Raffaella Carra ラファエッラ・カッラ
イタリア最大の女性エンターテイナー
歌手、ダンサー、テレビ司会者、そして映画女優として絶大な人気を誇る、イタリアでもトップ・クラスの女性エンターテイナーである。その人気はイタリアのみならずスペインや南米、ロシアでも非常に高い。実際、ボクが子供の頃に彼女のテレビ特番がロシアで放送された事があり、ベネチアの運河でゴンドラに乗りながら歌う彼女の姿が強烈に印象に焼きついている。ソヴィエト時代のロシアで西側の歌手の特番が放送されるというのは非常に稀で、それこそアバやミレイユ・マチューくらいの大物でなければあり得なかった事を考ると、いかに彼女の人気が高かったか分ろうというもの。
南米でも1980年には“Barbara”というミュージカル映画がアルゼンチンで製作され大ヒットを記録している。これは、彼女自身をモデルにしたイタリアのスーパー・スターが映画に主演するためアルゼンチンを訪れ、現地の男性と恋に落ちるという歌あり恋愛ありのロマンティック・コメディ。また、スペインでも彼女が司会を務めたバラエティ番組“Hola
Raffaella!”(1992〜1994)が人気を集め、彼女はスペインのエミー賞とも言えるTP de
Oro賞の最優秀プレゼンター賞を受賞した他、番組そのものも2年連続で最優秀バラエティ番組賞を受賞した。
日本ではシングルが2枚(「燃えるカリフォルニア」、「ドリン・ドリン・ドリン」)と、アルバムが2枚(「燃えるカリフォルニア」、「ドリン・ドリン・ドリン」)発売されたのみ。いずれも70年代後半のディスコ・ブームに影響された作品で、日本にはイタリアのディスコ・クイーンとして紹介されたものの大したヒットにはならなかった。ちょうど当時は、ディスコ・ナンバー“Do
It, Do It Again”が全英チャート9位という大ヒットを記録していたこともあり、その勢いでの日本デビューだったのだろう。
1943年6月18日、イタリアはベラリアに生まれたラファエッラは、本名をラファエッラ・ロベルタ・ペローニという。ローマの国立映画実験センターで演技を学んだ後、1960年に映画デビュー。フランク・シナトラ主演のハリウッド映画「脱走山脈」('65)ではナチ将校の愛人となる貧しいイタリア娘役を演じて国際的にも注目された。
そんな彼女の歌手デビューは1970年。初期の作品は基本的に典型的なヨーロピアン・ポップスだが、A&Mサウンドやブラジル音楽、ソウル・ミュージックからの影響も色濃く、ソフト・ロックとしても十分に楽しめる楽曲が多い。中でもSteppenwolfの“Sookie
Sookie”をカバーした“Chissa chi sei”、Tony Hatchのアレンジャーとして有名なJohnny Harrisの“Footprints
in the Moon”をカバーした“Conta su di
me”などはソウルフルでグルーヴィーなソフト・ロックの醍醐味がぎっしりと詰まった素晴らしい出来映えだった。
歌手としてのラファエッラ・カッラは女優出身ということもあってか、ジュディ・ガーランドやアン・マーグレットといったスターのようなラスベガス系の王道路線に近い。その歌声はパワフルでスケールが大きい反面、繊細さに欠ける部分もあった。また、楽曲のスタイルも時代と共に自在に変化していく。アーティストというよりも純粋なエンターテイナーだったと言えるだろう。
南米でも爆発的な大ヒットとなった“Fiesta”('77)辺りからラテンやディスコの影響が強くなり、先述したように78年にリリースした“Do
It, Do It Again”がイギリスでも大ヒット。80年代半ばまで数多くのヒット曲を放った。
その一方で、80年代には“Pronto
Raffaella?”(1983〜1985)をはじめとして、“Domenica In”(1986〜1987)、“Hola
Raffaella!”(1992〜1994)、“A las ocho con Raffaella”(1993〜1994)、“En casa con
Raffaella”(1995)、そして“Carramba che
sorpresa”(1998〜2003)といったテレビのバラエティ番組で歌に踊りに司会にと大活躍。底抜けに明るいキャラクターとダイナミックなパフォーマンスは、イタリア版ライザ・ミネリと言っても過言ではない。イタリアで最も人気の高い女性エンターテイナーの一人と言えるだろう。
“Marie Jolie”のテレビ映像 ココ で見れます!
“Fiesta”のテレビ映像 ココ で見れます!
“Male”のテレビ映像 ココ で見れます!(キョーレツです〜)
“Do It, Do It Again”のテレビ映像 ココ で見れます!
Fantastica
Carra Tutto Carra Grandes Exitos Fiesta : I Grandi
Successi Disc 2
(P)1996 BMG Ricordi
(Italy)
(P)1999 Sony Music
Ent.(Italy)
(P)1999 EMI Odeon
(Argentine)
(P)1999 BMG Ricordi
(Italy)
1,Ma che musica maestro
2,Pensami
(Who Are We)
3,Chissa chi sei (Sookie Sookie)
4,Dudulala
5,Chissa
se va
6,Tuca tuca
7,Conta su di me (Footprints in the Moon)
8,Ui
diro la verita
9,Maga machella
10,El
borriquito
11,Papa
12,Raindrops Keep Fallin On My
Head
13,Accidenti a quella sera
14,Domenica non e (Hum a
Song)
15,Perdono no lo faccio piu
16,T'ammazzerei
17,I Say a
Little Prayer
18,Top
19,If I Give My Heart To You
20,Reggae
RRRRR!
21,Close to You
22,E penso a teDisc 1
1,Ma che
sera
2,Rumore
3,A far l'amore cominica tu
4,Fiesta
5,Forte
forte forte
6,Male
7,E salutala
8,Satisfaction
9,Quando Quando
Quando
10,Io non vivo senza te
11,Domani
12,Romagna
mia
13,Copacabana
14,Drin Drin
15,Non dobbiamo litigare
piu
16,Sono nera
17,Din don dan
18,Felicita ta ta (versione
spagnola)
1,Felicita ta ta
2,Tanti auguri
3,Mi sento
bella
4,Mi vien da piangere
5,Mi spendo tutto
6,0303456
7,Ci
vediamo domani
8,La bamba
9,A parole
10,Il
guerriero
11,Pedro
12,Luca
13,Torna da me
14,Ma ne sai piu di
me
15,She's Lookin' Good
16,Rumore-Get Down (versione
inglese)
17,En el amor todo es empezar (version spagnola)
18,Festa
(version italiana)1,Que dolor
2,Dame un
beso
3,Eres un bandido
4,Adios Amigo
5,Africa
6,Mama dame 100
pesetas
7,Caliente, caliente
8,Bailo, bailo
9,Esta
historia
10,Madre mia
11,Cuando calienta el sol
12,No, no vamos
al mar
13,Amore, amore
14,Super rumbas1,Rumore
2,Tuca tuca
3,Mix
Single
4,Forte, forte, forte
5,A far l'amore comincia tu
6,Bobo
step
7,Fiesta
8,E salutala per
me
9,Pedro
10,0303456
11,Tanti auguri
12,Che dolor
13,Torna
da me
14,Ballo Ballo
15,Satana
16,Presidance
1970年〜72年までのシングルで構成されたベスト盤。いかにもショービズ的な古めかしいポップ・ナンバーからサイケデリック・ロック、メロウなソフト・ロックまで実に多彩な楽曲が並ぶ。曲によって好き嫌いがはっきりと分かれるところだが、いずれもクオリティは非常に高い。中でも、ステッペンウルフのカバー#3とジョニー・ハリスのカバー#7は非常にセンスの良い洒落たアレンジで、素晴らしいソフト・ロック・ナンバーに仕上がっている。また、カーペンターズで御馴染みの#21も、ノスタルジックなオールディーズ風のアレンジが生きている。異色なのは、ウルトラ・ファンキーでオフビートなレゲエ・ファンク#20。猛烈なテンションで“ルルルルル〜”と巻き舌で叫びまくり。一体何が起こったのかと、しばし呆然とすること必至です(笑)。
こちらは1973年〜1980年までのベスト盤。いわば、彼女の全盛期の集大成的内容で、レアなスペイン語バージョンや英語バージョンなども含んだファン必携の2枚組。カンツォーネからソフト・ロック、ラテン、ディスコと、相変わらず多彩なジャンルで構成されている。いかにも70年代的なヨーロピン・ポップス満載で、実にゴージャスで煌びやか。個人的にはとても懐かしい雰囲気ですねー。これぞカンツォーネの王道、といった感じの爽やかでメロディアスなポップ・バラード#7(Disc
1)やローリング・ストーンズの大ヒット曲をグルーヴィーなジャズ・ファンク風にアレンジした#8(Disc
1)、程よくファンキーで優雅なユーロ・ディスコの秀作#14(Disc 1)、超キャッチーな哀愁フラメンコ・ディスコ#11(Disc
2)など、イタリアン・ポップスが輝いていた時代を象徴する素晴らしいポップ・ナンバーが並ぶ。オススメ!
アルゼンチンで編集されたスペイン語圏向けのベスト盤。1981年〜84年までの作品から選曲されている。いかにも南米受けしそうな野暮ったい歌謡ポップス風の楽曲が多いので、かなり好き嫌いは分かれてしまうかもしれない。個人的にも、この辺になってくるとちょっとキツいなあ・・・(笑)。スペインのマエストロ、フアン・カルロス・カルデロンが手掛けた#7なんかも、アレンジ次第ではもっと良くなりそうな気はするのだが。いかんせんダサイ。とにかく、ダサ過ぎる。「フラッシュダンス」辺りのジョルジョ・モロダー風のシンセ・サウンドをフィーチャーした#9や#11なんか余りにも中途半端で、ダサさを超えて寒気までしてくるのだから困ったもの。よっぽどコアなファンでない限りは、最後まで聴くのも至難の技ですねー、きっと。残念ながら。
70年代後半のヒット曲のセルフ・リメイクと新曲で構成されたベスト盤。当時のオリジナル・バージョンは全く収録されていないのでご注意を。ハウス風のクラブ向けっぽいアレンジが目立つものの、やはり著しい歌声の衰えは隠せない。オバサン頑張ってます!という意味では評価できるのかもしれないが、率直なところ当時のボーカル・トラックを使ったリミックス盤として製作するべきだったように思う。最近のティナ・チャールズやアニタ・ワードなどもそうなのだが、よほど常日頃からボーカル・トレーニングを積み重ねていない限りは、往年のヒット曲を歌うというのは非常にリスクが高いものなのである。そういった意味では、年を取るというのは残酷なもんだと思う。