Silent Night (2012)

 

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(P)2012 Anchor Bay (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.40:1/HD規格: 1080p/音声:Dolby TruHD 5.1/言語:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:A/94分/制作国:アメリカ・カナダ

<特典>
・メイキング「Silent Night: Behind The Scenes」
・未公開シーン集
監督:スティーヴン・C・ミラー
製作:シェイラ・ケイ
   フィリス・レイング
   リチャード・サパースタイン
   ブライアン・ウィッテン
脚本:ジェイソン・ロスウェル
撮影:ジョセフ・ホワイト
音楽:ケヴィン・リープル
出演:マルコム・マクダウェル
   ジェイミー・キング
   ドナル・ローグ
   ブレンダン・フェア
   エレン・ウォン
   リサ・マリー
   コートニー=ジェーン・ホワイト
   コートニー・パーム
   ジョン・B・ロウ

<Review>
 80年代に一世を風靡した一連のスラッシャー系ホラー映画。ハロウィンやバレンタイン、誕生日にお正月など、何らかの祝日や祭日に連続殺人事件が起きるという設定の作品が多かったわけだが、中でも特に根強い人気を誇ったのがホリデイ・シーズン、つまりクリスマスをテーマにした作品群だ。一年で最もハッピーであるはずのシーズンに凄惨な地獄絵図が繰り広げられる。まさしくホラー映画には格好の題材ゆえ、『暗闇にベルが鳴る』('74)などこれまで数多くの作品が生み出されてきたが、本作はその中の一つ『悪魔のサンタクロース/惨殺の斧』('84)のリメイクに当たる。
 とはいえ、ストーリーはオリジナル版とほぼ別物。クリスマス・イヴにサンタクロースの格好をした殺人鬼が人々を血祭りにあげる、普段の行いがよろしくない人々ばかりターゲットにされるという基本設定および、最後に明かされる殺人鬼の犯行動機はオリジナル版を踏襲しているが、それ以外の共通点は殆どないに等しい。
 舞台はアメリカの小さな田舎町。最愛の夫を失った悲しみを引きずる女性保安官補オーブリーは、平和な町で次々と起きる凄惨な連続殺人事件の謎を追ううち、サンタクロースの格好をした殺人鬼の存在に気づく。しかし、クリスマスシーズンなので町はサンタだらけ。いったい誰が犯人なのか。オーブリーは己のトラウマを克服しつつ、直感を信じて犯人の行方を追うことになる。
 ってな具合に、お話自体はいたって平凡。殺人鬼を主人公にしたせいで誰に感情移入していいのか分からなくなったオリジナル版に比べると、だいぶキレイにまとまっているという印象ではあるが、それは逆にインパクトが弱まったとも言えるかもしれない。ただ、最初っからいきなり子供…といっても、母親をアゴでこき使うようなクソガキなのだが、いずれにせよ未成年の少女を躊躇なくぶっ殺す辺りからして、殺しに関してはなかなか気合が入っている。直接的なゴア描写こそ過激とは言えないものの、工事現場の粉砕機で人間を粉々にするなど、バラエティ豊かな殺人シーンの数々は見どころ。トナカイの剥製の角で女性を串刺しにするなど、オリジナル版へのオマージュも随所に用意されている。
 また、ヒロインには『シン・シティ』シリーズなどでお馴染みのジェイミー・キング、昔気質の頑固オヤジ的な保安官にマルコム・マクダウェル、容疑者の一人の不良サンタを『ゴッサム』などTVドラマで親しまれているドナル・ローグが演じるなど、地味ながら充実したキャスティングも魅力。
 そんなこんなで、'80年代のスラッシャー系ホラーやB級アクションが好きなファンであれば、気軽に肩の力を抜いて楽しめる作品であることは間違いない。いまだに日本未公開のまま、ソフト発売すらされていないのは少々残念だ。

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夫を失ったトラウマに苦しむ女性保安官補オーブリー(J・キング)

昔気質のクーパー保安官(M・マクダウェル)は自力での犯人逮捕を誓う

<Story>
 アメリカは中西部の小さな田舎町クライヤー・カウンティ。クリスマス・イヴの朝、休暇を取っていた女性保安官補オーブリー(ジェイミー・キング)は上司のクーパー保安官(マルコム・マクダウェル)に出勤を要請される。当直のジョーダン保安官補(ブレンダン・フェア)が昨晩から行方不明だというのだ。夫の死から立ち直れないでいるオーブリーは、彼のいない初めてのクリスマスを両親と過ごすつもりだったが、仕方なく仕事へ向かう事になる。
 その頃、町の周辺では不気味なマスクを被った殺人サンタクロースが徘徊していた。彼の最初の獲物は、行方不明の保安官補ジョーダンとその不倫相手の人妻アラナ(アリ・タターリン)。さらに、病弱な母親(リサ・マリー)を虐待するワガママな少女も玄関先で惨殺される。
 近隣の空家で異臭がするとの通報を受けたオーブリーは、そこでジョーダンとアラナの変わり果てた遺体を発見する。あまりの惨状にうろたえるオーブリー。さらに、町内の安モーテルでポルノ業者フランク(アーロン・ヒューズ)やモデルのマリア(コートニー・パーム)らが殺され、たまたまその現場を録画していたテープから、犯人がサンタクロースに扮していることが判明する。
 しかし、毎年恒例のサンタ・パレードを控えて町中はサンタだらけ。その中から犯人を探すのは至難の業だ。しかも、クーパー保安官はFBIなどの協力を仰がず、自分たちの町は自分たちだけで守ってみせると息巻く。しかし、オーブリーにはその自信がなかった。すっかり弱気になった彼女は、元保安官である父親(ジョン・B・ロウ)に電話で励まされる。この町は過去にも悪いサンタを倒したことがあるから大丈夫だと。
 オーブリーはフランクたちと同じモーテルに長期滞在している謎の男スタイン・カーソン(マイク・オブライエン)に目をつける。サンタの扮装をしている彼は、背格好も犯人像とマッチしていたのだ。だが、彼の正体は麻薬の密売人。寸でのところで取り逃がしてしまったものの、ただの麻薬業者が連続殺人を犯すとは考えにくかった。
 一方、人殺しサンタは偽善者のセクハラ神父マデリー(カーティス・ムーア)を教会で始末し、さらに無用な土地開発を進めるレヴィー町長(トム・アニコ)を自宅で絞殺。さらに、町長のふしだらな不良娘ティファニー(コートニー=ジェーン・ホワイト)とその彼氏デニス(エリック・J・バーグ)も血祭りにあげる。
 その頃、全米の各地で毎年似たような連続殺人事件が起きていることに気づいたクーパー保安官は、旅回りのサンタ芸人ジム(ドナル・ローグ)を容疑者としてマークする。素行不良のジムは町でたびたびトラブルを起こしていた。彼を捕らえて一件落着と余裕の構えのクーパー保安官だが、腑に落ちないオーブリーは手がかりを求めてカーソンの部屋を捜索。銃口を向けられたためにカーソンを射殺した彼女は、そこで小さなプレゼントの包みを見つけてハッとする。いずれの犠牲者のもとにも、全く同じプレゼントが届けられていたのだ。そう、彼女の父親のもとにも…。
 大急ぎで自宅へと向かうオーブリー。だが、ちょうど同じ頃、人殺しサンタは保安官事務所を襲撃。クーパー保安官やサンタ芸人ジム、保安官補ジャイルズ(アンドリュー・シーコン)が次々と殺され、倉庫に逃げ込んだ秘書ブレンダ(エレン・ウォン)の身にも危険が迫っていた…。

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サンタに扮装した殺人鬼が罪深い住人たちを次々と血祭りにあげる

まるでターミネーターのごとく無敵の殺人サンタ

<Information>
 監督を担当したのは、ある意味で驚愕(?)のラストが話題を呼んだホラー映画『ゾンビ・トランスフュージョン』('08)や、ハードコア版ホーム・アローンとして一部で熱狂的に支持されたバイオレンス映画『キッズ・リベンジ』('12)で注目され、最近では立て続けにブルース・ウィリスの主演新作を手がけているスティーヴン・C・ミラー。犯人の素性や動機をクライマックスまで一切明かさず、さながらターミネーターのごとき殺人マシンに仕立てることで、スラッシャー映画+バイオレンスアクションの要素を兼ね備えた辺りは彼らしい演出だと言えよう。
 脚本はヘザー・グレアム主演のオカルト映画『エヴァンジェリスタ』('04)やジャン=クロード・ヴァン・ダム主演のアクション『ザ・コマンダー』('06)のジェイソン・ロスウェル。製作には『デビルズ・ノット』('13)のリチャード・サパースタインにシェイラ・ケイ、現在『デス・ノート』のハリウッド版実写リメイクを手がけているブライアン・ウィッテンらが携わっている。
 撮影監督は『REPO! レポ』('08)や『マザーズデイ』('10)などダーレン・リン・バウズマン監督作品の常連組であるジョセフ・ホワイト。音楽スコアはミラー監督の『キッズ・リベンジ』も手がけたケヴィン・リープルが担当している。さらに、特殊メイクはイーライ・ロス監督の『キャビン・フィーバー』('02)やケヴィン・スミス監督の『ドグマ』('99)などで知られるベテラン、ヴィンセント・J・ガスティーニ。また、テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』('11)で評価されたOpus VFXのマイケル・シャンドとコンラッド・デュエックが特殊視覚効果を手がけている。

 主人公オーブリー役を演じているのは、『バレット・モンク』('03)のバッドガール役や『シン・シティ』('05)シリーズの双子美女ゴールディ&ウェンディ役で親しまれ、もっぱらアクション映画やホラー映画のカルト・クィーンとして人気の高い女優ジェイミー・キング。最近ではテレビシリーズ『ハート・オブ・ディクシー』のアメリカ南部のお高くとまったブロンドお嬢様レモン役で新境地を開いた彼女だが、本作では心に闇を抱えた田舎町の保安官補という、これまた今までになく化粧っけのない役柄で新たな魅力を披露してくれている。
 クレジット上の主演は、言わずと知れた『時計じかけのオレンジ』('71)や『カリギュラ』('80)の反逆児スター、マルコム・マクダウェル。ロブ・ゾンビ版『ハロウィン』('07)シリーズ以来、すっかりホラー映画づいているマルコムだが、ここでは英国人の彼がアメリカの開拓者精神を受け継ぐ頑固なベテラン保安官を演じているところが面白い。
 さらに、子供たちに毒づく旅回りのサンタ芸人ジム役には、現在大ヒット中のテレビシリーズ『GOTHAM/ゴッサム』で不良刑事ハーヴェイを演じている俳優ドナル・ローグ。冒頭で殺される保安官補ジョーダンには、人気ドラマ『ロズウェル』のエイリアン少年マイケルや『ナイトシフト 真夜中の救命医』の医師アリスター役などで有名なブレンダン・フェア。どちらも特別ゲスト的な扱いで、テレビで親しまれているスターが顔を出している。
 そのほか、『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』('10)のアジア系女優エレン・ウォン、『SUSHI GIRL』('12)や『ゾンビーバー』('14)などのカルト映画で注目されている売れっ子女優コートニー・パームなどが登場。また、ティム・バートン監督の元ミューズとして、『エド・ウッド』('94)や『マーズ・アタック!』('96)、『スリーピー・ホロウ』('99)などで活躍したリサ・マリーが、ローティーンの不良娘のDVに悩まされる病弱な母親役を演じている。

 

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