連続活劇セレクション
PART 2

 

 

怪傑ゾロ/ゾロ・ライズ・アゲイン
Zorro Rides Again (1937)
日本では劇場未公開
VHSは日本発売済・DVDは日本未発売

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監督:ウィリアム・ウィットニー
   ジョン・イングリッシュ
製作:ソル・C・シーゲル
脚本:フランクリン・アドレオン
   モーガン・コックス
   ロナルド・デヴィッドソン
   ジョン・ラスメル
   バリー・シップマン
撮影:ウィリアム・ノーブルス
出演:ジョン・キャロル
   ヘレン・クリスチャン
   リード・ハウズ
   ダンカン・レナルド
   リチャード・アレクサンダー
   ノア・ビーリー
   ナイジェル・デ・ブルーリア
第1話“Death from the Sky”
第2話“The Fatal Minute”
第3話“Juggernaut”
第4話“Unmasked”
第5話“Sky Pirates”
第6話“The Fatal Shot”
第7話“Burning Embers”
第8話“Plunge of Peril”
第9話“Tunnel of Terror”
第10話“Trapped”
第11話“Right of Way”
第12話“Retribution”

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鉄道会社の工事現場が次々と襲われる

スケールの大きな破壊シーンにも注目

鉄道会社の社長フィリップとジョイス

共同経営者ドン・ヴェガは甥っ子を呼び寄せることに

 作家ジョンストン・マッカレーの生み出した、アメリカの古典的な大衆スーパーヒーロー、怪傑ゾロ。最近ではアントニオ・バンデラス主演の『マスク・オブ・ゾロ』(98)と『レジェンド・オブ・ゾロ』(05)の大ヒットでお馴染みかもしれない。原作の舞台は19世紀のメキシコ。大地主の放蕩息子ドン・ディエゴが正体のばれないように覆面を被って義賊ゾロを名乗り、権力者や犯罪者に虐げられたメキシコの民衆を助けるべく立ち上がるというお話だ。
 原作が発表されたのは1919年。大衆向けのいわゆるパルプ小説だった。その翌年に当時ハリウッドの帝王と呼ばれた大物スター、ダグラス・フェアバンクスの主演で『奇傑ゾロ』(20)として映画化。これが大変な大ヒットとなったものだから、マッカレーの書いた原作本もシリーズ化されることとなった。25年には映画版の続編『ドンQ』(25)が製作されてヒットし、ゾロの名前はアメリカの大衆文化に深く根付くこととなったわけである。
 で、本作は折からの連続活劇ブームに乗ってリパブリック映画が製作した全12話のシリーズ。フェアバンクス主演のサイレント版シリーズを製作したユナイテッド・アーティスツが原作の権利を手放したことから、当時まだ駆け出しだった弱小映画会社リパブリックでもゾロ映画を作ることが出来るようになったというわけだ。
 ただし、本作は19世紀末のメキシコが舞台となっており、主人公も有名な怪傑ゾロことドン・ディエゴではなく、その曾孫に当たる青年ジェームズ。彼の叔父ドン・ヴェガは鉄道会社を経営しているのだが、悪徳実業家マースデンによって乗っ取られようとしていた。あらゆる手段を使って鉄道の営業や開発を妨害し、株価を暴落させて安く買い叩こうとするマースデン。追いつめられたドン・ヴェガはアメリカの大学で学んだ甥っ子ジェームズを呼び寄せるものの、敵の銃弾に倒れて帰らぬ人となってしまう。
 叔父のためにもマースデン一味を撃退すべく、ジェームズは曾祖父ドン・ディエゴの後を継いでゾロを名乗ることとなる。ただし、ゾロが彼だということを知っているのは執事のレナルドのみ。普段はゴルフ好きの遊び人として周囲の人々の目を欺き、いざという時には覆面姿のヒーローとして善良な人々の危機を救う。果たして、彼はマースデン一味の野望を打ち砕き、鉄道会社を守り抜くことが出来るのだろうか…!?
 いかんせん低予算の大衆向け連続活劇映画であるため、ストーリーはご都合主義だしセリフは子供だまし、役者の演技も概ねお粗末なのはやむ負えまい。しかし、銃撃戦や乗馬チェイスをフル稼働したアクション・シーン、そして伝説のスタントマン、ヤキマ・カヌートによるアクロバティックなスタント・シーンの数々はビックリするくらいに迫力満点。これぞまさしく“命懸け”と呼ぶべきであろう。さすがは連続活劇映画の殿堂リパブリック、見せるべきところは決して手を抜いていない。連続活劇映画の入門編としてもおススメしたい作品だ。

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ゾロの曾孫ジェームズ(J・キャロル)

ジェームズこそが二代目ゾロだった

鉄道会社の乗っ取りを企むマースデン(N・ビーリー)

マースデンの手下エル・ロボ(R・アレキサンダー)

 アメリカとメキシコをつなぐ鉄道会社カリフォルニア=ユカタン鉄道の列車や工事現場が、次々と無法者集団の襲撃に遭っていた。彼らを陣頭指揮するのはお尋ね者のエル・ロボ(リチャード・アレクサンダー)。しかし、その背後には証券会社を経営する悪徳実業家J・A・マースデン(ノア・ビーリー)の影があった。マースデンはカリフォルニア=ユカタン鉄道の事業に多大な損害を与えてその株価を暴落させ、安い値段で買収しようと画策していたのだ。
 鉄道会社を共同で経営するのはフィリップ・アンドリュース(リード・ハウズ)と妹のジョイス(ヘレン・クリスチャン)、そしてメキシコ人の富豪ドン・ヴェガ(ナイジェル・デ・ブルーリア)の3人。彼らは相次ぐ暴徒の襲撃に頭を悩ませていた。そこで、ドン・ヴェガはアメリカの大学で経営を学んだ優秀な甥っ子、ジェームズ(ジョン・キャロル)を呼び寄せ、力になってもらおうと考えた。
 実は、ドン・ヴェガの家系はあの義賊ゾロとして有名なドン・ディエゴの子孫。だが、その血を受け継いでいるはずのジェームズはゴルフ三昧の軽薄なプレイボーイで、久々の再会を果たしたドン・ヴェガやアンドリュース兄妹は内心ガッカリとさせられる。だが、ジェームズには周囲の人々が知らないもう一つの顔があった。
 ジェームズの到着と前後して、ゾロを名乗る謎の男がエル・ロボ一味の前に立ちはだかるようになった。実は、この2代目ゾロの正体こそジェームズだったのだ。その秘密を知るのは執事レナルド(ダンカン・レナルド)のみ。敵の目を欺くために、軽薄なプレイボーイを演じていたのである。
 そんなある日、鉄道の工事現場がエル・ロボ一味に襲撃され、ドン・ヴェガやアンドリュース兄妹が加勢に向かった。圧倒的な強さで工事現場を破壊していくエル・ロボたち。そこへゾロが到着して敵を蹴散らしたものの、流れ弾に当たったドン・ヴェガは命を落としてしまった。死に際の叔父に正体を明かしたジェームズ。ドン・ヴェガは何も言わず、甥っ子の目をじっと見つめながら息を引き取った。
 ゾロという邪魔者が現れたことで攻撃の手を強め始めたマースデンとエル・ロボ一味。次に鉄道従業員の給与を乗せた現金輸送列車を襲う計画を立てたものの、ジェームズはレナルドの姪カルメリータ(モナ・リコ)の協力でその計画を察知。エル・ロボ一味はセスナ機から次々と爆弾を落として列車を破壊しようとするものの、またもやゾロの活躍によって阻止されてしまった。
 さらに、エル・ロボたちは鉄道駅近くの町を襲撃。だが、ゾロやアンドリュース兄妹、そして武器を手に取った住民たちの猛反撃によって苦戦。町中央の納屋に時限爆弾を仕掛け、保管されている大量の工事用ダイナマイトを爆発させて町の壊滅を目論むものの、やはりゾロの活躍で失敗に終わってしまう。
 とはいえ、エル・ロボ一味の攻撃によって鉄道会社は少なからず痛手をこうむっていた。線路建設用の資材が不足してしまい、新たに購入するための資金も底をつきつつある。そこで、ジェームズは自分の相続した会社の所有権をマースデンへ売却すると見せかけ、彼らから入手した書類の中身を書き換えて資材の発注書を作成。つまり、マースデンの金で資材を買ってしまったのだ。
 自分の名前で誰かが勝手に鉄道会社の資材を購入したことで激怒するマースデンだったが、その犯人がジェームズだとは全く気付かず。とにかく、鉄道工事の再開を阻止しなくてはいけない。資材を運搬する輸送列車の襲撃をエル・ロボ一味に命じたマースデンだったが、もちろんそれもジェームスの想定内。見事にエル・ロボ一味を退散させ、大切な資材を守って見せた。
 かくして、鉄道路線の建設は無事に再開される。もちろん、マースデンたちも黙ってはいない。殺人や誘拐などなど、その悪事をエスカレートさせていくエル・ロボ一味。果たして、鉄道路線は目的地まで開通することが出来るのだろうか?そして、ゾロことジェームズはマースデンとエル・ロボ一味を倒すことが出来るのか?

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曾祖父の肖像画は秘密基地への扉になっている

召使レナルド(D・レナルド)は心強い味方だ

ヤキマ・カヌートがスタントを担当

ミニチュアを駆使した列車爆撃シーン

 演出を手掛けたのはリパブリックの看板監督コンビ、ウィリアム・ウィットニーとジョン・イングリッシュ。ウィットニーは連続活劇以外にも『ジェロニモの怒り』(54)や『サンタフェへの道』(55)など数多くのB級ウェスタンで鳴らした職人で、イングリッシュは後にテレビへ活躍の場を移してSFドラマ『バック・ロジャース』やホーム・ドラマ『名犬ラッシー』などを手掛けた。
 製作を担当したのは当時リパブリックのプロデューサーだったソル・C・シーゲル。彼は後にパラマウントや20世紀フォックスといったメジャースタジオで活躍するようになり、モンローの『紳士は金髪がお好き』(53)やグレース・ケリーの『上流社会』(56)などのヒット作を数多く手掛けている。
 脚本を執筆したフランクリン・アドレオンやモーガン・コックス、ロナルド・デヴィッドソンらは、リパブリック映画の全身の一つであるマスコット映画時代から数多くの連続活劇を手掛けてきた精鋭脚本家チーム。撮影監督のウィリアム・ノーブルズもマスコット映画に在籍していたカメラマンで、サイレント映画の時代から活躍するベテランだった。
 そして、主演ジョン・キャロルのボディダブルとしてスタント・シーンを引き受けたのがヤキマ・カヌート。ジョン・フォード監督の傑作西部劇『駅馬車』(39)のスタントで映画史に名を残す、まさしく伝説的な大物スタントマンだ。本作でも疾走する馬から馬車へ飛び乗ったり、機関車へ飛び乗ったりと命懸けのスタントを数多く披露しており、彼がいなければここまで完成度の高いアクション・シーンを撮ることは出来なかったはずだ。
 ちなみに、劇中に出てくるジェームズの曾祖父ドン・ディエゴの肖像画だが、明らかにダグラス・フェアバンクスに似せて描かれているでご注目を。

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危機一発のクリフハンガーも満載

エル・ロボに拉致されたアンドリュース兄妹

敵のマシンガンを奪って銃撃するゾロ

エキストラを動員した派手な銃撃アクション

 主人公ジェームズ=ゾロ役を演じているのは、当時歌手としても有名だった俳優ジョン・キャロル。後に『マルクスの二挺拳銃』(40)や『凸凹スパイ騒動』(42)などメジャースタジオ作品の脇役として有名になるが、この頃はまだまだ若くて二枚目路線のスター予備軍だった。先述したようにアクション・シーンは殆どがヤキマ・カヌートによる代役であり、そもそも主人公ジェームズはゾロでいる時間の方が長いことから、主演とはいえ出番は比較的少なめ。その代わりと言ってはなんだが、随所で挿入歌のカントリー・ソングを歌い、自慢の喉を聞かせている。当時はジーン・オートリーやロイ・ロジャースなどの“歌うカウボーイ”による低予算のミュージカル風西部劇が人気だったため、そのブームに便乗する狙いもあったのだろう。
 鉄道会社を経営するアンドリュース兄妹役には、サイレント映画の二枚目俳優だったリード・ハウズと、これが映画デビューだったブロンド女優ヘレン・クリスチャン。ただ、どちらも存在感が薄い上にセリフも棒読み同然。特にクリスチャン演じる妹ジョイスは、紅一点のヒロインであるにもかかわらずジェームズとのロマンスはほとんどナシという有様で、役柄としての必然性にも首を傾げざるを得ない。
 一方、脇役の中で特に強いインパクトを残しているのは、マースデン役のノア・ビーリーとエル・ロボ役のリチャード・アレクサンダー。やはり活劇映画は悪役が強烈でなくては面白くない。ビーリーはダグラス・フェアバンクスの『奇傑ゾロ』でも宿敵ゴンザレス大佐役を怪演したハリウッド草創期の名脇役スター。アレキサンダーはルイス・マイルストーン監督の傑作『西部戦線異状なし』(30)でも知られる俳優だ。
 そのほか、後にテレビの西部劇ドラマ『シスコ・キッド』に主演して人気を集めたダンカン・レナルド、ダグラス・フェアバンクスの『三銃士』(21)や『鉄仮面』(29)など複数の作品でリシュリュー枢機卿役を演じたナイジェル・デ・ブルーリア、エルンスト・ルビッチ監督の『山の王者』(29)で注目されたメキシコ系女優モナ・リコなどが脇を固めている。

 

 

Zorro's Fighting Legion (1939)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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監督:ウィリアム・ウィットニー
   ジョン・イングリッシュ
製作:ハイラム・S・ブラウンJr.
脚本:ロナルド・デヴィッドソン
   フランクリン・アドロン
   モーガン・コックス
   ソール・ショア
   バーニー・A・サレスキー
撮影:レジ―・ラニング
出演:リード・ハドリー
   シーラ・ダーシー
   ウィリアム・コーソン
   リアンダー・デ・コルドヴァ
   エドマンド・コッブ
   ジョン・マートン
   C・モンタギュー・ショー
   バド・バスター
   カールトン・ヤング

第1話“The Golden Gid”
第2話“The Flaming Z”
第3話“Descending Doom”
第4話“The Bridge of Peril”
第5話“The Decoy”
第6話“Zorro to the Rescue”
第7話“The Fugitive”
第8話“Flowing Death”
第9話“The Golden Arrow”
第10話“Mystery Wagon”
第11話“Face to Face”
第12話“Unmasked”

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黄金マスクを被った邪神ドン・デル・オーロ

町の有力者たち4人がドン・デル・オーロの手下だった

高潔な軍人ドン・フランシスコが敵に襲われる

そこへ現れたのは伝説の英雄ゾロ

 『怪傑ゾロ/ゾロ・ライズ・アゲイン』に続く、リパブリック製作ゾロ・シリーズの第2弾。前作に引き続いてウィリアム・ウィットニーとジョン・イングリッシュの名コンビが監督を務めており、ヤキマ・カヌートによる超人的なスタントも盛り沢山。そればかりか、本作ではインディアンを率いる黄金マスクの邪神ドン・デル・オーロが悪役として登場し、前作とは一味違うファンタジー・アドベンチャー的な面白さも加味されている。いい意味で荒唐無稽な設定やスピーディーなストーリー展開は前作以上の面白さだし、大量のエキストラを動員したモブ・シーンなどの見せ場もスケールアップ。非常に見応えのある痛快な作品に仕上がっている。
 舞台は19世紀半ば。独立したばかりのメキシコは国力が弱く、大統領フアレスは金塊の輸出によって国の財政を潤そうと考えていた。ところが、原住民ヤクイ族の崇拝する邪神ドン・デル・オーロを名乗る謎の人物が現れ、メキシコを自らの支配下に置くべくインディアンたちを率いて蜂起。金鉱山のある小さな田舎町サン・メンドリートを脅かすようになる。
 一方、正義感の強いベテラン軍人ドン・フランシスコは、ドン・デル・オーロの魔手から町と金鉱山を守るために精鋭揃いの自警団を結成。しかし、志半ばで敵に殺されてしまった。そんなドン・フランシスコの遺志を継いだのが、甥っ子の若手軍人ディエゴ・ロペス。一見すると軟派で軽薄なプレイボーイだが、もちろんそれは仮の姿。いざという時は伝説の英雄ゾロに変身して自警団を率い、ドン・デル・オーロの野望を打ち砕くために大活躍するというわけだ。
 ゾロことディエゴ・ロペスを田舎町へ差し向けたのが実はフアレス大統領だった、というのが本作の重要なポイントであろう。つまり、彼は非公式の政府エージェント、要するにスパイなのである。敵が黄金のマスクを被った謎の悪人という設定も『007』シリーズを彷彿とさせるし、そのドン・デル・オーロの正体と陰謀を暴こうとするゾロと仲間たちの活躍ぶりもまるでスパイ映画みたいだ。
 また、中盤では『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)とソックリの吊り橋アクションが出てくるし、暴走する馬車から振り落とされたゾロが鞭を使ってよじ登っていくシーンも『レイダース/失われたアーク』(82)そのまんま。恐らく、スピルバーグは本作から多大な影響を受けたに違いない。さらに、同時期にヤキマ・カヌートが参加した『駅馬車』を彷彿とさせるようなスタントも随所に散見される。
 このように、西部劇ファンやアクション映画ファンなら必見の見せ場が盛り沢山。間違いなくリパブリック版ゾロ・シリーズの最高傑作と言えよう。

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ゾロの正体はプレイボーイのディエゴ(R・ハドレー)

フアレス大統領(C・ヤング)がディエゴの後ろ盾だった

ディエゴの秘密を知る従兄弟ラモン(W・コーソン)

ラモンの妹ヴィオリータ(S・ダーシー)

 時は1824年。念願の独立を果たしたメキシコだったが、政府の財政事情はひっ迫していた。そこで、大統領フアレス(カールトン・ヤング)は田舎町サン・メンドリートの金鉱山に着目する。金塊を輸出することで国を豊かにしていこうというのだ。だが、地元では不気味な噂が流れていた。原住民ヤクイ族の邪神ドン・デル・オーロが復活し、大軍を率いて蜂起したというのだ。そこで、フアレス大統領は高潔なベテラン軍人ドン・フランシスコ(ガイ・デネリー)に白羽の矢を立て、金鉱山を守るための特殊部隊の結成を指示する。だが、彼らは事態がどれほど深刻なものなのか、まだ気付いていなかった。
 というのも、地元議会内部に複数の敵方スパイが4人もいたのである。その4人とは、フェリペ知事(リアンダー・デ・コルドヴァ)、金鉱山管理人ゴンザレス(エドマンド・コッブ)、軍隊指揮官マヌエル(ジョン・マートン)、裁判長パブロ(C・モンタギュー・ショー)。これら議会で発言権を持つ有力者たちが、揃いも揃ってドン・デル・オーロの協力者だったのである。
 まず、フェリペ知事らは町のならず者ロドリゲスを特殊部隊に潜入させようと画策。だが、ドン・フランシスコに断られてしまい、怒ったゴンザレスは彼を公衆の面前で侮辱し、決闘の末に倒してしまう。そこへ現れたのは伝説の英雄ゾロ。ロドリゲスとその仲間たちを見事に蹴散らしたものの、ドン・フランシスコは心臓発作で亡くなってしまった。その直前に彼は、目の前の英雄ゾロが自分の甥っ子ディエゴ・ロドリゲス(リード・ハドリー)であることに気付く。
 実は、ディエゴはフアレス大統領が極秘に送り込んだ諜報員であった。従兄弟のラモン(ウィリアム・コーソン)と執事のフアン(バド・バスター)は彼がゾロだということを予め知っている。だが、それ以外の人々には極秘。普段は自堕落で軽薄なプレイボーイを装っており、ドン・フランシスコの甥ということで警戒していたフェリペ知事らの目を欺いていた。しかし、その一方でラモンの誇り高い妹ヴィオリータ(シーラ・ダーシー)からは軽蔑されることとなる。
 かくして、叔父の遺志を継いで自警団のリーダーとなったディエゴこと英雄ゾロ。政府軍が金塊を首都へ運ぶこととなり、その道程でドン・デル・オーロの一味が罠を仕掛けていたものの、ゾロと自警団の活躍によって無事に金塊を守ることが出来た。しかし、ゾロの率いる自警団が民衆の支持を得ることを恐れたフェリペ知事たちは、軍隊を襲ったのが彼らであると公式発表してしまう。メキシコの敵は存在するかどうかも分からない邪神ドン・デル・オーロなどではなく、英雄ゾロを勝手に名乗っているならず者集団たちであるとのイメージを大衆に植え付けようとしたのである。
 かくして、ゾロと自警団メンバーに多額の懸賞金がかけられた。運悪く仲間の一人が捕えられてしまい、問答無用で銃殺刑が言い渡されてしまう。ディエゴは政府軍に一人も犠牲者を出さないよう、処刑の直前に蜂の巣を投入。現場はパニックとなり、無事に仲間を救い出すことが出来た。しかし、ドン・デル・オーロの手下が自警団の秘密基地を発見してしまい、大量のダイナマイトが仕掛けられる。間一髪で気付いて逃げ出したゾロたちだったが、秘密基地は無残にも木端微塵となってしまった。また、敵の武器である“黄金の矢”の製造工場をフアンが発見。ゾロはドン・デル・オーロの正体に繋がる糸口が見つかるかもしれないと潜入する。しかし、工場に打撃を与えることは出来たものの、大きな収穫はなかった。
 一方、敵方の一連の動きに危機感を抱いたフアレス大統領は、1000人規模の軍隊を新たに創設することを決定。大量の銃器が馬車にて運搬されることとなった。馬車はサン・メンドリートの近くを通過する。そのことを知ったフェリペ知事らは、馬車を襲撃して銃器を強奪しようと計画。なにしろ、インディアンたちの武器は弓矢と斧だけ。銃を使いこなせるようになれば政府軍にだって十分勝てるはずだ。
 敵の動きを察知したゾロと自警団たちは輸送馬車を守るべく奔走するが、今回は相手に裏をかかれてしまった。まんまと銃器を手に入れたドン・デル・オーロ一味。さらに、ラモンがゾロとの密会現場をフェリペ知事らに目撃されてしまい、拉致されて拷問を受けることになる。次々と襲いくる試練に立ち向かうゾロと仲間たち。果たして、彼らはドン・デル・オーロの野望を打ち砕き、その正体を暴くことが出来るのだろうか…!?

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ゾロは自警団を率いて金鉱山を守ろうとする

燃え上がるZの文字は自警団のシグナル

フェリペ知事らはゾロと自警団を悪者に仕立てる

ドン・デル・オーロに服従するインディアンたち

 時代が時代ゆえにインディアンの描かれ方には少なからず偏見が見受けられるものの、あくまでも彼らは邪神ドン・デル・オーロになりすました何者かに騙されているだけで、最終的にはゾロと自警団の味方になる。当時のメジャー・スタジオ製作の西部劇などと比較してみれば、かなりリベラルな傾向の強い脚本と言えるだろう。これはもしかすると、本作で新たに脚本の執筆へ携わったソール・ショアの影響があったのかもしれない。というのも、彼は当時リパブリック映画御用達の脚本家の一人だったのだが、実は自他ともに認めるアメリカ共産党のメンバーであり、後に赤狩りでハリウッドを追放されたバリバリの左翼リベラルだったのだ。
 撮影監督のレジ―・ラニングは、リパブリックが製作したジョン・ウェイン主演の『硫黄島の砂』(49)やジョン・デレク主演の『戦う雷鳥師団』(52)などの戦争映画で鳴らしたカメラマン。また、米スタントマン協会の初代会長を務めたデイル・ヴァン・シッケルが主演リード・ハドリーのボディ・ダブルを担当し、ヤキマ・カヌートはそれ以外のキーとなるスタント・シーンに参加している。
 ちなみに、本作に登場するメキシコ大統領フアレスは実在の人物であるものの、彼が大統領に選出されたのは1861年のことであり、物語の設定になっている1824年にはまだ亡命先のアメリカに住んでいた。実は本作の製作当時、フアレス大統領の生涯を映画化したポール・ムニ主演の『革命児ファレス』(39)が大変な評判となっており、その話題性に便乗しようとして彼を登場させたのだそうだ。

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乗馬テクニックを駆使したアクションも見どころ

『インディ・ジョーンズ』を彷彿とさせる吊り橋の崩壊

命懸けのスタントシーンも盛りだくさん

エキストラを動員した戦闘シーンも迫力がある

 主人公ディエゴ・ロドリゲス役を演じるリード・ハドレーは、サミュエル・フラー監督の『地獄の挑戦状』(49)やレイ・ナザロ監督の『カンサス大平原』(53)などで活躍した長身のB級西部劇スター。いかにもスマートな二枚目といった風情がマッチしており、なかなかのはまり役だったように思う。
 その従兄弟で相棒のラモン役には、キャサリン・ヘプバーン主演の『ステージ・ドア』(37)にも出ていたウィリアム・コーソン。また、ラモンの妹ヴィオリータ役で当時リパブリックやコロムビアの連続活劇に引っ張りだこだった女優シーラ・ダーシーが扮しているものの、残念ながら色添え以上でも以下でもないような扱われ方で、せっかくのゴージャスな美貌を全く生かせていない。
 そのほか、エドマンド・コッブやC・モンタギュー・ショーなど、当時の連続活劇映画でお馴染みの脇役俳優が多数出演。また、カルト映画として名高いマリファナ撲滅プロパガンダ映画“Reefer Madness”(36)のギャングスター役で知られる俳優カールトン・ヤングが、フアレス大統領役を演じている。

 

 

Zorro's Black Whip (1944)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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監督:スペンサー・ゴードン・ベネット
   ウォーレス・グリッセル
製作:ロナルド・デヴィッドソン
脚本:ベイジル・ディッキー
   ジェシー・ダフィー
   グラント・ネルソン
   ジョセフ・ポーランド
撮影:バッド・サッケリー
出演:リンダ・スターリング
   ジョージ・J・ルイス
   ルシアン・リトルフィールド
   フランシス・マクドナルド
   ハル・タリアフェーロ
   ジョン・マートン
第1話“The Masked Avenger”
第2話“Tomb of Terror”
第3話“Mob Murder”
第4話“Detour to Death”
第5話“Take Off that Mask”
第6話“Fatal Gold”
第7話“Wolf Pack”
第8話“The Invisible Victim”
第9話“Avalanche”
第10話“Fangs of Doom”
第11話“Flaming Juggernaut”
第12話“Trail of Tyranny”

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暴動や略奪の相次ぐアイダホ

無法者たちから庶民を守る英雄“黒い鞭”

アイダホは州への昇格を目指していた

新聞社社長の妹バーバラ(L・スターリング)

 こちらがリパブリック版ゾロ・シリーズの第3弾。ところが、今回はタイトルにゾロと銘打ってはいるものの、本編中にゾロを名乗る人物は一切出てこない。というのも、当時20世紀フォックスがタイロン・パワー主演で『怪傑ゾロ』(40)という映画を大ヒットさせたばかりで、著作権の都合上からゾロというキャラクターを登場させることが出来なかったのだそうだ。それなら、なぜタイトルはゾロのままなんだ?という疑問がおのずと湧いてくるものの、その辺りの事情は残念ながら定かではない。
 だからというわけでもないと思うが、本作はヒーロー役を女性に設定することで覆面の義賊=男性という既成概念(?)を取っ払い、一種独特のユニークな連続活劇に仕立てている。もちろん、『ポーリンの危機』(14)に代表されるようにサイレントの草創期から女性を主人公にした連続活劇は多数存在していた。本作が製作された当時にしたって、女版ターザンとも呼ぶべきジャングル・ガールものは連続活劇の人気ジャンルだった。とはいえ、やはりゾロの名前を冠した作品で女性が主役を張るというのは斬新なアイディアだったに違いない。
 主人公は地方新聞社を経営するタフな女性バーバラ。彼女が住むアイダホ準州では、正式にアメリカ合衆国の州への昇格を目指す気運が高まっていた。しかし、利権を貪る地元の有力者ハモンドは州への昇格に反対しており、世論の勢いを弱めるべく無法者集団を使って各地で暴動を起こしていた。そんなハモンド一味に一人で立ち向かっていたのが、覆面の英雄“黒い鞭”。その正体はバーバラの兄ランディだった。ところが、銃撃戦でランディが死亡。バーバラは兄の遺志を受け継ぎ、女だてらに“黒い鞭”を名乗ってハモンド一味に立ち向かうこととなったのだ。
 前2作に比べると物語のスケールは遥かに小さいし、いくら覆面をしているとはいえ背格好や体型を見れば女性と分かるはずなのに誰も気づかないなどの根本的な突っ込みどころは満載。また、悪役を含めた脇のキャラクターの印象が薄いこともあって、いまひとつ地味な印象の拭えない作品ではある。
 しかしその一方で、格闘シーンにおけるスタント・ファイトは非常にリアルかつ迫力満点。椅子やテーブルや窓などをことごとく破壊しながらの殴り合いには、思わず目を見張らされること必至だ。さらに、銃撃戦や乗馬をはじめとするアクション・シーンのスピーディかつダイナミックな演出も見事で、その点に関しては驚くほど見応えのある出来栄えと言えよう。

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兄の遺志を継いで“黒い鞭”となるバーバラ

敵の黒幕は悪徳実業家ハモンド(F・マクドナルド)

潜入捜査官ヴィック(G・J・ルイス)がバーバラの味方

滝の裏側に“黒い鞭”の隠れ家が

 時は1889年。アイダホでは州への昇格を目指す気運が住民の間で高まりつつあったが、その流れを阻もうとするかのように各地で無法者たちによる暴動や略奪が相次いで発生。“黒い鞭”を名乗る覆面の義賊が犯罪行為の鎮圧に活躍していたものの、それでも治安は急速に悪化していた。駅馬車会社を経営する大物実業家ハモンド(フランシス・マクドナルド)を議長とする町議会でもその問題は取りざたされていたが、根本的な解決方法は見つけられないままだ。
 実は、無法者たちに暴動や略奪をさせていたのはハモンドだった。彼はオハイオにおける駅馬車ルートの利権を独占しているのだが、州の仲間入りをしてしまうとそれもままならなくなる。つまり、なんとしてでも州への昇格を阻止しなければならなかったのだ。彼は政府の役人ブラッドリー(トム・ロンドン)がアイダホへ視察に訪れると知り、部下のバクスター(ハル・タリアフェーロ)らにブラッドリー襲撃を命じる。あくまでも脅すだけ。アイダホの印象を悪くするためだ。
 地元の新聞社ヘラルドを経営するランディ・メレディス(ジェイ・カービー)の妹バーバラ(リンダ・スターリング)が、ガイドとしてブラッドリーに同行していた。2人は鉄道会社の保安員ヴィック・ゴードン(ジョージ・J・ルイス)と親しくなる。そこにハモンド一味が現れ、たちまち銃撃戦となってしまった。“黒い鞭”の助太刀で無法者は逃げ去ったものの、運の悪いことにブラッドリーが銃弾の犠牲となってしまう。その死に際に、彼はヴィックが政府の潜入捜査官であることをバーバラに告白し、2人で協力して無法者たちの黒幕を暴くよう頼むのだった。
 一方、逃げた無法者たちを追跡する“黒い鞭”だったが、その銃撃の最中に重傷を負ってしまった。滝の裏にある隠れ家へと戻った“黒い鞭”。その正体はバーバラの兄ランディだった。帰宅したバーバラは隠れ家の床に倒れて絶命している兄を発見する。
 新聞社の経営を引き継いだバーバラ。ハモンドは理想主義的な彼女のことを強く警戒し、新聞社に対する営業妨害を企てることにする。無法者たちによって印刷所が襲われ、さらに新しい印刷機が破壊されてしまった。ヴィックの活躍でベテランの印刷職人テンポイント(ルシアン・リトルフィールド)が無事だったものの、新聞社がこうむった損害は少なくない。
 なんとかして黒幕を突き止め、悪人たちに制裁を加えなくてはならない。ヴィックは債券を発行して献金を募り、それを懸賞金として広く情報を集めようというアイディアを思いつく。だが、集まった金を預かることになったのはハモンドだった。彼は強盗事件を自作自演し、懸賞金を手下たちに奪わせることにする。そこへヴィックと“黒い鞭”が現れ、無法者たちと銃撃戦となるのだが、まんまと金を持って逃げられてしまった。そして、発案者であるヴィック自身が金を横領したのではないかと疑われて逮捕されてしまう。しかし、バーバラは敵の逃亡ルートを割り出し、メンバーの一人ハリス(ジョン・マートン)を捕虜にしたうえ、現金を奪還することに成功した。
 かくしてヴィックの容疑は晴れ、ハリスは都市部の裁判所へと移送されることに。だが、その護送馬車が無法者の一味に襲撃され、“黒い鞭”に変身したバーバラが応援に駆け付けたものの、結局ハリスには逃げられてしまった。仕方なく帰路へつく“黒い鞭”。だが、その後をハリスたちが秘かに尾行していた。途中で見失ってしまったものの、その近くにバーバラの自宅があることを怪訝に思ったハリス。もしかするとバーバラは“黒い鞭”のことを知っているのかもしれない。彼らはバーバラを縛り上げ、その身柄を解放して欲しければ“黒い鞭”自身が指定場所へ来るように、との新聞広告を打つようテンポイントに要求する。
 その電話を傍で聞いていたヴィックは、すぐさまバーバラを救出するために指定場所へ。果たして、無事にバーバラを救うことは出来るのか?さらに、町の周辺で金鉱山が発見され、アイダホはたちまちゴールド・ラッシュに。このままでは本当に州へ昇格してしまいかねない。焦ったハモンド一味は、さらに悪事をエスカレートさせていく…。

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女性スタントマンの草分けB・デフォレストのスタント

ヴィックはバーバラが“黒い鞭”だとは知らない

印刷技師テンポイント(L・リトルフィールド)

アクション・シーンのダイナミックな演出に注目

 監督を担当したのはスペンサー・ゴードン・ベネットとウォーレス・グリッセル。ゴードン・ベネットはカーク・アリン主演も“Superman”(49)やロバート・ロウリー主演の“Batman and Robin”(49)など、コロムビア映画製作の連続活劇でも有名な職人監督。一方のグリッセルは当時まだ駆け出しの新人監督だったようだ。
 ちなみに、連続活劇映画では本作のように監督が二人一組で演出を手掛けることが多い。それには二つの大きな理由があった。まずは通常合計で6〜7時間に及ぶ上映時間に比べて撮影日数が極端に短いため、一人が屋外シーンの演出を行いつつ、もう一人が同時進行で屋内シーンの演出をするという強行スケジュールが慣例だったから。さらに、一般の劇映画とは製作スタイルが全く異なることから特定の監督やスタッフに仕事が集中し、新人を育てるような時間的余裕が全くなかったため、本作のようにベテラン監督と若手を組ませてノウハウを学ばせるような場合も少なくなかったのだ。
 脚本家チームの中で注目しておきたいのは、“フラッシュ・ゴードン”シリーズで有名な連続活劇のプロフェッショナル、ベイジル・ディッキー。その他のジェシー・ダフィーやグラント・ネルソン、ジョセフ・ポーランドも当時リパブリックで数多くの連続活劇を手掛けていた人々で、彼らは同時期の“Captain America”(44)や“Haunted Harbour”(44)でも顔を合せている。
 撮影監督のボブ・サッケリーはもともと特殊効果マン出身のカメラマンで、後に『鬼警部アイアンサイド』や『幌馬車隊』などの人気テレビドラマで活躍した人物。また、女性スタントマンの草分けとして名高いベイブ・デフォレストが、主演リンダ・スターリングのボディ・ダブルを担当している。

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セットを壊しまくるファイト・シーンも迫力満点

手に汗握るクリフハンガーも目白押しだ

強盗の嫌疑をかけられてしまったヴィック

州への昇格を阻止するためには手段を選ばないハモンド

 主人公バーバラを演じているリンダ・スターリングは、当時リパブリックが売り出しに力を入れていた美人女優。前年に主演したジャングル・ガール物の連続活劇“The Tiger Woman”(43)で人気を集め、本作以外でも“Manhunt of Myster Island”(44)や“The Purple Monster Strikes”(45)などの連続活劇でヒロイン役を演じた。早くに結婚して女優を引退し、その後大学教授となったそうだ。
 一方、合衆国の潜入捜査官でバーバラの相棒でもあるヴィック役には、当時数多くの連続活劇や西部劇で悪役を演じていた俳優ジョージ・J・ルイス。本作のようなヒーロー役は非常に珍しい。また、彼は後にテレビ・ドラマ『怪傑ゾロ』(57〜59)とその映画版『ゾロの復讐』(59)にて、ゾロの父親役を演じている。
 また、サイレントからトーキー初期にかけて、ユニバーサルやMGMの作品で老人役やドクター役などを演じた名脇役ルシアン・リトルフィールドが印刷技師テンポイント役でユーモアを振りまく。そのほか、ガルボやディートリッヒの映画で脇役を務めたフランシス・マクドナルド、サイレント時代の西部劇スターだったハル・タリアフェーロ(ウォーリー・ウェイルズ)、スリー・ストゥージズ映画の常連だったスタンリー・プライス、カウボーイヒーローのホパロング・キャシディ・シリーズで相棒ジョニー役を演じていたジェイ・カービーなどが出演しているものの、全体的に脇役キャラクターの印象が薄いのは惜しまれる。

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晩年のリンダ・スターリング

 

 

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(P)2005 Passport Video (USA)
画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤5枚組セット)
モノクロ/スタンダードサイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/700分/製作:アメリカ

特典映像
オリジナル劇場予告編集
女優L・スターリング インタビュー
 リパブリックの連続活劇版ゾロ・シリーズを収録した5枚組ボックスセット。リパブリックでは合計7本のゾロ作品が作られていますが、ここでは上記の3本が収録されています。画質はまずまず。ただ、いずれも現在はパブリックドメインとなっており、製品からリッピングしても違法にはならないからでしょうか、画面の右下にコピー防止用のロゴが入れられているのは目障りかな。

 

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