ロシア・アニメーション傑作選
PART 2

 

 

小さな仲間たちの大きな秘密
Volshoi sekret dlya malenkoi kompanii (1979)

監督:ユリアン・カリシェル
脚本:ユンナ・モリツ
音楽:セルゲイ・ニキチン
製作:エクラン
16分13秒

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 人形劇の演出家からストップモーション・アニメの作家へと転身したユリアン・カリシェル。70年代から90年代初頭にかけて30本以上の短編・中篇を手掛けているが、その中でも特に人気の高い代表作が、この『小さな仲間たちの大きな秘密』である。
 主人公は犬・猫・馬の仲良し三匹。どうして猫は猫同士、犬は犬同士、馬は馬同士じゃないの?という疑問から始まり、姿や形、性格、習性などの違いを超えて理解しあう友情と絆の尊さをファンタジックに描いていく作品だ。
 “大きな秘密”と書かれた紙を捜し求めて不思議な世界へ迷い込んだ三匹は、それぞれ自分と同じ種族の仲間と出会う。やはり同じ姿形や習性を持っている者同士の方が居心地良い。ついつい本能に目覚めて友情を忘れてしまいそうになる彼らだが・・・。
 パペットのキャラクター・デザインは若干粗雑な印象を受けるものの、それがまた独特の味わいになっているのが特徴。コマ数も少ないので動きはガタガタしてるが、それが逆に手作りの温もりを感じさせる。シンプルでちょっとシュールな背景デザインも可愛らしい。
 ただ、カチャーノフ作品などに比べるとあっさりとしたライトな作風なので、『チェブラーシカ』や『ミトン』でロシアのストップモーション・アニメに興味を持った人にとっては、ちょっと物足りなさを感じるかもしれない。どちらかというと子供向けの小品佳作、といったところだろうか。

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ウシャスチク
Ushastik (1979)

監督:オルガ・ロゾフスカヤ
脚本:グリゴリー・オステル
音楽:モイセイ・ヴァインベルグ
製作:エクラン
15分28秒

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 “大きな耳”という意味を持つウサギの子供ウシャスチクと、森に住む仲間たちの友情や冒険を描いたストップモーション・アニメ。79年から82年にかけて、合計で6本の作品が作られた人気シリーズの、これが1作目に当たる。
 まだもの心がついたばかりの幼いウシャスチク。見るもの聞くもの全てが新鮮だ。ある日、森の中で蝶々を追いかけていたウシャスチクは、同い年くらいの熊と狐、狼の子供たちと出会う。ドギマギしながらも仲間に入れてもらうウシャスチク。でも、みんな自分とは食べるものや習性も違う。やがて、ウシャスチクは自分が何者なのか?という疑問を持つようになり・・・。
 という、いかにもロシアという感じの素朴で可愛らしい作品。シャイでのんびりとしたウシャスチクのキャラクターやメランコリックな音楽、ちょっと切ない物語など、かなり『チェブラーシカ』を意識した作品と言えるかもしれない。
 ただちょっと難点なのは、主人公ウシャスチク以外のキャラクター造形があまり可愛くないこと。特に、脇で出てくる大人の狼や狐、カエル、ニワトリなどのキャラクターが妙にリアルでグロテスク。背景デザインやカメラワークなど、とてもドリーミーで優しいタッチが魅力なだけに、ちょっと残念な気がしてならない。
 監督のオルガ・ロゾフスカヤはウクライナ出身の女流アニメ作家。この“ウシャスチク”シリーズ以外にも数多くの作品を手掛けており、ヴィタリー・ビアンキの御伽噺を映像化した「ふくろう」(87)は大人向けダーク・ファンタジーの佳作だった。

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Volshoi sekret dlya malenkoi kompanii

(P)2006 Krupnui Plan (Russia)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(ロシアPAL盤)
カラー/スタンダードサイズ/モノラル/音声:ロシア語/字幕:なし/地域コード:ALL/82分/製作:ソビエト

収録作品
『小さな仲間たちの大きな秘密』
『ウシャスチク』
『小熊が眠りから目覚めたとき』
『ウシャスチクはどれくらい大きくなりたいの?』
『小さなアヒルはどうやって迷子になったの?』
『奇妙な失踪』
『小さなアヒルはどうやって狩りに出かけたの?』
 カリシェルの『小さな仲間たちの大きな秘密』に加えて、ロゾフスカヤの“ウシャスチク”シリーズを全て収録した1枚。ウシャスチクと小熊が森の様々な生き物の成長を学ぶ『ウシャスチクはどれくらい大きくなりたいの?』もなかなか楽しい作品です。

 

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