個人的には大好きな女優の一人だし、演技力も美しさも申し分のない人なのだが、いかんせんジャクリーンのイメージとはほど遠い。それこそ、「チャーリーズ・エンジェル」のジャクリン・スミス辺りの方が適役だったのではないかと思う。
 そして、アリストテレスの父ソクラテスを演じる名優アンソニー・クィン。問答無用の貫禄勝ちである。この人が出てくるだけで、画面の空気にズッシリとした重厚感が漂うのだ。思えば、今のハリウッドには彼のようにスケールの大きい俳優はいなくなってしまった。
 その他、アシーナ役のビーティ・エドニー、リバノス役のアンソニー・ザーブ、アリストテレスの姉アルテミス役のディミトラ・アーリスなど、実にいい顔をした巧い役者が揃っている。劇場用の映画と違って、テレビ映画はスクリーン・サイズが小さいだけに、どんな役者をキャスティングするかによっても出来不出来が大きく左右されるのだ。

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薬に溺れていくマリア・カラス

身に迫った危険に怯えるジャクリーン

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再び寄りを戻すアリストテレスとマリア

病床のアリストテレスを見舞うマリア

 

 

White Hot : The Mysterious Murder of Thelma Todd (1991)
日本未公開

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(P)2005 Direct Source (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/ステレオ/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/ 94分/製作:アメリカ

映像特典
なし
監督:ポール・ウェドコス
製作:ジュリー・アン・ウェイツ
脚本:ロバート・E・トンプソン
    リンゼイ・ハリソン
原作:アンディー・エドモンズ
撮影:チャック・アーノルド
音楽:マーク・スノウ
出演:ロニ・アンダーソン
    ロバート・ダヴィ
    ポール・ドゥーリー
    スコット・ポーリン
    ローレンス・プレスマン
    ロイス・スミス
    メアリーエディス・バレル
    デイキン・マシューズ

 ハリウッド史上最大の謎の一つである女優セルマ・トッド殺人事件を題材にした作品。テレビ映画ではこのような実際に起きた事件を題材にした実録ものが好まれる傾向が強く、それこそナンシー・ケリガン事件だったりとか、O・J・シンプソン事件だったりとか、3面記事的なネタは片っ端から取り上げられている。大概はゴシップ誌の記事をそのまま映像化したような内容ばかりで、センセーショナリズムだけを売り物にした安手の作品が多いのが実情。そうした中で、ハリウッドの伝説とも言える殺人事件を題材にした本作は、アンディー・エドモンズの書いた詳細な伝記本を忠実に再現しながら、金とセックスと暴力が横行していた1930年代のハリウッドをフィルム・ノワール・タッチで描き出していく。まさにレイモンド・チャンドラーの世界といった感じで、なかなか見応えのある犯罪ドラマに仕上がっている。

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車内で発見されたセルマ・トッドの遺体

事件を追うフィッツ検事(D・マシューズ)

銀幕の女優セルマ・トッド(L・アンダーソン)

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セルマと組んだウェスト監督(L・プレスマン)

セルマの強欲な母親アリス(L・スミス)

華やかな“サイドウォーク・カフェ”

 1935年12月16日、ロサンゼルス近郊にある人気ナイト・クラブ“サイドウォーク・カフェ”のガレージに停められた車の中から一人の女性の遺体が発見される。彼女の名はセルマ・トッド(ロニ・アンダーソン)。“ホット・トディ”の愛称で親しまれたハリウッドの人気映画女優であり、“サイドウォーク・カフェ”の女性オーナーだった。現場の状況から当初は自殺と見られたが、疑問を抱いたロサンゼルス地方検事局のフィッツ検事(デイキン・マシューズ)は、様々な関係者の証言を集めながらセルマの死の謎を追っていく。
 マサチューセッツの女教師だったセルマ・トッドは、猛烈なステージ・ママである母親アリス(ロイス・スミス)によってハリウッドに連れて来られる。野心の強い母親アリスは、娘をスターにすることが最大の夢だった。映画監督ハル・ローチ(ポール・ドゥーリー)のオーディションを受けたセルマは見事に合格し、21歳で映画デビューを果たすことになる。純粋で初々しい娘だったセルマは生き馬の目を抜くようなハリウッドの世界で、次第に富と権力への野心に目覚めていく。そんな彼女を傍らで見ながら心配する先輩女優パッツィー・ケリー(メアリーエディス・バレル)。
 やがて、既婚者である名監督ローランド・ウェスト(ローレンス・プレスマン)を味方につけたセルマは、ウェストとの共同出資で“サイドウォーク・カフェ”をオープン。店はたちまちハリウッド関係者や金持ちたちの社交場として人気を集めるようになった。富の集まるところには様々な人種がやって来る。やがて、“サイドウォーク・カフェ”には西海岸の有力なマフィアたちも出入りをするようになった。そうした中、セルマは“ハリウッドのグラマー・ボーイ”と呼ばれた派手な遊び人パット・デ・チコ(ジョン・オハーリー)と知り合う。パットはマフィアとの癒着も噂される札付きのワルだったが、その危険な香りと豪勢な暮らしぶりに惹かれたセルマは、彼との結婚を決意する。しかし、結婚後の夫はたちまち豹変し、毎日のようにセルマに暴力を振るう。それも愛の証だと思っていたセルマだが、やがてそんな生活にも疲れ、パットと離婚することになる。
 離婚後もパットと親しくしていたセルマは、彼の紹介で運命の男性と知り合う。それがラッキー・ルチアーノ(ロバート・ダヴィ)。まさに、彼女の運命を破滅へと追いやった人物だ。全米に名を轟かせた名うてのマフィア、ラッキー・ルチアーノだったが、その意外なくらいに紳士な振る舞いと強引な魅力にセルマはたちまち虜となってしまう。しかし、やがてセルマは彼を巡るマフィアの抗争に巻き込まれていくこととなるのだった・・・。

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悪名高きラッキー・ルチアーノ(R・ダヴィ)

親友パッツィー・ケリー(M・バレル)

豪奢なハリウッド・ファッションも見どころ

 まず、1930年代のハリウッドの華やかでダーティな雰囲気を再現したノワール・タッチの映像が非常に魅力的。フィッツ検事がローランド・ウェストやアリス・トッド、パッツィー・ケリーら関係者の証言を聞いて回りながら、徐々に事件の真相が明るみになっていくという筋運びもテンポがいい。
 ロサンゼルスに行ったことのある人なら分かると思うが、ハリウッド地区近辺には今でも往年のスターが住んでいた豪邸やらハリウッド関係者御用達だったレストラン、ホテルなどの建物が残っているので、ロケーションにもさほど困らなかったはずだ。また、出演者の衣装は「アンタッチャブル」('87)のために作られたアルマーニのスーツやドレスを使用しており、こちらもスタイリッシュでムードたっぷり。当時の撮影所の様子やナイト・スポットの様子も丁寧に描かれていて、映画ファンなら興味津々といったところだろう。
 また、原作となったノンフィクション本を執筆したアンディー・エドモンズがスーパーバイザーとして撮影現場に張り付き、史実を忠実に再現するために事細かく指示を出したという。ただ、セルマの親友だったという名女優ザス・ピッツとのエピソードなどはそっくり省かれており、その辺りがドラマゼ−ションの限界なのかもしれない。
 セルマ・トッド役を演じるのは、全米ショービジネス界の名物巨乳女優ロニ・アンダーソン。日本では殆ど知られていないが、アメリカではテレビを中心に絶大な人気を誇った女優さんで、バート・レイノルズの奥さんだった事でも有名。いかにもアメリカ人好みの大味なホルスタイン系ダム・ブロンドで、日本人の美的価値観からは著しく外れているものの、金とパワーを持った男に目のない尻軽女優を演じるにはピッタリの人だ。
 また、娘を利用して贅沢三昧の生活を送ろうと考える強欲な母アリス役のロイス・スミスも上手い。「エデンの東」('55)でジェームズ・ディーン扮する主人公の母親が営む店の下働き娘アンを演じていた女優さんで、有名なステンペンウルフ劇団の看板女優としても有名な人。「ファイブ・イージー・ピーセス」('70)や「グリニッジ・ビレッジの青春」('76)、最近では「ハリウッドランド」('06)など、渋い脇役として非常に息の長い女優さんだ。
 その他、ラッキー・ルチアーノを演じる爬虫類系の悪役スター、ロバート・ダヴィやハル・ローチを演じる名優ポール・ドゥーリーもそれぞれ適役だ。しかし、その他の脇役の存在感があまりにも薄い、というのが本作の最大の欠点と言えるだろう。特に、重要な語り部的存在であるフィッツ検事を演じるデイキン・マシューズの影の薄さと演技力のなさは致命的なものがある。パッツィー・ケリー役のメアリーエディス・バレルも、ハリウッド黄金期の人気女優を演じるにはあまりにも地味。せっかくムードたっぷりのフィルム・ノワールとして手堅く作られているにも関わらず、貧相な脇役陣のせいでそこはかとないB級感が漂ってしまっているのは何とも残念だった。

 

 

What Ever Happened To...? (1991)
日本未公開

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(P)2007 Direct Source (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/ステレオ/音声:英語・フランス語・スペイン語/字幕:なし/地域コード:1/94分/製作:アメリカ

映像特典
なし
監督:デヴィッド・グリーン
製作:バリー・ベルナルディ
脚本:ブライアン・タガート
原作:ヘンリー・ファレル
撮影:スティーヴン・ラーナー
音楽:ピーター・マニング・ロビンソン
出演:ヴァネッサ・レッドグレーヴ
    リン・レッドグレーヴ
    ジョン・グローヴァー
    ブルース・A・ヤング
    エイミー・スティール
    ジョン・スコット・クロー

 これは映画ファン必見の作品。ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードが主演した傑作サスペンス・ホラー「何がジェーンに起こったか?」('62)のリメイクだ。元映画女優である二人の老姉妹が、閉ざされた家の中で壮絶な争いを繰り広げるという作品だったが、それを本作では実の姉妹である大女優ヴァネッサ・レッドグレーヴとリン・レッドグレーヴが演じているのだ。そのキャスティングだけでも、映画ファンならば思わずニンマリするに違いない。

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人気絶頂の子役ジェーン・ハドソン

ハドソン家ののどかな休日

大人になったジェーン(L・レッドグレーヴ)

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半身不随のブランチ(V・レッドグレーヴ)

隣に越してきた若夫婦

サンドイッチにミミズが・・・


 物語は1940年代のハリウッドから始まる。少女スターとして人気絶頂のジェーン・ハドソンは、目立ちたがり屋で周囲の大人を見下すような態度を取る生意気な子供。一方の姉ブランチはジェーンの代役を務めているが、静かで大人しい少女だ。表向きは仲の良い姉妹だが、父親の愛情を一身に受けている地味なブランチに、ジェーンは秘かに激しく嫉妬している。
 そして現代のロサンゼルス。交通事故で車椅子生活を余儀なくされているブランチ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、妹のジェーン(リン・レッドグレーヴ)に身の回りの世話をしてもらいながら暮らしている。引っ越してきたばかりの若夫婦フランク(ジョン・スコット・クロー)とコニー(エイミー・スティール)は、隣に大女優ブランチ・ハドソンが住んでいると知って喜ぶ。ブランチは大人の女優として大成していたが、ジェーンは子役から脱することが出来ずに今では世間から忘れられた存在だった。ブランチを目当てに引越しの挨拶に来たコニーを不機嫌そうに追い返すジェーン。それでも、姉妹は一見して仲睦まじく暮らしているように見える。しかし、我が儘な子供がそのまま大人になってしまったようなジェーンは、依然として世間から注目を集めているブランチに対して憎しみを募らせていた。
 次第に、その行動が常軌を逸していくジェーンに不安を抱いたブランチは、外界と接触しようと自室の電話を使おうとするが、気がついたジェーンに取り上げられてしまう。その後、街中のビデオ・レンタル店に足を運んだジェーンは、自分の映画がビデオ化されていない事に腹を立てる。店員に自分を映画のことを尋ねても素っ気ない返事しか返ってこなかったが、奥から出てきた店員ビリー(ジョン・グローヴァー)が自分のファンである事をしって大喜び。ビリーからカムバックの話を持ちかけられたジェーンは、たちまち浮き足立つ。それは、ハリウッドにあるナイトクラブで彼女のショーをやらないか、というジェーンにとっては夢のような話だった。
 一方、助けを求めようとしたブランチは、自力で階段を下りて1階にある電話を使おうとするが、帰宅したジェーンに見つかってしまう。ジェーンに暴行を受けたブランチは、自室のベッドに縛り付けられてしまった。連絡のつかないブランチを心配して来たマッサージ師ドミニク(ブルース・A・ヤング)が助け出そうとするが、ジェーンに刺し殺されてしまう。
 そして、いよいよジェーンの待ち望んだショーの当日。この日のために練習を重ねてきたジェーンだが、ステージに立つと緊張して上手く歌えない。すると、舞台の袖から女装をしたビリーが登場し、客席は一気に沸き返る。戸惑うジェーン。彼女のカムバックだと思い込んでいたのは場末のドラッグ・クィーン・ショーで、観客も怪しげな連中ばかりだった。見世物にされたことにようやく気付いてパニックに陥ったジェーンは、ボロボロに傷ついて自宅へと帰るのだったが・・・。

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次第に壊れていくジェーン

ビデオ屋の店員ビリー(J・グローヴァー)

ジェーンにカムバックを勧めるビリー

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ブランチに暴行を加えるジェーン

ベッドに縛り付けられたブランチ

見世物にされた哀れなジェーン

 ロバート・アルドリッチ監督の62年版が、外界と遮断された古い屋敷の中で繰り広げられる老姉妹の狂気をホラー・タッチで描いていたのに対し、この91年版リメイクは姉妹の内面にスポットを当てた心理ドラマとして作られている。ゆえに、62年版にあったような息苦しいまでの閉塞感が薄らいでしまい、結果としてサスペンス的な緊張感は殆どなくなってしまった。ジェーンによるブランチへのイジメも、62年版の方が明らかに過激だろう。
 62年版では皿の上にネズミの死骸が調理されて乗っていたが、今回はせいぜいサンドイッチにミミズを挟む程度。その代わり、次第に歪んでいってしまう姉妹の関係を、その背景も含めて丁寧に描いており、リアルな人間ドラマとしての側面が強調されていると言える。オリジナル作品を見たことがない人であれば、すんなりと入っていけるだろう。ただ、62年版のインパクトが余りにも強烈なので、そちらを見ている人にとってはかなり食い足りない作品に感じられるかもしれない。
 また、62年版はジェーン役のベティ・デイヴィスの凄まじいばかりの怪物ぶりが圧巻だったが、本作のリン・レッドグレーヴは近所の若作りな変わり者オバサンという感じ。それが逆にリアルではあるのだが、やはりベティ・デイヴィスと比べてしまうと分が悪い。ブランチ役のヴァネッサは手堅い役作りをしており、あくまでも妹のリンを引き立てる役割に徹している。

 ちなみに、リンは姉ヴァネッサに対して、幼少期から強いコンプレックスを抱いていたことをインタビューで明かしている。レッドグレーヴ家といえば、イギリスでも随一の俳優一家として有名。祖父はサイレント期の名優ロイ・レッドグレーヴ。父親は英国王室からナイトの称号を贈られた名優マイケル・レッドグレーヴで、母親も有名なシェイクスピア女優レイチェル・ケンプソン。また、ヴァネッサの弟でリンの兄に当たるコリン・レッドグレーヴも名脇役として知られている。さらに、コリンの娘ジェマ・レッドグレーヴ、ヴァネッサの娘ジョエリー・リチャードソンとナターシャ・リチャードソンも人気女優として活躍しており、実に4世代に渡って名優を世に送り出してきた家系なのだ。
 そうした中で、姉妹の父親マイケルは美人で才能があって賢いヴァネッサを溺愛し、幼い頃から太めで器量の悪い妹リンをあからさまに疎んじていたらしい。しかも、ヴァネッサはデビュー当時から天才女優として世間の注目を集め、「裸足のイサドラ」('68)ではアカデミー主演女優賞を、「ジュリア」('77)ではアカデミー助演女優賞を受賞するという偉業を達成。社会運動の闘士としても世間から尊敬され、まさに完全無欠の優等生女優として華々しいキャリアを歩んできた。
 一方のリンは、初主演映画「ジョージー・ガール」('66)でアカデミー主演女優賞にノミネートされて注目を集めたものの、その後は全くの泣かず飛ばず。オーストラリア映画「シャイン」('96)で絶賛されるまで、実に30年近くを地味な脇役一筋で頑張ってきた。それゆえに、姉のヴァネッサには長いこと複雑な感情を抱いていたらしい。その辺りの予備知識を頭に入れて見ると、また一味違った楽しみ方が出来るかもしれない。
 ちなみに、ハドソン姉妹の隣に引っ越してきた若夫婦の奥さんコニー役を演じているエイミー・スティールは、80年代に「13日の金曜日パート2」('82)や「エイプリル・フール」('84)などのスラッシャー系ホラー映画のヒロインとして活躍した女優さんだ。

 

Nightmare Street (1998)
ナイトメア・ストリート/記憶の片隅

日本ではテレビ放送(ケーブル)のみ

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(P)2005 Direct Source (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/ステレオ/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/ 83分/製作:アメリカ

映像特典
なし
監督:コリン・バックセイ
製作:ウィリアム・シッピー
脚本:ラマ・ローリー・スタグマー
    ダン・ウィット
原作:マーガレット・テイバー
撮影:ヤン・キーサー
音楽:ダナ・カプロフ
出演:シェリリン・フェン
    レナ・ソファー
    トーマス・ギブソン
    スティーヴ・ハリス
    ローレン・ダイウォルド

 並行して存在する異次元世界=パラレル・ワールドに迷い込んでしまった女性を主人公にしたミステリー・ドラマ。「ミステリー・ゾーン」の1エピソードを長尺にしたような感じで、一部強引な展開は見られるものの、最後まで退屈することなく楽しめる娯楽映画に仕上がっている。
 主人公はジョアナ・バーク(シェリリン・フェン)。夫を事故で亡くしたばかりで、愛娘のエマ(ローレン・ダイウォルド)を目に入れても痛くないほど可愛がっている。そんなジョアナは夫を亡くして以来、毎晩のように悪夢に悩まされている。それは、娘エマを失ってしまうという夢。それがあまりにもリアルなために、彼女は言いようのない不安に駆られるのだった。
 ある日、故障のために撤去されていたメリーゴーランドが再開されると聞き、ジョアナはエマを連れて遊びに出かけた。しかし、彼女が目を話した隙に、風船を追ってエマが道路へ向って走っていく。そこへトラックが通りがかり、ジョアナは娘を助けようとトラックの前に飛び出した。
 ジョアナは病院で目を覚ます。エマの安否を気遣うジョアナだったが、診察をする医師マット(トーマス・ギブソン)は首を傾げる。ジョアナは、自分がサラ・ランドルフという女性だと知らされて困惑する。懐からエマの写真を取り出すジョアナ。しかし、その写真は彼女の見ている前で見知らぬ少年の写真に変わってしまう。おかしい、そう感じたジョアナは、病院を抜け出して自宅へ向う。しかし、そこには見知らぬ家族が住んでいた。
 病院に連れ戻されたジョアナは、そこで妹だという女性ペニー(レナ・ソファー)と会う。とにかく、サラ・ランドルフとして振舞わなくてはいけないと感じたジョアナ。退院した彼女は、自宅だとされる高級アパートへ移る。ペニーとの会話の中から、サラという女性は幼い一人息子を失ったばかりであることを知る。冷たくてよそよそしいペニーの態度から察するに、サラとペニーの関係は良好ではないようだ。なんとしても娘の行方を知りたいジョアナが“本当”の自宅に電話をかけると、電話口にエマが出る。しかし、その声は次第に遠のき、ピザ・ショップの店員の声に変ってしまった。
 何とか自分がジョアナ・バークであることを証明しようと、保険会社へ行って顧客データを参照するジョアナ。しかし、ジョアナとエマの記録はおろか、死んだ夫の生命保険支払いの記録までが存在しなかった。途方に暮れるジョアナ。そんな時、彼女に声をかける女性がいた。それは、エマの小児科担当医だった。ようやく、知っている人と出会えたと喜んだのも束の間、その女性は跡形もなく消えてしまった。果たして自分は頭がおかしくなってしまったのか?本当にサラ・ランドルフという女性なのかもしれない・・・、と戸惑うジョアナ。
 一方、そんな彼女を心配する医師マットが、彼女のアパートメントを訪ねて来る。急速に惹かれあう二人。ジョアナは束の間の安らぎを感じる。しかし、彼女はさらにショッキングな事実を知る事になる。サラ・ランドルフは息子を殺したという容疑で警察からマークされていたのだ。妹ペニーも共犯者として捜査線に浮上していた。執拗に彼女をつけ回すミラー刑事(スティーヴ・ハリス)。
 もしこれがパラレル・ワールドなのだとすれば、一刻も早くもとの世界に戻る方法を見つけなくてはいけない。身辺を調査するうちに、サラが本当に自分の息子を殺していたらしい事を知るジョアナ。さらに、彼女は愛娘エマがサラ・ランドルフらしい女性に連れられている光景を垣間見る。別々の世界に住むジョアナとサラの立場が入れ替わってしまったのかもしれない。そうであれば、エマの身に危険が迫っている。果たしてジョアナは、愛するエマのもとに戻ることが出来るのだろうか・・・?

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仲睦まじいジョアナとエマの母娘

悪夢に悩むジョアナ(S・フェン)

娘を助けようと飛び出すジョアナ

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病院で目を覚ましたジョアナだが・・・

自宅には見知らぬ家族が住んでいる

娘の行方を案じるジョアナ

 ジュリアン・ムーア主演の「フォーガットン」('04)を連想させるような作品だが、こちらはパラレル・ワールドの原理を上手く使ったSFタッチのミステリー・ドラマとして手堅くまとめられている。よくよく探せばあちこちに粗が見られるものの、最後までストーリーが破綻することなく、理に叶った展開を見せていくのは立派だ。低予算ゆえに派手な見せ場はないが、その分知恵を絞って作られているという印象。
 主演はシェリリン・フェン。テレビ「ツイン・ピークス」で注目され、映画「二十日鼠と人間」('92)や「ボクシング・ヘレナ」('93)で人気を集めた女優さんだ。映画女優としては小粒な印象が否めないものの、最近でもテレビを中心にして活躍を続けている。本作でも、娘思いの心優しい母親を熱演していて、なかなか好印象。一方、ヒロインを助ける医師マイクを演じているのは、日本でも大ヒットしたドラマ「ふたりは最高!ダーマ&グレッグ」のグレッグ役でお馴染みのトーマス・ギブソン。典型的な好青年をそつなく演じているという感じだ。
 総じて、作品のスケールもキャストも小粒だが、粒の小さいなりにスパイスの効いた小品佳作と言えるだろう。

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サラの妹ペニー(R・ソファー)

サラには息子がいたのだが・・・

ジョアナに惹かれる医師マイク(T・ギブソン)

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