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ラフェット・エル・ロマン Rafet El Roman
ヨーロッパとオリエントを結ぶ珠玉のメロディ・メーカー

 

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 トルコ音楽界でも随一のメロディ・メーカー。世界にも通用する天才だと思う。一応はトルコ歌謡をベースにしつつも、カンツォーネやフレンチ・ポップス、ボサノバからフラメンコ、ジプシー音楽、さらにロックやジャズ、ハウス、ディスコまで様々なジャンルの要素を盛り込み、限りなく叙情的で甘いメロディを紡ぎだしていく。その都会的でロマンチックな感性は、イタリアのエンツォ・ラマゾッティやフランスのダニー・ブリヤンに近いものがあるかもしれない。トルコ的な民族色よりもヨーロピアン・ポップス的なカラーが濃厚で、非常にインターナショナルな音楽性を持ったアーティストと言えるだろう。見た目はちょっと地味だが、そのサウンドは華やかでゴージャスそのもの。打ち込みからストリングス、ラテン・ギター、世界各国の民族楽器までをも駆使しており、そのグローバルで豊かな音楽性には驚かされるばかり、タルカンやムスタファ・サンダルに比べると国際的な知名度は圧倒的に低いが、音楽的なクオリティの高さという点では彼らを遥かに上回るものがあると思う。

 1968年8月25日、トルコは最西端の都市エディルネの生まれ。ここは地理的にブルガリアとギリシャに隣接しており、その歴史は古代ローマの時代にまで遡る。トルコとヨーロッパを結ぶ文化的中継地点でもあり、そうした環境がラフェットの音楽性に少なからず影響を与えているということは想像に難くない。さらに、7歳の時に家族と共に旧西ドイツに移り住んでおり、ラフェットはヨーロッパ文化を存分に吸収して育ったのだった。そんな彼の少年時代からの夢は音楽と映画。16歳で作曲を始め、17歳で映画製作の現場に携わるようになったラフェットは、その傍らドイツで幾つもの音楽コンテストに出場。その実績が認められ、1995年に母国トルコでCDデビューを果たしたのだった。
 デビュー・アルバム“Gencligin Gozyasi”はトルコ国内だけで80万枚を超えるセールスを記録し、一躍トップ・スターの仲間入りを果たす。さらに、2001年には監督・脚本・主演を兼ねた映画“Bu film bitmez”を発表している。

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En Guzel Gunler Senin Olsun (1997)

Hanim Eli (2001)

5 Nr Ask (2002)

Surgun... (2004)

(P)1997MarsMuzik/Universal(Turkey) (P)2001 Emre Plak (Turkey) (P)2002 Emre Plak (Turkey) (P)2004 Emre Plak (Turkey)
1,Affetmem ビデオ
2,Bana Gercekleri Soyle
3,Nerdesin
4,Ask Degilse
5,Bu Nasil Sevgi
6,Yoklugun Bir Felaket
7,Seni Sevmiyorum ビデオ
8,Isyan Ediyorum
9,Aysem
10,En Guzel Gunler Senin Olsun
11,Seni Sevmiyorum (Dance Mix)

produced by Koral Seritas
music direction by Rafet El Roman
1,Elimde Degil ビデオ
2,Sana Donemem
3,Beni Afeder Amisin? ビデオ
4,Olmuyor Bir Tanem
5,Guzel Hayat
6,Hanim Eli ビデオ
7,Soyle Boyle
8,Hoscakal Sevgilim
9,Hop Vatandas
10,Her Seye Soz Gerekmez

produced by Rafet El Roman
1,Sansliyim
2,Bugun Anladim ビデオ
3,Ask
4,Non Domandare
5,Yillar Sonra
6,Zamansiz Bir Anda
7,Pesindeyim
8,Anlamsiz Bir Firtina
9,Tarihler Yazacak
10,Gonul
11,Sansliyim (Club Long Version)

produced by Rafet El Roman
1,Yalanci Sahidim ビデオ
2,Umut
3,Hasretinle Yaniyorum
4,Surgun...(Kendimi Bildim Bileli)
5,Yanarim
6,Gencligin Ilkbaharinda
7,Kumral Bomba
8,Don Bebegim
9,Eyvah
10,Sonunda Bitti

produced by Rafet El Roman
 ジャズ・フュージョン的アプローチの濃厚な、都会的で洗練されたセカンド・アルバム。随所にトルコ歌謡やフラメンコ、ジプシー音楽のエッセンスを散りばめており、ほのかにエキゾチックな香りが漂う。しかし、何よりもまず耳を奪われるのはメロディの素晴らしさ。叙情的でため息が出るくらいに美しいメロディの連続で、その卓越した職人ぶりには感嘆するばかり。ワールド・ミュージック・ファンのみならず、AORやヨーロピアン・ポップスのファンにも大推薦です。  ラフェットにとって4枚目のアルバム。伝統的なトルコ歌謡にラテン・ムード歌謡の世界を融合させた華麗でロマンティックなバラード#3、バンドネオンの切ないメロディがフラメンコ的な哀愁感を漂わせるポップ・ナンバー#4、情熱的なラテン・ギターとワルツのリズムがノスタルジックな#6、ドライブ感溢れるアコギとメレンゲのリズム、超キャッチーなメロディが印象的なダンス・ナンバー#7など、もう天才としか思えないグローバルなポップ・センスに脱帽。  ロマ魂炸裂の超キャッチーでダンサンブルなジプシー・ハウス#1で完全にやられました。文句なしのカッコ良さ。鼻血ブーの大傑作です。続く#2ではまるで往年のフランス映画のように美しいバラードを披露。さらに情熱溢れる哀愁のフラメンコ・ハウス#3、イタリアのルチオ・ダッラを思わせるスタイリッシュで甘いバラード#4、70年代のユーロ・ディスコを彷彿とさせるキラキラ感炸裂のゴージャスな哀愁ディスコ#5と、捨て曲一切なしの大傑作アルバム。超オススメ。  トルコ歌謡にラテン、アラベスクの要素を盛り込んだ叙情的なダンス・ナンバー#1で幕を開ける6枚目のアルバム。前作にも劣らない素晴らしいメロディとサウンドを詰め込んだ傑作です。ラフェットのディスコグラフィーの中でも特にオリエント色が濃厚な1枚で、タルカンやセルタブ辺りが好きな人にもオススメできるかもしれません。随所にレゲトンやユーロ・ポップスの要素も織り込んでおり、天才的メロディー・メーカーぶりも健在。安心して聴けます。

KALBIMIN_SULTANI.JPG GONUL_YARASI.JPG

Kalbimin Sultane (2005)

Gonul Yarasi (2006)

(P)2005 Emre Grafson (Turkey) (P)2006 Emre Grafson (Turkey)
1,Yuregimle Seviyorum ビデオ
2,Bana Sen Lazimsin
3,Kalbimin Sultani
4,Sevda Yolu
5,Sahiller
6,Unut Onu
7,Yasamak
8,Love
9,Sakla Beni
10,Kaybolan Cennet

produced by Rafet El Roman
1,Bir Damla Sevgi ビデオ
2,Gonul Yarasi
3,Yana Yakila ビデオ
4,Elbet
5,Sende Hersey Yalandi ビデオ
6,Yerine Kimseyi Koyamadim
7,Sana da Kalmaz
8,Asklar Seni Bekler
9,Guzelim Yillar
10,Az ve Oz (Beni Affeder Misin)

produced by Rafet El Roman
 前作までのダンス路線が影を潜め、バラードやミディアム・ナンバーを中心にした落ち着いたオリンタル・ポップ・アルバムに仕上がっています。#5ではネオ・アコ風の爽やかなポップ・ナンバーにも挑戦。#8では英語バージョンも聴かせてくれますが、もうちょっと訛りを抜かないと違和感があるかもしれませんね。全体的に職人技的な手堅い仕事をしていて安心して聴くことができますが、欲を言えばもう少しインパクトの強い楽曲が2〜3曲あれば良かったかも。  ラフェットのロマンティストぶりが炸裂した最新アルバム。前作と同じようにバラードやミディアム・ナンバーを中心とした構成ながら、濃厚で叙情的なメロディとサウンドは華麗でゴージャス。適度に甘さを抑えながらも丁寧に紡ぎ出されていくメロディの美しさは絶品です。伝統的なトルコ歌謡の世界をクラシカルなヨーロピアン・サウンド風に表現した#1や耽美的なタンゴ・バラード#7、そして映画のテーマ曲として書き下ろした幻想的なインスト#10がオススメ。

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