REFLEX
ロシアを代表するポップ・トランス・グループ

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 ロシア人は元来ダンス・ミュージックが大好きである。ソヴィエト時代にも地方の小さな町でも必ず若者が集まるディスコがあって、Boney MやArabesque、ABBAなどの曲がガンガンにかかっていたもんだった。何故そんな事を知っているかというと、実は小学校5年生の時の修学旅行で、日本人学校の担任の先生がこっそりと生徒をディスコに連れて行ってくれた事があったのだ。まあ、大胆な先生がいたもんだ。ね、斎藤先生(笑)。
 そんなわけで、現在のロシア音楽界でもダンス・ミュージックは重要な位置を占めており、若手は勿論のこと、それこそキャリア数十年という大ベテランのアーティストに至るまで、最新のクラブ・ミュージックの音を取り入れている。ロシアン・ポップスとダンス・ミュージックは切っても切れない関係にあると言っても過言ではないのだ。
 そうしたダンス・ミュージック大国ロシアの音楽シーンで最も人気の高いクラブ系アーティストが、このReflex。女性2人、男性一人というグループ構成は、一時期アメリカやヨーロッパでも大ブレイクしたReal McCoyを意識しているようにも思う。仕掛け人はVyacheslav Tyurin。Reflex以外にも、SashaやSvetaといった人気アーティストの作品を数多く手掛ける売れっ子のプロデューサーで、最近ではイギリスのクラブ系レーベルMinistry of Soundでも作品を発表している人物だ。
 そのTyurinのメイン・プロジェクトと言えるのがReflexである。基本的にはトランス・ハウスを前面に押し出しながらも、決してトランス、クラブ・サウンドという枠にはとらわれないポップでキャッチーなアプローチがいかにもロシア的。時にはアコースティック風に、時にはワールド・ミュージック風に、そして時にはアンビエント風に・・・といったバラエティ豊かなサウンドを展開しながらも、大衆向けポップスとしてのツボを決して外さない音作りは見事な職人技と言えるだろう。
 また、リード・ボーカリストであり、多くの作品で作詞・作曲を手掛けるIrene Nelsonのメロディ・メーカーとしての卓越した才能も見逃せない。
 特に、彼らのターニング・ポイントとなった超メガ・ヒット“Soiti s uma”(我を忘れて)は、これでもかと言わんばかりの美しいメロディ・ラインと哀しいギターの音色が胸を打つアコースティック風バラードの大傑作で、そのアーティスト性の高さを強く印象付けたものだった。

 Reflexが結成されたのは1999年。デビュー曲“Dalni svet”(遠い光)がラジオ局Europe Plusのヒット・チャートで1位を記録し、順調なスタートを切る。そして、2001年に“Soiti s uma”が主要ラジオ局の全チャートで1位を記録する大ヒットとなり、Reflexは一躍国民的なスーパー・スターとなる。
 翌2002年には、“Soiti s uma”の路線をさらに洗練させた珠玉のバラード“Ya tebya vsegda budu jdat”(いつまでもあなたを待っている)でソング・オブ・ザ・イヤーを筆頭に、その年の音楽賞を総なめにする。その後も、ヨーロッパで人気のDJ Boboとの共演や、ドイツの国際音楽祭PopKommへの出場など積極的に活動の場を広げており、世界マーケットへの進出も大いに期待されるところだ。
 ちなみに、“Soiti s uma”は“I Lose My Mind”という英語バージョンが制作されているが、何故か未だにお蔵入りしたまま。

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アレーナ(左)とイレーネ(右)

DJ シルバー

 ここでメンバーを簡単に紹介しよう。

イレーネ・ネルソン(Irene Nelson) リード・ボーカル
 ノヴォシビルスクの生まれ。地元の音楽学校でピアノを学ぶ。Reflex加入前はプロのジャズ・シンガーだった。彼女の歌声はReflexのトレード・マークと言っても良く、非常に個性の強い粘着質な歌い方をするボーカリスト。特にバラードでの絶妙のコブシ回しは演歌歌手かと思うほど。また、2002年のソング・オブ・ザ・イヤーを受賞した“Ya tebya vsegda budu jdat”は彼女が単独で作詞・作曲を手掛けた作品。その他の作品でも作詞・作曲も手掛けており、文字通りグループの中心的存在。そう、Reflexというグループは実質的にVyacheslav TyurinとIreneのプロジェクトだと言っても過言ではないかもしれない。

アレーナ・トルガノワ(Alena Torganova) ダンサー
 カザフスタン共和国の生まれ。モスクワ大学を卒業後、ダンサーとして活躍。一応、プロモ・クリップやステージではサブ・ボーカル的な役割も果たしているが、どう見ても口パク。実際には歌ってはいないと思われる。

DJ シルバー(DJ Silver) DJ
 本名はGrigory Rozov。モスクワ生まれで、高校卒業後はモスクワのクラブでDJとして活躍。たまにラップなどもやっているが、ほとんどお飾り的な存在だ。

 ちなみに、IreneとAlenaの露出度の高さも実は人気の秘密で、2人してプレイボーイ誌のグラビアを飾ったりもしている。ええ、もちろんバンバン脱ぎまくってますとも(笑)。

アップデート

 その後、05年に男性メンバーDJシルバーが脱退し、新たに女性ボーカリストのジェーニャ・マラコワが加入。さらに、07年にはグループの顔であったイレーネ・ネルソンまでもが脱退してしまった。現在はジェーニャをリード・ボーカリストとしてメインに据え、アレーナと新メンバーのアナスターシアを加えた女性ボーカル・トリオとして活躍している。

 

※以下のディスコグラフィーは、アルバム・タイトルを英語訳で、収録曲タイトルをロシア語の英語表記で記載してます。

VSTRECHAI.JPG SOITI_SUMA.JPG YA_TEBYA.JPG ETO_LYUBOVU.JPG

Meet New Day

I Lose My Mind

I Will Always Wait For You

This is Love!!!

(P)2000/2001 Grammofon (Russia) (P)2001Grammofon (Russia) (P)2002 Artur Music (Russia) (P)2002 Artur Music (Russia)
1,Intro
2,Dalni svet
3,Vstrechai novui den
4,Skolko let, skolko zim
5,Ya ustala
6,Moya lyubov
7,Pobeg
8,Ne goni menya veter
9,Mir sdeldlsya dobrum
10,Bushe chem den
11,Voda
12,Tui uje daleko
1,Soiti s uma ビデオ
2,Skolko let, skolko zim
3,Dalni svet
4,Vstrechai novui den
5,Way To Your Heart
6,Voda
7,Moya lyubov
8,Ne goni menya veter
9,Mir sdeldlsya dobrum
10,Pobeg
11,Tui uje daleko
12,Ya ustala
13,Soiti s uma (DJ Orl vs Tyurin Back To Heaven Mix)
14,Way to Your Heart (DJ Orl EuroDance Mix)
15,demomix Soiti s uma
1,Pervuii raz ビデオ
2,Poobeshai mne
3,Ya tebya vsegda budu jdat ビデオ
4,Potomu chto ne builo tebya ビデオ
5,Mui pod dojdem
6,Chudak
7,Sneg b dushe
8,Disko
9,Belobed
10,Nebo pod nogami
11,Poslednee svidanie
12,Nichego tebe ne rasskaju
13,Soiti s uma (Mind in Motion Trance Mix)
14,Soiti s uma (Instrumental Version)

1,Lyubi kak lyubish
2,Sneg v moei dushe
3,Ya hochu buit ryadom
4,Potomu chto ne builo tebya
5,Nichego tebe ne rasskaju
6,Na moih gubah
7,Eto lyubov
8,Poslednee svidanie
9,REFLEX EMOTION
10,Pervuii raz (Acoustic Version)
11,Ya tebya vsegda budu jdat (Remix)

 ファースト・アルバム“Diana sdelai shag”に新曲を加えたセカンド・アルバム。典型的なユーロ・トランス路線でまとめられた1枚。#1がデビュー曲としてヒットしたが、個人的にはリード・ボーカルのIreneが作詞・作曲を手掛けたタイトル曲#3のエレガントなポップ・センスが好み。また、チベット音楽を意識したアンビエントなワールド・ミュージック系トランス#11もユニーク。ただ、全体的にはまだインパクトの弱い仕上がりで、ありきたりなダンス系グループの域を出ていない。ちなみに、ジャケットに写っている男性メンバーは何者!?(笑)明らかにDJシルバーではないのだけれど。  メガ・ヒットとなった#1とDJ Boboとの共演作#5、及びそれらのリミックス・バージョンを過去の作品と共にコンパイルした即席アルバム。ロシアではこの手の商売が日常茶飯事で、ニューアルバムを買ってみたら大半が過去の作品、というのも珍しくない。さて、その目玉の#1。哀しげなアコースティック・ギターの音色に、メランコリックで切ない泣きのメロディ、そしてコブシ回しまくって熱唱するIreneのボーカルが絶妙のバランスで心に染み渡る佳曲。程よくエレクトロなサウンド・プロダクションのセンスも抜群。素直にいい曲です。スケールの大きいスペイシーなトランスにリミックスされた#13も、原曲の良さを生かした哀愁路線で◎。DJ Boboと共演の#5も、爽快でメロウなユーロ・ポップ・トランスといった感じで、きちんとツボを抑えている。  爆発的な大ヒットとなった“Soiti s uma”の路線を引き継ぎながら、さらに哀愁感を増したロマンティックで美しいメロディがたまらない傑作#3を含むアルバム。まるでヨーロッパ映画のワン・シーンを思わせるような切なさに満ちた名曲。その一方で、#1や#4のようなバリバリにキャッチーなユーロ・ポップ・トランスから、トランシーなキラキラのユーロ・ディスコ#5、バロック風の美しいメロディが印象的な哀愁感炸裂のハイエナジー・ユーロ#7、ミシェル・ルグランを彷彿とさせるクラシカルで美しいバラード#9、超アッパー&キャッチーなユーロ・ポップ・ディスコ#11など、楽曲の充実ぶりに目を見張る。しかも、“Soiti s uma”のハード・トランス・リミックス#13まで収録というサービスぶり。Reflex入門者にオススメの1枚。  海賊盤が横行するロシアではCDがなかなか売れないため、アルバムをリリースできるアーティストはごく一部。そうした中で、年に2枚もオリジナル・アルバムをリリースしてしまうというのは、彼らの人気の凄さを物語っている。とはいえ、11曲中4曲は前作とのダブり。新曲にしても、いずれもスピード仕上げで作りましたといった感じで、正直期待はずれ。拾い物は、前作でオープニングを飾ったユーロ・ポップ・トランス・ナンバーをメランコリックなフォーク・バラードに仕上げた#10。アコースティック・ギターでの弾き語りがとてもいい雰囲気。また、前作の目玉だった傑作バラード“Ya tebya vsegda budu jdat”を華麗な哀愁ユーロ・ハウスに仕上げた#11。80年代っぽいテイストがとっても好み。

NON_STOP.JPG LURIKA.JPG PULSE.JPG GAREM.JPG

Non Stop

I Love...

Pulse

Harem

(P)2003 Grammofon (Russia) (P)2004 Artur Music (Russia) (P)2005 Artur Music (Russia) (P)2006 Monolit (Russia)
1,Non Stop ビデオ
2,Mojet buit pokazalos ビデオ
3,Mne trudno govorit
4,Padalu zvezdui
5,Zima
6,Aska Raga
7,Gorod prachet
8,Delfin
9,Potomu chto ne builo tebya (Acoustic Version)
10,Ya budu pomnit
11,Eto hobuii god!
12,D.S.I.C.O. - 2
13,Mne trudno govorit (Remix)
14,Aska Raga (Remix)
15,Potomu chto ne builo tebya (DJ Orl vs Funkmaster Club Mix)
1,Lyublyu ビデオ
2,Mojet buit pokazalos (Symphony Orchestra)
3,Soiti s uma (Acoustic Version)
4,Voda
5,Pervui raz (Acoustic Version)
6,Nichego tebe ne rasskaju
7,Soiti s uma
8,Mne trudno govorit ビデオ
9,Ya tebya vsegda budu jdat (R'n'B Version)
10,Ya ustala
11,Soiti s uma (2-step Version)
12,Potomu chto ne byulo tebya
13,Ya tebya vsegda budu jdat
14,Mojet buit pokazalos (Instrumental Symphony Version)
15,Zapah novogo goda
1,Rock 'n' Roll
2,Esli nebo ne za nas
3,Ya razbila nebo ビデオ
4,Lyublyu (Sympno House Mix)
5,Nauchi Lyubit ビデオ
6,Ya slovno veter
7,Alive
8,Polovinka
9,Jestkoe Disko ビデオ
10Tantsui ビデオ
11,Hold Me
12,Lyublyu (Extended Trance Mix) ビデオ
13,Pervuii raz (Club Mix)
14,Pervuii raz (House Mix)
1,Arabskaya Doroga
2,Vozvrashchnie v Soznanie
3,Persidskiy Zaliv
4,V Gareme
5,Probyzhdenie
6,Kal'yan
7,Nye Ostanavlivaisya
8,Vostochnaya Zvezda
9,Tanes Dlya Nego
10,Zacharovanniye
 全体的に可もなく不可もなくといった印象のアルバム。キャッチーな哀愁系ポップ・トランスという路線に変わりはないものの、いまひとつ突き抜けたインパクトに欠けている。シタールをフューチャーしたオリエンタル・ラガ・ポップ#6にしても、アイディアは面白いものの、結果的には思い切りの良さに欠けた中途半端な仕上がり。前々作に収録されていたユーロ・ポップ・トランスをアコースティックな哀愁ボサにアレンジした#9とユーロ・ディスコ・ファンクに変身させたリミックス#15が一番の聴きものというのは少々寂しいような気が・・・。  過去の代表作のリミックス・バージョンと新曲を含むベスト盤的内容のアルバム。十八番の哀愁バラード#1も、そろそろネタが尽きてきたという印象は否めない。というわけで、過去の遺産で食いつないでいこうという事でもなかろうが、本作の目玉はヒット曲のリミックス&リメイク・バージョン。フル・オーケストラを動員して、Ireneが相変わらずコブシ効かせまくりな泣きの熱唱を聴かせる#2、そして、やっぱり来たかといった感のある“Soiti s uma”のグルーヴィーなボサ・リメイク#3。ライブ録音らしく、一発録りの緊張感が伝わって来て、なかなかクールな好バージョンに仕上がっている。#11の2ステップ・バージョンはちょっと安直だったかも。  またまた全14曲中4曲が過去の作品のリミックスという構成。新曲の中では、Donna Summerの“I Feel Love”辺りのジョルジョ・モロダー・サウンドを意識したテクノ・トランス#9(新メンバーのジェーニャが参加)、シングル・カットされたキャッチーで哀愁感漂うハイパー・ポップ・トランス#10が彼らの健在ぶりを示す佳作だと思います。ただ、他の楽曲は残念ながら完全に期待はずれ。あまりにも凡庸なポップ・トランスばかりです。#13と#14のリミックスは手堅い作りですが、やはりオリジナル・バージョンを超えるようなものではありません。全体的に息切れ感は拭えない印象で、2〜3年前の躍動感が感じられないのが残念かもしれません。  サブタイトルで“Lounge & Chill Out”と記載されているように、彼らがこれまでに発表してきたヒット曲をネタにしながら、オリエンタル・ラウンジなチル・アウト・サウンドを聴かせるアルバム。殆んど企画盤的な位置づけと考えて間違いないでしょう。楽曲もほぼダブ的な仕上がりで、ボーカル・トラックはサンプリングとしてしか使用されていません。一応、これが新メンバーであるジェーニャのお披露目的なアルバムになるはずなんですけど、使用されているのは過去の作品ばかり。プロデューサー主導のグループとはいえ、ちょっとあんまりな扱いですよね。その辺りのいい加減さというのも、ロシアっぽいといえばロシアっぽいんですけど(笑)

BLONDES_126.JPG

Blondes 126

(P)2008 Monolit Records (Russia)
1,Kak Bonni i Klayd
2,Shanelu (Chanel) ビデオ
3,Igra
4,Poteryalisu
5,Sluchayno
6,Za Toboy
7,Ya Budu Veritu
8,Prosto Vlyubitsya
9,Angelu Balbi
10,Dva Slova
11,Vibrala Tebya ビデオ
12,Shanelu (Chanel) (Radio Edit)
bonus video
Shanelu (Chanel)
Nauchi Lyubit
Polovinka
 デビュー以来グループの顔だったイレーネが脱退し、ジェーニャがリード・ボーカリストに昇格したアルバム。なんだか普通のガール・グループになってしまったという感じで、いかにイレーネの存在がリフレックスにとって重要であったのかがよく分かる結果となりました。あの粘着質なボーカルが懐かしいですね。ここまで来ると殆んど別のグループです。楽曲も凡庸なものばかり。昔からのファンとしては残念としか言いようがありません。

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