Return To Sleepaway Camp (2008)

 

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(P)2008 Magnolia (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録
)/5.1chサラウンド・2.0ステレオ/音声:英語/字幕:スペイン語/地域コード:1/
86分/製作:アメリカ

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー
主要キャスト インタビュー集
舞台裏ギャラリー
主題歌プロモーション・ビデオ
監督:ロバート・ヒルツィック
製作:トーマス・E・ヴァン・デル
    ロバート・ヒルツィック
    ミシェル・タトシアン
製作総指揮:ジョー・ニコロ
        ジェフリー・E・アーブ
脚本:ロバート・ヒルツィック
特殊効果:パイロFX
撮影:ケン・ケルシュ
音楽:ロドニー・ホイッテンバーグ
出演:ヴィンセント・パストーレ
    マイケル・ギブニー
    フェリッサ・ローズ
    ジャッキー・トーン
    ジョナサン・ティアステン
    ポール・デアンジェロ
    アイザック・ヘイズ

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今年も大勢の子供たちがキャンプ場に集まってくる

いじめられっ子アラン(M・ギブニー)は問題を起こしてばかり

 80年代に爆発的なブームとなった“スラッシャー映画”。謎の殺人鬼が次々と若者を血祭りに挙げていくというシンプルなプロットで、『13日の金曜日』や『バーニング』、『血のバレンタイン』などのヒット作が続々と生まれた(詳細は本HP内の“スラッシャー映画ヒストリー”を参照)。その中のひとつ、『サマーキャンプ・インフェルノ』(83年)のシリーズ最新作に当たるのが、この“Return to Sleepaway Camp”である。
 そもそも、オリジナルの『サマーキャンプ・インフェルノ』は相当な低予算映画で、ホラー映画としてもスラッシャー映画としても決して出来の良い作品ではなかった。ただ、登場人物たちの極端にデフォルメされたキャラクター、悪趣味丸出しの低レベルなブラック・ジョーク、悪ふざけが過ぎるスプラッター・シーン、そして前代未聞(?)とも言うべき驚愕のクライマックスが熱狂的なファンを生み、一部のホラー・ファンの間ではカルト映画として長年愛されてきた。現在もインターネット上で幾つかのファン・サイトが存在している。
 ただ、残念ながら日本では劇場公開もされず、ひっそりとビデオ発売されただけなので、よっぽどコアなホラー・マニアでない限りは存在すら知らないかもしれない。1990年に日本公開された『レディ・ジェイソン/地獄のキャンプ』(88年)はシリーズ2作目に当たるのだが、こちらもほとんど話題にならなかった。ブルース・スプリングスティーンの妹が主演しているのに(笑)

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所長フランク(V・パストーレ)は保安官に助太刀を頼む

美少女ケイト(E・ブロデリック)に言い寄るアランだったが・・・

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顔面ポテトフライにされて殺される調理人

オイルを飲まされた上に火をつけられる少年

 さてさて、そうした熱狂的ファンの要望に応えて・・・なのかどうかは定かでないものの、シリーズ5作目に当たる“Return to Sleepaway Camp”が遂にベールを脱いだ。実はこれ、もともと2003年に撮影されていたものの、なかなか配給先が決まらずに半ばお蔵入りしていた作品。ところが、『暗闇にベルが鳴る』や『ハロウィン』、『プロムナイト』など、ここ1〜2年で古典的スラッシャー映画のリメイク版が続々と登場。そのブームに便乗する形で、独立系の配給会社マグノリア・ホーム・エンターテインメントからDVD発売されることになったわけだ。
 監督・脚本にはオリジナルを手掛けたロバート・ヒルツィックが再登板。実はヒルツィック監督、処女作である『サマーキャンプ・インフェルノ』以来、劇場用映画を手掛けるのはこれが初めて。つまり、この20年のあいだ一本も映画を撮っていなかったのである。
 もともと、2作目である『レディ・ジェイソン/地獄のキャンプ』もヒルツィック監督が手掛けるつもりで、自ら脚本も用意していたという。ところが、1作目の殺人鬼アンジェラをジェイソンやフレディのようなホラー・キャラとして売り出そうと考えていたプロデューサーと意見が真っ向から対立。解決の糸口が見出せないまま、ヒルツィック監督はシリーズの著作権をプロデューサーに売り渡し、自らは結婚して映画界を離れてしまった。
 それから十数年。ファン・サイトを運営しているジェフ・ヘイズは、1作目でアンジェラ役を演じた女優フェリッサ・ローズにインタビューをした際、彼女から見せてもらった撮影当時の寄せ書きを頼りにヒルツィック監督の行方を捜索。なんとか電話番号を割り出し、コンタクトすることに成功した。その後、『サマーキャンプ・インフェルノ』のDVDが発売される際、特典の音声解説を録音するためにヒルツィック監督とフェリッサ・ローズの対談をヘイズがコーディネイト。これがきっかけとなり、続編製作の企画が浮上したのだという。
 ストーリーのベースとなったのは、かつてヒルツィック監督自身が用意していた2作目用の脚本。アンジェラを主人公にした『レディ・ジェイソン/地獄のキャンプ』以降の路線は、生みの親である彼の意向を全く無視したものであったため、今回の作品においてストーリー上は一切無かったことになっている。ただ、シリーズの熱狂的なファンの存在を無視するわけにもいかないため、今回はアンジェラをブギーマンのような伝説的存在として物語の背景に活用した。
 かつて陰惨な連続殺人事件のあったアラワク・キャンプ場に隣接したマネイブ・キャンプ場。いじめられっ子の問題児アランの周囲で、次々と従業員や子供たちが姿を消していく。もちろん、何者かによって血祭りに挙げられているのだ。果たして犯人は復讐心に駆られた少年アランなのか?それとも、伝説の殺人鬼アンジェラが舞い戻ってきたのか?
 極端にカリカチュア&デフォルメされた登場人物、露骨で悪趣味なブラック・ジョーク、不謹慎な残酷シーンなど、映画としての基本路線は1作目とほぼ一緒。主人公の少年アランはいじめられっ子だが、こんな小憎らしいガキだったらいじめられても仕方ないだろうに、としか思えない強烈キャラだ。
 食い意地のはったデブで、すぐに癇癪を起こす我がままな子供。思い通りにならないとすぐに暴れ出し、仲間の子供や指導員に咎められると“お前のケツ臭っせ〜!”と捨てゼリフを吐くという憎たらしさだ。そのくせ、なにかにつけて“誰もぼくのことを分かってくれない”とメソメソ泣き、唯一のお友達はキャンプ場に生息するカエルたち。しかも、己を客観視する能力に著しく欠けているのか、服や下着がシミだらけになっても平気のへっちゃらで、そのうえ大の女好き。なにかと人気者グループの美少女たちに言い寄っては執拗に交際を迫り、自分を棚に上げて地味な女の子たちをブス呼ばわりしてからかう。要は、いじめられて当然のクソガキなのだ。
 それ以外の登場人物にしても、子供たちの教育よりも金儲けに熱心な銭ゲバ所長や、子供たちの安全よりもセックスに忙しい指導員、ドラッグ漬けの不良少年やおならに火をつけてはしゃいでいる中学生など、お前らバカか!?としか言いようのないキャラクターばかりゾロゾロと出てくる。
 見せ場のスプラッター・シーンにしても、フライドポテト用の油で人間を揚げたり、子供にオイルをたらふく飲ませた上に点火して爆破したり、車につなげた針金でペニスをグルグル巻きにして引っこ抜いたりと、悪趣味全開でやりたい放題。
 とりあえず、ヒルツィック監督の演出テクニックは1作目に比べるとかなり上達しており、少なくとも20年間のブランクは感じさせない。それでも決して上手いとは言えないし、作品の出来栄えにしたって所詮は低予算のC級映画。ったくアホだよな〜とほくそ笑みつつ、何も考えずにバッド・テイストな血みどろジョークを楽しんでおくべし。それ以上でもそれ以下でもない、愉快で低俗なバカ映画だ。

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ケイトの仲間たちに湖へ突き落とされたアラン

アランへのイジメはさらにエスカレートする

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いじめっ子たちが次々と殺されていく

ネズミに顔面を食い散らかされた所長フランク

 ストーリーは至って単純。今年も夏休みを利用して、数多くの子供たちがマネイブ・キャンプ場へとやって来た。経営者である所長フランク(ヴィンセント・パストーレ)は経費節減に躍起で、設備は古いし、食事はマズイし、指導員の数も足りないという劣悪な環境だ。しかも、反抗期でいたずら盛りの子供ばかりゆえに、キャンプ場はまるで無法地帯。さすがの指導員たちも頭を抱えている。
 中でも、特に彼らが手を焼いているのは、被害妄想の強いいじめられっ子アラン(マイケル・ギブニー)だ。自分の我がままが通らないと大暴れし、周囲の人間に八つ当たりばかりするという問題児。しかも、デブで不細工で汚くて臭いという救いようのなさ。それゆえに、心優しい女性指導員ピーティー(ケイティ・シムセス)以外には、誰も彼に同情する者はいない。
 ある日、キッチンでアイスクリームを盗み食いしたアランに体罰を加えた調理師が姿を消す。何者かによって、フライドポテト用の油で揚げられたのだ。それをきっかけに、アランをいじめる従業員や子供たちが次々と姿を消していく。かつて近隣のアラワク・キャンプ場に務めていた指導員ロニー(ポール・デアンジェロ)は、アラワクを恐怖に陥れた殺人鬼アンジェラ(フェリッサ・ローズ)が舞い戻ったのではないかと恐れる。
 一方、アランは人気者グループの美少女カレン(エリン・ブロデリック)に夢中で、なにかと執拗に言い寄ってはデートに誘うのだった。いくら断られても、彼女の仲間たちに湖へ落とされても、決して諦めようとはしないアラン。しかし、ようやくカレンにデートに誘われたと思ったら、暗闇に連れて行かれ、彼女の仲間たちによって裸に剥かれて晒し者にされる。ショックと怒りが頂点に達したアランは、狂ったように叫び声をあげて夜の森へと姿を消した。
 その晩、所長フランクを筆頭に従業員や子供たちが次々と残忍な方法で殺害され、キャンプ場は大パニックに陥る。アランの義兄ミッキー(レニー・ベニート)は、アランが犯人に違いないと信じて彼を撲殺しようとする。ところが、そこへ真犯人が・・・。さらに、アンジェラの義兄であるリッキー(ジョナサン・ティアーステン)が何者かに呼び出されてキャンプ場へとやって来た。果たして、伝説の殺人鬼アンジェラが復活したのだろうか?

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アランの義兄ミッキー(L・ベニート)は全身の皮を剥かれて絶命

ケイトの身にも危険が迫る・・・!

 とりあえず、登場人物の中で一人だけ、どう見ても特殊メイクを施しているとしか思えない風貌の人間がいて、案の定こいつが犯人だったりするという想定内のオチに失笑。もちろん、その正体だって完全に想定内。まあ、そもそも犯人探しなんか半ばどうでもいい映画なので、結果的に問題ナシということでオーケーなのだろう。
 本作で製作総指揮を担当しているのは、キップ・パルデュー主演のサスペンス“Remorse”(08年)やドミニク・スウェイン主演のホラー“The Ocean”(08年)、ガイ・ピアースとクリストファー・ロイド共演のコメディ“Thicker”など、近年精力的に娯楽映画を量産しているプロデューサー・コンビ、ジョー・ニコロとジェフリー・E・アーブ。また、1作目『サマーキャンプ・インフェルノ』の共同製作を手掛けたミシェル・タトシアンがプロデューサーに名を連ねている。
 また、撮影監督には『ドリラー・キラー』(79年)や『バッド・ルーテナント』(92年)、『フューネラル』(96年)など、カルト映画の巨匠アベル・フェラーラ監督とのコンビで有名なベテラン・カメラマン、ケン・ケルシュを起用。さらに編集には『泥棒野郎』(69年)や『スリーパー』(73年)など初期ウディ・アレン作品を手掛けたロン・カリッシュという大ベテランまで使っている。
 そして、スプラッター・シーンを担当したのは、1作目にも参加していた特殊メイク・アーティスト、エド・フレンチ。彼はその後『バンパイア・キッス』(89年)や『ターミネーター2』(91年)などを手掛け、最近でも『最凶女装計画』(04年)、『インベージョン』(07年)など数多くのメジャー映画に参加している人物。なるほど、低予算の割に特殊メイクのクオリティはなかなかのもの。特に、ミッキーが全身の皮を剥かれるシーンのダミー・ボディは非常にリアルで良く出来ている。

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指導員ロニー(P・デアンジェロ)とリッキー(J・ティアーステン)

シェフ役で顔を出すアイザック・ヘイズ

 主人公アランを演じるマイケル・ギブソンは、これが映画デビューに当たる新人。痩せたらもしかすると美少年になるかも?という中途半端な容姿がヤケに目障りで、余計に憎たらしさを倍増させるという絶妙なキャスティング。これが本気で不細工な子供だったら、逆に悲壮感が漂ってしまって憎まれ役としては台無しだったに違いない。
 そして、キャンプ場の悪徳経営者フランクを演じているのは、映画『グッドフェローズ』(90年)や大ヒット・ドラマ『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』など、マフィア物の渋い脇役としてお馴染みの名優ヴィンセント・パストーレ。また、70年代の有名な黒人シンガーで、俳優としても人気の高い故アイザック・ヘイズが、温厚なシェフ役でチラリと顔を出している。これは、彼が同じくシェフ役で声優として参加した人気アニメ『サウス・パーク』のパロディなのは間違いない。
 また、1作目でアンジェラ役を演じたフェリッサ・ローズとリッキー役を演じたジョナサン・ティアーステン、そして指導員ロニー役を演じたポール・デアンジェロが再登板。その他、最近ではブルース・ロック系の女性シンガー・ソングライターとしても活躍しているジャッキー・トーンが意地悪な女性指導員リンダ役で登場する。

 

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