ロシアン・ポップス
〜ちょっと気になるアーティスト篇3〜

 

 

Slava

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 とても個性的な顔をした女性アーティストだ。彼女のデビュー曲“Lyublyu Ili Nenavidju(愛または憎しみ)”は官能的なボサノバのリズムに濃厚で甘いメロディの絡むエロティックなバラードで、官能的かつ退廃的でゴージャスなプロモ・クリップも強烈な印象を残した。トランスからヒップ・ホップまでジャンルを問わずに歌うので、楽曲によって好き嫌いのバラつきが生まれてしまうタイプのアーティストだが、作品そのもののクオリティは高い。
 スラヴァの本名はアナスターシア・スラネフスカヤ。1980年5月15日、モスクワに生まれている。学生時代はバレーボール選手として活躍していたらしく、とにかく身長が高くて手足が長い。モデルでもなかなかいないんじゃないかと思えるくらい、とても均整の取れた美しい体をしている。
 で、デビューのきっかけはカラオケ・バー。カラオケが大好きだったという彼女は、毎日のように仕事が終わった後はカラオケ・バーに繰り出していたのだそうだ。で、たまたま同じカラオケ・バーに客として来ていたのが、音楽プロデューサーのセルゲイ・カルヴァルスキー。彼はアラ・プガチョワやフィリップ・キルコロフといった大御所スターを手掛けた事もある有名なプロデューサーだ。スラヴァの歌声を気に入ったカルヴァルスキーが彼女に声をかけ、その場でプロ・デビューが決まってしまったという。
 デビュー曲“Lyublyu Ili Nenavidju”がリリースされたのが2004年。これがロシア国内の各ラジオ・チャートでトップに輝き、一躍注目を集めるようになった。矢継ぎ早に新曲がリリースされ、その年の秋にはアルバム“Popuchitsa(旅の道連れ)”もリリース。翌年にはユーロビジョン・ソングコンテストにも出場し、セミ・ファイナルまで勝ち残った。
 また、2005年に発表されたシングル“Klassniy(クールなヤツ)”は同年のゴールデン・グラモフォン(ロシア版グラミー)を受賞。また、自ら音楽制作プロダクションを経営する実業家であり、女優として映画デビューも果たしている。2006年にリリースされたセカンド・アルバム“Klassniy”もなかなか完成度が高く、これからも注目していきたい女性アーティストの一人だ。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

POPUTCHITSA.JPG KLASSNI.JPG

Poputchitsa (2004)
Fellow Traveller

Klassniy (2006)
Cool One

(P)2004 Slava Music (Russia) (P)2006 Grand Records (Russia)
1,Intro
2,Poputchitsa ビデオ
3,Lyublyu Ili Nenavidju ビデオ
4,Ogon-Voda
5,Ne Bilo
6,Stranniy Gorod
7,Bez Pravil
8,Leisya Noch
9,Igra V Chetire Ruki
10,Moyay Dushe Pokoya Net
11,Ogon-Boda (Dynamite Mix)
12,Lyublyu Ili Nenavidju (Remix)
13,Poputchitsa (Karaoke-Versiya)

produced by Oleg Chelishev
1,Klassniy ビデオ
2,Samo Soboy
3,Ukrala Ulibku ビデオ
4,Doroga Belaya ビデオ
5,Viski Bez Lda
6,Lyubov, Ya Tebya Otpuskayu
7,Dodjdis
8,I Wanna Be The One
9,Korabli
10,Samolyeti
11,Samo Soboi (Remix)
12,Ukrala Ulibku(Remix)
13,Klassniy (Remix)
bonus video
Klassniy
 トランスあり、ヒップ・ホップあり、ボサノバあり、フォーク・ポップありと、まさに何でもござれのファースト・アルバムです。それだけにアルバムとしてのまとまり感は全くないものの、個々の楽曲はどれも完成度が高いと思います。特にデビュー曲となった#3は秀逸。濃厚なエロさが炸裂する官能ボサです。アルバム・タイトルになった#2もロシアでは大ヒットしました。  ちょっとグリュコーザを連想させる、ファンキーでキャッチーなダンス・ポップ・ナンバー#1で幕を開けるセカンド・アルバム。これはロシアでかなり大受けでした。キュートでセクシーなプロモ・クリップもカッコよかったですし。今回もトランスからR&B、バラードまでバラエティ豊かな内容。やはりアルバムとしての統一感はイマイチですが、質の高い楽曲が集まっています。

 

Zhanna Friske

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 以前にも紹介したロシアのセクシー系ガールズ・グループ、ブレスチャーシエのメンバーだったジャンナ・フリスケ。2003年にソロとして独立し、ロシアでは華やかなセレブとしてマスコミの注目を常に浴び続けているスターだ。
 アーティストとしては歌唱力もイマイチだし、楽曲もありきたりなダンス・ポップばかり。主にセクシーなグラビアや恋愛ゴシップなどで人気を集めている人だ。一応、女優としても大ヒット・シリーズ「ナイト・ウォッチ」('04)と「デイ・ウォッチ」('06)に悪女アリサ役で出演しているものの、演技力に関しても大いに疑問の余地あり。
 とりあえず、ブレスチャーシエ・ファンとしては気に留めておきたい人なのだが、まあ、それ以上でも以下でもないというのが正直なところではある。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

DJANNA_ALBUM.JPG

Zhanna Friske (2005)

(P)2005 Prof Records (Russia)
1,Lechu V Temnotu
2,Gde-To Letom ビデオ
3,Ti Nye Zakribay Sbye Serdtse ビデオ
4,La-La-La ビデオ
5,Zagadayu Ya
6,Ne Gubah Kusochki Lga
7,Akbamarin
8,Ti-Moy Sneg, Mi-Moy Sneg
9,Ti Ne Gla Menya
10,Ti Ne Zakribay Sbye Serdtse (Remix 3)
11,Ti Ne Zakribay Sbye Serdtse (Remix 2)
12,La-La-La (Remix DJ Groove)
13,La-La-La (Remix)
 こちらがファースト・アルバム。ブレスチャーシエ時代に比べると、まるで別人みたいに垢抜けましたね。ただ、歌唱力は全く上達せず。まあ、ブレスチャーシェではオルガやクセーニャがリード・ボーカルを取ることが多かったので、彼女の下手さもあまり目立たなかったんですけどね。楽曲もありきたりなダンス・ポップばかり。アダルトでジャジーなバラード#3なんかは嫌いじゃないんですけど。全体的に凡庸です。

 

Olga Orlova

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 で、そのブレスチャーシエの初代メンバーにして、初期ヒット曲の多くで作詞・作曲を手掛けていたのがオルガ・オルローヴァ。出産と子育てのために一時芸能界を引退していたが、2003年から本格的に音楽活動を再開。一昨年は初のソロ・アルバムもリリースした。
 ブレスチャーシエ在籍時代から彼女のしっとりとした美しい歌声はグループのトレード・マークだったが、よりスケールの大きなボーカリストとして帰ってきた。特にバラードで聴かせる繊細で女性らしい表現力は惚れ惚れとする。声量で聴かせるボーカリストではなく、豊かな表現力で聴かせるタイプの人だと言えるだろう。
 ダイエットのおかげでルックスも一段と洗練され、ブレスチャーシエ時代よりも遥かにフェミニンで美しい女性に変身した。ソングライターとしても、ボーカリストとしても才能に恵まれている人なだけに、これからの活躍がとても楽しみだ。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

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Yesli Ti Menya Zhdesh (2006)
If You Wait For Me

(P)2006 CD Land (Russia)
1,Istoria Lyubvi ビデオ
2,Ladoni
3,A-Ya-Yay
4,Ya Vsegda S Toboy
  (duet with Andrey Gubin) ビデオ
5,Spasibo
6,Moye Serdtse
7,Livni
8,Yesli Ti Menya Zhdesh ビデオ
9,Gde Tebya Nayti (duet with Natasha Vlasova)
10,Vishe Neba ビデオ
11,Ya Budu Pyet ビデオ
12,Ta, Chto Ishet Lyubov
13,Romans
14,Stoy
15,Ya Budu Pyet (Remix)
 ブレスチャーシエ脱退以来4年ぶりとなったカムバック・アルバム。バラードからトランスまで幅広い楽曲内容ですが、やはりロシア的な叙情感を全面に押し出したラブ・ソングが秀逸。中でも、クラシカルで耽美的なバラード#1で聴かせる繊細で官能的なボーカルは絶品です。全ての女性ボーカル・ファンにオススメしたい1枚だと思います。

 

Alexandr Panaiotov

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 ここ数年ロシアで注目を集めている男性アイドル、アレクサンドル・パナイオートフ。最近のロシア音楽界は才能のあるイケメン男性ソロ・シンガーが徐々に台頭しており、彼もディマ・ビラン、セルゲイ・ラザレフ、ユーリ・ティトフらと並んで高い評価を受けているスターの一人だ。特に、ベテランの大御所女性歌手ラリサ・ドリーナとデュエットしたラブ・ソング“Tsveti Pod Snegom”は大変な評判だった。
 1984年7月、レニングラードに生まれたパナイオートフは、3歳の時にウクライナに移り住んでいる。幼い頃から歌と作曲が趣味だったという彼は、13歳の時に児童チャリティ・コンサートに出場。さらに、地元の音楽コンテストで片っ端から優勝を手にし、アマチュア時代からかなり注目された存在だったという。
 ただ、彼はスニッカーズをご飯代わりにするというくらい大の甘党で、デビュー前は体重が107キロもあるという巨漢だった。そのため、歌唱力は評価されてもプロ・デビューまでにはなかなか至らず、2002年にはテレビのスター・オーディション番組にも出演したが、体重が原因で落選してしまった。そこで一念発起し、本人曰く“体重を三分の一以上落とした”という。その努力が実って、2003年に出場した“ナショナル・アクター”コンテストで銀賞を受賞。これがきっかけで、念願のプロ・デビューが決まったというわけだ。
 まだ今年で24歳という若さだが、既に風格すら感じさせる落ち着いた歌声が魅力。かといって背伸びをしすぎない楽曲の選び方にも好感が持てる。変にトレンドを意識し過ぎないところもいい。息の長いボーカリストになるだろうと思う。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

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Ledi Dozhdya (2006)
Lady Rain

(P)2006 Rodina Records (Russia)
1,Ledi Dozhdya
2,Arrivederci ビデオ
3,Kiev-Moskva
4,Tsveti Pod Snegom (duet with Larisa Dorina)
5,Balalaika ビデオ (ロシア語バージョン)
6,Tolko Da
7,Lunnaya Melodiya
  (duet with Larisa Dorina) ビデオ
8,Serye Glaza ビデオ
9,Na Krayu
10,Ya Tebe Ne Veryu
11,Golos ビデオ
12,Nyeobikonvennaya ビデオ
13,Skazhite, Devushki

produced by Yevgeniy Yuridlyand & Kim Breytburg
 デビュー3年目にしてリリースされたファースト・アルバム。しっとりとしたバラードからキャッチーなダンス・ポップまで幅広い選曲ながら、全体的に落ち着いた雰囲気の良質なアルバムに仕上がってます。#1はクリス・デ・バーのカバー。ラリサ・ドリーナとデュエットしたバラード#4や英語歌詞に挑戦したロシア民謡風のポップなダンス・ナンバー#5など、とてもいい曲が揃ってます。

 

Yuliy Titov

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 ロシア版“アメリカン・アイドル”として若者を中心に絶大な人気を誇るテレビのオーディション番組“ファブリキ・ズヴェーズドゥ(スター工場)”から出てきた若手男性ボーカリストだ。同番組出身者ではユーリア・サビチェヴァが既に国民的なトップ・アイドルとなっており、その後に続くスターも次々とデビューを果たしている。ユーリ・ティトフは第4シーズンに出場。優勝はしなかったものの、彫りの深い端正な顔立ちとソフトで甘い歌声でかなり人気が高かった。
 2005年にはロマンティックなバラード“Ponaroshku(戯れに)”でデビュー。これが大ヒットして人気スターの仲間入りを果たしている。ちょっとハスキーで囁き気味のソフトな歌声は女性受けするし、デビューに際してはロシアを代表する大御所作曲家イーゴリ・クルトイが全面的にバックアップしていることもあり、楽曲のクオリティも非常に高い。ただ、ボーカリストとしての実力はまだ未知数。歌唱力も表現力も、まだまだアイドル・シンガーの域を出ていない。今年で若干23歳ということで、これからに注目していきたいアーティストだと思う。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

KOMNATA.JPG

Komnata (2007)
Room

(P)2007 Ryubin (Russia)
1,Angel Plazm
2,Zastav Menya...
3,Vrag
4,Komnata
5,Navsegda ビデオ
6,Na Koleni
7,Potseluy Menya
8,Ponaroshku ビデオ
9,Prosto Neprosto...
10,Atetava
11,Navsegda (Relax Mix)
bonus video
Ponaroshku, Navsekgda
 大御所作曲家イーゴリ・クルトイがほぼ全曲を手掛けたデビュー・アルバム。全体的にソフト&メロウなバラードが中心で、クルトイのメロディ・メーカーぶりが発揮された楽曲ばかり。特にデビュー曲となった#8はしっとりとロマンティックな名作です。ただ、似たような曲が多いのでメリハリがないというのが玉に瑕ですかね。

 

 

Dmitriy Malikov

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 ロシアでは非常に根強い人気を保っている男性アーティスト、ディミトリー・マリコフ。ボーカリスト、ピアニスト、ソングライター、プロデューサー、俳優と様々な顔を持っている人物だ。主にロマンティックなバラードや、リチャード・クレイダーマンばりのインスト・ナンバーを得意としているが、最近はユーロビート風の甘いダンス・ポップなども積極的に歌っている。
 1970年1月29日、モスクワに生まれたマリコフは、ソヴィエト時代の国民的スーパー・グループ、サモツヴェティのギタリストだったユーリ・フェドロヴィッチ・マリコフを父に持つサラブレッド。妹のインナ・マリコワもソロ・シンガーとして活躍している。5歳の頃から音楽学校で英才教育を受け、学生時代から仲間とバンドを組んで音楽活動をしていた。
 85年に歌手としてデビューを果たし、89年に発表したシングル“Do Zavtra(明日までに)”の大ヒットで一躍注目を集めた。95年には国際レコード連盟が主催するワールド・ミュージック・アワードで“ベスト・セリング・アーティスト・オブ・ジ・イヤー”を受賞し、名実共にロシアを代表するトップ・アーティストの仲間入りを果たす。
 基本的にはロシア人好みの甘い歌謡ポップス路線の人なので、うるさ型の音楽ファンにはちょっとピンとこないかもしれない。少年みたいにか細いボーカルも、人によって好き嫌いが分かれるだろう。個人的には80年代のガゼボを思わせるポップなアルバム“Love Story”や、叙情的でロマンティックなインスト・アルバム“Pianomaniya”がお気に入り。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

BISER.JPG LOVE_STORY.JPG MALIKOV_BEST.JPG PIANOMANIYA.JPG

Biser (2000)
Beads

Love Story (2002)

S Chistogo Lista (2005)
From A Pure Leaf

Pianomaniya (2007)
Pianomania

(P)2000 Iceberg Music (Russia) (P)2002 CD Land (Russia) (P)2005 Reflex Records (Russia) (P)2007 JAM Group (Russia)
1,Zovi-Ne Zovi
2,Yesli Ya Ostanus Odin
3,Biser
4,Ona
5,On Odin
6,Aprel
7,S Dnem Rozhdeniya, Mama
8,Do Utra
9,Zimushka
10,Dve Ladni
11,Na Polnochnih Bulvarah (reconstruction)
12,Yesli Ya Ostanus Odin (reconstruction)
1,Love Story
2,100 Potseluev
3,Ptitselov
4,Shepotom ビデオ
5,Dva Slova
6,Kto Tyebe Skazal
7,Cherniy Drozd I Byeliy ビデオ
8,Gryeh
9,Volki
10,Satinovye Beryega
11,Ti Odna Ti Takaya
12.Ptitsselov (DJ Shun Remix)

produced by Dmitri Malikov
1,S Chistogo Lista ビデオ
2,Vishnevaya Smola
3,Nye Skuchai
4,Cherniy Drozd I Byeliy
5,Love Story
6,Ptitselov
7,Biser
8,Na Polnochnih Bulvarah
9,100 Potseluyev
10,Ti Odna, Ti Takaya
11,Mama-Leto
12,Aprel
13,Shepotom ビデオ
14,Posle Bala
15,Yesli Ya Ostanus Odin
16,S Dnem Pohdeniya, Mama
17,Kto Tebye Skazal
18,Ne Nado Pechalitsya (with Blestyashie)
1,Noch V Madridye
2,Lola
3,Semiryechye
4,Dishi
5,Odissei
6,Zemlya Obetovannaya
7,Proshay, Zhestokiy Mir
8,Barabani Sudbi
9,Lastochki
10,Stefaniya
11,Vtoroye Dihaniye
12,V Poiskah Angela
13,Tanyets Ritsarey

produced by Dmitri Malikov
 マリコフにとって7枚目に当たるアルバム。80年代風のロマンティックな哀愁系ユーロ・ハウスと、お得意の甘いラブ・バラードを中心に構成されています。全体的に可もなく不可もなくといった感じですかね。耳障りは良いのですが、ガツんとパンチの効いた楽曲に欠けるという印象。かつてのリチャード・マークスを思わせる哀愁バラード#10は結構好きですけど。  ジャケットのイメージ通り、ソフトでロマンティックでメロディアスなユーロ・ハウス、バラードが目一杯詰め込まれた珠玉のポップ・アルバム。マリコフ自身が奏でる甘いピアノのメロディが印象的な哀愁ダンス・ポップ#2なんか、まるでガゼボみたいです。意外と日本人受けするアルバムかもしれませんね。ワールド・ミュージック風のオリエンタル・バラード#3も異色な出来映えです。  過去のヒット曲に新曲#1〜#3を加えたベスト盤。・・・とはいいつつ、殆んどの楽曲がアルバム“Biser”と“Love Story”からの選曲という、かなり偏った内容です。目玉はブレスチャーシエとデュエットした#18でしょうか。父親の所属していたバンド、サモツヴェティの往年の大ヒットをカバーしています。これはロシア人なら誰でも知っている名曲。個人的にも非常に思い出深い作品です。  リチャード・クレイダーマンばりの甘いピアノの調べを堪能させるインスト・アルバム。エレクトリックなアレンジが幻想感を盛り上げる哀愁のタンゴ・ナンバー#1は、なかなか秀逸な出来映え。アコースティック・ピアノを中心に、シンセサイザーの打ち込みを駆使したサウンド・プロダクションが魅力的です。まるで70年代ヨーロッパ映画のサントラみたいな世界観がツボ。オススメです。

 

Didyulya

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 ロシアを拠点に活躍するフラメンコ・ギタリスト。ただ、そこは雑食なロシア人のこと。フラメンコだけではなくトルコやアラブ、ギリシャなどの民族音楽、そしてジプシー音楽の要素をふんだんに盛り込み、さらにシンセサイザーなどの打ち込みを大胆に導入し、幻想的でダンサンブルなワールド・ミュージックを聴かせてくれる。
 ベラルーシ共和国の町フロドナに生まれたディドゥーリャは、10代の頃から様々なバンドでギタリストを務めてきた。演奏旅行でヨーロッパ各国を廻った際、スペインでフラメンコの魅力に取り付かれたという。その後、単身スペインに渡ってフラメンコ・ギターを学んだ彼は、モスクワの高級ホテルのレストランなどで演奏を続け、音楽プロデューサーのセルゲイ・クリシェンコにスカウトされる。2000年にデビュー曲“Aysedora”が大ヒット。以降、コンスタントにアルバムをリリースしつつ、映画音楽を手掛けたり、スペインやトルコ、クロアチアなどでもコンサート活動を行っている。
 とにかく、カッコいい。超人的なギター・テクニックは勿論のこと、本格的なフラメンコやアラベスク、ベリー・ダンスをクラブ・ミュージックとして消化するセンスは抜群。是非、日本にも紹介して欲しいアーティストだと思う。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、その英語訳を併記してあります。楽曲タイトルは全てロシア語を英語アルファベットで表記しました。

DIDYULYA_BEST.JPG LEGENDA.JPG TSVETIE.JPG INKERMAN.JPG

Zolotye Pesni
Gold Songs

Legenda (2004)
Legend

Tsvetniye Sni (2006)
Color Dreams

Pesherniy Gorod Inkerman (2006)
Cave City Inkerman

(P) NEW Records (Russia) (P)2004 Artur Music (Russia) (P)2006 Kvadro-Disk (Russia) (P)2006 Kvadro-Disk (Russia)
1,Pesherniy Gorod Inkerman
2,Taina
3,Payozd Na Barselony
4,Legenda
5,Ulitsnye Strasti
6,Dorogoy Derzkih
7,Arabica ビデオ
8,Polyet Na Merkuriy
9,Veter
10,Den Rozhdeniya
11,Doroga V Bagdad
12,Flamenko ビデオ
13,Aysedora ビデオ
14,Den
15,Vodolad
16,Rumba
17,More
18,Satinoviye Beryega
1,Mechta
2,Serdtse Obzhigaya
3,Dorogoi Derzkih
4,Golos Sfor
5,Paryashiy V Oblakah
6,Kometi Hvost
7,Velikiy Hram
8,Legenda
9,Ulichniye Strasti
10,Osen-Avgust
11,Put Domoy

produced by Didyulya
1,Tsvetniye Sni
2,Posilka Iz Ruminni
3,Tazllya
4,Dalyekiy Gorod
5,Tanyets Kruga
6,Virazh
7,Na Poroge
8,Dim Ili Voda
9,Shumiy Prazdnik
10,Sem Potseluyev

produced by Didyulya
1,Taina
2,Pesherniy Gorod Inkerman ビデオ
3,Tayal Zvuk
4,Vinil
5,Legkiy Briz
6,Krasivo, Horosho
7,Osenniy List
8,V Izgnanii
9,Okean
10,Payozd V Barselonu
11,Kometa

produced by Didyulya
 ディドゥーリャ入門編として最適なベスト盤。デビュー曲#13を筆頭に、代表的な作品の殆んどを網羅した1枚です。リリース年のクレジットはありませんが、恐らく2006〜07年の企画かと思われます。他にもベスト盤は幾つか発売されていますが、今のところ一番新しいのがこれ。ワールド・ミュージック・ファンだけでなく、クラブ系の音が好きな人にも大推薦です。  こちらはサード・アルバム。本格的なフラメンコとクラブ・サウンドを融合させたダンサンブルな作品に仕上がっています。どれも甲乙つけ難い楽曲ばかりですが、イチオシはファンキーでエレクトリックなフラメンコ・ハウス#2、タンゴやマンボの要素を盛り込んだ#3、アンビエントなサウンドに叙情的なギターのメロディが絡む#5、哀愁溢れるスロー・ナンバー#11。オススメの1枚です。  こちらも基本路線はフラメンコ+クラブ・サウンドですが、より穏やかで暖かみのある美しいメロディが印象的な1枚。非常にロマンティックで幻想的な作品です。#4ではキャッチーなオリエンタル・ハウスにも挑戦。ベリー・ダンスの要素を盛り込んだ官能的なサウンドが魅力的です。華やかで疾走感溢れるフラメンコ・ハウス#9も超カッコいい!こちらも自信を持ってオススメ出来ます。  ウクライナの都市インケルマンをイメージしたアルバム。インケルマンとはトルコ語で“洞窟の要塞”という意味で、古代からの幻想的な風景で知られる洞窟都市です。ということで、このアルバムもフラメンコというよりはかなりオリエンタル寄りの作品。ゴージャスで凝ったサウンド・プロダクションは圧巻で、非常に聴き応えのある1枚です。特にキャッチーでダンサンブルな#10は大好き。

 

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