インベーダー
The Invaders (1967-1968)

 

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 60年代末のアメリカにおけるUFOブームを背景に、大変な反響を巻き起こした人気ドラマ『インベーダー』。偶然にも宇宙人の地球侵略計画を知ってしまった主人公が、宇宙人たちから命を狙われながらも、その計画を阻止するために孤独な闘いを繰り広げるという物語だ。
 本作の全米放送が始まったのは1967年の1月。その前年にはウェストバージニア州のポイント・プレザントで、エイリアンのペットではないかと言われる未確認生物モスマンの遭遇事件が連続して発生。さらに、相次ぐUFOの目撃情報などから政府による隠蔽工作がまことしやかに噂され、67年にはアメリカ空軍が民間の研究者にUFOの調査を依頼するという事態にまで発展した。宇宙人の地球侵略をというのは、まさにタイムリーな題材だったわけである。

 ただ、もともとこのドラマは、そうしたUFOブームに当て込んで作られたというわけではなかったようだ。番組を制作したのは日本でも大ブームとなったドラマ『逃亡者』の仕掛け人であるクィン・マーティン。『逃亡者』の番組終了を目前に控えたマーティンは、それに代わるような“巻き込まれ型”の逃亡ドラマを企画していた。そこで白羽の矢を立てられたのが、映画監督や脚本家としても有名なラリー・コーエンである。
 ラリー・コーエンといえば『悪魔の赤ちゃん』(74)や『空の大怪獣Q』(82)などのホラー映画やSF映画で根強い人気を誇るカルト映画監督だが、その一方で『刑事コロンボ』シリーズや『フォーン・ブース』(02)などサスペンスの脚本家としても非常に高い評価を受けている人物。本作の以前には、卑怯者の烙印を捺された軍人の逃避行を描く西部劇ドラマ『荒野の流れ者』(65-66)を手掛けている。
 このドラマは当時なかなか視聴率を伸ばすことが出来ず、1年半ほどで打ち切りになってしまったが、脚本のクオリティの高さから熱心なファンを生み出し、批評家からの評価も非常に高かった。そうしたことから、マーティンはコーエンに新たな番組の企画を任せたのだろう。

 主人公は新進気鋭の若手建築家デヴィッド・ヴィンセント(ロイ・シネス)。ある晩、仕事からの帰り道でUFOの着陸を目撃してしまった彼は、宇宙人たちが秘かに地球侵略を開始していることに気付く。彼は警察や軍当局に警告を発するものの、誰からも信じてもらえないばかりか、妄想に取り付かれた危険人物と見なされてしまう。一方、デヴィッドが自分たちの存在に気付いたことを知った宇宙人たちも、邪魔者である彼を抹殺しようと動き出す。かくして、孤立無援の状態に追い込まれたヴィンセントは、宇宙人の侵略から世界を救うために立ち上がる・・・というわけだ。
 コーエンがインスピレーションの源としたのは当時のUFOブームではなく、50年代に一世を風靡した『ボディ・スナッチャー/恐怖の町』(56)など一連の“侵略型”SF映画の数々だったという。宇宙人たちは人間になりすまして生活しており、どこに潜んでいるのか全く分からない。唯一、彼らを見分ける方法は、不自然な方向に曲がった小指だけだ。だが、宇宙人の変装技術も急ピッチで進化しているため、中には全く見分けの付かないような場合も。総じて彼らは人間的な感情を持たず、自分たちの目的のためには死ぬことすら恐れない。このように、我々と似たような姿形をしながら全く異質の存在であるエイリアンが、日常生活のどこに潜んでいるか分からないという“恐怖”こそが、『インベーダー』というドラマの本質的な面白さだと言えるだろう。
 そして、主人公の言葉に耳を傾けてくれる人が殆んどいないという不安感。それでも、人類の危機を救うために奔走しなくてはならない主人公の数奇な運命。これが連続ドラマとしてのスリルと緊張感を生んでいるのであり、だからこそクィン・マーティンとラリー・コーエンは“宇宙人による地球侵略”という題材を選んだのである。

 先述したように、本作の主人公は若手建築家である青年デヴィッド・ヴィンセント。後に宇宙人の存在を信じて彼の味方となる大富豪エドガー・スコーヴィル(ケント・スミス)という人物がセミ・レギュラーとして加わるが、基本的にはデヴィッドが唯一のレギュラー・キャラクター。
 毎回彼は宇宙人の足どりを追って全米各地を廻り、様々な事件や様々な人々と遭遇する。誰が敵で誰が味方なのか全く分からないという状況は常に変わらない。その息の詰まるような緊張感は秀逸だ。
 さらに、ラリー・コーエンは物語の随所で政治的・社会的テーマをふんだんに盛り込み、ケネディ大統領暗殺事件以降におけるアメリカ社会の暗部を浮き彫りにしている。主人公デヴィッドは警察や軍の関係者、市井の人々などに警告を発し、彼らの協力を得ようとするわけだが、誰も彼の言葉を信用しようとはしない。そればかりか、目の前で起きている不可思議な出来事を政府の陰謀や社会主義者のテロだと思い込み、まるで見当違いの反応を見せるのである。そこには、当時のアメリカ社会を蝕んでいた冷戦の不安と恐怖というものを感じ取ることが出来るだろう。
 50年代の侵略型SF映画ブームの背景には社会主義へ対する過剰な警戒心と恐怖心があったわけだが、本作でラリー・コーエンは宇宙人の地球侵略というテーマを描くことによって逆に、そうしたアメリカ人特有の社会的パラノイアに対する痛烈な皮肉を込めているのだ。

 UFOブームの沈静化に伴って視聴率の落ち込んだ『インベーダー』は、放送開始から1年2ヵ月後の1968年3月を以って終了。比較的短命なドラマだったわけだが、その完成度の高さと面白さは全く時代に色あせることなく、未だ世界中で根強い人気を誇っている。
 当時はB級エンターテインメント扱いされていたSFというジャンルに対して、これだけシビアに取り組んだドラマも他にはないだろう。『Xファイル』や『4400 未知からの生還者』など、現在この種のドラマが市民権を得るようになって久しいが、『インベーダー』はその原点として忘れることの出来ない傑作である。
 ちなみに、日本では67年から71年まで放送されていたらしいが、どのようなスケジュールでの放送だったかは未確認。また、95年には続編に当たるミニシリーズも製作されている。

 

キャラクター紹介

DAVID_VINCENT.JPG <デヴィッド・ヴィンセント>
 建築事務所を経営する有能な若手建築家。偶然にもUFOの着陸を目撃したことから宇宙人の侵略計画に気付く。当局に対して警告を発しようとするが、なかなか相手にされない。全米各地で起きている怪事件の情報などをもとに、宇宙人たちの足どりを追っている。友人や家族を巻き込まないためにも、常に単独で行動。正義感が強くて頭脳明晰、冷静沈着で行動的。運動神経にも優れている。
<ロイ・シネス>
1938年4月6日、イリノイ州シカゴの生まれ。ラジオのDJを経て57年にTVデビュー。なかなか芽が出なかったが、63年の昼メロドラマ“General Hospital”への出演で注目され、『インベーダー』でお茶の間のトップスターとなる。陰のあるハンサムなルックスから、この種のドラマとしては珍しく女性ファンが圧倒的に多かったという。その後、『決死圏SOS宇宙船』(69)や『エアポート'75』(74)などの映画にも出演。近年では、ドラマ『Xファイル』で演じた宇宙人ジェレマイア・スミス役が印象的。

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現在のロイ・シネス

 

エピソード・セレクション

 

第0話 Beachhead 1967年1月10日全米放送

 いわゆるパイロット版に当たる第1作目。『インベーダー』の基本的情報はほぼ全て、このエピソードに集約されている。冒頭におけるUFOとの遭遇に始まり、一見すると平和な日常生活の裏に潜む宇宙人たちの陰謀に、主人公ヴィンセントが次々と巻き込まれていく。そのスピード感溢れる展開とダイナミックな演出は、今見ても全く古臭さを感じさせない。
 監督は『白熱』(73)や『サブウェイ・パニック』(74)など70年代にアクション映画の秀作を幾つも世に送り出した名匠ジョセフ・サージェント。60年代の人気スパイ・ドラマ『0011ナポレオン・ソロ』の演出も、その多くを彼が手がけている。この切れの良さとリズム感は、さすがジョセフ・サージェントといったところだろう。余計な説明の一切を省き、蛇足的な人情話なども皆無。全てにおいて無駄がない。
 小気味良いスリルとサスペンス、そして当時のテレビ・ドラマとしてはかなり大胆なショック演出。誰もが一気にドラマの世界へと引き込まれてしまう、実に秀逸なエピソードだ。

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出張から帰宅途中のデヴィッド(R・シネス)

眩い光を放ってUFOが着陸する

目の前の光景に唖然とするデヴィッド

 それはある真夜中のこと。若手建築家のデヴィッド・ヴィンセントは、出張からの帰り道につかの間の休息を求め、高速道路を外れた空き地へと車を止めた。車内で仮眠を取っていた彼だったが、突然辺りが明るい光に包まれたことに気付いて目覚める。彼の目に飛び込んできたのは、今まさに着陸しようとしているUFOだった。
 すぐさま近隣の保安官事務所に駆け込んだデヴィッドだったが、ホルマン警部(J・D・キャノン)はあまりにも突飛な話だといって苦笑いをするばかり。警察からの連絡を受けて駆けつけたデヴィッドの友人でビジネス・パートナーのアラン(ジェームス・デイリー)も、彼の言葉をにわかに信じることは出来なかった。
 デヴィッドの熱心な説得もあり、ホフマン警部はUFOが着陸したという現場へ足を運ぶことにする。だが、現場に到着したデヴィッドは驚きを隠せなかった。辺りの景色が一変していたからだ。近くでキャンプをしていた若いカップルにも話を聞くが、彼らによると昨晩は何の異変もなかったという。しかし、デヴィッドは若い男性の小指が不自然に立ったままであることに気付いた。
 その晩、どうにも腑に落ちないデヴィッドは現場を再訪する。若いカップルが何らかの事情を知っていると考えたデヴィッドは、彼らに真実を話すよう強く迫った。しかし、若い男性は断固たる態度で拒絶し、やがて2人は取っ組み合いの喧嘩を始める。ところが、デヴィッドの強烈なパンチを顔面に食らった男性は突然もがき苦しみ、体がオレンジ色に発光しはじめた。道路に頭を叩きつけられたデヴィッドは意識をうしない、若いカップルはキャンピングカーに乗って逃走する。
 意識を取り戻したデヴィッドは病院のベッドで横たわっていた。自分の名前が変えられていることに気付いた彼は、このまま抹殺されてしまうのではないかとの恐怖心から病院を逃げ出そうとする。
 しかし、それは世間体を考えた友人アランの配慮によるものだった。デヴィッドの精神状態と健康状態を心配するアラン。しかし、彼らは病院の隅で2人の会話に耳を澄ます老婆(エレン・コービー)の存在に気付いていない。その老婆の小指は、やはり不自然に立ったままだった。

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ホルマン警部(J・D・キャノン)を説得するデヴィッド

キャンプ中の若いカップルは何も知らないという

若い男の体が突如として発光する

 アランはキャンピングカーに乗った若いカップルの名前と住所を調べていた。退院したデヴィッドはアランに自宅まで送ってもらう。ところがその晩、うたた寝から目覚めたデヴィッドは、自宅アパートが炎に包まれていることに気付く。しかも、その炎の向うにはあの老婆が不気味な表情を浮かべながら立っていた。
 火災から命からがら逃げ出したデヴィッドは、その翌日キニーという小さな町を目指して車を走らせていた。それは、あの若いカップルが住んでいるという町だ。しかし、町で唯一のホテルの女主人キャシー(ダイアン・ベイカー)は、その若いカップルに心当たりがないという。
 そもそも、キニーでは住民の大半が町を去ってしまい、急速に過疎化が進んでいた。というのも、地元で唯一の産業だった水力発電所が閉鎖されたことから人々は職を失い、クーガンなる謎の人物が土地を買い漁っているのだという。デヴィッドは水力発電所が怪しいと睨む。
 町の外れにある水力発電所へ向ったデヴィッドは、こっそりと建物の中へ忍び込む。ところが、彼の侵入はセンサーで感知されており、内部で作業していた宇宙人たちは秘かに行方をくらました。そうとは知らないデヴィッドだったが、内部で怪しげな装置を発見する。
 町へ戻ったデヴィッドは、自分が目にしたものをアランに報告する。彼はすぐにケニーへと向うという。町のバーでアランを待つことにしたデヴィッドは、ホテルの女主人キャシーと親しくなる。この町がエイリアンによって支配されつつあるのではないかというデヴィッドの言葉に、意外にもキャシーは納得している様子だった。というのも、町ではこの数ヶ月奇妙な出来事が続いているというのだ。
 お互いに親近感を抱き始める二人。キャシーは叔母にアランの出迎えを頼むという。しかし、デヴィッドはその叔母というのが、あの炎の中に立っていた老婆その人であることを知らなかった。そればかりか、キャシーや保安官など町の人々全員が、実はエイリアンだったのである・・・。

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炎に包まれたアパートに立ちつくす不気味な老婆

デヴィッドは水力発電所に忍び込む

デヴィッドの言葉に耳を傾けるキャシー(D・ベイカー)

 ラリー・コーエンの監修のもとで脚本を書き上げたのは、ジョセフ・サージェント監督の傑作テレビ映画『アメリカを震撼させた夜』(75)を手掛けた脚本家アンソニー・ウィルソン。説明的なセリフを極力避け、細かなディテールの積み重ねでエイリアンの陰謀を浮き彫りにさせていく展開は実に巧い。まるで『ボディ・スナッチャー/盗まれた町』を彷彿とさせるような後半のストーリーもまた恐怖感を倍増させる。
 さらに、撮影監督を『逃亡者』のエピソードの大半を手掛けたメレディス・M・ニコルソンが担当。彼は“She Demons”(58)や『宇宙のデッドライン』(60)などのカルト映画を数多く手掛けたカメラマンであり、『バットマン』や『それゆけ!スマート』などの人気ドラマの撮影でも知られた人物だ。
 ホテルの女主人キャシー役を演じているのは、SFアドベンチャー映画の古典『地底探検』(59)やヒッチコックの『マーニー』(64)で有名なお嬢様女優ダイアン・ベイカー。『アンネの日記』(59)のアンネの姉マーゴット役や『羊たちの沈黙』(90)の上院議員役で記憶している人も少なくないだろう。
 保安官事務所のホルマン警部役で登場するのは、日本でも大ヒットしたドラマ『警部マクロード』の上司クリフォード部長役でお馴染みの名脇役J・D・キャノン。さらに、デヴィッドの友人アラン役には、『女刑事キャグニー&レイシー』の女優タイン・デイリーの父親としても知られる脇役俳優ジェームス・デイリーが顔を出している。

 

第1話 The Experiment 1967年1月17日全米放送

 前回をさらに上回るスケールで、宇宙人による地球侵略計画の恐怖を描いた第2話。デヴィッド・ヴィンセントは、異星人の存在に気付いた世界的な天体物理学者の命を守るために奔走する。
 冒頭のショッキングな旅客機大爆破を筆頭に、FBIを名乗って暗躍するエイリアンのスパイによる誘拐と暗殺、洗脳した人間を裏で操るエイリアンの組織など、文字通りの巨大な陰謀がデヴィッドの前に立ちはだかることに。その出口のない恐怖感と閉塞感は実にスリリングで、まさに息をつく暇もないくらいパワフルなストーリーが展開する。
 中でも特筆すべきは、UFOマニアの間で言うところの“メン・イン・ブラック”の存在だろう。“メン・イン・ブラック”というのはUFOや宇宙人を目撃した人のもとに現れ、目撃情報を他言しないように脅迫する黒づくめの男たちのこと。その多くがアメリカ空軍や政府関係者の身分証を持っており、歩き方が変だったり日用品の使い方を知らないなど不自然な言動が見られるという。
 そうしたことから、彼らはエイリアンのスパイではないかと考えらるようになり、その存在が実証されたわけではないにも関わらず、都市伝説としてまことしやかに語り継がれるようになった。その存在は50年代半ば頃から全米各地で報告されており、UFO関連の書籍でも頻繁に取り上げられている。しかし、映画やテレビで“メン・イン・ブラック”が登場するようになったのは、この『インベーダー』が一番最初だったようだ。

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リンドストロム教授は身の危険を感じていた

デヴィッドは教授(L・ネイスミス)に警告する

牧師(D・グリアー)はエイリアンの指揮官だった

 天体物理学の権威リンドストロム教授(ローレンス・ネイスミス)は、息子ロイド(ロディ・マクドウォール)を伴ってニューヨークの学会に出席するため旅客機に乗り込んだ。教授は学会の席上で異星人の存在に関する重大な報告を行うらしい。しかし、窓の外で滑走路を整備するスタッフの小指が不自然に直立していることに気付いた教授は、息子ロイドを説得して飛行機を降りることにした。やがて、ニューヨークへと向けて飛び立った飛行機は空港の上空で大爆発する。
 事件をニュースで知ったデヴィッド・ヴィンセント(ロイ・シネス)は、リンドストロム教授がエイリアンに関する具体的な証拠を握っているのではないかと考え、教授の住むペンシルヴァニア州の町コヴィントンへと向った。
 バスでコヴィントンに到着したヴィンセントを、地元の牧師(ダブス・グリアー)が出迎える。博士は健康状態が優れないため、代わりに出迎えを頼まれたというのだ。牧師の車に乗り込んだヴィンセントだったが、いつまでたっても教授の家に着かない。彼は牧師が人間ではないと悟り、車のドアを蹴破って逃げ出した。
 その頃リンドストロム教授の家では、息子ロイドと主治医メイラー博士(ハロルド・グールド)が教授の健康状態を心配し、入院を勧めようと説得していた。彼らはエイリアンが地球侵略を計画しているという教授の説を、過度の疲労から来る妄想だと考えていたのだ。教授は次の学会までに退院することを条件に、病院での療養を渋々ながら了承した。
 病院で教授と面会したデヴィッドは、既にエイリアンのスパイが暗躍していることを告げるが、ロイドやメイラー博士によって追い出されてしまった。彼は地元警察に教授の保護を願い出るが、当然のことながら鼻であしらわれてしまう。
 その頃、教授は息子ロイドの取り計らいで病院を出て、町の小さなアパートに身を隠していた。ところが、窓の外に目を向けた教授は、黒づくめの怪しげな男2人がアパートに近づいてくる姿を目撃する。急いで教授はデヴィッドの宿泊しているホテルに連絡するものの、残念ながら留守だった。2人の男はFBIの捜査官だという。彼らがエイリアンであることに気付いた教授は逃げ出そうとするが、力づくで取り押えられてしまった。
 その翌朝、崖の下で大破した教授の車と死体が発見される。警察はノイローゼによる事故死と断定するが、ヴィンセントは納得しない。ロイドもFBI捜査官と名乗る二人組の男に父親の居場所を尋ねられたことを思い出し、ヴィンセントの捜査に協力することを約束した。しかし、実はロイドはエイリアンに洗脳されていたのだ。
 ロイドの飲んでいる薬が未知の物質で出来ていることに気付いたメイラー医師も殺害され、ようやくエイリアンの存在を裏付ける証拠写真を手に入れたデヴィッドも拉致されてしまう。彼はロイドと同じように洗脳されそうになるのだったが・・・。

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黒づくめの男たちに連れ去られる教授

ロイド(R・マクドウォル)とメイラー博士(H・グールド)

エイリアンの証拠を探すデヴィッドにも罠が・・・

 今回も演出を手がけたのはジョセフ・サージェント監督。当時のテレビ・ドラマの枠を超えたスケール感と無駄のないスピーディーなリズム感は絶妙だ。『警部ダン・オーガスト』や『探偵キャノン』などの刑事ドラマで有名なアンソニー・スピナーによる脚本も素晴らしい。あらゆるところに伏線が張り巡らされており、実に中身の濃いストーリーに仕上がっている。
 また、『トブルク戦線』(66)でアカデミー賞候補となり、『宇宙大作戦(スター・トレック)』や映画『暗闇の悪魔・大頭人の襲来』(57)、『驚異の透明人間』(60)などを手掛けたSFXマン、ハワード・A・アンダーソンが特殊効果を担当。
 そして今回のメイン・ゲストとして、宇宙人に洗脳された男ロイド役を演じているのは、映画『フライトナイト』(85)シリーズのバンパイア・ハンター役でもお馴染みのロディ・マクドウォール。名犬ラッシー映画の名作『家路』(53)で主人公の少年を演じて全米の人気アイドルとなり、大人になってからは『猿の惑星』(68)シリーズのコーネリアス役でも親しまれた名優だ。どこか情緒不安定気味の個性が持ち味で、それが本作では上手く生かされている。
 その父親である天体物理学者リンドストロム教授役で登場するのは、『未知空間の恐怖/光る眼』(60)や『恐竜グワンジ』(69)などのSF映画で科学者役を得意としたイギリスの名脇役ローレンス・ネイスミス。その主治医メイラー博士役には、『スティング』(73)や『サイレント・ムービー』(76)など数多くの映画に出演した個性派俳優ハロルド・グールド。また、『007/黄金銃を持つ男』(74)の殺し屋役で有名な中国系俳優スーン・テック・オーがチョイ役で顔を出している。

 

第2話 The Mutation 1967年1月24日全米放送

 第0話と第1話では実像のほとんど分からなかったエイリアンだが、この第3話から徐々に彼らの様々な事実・側面が明らかになっていく。中でも、致命傷を負ったエイリアンが跡形もなく消滅してしまうという現象は、このドラマの名物シーンとして以降のお約束となった。
 また、エイリアンの中には人間的な感情を持つ者もあり、地球侵略計画に疑問や不満を抱いているということも明らかとなる。この第3話ではストリッパーに扮した女性エイリアンがUFO発見現場への道案内を買って出て、デヴィッド・ヴィンセントを罠にはめようとするのだが、彼の人間性に心動かされたエイリアンは土壇場で仲間に反旗を翻す。
 これまでのアクションとサスペンスに重点を置いたストーリー展開とは少し異なり、ヴィンセントと女性エイリアンの交流を描く心理ドラマ的な内容が大きな特徴と言えるだろう。男女の立場が逆ではあるが、後半の逃亡劇と攻防戦はボギー主演の映画『ハイ・シエラ』を彷彿とさせるものがあって面白い。

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UFOの調査でメキシコに来たデヴィッド

モウロウとした状態で砂漠を彷徨う

意識を失う直前にデヴィッドはUFOを目撃する

 メキシコ国境付近でUFOらしき未確認物体の目撃情報があり、小さな町に軍やマスコミや押しかけた。事態をニュースで知ったデヴィッド・ヴィンセント(ロイ・シネス)も現地を訪れ、異常現象に遭遇したというメキシコ人をガイドに雇って調査を始める。
 しかし、彼らはただの詐欺師で、デヴィッドは砂漠のど真ん中で頭を殴られ、金品を奪われてしまった。モウロウとした状態で砂漠を彷徨った彼は、失われいく意識の中で何らかの作業を行っているUFOの姿を目撃した。
 テキサスの病院で手当を受けたヴィンセント。結局、異常現象の証拠は何も見つからなかったことから、軍もマスコミも大半が町を去ってしまった。しかし、UFOの存在を確認したデヴィッドは、町に残って調査を続けることにする。
 そんな彼に、マーク・エヴァンス(エドワード・アンドリュース)と名乗る初老の新聞記者が声をかけてきた。今やマスコミでも“UFO存在説を唱える変人”として有名になったデヴィッドを取材したいというのだ。彼によると、ホテルのクラブに勤めている女性ストリッパー、ヴィッキーが異常現象に遭遇したという。
 どうせまた詐欺の類だろうとたかをくくっていたデヴィッドだったが、ヴィッキー(スザンヌ・プレシェット)の話には信憑性があった。笑いものにされるのは嫌だと調査に関わることを拒むヴィッキーを説得し、デヴィッドは目撃現場へ案内してもらうことにする。そうすれば、あのUFOを目撃した場所へとたどりつく鍵が見つかるかもしれない。
 ところが、実はヴィッキーもマーク・エヴァンスもエイリアンの一味だった。彼らはUFOの着陸現場へとデヴィッドをおびき寄せ、そこで彼を抹殺してしまうつもりだった。砂漠のど真ん中であれば目撃者もなく、穏便にことを済ますことが出来るからだ。
 翌朝、デヴィッドはヴィッキーと共にジープで砂漠に向った。しかし、ヴィッキーの様子は落ち着かない。さらに、途中で寄ったレストランでキッチンの火が服に燃え移った少年を命がけで助けるデヴィッドを見て、彼女は大きな動揺を隠せなかった。
 ほどなくして目的に到着した二人。だが、ヴィッキーはデヴィッドと止めようとする。その様子をUFOから見ていたエイリアンたちは、彼女が裏切ったことを知ってレーザー・ビームで攻撃してきた。二人は岩場へと逃げ込む。
 ヴィッキーは幼い頃から他の仲間たちとは違って“感情”を持っているのだという。彼女の父親も同じで、エイリアンたちの地球侵略計画に反対していた。デヴィッドは追手のエイリアンたちを撃退し、ヴィッキーを連れて付近のメキシコ人家庭にかくまってもらう。
 一方、町ではヴィンセントの足どりを負う政府の諜報員(リン・マッカーシー)が情報を集めていた。マーク・エヴァンスとヴィッキーのことを怪しいと睨んだ彼は、2人の素性を調べようとする・・・。

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ストリッパーのヴィッキー(S・プレシェット)

彼女はエイリアンの一味だった

デヴィッドの人間性に惹かれていくヴィッキー

 この第3話では、オカルト映画の異色作『悪魔のワルツ』(71)で知られるポール・ウェンドコス監督が演出を担当。彼はエリザベス・モンゴメリー主演の『女死刑囚の秘密』(75)や『大脱走2』(89)などの優れたTV映画を数多く手掛けた名匠で、本作でも的確な人間描写にその手腕を発揮している。テレビ・ドラマの限られた時間の中で、デヴィッドとヴィッキーの微妙な心理変化をストイックに描いていく演出はなかなか骨太だ。
 また、脚本にはスピルバーグの『激突!』(71)や日本でも大ヒットした純愛メロドラマ『サンシャイン』(73)のプロデューサーとして有名なジョージ・エクスタインと、コニー・フランシス主演の青春コメディ『渚のデイト』(63)で知られる脚本家デヴィッド・チャントラーが参加。
 さらに、特殊効果を『ジェシー・ジェームスとフランケンシュタインの娘』(65)や『オーメン2』(78)などを手掛けたアイラ・アンダーソン・ジュニアが担当している。
 今回のメイン・ゲストは、皮肉屋で陰のあるストリッパー、ヴィッキー役を演じているスザンヌ・プレシェット。”第2のエリザベス・テイラー”と呼ばれ、トロイ・ドナヒューと共演したラブ・ロマンス『恋愛専科』(62)で日本でも大人気となったスターだ。ここでは、仲間内でも地球でも常に孤独と疎外を感じている一匹狼的な女性エイリアンをシニカルに演じており、女優としての意外な一面を見せてくれる。
 その他、『無警察地帯』(55)の汚職警官役や『トラ・トラ・トラ!』(70)の米軍作戦本部長役、『すてきな片想い』(84)のお爺ちゃん役などで知られるエドワード・アーノルド、ジャック・ウェッブ監督・主演のカルト系戦争映画『激戦!海兵隊』(57)の上官役で注目されたリン・マッカーシーが脇を固めている。

 

第5話 Vikor 1967年2月14日全米放送

 これまで主人公デヴィッド・ヴィンセントVSエイリアンという図式で進行してきた『インベーダー』だが、この第5話では己の野心のためエイリアンに協力する地球人が登場。デヴィッドがその真相を暴くことにより、人間の精神的な弱さというものが浮き彫りになっていく。
 物語の焦点となるのは大企業を経営する実業家ジョージ・ヴィカー。過去に彼は戦争の英雄として国民から絶大な人気を得ていたが、今は忘れられてしまった存在。戦場で受けた傷によって片足が不自由となった彼は、国のために一度は命をなげうった自分の功績が忘れられてしまっているという現状を受け入れることが出来ない。それゆえに、地球を征服した暁には自分を指導者として担ぎ出すというエイリアンの約束を信じ、自らの会社を彼らの隠れ蓑として使わせている。
 一方、ヴィカーの妻シェリーの存在も重要な鍵と言えるだろう。仕事人間の夫の不在によって孤独感を募らせた彼女は、アルコールに溺れて自暴自棄な毎日を送っている。彼女はただ夫の愛を取り戻したいだけなのだが、己の野心に目が眩んだヴィカーにはそれが理解できない。
 満たされない現実や孤独から逃避するがごとく、道を踏み誤っていく夫婦。物語の根底にある鋭い人間観察力こそが、このエピソードの面白さと魅力なのだと言えるだろう。
 また、悪に立ち向かうためには毒をもって毒を制さなくてはならないという、デヴィッドの非情な側面を描いたクライマックスも秀逸。もともとペシミスティックな色合いの強いシリーズではあるが、中でも今回のエピソードは特にシニカルで陰鬱だ。デヴィッドのアンチ・ヒーロー的なイメージを明確にしたという点においても、非情に興味深いエピソードである。

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電話線工事中の技師が目撃したものとは・・・

それは工場内の異様な光景だった

ヴィカー社長(J・ロード)はエイリアンの協力者だった

 フロリダ州にある大手企業ヴィカー・エンタープライズの本社工場で、電話線工事中の技師が謎の死を遂げる。その死の直前、彼は仲間に工場内で光る人間と謎の設備を目撃したと言い残していた。警察は工場を家宅捜査するものの、現場からは何も発見されなかった。
 この事件を新聞記事で知ったデヴィッド・ヴィンセント(ロイ・シネス)は、バクスターという偽名を使ってヴィカー・エンタープライズの就職窓口を訪れ、社長夫人の運転手として潜入することにする。
 社長のジョージ・ヴィカー(ジャック・ロード)はかつて戦争の英雄だったが、今はほとんど表舞台に顔を出すことはない。戦場で負った傷が原因で片足が不自由になった彼は、国民が自分に対してもっと敬意を払うべきだと考えている。その社会に対する強い不満と怒りから、彼はエイリアンの地球侵略計画に協力していた。侵略が成功した暁には自分を地球の支配者にする、という指揮官ネクサス氏(アルフレッド・ライダー)の言葉を信じて。
 一方、ヴィカー社長の妻シェリー(ダイアナ・ハイランド)は、アルコール中毒でたびたびトラブルを起こしていた。かつてはおしどり夫婦だった2人だが、ある時期から夫が会社の事業にのめり込むようになり、そのことで孤独感を募らせたシェリーは酒に溺れるようになったのだ。
 そのシェリーの運転手として雇われたデヴィッドは、夫の仕事に対して不満を持つ彼女の心情を察し、彼を救うためと称して工場捜索への協力を願い出る。自分の夫がエイリアンの地球侵略計画に加担しているという話を聞いて、最初はバカバカしいと一蹴するシェリー。しかし、ネクサス氏の現れた頃から夫の様子が急変したことを思い出し、半信半疑のままデヴィッドに力を貸すことにした。
 シェリーが警備員の注意をそらしている隙に、工場へと忍び込んだデヴィッド。そこにあったのは、エイリアンたちが人間の姿に変身するために必要なマシンだった。地球の環境にまだ慣れていない彼らは、このマシンで定期的に体を調整しなくてはならないのだ。
 その頃、デヴィッドの不審な行動に気付いていたヴィカー社長とネクサス氏は、彼の素性を調べ上げていた。工場内に不審者が侵入したという報告を受けた彼らは、すぐにそれがデヴィッドだと勘付く。間一髪で工場を脱出したデヴィッドは、レストランでシェリーと落ち合うことにする。
 だが、2人の電話での会話はエイリアンに盗聴されていた。警察の巡査長もエイリアンの一味で、デヴィッドとシェリーは身柄を拘束されそうになる。だが、そこへヴィカー社長が現れ、話し合いを求めてきた。これ以上世間の疑惑の目を集めたくない彼は、2人に説得を試みようというのだ。
 デヴィッドの唱える説は誤解に基づいているだけだと語るヴィカー社長。しかし、すぐさまデヴィッドに話の盲点を突かれ、彼は渋々と真実を認め始めた。事情を知ってしまったシェリーがエイリアンに抹殺されるというデヴィッドの警告、そして自分の身の上を心配するシェリーの言葉。ヴィカー社長は自分のやり方に従うことを条件に、エイリアンの計画に対して反旗を翻すことを約束する。だが果たして、その言葉は本心なのか?それとも・・・?

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偽名で運転手として潜入したデヴィッド(R・シネス)

ヴィカーとネクサス氏(A・ライダー)はジャックを怪しむ

社長夫人シェリー(D・ハイランド)を説き伏せる

 演出は今回もポール・ウェンドコスが担当。人間の深層心理を短時間で的確に表現していくスタイルは一貫している。一方、脚本には『アウター・リミッツ』や『スパイ大作戦』に多く関わってきたメイヤー・ドリンスキーが参加。先述したように、クライマックスの皮肉などんでん返しは実に秀逸な展開だ。
 ヴィカー社長役を演じているジャック・ロードは、アメリカで12年間も続いた長寿刑事ドラマ『ハワイ5−0』の主人公マクギャレット役で人気スターとなった俳優。『007/ドクター・ノオ』(62)でジェームズ・ボンドに協力するCIAのスパイ、フェリックス・ライターを演じたことでも有名だ。これは007シリーズにたびたび登場するキャラクターで、最近ではジェフリー・ライトが演じてお馴染みだが、その初代フェリックス・ライター役に起用されたのが彼だった。
 その妻シェリー役を演じているダイアナ・ハイランドは、60年代に映画『逃亡地帯』(66)などで活躍した女優。しかし、なんといっても彼女はジョン・トラボルタの最初の恋人として有名だろう。トラヴォルタよりも17歳年上だった彼女は、彼に見守られながら41歳という若さでガンのためにこの世を去っている。
 また、エイリアンの指揮官ネクサス氏を演じているアルフレッド・ライダーは、SFドラマの悪役俳優として知られる人物で、『宇宙大作戦(スター・トレック)』や『原子力潜水艦シービュー号』など数多くのドラマに出演した。この『インベーダー』でも、3度に渡ってエイリアンの指揮官役を演じている。

 

第6話 Nightmare 1967年2月21日全米放送

 古い伝統を守る中西部の小さな農村を舞台に、閉鎖的な地域社会に潜むエイリアン侵略の恐怖を描いたエピソード。数ある『インベーダー』のエピソードの中でも、ダントツに恐ろしい物語だ。
 今回のメイン・キャラクターとなるのは、高校の女教師エレン。彼女は生徒の家を訪問した際、偶然にもエイリアンのアジトを目撃してしまう。わけも分からないまま追われた彼女は、イナゴの大群に襲われる。命からがら逃げ出したものの、精神的ショックから塞ぎこんでしまう。
 一方、ローカル・ニュースで事件を知ったデヴィッド・ヴィンセントが村を来訪。しかし、排他的な村人たちによってリンチされ、地元の警察からも邪魔者扱いされる。果たして、彼らの中にエイリアンが紛れ込んでいるのか?大量発生するイナゴの謎とは?やがて、人肉を食らう殺人昆虫を開発するエイリアンの陰謀が浮かび上がる。
 アメリカののどかな田園風景、地域住民の心を蝕む排他主義、そして日常に襲いかかる超常現象の恐怖。まるでスティーブン・キングの小説を彷彿とさせるような、ノスタルジックなムードのアメリカン・ゴシック的恐怖譚に仕上がっている。

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生徒の家を訪ねた女教師エレン(K・ウィドーズ)

不思議な機械を操作する農夫たち

畑に押し寄せるイナゴの大群

 カンザス州の小さな農村グレイディ。高校の女教師エレン(キャスリーン・ウィドーズ)は、教科書を届けるために生徒の家を訪れた。すると、納屋のほうから奇妙な音が聞こえる。中へ入っていくと、そこには生徒とその家族がいた。しかし、彼らの様子が普段とは違う。よく見ると、納屋には見たことのない不気味な機械が。生徒の家族に周りを囲まれ、身の危険を察知するエレン。
 納屋から全速力で逃げ出したエレンだったが、その後を大量のイナゴが追いかけてくる。よく見ると、一面に広がるトウモロコシ畑はイナゴの来襲で全滅していた。畑の中を死にもの狂いで逃げたエレンは、小さなあばら家へと逃げ込む。しかし、割れた窓の隙間からイナゴが侵入し、彼女は悲鳴をあげながら気を失った。
 それから数日後。イナゴの異常繁殖とエレンの事件を新聞で知ったデヴィッド・ヴィンセント(ロイ・シネス)がグレイディを訪れた。エレンが見たという“不気味な機械”が気になったからだ。しかし、陰険な若者エド(ジェームズ・キャラハン)など村の人々は、デヴィッドに対して警戒心と敵対心をむき出しにする。
 ようやくエレンの居場所を突き止めたデヴィッド。彼女は学校の校長エイムス(ロバート・エムハート)のもとで療養していた。彼によると、エレンは両親が交通事故死して以来精神的に不安定な状態が続いており、今回の事件もイナゴの大群にショックを受けた彼女の妄想だろうという。
 エレンもまた、自分の証言は思い違いだと語る。だが、彼女は何かに怯えて真実を隠している様子だった。仕方なく近隣で聞き込みをするデヴィッドだったが、エドに率いられた村の若者たちによってリンチされてしまう。警察の留置所に入れられたデヴィッドは、すぐに村を出て行くよう警告された。
 エドはエレンの恋人だった。彼はエレンの精神状態を心配し、余計な詮索をするデヴィッドを追い払おうとしたのだ。しかし、エレンは自分の恐怖体験に耳を傾けてくれる人を必要としていた。奇妙なボタンの付いた不気味な機械、異様な発信音、そして襲いかかるイナゴの群れ。その悪夢を忘れることはできなかった。
 保安官の車で村の外れへと連れて行かれたデヴィッド。ところが、彼らはデヴィッドを畑の真ん中で降ろそうとする。危険を察知したデヴィッドは車の運転を妨害し、近くの畑へと逃げ込んだ。保安官たちもエイリアンだったのだ。

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村人たちはデヴィッド(R・シネス)を警戒する

何かを隠している様子のエレン

傷を負ったデヴィッドに迫るイナゴの大群

 保安官の銃弾を肩に受けたデヴィッドは、畑の中で気を失う。一方、保安官はとある農家へ連絡を入れた。すると、再びイナゴの大群がどこからともなく現れ、畑の方角へと動き出す。イナゴの発生を知ったエレンは、エイムスの反対を押し切って畑へと向った。自分の記憶が正しかったのかどうかを確認するために。
 畑でデヴィッドの姿を見かけたエレンは、彼を助けようと駆け寄った。2人は近くにある建物へと逃げ込む。どうやら、そこはなにかの実験施設だった。所狭しと並ぶ機械の数々。その中央に、昆虫の入ったガラスの箱を発見する。デヴィッドは箱の傍にあった肉片を中へ入れると、たちまち昆虫たちによって食い散らかされてしまう。
 村へ戻ったデヴィッドとエレン。デヴィッドはエドに連絡して見を守ってもらうようエレンに指示し、自らは郡警察に連絡を入れる。しかし、事情を知らない郡警察はその連絡を保安官に報告した。
 一方、エイムス校長宅へ戻ってエドに連絡を入れようとしたエレン。しかし、エイムス校長やヘイヴァーギル夫人(ジャネット・ノーラン)ら村人は、彼女の頭がおかしくなってしまったのではないかと疑う。それは、まるでエレン自身を精神的に追い詰めようとしているようにも見えた。
 エレンが戻ったことを知ってエイムス校長宅を訪れたエド。しかし、校長はエレンが精神病院に運び込まれたといい、彼女には絶対に近づくなと警告する。しかし、その頃エレンは二階の寝室で軟禁されていた。エドが帰っていったことを確認したエイムス校長とヘイヴァーギル夫人は、エレンにクロロフォルムを嗅がせて失神させ、車で連れ去ってしまう。彼らもまた、エイリアンの一味だったのだ。
 エレンの身に危険が迫っていると感じたデヴィッドは、エドに協力を求めた。敵対心を露わにするエドだったが、エレンが精神病院に運び込まれた事実がないことを知り、デヴィッドと協力して彼女を救い出すことにするのだが・・・。

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デヴィッドとエレンは近くの建物に避難する

そこで二人が見たものとは・・・

エイムス校長(R・エムハート)らに拉致されるエレン

 演出は再びポール・ウェンドコスが担当。脚本を手掛けたのは、ホラー映画『叫ぶ頭蓋骨』(59)や『ギロチンの二人』(64)などの脚本を書いたジョン・ニューブール。彼は60年代の人気ドラマ“Wild Wild West”(映画『ワイルド・ワイルド・ウェスト』の元ネタ)のメイン・シナリオライターの一人としても知られる。
 また、特殊効果はダレル・アンダーソンとアイラ・アンダーソン・ジュニアの二人が担当。今見ると大変地味で原始的なSFXではあるものの、見せすぎないことでそれなりの効果をあげている。
 女教師エレン役を演じているキャスリーン・ウィドーズは、女性映画の傑作『グループ』(66)とチェーホフ原作の“The Sea Gull”(68)でシドニー・ルメット監督と組んだ女優さん。素朴な田舎娘から謎めいた悪女まで幅広く演じることの出来る人で、なんともユニークな個性の持ち主だった。個人的にも結構好きな女優の一人である。
 エイムス校長役を演じているロバート・エムハートも、『グループ』に出演していた人。往年の巨漢俳優シドニー・グリーンストリートに似たタイプの役者だが、実際に舞台ではグリーンストリートの代役を務めていたらしい。温厚そうな表情の裏にエイリアンとしての本性を隠したエイムス校長の二面性を巧みに演じており、これがまたなかなか怖い。
 さらに、オーソン・ウェルズの『マクベス』(48)でマクベス夫人役を演じた名女優ジャネット・ノーランが、やはりエイリアンの一員であるヘイヴァーギル夫人役として登場。また、ダイアナ・ロス主演の『ビリー・ホリデイ物語』(72)で嫌味なクラブ・オーナー、ヘインリー役を演じていたジェームズ・キャラハンが、エレンの恋人である若者エド役を演じている。

 

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(P)2008 CBS/Paramount (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆

DVD仕様(北米盤5枚組)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:
1/933分(全17話)/製作:アメリカ

映像特典
パイロット版ロング・バージョン
ロイ・シネス インタビュー
ラリー・コーエンによる音声解説

製作総指揮:クィン・マーティン
クリエイター:ラリー・コーエン
主演:ロイ・シネス

 

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