ストップモーション・アニメに魅せられて
子供の頃から何故かストップモーション・アニメが好きである。いわゆる人形アニメと言われる類いのものだ。恐らく、ロシアで育った事も影響しているかもしれない。ロシアでは昔からストップモーション・アニメが非常に盛んで、テレビの子供向け番組では必ずと言って良いほど人形アニメを放送していた。動くはずのない人形が動き出す、そのファンタジックな世界に、幼いボクは魅了されていたのだ。
しかし、そもそも何故ロシアで人形アニメが盛んだったのか。人形を少しづつ動かしながら1コマ1コマ撮影していく人形アニメは、セル・アニメに比べて膨大な時間と制作費が必要とされる。収支のことを考えると、とても採算の合わないジャンルだと言えるだろう。しかし、映画やアニメーションを国家予算で製作するロシアや東欧では、その制作費や興行収入の心配をする必要がないために、数多くの優れた作品が生み出されたのだ。
しかも、ロシアではその映画史の上でも、一番最初に作られたアニメーションが人形アニメであり、その歴史と伝統は古い。そのロシアンの人形アニメのパイオニアがラディスラフ・スタレヴィッチ。帝政ロシアの時代に活躍したアニメーターであり、ロシアン・アニメのパイオニアというだけにとどまらず、世界的に見てもウィンザー・マッケイと並ぶアニメーションのパイオニアと呼べる人物だ。「カメラマンの復讐」('12)やフランス亡命後の「蛙の国」('23)なんかが有名だが、この人の作品はかなり好き嫌いが分れる。昆虫や爬虫類を擬人化して動かしているのだが、その造形があまりにもリアルで気味悪いのだ。バッタやトンボやカエルがそのまんまの姿で服を着て出てくるもんだから、かなりグロテスクでシュール。
その後、ロシアのファンタジー映画の巨匠と言われるアレクサンドル・プトゥシュコがストップモーション・アニメと実写を融合して、今で言うSFXの先駆けを実践するが、やはりロシアにおけるストップモーション・アニメ、人形アニメの魅力を最大限に伝えてくれるのはロマン・カチャーノフだろう。
日本でも「チェブラーシカ」や「ミトン」といった作品で絶大な人気を誇るカチャーノフの作品の魅力は、ロマンティックでファンタジックでありながら、人間の孤独や悲哀をさりげなく描く洒脱でリアルな語り口、そして繊細でキュートで洗練されたキャラクター造形にある。思わず抱きしめたくなるような愛らしくも切ない短編の数々は、ストップモーション・アニメの素晴らしさを最大限に伝えてくれる。
ロシアと並ぶストップモーション・アニメ大国がチェコ。やはり共産主義時代に、予算を惜しまずに数多くの秀作が作られている。チェコのストップモーション・アニメの特色は、そのダークなシュールさだ。その代表格がヤン・シュワンクマイエル。徹底的にダークで幻想的でグロテスクでブラックな彼の作品の数々は、抑圧された時代に生まれ育った彼の妄想を具現化したかのようなイメージに溢れており、不思議な魅力を放つ。操り人形からクレイ人形、さらにはレオナルド・ダ・ビンチのデッサン画まで、様々な人形や物を駆使した自由奔放さと、強迫観念にも似た抑圧感といった相反するものが同居するシュワンクマイエルの作品は、何故か非常にクセになる。
そんなシュワンクマイエルのシュールさを童話の挿絵のようなファンタジックな世界に置き換えたのがカレル・ゼーマンと言えるだろう。ただ、彼は純粋なアニメ作家というよりは、SFXマン的資質の持ち主であり、「悪魔の発明」('57)や「ほら男爵の冒険」('61)、「盗まれた飛行船」('66)など、実写とストップモーション・アニメを合成したファンタジー映画の数々で世界的に高い評価を得ている。
シュンワクマイエルの伝統を受け継ぐのがイジー・バルタ。シュワンクマイエル的なダークなシュールさに、独特の皮肉なユーモアセンスと繊細でファンタジックなイマジネーションを織り交ぜた作風は、ある種のロマンティシズムを醸し出しており、シュワンクマイエルとはまた違った前衛性を感じさせて面白い。
なお、シュワンクマイエルの強い影響を受けたアニメーターに、アメリカ出身でイギリスに拠点を置くブラザース・クエイ(クエイ兄弟)がいるが、彼らの極度にシュールで荒々しく実験性の強い作品世界は、ちょっと生理的に受け付けないものがある。というよりも、あえて見る人の神経を逆なでするようなグロテスクでフェティッシュな作品を作り続けていると言った方が正しいかもしれない。「ストリート・オブ・クロコダイル」や「ギルガメッシュ/小さなほうき」辺りは、日本のアート・アニメ・シーンでもかなりもてはやされたが、個人的には見ていて非常に居心地の悪い作品だった。
さてさて、チェコのストップモーション・アニメを語る上で忘れてならないのが、巨匠イジー・トルンカだろう。「チェコの古代伝説」('55)や「真夏の夜の夢」('59)といった長編の大作をものにした彼の作風は、壮大で風格と気品に満ちたもの。チェコの古典的な人形劇の伝統を受け継ぐ、国民性豊かな作家と言えるだろう。
そのトルンカの片腕だったのがブジェティスラフ・ポヤール。その繊細で幻想的でファンタジックで美しい作風は、ロシアのカチャーノフとはまた違った優しいロマンティシズムに溢れており、非常に魅力的。“プラハの春”を機にカナダに移ってから作った「ナイトエンジェル」は何度見ても心を奪われるメルヘンチックな美しい小品だ。
先述したように、ストップモーション・アニメは手間とお金がかかるために、旧共産圏以外ではなかなか発達しなかったのだが、そうした中でもロシア・東欧に引けを取らない作品を数多く生み出したのが、映画大国アメリカだ。映画の世界ではパペトゥーンのジョージ・パルが何と言っても有名だろう。木彫りの人形が自由自在に動くパルのパペトゥーンは、独特の可愛らしいキャラクター造形の魅力もあって、世界中に根強いファンを持つ。ただ、パルはそのパペトゥーンの技術を生かした実写特撮映画に傾倒して行き、パペトゥーンそのものの寿命は長くはなかった。
そもそも、アメリカでストップモーション・アニメは主に特撮の一部として使われる事が多く、クレイ・アニメのパイオニアであるウィリス・H・オブライエンの手掛けた「ロスト・ワールド」('25)や「キング・コング」('33)、そしてその弟子であるレイ・ハリーハウゼンによる「シンドバッド7回目の航海」('57)や「アルゴ探検隊の大冒険」('63)などで、その効果を発揮していたが、フル・アニメ作品として製作されることはなかなかなかった。
そうした中で、ストップモーション・アニメの宝庫となったのがテレビ。CMは勿論のこと、子供向けのテレビ番組で数多くのストップモーション・アニメの秀作が生み出された。その代表格がアーサー・ランキン・ジュニアとソール・バスのコンビ。「ピノキオの冒険」('60)や「怪物の狂宴」('67)といった人形アニメは、キュートでお洒落でファンタジック。それらの作品に大きな影響を受けたのがティム・バートンで、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」('93)や「ジャイアント・ピーチ」('96)といった作品が生み出されることになる。
その他、「ガンビー君」シリーズで日本でも大人気のアート・クローキー、クレイメーションの創始者ウィル・ヴィントンなどが知られる。
また、フランスでは長寿番組として長く愛された超キュートでシュールで楽しい「シャピ・シャポ」を生み出したベティオル&ロナーティ、イギリスではご存知「ウォレスとグルミット」や「チキン・ラン」で知られるアーマンド・スタジオのニック・パーク、そして日本ではチェコ・アニメの影響を受けた岡本喜八郎が重要なストップモーション・アニメ作家と言えるだろう。
今やアニメーションもCGの時代となり、ピクサーが3Dでリアルな質感のアニメを作り上げているが、やはりストップモーション・アニメの持つあの独特の手作り感覚の魅力にはかなわないと思うのだ。テクノロジーが決して再現することの出来ない暖かい温もり、そして郷愁を誘うノスタルジー。それは、幼い頃に枕元で母親が読み聞かせてくれた御伽噺の世界のような甘酸っぱい懐かしさと言えるかもしれない。人間が根源的に持つ想像力とロマンティシズムを刺激してくれるもの、ストップモーション・アニメの魅力とはそういうものなのではないかと思う。
チェブラーシカ ミトン ヤン・シュワンクマイエル カレル・ゼーマン作品集 犬を飼ってもらえない孤独な少女の赤い毛糸の手袋が犬になってしまうという、とってもセンチメンタルで切なくて、そして最後には心温まる珠玉の人形アニメ「ミトン」を含むロマン・カチャーノフの短編集。「チェブラーシカ」に輪をかけてキュートでお洒落で切なく愛らしいことこの上なし!!ボサノバをモチーフにした哀愁感漂う音楽もお洒落だし、キャラクター造形やファッション、インテリアのセンスも素晴らしい。買い物に出たものの家に残してきた子供が心配でならない母親の切ない気持ちと自由奔放な子供の姿を、社会主義体制下の庶民生活を映し出しながら微笑ましく描いた「ママ」、そして戦争に行った父親からの便りを心待ちにする母親と少年の切ない気持ちが不思議な夜の旅へと誘う幻想的でメルヘンチックな「レター」の2編も、負けず劣らずお洒落でキュートで切ない。いずれも、何度でも繰り返し見たくなる佳作だ。
「ドン・ファン」その他の短編
(P)クロックワークス(Japan)
(P)2004 ジェネオン エンタテインメント
(P)2002 日本コロムビア(Japan)
(P)2002 パイオニアLDC(Japan)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:ロシア語・日本語/字幕:日本語・吹替用/地域コード2/本編64分+特典13分/製作ロシア(1969年〜74年)
映像特典
幻の第4話「チェブラーシカ学校へ行く」
予告編集
静止画集DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:音楽・効果音のみ/字幕:なし/地域コードALL/30分/製作ロシア
収録「ミトン」(1967)
「ママ」(1972)
「レター」(1970)
映像特典
劇場版予告編DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:チェコ語/日本語字幕/地域コード2/89分/製作チェコ
収録「棺の家」(1966)
「コストニツェ」(1970)
「エトセトラ」(1966)
「アッシャー家の崩壊」(1980)
「レオナルドの日記」(1972)
「ドン・ファン」(1970)DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダードサイズ・ワイドスクリーン/モノラル/音声:チェコ語/日本語字幕/地域コード2/98分/製作チェコ
収録「水玉の幻想」(1948)
「盗まれた飛行船」(1966)
映像特典
プロフィール
フィルモグラフィ
作品解説
監督:ロマン・カチャーノフ
脚本:ロマン・カチャーノフ
エドゥアルド・ウスペンスキー
原作:エドゥアルド・ウスペンスキー
音楽:M・ジフ
B・シャインスキー監督:ロマン・カチャーノフ
脚本:ジャンナ・ヴィッテゾン
美術:レオニード・シュワルツマン監督:ジャン・シュワクマイエル
監督:カレル・ゼーマン
ロシアの国民的人気キャラクターで、日本でも時ならぬチェブラーシカ・ブームを巻き起こした傑作人形アニメ。あまりにもキュートで、あまりにもお洒落で、あまりにも物哀しくて、あまりにも愛らしい。だいたい、正体不明の生き物で、動物園でさえ引き取ってくれずに電話ボックスで生活しなくてはならないなんてチェブラーシカの生い立ちそのものが切ないし、友達のいないワニのゲーナが書いた友達募集の張り紙を見て2人が知り合い大親友になる、なんて展開も胸をキュンとさせられる。いじわるな悪戯で人を困らせてばっかりのシャパクリャクばあさんにしても、友達がいないのが寂しくて悪さをしているだけだし。全編を彩る哀愁感溢れる音楽、叙情的で哀切に満ちた歌詞もしみじみと心に染み渡る。ノスタルジックで愛さずにはいられない素敵な短編集だ。
この短編集でアニメーションと呼べるのはシュルレアリズム的なフロッタージュを使った「エトセトラ」とダ・ヴィンチのデッサンや図面が動き出す「レオナルドの日記」くらいだが、いかにもシュワンクマイエル的なシュールでグロテスクでゴシック色の強い東欧的なビジュアル世界を詰め込んだ1枚。風変わりな道化師たちの滑稽な争いを伝統的な指人形を使って描く「棺の家」、ペストや戦争の死者の遺骨をまるでオブジェの如く並べて美術品にしてしまった納骨堂の内部をアニメーション的な編集効果を随所に使ってカメラに収めた「コストニツェ」、木や石で作ったイメージの上に紙を置いて鉛筆などでこすって写し取るフロッタージュをアニメーションにしてしまった「エトセトラ」、エドガー・アラン・ポーの短編を社会主義体制下の抑圧された精神の崩壊になぞらえたダークでシュールな「アッシャー家の崩壊」、ドン・ファンの復讐劇を不気味な等身大の人形劇として描くシュールでゴシック・ムード溢れる「ドン・ファン」。プラハの錬金術師の妄想的映像世界をご堪能あれ。
チェコの誇る映像の魔術師カレル・ゼーマンの短編「水色の幻想」と長編特撮冒険譚「盗まれた飛行船」をカップリングしたDVD。何と言ってもストップモーション・アニメ・ファン注目の目玉は映画史に残る傑作「水色の幻想」だろう。ボヘミアン・グラスで有名なチェコの伝統工芸であるガラス細工をアニメートしてしまった、世界にも類を見ない素晴らしい作品。湖の水辺で繰り広げられる幻想的なイマジネーションの世界を、キラキラと輝くカラフルなガラス細工の人形たちを使って描く、詩情豊かでロマンチックな美しい作品だ。この一本が収録されているというだけでも、ファン必携の1枚と言えるだろう。一方、切り絵やイラストのアニメーションと実写を合成した19世紀の童話の挿絵ようなノスタルジックでモダンな長編ファンタジー「盗まれた飛行船」も、現代のSFXやCGでは決して描くことの出来ないロマンチックな空想活劇の魅力に満ちていて楽しい。
イジー・バルタ 闇と光のラビリンス 怪物の狂宴 ナイトメアー・ビフォア・クリスマス アクメッド王子の大冒険 DVD仕様(日本盤) DVD仕様(日本盤) 間違いなくハリウッドで作られた人形アニメの最高傑作だろう。ティム・バートンの個性が色濃く反映されたキモくてカワいいキャラクターに、ドイツ表現主義的なシュールでダークなセット、ノスタルジックでカラフルで楽しい音楽、そしてブラックなユーモアに満ちたセンチメンタルで心温まるストーリー。子供の心を持った大人にこそ楽しめる素晴らしい作品。しかも、潤沢な予算と人材をつぎ込んだ技術的なレベルとクオリティの高さは驚異的とも言える。物語は怖い=楽しい、気持ち悪い=素晴らしいというちょっとおかしな人々の住むハロウィン・タウンの人気者ジャックがクリスマス・タウンの存在を知るところから始まる。クリスマスの魅力に取りつかれたジャックは、自分たちも人間の町にクリスマスを届けようと、サンタクロースを誘拐して、とっても“怖ーい”クリスマスを実行してしまう。もちろん、人間の町は大パニック。哀しみに打ちひしがれたジャックは、初めて自分の過ちに気付く。ジャックの声を怪優クリス・サランドンが演じるほか、恋人のサリーを「ホーム・アローン」のママ役で有名な“セカンド・シティ”出身のコメディエンヌ、キャサリン・オハラが、イタズラ3人組の一人ロック役をピー・ウィー・ハーマンことポール・ルーベンスが演じる。 影絵アニメの先駆者であり、最大の巨匠である女性アニメーター、ロッテ・ライニガー監督の最高傑作。実に繊細できめ細かい美術工芸品のような影絵が自由自在に動き回り、まるで万華鏡のような摩訶不思議で魅惑的な映像世界を繰り広げる。影絵アニメというのは、今ではすっかり忘れ去られてしまったジャンルだが、その細やかな職人技はセル・アニメとは全く違った幻想的な魅力があり、昔は日本でもかなり盛んに作られていた。確か、子供の頃にNHKなんかでも影絵アニメを放送していたと思うし、テレビの子供向け番組なんかでよく目にしたものだった。そして、その日本に影絵アニメが広まるきっかけになったのが、この作品だったらしい。とっても懐かしくもあり、新鮮でもあり、そして何よりもその繊細な美しさに心奪われる傑作。現在では、そのフィルモグラフィーの全てを見る機会のなかなかないライニガー作品だが、本DVDに特典映像として収録されているドキュメンタリーには、戦後イギリスに移住してからの作品も含めて、珍しい作品の数々を断片的に見る事が出来る。これがまたメルヘンチックでドリーミーでかわいい作品ばかり。女性らしいロマンティシズムに溢れている。いつの日か、彼女の作品集が出ることを願ってやまない。
Mad Monster Party
(1967)
コレクターズ・エディション
The Nightmare Before
Christmas (1993)
The Adventures of
Prince Achmed (1926)
(P)ダゲレオ出版(Japan)
(P)2002 Anchor Bay
Enter.(USA)
(P)2002 ブエナビスタ(Japan)
(P)2002 Milestone Film
(USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
画質★★★★★ 音質★★★★☆
画質★★★★★ 音質★★★★★
画質★★★★★ 音質★★★★★
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:チェコ語/日本語字幕/地域コード2/118分/製作チェコ
収録「手袋の失われた世界」(1982)
「見捨てられたクラブ」(1989)
「最後の盗み」(1987)
「笛吹き男」(1985)
「セルフポートレート」(1988)DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード1/95分/製作アメリカ
映像特典
プロダクション・アート・ギャラリー
劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
豪華ブックレット付き
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド/音声:英語・日本語/字幕:日本語・英語・日本語吹替用/地域コード2/76分/製作アメリカ
特典
メイキング
ストーリーボードとの比較
音声解説(監督、撮影監督)
未公開シーン集
“ナイトメア・ビフォア・クリスマスの世界”
ポスター&劇場予告編
短編「ヴィンセント」
短編「フランケンウィニー」DVD仕様(北米盤)
モノクロ(一部着色)/スタンダードサイズ/ステレオ/音声:サイレント・英語/字幕:ドイツ語オリジナル・英語/地域コード1/67分/製作ドイツ
映像特典
ライニガー監督ドキュメンタリー
短編広告フィルム“The
Secret of the Marquise”(1921)
スチル・ギャラリー
監督:イジー・バルタ
監督:ジュールズ・バス
製作:アーサー・ランキン・ジュニア
脚本:レン・コロブキン
ハーヴェイ・カーツマン
フォレスト・J・アッカーマン
音楽:マウリー・ロウズ
ジュールズ・バス
声の出演:ボリス・カーロフ
フィリス・ディラー
エセル・エニス
アラン・スウィフト
ゲイル・ガーネット監督:ヘンリー・セリック
製作:ティム・バートン
デニーズ・デ・ノーヴィ
原作:ティム・バートン
脚本:キャロライン・トンプソン
キャラクター創造:ティム・バートン
撮影:ピート・コザチク
音楽:ダニー・エルフマン
声の出演:ダニー・エルフマン
クリス・サランドン
キャサリン・オハラ
ウィリアム・ヒッキー
グレン・シャディックス
ポール・ルーベンス監督:ロッテ・ライニガー
技術監督:カール・コッホ
原作:「アラビアン・ナイト」より
アニメ助手:ワルター・ルットマン
ベルトルド・バルトッシュ
ワルター・トゥルク
アレクサンダー・カルダン
オリジナル・スコア:ウォルフガング・ツェラー
イジー・トルンカのもとで学びながらも、シュワンクマイエルに影響された名匠イジー・バルタの作品集。チャップリンからフリッツ・ラング、ルイス・ブニュエル、フェリーニまで、映画史を彩る名作の数々をバラエティ豊かな手袋たちの名演(?)で再現するパロディ映画史「手袋の失われた世界」、廃墟の中のマネキンたちが繰り広げる摩訶不思議な大騒動をオフビートに描くシュールでブラックで妖しげな「見捨てられたクラブ」、古い屋敷に忍び込んだ泥棒が体験する吸血鬼一家との恐怖の一夜を幻想的なモノクロと着色カラーで描くゴシック怪談「最後の盗み」、“ハーメルンの笛吹き男”をドイツ表現主義的なデザインの木彫りのアニメと本物のネズミを使って描く「笛吹き男」、そしてシュワンクマイエル、パヴェル・コウツキーとの共作「セルフ・ポートレート」。シュールなブラック・ユーモアに満ちた幻想ファンタジーの世界は、ある意味シュワンクマイエルよりも分りやすく、不思議な心地よさに満ちている。
アーサー・ランキン・ジュニアとジュールズ・バスの名コンビが作った数少ない劇場用長編人形アニメ。ティム・バートンにも強い影響を与えた作品としても有名で、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のファンも必見の素晴らしい名作。しかも、撮影は日本で行われたというから驚き。“世界モンスター協会”の会長であるフランケンシュタイン男爵の開いたパーティーに集まったミイラ男にドラキュラ伯爵、ハイド氏、透明人間、狼男らモンスターたち。そこで、フランケンシュタイン男爵が会長の座をドジでうすのろのオタク青年である甥っ子フェリックスに譲ることを発表したことから巻き起こる珍騒動を描く。本当は心優しいモンスターたちの悲哀を交えたチャーミングで心温まるブラック・ユーモアに満ちた素敵な作品だ。フランケンシュタイン男爵役には“フランケンシュタイン役者”として一世を風靡した名優ボリス・カーロフ。名コメディエンヌ、フィリス・ディラーが“フランケンシュタインの花嫁”を演じるほか、男爵のシニカルな秘書フランチェスカ役のゲイル・ガーネット(60’sガール・ポップ・ファンには御馴染みの歌手)のハスキーな歌声とマウリー・ロウズによるお洒落なラウンジ・テイストたっぷりの音楽も素晴らしい。
ナイトエンジェル
ブジェティスラフ・ポヤール作品集
(P)1998 ピコハウス(Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダードサイズ/ステレオ・モノラル/音声:音楽・SEのみ(「ふしぎな庭」のみチェコ語)/日本語字幕/地域コード2/66分/製作チェコ、カナダ
収録作品
「ナイトエンジェル」(1987)
「ライオンと歌」(1960)
「小さな道化師ファンファロン」(1968)
「ふしぎな庭(霧の朝)」(1975)
監督:ブジェティスラフ・ポヤール
ジャック・ドルーアン(「ナイトエンジェル」共同監督)
トルンカの愛弟子ポヤールの繊細でメルヘンチックな短編4本を収めたアンソロジー。やはり一番の注目は「ナイトエンジェル」だろう。ある晩、美しい妖精の姿をみかけた青年は、彼女の姿を追ううちに交通事故に遭ってしまう。盲目となった青年が見る・感じる世界をピンスクリーンを使った幻想的な映像で見せる美しくも切ない物語。砂漠を放浪する陽気な音楽師がライオンに食べられてしまう悲哀に満ちたストーリーと民芸品のようなデザインが愛らしい「ライオンと歌」、おもちゃたちが一晩の大騒ぎを繰り広げる「小さな道化師ファンファロン」のカラフルで自由奔放なイマジネーションの豊かさも素晴らしい。ブロック・パズルの世界の少女とファンファロンのやり取りのなんとも愛らしいこと!都会の子供たちが登校途中で閉ざされた不思議な庭を見つけるファンタジックな「ふしぎな庭」の素朴なノスタルジーも素敵だ。