タミー・シリーズ

 

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 50〜60年代に合計で4本の劇場用映画と1本のテレビ・シリーズが製作されたタミー・シリーズ。ミシシッピーのド田舎で育った純朴で聡明な少女タミーの青春模様を、ほのぼのとしたユーモアで描くロマンティック・コメディである。
 主人公のタミーは17歳の女の子。ミシシッピー川に停泊する古いボートハウスで祖父と暮らす彼女は、これまで一度も学校に行ったことがない。彼女の教科書は幼い頃から祖父母が語って聞かせてくれた昔話や生活の知恵、そして神の言葉を記した聖書である。なので、言葉遣いは19世紀の開拓時代そのまんまだし、発音だって古臭い南部訛り丸出し。電気も水道も電話もテレビもない、まるで100年前から時間が止まってしまったかのような自給自足の生活を送っている。
 性格は純粋で大らか、大胆かつ無鉄砲。教養は全くないが思慮深く、物事に対する見方も難しく考えない分だけ鋭い。祖父のグランパは昔ながらの地酒造りや民間医療で生計を立てているが、全くの無免許なのでたびたび警察のご厄介になっている。が、タミーはそれのどこが悪いことなのか分らない。なぜなら、この近隣の人々は昔からそうやってお互いに知恵を絞って助け合いながら生きてきたからだ。
 そんな彼女がふとしたきっかけで文明社会へ出ることになったことから、様々な笑いとトラブルが巻き起こる・・・というわけだ。なにしろ、19世紀の田舎暮らしそのままで育ってきたタミー。現代人のライフスタイルや考え方は驚きでもあり、同時に大いなる不思議でもある。一方、彼女と初めて接する人々もまた戸惑うことばかり。その時代遅れな純朴さを微笑ましいと感じる人もいれば、所詮は田舎者と軽蔑の眼差しを向ける人もいる。しかし、そのシンプルだが率直で真理をついた考え方や言葉に触れるうち、誰もが文明の発達した現代社会で失われてしまった大切なものを学んでいく、という話がシリーズを通じて描かれていく。
 そして、毎回重要なポイントとなるのがタミーのロマンスだ。恋に恋する多感な年頃の彼女だが、いかんせん恋愛や男性に関しては全くの無知。聖書に書かれた“愛”しか予備知識として持ち合わせていないので、ただの友情と恋愛の違いすらいまいち分っていない。
 男性とキスをして“なんだか胸の奥の辺りがムズムズするの、わたし病気かしら!?”なんてカマトトぶりは今なら噴飯モノだろうが、そこは時代のマジックみたいなもの。恐らく当時ですら時代錯誤も甚だしいという感じであったろうが、逆にその微笑ましい純朴さこそが古い映画の持つ魅力だったりもする。テクニカラーのファンタジックな世界にリアリティは無用の長物・・・なんていったら語弊があるかもしれないが、それはそれでいいのではなかろうか。それに、そもそもタミー自身がそういう時代遅れの女の子という設定なんだし(笑)

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初代タミー役のデビー・レイノルズ

 そんなキュートで楽しいタミー・シリーズ、実は第3作目の『タミーとドクター』(63)だけしか日本公開されていない。テレビ・シリーズは『素敵なタミー』というタイトルで68年に放送されているが、日本ではあまり話題にならなかったようだ。
 シリーズ第1作目は“Tammy and the Bachelor”(57)。初代タミー役を演じたのは『雨に唄えば』(52)でお馴染みの女優デビー・レイノルズ。当時25歳の彼女が17歳のタミー役というのも若干無理があるような気がしないでもないが、小柄な体型と幼い顔立ち、ちょっと垢抜けない可愛らしさは適役だったといえる。
 第2弾はそれから4年後に作られた“Tammy Tell Me True”(61)。当時『避暑地の出来事』(59)などで大ブレイクしていた青春スター、サンドラ・ディーが2代目タミー役を演じた。恐らく彼女の人気に当て込んだ企画だったのかもしれないが、本人も当時まだ19歳。そのチャーミングで憎めない個性と相まって、文句なしの当たり役となった。当然のことながら、第3弾の『タミーとドクター』もサンドラ・ディーが再登板。タミーに厳しくも優しい助言を与える老婦人ミセス・コール役を演じる名女優ボーラ・ボンディとのコンビネーションもバッチリだった。
 そして、65年にはテレビ・シリーズ『素敵なタミー』がスタート。こちらのタミー役は、人気ドラマ『マンスターズ』の劇場版『怪物家族大暴れ』(66)で長女役を演じていた当時16歳のティーン女優デビー・ワトソン。映画版と若干設定は異なっているものの、基本的なストーリーはほぼ一緒だったようだ。しかし視聴率は期待されたほどではなかったらしく、番組は1シーズンで打ち切りに。実際に見たことはないのでなんとも言えないが、デビー・ワトソン自身がとても地味なタイプの女優だったので、映画版のデビー・レイノルズやサンドラ・ディーとのイメージの落差が激しかったのではなかろうか。
 それでも当時吹替え版が放送された西ドイツでは大変な評判だったらしく、67年にはテレビ・シリーズを1時間半にまとめた劇場用総集編“Tammy and the Millionaire”が作られている。これが映画版シリーズ第4弾というわけだ。
 ちなみに、このタミー・シリーズには原作本が存在する。タミーと同じミシシッピー出身の女流作家シド・リケッツ・サムナーの書いた“Tammy Out of Time”という小説だ。サムナーはアメリカ南部の貧困や人種差別、十代の妊娠といった当時のタブーを鋭く描いた名作“Pinky”(49)の原作本“Quality”の著者としても知られる女性である。

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2代目タミー役のサンドラ・ディー

 なお、日本では殆んど知られていないこのシリーズではあるが、映画版とテレビ版の両方で使われた主題歌“Tammy”はご存知の方も多いだろう。1作目に主演したデビー・レイノルズの吹き込んだシングル盤はビルボードのヒット・チャートで1位を獲得する大ヒットとなり、その後も数多くのアーティストがカバー。日本では台所用洗剤“チャーミー”のCMソングとして使われたこともある。

映画主題歌は こちら

 

 

Tammy and the Bachelor (1957)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2008 Universal Studios (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:英語・フランス語/地域コード:1/89分
/製作:アメリカ
※劇場版シリーズ3作収録

特典映像
オリジナル劇場予告編
監督:ジョセフ・ぺヴニー
製作:ロス・ハンター
原作:シド・リケッツ・サムナー
脚本:オスカー・ブロドニー
撮影:アーサー・E・アーリング
音楽:フランク・スキナー
出演:デビー・レイノルズ
   レスリー・ニールセン
   ウォルター・ブレナン
   フェイ・レイ
   マラ・パワーズ
   シドニー・ブラックマー
   ミルドレッド・ナトウィック
   フィリップ・オーバー
   ルイーズ・ビーヴァース

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グランパ(W・ブレナン)と二人暮らしのタミー(D・レイノルズ)

飛行機事故で一命を取りとめたピーター(L・ニールセン)に恋をする

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涙をこらえてピーターを見送るタミー

グランパが警察に逮捕されてしまった

 当時既に歌手エディー・フィシャーと結婚し、後のレイア姫こと長女キャリー・フィシャーまで生んでいたママさん女優デビー・レイノルズが、まだ恋も知らない十代の素朴な乙女タミー役を演じるシリーズ第一弾。アメリカ南部の雄大で美しい大自然を背景に、貧しくて無教養だが聡明で実直な田舎娘タミーが、虚飾に彩られた生活を送る上流階級の人々に様々な変化をもたらしていく。
 飛行機事故で近くの沼に墜落した若者ピーターを救出したタミーとグランパ。ところが、グランパが地酒の違法製造で警察に逮捕されてしまい、タミーはピーターの実家に身を寄せることとなる。そこは広大な豪邸に暮らす由緒正しい名家。一見すると裕福で満ち足りた生活を送る完璧な家族だったが、それぞれに悩みや苦しみを抱えていることをタミーは見逃さなかった。
 温厚だが書斎の中で自分の世界に引きこもったピーターの父親、愛情の欠落した夫婦関係への不満から完璧な上流階級夫人を演じようとする厳格なピーターの母親、年齢を理由に画家の夢を諦めてしまったピーターの叔母、そして親の期待を裏切ってはならないと自分を偽り続けているピーター。周囲の友人たちにしても、お金や世間体などを重んじるばかり本当に大切なものを見失ってしまった人々ばかり。
 そんな上流階級社会へと飛び込んだタミーが、持ち前の明るさと優しさ、建て前にとらわれない率直さによって、様々な誤解を受けながらも周囲の人々に前向きな影響を与えていくという物語だ。
 監督はジェームズ・キャグニー主演の名作『千の顔を持つ男』(57)で知られるジョセフ・ぺヴニー。戦争映画から西部劇、サスペンス、コメディまであらゆるジャンルをこなした職人監督だが、その手堅い演出力と人望の厚さから、34年のキャリアで80本以上の映画を手掛けた名匠だった。
 本作の場合、当時デビー・レイノルズやドリス・デイを起用した一連のライト・コメディで成功していた製作者ロス・ハンターのカラーが色濃く反映された部分も多いとは思うが、そこへアメリカ南部独特の異国情緒溢れる風土や伝統を丁寧に織り込み、穏やかで詩情豊かな世界を作り上げていったぺヴニー監督の力量とセンスも高く評価されてしかるべきだろうと思う。
 ただシュガー・コーティングされただけのロマンティック・コメディではなく、誰の心の中にもある故郷の原風景みたいなものを連想させ、忘れかけていた人間としての原点を思い起こさせてくれる。他愛のない微笑ましさの中に、胸を締めつけるような郷愁を感じさせてくれる作品だ。人生経験を重ねた大人の方が共感出来る部分も多かろう。愛さずにはいられない小品佳作である。

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ピーターを頼ってブレントウッド・ホールへやって来たタミー

きれいな水の出る水道にビックリするタミー

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自分の無教養や無知を恥じるタミーを励ますピーターたち

タミーはピーターへの想いを募らせていく

 舞台はミシシッピー州の人里離れた田舎。ミシシッピー川流域に停めた古いボートハウスでグランパ(ウォルター・ブレナン)と暮らす17歳のタミー(デビー・レイノルズ)は、まだ見たことのない外の世界に憧れる素朴な少女だ。一度も学校に通ったことのない彼女にとって、山羊のナンが唯一の友達。森の中を出歩くときも常に裸足で、亡くなったグランマの代わりに家事の全てを任されている。
 そんなある日、近くの沼にセスナ機が墜落した。残骸の中に売れるものがあるかもしれないというグランパについて現場へ行ったタミーは、意識を失って倒れている操縦士を発見する。タミー自身が寝ずに看病したところ、操縦士の男性は5日後に意識を取り戻した。
 男性はピーター・ブレント(レスリー・ニールセン)というハンサムな若者。すぐに元気になった彼は、タミーと川辺で水遊びを楽しむほどまでに回復した。ピーターに淡い恋心を抱くタミー。しかし、彼は家族のもとに帰らねばらならい。ピーターを見送ったタミーは、ボートハウスの中で声を押し殺して泣きじゃくるのだった。
 それからほどなくして、グランパが警察に逮捕されてしまう。無免許で地酒を製造・販売していたからだ。まだまだ子供のタミーをボートハウスに一人で残すことは出来ない。そう考えたグランパは、彼女をピーターの実家で預かってもらうことにした。
 親友のナンを連れて、ピーター一家の暮らすブレントウッド・ホールへとやって来たタミー。一日がかりで歩いてきたため、彼女は玄関先のベンチで眠りこけてしまった。その翌朝、タミーは広い屋敷の中で目を覚ます。そこへピーターが朝食を持ってやって来た。
 ブレント家は南北戦争以前からこの土地を治めてきた由緒ある名家だったが、それも今は昔の話。現在はブレントウッド・ホールと呼ばれる豪邸を、歴史資料館として一般に公開して生計を立てていた。ピーターは広大な庭にトマトを植えており、その収穫で一家が自立できるようになればと願っている。
 ピーターの父親ブレント教授(シドニー・ブラックマー)は温厚で物静かな紳士だが、いつも書斎に閉じこもってばかりいる。母親のブレント夫人(フェイ・レイ)は神経質かつ厳格な女性で、名家の誇りや世間体を重んじるタイプのマダムだ。また、ブレント教授の妹であるレニー叔母さん(ミルドレッド・ナトウィック)は自由奔放かつ大らかな性格で、自室をアトリエにして前衛絵画を趣味にしている。
 初めて現代文明に触れるタミーにとって、屋敷の中は驚きの連続だった。水道なんて初めて見るし、電話なんてものは存在すら知らなかった。無邪気に反応して率直な意見や感想を述べるタミーを、ブレント教授やレニー叔母さん、メイドのオーシャ(ルイーズ・ビーヴァー)は微笑ましげに見つめるが、ブレント夫人だけは複雑な心境だ。思ったことをなんでも口にするなんて常識のない証拠だし、話す内容もまるで教養が感じられない。喋り方なんてまるっきり開拓時代の田舎者だ。こんな子が家にいるなんて、恥ずかしくて人様に紹介などできやしない。それでもタミーはピーターやレニー叔母さんに教えてもらいながら、様々なことを学んでいった。
 そんな彼女に、ピーターの親友アーニー(クレイグ・ヒル)が興味を持つ。警戒心の全くないタミーは、アーニーからドライブに誘われて素直についていくが、それを知ったピーターは急いで二人の後を追いかける。なにしろ、アーニーは名うてのプレイボーイだからだ。
 タミーの窮地(?)を救ったピーターは、彼女を町へと連れて行く。生まれて初めて見る人混みや商店の賑わいに目を白黒させるタミー。ソーダを重曹と間違えたり、ホットドッグを犬の肉と勘違いして手をつけなかったり、ショーウィンドーのマネキンを人間だと思って顔を赤らめたり。
 そんなちょっとした冒険の帰り道、タミーはブレント家の人々の問題点を指摘する。みんな何かを怖がっていると。ブレント教授は社会の現実を、ブレント夫人は愛情に乏しい夫婦生活の空虚さを、レニー叔母さんは失われてしまった若さを、そしてピーターは両親の望む自分と現実の自分との違いを。それぞれが問題を直視することを恐れて、偽りの仮面を被りながら生活しているというのだ。
 それからほどなくして、ピーターのガールフレンド、バーバラ(マラ・パワーズ)が父親ビッスル氏(フィリップ・オーバー)を連れてブレント家へやって来た。ビッスル氏はピーターを自分の経営する広告代理店に引き抜こうと考えていた。だが、タミーはこう指摘する。この家の人々は恵まれた生活を送っているのに、なぜか己の貧しさや不幸を嘆いてばかりいる。こんなに豊かな自然に恵まれた場所で暮らしていて、何の不満があるのか?なぜ多くを求めすぎるのか?そんな彼女に敵対心を持つバーバラは、やっぱり田舎者だと嘲笑して公衆の面前で恥をかかせてしまう。
 やがて、ブレントウッド・ホールを一般公開する観光週間がやって来た。ブレント夫人はタミーに南北戦争時代のドレスを着させ、当時の女性を演じさせることにする。そうすれば、たとえ彼女がトンチンカンなことを言っても変に思われることはないだろう。その晩、タミーは観光客を前に見事なスピーチを披露した。それは、人々が忙しい毎日の中で忘れかけていた、自然の豊かさや素晴らしさ、日常の些細な幸福を改めて思い起こさせてくれる。人々はタミーに惜しみない拍手を送った。
 ところが、それからほどなくして近隣が猛烈な嵐に見舞われ、トマト畑が壊滅してしまった。ピーターは仕方なくビッスル氏の申し出を受けることにする。ピーターが遠くて行ってしまう。深く傷ついたタミーは、屋敷から姿を消してしまった・・・。

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タミーに厳しい態度で接するブレント夫人(F・レイ)

ブレント教授(S・ブラックマー)は温厚だが書斎に引きこもりがち

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生まれて初めて見る町の光景に息を呑むタミー

バーバラ(M・パワーズ)にみんなの前で恥をかかされたタミー

 脚本を書いたのは、名作『グレン・ミラー物語』(54)でオスカーにノミネートされたオスカー・ブロドニー。聖書に記された言葉や偉人の名言を引用しながら、驚くほどシンプルかつ的確に物事の核心を突いていくタミーの生き生きとしたセリフが実に素晴らしい。一見するとありきたりな予定調和を重ねながらも、様々な含みを持たせたストーリー展開も良かった。
 さらに、アメリカ南部の大自然をシネスコープサイズのカメラで瑞々しく捉えたのが、『仔鹿物語』(47)でアカデミー賞を獲得したアーサー・E・アーリング。他にも、オスカー候補となった『明日泣く』(55)やドリス・デイ主演の『夜を楽しく』(59)などのヒット作を手掛け、『風と共に去りぬ』(39)の撮影にも参加した名カメラマンだ。
 また、『アラビアン・ナイト』(42)などで5度のオスカー候補経験があり、ヒッチコックの『逃走迷路』(42)やダグラス・サークの『風と共に散る』(56)など数多くの名作を手掛けたフランク・スキナーが音楽スコアを担当。主題歌は名曲『モナリサ』でも知られるジェイ・リヴィングストンとレイ・エヴァンスのコンビが手掛けた。
 そのほか、『スパルタカス』(60)でオスカーを獲得したビル・トーマスが衣装デザイン、『がちょうのおやじ』(64)でオスカー候補になったテッド・J・ケントが編集、『夜を楽しく』でオスカー候補になったリチャード・H・リーデルが美術デザイン、『オペラ座の怪人』(43)などで2度オスカーを受賞したラッセル・A・ガウスマンがセット装飾を担当している。

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レニー叔母さん(M・ナトウィック)に貰ったドレスを着るタミー

人々はタミーの素晴らしいスピーチに感動する

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猛烈な嵐でピーターのトマト畑が壊滅してしまう

タミーの気持ちを考えなさいとピーターに諭すレニー叔母さん

 タミーが憧れる年上の男性ピーター役を演じているのは、2枚目スター時代のレスリー・ニールセン。当時まだ31歳という若さで、ちょっとお茶目でスマートなインテリ・ハンサムぶりを披露している。2枚目過ぎないという点も含めて、デビー・レイノルズとの相性はバッチリだ。
 そのピーターの母親ブレント夫人役で登場するのが、あの名作『キング・コング』(33)や『肉の蝋人形』(33)などでヒロインを演じ、元祖スクリーム・クィーンと呼ばれた往年のトップ女優フェイ・レイ。単なる憎まれ役ではなく、内面の孤独や弱さを取り繕うために強い仮面をかぶっている女性の複雑な心境を的確に演じている。
 その夫であるブレント教授役には『犯罪王リコ』(30)や『白昼の決闘』(47)、『ローズマリーの赤ちゃん』(68)などで知られる名脇役シドニー・ブラックマー。タミーのグランパ役には、ジョン・フォード作品をはじめとする西部劇の名物俳優として名高いウォルター・ブレナン。
 そんな名優揃いの脇役の中でも特に目立っているのが、タミーに深い理解を示す自由奔放な中年女性レニー叔母さん役を演じているミルドレッド・ナトウィックだ。『裸足で散歩』(67)でオスカーにノミネートされ、ジョン・フォード監督の『黄色いリボン』(47)や『静かなる男』(52)、ヒッチコックの『ハリーの災難』(55)、スティーブン・フリアーズの『危険な関係』(88)など数多くの名作に出演した名女優。人間味溢れる存在感は、画面に出てくるだけで独特の輝きを放つ。なんとも味わい深い女優さんだ。
 そのほか、『シラノ・ド・ベルジュラク』(50)のロクサーヌ役で脚光を浴びた美人女優マラ・パワーズ、『地上より永遠に』(53)でデボラ・カーの夫役を演じていたフィリップ・オーバー、『四十二番街』(33)や『模倣の人生』(34)など数多くの名作でメイド役などを演じ続けた有名な黒人女優ルイーズ・ビーヴァーが脇を固めている。

 

 

Tammy Tell Me True (1961)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2008 Universal Studios (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:英語・フランス語/地域コード:1/97分
/製作:アメリカ
※劇場版シリーズ3作収録

特典映像
なし
監督:ハリー・ケラー
製作:ロス・ハンター
原作:シド・リケッツ・サムナー
脚本:オスカー・ブロドニー
撮影:クリフォード・スタイン
音楽:パーシー・フェイス
出演:サンドラ・ディー
   ジョン・ギャヴィン
   ボーラ・ボンディ
   チャールズ・ドレイク
   ヴァージニア・グレイ
   ジュリア・ミード
   セシル・ケラウェイ
   エドガー・ブキャナン
   ジジ・ペロー
   フアニタ・ムーア

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ピーターからの連絡を待ち続けるタミー(S・ディー)

大学へ通うためにボートハウスごと引越しする

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一張羅のドレスに着替えて大学へやって来たタミー

若くてハンサムな大学講師トーマス(J・ギャヴィン)と知り合う

 当時人気絶頂だった60年代を代表するスーパー・アイドル、サンドラ・ディーを主演に迎え、装いも新たに登場したシリーズ第2弾。純朴な田舎娘タミーが今度は女子大生となり、都会で忙しい毎日を送る現代人や若者たちに心の豊かさを教えていくというお話だ。
 自分も教養を身につけてピーターに相応しい女性になろうと決心したタミーは、都会の大学へ特別受講生として入学する。まるで南北戦争の時代からタイムスリップしてきたようなタミーを小バカにする学生たち、その破天荒な言動に眉をひそめる大人たち。そんな中で、彼女はコール夫人という孤独な老女と知り合う。
 一人息子を交通事故で失い、世間から堅く心を閉してしまったコール夫人だったが、ボートハウスで自然と戯れながら暮らすタミーとの交流の中で、徐々に明るさと生きる希望を見出していく。だが、財産を狙う強欲な姪がコール夫人を痴呆症扱いし、味方をするタミーが誘拐犯として逮捕されてしまう。果たして、彼女はこの危機をどうやって乗り越えていくのか・・・?
 もちろん、それと並行してタミーの新しいロマンスも描かれていく。お相手は大学でスピーチを教える若手講師トーマス。彼は今どき珍しいくらいに純朴で素直なタミーの魅力に惹かれ、タミーも教養があって頼もしい彼に淡い恋心を抱いていく。でも、自分が好きなのはピーターじゃないのか?それとも、トーマスへの気持ちが本当の愛なのか?初心なタミーは戸惑いながらも、人を愛することの意味を探っていく。
 アイドル女優サンドラ・ディーを看板にしたスター映画ということもあってか、前作よりも幾分ライトな印象を受ける本作。よりポップで青春映画的な色合いが強くなっていると言えよう。それでも、物語の基本である温故知新的な魅力はしっかりと踏襲されており、いろいろな面で共感出来る部分が多い作品だ。
 また、タミーと年齢が近いということもあってか、演じるサンドラ・ディーがこれ以上ないくらいのはまり役。無邪気で愛くるしい笑顔と生き生きとした元気の良さは、まさにこれぞタミー!といった感じだ。

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若い学生たちの流行語やファッションに面食らうタミー

ジェンクス校長(V・グレイ)はタミーの入学を認めてくれた

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コール夫人の邸宅に裸足で乗り込むタミー

コール夫人(B・ボンディ)は頑固で気難しい女性だった

 遠くの大学へ行ったまま音沙汰のないピーターを待つタミー(サンドラ・ディー)。自分も教養を身につければ、ピーターからも一人前のレディとして扱ってもらえる。そう考えたタミーは、都会へ出て大学に通うことを決意する。
 ひとまず実家のボートハウスへと戻った彼女は、服役しているグランパの親友キャプテン・ジョー(セシル・ケラウェイ)の協力でボートハウスごとお引越し。朝一番でセミノラ大学へと向かう。まだ開校前だったことから公園で時間をつぶしていると、若くてハンサムな男性が声をかけてきた。
 彼の名前はトーマス・フリーマン(ジョン・ギャヴィン)。セミノラ大学でスピーチを教えている講師だった。その知的で流暢な喋り方に感銘を受けたタミーは、是非ともスピーチの授業を受講したいと考える。トーマスも、タミーの古典的だが人をひきつける力のある喋りに強い興味を持つ。
 大学のジェンクス学長(ヴァージニア・グレイ)は上品で落ち着いた女性だった。タミーの聡明さと熱心な気持ちに特別なものを感じたジェンクス学長は、特別受講生として彼女を受け入れることにする。一方、タミーはどこか寂しげなジェンクス学長の表情が気になった。
 晴れて女子大生となったタミーだが、勉強するにはお金が必要だ。そこで、彼女はトーマスの紹介でコール夫人(ボーラ・ボンディ)という老女の世話役のアルバイトをするべく、面接に向かった。しかし、対応に出たコール夫人の姪スザンヌ(ジュリア・ミード)は思ったことを口にするタミーの素直さを誤解し、怒って追い返してしまう。それでも諦めきれないタミーは庭の大木から家の中へと侵入。庭先で編み物をするコール夫人に直談判しようと試みる。
 コール夫人は無愛想で気難しい老女だった。しかし、タミーがボートハウスで暮らしていることを知って彼女に興味を持つ。というのも、少女時代に叔父の所有する豪華なボートハウスで過ごした夏休みが、コール夫人にとって人生で最も幸福な思い出だったからだ。
 スザンヌが仕事で1ヶ月間留守にすることもあって、タミーのボートハウスに移り住むことを決めたコール夫人。意地悪なスザンヌに言えば猛反対されることから、彼女は周囲に秘密で家を抜け出した。
 かくして、ボートハウスで一緒に暮らすこととなったタミーとコール夫人。子供の頃の純粋な気持ちを思い出したコール夫人は、みるみるうちに明るく元気になっていく。実は、彼女には一人息子がいた。重苦しい上流階級の生活の中で、息子だけが彼女にとって唯一の生きがいだったが、学生時代に交通事故で死んでしまったのだ。それ以来、コール夫人は周囲から堅く心を閉してしまい、偏屈で気難しい老女になってしまったのである。純粋で素直なタミーと接することによって、彼女は忘れかけていた少女時代の気持ちを取り戻していったのだ。
 一方、学校でのタミーは悪戦苦闘の毎日。その時代遅れな言動で学生たちからはバカにされ、授業についていくのもやっと。何度も挫けそうになるが、トーマスの応援と支えもあってなんとか乗り越えていた。
 ベビーシッターの仕事でアルバイトも初体験。生まれて初めてテレビの存在を知って興奮する彼女を、トーマスは微笑ましく感じる。そんな彼に親しみ以上のものを感じるようになったタミー。だが、自分にはピートがいる。トーマスにこんな気持ちを抱くのは罪?戸惑う彼女をコール夫人は優しく応援するのだった。
 だがその頃、スザンヌはトーマス夫人の行方を捜していた。あのいまいましい婆さんは、どこまで手を焼かせるつもりだ。彼女はコール夫人の安全よりも財産の方を心配していた。一刻も早く探し出して、自分が財産を管理しなくてはいけない。彼女は弁護士を通じて警察に通報する。
 さて、ようやくクラスメートたちとも心が通い合うようになったタミー。ジェンクス学長と夫ビューフォード(チャールズ・ドレイク)のすれ違い解消にも一役買った。人々はタミーの前向きな明るさのおかげで、様々なことを学ばせられたのだった。
 ところが、タミーがコール夫人からプレゼントされたネックレスをスザンヌが見つけてしまい、タミーは誘拐の容疑で逮捕されてしまう。さらに、スザンヌはコール夫人が痴呆症で財産などの管理能力がないとして裁判所へ訴え出た。果たして、タミーとコール夫人の運命やいかに・・・!?

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タミーとの共同生活で明るさを取り戻すコール夫人

生まれて初めてベビーシッターのバイトを経験したタミー

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コール夫人の行方を捜す強欲な姪スザンヌ(J・ミード)

キャプテン・ジョー(C・ケラウェイ)とも意気投合したコール夫人

 脚本は前作に引き続いてオスカー・ブロドニーが担当。タミーがテレビのCMで見た映像を真に受けて、人間の体内がチューブで出来ていると信じ込んでしまったり、クラスメートの若者言葉が分らずにチンプンカンプンな受け答えをしてしまったりなどの微笑ましいジョークを全編に盛り込み、前作よりもさらにコミカルな要素を強調している。ピーターとフランクそれぞれに対する自分の気持ちを比較するため、タミーがフランクにキスをおねだりするシーンも微笑ましい。
 撮影を手掛けたクリフォード・スタインは、『宇宙水爆戦』(54)や『縮みゆく人間』(57)などのSF映画で知られるカメラマン。そのほか、『月蒼くして』(53)でオスカー候補になったオットー・ルドウィッグが編集、『アラバマ物語』(62)などで3度のオスカー受賞経験のあるアレクサンダー・ゴリッツェンが美術監督を、『野郎どもと女たち』(55)などで9度のオスカー候補経験のあるハワード・ブリストルがセット装飾を手掛けている。
 なお、全米ナンバー・ワンを獲得した『避暑地の出来事のテーマ』が日本でもお馴染みのパーシー・フェイス・オーケストラのパーシー・フェイスが音楽スコアを担当。イージー・リスニング界では大物の彼だが、映画音楽の作曲を担当したのはこれが初めてのことで、他に手掛けた作品も数少ない。

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フランクに淡い恋心を抱き始めたタミー

自分の気持ちを確認するためキスをおねだりするタミー

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ジェンクス学長の夫(C・ドレイク)に夫婦愛の大切さを諭すタミー

コール夫人を誘拐したとして逮捕されてしまったタミー

 今回タミーが恋に落ちる年上の男性トーマス役を演じているのは、『スパルタカス』(60)のジュリアス・シーザー役で知られるジョン・ギャヴィン。第2のロック・ハドソンとしてMGMから売り出された2枚目スターで、後のレーガン大統領時代に政治家へ転身して在メキシコのアメリカ大使となった人物だ。
 一方、タミーと心を通わせる老女コール夫人を演じるのは、『スミス都へ行く』(38)や『素晴らしき哉、人生!』(46)でジェームズ・スチュワートの母親役を演じた名脇役女優ボーラ・ボンディ。ハリウッド黄金期の名作には欠かせないお婆ちゃん役女優だ。
 さらに、グランパの親友キャプテン・ジョー役として、『幸福の森』(48)と『招かれざる客』(67)でオスカー候補になった名優セシル・ケラウェイ。飄々とした好々爺を演じさせたら天下一品の名優で、コール夫人とキャプテン・ジョーが親しくなるシーンでのボーラ・ボンディとのコンビネーションは抜群だった。
 そのほか、西部劇の相棒役として親しまれたチャールズ・ドレイク、40年代のグラマー女優ヴァージニア・グレイ、テレビ『エド・サリヴァン・ショー』のアシスタント役だったジュリア・ミード、40年代に人気子役スターとして活躍したジジ・ペロー、『哀しみは空の彼方に』(59)でオスカー候補になった黒人女優フアニタ・ムーア、60年代にアメリカで一世を風靡したテレビドラマ『ペチコート作戦』で有名なエドガー・ブキャナンなどが脇を固めている。

 

 

タミーとドクター
Tammy and the Doctor (1963)

日本では1963年劇場公開
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2008 Universal Studios (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:英語・フランス語/地域コード:1/88分
/製作:アメリカ
※劇場版シリーズ3作収録

特典映像
オリジナル劇場予告編
監督:ハリー・ケラー
製作:ロス・ハンター
原作:シド・リケッツ・サムナー
脚本:オスカー・ブロドニー
撮影:ラッセル・メティ
音楽:フランク・スキナー
出演:サンドラ・ディー
   ピーター・フォンダ
   マクドナルド・ケリー
   ボーラ・ボンディ
   マーガレット・リンゼイ
   レジナルド・オーウェン
   アリス・ピアース
   アダム・ウェスト

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女子大生として充実した毎日を送るタミー(S・ディー)

コール夫人(B・ボンディ)が倒れてしまった

 前作で女子大生となったタミーだが、この第3弾ではなんとナースに挑戦。慣れない仕事に悪戦苦闘しながらも、将来有望だがシャイで奥手な青年ドクターと恋に落ちるというお話だ。
 コール夫人が心臓の病気で倒れてしまったことから、入院先のロサンゼルスへ同行することとなったタミー。病院に付添い人用の宿泊施設がないため、臨時職員のナースとして泊り込みで働くこととなる。そこで出会ったのが、若手の心臓外科医マーク。彼は子供のように純粋で明るいタミーに惹かれ、勇気をふり絞ってデートに誘う。しかし、恋愛にかまけて仕事がおろそかになってしまった。シャイで不器用な彼は、恋愛と仕事のどちらを選ぶか思い悩むようになる。
 一方のタミーは患者受けだけは良いものの、いざ仕事となると誰も想像しなかったような大失敗を繰り返す毎日。そのたびに掃除係へ格下げされてしまい、仲間のナースたちからは嘲笑の的となってしまう。さらに、今や肉親も同然となったコール夫人の容態が悪化し、命を落とす危険もある手術に臨まねばならなくなる。
 かくして様々な問題を抱えたタミーとマークだが、果たして二人はめでたく結ばれることが出来るのか・・・!?というのが、今回の大まかな粗筋である。前作以上にロマンティック・コメディ色が強くなり、まるでドリス・デイ&ロック・ハドソンのコンビ作のティーン版といった按配。主な舞台も大都会ロサンゼルスへと移ってしまったこともあり、別にタミー・シリーズでなくてもいいような感じの作品になってしまった。
 とはいえ、サンドラ・ディーは相変わらずお茶目でキュートだし、60'sファッションを散りばめたカラフルな映像もお洒落だ。確かに普通のラブコメになってしまったのはちょっと残念だけど、これはこれで十分に楽しめる出来栄え。60年代の青春ドラマが好きな映画ファンにはおススメの1本である。

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ベントリー医師(M・ケリー)の診察によると重い心臓病だという

コール夫人に付き添ってロサンゼルスへやって来たタミー

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タミーに好感を持ったヘッド・ナースのコールマン(M・リンゼイ)

先輩バクスター(A・ピアース)もタミーに親切だった

 セミノラ大学の学生として充実した毎日を送るタミー(S・ディー)。ところが、一緒に暮らすようになったコール夫人(B・ボンディ)が発作を起こして倒れてしまった。アメリカ有数の心臓病専門医ベントリー(マクドナルド・ケリー)が診察したところ、コール夫人は重い心臓病だという。体力の回復を待ってすぐに手術をしなくてはならない。
 かくして、コール夫人はロサンゼルスの病院へ移されることとなった。夫人のことが心配で気が気ではないタミーも同行することにする。ベントリー医師も、タミーの前向きな明るさがコール夫人に良い影響を与えていると感じていた。
 生まれて初めて乗る飛行機に大興奮し、無数の車が行き交うロサンゼルスの交通事情を目の当たりにして圧倒されるタミー。なにもかもが現実のものとは思えなかった。だが、病院では付き添いの彼女が泊まれるような場所がない。そこで、ベントリー医師の取り計らいでタミーは病院の臨時ナースとして働くこととなった。ヘッド・ナースのミス・コールマン(マーガレット・リンゼイ)も、タフで元気なタミーのことをすっかり気に入ったようだった。
 オールド・ミスの先輩ナース、バクスター(アリス・ピアース)もタミーを娘のように可愛がり、なにかと親切にアドバイスをしてくれる。しかし、同僚の若手ナースたちは雑草を薬だといって持ち歩くタミーのことを田舎者扱いし、目の前で露骨に嘲笑してみせるのだった。
 前途多難のタミーだったが、マーク(ピーター・フォンダ)という若手ドクターと親しくなる。マークは心臓外科のインターンで、ベントリー医師の愛弟子。彼は同僚の軟派医師エリック(アダム・ウェスト)がタミーを誘惑しているのを見かね、勇気を振り絞ってデートに誘う。シャイで奥手なマークには初めての経験だった。
 大学講師トーマスとは中途半端な関係だが、それでも別の男性とデートしていいものかどうか悩むタミー。そんな彼女に、いろんな男性と付き合って比較してみたいと、本当に誰が好きなのかなんて分りはしないと、コール夫人がアドバイスをする。
 こうしてマークとデートを重ねるようになったタミー。患者の扱い方が上手い彼女は、ナースたちから嫌われている頑固でわがままな金持ち老人トリップ氏(レジナルド・オーウェン)のことも上手くてなづけ、先輩バクスターを感心させた。トリップ氏はコール夫人とも仲良くなり、手術を控えた緊張感を和らげてくれる。
 とはいえ、そんなタミーも患者の世話以外の仕事はからっきしダメ。みんなが当たり前のことだと思っている常識を知らないため、次から次へととんでもない珍騒動を起こしてしまう。そのたびに掃除係へと格下げされ、同僚ナースたちからはますますバカにされる毎日だった。
 さらに、いい感じになっていたマークが次第に疎遠となっていった。というのも、恋愛にかまけて仕事をおろそかにしがちだとベントリー医師に注意されたのである。“マークは仕事だけでなくプライベートまで恩師の真似をしようとしている”というトリップ氏の言葉を聞いたタミーは、ふとひらめいた名案を行動に移す。
 というのも、ベントリー医師とミス・コールマンはかつて恋愛関係にあったが、ベントリー医師は恋愛よりも仕事を選んでしまったのだ。それでもミス・コールマンはいまだにベントリー医師のことを愛しており、その気持ちを胸に秘めたまま彼の仕事を支えている。タミーは本音をぶつけたほうがいい、そうでないと一生後悔することになるから、とミス・コールマンに助言をする。二人がめでたく結ばれれば、マークも考えを改めるだろうと思ったのだ。しかし、これは大きな間違いだった。
 その直後にコール夫人の容態が悪化し、一両日中にも手術が必要との判断が下された。ところが、執刀するベントリー医師になくてはならない助手、ミス・コールマンがいなくなってしまった。ベントリー医師への報われない愛を悲観して、誰にも別れを告げず病院を辞めてしまったのである。
 今回のような大手術にミス・コールマンは必要不可欠。自らが捲いた種だと痛感したタミーは、なんとか病院へ戻ってもらうべく説得するため、ミス・コールマンの自宅を訪れるのだったが・・・。

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青年医師マーク(P・フォンダ)にデートへ誘われたタミー

偏屈な金持ち老人トリップ氏(R・オーウェン)とも仲良しに

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シャイで奥手なマークにヤキモキするタミー

やっぱり比べてみなくちゃ、とキスをおねだり

 前作に引き続いて演出を担当したハリー・ケラー監督は、もともと編集マンだった人物。50年代からユニヴァーサルの低予算専門監督して活躍し、主にB級西部劇やコメディなどを手掛けた職人だった。いわゆる名作とは無縁だった人だが、業界では手堅い演出家として定評があり、大作映画の補足撮影などを任されることもあったようだ。
 脚本は今回もオスカー・ブロドニーが担当。その他のスタッフも、前作から引き続き参加したメンバーが多い。また、音楽スコアには1作目のフランク・スキナーが6年ぶりでシリーズ復活を果たしている。
 今回が初参加となるのは、まず撮影監督のラッセル・メティ。『スパルタカス』(60)でオスカーを受賞したほか、『赤ちゃん教育』(38)や『暴れ者』(48)、『風と共に散る』(56)、『黒い罠』(58)など数多くの名作・ヒット作を手掛けた大物カメラマンだ。また、編集には『魔人ドラキュラ』(31)や『倫敦の人狼』(35)などのユニヴァーサル・ホラーで知られるミルトン・カールースが参加している。
 なお、本作では1作目の主題歌だった“Tammy”が、サンドラ・ディーの歌唱によって復活。こちらもなかなかキュートでよろしい。

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常識が通用しないタミーは次々と珍騒動を巻き起こす

掃除係に格下げされたタミーを嘲笑うナースたち

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コール夫人の容態が急速に悪化していることを知らされる

心配するタミーを逆に励ますコール夫人

 そして、今回タミーの相手役を務めるのは、当時まだ23歳だったピーター・フォンダ。そう、ヘンリー・フォンダの息子にしてジェーン・フォンダの弟である。『イージー・ライダー』(69)の頃とはうって変わって、当時はまだクリーン・カットの品行方正なお坊ちゃまスターといった感じだ。
 タミーにとってお婆ちゃん代わりとなったコール夫人には、前作と同じくベテラン名女優ボーラ・ボンディが再登板。そのコール夫人とプラトニック・ラブを育む偏屈な金持ち老人トリップ氏には、『秘密の花園』(49)や『メリー・ポピンズ』(64)などの名作でお馴染みの名優レジナルド・オーウェンが扮している。
 さらに、40年代にB級西部劇のヒーローとして活躍したマクドナルド・ケリーがベントリー医師役、30年代にジェームズ・キャグニーの相手役として数多くのギャング映画に主演した美人女優マーガレット・リンゼイがミセス・コールマン役として登場。
 そのほか、『奥さまは魔女』の初代グラディスさん役として有名なアリス・ピアース、テレビ版『バットマン』のバットマン役として一世を風靡したアダム・ウェスト、ハル・アシュビー監督の奥様としても知られる女優ジョーン・マーシャルなどが出演している。

 

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