マカロニ・ウェスタン
夕陽の荒野を駆け抜けた情無用の無頼漢ども

 

 マカロニ・ウェスタン。あるいはスパゲッティ・ウェスタン。要はイタリア産の西部劇の事である。1960年代から70年代にかけて、実に550本以上の西部劇がイタリアで量産され、世界中で熱狂的なファンを生み出した。現在でも、世界各国で根強いファンを誇るジャンルである。
 その大きな特徴は、なんと言っても壮絶なバイオレンスとアクション。派手なガンプレイや目を覆うようなリンチ、荒唐無稽で奇想天外なガジェット。それは西部劇というフォーマットを活用した純然たる冒険活劇、アクション映画と言っても差し支えないだろう。
 さらに、勧善懲悪が身上のハリウッド製西部劇とは対照的に、善と悪の境界線が全く存在しない世界観。マカロニ・ウェスタンの舞台となるのは主にメキシコとの国境周辺。賞金稼ぎや盗賊、悪徳保安官から汚職政治家、ありとあらゆる無法者どもで溢れかえる、まさに弱肉強食の世界。そんな中で、己こそが正義という俺様主義的なヒーローどもが生き残りをかけて火花を散らす。彼らの目的は金だったり、女だったり、あるいは個人的な復讐だったりする。そこには、社会正義というものの介在する余地はない。銃にものを言わせた生々しい人間の欲望とエゴ。それは、ある意味で開拓時代のアメリカの側面をリアルに映し出していたとも言えるだろう。まさに血沸き肉躍る男のドラマである。

 今でこそ、映画史に燦然と輝くムーブメントとして高く評価されているマカロニ・ウェスタンだが、当時は“まがい物”として眉をひそめる向きも多かった。特に西部劇の本場アメリカではマカロニ・ウェスタンをまともに評価するような批評家は皆無であったし、日本でさえ“良識ある”映画ファンからは決して快く思われてはいなかった。当時、正当に評価されたマカロニ作品は、セルジョ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」('65)など、本当にごく一部だけである。ちなみに、ジョン・ウェインの大ファンで西部劇には目のない筆者の母も、マカロニ・ウェスタンはちょっと・・・と敬遠している。マカロニ・ファンの息子としては、こんな親不孝者でゴメンなさい、といったところか(笑)。そういえば、かつてジョン・ウェインがゲイリー・クーパー主演の「真昼の決闘」('52)を、“保安官が市民に助けを求めるなんて冗談じゃない。あんな腰抜け保安官はアメリカの面汚しだ”と罵倒したというが、私利私欲のためなら女子供をも手にかける保安官が当たり前のように登場するマカロニ・ウェスタンを、果たしてウェインはどのように思っていたのか。興味深いところではある。
 しかし、ハリウッド製の正統派西部劇とマカロニ・ウェスタンは根本的に別物と考えるべきだろう。アンソニー・アスコット(ジュリアーノ・カルミネオ)監督は、“ジョン・ウェインやジョン・ヒューストンのウェスタンはアメリカにとっての歴史劇だ。しかし、我々の作るウェスタンは純粋な娯楽冒険活劇なんだ。”と述べている。当事者であるアメリカ人にとって、西部劇とはまさに自らの歴史そのものであるが、部外者のイタリア人にとって見れば、それは純然たる娯楽なのである。そのことは、マカロニ・ウェスタン人気を支えたのがヨーロッパやアジア、南米の映画ファンであった事でもよく分かるだろう。
 それ故に、マカロニ・ウェスタンには当時のハリウッド製西部劇ならば反則技であろう、史実を無視した遊びや実験が溢れている。ジェームズ・ボンドばりに様々なハイテク小道具を使うガンマン、素手で拳銃に立ち向かうカンフー・ファイター、己の目的のためには手段を選ばないヒーロー、さらにはヒーローが極悪非道な無法者に蜂の巣にされてしまうなんていう驚愕のクライマックスまで用意されている。スパイ・アクションから猟奇ホラー、左翼系政治映画など、ありとあらゆるジャンルを貪欲に呑み込んでしまうバイタリティこそ、マカロニ・ウェスタンの身上だと言えるだろう。
 また、マカロニ・ウェスタンでは音楽も重要な要素であり、時には音楽が登場人物の心情や作品のテーマを奏でることさえあった。マカロニ・ウェスタンの生んだ最大のマエストロ、エンニオ・モリコーネを筆頭に、ブルーノ・ニコライ、ルイス・エンリケ・バカロフ、フランチェスコ・デ・マージ、マルチェッロ・ジョンビーニなど数多くの作曲家が西部劇を手がけたが、いずれも西部劇という枠にとらわれない自由な発想で作られており、メロディアスでスタイリッシュでクール。ロックやポップスの要素も積極的に取り入れ、ハリウッドの西部劇では絶対に聴けないような素晴らしいスコアを次々と生み出した。映画そのものよりもスコアの出来のほうが良いという作品も決して少なくない。
 このように、自由奔放で刺激的な個性のマカロニ・ウェスタンは、批評家からの不評をよそに本家ハリウッド映画にも多大な影響を与えている。サム・ペキンパーの「ワイルド・バンチ」('69)やドン・シーゲル監督の「真昼の死闘」('69)、「ガン・ファイターの最後」('69)などは、その良い例だろう。それだけのパワーを、当時のマカロニ・ウェスタンは持っていたのである。

 さて、まずはその歴史から簡単に紐解いてみよう。
 もともと、イタリアでは1960年代初頭から西部劇が作られていた。その第1号はマリオ・アメンドーラ監督の“La Terrore de Oklahoma(オクラホマの脅威)”('61)と言われている。しかし、この作品はイタリア国内でも殆ど上映される事なく、瞬く間に消えてしまった。イタリアで西部劇が量産されるようになったのは、1962年に公開されたドイツ製西部劇「シルバー・レイクの待伏せ」('62)の大ヒットを受けてからである。ハラルド・ラインル監督による“ウィネトー”シリーズの第2弾に当たる作品で、この“ウィネトー”シリーズはヨーロッパ各国で大ヒットを記録していた。そこで、目ざといイタリアの映画関係者はハリウッド製でなくても西部劇が観客に受ける事に注目したのだった。
 以降、1964年までの間に25本の西部劇がイタリアで製作されている。撮影場所は、メキシコ国境と地形や風景が酷似しているスペイン。しかし、当初はイタリア産西部劇も、ハリウッド映画のスタイルを模倣したものが殆どだった。そうした中で、イタリア産西部劇特有のスタイルを確立し、世界中にマカロニ・ウェスタン・ブームを巻き起こすきっかけとなったのが、セルジョ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」('64)である。
 翌年にはアメリカでも公開された「荒野の用心棒」は、その年イタリアで製作された映画の中で最大の興行収入を稼ぎ出した。さらに、続いて製作された「夕陽のガンマン」('65)は、その年最も成功したヨーロッパ映画となる。66年にはセルジョ・コルブッチ監督による「続・荒野の用心棒」('66)が世界的なヒットとなり、マカロニ・ウェスタン最大のヒーロー、ジャンゴが生まれる。この年には、1年間で実に50本近くもの西部劇がイタリアで製作された。
 翌67年には60本、さらに68年には75本と、イタリア産西部劇の数は劇的に増え続け、イタリア映画界はまさにウェスタン景気で沸き返った。面白いのは、殆どの作品が弱小プロダクションによる製作で、それらの会社は年に1本ウェスタンを製作するだけで十分に食っていけるほどの利益を得ていたという。
 また、この頃にはマカロニ・ウェスタンも細分化されるようになり、中でも反体制的な左翼運動の世界的高まりに影響を受けた政治色の濃い硬派な西部劇が作られるようになったのは特筆に価すると思う。
 70年代に入るとエンツォ・バルボーニ監督の“トリニティ・シリーズ”に代表されるコミカル・タッチの西部劇が大人気となるが、次第に観客はマカロニ・ウェスタンから離れていってしまった。かつてのユニバーサル・ホラーにも共通するが、特定の人気ジャンルがコメディ路線に走るというのは終焉の兆しである。中でも、“トリニティ・シリーズ”の人気コンビ、テレンス・ヒル(マリオ・ジロッティ)とバド・スペンサー(カルロ・ペデルソルリ)主演の現代冒険活劇「フライング・ブラザーズ」('72)の大ヒットは決定的だった。この作品の成功で、彼らの人気が西部劇とは無関係である事が証明されてしまった。さらに、彼らの主演作以外の西部劇が興行的に苦戦を続けている事から、イタリアの映画関係者は一気に西部劇から手を引いてしまった。72年には43本製作されていた西部劇は、翌73年には18本にまで減少してしまったのである。
 77年にイタリアで製作された西部劇はたったの2本。その内の1本である「ケオマ・ザ・リベンジャー」('77)は、主演のフランコ・ネロの人気のおかげもあって興行的な成功を収めたものの、これを最後に実質的にマカロニ・ウェスタンは終焉を迎えてしまった。その後も、時折イタリアではウェスタンが作られているが、いずれも興行的には惨敗を喫している。

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ハリウッドから招かれたクリント・イーストウッド
「夕陽のガンマン」

マカロニ・ウェスタンで名を上げた名優リー・バン・クリーフ
「夕陽のガンマン」

 さて、次にマカロニ・ウェスタンというジャンルを築き上げていった映画監督たちを紹介しよう。
 マカロニ・ウェスタンの世界には3人のセルジョがいる。セルジョ・レオーネ、セルジョ・コルブッチ、そしてセルジョ・ソリーマである。いずれも才能溢れる映画作家であり、マカロニ・ウェスタンというジャンルを牽引する存在だったが、まさに三者三様の個性の持ち主だった。ちなみに、日本の資料ではセルジオと記載される場合が多いが、イタリア語の発音を尊重して、ここではセルジョで統一させて頂きたい。
 まずは、マカロニ・ウェスタンの生んだ最大の巨匠、セルジョ・レオーネ。彼のように生涯でたった7本の監督作だけを残し、未だに世界中の映画監督に影響を与え続けている人物というのも稀だろう。1929年1月3日、ローマで生まれたレオーネは、アメリカ映画に影響されて育った。父親ロベルトが有名な映画監督だった彼は、ローマのチネチッタで撮影されたハリウッド映画「ベン・ハー」の助監督などをして映画撮影のノウハウを学び、マリオ・ボンナルド監督の「ポンペイ最後の日」('60)で監督代役を務めて認められ、「ロード島の要塞」('61)で監督デビューを果たした。
 そんな彼の監督第2作目が「荒野の用心棒」('64)だった。相対する二人のボスが牛耳る荒廃した町にやってくる名無しの用心棒(クリント・イーストウッド)。憎しみと金と欲望の渦巻く中で、両者の間をうまく立ち回って漁夫の利を得ようとする一筋縄ではいかないヒーロー像が斬新だった。ジョン・ウェインではないが、もう卑怯者どころの話じゃない。ある意味では、この主人公の“悪”である。ただ、彼にはしがらみも憎しみもなく、ただ生存本能と欲があるのみ。
 細かいディテールにこだわった演出、ニヒリスティックな語り口、シネマスコープの画面を生かしきったスタイリッシュな映像、象徴的な登場人物のクロース・アップ・ショットなど、レオーネ・スタイルとも言える映像美学も既に見られる。
 黒澤明の「用心棒」からの盗作問題が取りざたされた「荒野の用心棒」だったが、アメリカを含む世界各地で記録的な大ヒットとなり、アメリカではテレビ・スター止まりだったクリント・イーストウッドを国際的な映画スターにし、マカロニ・ウェスタンの存在を世界に知らしめたエポック・メイキング的作品となった。

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凶暴で人間臭い盗賊のボスを演じるジャン・マリア・ヴォロンテ
「夕陽のガンマン」

凶悪なせむし男を演じるクラウス・キンスキー
「夕陽のガンマン」

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共演者を食いまくる怪演を見せるイーライ・ウォラック
「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」

まさに三つ巴の緊迫したクライマックス
「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」

 レオーネ・スタイルが本格的に確立されたのは次作の「夕陽のガンマン」('65)だろう。盗賊団のボスでお尋ね者のインディオ(前作に続いて強烈な個性を発揮するジャン・マリア・ヴォロンテ)と、彼の首を狙う凄腕の賞金稼ぎモンコ(クリント・イーストウッド)とモーティマー少佐(リー・バン・クリーフ)の三つ巴の壮絶な戦い。登場人物のちょっとした仕草からさりげないカメラ・ワークまで緻密に計算され尽くしたスタイリッシュな映像、それぞれが腹にイチモツを抱えた一筋縄ではいかないキャラクターたち、シネマスコープのスケール感を最大限に生かしたダイナミックなガン・アクション。撮影監督マッシモ・ダラマーノの豪腕が存分に発揮されている。
 前作で大スターとなったクリント・イーストウッド、ジャン・マリア・ヴォロンテに加え、ハリウッドでは2流の悪役スター止まりだったリー・バン・クリーフを招き、しびれんばかりにクールで渋い大人の男のカッコよさを引き出している。
 さらに、続く「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」('66)は3時間にも及ぶ壮大なスケールの豪快なウェスタンで、隠された財宝を巡る3人の男たちの欲とエゴ丸出しの争いを絶妙なユーモアを織り交ぜて痛快に描く。懸賞金をだまし歩く詐欺師コンビのブロンディー(クリント・イーストウッド)とトゥコ(イーライ・ウォラック)は盗まれた20万ドルの在り処を偶然知る。お互いに騙し騙されながら大金を探す二人の前に、さらにもう一人20万ドルを狙う凄腕のガンマン、センテンザ(リー・バン・クリーフ)が現れ、欲にまみれた男どもの壮絶な争いが繰り広げられる。
 レオーネの演出はさらに洗練され、パワフルかつ絶妙。モリコーネの素晴らしい音楽を随所に配し、音と映像の絶妙な組み合わせなど実験精神に溢れる映像を存分に楽しませてくれる。キャストでは、マカロニ・ウェスタン初出演の名優イーライ・ウォラックが、イーストウッドやバン・クリーフの存在すら消し飛んでしまうくらいに強烈な演技力で、どこか憎めない粗野で単細胞な無法者トゥコ役を怪演。3時間という上映時間があっという間に過ぎてしまう、文句なしに面白いウェスタンに仕上がっていた。

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ジャック・イーラム(中央)とウディ・ストロード(右)
「ウェスタン」

チャールズ・ブロンソン演じるハーモニカ
「ウェスタン」

 そんなレオーネにとってのマカロニ・ウェスタン集大成とも言えるのが「ウエスタン」('68)だった。それまでにレオーネが培ってきたあらゆるテクニック、あらゆる美学、あらゆる哲学が詰め込まれた究極のウェスタンだ。オープニングからして尋常ではない。閑散とした西部の鉄道駅。無言で待つ三人のならず者たち。屋根にたまった雨露が滴り落ちる音とハエのブーンという音しかしない。その計算され尽くした音と動きの見事なこと。特にスネイキー(演じるはハリウッド西部劇の名物悪役ジャック・イーラム)の口元に止まったり離れたりするハエの絶妙な動き。まさに細部まで手を抜かない完璧主義者レオーネこそなせる業。そのハエのブーンという音が、遠くからやってくる機関車の汽笛の音へと繋がっていく編集センスとリズム感は時代を超越している。そして、列車から降り立った男ハーモニカ(チャールズ・ブロンソン)と男たちのクールで素早いガン・アクションの計算された様式美。文句なしのオープニングだ。
 さらに物語は、町外れの巨大な農家へと移る。一家団欒で屋外での食事を用意する仲睦まじい家族。周囲の自然音が一瞬止まり、不気味な静寂が一家を包む。不思議そうに辺りを見回す少年。次の瞬間銃声が鳴り響いて娘が殺され、駆けつけた父親(フランク・ウォルフ)も銃弾に倒れ、恐怖に怯えて逃げようとする少年も餌食となる。そして、静かに草むらから姿を現すコート姿のガンマンたち。家から出てきた末っ子の幼い少年はショックで凍りつく。その少年に近づく男たち。前に進み出たのはボスのフランク(ヘンリー・フォンダ)。恐怖で固まったままの少年を前にして、“ガキはどうします?フランク”とつぶやく手下のガンマン。フランクは“名前を聞いちまったな”と冷酷な微笑を浮かべて少年を射殺する。
 ここまでの雄大なリズム感と緊迫感を織り交ぜた演出の見事なこと!さらに、同じ頃に鉄道駅には一家の父親と再婚した女性ジル(クラウディア・カルディナーレ)が到着し、広大な土地を巡る壮絶で激しい戦いが繰り広げられていく。
 大西部の開拓町を忠実に再現した雄大なセット、幾重にもレイヤーを重ねた複雑で重厚なドラマ、スタイリッシュでスケールの大きな映像美、どれを取っても完璧としか言いようのない傑作である。血で血を洗う男たちの無益な争い、そしてそれまでをも包み込んでしまう女性の深く大きな母性愛。それこそが、開拓時代のアメリカという国を形作っていたのだ。レオーネは彼ならではのスタイルを用いて、リアルなアメリカの歴史を描こうとしていたと言えるだろう。彼のウェスタンの根底にはアメリカ文化への深くて複雑な愛情が流れていたのだと思う。そうした点が、他のマカロニ・ウェスタン作家とレオーネの決定的な違いなのかもしれない。
 さらに、ハリウッド西部劇の良心とも言える大スター、ヘンリー・フォンダをあえて冷酷な殺し屋役にキャスティングする事によって、従来のハリウッド西部劇が描いてきた勧善懲悪の虚構を暴く。たとえ大西部であろうと、現実世界には完全なる善も完全なる悪も存在はしない。そこにあるのは、がむしゃらに生き抜こうとする人間たちの露骨な本能のみだ。
 ちなみに、ヘンリー・フォンダはかつて「荒野の用心棒」の主演を依頼された事があり、“イタリア製の西部劇なんてバカバカしい”と断っていた。しかし、その後完成した作品を見て深く後悔し、“どんな役でもいいからレオーネの作品に出たい”と考えていたという。チャールズ・ブロンソンも、同じく「荒野の用心棒」への出演を断っており、この「ウエスタン」をきっかけに数多くのイタリア映画に出演するようになる。

 こうして、セルジョ・レオーネのマカロニ・ウェスタンは、ここに一つの頂点を極めた。

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リアルに再現された大西部の雄大な開拓町
「ウエスタン」

マカロニ西部劇では稀なヒロイン役のクラウディア・カルディナーレ
「ウエスタン」

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当時は誰もがショックを受けた冷徹なヘンリー・フォンダ
「ウエスタン」

男たちは殺し合い、女は母なる大地のごとく国を育てる
「ウエスタン」

 その後、しばしの休息を経て公開されたのが「夕陽のギャングたち」('71)。アイルランド革命の闘士(ジェームズ・コバーン)と粗野な山賊(ロッド・スタイガー)がメキシコ革命に巻き込まれ、しまいには英雄に祭り上げられてしまう皮肉な西部劇大作。主人公二人の友情と裏切り、愚かで哀しい人間の性(さが)、豪快でバイオレントなガン・アクション、哀切に満ちたモリコーネの音楽。レオーネらしい、相変わらずの素晴らしいクオリティを誇るほろ苦い作品だったが、さすがに大傑作「ウエスタン」の後だけに食い足りなさは拭えなかったように思う。それでも、ハリウッド映画でもなかなか見せたことのないコバーンの渋さとアクの強いスタイガーの対照的な男の友情、そして崇高ささえ湛えたスタイリッシュでダイナミックなアクション・シーンなど、革命という名の大義名分の下に露呈される人間の本質を鋭くえぐった痛快なドラマを味わうことが出来る。
 その後、レオーネは「ミスター・ノーボディ」('74)、「ミスター・ノーボディ2」('75)の製作・原案を担当した後、実に10年以上の歳月を費やしてマフィア映画の一大叙事詩「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」('84)を完成させ、1989年4月30日心臓発作でこの世を去った。

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棺桶を引きずった宗教的でさえあるジャンゴのイメージ
「続・荒野の用心棒」

その棺桶の中身は・・・何とガトリング銃!
「続・荒野の用心棒」

 さて、セルジョ・レオーネと並んでマカロニ・ウェスタンの巨匠と呼ばれるのが、もう一人のセルジョことセルジョ・コルブッチである。レオーネの作品が静寂と喧騒、ダイナミズムとミニマリズムの対比によって壮大な西部の歴史ドラマを作り上げたのに対し、コルブッチの作品は明確でタイトな俊敏さ、即物的なセンセーショナリズム、そして閉塞的な終末感を身上としており、コルブッチこそマカロニ・ウェスタンの何たるかを体現する存在であるとも言われている。特に手持ちカメラを駆使した賑々しいアクション・シーンは、マカロニ・ウェスタンの低予算を逆手に取った見事なリアリズム演出だった。
 1927年12月6日ローマに生まれたコルブッチは、恋愛映画やスペクタクル史劇、コメディ映画など様々なジャンルを手がけた後、アルバート・バンドとの共同監督で「グランド・キャニオンの虐殺」('63)で初めて西部劇を手がけた。そして、「ミネソタ無頼」('64)にて本格的に西部劇に腰を落ち着けるようになる。この作品は、無実の罪で投獄された男ミネソタ・クレイ(キャメロン・ミッチェル)の復讐物語なのだが、主人公の視力が次第に失われていくというところが面白く、クライマックスの暗闇での決闘シーンがなかなかの見せ場だった。
 しかし、コルブッチのマカロニ監督としての名声を決定付けたのは「続・荒野の用心棒」('66)だろう。これは原題を“ジャンゴ”といい、レオーネの「荒野の用心棒」とは一切関係がない。日本の配給会社が柳の下のドジョウを狙っただけのタイトルだ。
 オープニングから異様な雰囲気が画面を包む。そこまでも続く泥濘(ぬかるみ)の大地。ボロボロになった北軍の制服を身にまとった男が、棺桶を引きずりながらひたすら歩き続けていく後姿。世紀末的な重苦しいイメージが見る者を圧倒する。誰もが生きる気力を失ったメキシコ国境にある寂れた町で、人生に疲れ果てた男ジャンゴ(フランコ・ネロ)が一人の商売女を守るためにサディスティックな権力者に立ち向かう。棺桶の中に隠されているガトリング銃のような、荒唐無稽スレスレの演出を織り交ぜつつ、神に見捨てられた男が人生という名の墓場でお互いの傷をなめ合うような愛に生きる目的を見出し、壮烈な死闘を繰り広げる様を描き出す。そこには大義名分も正義もなく、怒り・憎しみ・復讐という情念とサバイバル本能のみが支配する。40人以上もの無法者を一気に皆殺しにする墓地での血塗られた決闘。そのカタルシスこそが生きている証なのだ。
 この作品はヨーロッパを中心に熱狂的に受け入れられ、主演のフランコ・ネロを一躍トップ・スターにし、以降ジャンゴという名前をタイトルに付けた非公式シリーズ映画が50本以上も作られる事となった。ジャンゴが出てこないにも関わらず、フランコ・ネロの主演というだけでジャンゴ・シリーズとして売り出された作品も少なくない。
 その後も、棺桶に大金を隠して南軍の復興を企てる元南軍将校のならず者一家を描く「黄金の棺」('66)、銀の輸送のために雇われた凄腕のガンマンがメキシコ革命軍に加勢したことから、ブルジョワと政府軍を敵に回して壮絶な戦いを繰り広げる「豹/ジャガー」('68)といった、痛快な娯楽アクションの仮面の下に現代にも通じる社会の理不尽さ、人間の愚かさ、個人の無力感といったようなものを滲ませた社会派の西部劇を次々と生み出した。
 そう、レオーネとコルブッチは共にリアリズムを追求したマカロニ監督ながら、西部劇の中にリアルなアメリカの歴史を見出そうとしたレオーネとは対照的に、コルブッチは西部劇を現代社会を映し出す鏡としてとらえ、残酷なまでのリアリズムを内包した荒々しいファンタジーとして描いたと言えるだろう。

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悲壮感に満ちたヒーロー、ジャン=ルイ・トラティニャン
「殺しが静かにやって来る」

不幸な星の下に生まれたヒロイン、ヴォネッタ・マギー
「殺しが静かにやって来る」

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主人公らの唯一の味方を演じる往年の肉体派女優マリサ・メルリーニ
「殺しが静かにやって来る」

極悪コンビ、クラウス・キンスキーとルイジ・ピスティッリ
「殺しが静かにやって来る」

 そんなコルブッチ節の、ある意味で究極形と言えるのがマカロニ史上に燦然と輝く異色作「殺しが静かにやって来る」('68)だ。何が異色かというと、この作品では荒廃した社会で人間らしく生きようとする人々が虐げられ、それを助けようとするヒーローは市民の事なかれ主義と弱腰のために見放されて虫けらのように殺される。そのヒーロー(ジャン=ルイ・トラティニャン)の生い立ちも悲惨で、子供の頃に両親を殺された上に声帯を切り裂かれたために声が出ない。ヒロイン(ヴォネッタ・マギー)は黒人女性で、夫を殺されてしまった未亡人。共に社会的弱者の二人が理不尽な運命に翻弄され、閉鎖的な町の人々に虐げられ、挙句の果てに蜂の巣にされて殺される。狂犬のごときサディスティックな無法者(クラウス・キンスキー)が、高らかに勝利の雄たけびをあげて去っていくクライマックスの恐ろしいまでの陰鬱さ。雪の降り積もる真冬の西部の神秘的な風景、そして美しくも哀しいエンニオ・モリコーネのメロディと相まって、一度見たら忘れることの出来ない問題作に仕上がっている。社会悪を野放しにするのは庶民の無気力であり、その庶民自身が立ち上がらない限り救世主など現れはしない。孤立無援で悪に立ち向かった主人公は、そんな偽善的な庶民によってメシアの役目を押し付けられた哀れな犠牲者なのだ。
 その悲惨なクライマックスは賛否両論で、フランスなど一部の国では別撮りされたハッピー・エンドが用意された。しかし、やはりコルブッチの痛烈な社会批判精神はオリジナル・フォーマットでこそ生かされると言えるだろう。
 そんなコルブッチの左翼思想的メッセージが娯楽アクションとして強く打ち出されたのが「ガンマン大連合」('70)だ。メキシコ革命軍に武器を売るためにサン・ベルナルディーノの町を訪れた武器商人ピーターソン(フランコ・ネロ)は、粗野だが理想に燃える若き革命家チャト(トーマス・ミリアン)と知り合う。二人は政府に捕らえられた反体制活動家の教授(フェルナンド・レイ)を救うために要塞を襲撃する。
 敵側の用心棒は片腕のサディスト、ジョン(ジャック・パランス)。義手で鷲を操るジョンは搾取するアメリカの象徴であり、その手先である鷲は殺されたメキシコ人の血と肉を文字通り貪り食う。ピーターソンにしても教授にしても、実は腹にイチモツを抱えた曲者。チャトだって決して純朴な理想家なんかではない。これだけアクの強いキャラクターが勢ぞろいして、武器と権力を巡ってまさに四つ巴(?)の戦いを繰り広げる様は壮観である。

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武器商人ピーターソンを演じるフランコ・ネロ
「ガンマン大連合」

若き革命家チャトを演じるトーマス・ミリアン
「ガンマン大連合」

 その後、粗暴な無法者(トーマス・ミリアン)と、何故か彼について回る少女(スーザン・ジョージ)の奇妙な逃避行を詩情豊かに描く「J&S/さすらいの逃亡者」('72)、日本の将軍から使わされた白塗りの奇妙なサムライ(トーマス・ミリアン)が馬泥棒を追う珍妙なコメディ「ザ・サムライ/荒野の珍道中」('74)の2本を残し、現代アクションやスリラー、コメディなど別ジャンルへと作風を乗り換えてしまった。そして1990年12月1日、63歳の誕生日を目前にこの世を去ったのだった。

 そして、3人目のセルジョことセルジョ・ソリーマ。彼はちょうどレオーネとコルブッチの中間に位置する存在と言えばいいだろうか。程よいリアリズム、程よい政治性、程よいペシミズム、そして程よいダイナミズム。職人監督らしい手堅い仕事ぶりで、なかなか見応えのある硬派な西部劇を撮った中堅監督だった。
 実はソリーマの西部劇というのはあまり多くない。というよりも、たったの3本しか撮っていないのだが、そのいずれもが強烈な印象を残す佳作だった。まずソリーマにとって最初の西部劇である「復讐のガンマン」('66)。議員からの依頼で逃走中の暴行殺人犯であるメキシコ人クチッロ(トーマス・ミリアン)を追跡するガンマン、ジョナサン・コーベット(リー・バン・クリーフ)。しかし、暴行殺人の真犯人が議員自身であり、クチッロが無実であることを知ったジョナサンは、二人で議員らに制裁を加える事を決意する。ナイフで拳銃に挑む豪快なクチッロのキャラクターと一筋縄ではいかない正義の味方ジョナサンの対比もユニークで、全編を包むハードな緊張感がまた秀逸だった。
 続く「血斗のジャンゴ」('67)は、さらに硬派で政治色の強い佳作で、ソリーマの最高傑作と呼んでもいいだろう。気弱で病弱な大学教授ブレッド(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、療養のためにテキサスに居を移す。そこで彼は偶然にソロモン・ベネット(トーマス・ミリアン)という無法者の逃亡を手助けする。無教養で粗暴だが仁義に厚いソロモンと、そんな彼のバイタリティや強さに憧れるブレッドは奇妙な友情で結ばれることとなる。しかし、生まれて初めて盗賊一味と知り合ったブレッドは次第に暴力と支配欲に魅了されていく。その劇的な変貌ぶりは、悪役出身のジャン・マリア・ヴォロンテの真骨頂だ。一方のソロモンはブレッドから知識と教養を得ることにより、無益な暴力の愚かしさに次第に気づいていく。この極端に対照的な二人の男が、お互いに立場が逆転していく皮肉。パワフルで冷徹なソリーマの演出も相まって、暴力の根源を暴きだす痛烈な社会派ウェスタンに仕上がっている。
 さらに、翌年の「続・復讐のガンマン」('68)では、前作で無実の罪を着せられたクチッロ(トーマス・ミリアン)が今度はメキシコ革命軍の黄金を追って荒野を駆け巡る。元保安官のキャシディ(ドナルド・オブライエン)を筆頭に、フランス人の殺し屋やら女ゴールド・ハンターやら様々なキャラクターが入れ替わり立ち代り黄金を横取りしようとする。さらには、クチッロの恋人(チェロ・アロンソ)までもが、彼に結婚を迫るために執拗に追い掛け回すというコミカルなテイストを加えた痛快な西部劇アクションだった。

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病弱な大学教授を演じるジャン・マリア・ヴォロンテ
「血斗のジャンゴ」

思慮深き盗賊を演じるトーマス・ミリアン
「血斗のジャンゴ」

 かくして、僅か3本のマカロニ・ウェスタンを残したソリーマは、その後チャールズ・ブロンソン主演の傑作アクション「狼の挽歌」('70)やオリヴァー・リード主演の社会派ポリス・アクション「非情の標的」('72)、第2次大戦前夜のベルリンを舞台にした叙情的なメロドラマ“Berlin '39”('94)などを世に送り出し、現在は悠々自適な隠居生活を送っている。彼の世代は1年に2〜3本は余裕で撮ってしまう量産型の職人監督が多かったが、珍しくも寡作傾向の強い良心的な娯楽映画監督だった。

 さて、その他に重要なマカロニ監督を挙げていこう。とにかく、この時代は娯楽系の職人監督でマカロニ・ウェスタンを手掛けた事のない人を探すほうが難しいくらい、誰もが西部劇を撮っていた。イタリアン・ホラーの父であるマリオ・バーヴァや社会派監督として名高いカルロ・リッツァーニやダミアーノ・ダミアーニといった名匠までもがマカロニ・ウェスタンを発表していたのだから、そのブームの凄さが窺い知れるというもの。
 その中でも、数多くのジュリアーノ・ジェンマ主演作を撮ったドゥッチョ・テッサリ監督の仕事ぶりは抜きん出ていた。もともと「ポンペイ最後の日」や「荒野の用心棒」の脚本家としてレオーネの元で演出を学んだ人だったが、レオーネとは対照的な軽さを身上とする娯楽映画監督だった。初の西部劇監督作「夕陽の用心棒」('65)はジェンマの出世作でもあり、この作品と「続・荒野の1ドル銀貨」('65)でジェンマ扮するリンゴをジャンゴと並ぶマカロニ・ウェスタンの人気キャラクターへと押し上げた。フランコ・ネロが珍しくコミカルな演技を見せる「新・脱獄の用心棒」('70)は共演のイーライ・ウォラックとリン・レッドグレーヴの好演もあり、痛快なマカロニ・コメディに仕上がっていたし、ジュリアーノ・ジェンマとニノ・ベンヴェヌーティが好対照な兄弟を演じる「荒野の大活劇」('69)も非常にライトな感覚がユニークな作品だった。ただ、彼自身は正統派の冒険アドベンチャーやマフィア・アクションが得意だったようで、代表作はそちらのジャンルの方が多い。80年代には折からのインディー・ジョーンズ人気にあやかって、西部劇にファンタジックな秘境アドベンチャーを合体させた怪作「魔境のガン・ファイター」('85)をジェンマ主演で撮っている。

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町中から虐げられる孤独な青年を演じるジェンマ
「怒りの荒野」

大西部でのサバイバル術を教える師匠リー・バン・クリーフ
「怒りの荒野」


 また、ジェンマと言えばトニーノ・ヴァレリの存在も忘れてはいけない。彼もレオーネの門下生の一人だが、ジェンマとリー・バン・クリーフを主演に迎えた「怒りの荒野」('67)は、深いヒューマニズムとマカロニらしい男の美学が光る秀作だった。主人公は売春婦の私生児として生まれたがために差別されて育った孤独な青年スコット(ジュリアーノ・ジェンマ)。誰もが嫌がる糞尿汲みの仕事をしており、町中の人々から蔑まれ、バカにされ、虐げられて生きてきた青年だ。ある日、町に凄腕の殺し屋フランク・タルビー(リー・バン・クリーフ)がやってくる。すっかり彼に夢中になったスコットは、彼から拳銃の使い方を教わり、町の人々を見返してやろうとする。しかし、世慣れた賢者として様々な知識を彼に教える一方で、冷徹な殺し屋の顔も垣間見せるフランクの行動にスコットは疑問を持ち始めるようになる。フランクがスコットに教えるガンマン10か条の最後、“一度銃を持ったらやめられなくなる”という言葉が象徴するように、拳銃の魔力に陥ってしまうガンマンの宿命。そんな落とし穴に気づいたスコットが師匠と対決する緊迫のクライマックス。なかなか骨のある出来栄えだ。
 さらに、ヴァレリはJFK事件をモチーフにした政治的要素の強いジェンマ主演の問題作「復讐のダラス」('69)、「特攻大作戦」に影響を受けた西部劇版戦争アクションの痛快作「ダーティ・セブン」('72)、そしてレオーネの監修のもとヘンリー・フォンダ主演で作られたコミカルで味わい深い「ミスター・ノーボディ」('74)などの佳作・秀作を生み出した。

 レオーネ組の一員としては、「荒野の用心棒」の撮影監督だったマッシモ・ダラマーノがメガホンを取った「バンディドス」('67)が、レオーネ・スタイルを共に作り上げたダラマーノだからこそのスタイリッシュで壮絶なバイオレンス描写が素晴らしい秀作。特に冒頭の疾走する機関車に襲い掛かる盗賊軍団の凄まじいスタント演出は見事の一言に尽きる。命知らずのスタントマンたちの決死のアクション演技も去ることながら、それを追うカメラワークの計算し尽くされた様式美は大したもの。想像を絶するような大殺戮が繰り広げられた挙句、機関士を失い動かなくなる機関車。カメラは機関車の後部からゆっくりと車両の側面に沿って動き出していく。次々と映し出される乗客たちの無数の死体。その一つ一つが最期の瞬間を物語るように巧みに配置されており、その細部に渡る徹底したリアリズムに思わず唸ってしまう。
 映画監督としてのダラマーノはアバンギャルドなエロスやバイオレンス映画に手腕を発揮した人で、マカロニ・ウェスタンはこれ1本きりなのが非常に残念。

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弟子と宿命の対面をする老ガンマン(エンリコ・マリア・サレルノ)
「バンディドス」

機関車を舞台にした壮絶なる大虐殺シーン
「バンディドス」

 中期以降のマカロニ・ウェスタンで忘れてはならない存在が、アンソニー・アスコットことジュリアーノ・カルニメオと、フランク・クレイマーことジャンフランコ・パロリーニ。どちらも、エンターテイメントに徹したユニークで洒落の効いた西部劇を得意とした人物で、その作風はウェスタンの枠を超えた洒脱で粋なものだった。
 アンソニー・アスコットといえば、日本では奇妙なフリークス・ホラー「ラットマン」('88)の監督としても知られているが、もともとはコミカルな西部劇で名を上げた人。監督デビュー作(正確には共同監督)からして、イタリアで絶大な人気を誇ったコメディアン・コンビ、チッチョ&フランコ主演のパロディ西部劇“Due Figli di Ringo(リンゴの二人の息子)”('67)。続く“Il Momente di Uccidere(殺しの瞬間)”('68)と“Joe, Cercati un Posto per Morire(ジョー、死に場所を探せ)”('68)ではシリアスな西部劇を手掛けるが、その次に手掛けた“Sono Sartana, il Vostro Becchino(俺の名はサルタナ、死の天使)”('69)が大きな転機となった。どこからともなく現れ、何の見返りも求めずに悪人をバタバタと倒していくクールな謎のヒーロー、サルタナ。シリーズ2作目となる本作で、ジェームズ・ボンド映画ばりのスタイリッシュでユーモアの効いた演出を見せたアスコットは、以降次々とサルタナ・シリーズを手掛けることとなる(通算5本)。シリーズ5作目の「サルタナがやって来る/虐殺の一匹狼」('71)では、インディアン人形型ロボットにミサイル砲を仕掛けたり、鍵盤でメロディを奏でながら敵を砲撃するオルガン、すなわちオルGUN(?)で悪人を皆殺しにしたりと、そのユーモアのセンスは絶品。
 さらに、自ら創り上げたヒーロー、ハレルヤ(ジャンニ・ガルコ)が活躍する「荒野の無頼漢」('71)ではマシンガンならぬミシンガンやら自称ロシアの皇太子アレクセイ(チャールズ・サウスウッド)の放つバラライカ銃やら奇想天外な武器が次々と登場。しかも、このロシア人アレクセイときたら、敵に捕まって拷問を受けている最中に突然コサック・ダンスを踊りだし、無法者たちがドン引きして固まっているスキを狙って蹴飛ばしまくるというキチガイのような荒業を披露してくれる。さらには、尼僧服の下に武器を隠したガーターベルトを装着しているというお色気女スパイ(アガタ・フローリ)まで登場。ハレルヤを雇う革命軍の将軍(ロベルト・カマルディエル)にしたって、“今日からお前が中尉に昇格だ”、言われた部下が恐る恐る“先週は大尉でしたが・・・”と言うと、“そんなら大佐でいいだろ!”とブチ切れる非常にテキトーなオッサン。ジェームズ・ボンドというよりも、殆ど「ルパン3世」の世界。全編に渡って抱腹絶倒のアイディアが詰まった豪快なマカロニ・コメディに仕上がっていた。
 その後も70年代半ばまでに通算13本もの西部劇を手掛けたアスコットは、マカロニ・ウェスタンの衰退と共にホラーや近未来アクションなどを手掛けている。

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ミシンガンをぶっ放すハレルヤ(ジョージ・ヒルトン)
「荒野の無頼漢」

尼僧姿のセクシーな女スパイ(アガタ・フローリ)
「荒野の無頼漢」

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毒をもって毒を征す我らがサバタ(リー・バン・クリーフ)
「西部悪人伝」

ギター・ガンの名手バンジョー(ウィリアム・バーガー)
「西部悪人伝」

 さて、そのアンソニー・アスコットの名を一躍高めたサルタナ・シリーズ。その第1作目を手掛けたのがフランク・クレイマーだった。しかし、クレイマーといえばやはり黒づくめのニヒルなヒーロー、サバタが活躍する“サバタ3部作”を忘れてはならない。
 その第1作目が「西部悪人伝」('70)。銀行強盗を自作自演する街の権力者たちの陰謀を知った流れ者のガンマン、サバタ(リー・バン・クリーフ)が、曲者揃いの仲間どもと共にその大金を横取りしようとするドラマ。痛快なのは、悪知恵に長けた悪人どものさらに上を行くサバタのワルっぷり。それもシャレを効かせたテクニックで、まんまと権力者たちの鼻を明かしていく。まさに毒をもって毒を征すである。それでも、仲間たちにはきっちりと仁義を通す、素人衆を手にかけるワルには黙っちゃいない、という任侠映画さながらのヒーローぶりもまた愉快。マルチェロ・ジョンビーニによるポップでグルーヴィーな音楽も手伝って、実に気持ちの良い極上のエンターテイメントに仕上がっている。
 続く「大西部無頼列伝」('71)でサバタを演じるのはユル・ブリンナー。こちらのサバタ(別名インディオ・ブラック)は一転して寡黙でクールな一匹狼。メキシコ革命を背景に、オーストリア軍の資金を横取りしようと企む。さらに任侠映画風味を増したキザで一歩間違えると臭ってきそうなくらいにクサい演出が冴えまくり、思わず武者震いしてしまいそうなくらいにカッコいい。

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クールでニヒルな新生サバタ(ユル・ブリンナー)
「大西部無頼列伝」

ユル・ブリンナーとディーン・リード
「大西部無頼列伝」

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お洒落なめちゃワル親父サバタ(リー・バン・クリーフ)
「西部決闘史」

ゴージャスなヒロインを演じるアナベラ・インコントレッラ
「西部決闘史」

 そして3部作の最後を飾るのが「西部決闘史」('72)。やっぱりサバタはこの人でなくちゃ、と言わんばかりにリー・バン・クリーフが再登板。その憎めない粋なワルっぷりは、さらにパワーアップしている。オープニングからして、緊迫感溢れる銃撃戦転じて実はサーカス団の早撃ちショーでした、という人を喰った演出。今度は、町の住人の金を偽札とすり替えている権力者どもを、サバタがお得意の悪知恵を駆使して茶目っ気たっぷりに成敗してくれる。今回はイタリア映画ファンにはお馴染みの美人女優アナベラ・インコントレッラがお色気担当で仲間入り。それはもう賑やかで愉快な大活躍を繰り広げてくれる。
 ただ、マカロニ衰退後のクレイマーは作品に恵まれず、安手の歴史ソフト・ポルノ「カリギュラV」('84)や貧乏臭い冒険活劇「インカ帝国の謎」('87)といった低予算映画を数本残した末に消えていってしまった。

 その他、マカロニを語る上で重要な監督には、スペクタクル史劇時代から大量の娯楽映画を生み出したベテラン、ミケーレ・ルーポやマカロニで名を上げて70年代に数多くのポリス・アクションの名作を生んだエンツォ・G・カステラーリ、「皆殺しのジャンゴ/復讐の機関砲」('68)やリンゴ・スターが出演したマカロニ版“座頭市”「盲目ガンマン」('71)といったユニークなウェスタンを世に送り出したフェルディナンド・バルディ、テレンス・ヒル&バド・スペンサーのコンビで「風来坊」シリーズなど次々とコメディ・ウェスタンをヒットさせたE・B・クラッチャーことエンツォ・バルボーニ、そしてセルジョ・コルブッチの実弟であるブルーノ・コルブッチなどの名前が挙げられる。

 次に、マカロニ・ウェスタンを彩ったスターたちにスポットを当ててみたい。こちらも、イタリア出身の人気スターやハリウッドからやってきた往年のスターだけでなく、マカロニ・ブームにかこつけてアメリカやヨーロッパから一攫千金を求めてチネチッタにやってきた有象無象の俳優で溢れかえっていた。
 そんな彼らがのロール・モデルとなったのは、やはりクリント・イーストウッドだろう。もともとテレビの「ローハイド」で人気者になったはいいが、映画では全く伸び悩んでいたイーストウッドが「荒野の用心棒」で一躍国際的なスターとなったのは象徴的だった。彼の成功に刺激され、俺もいっちょイタリアへ行ってスターになって故郷に錦を飾るか・・・と考えたアメリカ人も多かった。タイ・ハーディン、エド・バーンズ、クレイグ・ヒル、ブレット・ハルセイといったハリウッドでは芽が出なかった役者が束の間のスターの座を享受したが、結局マカロニ・ブーム終焉後に残ったのはブレット・ハルセイだけだった。
 しかし、そのイーストウッドにしても、結局マカロニに出演したのはセルジョ・レオーネ監督による「荒野の用心棒」、「夕陽のガンマン」、「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」の3本だけ。マカロニを代表するスターとしてはちょっと弱い。

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フランコ・ネロ

ジュリアーノ・ジェンマ

 やはり、マカロニ・ウェスタンの生んだ最大のスターと言えば、フランコ・ネロであろう。「続・荒野の用心棒」で演じた“地に堕ちた英雄”ジャンゴ役で一世を風靡し、ルチオ・フルチ監督のバイオレンス・ウェスタンの佳作「真昼の用心棒」('66)やセルジョ・コルブッチ監督の「豹/ジャガー」に「ガンマン大連合」など、数多くの優れたマカロニ・ウェスタンに出演した。その絶大な人気を足がかりに、「天地創造」('66)や「キャメロット」('67)などでハリウッドでも活躍し、イタリアが誇る世界的な大スターとなったネロだったが、マカロニ・ブームが去った後もエンツォ・G・カステラーリによる異色のマカロニ・ウェスタン「ケオマ・ザ・リベンジャー」('77)やジャンゴ役に復帰した痛快なウェスタン・アドベンチャー「ジャンゴ/灼熱の戦場」('87)などに出演し、最後までマカロニの行く末を見守り続けた。“自分に成功をもたらしたものにツバを吐くようなマネをしちゃいけない”という彼の言葉は、多くの成功者が教訓とすべきものだろう。
 ちなみに、総勢50作以上の“ジャンゴ映画”が作られているが、ネロがジャンゴを演じたのは「続・荒野の用心棒」と「ジャンゴ/灼熱の戦場」の2本だけ。ドイツでは彼が出演しているだけでジャンゴという名前がタイトルに付けられていた。それだけジャンゴというキャラクターの人気は高く、シャンゴやらデュランゴといった類似ヒーローまで生み出される始末だった。

 そして、フランコ・ネロと並んでマカロニ・ウェスタン人気を牽引したのがジュリアーノ・ジェンマである。フランコ・ネロとは対照的な、爽やかで親しみやすい好青年。日本ではフランスのアラン・ドロンに匹敵するほどの人気を獲得したスターだった。ジャンゴと並ぶ人気キャラクターとなったリンゴ役を演じた出世作「夕陽の用心棒」('65・日本では劇場未公開)や日本での人気を決定付けた「荒野の1ドル銀貨」('65)、「南から来た用心棒」('66)、「星空の用心棒」('67)など、他のマカロニ・スターとは一味違った女性客の母性本能をくすぐるような魅力で人気を得た。
 その分、フランコ・ネロに比べると強烈な印象を残すような作品に恵まれてはいないが、リー・バン・クリーフとの共演で不幸な境遇の青年を好演した「怒りの荒野」などは、彼のナイーブで純朴な魅力が存分に生かされた代表作と言えるだろう。さらにコミカルなウェスタンが人気を博すようになると、これまた彼のライトでモダンな個性が時流とマッチし、「暁の用心棒」('68)や「荒野の大活劇」('69)のような痛快なウェスタンをものにした。
 中でも、悪役でも有名なマリオ・アドルフ扮する粗野だが正直な男とコンビを組む悪賢いお調子者ガンマンを演じた「暁の用心棒」は、後のテレンス・ヒル&バド・スペンサーによる“トリニティ・シリーズ”を先駆けたウェスタン・コメディの佳作。
 そして、ジェンマもまたフランコ・ネロと同じように、「復讐の用心棒」('77)、「新・復讐の用心棒」('78)、「魔境のガン・ファイター」('85)と、ブーム衰退後もマカロニ・ウェスタンというジャンルに忠誠を尽くし続けたのだった。

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ジュリアーノ・ジェンマとマリオ・アドルフの凸凹コンビ
「暁の用心棒」

マカロニに付き物の乱闘シーンも稀に見るほど豪快
「暁の用心棒」

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リー・バン・クリーフ

トーマス・ミリアン

 さて、海外組でマカロニを代表する顔となったのは、リー・バン・クリーフとトーマス・ミリアンの二人である。二人ともタイプこそ違うが、強烈でアクの強い個性を生かし、一筋縄ではいかない曲者どもが闊歩するマカロニ・ワールドで異彩を放ち続けた。
 リー・バン・クリーフは、もともとハリウッドで悪役スターとして鳴らした俳優だった。ながい下積み生活を経て、「OK牧場の決斗」('57)の悪役で注目を集めた。その強烈な顔が印象に残っていたレオーネによって「夕陽のガンマン」のイーストウッドのライバルである凄腕の賞金稼ぎ役に起用された。無言のままお尋ね者を倒すオープニングはしびれんばかりにカッコ良くてクール。画面に登場するだけで、ただ者ならぬ雰囲気を放っていた。以降、数多くのマカロニ作品に出演。「西部悪人伝」と「西部決闘史」で演じたサバタ役も最高にクールだった。
 こうして、すっかりマカロニ・ウェスタンの顔となったバン・クリーフは、すっかりイタリア映画界に馴染んでいき、その後もハリウッドとイタリアを行き来しながら1989年に亡くなるまで活躍を続けた。

 一方のトーマス・ミリアンは、ハバナ生まれのキューバ人。アメリカに移住し、舞台俳優として活躍していた。ジャン・コクトーの舞台に出演していたところを、名匠マウロ・ボロニーニに見出されてイタリアへ。オムニバス映画「ボッカチオ'70」('62)のルキノ・ヴィスコンティ監督のエピソードでロミー・シュナイダーの夫役を演じるなどして、着実にイタリア映画界でのキャリアを築いていった。そんな彼が初めて出演したウェスタンが「ガンクレイジー」('66)。さらに「復讐の用心棒」で無実の罪に問われるメキシコ人クチッロ役を演じて大いに人気を博した。

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死の世界から蘇るジャンゴ(トーマス・ミリアン)
「情無用のジャンゴ」

当時まだ17歳の初々しいレイモンド・ラブロック
「情無用のジャンゴ」

 そんな彼がフランコ・ネロに代わってジャンゴ役を演じたのが「情無用のジャンゴ」('67)。強盗団の仲間割れで半殺しの目にあったジャンゴが、土の中から姿を現すオープニングから、まるでホラー映画のような異様な雰囲気。奇跡的に蘇ったジャンゴが、自分を貶めた連中を次々と血祭りにあげていくわけだが、全編を通して壮絶な残酷シーンが非常に乾いたタッチで繰り広げられていく。ジャンゴを慕う美少年(レイモンド・ラブロック)との関係には同性愛的なムードまで漂う。個性的な作品の多いマカロニ・ウェスタンの中でも、特に異色作とも言える傑作だ。
 その後も、その強烈な個性を生かして「血斗のジャンゴ」や「ガンマン大連合」といった男臭いウェスタンに次々と出演。さらにベルナルド・ベルトルッチの「ルナ」('79)やミケランジェロ・アントニオーニの「ある女の存在証明」('82)といった巨匠の作品にも主演し、80年代後半以降はハリウッドに拠点を移して「ハバナ」('90)や「ネイルズ」('92)、「トラフィック」('00)などで渋いバイプレイヤーとして活躍し続けている。

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ジョージ・ヒルトン

ジャンニ・ガルコ

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アンソニー・ステファン

 その他、先述したようにマカロニ・ブームに便乗して名を売った役者は数多いが、その殆どはマカロニ・ブームの終焉と共に忘れ去られてしまった。そうした中でも、特に印象的な仕事を残しているスターをザッと紹介しよう。
 まず、「真昼の用心棒」で主人公フランコ・ネロと共に父の敵を取る腹違いの兄を好演したジョージ・ヒルトン。一部の資料では舞台出身のイギリス人などと言われているヒルトンだが、実はウルグアイ出身で本名をホルヘ・ヒルトンという。母国でファッション・モデルとして活躍し、訪れたイタリアで映画デビューを果たした。この「真昼の用心棒」が評判を呼び、「黄金の三悪人」('67)や「荒野の無頼漢」などで、孤独なヒーローから一筋縄ではいかないコミカルな役まで幅広くこなし、数多くのマカロニ・ウェスタンに主演した。日本ではその後の公開作がないが、イタリアではジャロ(猟奇サスペンス)やポリス・アクションでも優れた作品に幾つも出演している。

 人気キャラクター、サルタナ役で人気を得たジャンニ・ガルコは、イタリア映画ファンにはお馴染みのスター。「太陽の下の18歳」('62)や「狂ったバカンス」('62)でカトリーヌ・スパークの相手役を演じ、ハンサムな青春スターとして注目を集めた。その後、マカロニ・ウェスタンでも人気を得、戦争アクションからホラー、SFまで様々なジャンルの娯楽映画で活躍してきたイタリアの誇る人気スターである。90年代以降は数多くのテレビ・ドラマに主演し、いまだにイタリアでは絶大な人気を誇っている。

 こうしたスターに比べるとちょっと貧相ではあるが、「無宿のプロ・ガンマン」('66)や「砂塵に血を吐け」('67)など、実に多くのマカロニ・ウェスタンに主演したのがアンソニー・ステファン。本名をアントニオ・デ・テッフェという生粋のイタリア人。父親はフォーミュラ・ワンのチャンピオンで、デ・テッフェ家は男爵の爵位を持つ由緒正しい家系だった。少年時代には対ナチのパルチザンに参加し、戦後はヴィットリオ・デ・シーカ監督のメッセンジャー・ボーイから身を立てるという、なかなか骨のある人生を歩んでいる。
 その後、俳優に転じた彼は、スペクタクル史劇ブームに乗って名前を知られるようになり、マカロニ・ウェスタン・ブームの到来で人気スターとなった。俳優としては決して優れた才能があったとは言えないものの、英語からポルトガル語まで自在に操る教養豊かな役者として映画関係者からの信頼は厚かったようだ。

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静かに敵の墓標を立てる死神のようなジャンゴ
「Django il Bastardo」

冥府より蘇ったジャンゴは、さながら亡霊のよう
「Django il Bastardo」

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西部のマリア・マグダレーナ、アレテアを演じるラダ・ラシモフ
「Django il Bastardo」

十字架にかけられたならず者たち
「django il Bastardo」

 そんな彼の代表作と言えば、なんといっても自ら脚本まで手掛けた“Django il Bastardo(異形のジャンゴ)”('69)だろう。アメリカ公開タイトルを“Stranger's Gundown”というこの作品は、クリント・イーストウッドの「荒野のストレンジャー」の元ネタとも言われており、どこか怪奇映画のような不気味なムードが漂う。南北戦争の時代。南軍によって皆殺しにされた北軍の小隊。その一員だった男ジャンゴが、かつての南軍の指揮官たちの前に次々と現れて復讐を遂げる。残るは小さな町を牛耳っているロッド・マードック(パオロ・ゴツリーノ)のみ。マードックには、ルーク(ルチアーノ・ロッシ)という病弱だが狂犬のようにサディスティックな弟がいる。ルークの妻アレテア(ラダ・ラシモフ)は、そんなルークを大人しくさせるためにマードックが金で買い与えた女だ。しかし、アレテアは自暴自棄になっては罪なき町の住民を血祭りにあげるルークに強い嫌悪感を感じており、彼らの前に現れたジャンゴの存在に強く惹かれていく。まるで亡霊のごときジャンゴの醸し出す謎めいた不気味さ、マカロニ・ウェスタンでは珍しく意志の強い、さながら西部のマリア・マグダレーナ的魅力を放つアレテア、そしてクラウス・キンスキーも真っ青の狂人ぶりを発揮するルークと、登場人物の個性の強さもピカ一。全てのマカロニ・ファン必見の傑作である。
 マカロニ衰退後は、エログロ映画などに出演していたアンソニー・ステファンだが、80年代の始めにブラジルに居を移し、2004年7月4日ガンのためリオ・デジャネイロにて世を去った。

 また、マカロニ・コメディで活躍したテレンス・ヒルとバド・スペンサーのコンビも忘れてはなるまい。テレンス・ヒルは本名をマリオ・ジロッティというイタリア人で、ヴィスコンティ監督の「山猫」('63)などに出演していた。その風貌がフランコ・ネロにそっくりだったことから、「皆殺しのジャンゴ/復讐の機関砲」('68)のジャンゴ役に抜擢されてマカロニ・スターとなり、E・B・クラッチャー監督の「風来坊」('70)でタイトル・ロールの風来坊のガンマンを演じて国民的な大スターとなった。
 その相方のバド・スペンサーも、本名をカルロ・ペデルソーリというイタリア人。彼はもともと水泳の選手で、ヘルシンキ・オリンピックとメルボルン・オリンピックに出場した国民的英雄だった。チネチッタで撮影されたハリウッド映画「クオ・ヴァディス」('52)などに端役で出演していたが、マカロニ・ブームに乗って“Dio Perdona...Io no!(神は許しても・・・俺は許さん)”('67)や「野獣暁に死す」('68)などで巨体を生かした豪快な演技を見せ、たちまち人気スターとなった。そして、「風来坊」では風来坊の弟に悩まされるちょっと間抜けな兄の保安官を演じ、共演のテレンス・ヒルと共にスーパー・スターとなった。
 その後、西部劇だけでなくポリス・コメディ、アドベンチャー・コメディなどでも二人はコンビを組み、70年代のイタリア映画を代表する存在となった。

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フェルナンド・サンチョ

アルド・サンブレル

 さて、マカロニ・ウェスタンは主役だけではなく、脇役にもアクの強い個性的な面々が勢ぞろいをしていた。その代表格はスペイン人俳優フェルナンド・サンチョだろう。「南から来た用心棒」や「地獄のガンマン」('67)、「大西部無頼列伝」など数多くのマカロニ・ウェスタンで巨漢のメキシコ人を演じ、文字通りマカロニの名物男的存在だった。10年間の間に、実に53本ものマカロニ・ウェスタンに出演しているというから大したもの。
 同じく34本のマカロニに出演したスペイン人アルド・サンブレルも、セルジョ・レオーネの「夕陽のガンマン」や「ウエスタン」などで強烈な個性を発揮した悪役俳優だった。悪役と言えば、「続・荒野の用心棒」や「豹/ジャガー」などで悪徳権力者を憎々しげに演じたスペインの名優エドゥアルド・ファヤルドも忘れられない。一方、“サバタ3部作”でサバタと意気投合する巨漢のメキシコ人役を演じたスペイン人ペドロ・サンチェス(本名イグナチオ・スパッラ)も、マカロニには27本も出演している常連組だ。
 こうして見ると、ロケ場所がスペインだったために、マカロニ・ウェスタンの脇役はスペイン人俳優が多い事に気づく。

 その他、元ボディ・ビルダーでスペクタクル史劇の時代から活躍しているアメリカ人ゴードン・ミッチェルやホラー映画などでもお馴染みの2枚目スター、ジャコモ・ロッシ・スチュアート、「西部悪人伝」の曲芸士役が印象深いロバート・ハンダー(本名クラウディオ・ウンダリ)、悪役から主人公の味方まで幅広く演じたドイツ人俳優ウィリアム・バーガー、「皆殺しのジャンゴ/復讐の機関砲」の悪役が強烈だったドイツ人ホルスト・フランク、そしてレオーネの「ウェスタン」の冒頭で殺される農場主役や「殺しが静かにやって来る」の保安官役で強烈な印象を残したフランク・ウルフ、「続・夕陽のガンマン」でイーストウッドの兄役を演じて素晴らしかったルイジ・ピスティッリなども、マカロニ・ウェスタンを語る上で忘れられない役者だ。

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イヴリン・スチュアート

 最後に、マカロニ・ウェスタンの女優について触れておこう。基本的にマカロニ・ウェスタンは男のドラマゆえに、女性の出番は非常に少ない。その殆どが色添え的な役割と言っても過言ではないだろう。「ウエスタン」のクラウディア・カルディナーレは別格として、「荒野の用心棒」のマリアンヌ・コッホ、「続・荒野の用心棒」のロレダナ・ヌシアック、「情無用のジャンゴ」のマリル・トロ、そして“Django il Bastardo”のラダ・ラシモフ辺りが数少ない印象的な女優と言えるだろう。ラダ・ラシモフは「続・夕陽のガンマン」でも少ない出番ならが印象を残している。
 そうした中で、マカロニ・ウェスタン唯一の常連スター女優だったのがイヴリン・スチュアート。「荒野の1ドル銀貨」と「続・さすらいの一匹狼」でジェンマの恋人役を演じた他、数多くのマカロニで清楚なヒロイン役をこなした。彼女も本名をイーダ・ガリというイタリア人で、マカロニ以外でもアクション映画やホラー映画で日本の松原智惠子タイプのしっとりとした美女を演じている。
 その他、スペクタクル史劇のお姫様女優だったマリアンジェラ・ジョルダーノや、肉体派セクシー女優ロサルバ・ネリ、後にイタリアン・ホラーの女王となるエリカ・ブラン、名門出身のお嬢様女優ニコレッタ・マキャヴェッリなどが幾つものマカロニ・ウェスタンに顔を出しているが、やはり役柄的には添え物の域を出てはいない。

 こうして、マカロニ・ウェスタンの世界をざっと見てきたわけだが、改めてこうした作品を見ると、そのパワーというかバイタリティというか、賑々しいまでの男臭さや強烈なダイナミズム、奇想天外なアイディア、ずっしりと胸に突き刺さるメッセージなど、今のハリウッド製アクション映画が子供騙しにしか見えないくらいの迫力に漲っていた事がよく分かる。タランティーノやジョン・ミリアスなど、マカロニに影響を受けたハリウッドの映画監督も少なくないのも十分に納得出来るだろう。ジョン・ウーの映画が男の美学だと思っている若い映画ファンにこそ、是非とも見てもらいたいと思う。マカロニ荒野を駆け抜けた野獣どもは、そんな甘っちょろいもんじゃないのだ。

 

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夕陽のガンマン
For A Few Dollars More (1965)

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
The Good, The Bad and the Ugly(1966)

ウエスタン
Once Upo a Time in The West (1968)

星空の用心棒
I Lunghi Grioni della Vendetta (1967)

(P)2005 20th Century Fox (Japan) (P)2004 20th Century Fox (Japan) (P)2003 Paramout Home Ent.(Japan) (P)2003 SPO (Japan)
画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(日本盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chDTS・5.1chサラウンド・モノラル/音声:英語・日本語・イタリア語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/132分(本編)/製作:イタリア・スペイン・西ドイツ

映像特典
オリジナル劇場予告編
ドキュメンタリー「レオーネ・スタイルの開花」
イーストウッドが語る「夕陽のガンマン」
回想:レオーネへのオマージュ
アメリカ公開版について
復元「蘇ったイタリアン・スタイル」
ロケ地変遷
ラジオ・スポット集(12種)
フォト・ギャラリー
DVD仕様(日本盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chDTS・5.1chサラウンド・モノラル/音声:英語・日本語・イタリア語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/178分(本編)/製作:イタリア

映像特典
メイキング「レオーネの西部劇」
メイキング「レオーネの作風」
未公開シーン集
ドキュメンタリー「南北戦争の真実」
モリコーネの音楽と「続・夕陽のガンマン」
ドキュメンタリー「復活した完全版」
フランス版劇場予告編
ポスター・ギャラリー
隠しコマンド
オリジナル劇場予告編
批評家R・シッケルの音声解説

DVD仕様(日本盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド・モノラル/音声:英語・日本語/字幕:英語・日本語/地域コード:2/165分(本編)/製作:イタリア

映像特典
アレックス・コックス、ジョン・ミリアス、ジョン・カーペンター、ベルナルド・ベルトルッチ、クラウディア・カルディナーレらによる音声解説
ドキュメンタリー「銃撃のオペラ」
ドキュメンタリー「獅子の報酬」
ドキュメンタリー「死に急ぐ男たち」
「西部における鉄道発展の歴史」
ロケ地の変遷
プロダクション・ギャラリー
キャスト・プロフィール
オリジナル劇用予告編

DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:スペイン語/字幕:日本語/地域コード:2/90分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
英語版本編
ポスター&フォト・ギャラリー
日本公開当時パンフレット採録
スタッフ・キャスト解説
監督:セルジョ・レオーネ
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
    セルジョ・レオーネ
    フルヴィオ・モルセッラ
撮影:マッシモ・ダラマーノ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:クリント・イーストウッド
    リー・バン・クリーフ
    ジャン・マリア・ヴォロンテ
    ルイジ・ピスティッリ
    マリオ・ブレガ
    アントニオ・マリア・ロホ
    クラウス・キンスキー
    ローズマリー・デクスター
監督:セルジョ・レオーネ
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:セルジョ・レオーネ
    ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
    アージェ=スカルペッリ
撮影:トニーノ・デッリ・コッリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:クリント・イーストウッド
    リー・バン・クリーフ
    イーライ・ウォラック
    アルド・ジュッフェ
    マリオ・ブレガ
    チェロ・アロンソ
    ルイジ・ピスティッリ
    ラダ・ラシモフ
監督:セルジョ・レオーネ
製作:フルヴィオ・モルセッラ
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
    ダリオ・アルジェント
    セルジョ・レオーネ
撮影:トニーノ・デッリ・コッリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ヘンリー・フォンダ
    クラウディア・カルディナーレ
    ジェイソン・ロバーズ
    チャールズ・ブロンソン
    ガブリエル・フェルゼッティ
    パオロ・ストッパ
    フランク・ウルフ
    キーナン・ウィン
    ライオネル・スタンダー
    ジャック・イーラム
    ウッディ・ストロード
監督:スタン・ヴァンス(フロレスターノ・ヴァンチーニ)
製作:ルチアーノ・エルコーリ
    アルベルト・プリーゼ
脚本:フェルナンド・ディ・レオ
    アウグスト・カミニート
撮影:フランシスコ・マリン
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    フランシスコ・ラバル
    ガブリエラ・ジョルジェッリ
    コンラッド・サンマルティン
    ニヴェス・ナヴァッロ
    パヤリート
 マカロニ・ファン必携のアルティメット・エディション。やはり、レオーネの映画は高画質のワイド・スクリーンで見なければ意味がない。映像特典も満載で、イーストウッド自身が語るイタリア映画黄金期当時の撮影現場の様子やレオーネとの思い出話は必見。60年代のイタリアへと思いを馳せてしまいますねー。未公開シーンも興味深いし、映画のシーンと現在のロケ地の様子との比較も涙ものです。  これぞ情け容赦ない男のドラマ。男の美学。イタリア公開版にしか含まれていなかった未公開シーンを織り込んだ完全版を収録のアルティメット・エディション。特に、バン・クリーフ演じるセンテンサが賞金稼ぎに身を転じるまでの重要なエピソードが復活しているに注目したい。映像特典では、何といっても90歳近い名優イーライ・ウォラックの矍鑠たるインタビューが見もの。こんなカッコええ爺さんになりたいもんです。  全人類必携のマカロニ・バイブル。まさに一家に一セット置いておきたい2枚組DVDですね。細部のディテールにまでこだわったワイドスクリーンの映像、ハエの音ひとつまで演出に取り入れた巧みなサウンド、高画質・高音質で見なけりゃ意味なしです。そして、この役者連中の個性豊かな顔、顔、顔!大好きな名優キーナン・ウィンまで登場するのは涙ものですわ。映像特典には老いてもゴージャスなカルディナーレが登場!  アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」の舞台を開拓時代のメキシコ国境周辺に移した悲壮感溢れる復讐劇。トロバヨーリによる哀愁のトランペットが渋い!そして、瀕死の主人公による、まるで忍者の手裏剣のような技が決まるクライマックスのカタルシス。スペインの誇る名優フランシスコ・ラバル演じる保安官の強烈なこと!アクション監督として名を馳せるディ・レオとホラー映画の製作者カミニートの脚本が光ります。

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続・さすらいの一匹狼
Adios Gringo (1965)

怒りの用心棒
Il Prezzo del Potere(1969)

帰って来たガンマン
Un Fiume di Dollari (1966)

さすらいのガンマン
Navajo Joe (1966)

(P)2003 SPO (Japan) (P)2003 SPO (Japan) (P)2002 Stingray (Japan) (P)2002 Stingray (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 画質★★★☆☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語/地域コード:2/94分(本編)/製作:イタリア・スペイン・フランス

映像特典
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
日本公開時パンフレット採録
スタッフ・キャスト解説
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語/地域コード:2/109分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
オリジナル劇場予告編
「鉄人長官」予告編
スタッフ・キャスト解説
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編
監督:ジョージ・フィンレイ(ジョルジョ・ステガーニ)
製作:ブルーノ・トゥルケット
脚本:ホセ・ルイス・ヘレス・アローサ
    ジョルジョ・ステガーニ
撮影:フランシスコ・センペレ
音楽:ベネデット・ギリア
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    イヴリン・スチュアート(イダ・ガリ)
    ピーター・クロス(ピエル・クレソイ)
    ロベルト・カマルディエル
    テッド・カーター(ネロ・パザフィニ)
   マックス・ディーン(マッシモ・リギ)
監督:トニーノ・ヴァレリ
製作:ビアンコ・マニーニ
脚本:マッシモ・パトリッツィ
撮影:フランコ・フラティチェッリ
音楽:ルイス・エンリケ・バカロフ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    フェルナンド・レイ
    ヴァン・ジョンソン
    ホセ・スアレス
    アントニオ・カサス
    ウォーレン・ヴァンダース
    マノロ・ザルゾ
監督:リー・V・ビーヴァー(カルロ・リッツァーニ)
製作:エルマンノ・ドナーティ
    ルイジ・カルペンティエリ
脚本:マリオ・ピエロッティ
撮影:トニー・セッキ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:トーマス・ハンター
    ヘンリー・シルヴァ
    ダン・デュリエ
    ニコレッタ・マキャヴェッリ
    ジャンナ・セラ
    ナンド・ガッツォーロ
監督:セルジョ・コルブッチ
製作:エルマンノ・ドナティ
    ルイジ・カルペンティエリ
脚本:マリオ・ピエロッティ
    フェルナンド・ディ・レオ
撮影:シルヴァーノ・イポリッティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:バート・レイノルズ
    アルド・サンブレル
    ニコレッタ・マキャヴェッリ
    フェルナンド・レイ
    フランカ・ポレセロ
    タニア・ロパート
 牛泥棒の濡れ衣を着せられた上に、正当防衛にも関わらず殺人犯として追われる身となった男の復讐劇。これぞマカロニといった感じの王道ですね。冒頭からかなり強引なストーリー展開で、いくらなんでもそんな理不尽はねえだろとはいうものの、何でもありなのがマカロニ・ワールド。ジェンマの華麗なガン・プレイも見応えありです。強姦された上に荒野に野ざらしにされていたところをジェンマに救われるヒロイン役のイヴリン・スチュアートも美しい!  シリアスなマカロニを撮らせたら天下一品のトニーノ・ヴァレリによるポリティカル・ウェスタンの異色作。ダラスを舞台にした大統領暗殺事件の真相を探るジェンマ扮するガンマンの物語を通じて、JFK暗殺事件の背景にあると思われる巨悪の存在を暴く。スケープゴートにされる黒人青年、人種差別丸出しの保安官たちなど、社会批判精神も鋭い1本。大統領役にヴァン・ジョンソンというのもいいキャスティングだが、フェルナンド・レイの存在感はさらに上を行く。  「黄色い大地」や「山いぬ」といった左翼系の社会派映画を数多く生み出した名匠カルロ・リッツァーニによる復讐ウェスタン。金こそが人間を堕落させる諸悪の根源とばかりに、巨万の富を得て町を牛耳る冷酷なボスとなったかつての親友ケンに人生をむちゃくちゃにされた主人公ジェリーが怒りの拳銃をぶっ放す。ケンの手下である殺し屋を演じるヘンリー・シルヴァの凶悪さ、そしてジェリーを助ける謎の男ゲッツ役を演じるハリウッドの名優ダン・デュリエが秀逸。  インディアン村の大虐殺から幕を開ける異色ウェスタン。インディアンの頭皮を売って金を稼いでいるならず者集団に、インディアンの青年ジョーが復讐を誓う。アメリカの歴史はすなわちインディアン受難の歴史。インディアンを理不尽に虐げて作られたアメリカという国の側面を赤裸々に描く気骨溢れるバイオレンス・ウェスタン。マカロニの名物悪役アルド・サンブレルが大活躍しまくります。レイノルズも若い!そして、テンション上がりまくりのモリコーネの音楽も最高!

HYOU_JAGGAR.JPG DJANGO.JPG DJANGO_KILL.JPG RUN_MAN_RUN.JPG

豹/ジャガー
El Mercenario (1968)

続・荒野の用心棒
Django (1966)

情無用のジャンゴ
Django Kill...If You Live, Shoot (1967)

続・復讐のガンマン
Run Man Run (1968)

(P)2002 Stingray (Japan) (P)2002 Blue Underground (USA) (P)2002 Blue Undergounr (USA) (P)2002 blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/106分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/90分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
バイオグラフィー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/117分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/121分(本編)/製作:イタリア・フランス

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー
ドキュメンタリー「イタリア式西部劇」
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
イタリア公開版メイン・タイトル
バイオグラフィー
監督:セルジョ・コルブッチ
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
    セルジョ・コルブッチ
    セルジョ・スピーナ
    ジョルジョ・アルロリオ
    アドリアーノ・ボルゾーニ
撮影:アレアンドロ・ウロア
音楽:エンニオ・モリコーネ
    ブルーノ・ニコライ
出演:フランコ・ネロ
    トニー・ムサンテ
    ジャック・パランス
    ジョヴァンナ・ラッリ
    エドゥアルド・ファヤルド
    フリオ・ペニャ
    ブルーノ・コラッツァーリ
製作:セルジョ・コルブッチ
製作:マノロ・ボロニーニ
    セルジョ・コルブッチ
脚本:フランコ・ロセッティ
    ブルーノ・コルブッチ
    セルジョ・コルブッチ
撮影:エンツォ・バルボーニ
音楽:ルイス・エンリケ・バカロフ
出演:フランコ・ネロ
    ロレダナ・ヌシアク
    エドゥアルド・ファヤルド
    ホセ・ボダロ
    アンヘル・アルヴァレス
   ジミー・ダグラス(ジノ・ペルニチェ)
    シモン・アリャーガ
監督:ジュリオ・クエスティ
製作:ジュリオ・クエスティ
脚本:フランコ・アルカッリ
    ジュリオ・クエスティ
撮影:フランコ・デリ・コリ
音楽:イワン・ヴァンドール
出演:トーマス・ミリアン
    マリルー・トロ
    ロベルト・カマルディエル
    ピエロ・ルッリ
    ミロ・クエサダ
    パコ・サンス
    レイモンド・ラヴロック
    パトリツィア・ヴルトゥッリ
監督:セルジョ・ソリーマ
製作:アルヴァロ・マンコリ
    アンナ・マリア・シュレティエン
脚本:セルジョ・ソリーマ
    ファブリツィオ・デ・アンジェリス
撮影:グリエルモ・マンコリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
    ブルーノ・ニコライ
出演:トーマス・ミリアン
    ジョン・アイアランド
    ドナルド・オブライエン
    リンダ・ヴェラス
    ホセ・トーレス
    マルコ・グリエルミ
    エドワード・ロス(ルチアノ・ロッシ)
 コルブッチによる通称“革命3部作”の第1弾。金のためなら大富豪にも貧乏人も武器を売る商人によって革命軍のリーダーに祭り上げられる無教養なメキシコ人。虐げられた庶民を解放する革命すらをも操る金の力。そして、革命という名の大義名分と表裏一体の人間の欲望。町を開放した革命軍にジョヴァンナ・ラッリ(美しい!)扮するヒロインが言い放つ“あんたたちが去ったらどうなるの?政府軍に復讐されて、元の木阿弥よ”というセリフが象徴的だ。  マカロニ・ウェスタン名物である孤高のヒーロー、ジャンゴを生んだ記念すべき傑作。全編を覆う陰鬱なまでの終末感、欲と泥と血と汗にまみれた過酷な生存競争。コルブッチにとっても代表作と呼べる1本。このアメリカ盤はローマで発見されたオリジナルのカメラ・ネガを元に2年の歳月をかけて修復されたもの。部分的に保存状態が違ったのか、汚れの目立つシーンと驚くくらいに鮮明なシーンとの落差が激しい。とはいえ、全般的には素晴らしい仕上がり。  まさにホラー・ウェスタンとも言うべき、異様な雰囲気を持ったバイオレンス・ウェスタンの傑作。監督は「殺しを呼ぶ卵」というシュールでシニカルな社会派ホラーの問題作を撮ったジュリオ・クエスティ。実は、「風来坊」シリーズなどを製作したプロデューサー、イタロ・ザンガレッリの別名だったりする。70年代に日本でも美形スターとして人気を得るレイモンド・ラヴロックがまだ初々しい。映像特典ではミリアンとラヴロックが出てきて、当時の思い出を語ってくれる。  トーマス・ミリアンがお調子者のメキシコ人クチッロを演じる「復讐のガンマン」の正式な続編。鉄火肌のフィアンセ(リンダ・ヴェラス好演)とのやり取りは抱腹絶倒。出所したクチッロに会うなり手の平で一発。プレゼントをくれるという彼に一言“本当に買ったの?”バイオレンスとユーモアが絶妙にブレンドされた佳作です。ただ、惜しむらくは保安官役のドナルド・オブライエンのキャラの弱さ。本来ならリー・バン・クリーフがやるべき役だったろう。満載の映像特典も最高!

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ハチェット無頼
Mannaja (1977)

The Last Gun (1964)

復讐のガンマン・ジャンゴ
W Django! (1971)

The Strangers Gundown
Django il Bastardo (1969)

(P)2002 Blue Underground (USA) (P)2003 Dorado Films (USA) (P)2005 Dagored (Italy) (P)2002 VCI Entertainment (USA)
画質★★★★☆ 音質:★★★☆☆ 画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/96分(本編)/製作:イタリア

映像特典
セルジョ・マルティーノ監督インタビュー
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
バイオグラフィー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/98分/製作:イタリア

映像特典

DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/80分/製作:イタリア

映像特典

DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/99分/製作:イタリア・スペイン

映像特典
劇場予告編集
監督:セルジョ・マルティーノ
製作:ルチアーノ・マルティーノ
脚本:サウロ・スカヴォリーニ
    セルジョ・マルティーノ
撮影:フェデリコ・ザンニ
音楽:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
出演:マウリツィオ・メルリ
    ジョン・スタイナー
    フィリップ・ルロワ
    ソーニャ・ジャニー
    マルティーヌ・ブロシャール
    ドナルド・オブライエン
    リク・バッタリア
監督:セルジョ・ベルゴンゼッリ
製作:エリド・ソレンティーニ
脚本:アンブロジオ・モルテ^ニ
撮影:アメリゴ・ジェンガレッリ
    ロモロ・ガローニ
音楽:マルチェッロ・ギガンテ
出演:キャメロン・ミッチェル
    カール・モーナー
    チェリーナ・チェリー
    キティ・カーヴァー
    リヴィオ・ロレンツォン
監督:エドワード・G・ミュラー
    (エドゥアルド・ムラルギア)
製作:サルヴァトーレ・クロチェッラ
脚本:ニノ・ストレーサ
撮影:マルチェッロ・マスチオッキ
音楽:ピエロ・ウミリアーニ
出演:アンソニー・ステファン
    (アントニオ・デ・テッフェ)
    ステリオ・カンデッリ
    クリス・アヴラム
    グラウコ・オノラート
    シモーネ・ブロンデル
    エスメラルダ・バロス
監督:セルジョ・ガローネ
製作:ピノ・デ・マルティーノ
脚本:セルジョ・ガローネ
    アントニオ・デ・テッフェ
撮影:ジーノ・サンティーニ
音楽:ヴァスコ&マンクーソ
出演:アンソニー・ステファン
    (アントニオ・デ・テッフェ)
    ラダ・ラシモフ
    パオロ・ゴズリーノ
    ルー・カメンケ
    テオドーロ・コッラ
    リカルド・ガローネ
 70年代にイタリアで絶大な人気を誇ったマウリツィオ・メルリ主演によるマカロニ・ウェスタン末期の佳作。セルジョ・マルティーノらしいワイルドでスプラッターな残酷シーン満載で、全盛期のマカロニ特有のスタイリッシュな美学にはちょっと欠ける。しかし、このマウリツィオ・メルリという人、フランコ・ネロに似てるからという理由で人気だったらしいが、どうもネロを間延びさせたような間抜け面が苦手なんだよなあ・・・。逆に悪役のスタイナーが、お馴染みのニューロティックな魅力を発揮していて面白い。  ハリウッドのB級映画スター、キャメロン・ミッチェルが、二度と銃を手にしない事を誓った元凄腕のガンマンを演じる作品。で、無法者に困っている人々を見捨てることが出来ずに、再び銃を握る・・・というわけですな。殆ど40年代〜50年代のハリウッド製B級ウェスタンのノリで、マカロニらしさは微塵も感じられない。それもそのはず、「荒野の用心棒」が封切られる以前に作られた作品で、正統派ハリウッド・ウェスタンのスタイルを踏襲しているのだ。そういった意味では興味深いが、面白くはない作品。  愛する女を殺されたジャンゴが、犯人である三人の無法者を追う。馬泥棒の男カランザを絞首刑から救ったジャンゴは、彼が犯人を知っていることからコンビを組む事にする。しかし、ジャンゴも知らない4人目の犯人が存在した・・・。マカロニらしい通俗的な復讐劇に、ユニークなどんでん返しを加えた作品。ピエロ・ウミリアーニによる血沸き肉躍る勇壮なテーマ曲が印象的。しかし、このイタリア製DVDは画質が非常に難あり。音声もセリフはちゃんと聞き取れるものの、ヒス・ノイズだらけ。  「続・悪魔の生体実験」、「ナチ卍第三帝国/残酷女収容所」など70年代にナチもの・女囚ものなどのエログロ映画で悪名を轟かせたセルジョ・ガローネ監督によるゴースト・ファンタジー風のウェスタン。ガローネにとっても、主演・脚本をこなすアンソニー・ステファンにとっても最高傑作と呼んでいい出来栄え。あのガローネが・・・と、違った意味で驚愕してしまう異色作です。中でも、生身の人間なのか亡霊なのか最後までハッキリしないジャンゴの存在は、ある意味でスーナーパチュラルな魅力を放っている。

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復讐のジャンゴ・岩山の決闘
Django Shoots First (1966)

Bullet for Sandoval (1969)

西部悪人伝
Sabata (1970)

大西部無頼列伝
Adios, Sabata (1971)

(P)2005 2 Entertain Video (UK) (P)2002 VCI Entertainment (USA) (P)2002 Stingray (Japan) (P)2002 Stingray (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(イギリスPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:2/92分/製作:イタリア

映像特典
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/91分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編
バイオグラフィー
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/107分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編

DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/106分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編

監督:アルベルト・デ・マルティーノ
製作:エドモンド・アマティ
    マウリツィオ・アマティ
脚本:サンドロ・コンティネンザ
    マッシモ・カプリッチョーリ
    ヴィンチェンツォ・フラミーニ
    ティト・カルピ
    ジョヴァンニ・シモネッリ
撮影:リカルド・パロッティーニ
音楽:ブルーノ・ニコライ
出演:グレン・サクソン
    フェルナンド・サンチョ
    イヴリン・スチュアート
    ナンド・ガッツォーロ
    エリカ・ブラン
    ホセ・マヌエル・マルティン
    アルベルト・ルーポ
監督:フリオ・ブクス
    ルチオ・フルチ(クレジットなし)
製作:エリオ・スカルダマリア
    ウーゴ・ゲッラ
脚本:ホセ・マロルキ
    フェデリコ・デ・ウルティア
撮影:フランシスコ・センペレ
音楽:ジャンニ・フェリオ
出演:アーネスト・ボーグナイン
    ジョージ・ヒルトン
    アルベルト・デ・メンドーザ
    アナベラ・インコントレッラ
    グスタフォ・ロホ
    マヌエル・ミランダ
    ホセ・マヌエル・マルティン
監督:フランク・クレイマー
    (ジャンフランコ・パロリーニ)
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:ジャンフランコ・パロリーニ
    レナート・イッツォ
撮影:サンドロ・マンコリ
音楽:マルチェロ・ジョンビーニ
出演:リー・バン・クリーフ
    ウィリアム・バーガー
    フランコ・レアッセル
    リンダ・ヴェラス
    ロバート・ハンダー
    (クラウディ・ウンダリ)
    ペドロ・サンチェス
    ジャンニ・リッツォ
監督:フランク・クレイマー
    (ジャンフランコ・パロリーニ)
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:ジャンフランコ・パロリーニ
    レナート・イッツォ
撮影:サンドロ・マンコリ
音楽:ブルーノ・ニコライ
出演:ユル・ブリンナー
    ディーン・リード
    ペドロ・サンチェス
    ジャンニ・リッツォ
    ジョセフ・ペルソー
    スーザン・スコット
    (ニヴェス・ノヴァロ)
    サル・ボルゲーゼ
 ドラマティックなオープニングが好きな一本。荒野の真ん中で焚き火をして飯を食っているジャンゴ。お尋ね者死体を乗せた馬を引いてくる賞金稼ぎ。食事をご馳走するジャンゴだったが、そのお尋ね者こそジャンゴの父親だった。賞金稼ぎに銃を向けるジャンゴ。“息子まで殺すつもりはない”という賞金稼ぎ。実に皮肉なめぐり合わせだ。監督はアクションからホラーまで何でもござれのアルベルト・デ・マルティーノ。手堅い仕上がりだ。まだ初々しいデビュー当時のエリカ・ブランも魅力的。  マカロニ版“ロミオとジュリエット”といった感じですか。ルチオ・フルチがノー・クレジットで演出に協力していらしいが、恐らく冒頭の死体漁りシーン辺りでしょうか。子供を身篭った恋人が、コレラにかかって死んでしまうかもしれないという知らせを受けた主人公ジョンが、軍規を破って故郷に帰る。恋人の父親は娘を孕ませたジョンを憎悪しており、二人の仲を徹底的に邪魔しようとする。追われる身となり、恋人にすら会うことのできないジョンは・・・。ということで、父親役のボーグナインが強烈。それだけ。  まるでベンチャーズのようなポップでグルーヴィーなテーマ曲に思わずワクワクさせられる痛快娯楽ウェスタンの傑作!シャレの分かる粋でいなせな極道ガンマン、サバタが、銃と悪知恵を駆使して薄汚い金持ちや権力者どもを成敗する。クールで洒脱なバン・クリーフもいいが、気風のいい熊さんのようなならず者オヤジ、ペドロ・サンチェスにキザなバンジョー弾きウィリアム・バーガー、無口でハンサムな曲芸士ロバート・ハンダーと、脇のキャラクターも揃って魅力的。全ての映画ファンにオススメです!  リー・バン・クリーフとは一味違ったタフでクールなサバタを演じるのはユル・ブリンナー。随所に粋なジョークを散りばめたスタイリッシュな演出は相変わらずだが、個人的にはやっぱりサバタといえばリー・バン・クリーフかな・・・。本作でも、サバタは別名をインディオ・ブラックと呼ばれているし、別物と考えたほうがいいのかもしれない。そんなサバタにくっつく切れ者のペテン師を演じるのは60年代のアメリカのロックンロール・スター、ディーン・リード。その後、東ドイツに移住し、86年に変死を遂げた。

RETURN_OF_SABATA.JPG BADMANS_RIVER.JPG

西部決闘史
Return of Sabata (1972)

無頼プロフェッショナル
Bad Man's River (1971)

(P)2002 Stingray (Japan) (P)1997 Master Movies (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・日本語/字幕:日本語/地域コード:2/106分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
オリジナル劇場予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語/字幕:日本語/地域コード:ALL/90分(本編)/製作:スペイン・イタリア・フランス

映像特典
バイオグラフィー
監督:フランク・クレイマー
    (ジャンフランコ・パロリーニ)
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:ジャンフランコ・パロリーニ
    レナート・イッツォ
撮影:サンドロ・マンコリ
音楽:マルチェロ・ジョンビーニ
出演:リー・バン・クリーフ
    ライナー・ショーン
    アナベラ・インコントレッラ
    ジャンニ・リッツォ
    ジャンピエロ・アルベルティーニ
    ジャクリーヌ・アレクサンドレ
    ペドロ・サンチェス
    ヴァッシリ・カリス
    クラウディオ・ウンダリ
監督:エウジェニオ・マルティン
製作:バーナード・ゴードン
脚本:フィリップ・ヨーダン
    エウジェニオ・マルティン
撮影:アレアンドロ・ウロア
音楽:ワルド・デ・ロス・リオス
出演:リー・ヴァン・クリーフ
    ジーナ・ロロブリジーダ
    ジェームズ・メイソン
    シモン・アンドリュ
    ジャンニ・ガルコ
    エドゥアルド・ファヤルド
    ディアナ・ロリス
    アルド・サンブレル
    ダニエル・マーティン
 やっぱサバタはリー・バン・クリーフでなくちゃね!1作目の荒唐無稽で愉快なお遊びセンスを取り戻した、最高にイカした任侠ウェスタン・コメディの傑作!今回はセクシー美女も加わり、より一層華やかで痛快なアクション&ガンプレイが繰り広げられる。ただ、サバタに弟子入りする若者を演じるライナー・ショーンは線が細すぎ。もうちょっと前だったら、ジュリアーノ・ジェンマ辺りが適役だったろう。ジョンビーニの音楽は最高!  まさしくこれはウェスタン版「黄金の七人」!西部を舞台にした、お洒落で粋な泥棒アクション・コメディですな。酔っ払った神父が思わず懐からサイコロを落としてしまうなど、細かいギャグも素敵です。そして、ロッサナ・ポデスタや峰不二子も真っ青なセクシー美女泥棒ジーナ・ロロブリジーダ。ゲーム感覚で敵も味方も欺く憎めない悪女ぶりが最高。監督はスペインの名職人エウジェニオ・マルティン。マカロニ・ファン必見。

ガンマン必修マカロニ聖書「必殺篇」(4枚組ボックス・セット)

YAJU_AKATSUKINI_SISU.JPG KOROSHIGA_SIZUKANI.JPG MOUMOKU_GUNMAN.JPG AVEMARIA_NO_GUNMAN.JPG

野獣暁に死す
Oggi a Me Domani a Te! (1968)

殺しが静かにやって来る
Il Grande Silenzio (1968)

盲目ガンマン
Blindman (1971)

アヴェ・マリアのガンマン
Il Pistolero dell' Ave Maria (1970)

(P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語/地域コード:2/91分(本編)/製作:イタリア

映像特典
トニーン・チェルビ監督インタビュー
英語版オープニング
劇場予告編集(2本)
ポスター&フォト・ギャラリー
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/106分(本編)/製作:イタリア・フランス

映像特典
セルジョ・コルブッチ未亡人インタビュー
もうひとつのエンディング
劇場予告編集(2本)
ポスター&フォト・ギャラリー
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・英語・イタリア語/地域コード:2/101分(完全版)・84分(国際版)/製作:イタリア・アメリカ

映像特典
フェルディナンド・バルディ監督インタビュー
劇場予告編集(2本)
ポスター&フォト・ギャラリー

DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/80分(本編):製作:イタリア・スペイン

映像特典
フェルディナンド・バルディ監督インタビュー
劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー

監督:トニーノ・チェルヴィ
脚本:ダリオ・アルジェント
    トニーノ・チェルヴィ
撮影:セルジョ・ドフィッツィ
音楽:
アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ
出演:ブレット・ハルセー
    バド・スペンサー
    ウェイド・プレストン
    仲代達矢
    ウィリアム・バーガー
    ジェフ・キャメロン
    スタンリー・ゴードン(F・ボレリ)
    ダイアナ・マディガン(ダナ・ギア)
監督:セルジョ・コルブッチ
脚本:セルジョ・コルブッチ
    ヴィットリアーノ・ペトリッリ
    マリオ・アメンドーラ
    ブルーノ・コルブッチ
撮影:シルヴァーノ・イポリッティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジャン=ルイ・トラティニャン
    クラウス・キンスキー
    ヴォネッタ・マギー
    フランク・ウォルフ
    ルイジ・ピスティッリ
    マリオ・ブレガ
    マリサ・メルリーニ
監督:フェルディナンド・バルディ
製作:トニー・アンソニー
    アレン・クレイン
    サウル・スイマー
脚本:トニー・アンソニー
    ヴィンチェンツォ・チェラーミ
撮影:リカルド・パロッティーニ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:トニー・アンソニー
    リンゴ・スター
    ロイド・バティスタ
    マグダ・コノプカ
    ラフ・バルダッサーレ
監督:フェルディナンド・バルディ
製作:マノロ・ボロニーニ
脚本:フェルディナンド・バルディ
    ヴィンチェンツォ・チェラミ
    フェデリコ・デ・ウルティア
    マリオ・ディ・ナルド
撮影:マウロ・モントゥーリ
音楽:ロベルト・プレガディオ
出演:レオナード・マン
    ルチアナ・パルッツィ
    アルベルト・デ・メンドーザ
    ピラール・ヴェラスケス
    ピエロ・ルッリ
    ルチアーノ・ロッシ
 仲代達矢が極悪メキシコ人を怪演する異色ウェスタン。黒澤明へのオマージュという割にはちょっと小ぢんまりまとまってしまった気がしないでもないが、全編を包む寒々とした雰囲気はなかなか捨てがたい。復讐を企む主人公が、腕利きの無法者たちをスカウトして集めていくというストーリーも、なるほど「7人の侍」のバリエーションとして楽しめる。ちなみに、主演のブレット・ハルセーはアメリカからの出稼ぎを恥じて、ここではモンゴメリー・フォードの変名を使用している。  哀切感に満ちた勇壮で美しいモリコーネの音楽が強烈な印象を残す傑作マカロニ・ウェスタン。このペシミズム!この憤り!一度見たら一生忘れることの出来ない素晴らしい作品です。まるで殉教者のような主人公サイレンスを「男と女」でも有名なフランスの名優ジャン=ルイ・トラティニャンが演じる・・・というだけでも、ただものじゃないですよね。そして、極悪な賞金稼ぎを演じるクラウス・キンスキー。この狂犬ぶりときたら!出色の当たり役です。願わくば、もう少し画質の良い状態で見たいもの。  “西部の座頭市”とも言うべき盲目のガンマンが大活躍する奇想天外なスペクタクル・ウェスタン・アクション。このブラインドマンが、炭鉱夫たちの花嫁50人を鉱山へ送り届けるという仕事を引き受けるのだが、彼女らを売春婦として売り飛ばそうと画策する山賊一味に奪われてしまう・・・という、美女軍団争奪戦が繰り広げられる。主演・製作・脚本を手掛けるのはトニー・アンソニー。一時期マカロニで活躍したアメリカ人だが、俳優としてはとにかく貧相で存在感がない。リンゴ・スターの方がイケてます。  70年代にポリス・アクションで活躍したレオナード・マーティンことレオナルド・マンゼッラ主演の復讐ものウェスタン。この人、ジュリアーノ・ジェンマとジョージ・ヒルトンを足して割ったようなイメージで、好感は持てるものの印象に残らない人なんですよね。彼に助けられるガンマンを演じるアルベルト・デ・メンドーザの方が渋い存在感のある2枚目で、いい味を出しています。元ボンド・ガールのルチアナ・パルッツィが主人公の母親役。全体的に昼メロ調の愛憎入り乱れる家族ドラマ的内容なのが面白い。

ガンマン必修マカロニ聖書「叛逆篇」(4枚組ボックス・セット)

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怒りの荒野
I Giorni dell'Ira (1967)

バンディドス
Bandidos (1967)

ガンマン大連合
Vamos a Matar Companeros (1970)

増える賞金、死体の山
Campa Carogna...la Taglia Cresce (1973)

(P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★★☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆

DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語/地域コード:2/112分(イタリア版)・83分(アメリカ版)/製作・イタリア・アメリカ

映像特典
イタリア版&アメリカ版収録
ジュリアーノ・ジェンマ インタビュー
劇場予告編
ポスター&フォト・ギャラリー
スタッフ&キャスト紹介
コラム収録

DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/91分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ インタビュー
劇場予告編
ポスター&フォト・ギャラリー
スタッフ&キャスト紹介
コラム収録
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語/地域コード:2/120分(本編)/製作:イタリア

映像特典
フランコ・ネロ インタビュー
セルジョ・コルブッチ監督未亡人インタビュー
劇場予告編(3本)
ポスター&フォト・ギャラリー
スタッフ&キャスト紹介
撮影現場に現れたUFO映像
コラム収録
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/86分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ジャンニ・ガルコ インタビュー
ニコ・フィデンコ インタビュー
劇場予告編(3本)
ポスター&フォト・ギャラリー
スタッフ&キャスト・インタビュー
コラム収録
監督:トニーノ・ヴァレリ
製作:アルフォンソ・サンソーネ
脚本:エルネスト・ガスタルディ
    トニーノ・ヴァレリ
撮影:エンツォ・セラフィン
音楽:リズ・オルトラーニ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    リー・ヴァン・クリーフ
    ワルター・リラ
    クリスタ・リンデール
    ピエロ・ルッリ
    イヴォンヌ・サンソン
    アンドレア・ボシック
監督:マッシモ・ダラマーノ
製作:ソリー・ビアンコ
脚本:ロマノ・ミリオーリ
    フアン・コボス
    ジョヴァン・バティスタ・ムセット
撮影:エミリオ・フォリスコット
音楽:エジスト・マッキ
出演:エンリコ・マリア・サレルノ
    テリー・ジェンキンス
    ルイジ・ピスティッリ
    クリス・フエルタ
    ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ
    マルコ・グリエルミ
監督:セルジョ・コルブッチ
製作:トニーノ・モレッリ
脚本:ディノ・マイウリ
    マッシモ・デ・リータ
    フリッツ・エバート
    セルジョ・コルブッチ
撮影:アレハンドロ・ウロア
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:フランコ・ネロ
    トーマス・ミリアン
    ジャック・パランス
    フェルナンド・レイ
    エドゥアルド・ファヤルド
    アイリス・バルベン
監督:ジュゼッペ・ロサティ
脚本:エンリケ・ロヴェット
    カール・レオ
    ジュゼッペ・ロサティ
撮影:ゴドフレド・パチェコ
音楽:ニコ・フィデンコ
出演:ジャンニ・ガルコ
    スティーブン・ボイド
    ハワード・ロス
    シモン・アンドリュ
    ダン・ヴァルガス
    ヘルガ・リーネ
    リー・バートン
    (グイド・ロロブリジーダ)
言われなき差別を受ける青年と流れ者の一匹狼である老ガンマンの奇妙な師弟関係。本当の正義とは何たるかを問う深いドラマ。その脚本を手掛けたのは、イタリアン・ホラーの立役者として有名な脚本家エルネスト・ガスタルディ。物事の様々な側面を描きこんでいく巧みなストーリー・テリングは見事なもの。ジェンマとヴァン・クリーフの相性も抜群で、痛々しいながらも静かな感動を呼ぶ素晴らしいウェスタンに仕上がっています。オルトラーニの美しい音楽も○。  社会派ドラマでイタリア映画ファンにはお馴染みの名優エンリコ・マリア・サレルノが主演した数少ないマカロニ・ウェスタンの一つ。「荒野の用心棒」の撮影監督としても有名なマッシモ・ダラマーノが演出を手掛けているだけあり、ダイナミックで巧みなカメラワークが素晴らしい効果を上げている。特に、スピーディーで迫力のあるカメラ、壮絶なスタント、リアルな描写が圧倒的なオープニングの機関車大虐殺シーンは必見。ダラマーノ唯一の西部劇監督作なのが残念。  “殺っちまおう、殺っちまおう、同士たちよ!”と高らかに歌い上げるモリコーネによるド迫力の音楽がテンションを上げまくる大傑作。マカロニ・ウェスタン・マニアの間でも絶大な人気を誇っている。戦争を商売にしている武器商人が、成り行きから革命軍に加わった山賊との交流、政府側に付いた宿敵との壮絶な戦いを通じて、貧しき若者たちの“理想”に共鳴していく様は感動なしに見ることは出来まい。ダミアニの「群盗荒野を裂く」と並ぶ政治ウェスタンの傑作。  サルタナ、アレルヤとユニークなマカロニ・ヒーローを演じてきたジャンニ・ガルコが、今度はコーランを片手に日傘をさして暴れまくるという人を喰ったような凄腕ガンマンを演じる荒唐無稽・奇想天外な娯楽ウェスタン。この日傘、やっぱりというか・・・マシンガンだったんですね!名づけてガンブレラ(笑)。無法者どもに囲まれた女性の悲鳴からシフトする音楽もグッド。しかし、映像特典のフィデンコのインタビューでは“よく覚えていない”の一言でオシマイでした(笑)。

帰って来たマカロニ聖書「ジェンマ篇」(5枚組ボックス・セット)
特典ディスクにジェンマ、アレッサンドロ・アレッサンドローニのインタビュー収録

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夕陽の用心棒
Una Pistora per Ringo (1964)

続・荒野の1ドル銀貨
Il Ritorno di Ringo (1966)

荒野の大活劇
Vivi o Preferibilmente Morti (1969)

暁のガンマン
...E per Tetto un Cielo di Stelle (1968)

(P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan)
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/95分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
作品解説
劇場予告編
英語版オープニング
コラム収録
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/97分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
作品解説
劇場予告編
英語版オープニング
コラム収録
DVD仕様(日本盤)
カラー/スタンダード/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/98分(本編)/製作:イタリア・スペイン

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
作品解説
劇場予告編(2本)
英語版オープニング
コラム収録
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/98分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
作品解説
劇場予告編
英語版オープニング
コラム収録
監督:ドゥッチョ・テッサリ
製作:ルチアーノ・エルコーリ
    アルベルト・プリエーゼ
脚本:ドゥッチョ・テッサリ
撮影:フランシスコ・マリン
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    フェルナンド・サンチョ
    ホルヘ・マルティン
    スーザン・スコット
    (ニヴェス・ナヴァロ)
    アントニオ・カサス
    ロレッラ・デ・ルーカ
監督:ドゥッチョ・テッサリ
製作:アルベルト・プリエーゼ
脚本:ドゥッチョ・テッサリ
    フェルナンド・ディ・レオ
撮影:フランシスコ・マリン
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    フェルナンド・サンチョ
    ホルヘ・マルティン
    ロレッラ・デ・ルーカ
    ニヴェス・ナヴァロ
    アントニオ・カサス
監督:ドゥッチョ・テッサリ
脚本:エンニオ・フライアーノ
    ジョルジョ・サルヴィオーニ
撮影:マヌエル・ロハス
音楽:ジャンニ・フェリオ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    ニノ・ベンヴェヌーティ
    シドニー・ローム
    フリオ・ペニャ
    アントニオ・カサス
    クリス・フエルタ
    ジョルジュ・リゴー
監督:ジュリオ・ペトローニ
製作:ジャンニ・ヘクト・ルカーリ
脚本:アルベルト・アレアル
    フランチェスコ・マルティーノ
撮影:カルロ・カルリーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ
    マリオ・アドルフ
    ジュリー・メナルド
    マグダ・コノプカ
    アンソニー・ドーソン
    リック・ボイド
    クリス・フエルタ
 ジュリアーノ・ジェンマの当たり役となったリンゴ。そのリンゴが初めてスクリーンに登場した記念すべき作品。ジェンマにとっても、本作が本格的にトップ・スターとなるきっかけになった。初期マカロニ特有の暗さやバイオレンスよりも、ジェンマの若々しくて爽やかなイメージを前面に押し出した痛快な娯楽ウェスタンに仕上げている。ジェンマの相手役はネオ・レアリスモ映画で有名な女優ロレッラ・デ・ルーカ。本作ではハリー・ハモンドの変名を使用している。  リンゴ・シリーズ“唯一”の正式な続編。その他、ミッキー・ハージタイからアンソニー・ステファン、マーク・デイモンなどがリンゴ役を演じたインチキ・シリーズが大量生産されました。とはいえ、本作もリンゴという名前だけが踏襲され、ストーリーやキャラクター設定は一新されています。前作のライトなタッチから一転し、ギリシャ神話のユリシーズの伝説をモチーフにした哀しい物語が展開されます。前作では荒くれ者役だったサンチョ親父も、今回は金持ち役。  マカロニ中期から人気になったバディ(相棒)ものの人気作。借金だらけの遊び人ジェンマが、遺産相続の条件で正反対の性格の弟ベンヴェヌーティと暮らさねばならなくなるという、ウェスタン色の薄いアクション・コメディ。ベンヴェヌーティは当時ボクシングの世界ミドル級チャンピオンで、ジェンマとも大親友だったという、いわば素人。その割には、まずまずの芸達者です。でも、やはり最大の見ものはヒロインのシドニー・ロームの美しさ!アントニオ・カサスも好演。  そのバディものの先駆けとも言えるのが、この作品。ジェンマと組む粗野だが正直者のハリーを演じるのは。「ダンディー少佐」や「ブリキの太鼓」でも有名なイタリアの誇る名優マリオ・アドルフ。何といっても見ものは、あまりにも豪快で凄まじい酒場での乱闘シーン。マカロニに乱闘は付き物ですが、これだけ激しい集団スタントも滅多に見れまい。スマートで機転の利くジェンマと愚直なアドルフのコンビも絶妙で、抱腹絶倒の楽しい作品に仕上がっている。

撃ちまくりマカロニ聖書「殺戮篇」(5枚組ボックス・セット)
特典ディスクに「血斗のジャンゴ」メイキング、ジャンニ・ガルコ インタビュー、アンソニー・アスコット監督インタビューを収録

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荒野の無頼漢
Testa T'Ammazzo Croce Sei Morto...Mi Chiamano Alleluia (1971)

真昼の用心棒
Tempo di Massacro (1966)

血斗のジャンゴ
Faccia a Faccia (1967)

サルタナがやって来る
/虐殺の一匹狼
Una Nuvola di Polvere...un Grido di Morte...Sartana (1970)

(P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan) (P)2002 SPO (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/92分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
劇場予告編
「ガン・クレイジー」予告編
「真昼の用心棒」予告編
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・イタリア語・英語/地域コード:2/90分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
劇場予告編
英語版オープニング
「ガンマン無頼」予告編
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語・英語/字幕:日本語・英語/地域コード:2/107分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
劇場予告編
英語版オープニング
「続・復讐のガンマン」予告編
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:イタリア語/字幕:日本語/地域コード:2/97分(本編)/製作:イタリア

映像特典
ポスター&フォト・ギャラリー
ジャンニ・ガルコからのメッセージ
「増える賞金、死体の山」予告編
「荒野の無頼漢」予告編
監督:アンソニー・アスコット
    (ジュリアーノ・カルニメオ)
製作:ダリオ・サバテッロ
脚本:ティト・カルピ
    ジュリアーノ・カルニメオ
撮影:ステルヴィオ・マッシ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:ジョージ・ヒルトン
    チャールズ・サウスウッド
    アガタ・フローリ
    ロベルト・カルマディエル
    アンドレア・ボシック
    リック・ボイド
監督:ルチオ・フルチ
製作:テリー・ヴァンテッリ
脚本:フェルナンド・ディ・レオ
撮影:リカルド・パロッティーニ
音楽:ラロ・ゴーリ
出演:フランコ・ネロ
    ジョージ・ヒルトン
    ニーノ・カステルヌオーヴォ
    ジョン・マクダグラス
    (ジュゼッペ・アッドバーティ)
    リン・シェイ(リンダ・シーニ)
    トム・フェレギー
監督:セルジョ・ソリーマ
製作:アルベルト・グリマルディ
脚本:セルジョ・ソリーマ
    セルジョ・ドナティ
撮影:ラファエル・パチェコ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ
    トーマス・ミリアン
    ウィリアム・バーガー
    ヨランダ・モディオ
    ニコレッタ・マキャヴェッリ
    カロル・アンドレ
    アルド・サンブレル

監督:アンソニー・アスコット
    (ジュリアーノ・カルニメオ)
製作:ルチアーノ・マルティーノ
    エドゥアルド・マンサノス
脚本:ティト・カルピ
    エルネスト・ガスタルディ
    エドゥアルド・マンサノス
撮影:フリオ・オルタス
音楽:ブルーノ・ニコライ
出演:ジャンニ・ガルコ
    スーザン・スコット
    (ニヴェス・ナヴァロ)
    ピエロ・ルッリ
    マッシモ・セラート
    ホセ・ハスペ

 基本的に何でもありのマカロニ・ウェスタンの中でも、最も奇想天外で荒唐無稽で面白いコミカル・ウェスタンの大傑作です。殆どノリ的には「007」シリーズ&「ルパン3世」。ありとあらゆるところにアッと驚くような仕掛けや、抱腹絶倒のギャグが散りばめられています。政府軍と革命軍の戦いの真っ只中で、主人公アレルヤが平然とした顔でギャラ交渉する下りなんか殆どマンガ。モリコーネの「ガンマン大連合」を意識したチプリアーニの軽妙な音楽も最高!  ムチ打ちリンチ・シーンが有名なルチオ・フルチ監督によるバイオレンス・ウェスタン。フルチというと、日本ではイタリアン・ホラーの巨匠と呼ばれてますが、もともとは歴史劇からウェスタンまでこなす職人監督で、これもその内の一つ。仁侠映画やチャンバラ映画にも通じる典型的な復讐ドラマ。金持ちのサディスティックなドラ息子を演じるのは「シェルブールの雨傘」の主演で有名なニーノ・カステルヌオーヴォ。ジョージ・ヒルトンの出世作でもあります。

 非暴力を訴える平和主義者の大学教授が盗賊一味に加わることにより暴力と支配の魅力に取り付かれていき、暴力しか生きる術を知らなかった無学な盗賊が教養を身に付けることにより平和と正義に目覚めるという皮肉。ソリーマ監督らしい骨のある演出が冴え渡る異色のマカロニ・ウェスタン。ジャン・マリア・ヴォロンテの豹変ぶりも強烈だが、盗賊役のトーマス・ミリアンのダイナミックで力強い演技には圧倒される。ちなみに、ジャンゴは出てきません・・・。

 どこからともなく現れては悪人を成敗していく謎のガンマン、サルタナの活躍を描く作品・「荒野の無頼漢」のアスコット監督にしてはシリアスなタッチ・・・かと思ったら、やってくれますよ、オルガン。そう、もちろん火を噴くオルガンですよ(笑)。なお、悪徳保安官を演じるのは戦前のイタリア映画界を代表する美形スター、マッシモ・セラート。彼にとっては数少ないマカロニ出演作の一つ。囚人に硫酸をかけるシーンの特殊効果はなかなかの出来栄えです。

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