世界の国のおかしな映画 パート1

 

 今でこそ、インターネットや衛星放送などの通信手段が発達し、世界中でほぼ同時に情報が共有できるようになったおかげで、文化的なトレンドに国境というのが無いに等しくなった。しかし、昔はトレンドの伝達が今に比べるとかなり遅く、しかもその過程で様々な変化が加えられて奇妙なものが出来上がってしまう事も少なくなかったように思う。特にアジアや中近東などでは、1960年代末頃から80年代くらいにかけて、西欧文化を独自に解釈した悪趣味な映画や音楽が大量に作られたものだった。それはそれぞれの国の伝統文化の中に、何とか西欧的なトレンド・スタイルを取り入れようとした結果だったのかもしれない。また、今ほど世界が豊かではなかった時代。少ない予算で取り組まざるを得なかったゆえの、苦肉の策だったとも言えるだろう。そうした、大衆文化が洗練されていなかった時代の奇妙な映画というのは、今見ると当時とは全く違った意味で新鮮で面白かったりする。ということで、今回はそんな世界の国のおかしな映画を幾つか紹介してみたい。

 

Purana Mandir (1984)
インド映画

 

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超強面の悪魔サームリ

サームリの呪いじゃ〜

廃墟の寺院はお約束!

黄金の仏像がまぶしっ!

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パパ怒らないでねっ・・・

ヒロイン役のアルティ・グプタ

濃いぞ!ムーニッシュ・バール

これもサームリの呪いじゃ〜

 インド産のホラー映画。そもそも、インドのホラー映画というもの自体が日本には殆ど入ってきていないので、そんなもんがあったのか!?と意外に思う人も多いかもしれないが、実はインドではこれまでに2回ほどホラー映画のブームが起きている。まずは1970年代初頭から半ばにかけて。ラムサイ兄弟の作った“Do Gaz Zameen Ke Neeche(地下2ヤード)”('72)や“Andhera(暗闇)”('75)といった作品がヒットしてホラー映画が人気を集めたが、西欧的な残酷描写が当時のインド映画の倫理基準に合わず、幾つかの作品が上映禁止の憂き目にあったことから短命に終わってしまったという。そして、1984年に製作されたラムセイ兄弟による“Purana Mandir(古い寺院)”の大ヒットを機に訪れたのが、インドにおける第2期ホラー・ブーム。この頃にはインド映画界の倫理基準も変化しており、大胆な残酷描写や性描写も許されるようになっていた。翌年にはモハン・バークリ監督の“Cheekh(悲鳴)”もヒットし、インドでは90年代半ばまで数多くのホラー映画が作られるようになったのだった。中でも、ラムポガル・ヴァルマ監督の“Raat(評判)”('92)やモハン・バークリ監督の“Khooni Mahal”('87)は名作として知られている。
 もともと、インド映画というのはジャンルでカテゴライズするのが非常に難しい世界。日本でも大ヒットした「ムトゥー踊るマハラジャ」を例に出すまでもなく、アクション、ロマンス、サスペンス、ミュージカルなど様々な要素をてんこ盛りにして出すのがインド映画の伝統流儀。なんでもアリなのが基本ゆえに、特定のジャンル映画というのが発達しにくい環境にあると言えるだろう。なので、ホラー映画ブームといっても、それほど大いに盛り上がったというわけでもなかったらしい。それにホラーといってもそこはインド映画。歌あり踊りありアクションありというのはお約束で、我々の考えるホラー映画の概念を覆す奇想天外なエンターテインメントが満載だ。

 で、この“Purana Mandir”。先述したように、第2期ホラー映画ブームのきっかけとなった映画で、インド・ホラーの傑作として名高い作品。監督はインド・ホラーの立役者ラムサイ兄弟。ラムサイ兄弟というのは、トゥルシとシャームの二人を中心に、クマール、ケシュー、ガング、レシュマ、キランの7人兄弟で構成されており、作品によって関わる面子が変る。いわば、インドのホラー映画ファクトリー的な存在のファミリーと言える。
 物語は18世紀末のインドに始まる。罪なき人々を襲っては食い殺す悪魔サームリ(アジャイ・アガルワル)が、討伐隊によって生け捕りにされる。王はサームリを斬首刑に処し、その首を寺院の壁の裏に隠された部屋に封印する。しかし、サームリは処刑される際に、王の一族に呪いをかけていた。時は移って現代。プールで出会った大富豪の美しい娘スマン(アルティ・グプタ)と貧しい好青年サンジャイ(ムーニッシュ・バール)が恋に落ちる。しかし、スマンの父親は二人の恋愛に猛反対し、言う事を聞かないサンジャイにヤクザを差し向ける。実は、スマンは悪魔サームリを殺した王の末裔で、一族の女性は子供を出産すると怪物のような姿になって死んでしまうのだった。それゆえに、何としてでも娘を結婚させてはならないと考える父親。そんな一族の呪いを知ったスマンとサンジャイは、サンジャイの親友アナンド(プニート・イッサール)と恋人ドゥルジャン(サダシヴ・アムラプルカール)を連れて、一族ゆかりの寺院へと向かう。そこで呪いを解く鍵を探る彼らだったが、図らずも悪魔サームリを復活させてしまうことに・・・。
 映像的にはハマー・ホラーの影響が非常に濃厚で、なかなかショッキングな残酷シーンも随所に見られる。伝奇ホラー的な要素もアジア映画らしくて、なかなかいい雰囲気。突如として演歌のプロモーション・ビデオみたいに海を背景にしてサンジャイがスマンへの愛をバラードに託して歌いだしたり、干草の上でいちゃついていたアナンドとドゥルジャンがいきなり歌とダンスを繰り広げたりと、ミュージカル・パートも随所にあるものの、意外に控え気味。ただし、スマンとサンジャイがデートに選んだナイト・クラブ(というよりも、ほとんどショー・パブ)で繰り広げられるセクシー・ダンス・ショー(笑)は、実にシュールで悪趣味でインパクト強烈。まさにボリウッド・ディスコ!
 その他、サンジャイとアナンドがブルース・リーばりのカンフー・アクションを見せたり、剣劇アクションが繰り広げられたりと、インド映画らしいごった煮感は結構クセになる。スマンとサンジャイの許されぬ愛というのもメロドラマ・テイストたっぷりで、まるで昼メロを見ているような泥臭さ。なんじゃこれ・・・?と戸惑うのも最初のうちだけ。慣れてくると止められなくなってしまう、まさにジャンク・フード的なエンターテインメントと言えるだろう。

 

Bandh Darwaza (1990)
インド映画

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インド版ドラキュラ、ネオーラ

ネオーラ復活!

主人公サプナ(左)とクマール(右)

エアロビック・ダンシン!

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そして恋人たちは歌う!踊る!

とにかく、ひたすら歌う!踊る!

意外にお茶目な魔神像

黒魔術の儀式

 

 こちらはインド・ホラー映画ブーム末期にラムサイ兄弟が発表した作品。タイトルの意味は“閉ざされた扉”。上記の“Purana Mandir”と比べると、明らかに80年代以降の欧米ホラー映画の影響を受けていることが分かる。BGMは完全に「13日の金曜日」だし、特殊メイクはまるで「デモンズ」だし。全体的なセット・デザインやライティングなんかも、イタリアン・ホラーやアメリカのB級ホラーに近い雰囲気。さらにミュージカル・シーンもパワー・アップしていて、クレーン・カメラを駆使したダイナミックな歌と踊りを見せてくれる。
 子宝に恵まれずに悩んでいる大地主タクール(ヴィジャエンドラ・ガートゲ)。使い物にならない嫁を追い出して、他の女と結婚しろという姑の言葉を耳にして涙する妻に、召使の女が囁く。山奥に住む魔人ネオーラ様が解決してくれると。このネオーラ(アジャイ・アガルワル)というのは実は吸血鬼で、夜な夜な民家を襲っては人々の血を吸っていた。どうしても子供の欲しいタクールの妻は、ネオーラの魔術に頼る。ただし、これには一つ条件があった。生まれたのが息子だったら問題ないが、もし娘だったらネオーラに差し出さねばならない。そして、案の定生まれたのは娘だった。ようやく授かった子宝をネオーラに差し出すことを拒絶した妻は殺され、事の真相を知ったタクールはネオーラの棲む寺院カリ・パハーリを部下と共に襲撃。ネオーラは復讐の言葉を叫びながら、タクールに殺される。
 それから約20年後。タクールは、すっかり年頃に成長した娘カミア(クニカ)と共に暮らしている。カミアは男友達のクマール(ハシュマット・カーン)を秘かに愛しているが、クマールにはサプナ(マンジート・クラール)という恋人がいた。嫉妬を抑えられないカミアの前に現れる謎の女性。彼女の誘いで、カミアは黒魔術の世界に。悪魔の力を借りてクマールを自分のものにしようというのだ。そして、黒魔術の儀式で彼女はネオーラを甦らせてしまう。ネオーラの虜となったカミアを救うべく、クマールとサプナは寺院カリ・バハーリを訪れるのだが・・・。
 ということで、“Purana Mandir”の悪魔サームリ以上にパワフルな吸血鬼ネオーラの存在が何といってもインパクト強烈。特殊メイク技術が向上しているせいもあるかもしれないが、フレディやジェイソンに負けないくらいに強烈な個性を発揮している。
 そして随所に挿入されている歌とダンス。その唐突な始まり方、冗談としか思えないようなテンションの高さ、大仰な振り付けは文句なしに面白い。別々の部屋で窓の外を見つめる男女。たった今ケンカしたばかりだ。突然、女がカメラ目線でウィンクしかたと思うと、エキゾチックなリズムに腰をフリフリ。まるでアステア&ロジャースのように男女は歌い、舞い踊り、しまいには雨の降りしきる外でびしょ濡れになりながら踊り狂う。やっぱりあなたを愛してるわ!って。その場違いなゴージャス感は抱腹絶倒間違いなし。もちろん、作ってる方は大真面目だろうけど。ホラー映画として云々言う以前に、映画作品としての大胆な離れ業に度肝を抜かれる。ネオーラの手先となったカミアが繰り広げるお色気ダンスも、ほとんどカトちゃんの“ちょっとだけよん♡”と同じレベルなのは凄い。騙されたと思って一度は見て欲しい怪作である。
 90年代半ば以降はインドのホラー映画ブームも沈静化してしまい、ラムサイ兄弟も映画界の第一線から身を引いてしまったが、2003年には久々に“Dhund(霧)”を発表。こちらは「スクリーム」や「ラスト・サマー」の影響を受けたスラッシャー映画で、よりハリウッド・スタイルを意識した作品だった。もちろんお約束の歌とダンスも満載。しかし、再びホラー映画ブームを起すようなヒットには至らず、今のところこれがラムサイ兄弟最後の作品となっている。

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The Bollywood Horror Collection - Volume 1

(P)2006 Mondo Macabro (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤2枚組)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:ヒンドゥー語/字幕:英語/地域コード:ALL/145分・145分/製作:インド

収録作品
Bandh Darwaza (1990)
Purana Mandir (1984)

映像特典
ドキュメンタリー
関係者インタビュー集
予告編集
 ラムサイ兄弟の代表作2本を収録した2枚組セット。インド映画界は製作本数が桁違いに多いという事もあって、ネガ・フィルムの保存などはいい加減だったようです。この2本も保存状態はあまり良くないですね。ただテレシネは丁寧にされているようで、フィルムの傷や部分的な退色以外は予想外にキレイです。

 

Yilmayan Seytan (1973)
トルコ映画

 

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主演のキュント・トゥルガール

我らがヒーロー、コッパーヘッド

悪の化身ドクター・サタン!

恐るべし?殺人ロボットだ!

 

 ここ数年、欧米の映画マニアの間で注目を集めているのがトルコ映画。日本でトルコ映画というと「路」('82)なんかのユルマズ・ギュネイ監督が有名で、どうもお堅い芸術映画・政治映画という印象が強いのだが、実は60年代から70年代にかけて大量の大衆娯楽映画が作られている。当時の経済の急激な高度成長を背景に、最盛期には年間300本以上も作られていたという、これらの大衆娯楽映画の醍醐味は、何といってもエロ・グロ・ナンセンス!この時代の悪趣味映画と言えば、イタリアやスペインのB級映画が有名だが、それ以上に露骨なバイオレンスとセックスをふんだんに盛り込んだトルコ映画の荒々しさは、今見ると衝撃的なくらいに魅力的だ。
 70年代後半にはTVに観客を完全に奪われてしまったトルコの大衆娯楽映画は、そのネガ・フィルムの大半が現存していない。保存する手間が面倒だったり、資源として再利用すればお金に換えられるということで、プロデューサーたちが次々とフィルムを破棄してしまったからだ。その結果、今ではビデオ・テープにダビングされるなどして残されていた一部の作品しか見ることが出来ず、それがより一層マニア心理をくすぐっているというワケだ。

 というわけで、この“Yilmayan Seytan”。直訳すると“不死身の悪魔”といったところか。主人公はテキン(キュント・トゥルガール)という平凡な若者。しかし、ある日彼は亡き父親がスーパー・ヒーロー、コッパーヘッドだったということを突然知らされ、父の遺志を継いでスーパー・ヒーローとなることを決意。世界中のロボットやコンピューターを支配しようと企むドクター・サタンの野望を阻止するべく立ち上がる!というわけだ。
 トルコは文化的にイタリアからの影響が強く、60年代にはイタリアのアダルト・コミックの影響を受けた覆面スーパー・ヒーロー物のコミックが大流行。その結果、映画界でも大量の覆面ヒーロー物が作られた。これも、その中の一本である。
 何よりも楽しいのは、この映画の底なしの低予算ぶり(笑)。「ロボコン」がハリウッド映画に見えてしまうくらいにチープなのだ。ヒーローのコッパーヘッドのコスチュームにしたって学芸会レベルだし、ドクター・サタンの操るロボットにしても小学生が作ったようなポンコツぶり。しかも、スイッチひねるだけで動くといういい加減さ。登場人物たちの行動といい、映画そのものの演出といい、とにかく能天気なくらいに大雑把なのだ。そうかと思えば、アクション・シーンはスタントなしで本気で殴りあったりしてるんで、ある意味迫力満点。アクション演出の技術がゼロな分だけ、生身で勝負というわけだ。その他、全く意味のない女性のお色気着替えシーンやシャーロック・ホームズもどきの相棒によるコテコテのギャグなど、全編を通じてバカ全開。ノリノリのグルーヴィーなサントラも含めて、70年代のエクスプロイテーション映画マニアには堪らない一本だ。

 

Tarkan Viking kani (1971)
トルコ映画

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我らがヒーロー、タルカン!

対するバイキング軍団

ニコニコ顔の巨大タコさん

復讐に燃える女戦士ヨンカ

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西大后も真っ青の極悪お姫様

アマゾネス軍団も大活躍!

セクシー度満点な殺しの舞

タルカンVSニコニコ巨大タコさん

 トルコのアダルト・コミック界で、覆面スーパー・ヒーローと並んで大人気だったのが伝説の英雄タルカン。で、そのタルカンを主人公にしたのが、この作品。訳して“タルカン対バイキング”。分かりやすい。
 舞台はタルカン(カルタル・チベット)の住む平和な小国。しかし、突然やってきたバイキング軍団に占拠され、群集と共に抵抗したタルカンは二匹の愛犬のうち一匹を殺された上に傷を負う。残された愛犬クルトと共に復讐を誓うタルカン。王様を巨大タコの生贄にしたバイキング軍団は、お姫様を人質にして城に立てこもる。一方、バイキング軍団には同じく誘拐されてきた中国のお姫様(エヴァ・ベンデル)がいるのだが、こちらはバイキングのリーダー、トラ(ビラル・インチ)と平気でねんごろになる策略家の悪女。秘かに後を追ってきた辮髪の手下たちを率いて、トラに反旗を翻す。さらに、トラに父親を殺されたバイキングのお姫様ヨンカ(ファトマ・ベルゲン)が復讐の鬼となって登場。バイキング軍団、チャイニーズ軍団、そしてヨンカ率いるアマゾネス軍団と結託したタルカンの、三つ巴の争いとなる。そして、バイキングが人質の女たちと酒池肉林の乱交パーティーを繰り広げる最中、機に乗じて城に乱入するアマゾネス軍団とタルカン。血と暴力とオッパイに彩られた殺戮が展開する・・・!?
 男女が公衆の面前で手をつないで歩くことすらご法度だった当時のトルコでは、ポルノやセックス産業も存在せず、映画の中で描かれるセックスが唯一のズリネタだったという。さらに、テレビが一般家庭に普及した事を脅威に感じた映画プロデューサーたちは、どんどんと過激な性描写を盛り込んでいった。もちろん、直接的なセックス・シーンは一切ない。ただ、どう見ても必然性がないだろう?というオッパイぽろりやら、半裸のキャットファイトやら、露出過多のダンス・シーンが次々と登場するのだ。本作でも、肌も露わな美女の逆さ吊り拷問シーンやら、わざわざストリップの如く衣服を脱いでいく中国姫の剣の舞など、サービス・ショットが盛り沢山。
 その他、カツラなのがバレバレのタルカンやバイキング軍団、何故かニコニコ顔のゴム製巨大タコなど、突っ込みどころが満載のおバカさんぶり。犬の吼える声なんて完全にアフレコがずれてるし(笑)。そんな作り手の適当さと、荒唐無稽なストーリーが世にも奇妙な笑いを巻き起こす、まさにクズ映画の鑑とも言える珍作。

 

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The Deathless Devil &
Tarkan Virsus The Vinkings

(P)2005 Mondo Macabro (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:トルコ語/字幕:英語/地域コード:ALL/84分・87分/製作:トルコ

収録作品
The Deathless Devil (1972)
Tarkan VS The Vikings (1971)

映像特典
ドキュメンタリー
解説
予告編
 オリジナル・ネガが破棄されてしまった為、古いポジ・フィルムからテレシネされたマスターを使用したDVD。なので、全体的にフィルムのキズやら退色やらが目立ちますが、どちらもこれ以外に見る事ができない作品なので仕方ないでしょう。特典のドキュメンタリーでは、さらにレアなアクション映画やヒーロー物のワン・シーンを沢山見る事が出来ます。普通の映画は見飽きた、という人は是非!

 

Seytan (1974)
トルコ映画

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あどけない少女ギュル

美しい女優の母親

太古の悪魔像とエクソシスト

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ここは・・・ワシントン!?

やっぱり首回ってま〜す!

カラス神父じゃないみたいです

 トルコ映画のもう一つの十八番が、実はハリウッド映画のバッタもの。そのものズバリの「ランボー」なんて映画もあったし、「スター・ウォーズ」やら「スーパーマン」やら、アメリカでヒットした映画はことごとく勝手に焼き直しされていた。あくまでもリメイクじゃないので、お間違えなく。勝手に似たようなものを作ってしまっただけ。中には「スター・トレック」と「ゴジラ」を合体させたというトンでもない映画も存在するらしいし。
 で、アメリカで「エクソシスト」が大ヒットした翌年、トルコで作られたのがこの“Seytan”。すばり“悪魔”という意味だ。「エクソシスト」のまがい物といえば、「レディ・イポリタの恋人 夢魔」や「デアボリカ」などイタリアでも大量に作られたが、この“Seytan”のある意味で偉大なところは、本家をまるまるコピーしてしまっているという点だろう。ストーリーの粗筋も、キャラクター設定も、各シーンの構図も全てオリジナルをそのまま再現。最大の違いは、制作費が本家の100分の1くらいしかないという点だろうか。巨匠の名画を小学生が丸写ししたような出来映えなのだ。
 冒頭の遺跡発掘現場のシーンから、主人公の少女が住む家の外にある階段、お馴染みの首回転やら緑の液体やら、全てが全て「エクソシスト」の完全コピー。よく訴えられなかったもんである。しかし、首回転シーンはダミー・ヘッドを作る予算も技術もないもんだから、見るからにハリボテの胴体の中で女の子がクルッと1回転するだけ。少女の姿に悪魔像がオーバー・ラップするシーンも、女の子の隣にマヌケな悪魔像をちょこんと置いて照明とスモークで誤魔化すという大胆不敵さ。唯一の長所は、女の子の母親役を演じる女優メラル・タイギュンが、「エクソシスト」のエレン・バースティンよりも遥かに美人というだけ。基本的にストーリーは全部分かっているんで、その演出や特殊効果のヘッポコぶりを堪能するだけで十分に楽しめる一本。素晴らしいくらいに下らない。

 

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Seytan

(P)2007 Substance (USA)
画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:トルコ語/字幕:英語/地域コード:ALL/101分/製作:トルコ

映像特典
なし
 明らかに使い古しのポジ・フィルムからテレシネされた一本。しかも、そのテレシネもいつの時代にやったのか?ってなくらいに、マスター・テープの歪みが顕著。まあ、当時のトルコ映画の大半が現存していないとはいえ、もうちょっとマシな素材は見つからなかったのでしょーか?辛うじて見れるというレベルです。そもそも、このメーカーそのものが、昔のVHSからマスターを起したようなDVDを幾つも出しているので、仕方ないといえば仕方ないかもしれません。

 

La Momia Azteca (1957)
La Maldicion De La Momia Azteca (1957)
La Momia Azteca Contra El Robot Humano (1958)

メキシコ映画

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意外に怖いアステカのミイラ

やっぱり不気味なアステカのミイラ

アルマーダ博士とフローラ

悪の化身クルップ博士

 最後に紹介するのが、メキシコの“アズテック・マミー・シリーズ”。アステカのピラミッドから出現したミイラを巡る怪奇冒険シリーズだ。メキシコには古くからホラー映画の歴史があり、50年代にはゴシック・ホラーの名作が数多く生み出されている。しかし、その一方でサントやミル・マスカラスといった人気覆面プロレスラーがバンパイアや怪獣と戦うヒーロー物や、このアズテック・マミー・シリーズのようなホラー・タッチの荒唐無稽な大衆娯楽映画も大量生産されてきた。ひとまず、メキシコのゴシック・ホラーに関しては別の機会にまとめて書くとして、今回はこのアズテック・マミー・シリーズをざっと紹介しておこう。
 まず基本的に、このシリーズではミイラはどちらかというと脇役扱いである。悪の権化はルイス・アセヴェス・カスタニェーダ扮するクルップ博士。博士とはいえ、その実態は古代アステカの財宝を狙うただのギャング団のリーダーだ。主人公は心理学者のアルマーダ博士(ラモン・ゲイ)とその恋人フローラ(ローザ・アレーナス)。
 1作目の“La Momia Azteca(アステカのミイラ)”では、催眠術によって前世が分かるという持論が学会で認められないことに悩むアルマーダ博士を助けようとフローラが実験台になることを志願。その結果、彼女の前世が古代アステカの巫女であることが分かる。しかも、兵士と道ならぬ恋に落ちたことから処刑され、相手の兵士もミイラとなって財宝を守っているという。そこで、アルマーダ博士とフローラ、その父親の考古学者セプルヴェダ博士らは、アステカの財宝を見つけるためにピラミッドへと向かう。しかし、そんな彼らをクルップ博士率いる盗賊団“バット”が付けねらい、さらにミイラの兵士ポポカが甦って彼らを襲う・・・。
 続く2作目の“La Maldicion De La Momia Azteca(アステカのミイラの呪い)”では、どこからともなく現れて弱き者を助ける覆面レスラー、エル・アンヘルが登場。クルップ博士は催眠術を使ってフローラを操り、アステカの財宝を探そうとするが、アルマーダ博士とエル・アンヘル、そしてミイラ兵士ポポカによって野望を阻止されてしまう。
 次の3作目“La Momia Azteca Contra El Robot(アステカのミイラ対人間ロボット)”は、上映時間65分のうち最初の30分くらいが前2作の回想シーン。で、無敵のミイラ兵士ポポカに対抗するために人間ロボット、つまりヒューマノイド(とはいえ、ハリボテのロボットの中に人間が入っただけ)を開発したクルップ博士が、再びフローラに催眠術をかけて財宝の在り処を探させるものの、肝心のロボットはあっさりとポポカに木っ端微塵にされ、遂にクルップ博士はポポカに殺される。

 まず、基本的にこのシリーズはホラー映画ではない。30年代から40年代にかけてアメリカで作られた「ゾロ」や「フラッシュ・ゴードン」のような連続活劇に怪奇的要素を加えただけのものと言えるだろう。ターゲットとする観客層も、恐らく小学生から中学生くらいの子供。ゆえに、お色気シーンもなければ、残酷シーンも一切ない。最大の見所はクルップ博士の陰謀を阻止しようと活躍する主人公たちの冒険譚と、アステカの財宝を守るミイラ兵士ポポカの存在だろう。このポポカ、残虐な事はしないものの、その姿は予想外に不気味で怖い。この特殊メイク・デザインだけは高く評価していいだろう。もちろん、アクションやギャグも満載なのだが、いかんせん少年向けなだけに健全すぎてしまって、個人的にはどうもイマイチ。ただ、当時のメキシコの子供たちがドキドキワクワクしながら見たであろうことは容易に想像が付くので、なかなか捨てがたいシリーズではある。
 ちなみに、3作目で一度シリーズは終了したものの、1964年に“Las Luchadroas Contra La Momia(女レスラー対ミイラ)”でシリーズが復活。1969年の“Las Luchadoras Contra El Robot Asesino(女レスラー対暗殺ロボット)まで通算7本のシリーズが作られている。

 

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The Aztec Mummy Collection

(P)2006 BCI Eclipse (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤3枚組)
モノクロ/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:スペイン語・英語/字幕:英語/地域コード:ALL/製作:メキシコ

収録作品
“La Momia Azteca”(1957)
“La Maldicion De La Momia Azteca”(1957)
“La Momia Azteca Contra El Robot Humano”(1958)

映像特典
ポスター&スチル・ギャラリー
 アズテック・マミー・シリーズの初期3作を集めたボックス・セット。画質的には、1作目と2作目は決して良いとは言えない代物で、パブリック・ドメインのマスターを使用しているんじゃないかという感じです。ただ、3作目は非常にキレイなマスターを使用しています。

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