リッキーとポーヴェリ Ricchi e Poveri
爽やかで甘酸っぱいイタリアン・ポップスの王道

 

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 日本でも80年代初頭に“Mamma Maria(マンマ・マリア)”が歌舞伎町ディスコを中心に大ヒットした事で知られるイタリアのポップス・グループ。キャッチーで明るいメロディと爽やかなコーラスは、まさしく古き良き時代のイタリアン・ポップスそのものだった。ヨーロッパでの人気はそりゃもう絶大で、特に“Sara Perche Ti Amo”は映画「なまいきシャルロット」のテーマ曲としても使用され、80年代のヨーロピアン・ポップスを代表する名曲と呼んでも過言ではない。最近でも、世界各国で物議を醸したフランス産バイオレンス・スプラッター「ハイテンション」で、主人公の女の子たちがこの曲をカー・ステレオでガンガンに流して歌いまくっていた。そう、誰もが一緒になって口ずさめる甘酸っぱくて楽しいポップス、それが“リッキーとポヴェーリ”の大きな魅力だ。

 彼らのデビューは1968年。ジミー・フォンタナが書いた1970年のシングル“Che Sara(ケ・サラ)”はホセ・フェリシアーノやマイク・ブラントにもカバーされ、世界各国で大ヒットを記録した。サン・レモ音楽祭の常連でもあり、70年代から80年代にかけてイタリア音楽界には欠かせないトップ・グループだった。グループ名の意味は“金持ちと貧乏人”。ポップス・グループにあるまじき皮肉なネーミングである。その辺りは、さすが左翼大国イタリアらしいセンス。結成当初のメンバーはフランコ、アンジェロ、アンジェラ、マリーナの男女4人だったが、1981年にマリーナが脱退してトリオになっている。現在も、メンバー・チェンジせずに本国で活躍中らしい。

 彼らの音楽はいわゆるコテコテの大衆歌謡ポップス。しかし、その無邪気な明るさと問答無用の親しみやすさは、ポップ・ミュージックの何たるかを雄弁にもの語っているように思う。“古臭い”の一言では片付けられないエバー・グリーンな魅力は、ある意味でアバやカーペンターズ、オリビア・ニュートン・ジョンにも通じるものがあると言えるだろう。フレンチ・ポップスのようにお洒落ではないし、どちらかというとダサい部類に入るアーティストだとは思うのだが、古き良き時代のヨーロピアン・ポップス特有のキラキラ感と明朗快活さは今聴くと逆に新鮮で、ついつい口ずさんでしまいたくなる。“マンマンマ〜、マンマ、マリアマァ〜”ってね♪

 

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La stagione dell'amore (1980) /
...E penso a te (1981)

Mamma Maria (1982) /
Pubblicita (1987)

Made In Italy (2001)

(P)2001 CD-Maximum (Russia) (P)2001 CD-Maximum (Russia) (P)2003 Sony Music (France)
La stagione dell'amore
1,Jungle Beat
2,Walking Love
3,Amare, Ricominciare, No No No
4,Good-bye My Love
5,E no e no (et Maintenant)
6,Somebody To Love
7,La stagione dell'amore
8,Jungle Beat Special
9,Piccolina
10,What Now My Love
...E penso a te
11,M'innamoro di te
12,Sara perche ti amo
13,Come vorrei
14,Made In Italy
15,Stasera canto
16,...E penso a te
17,Questa sera
18,Ninna nanna
19,Bello l'amore
20,Alla faccia di Belzebu'
Mamma Maria
1,Mamma Maria
2,Poveri
3,Magnifica Serata
4,Malinteso
5,Venezia
6,Piccolo Amore
7,Amarsi un po'
8,C'e che sto bene
9,Fortissimo
10,Perche ci vuole l'amore
Pubblicita
11,Cocco bello Africa
12,Pubblicita
13,Voglio stringerti ancora
14,Non dire no
15,C'e che luna, c'e che mare
16,Lascia libero il cielo
17,New York
18,Bocce
19,E io mi sono innamorato
20,Canzone d'amore
1,Made In Italy
2,Sera Perche Ti Amo
3,Che Sara
4,Mamma Maria
5,Se Mi Innamoro
6,Como Vorrei
7,La Prima Cosa Bella
8,Mi Innamoro Di Te
9,Che Sara (Version Longue)
10,Mamma Maria (Version Longue)
11,Se Mi Innamoro (Version Longue)
12,Sara Perche Ti Amo
13,Made In Italy (Version Longue)

produced by Giorgio Tani
 映画「なまいきシャルロット」の主題歌として有名な#12を含む、ロシア盤の2in1シリーズ。1980年に発表されたアルバム“La stagione dell'amore”は、全体的にニュー・ウェーブ色の強いテクノ・ポップに仕上がっていて、かなり意外な印象の佳作。一方、翌年の“...E penso a te”はイタリアン・ポップスの王道とも言うべき、爽やかで甘酸っぱいポップ・ナンバーが目白押しで、とてもノスタルジック。ロマンティックで切ないバラード#13なんて胸キュン必至です。  こちらもロシア盤の2in1。泣く子も黙る名曲#1は全ポップス・ファン必聴。この能天気な楽しさが80年代ですね。アルバム“Mamma Maria”は前作に引き続き、キャッチーでスウィートなポップ・ナンバーが満載のノスタルジックな作品。極上の大衆歌謡ポップスですね。一方の“Pubblicita”は随所にアフロ・ビートやレゲエを盛り込みながら、しっかりとイタリアン・ポップス仕様に仕上げたキャッチーなアルバム。特に#13や#14のような甘いバラードが最高です。  往年のヒット曲の数々を最新のクラブ・サウンドにセルフ・リメイクした企画盤。ウィッグフィールドやイン=グリッド路線のポップ・ハウスやポップ・トランス仕上がっており、まさにイタロ・ビートといった感じ。底抜けの明るさ、能天気さはそのままに、“Mamma Maria”や“Che Sara”といった名曲がダンス・フロア仕様に生まれ変わっております。ボーナス・トラックとしてロング・バージョンも収録されていて、ファンなら大満足の1枚。

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