ピーター・ガン Peter
Gunn
(1958-1961)
Peter Gunn Set
1 Peter Gunn Set
2
(P)2002 A&E Television
(USA)
(P)2002 A&E Television
(USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤2枚組)
モノクロ/スタンダードサイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/400分/製作:アメリカ
映像特典
トリビア・ゲームDVD仕様(北米盤2枚組)
モノクロ/スタンダードサイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/400分/製作:アメリカ
映像特典
トリビア・ゲーム
1958年9月22日から米NBCにてスタートし、通算3シーズンに渡って放送された人気テレビ・ドラマ。中でもヘンリー・マンシーニによるテーマ曲はあまりにも有名で、現在でも“探偵モノのBGM=ピーター・ガンのテーマ”と言ってしまってもおかしくないくらいに愛され続けている。
主人公はクールな私立探偵ピーター・ガン(クレイグ・スティーヴンス)。ジャズとカクテルとイタリアン・スーツをこよなく愛する彼は、カリフォルニアはベイ・エリアの裏社会では一目置かれる存在だ。行きつけのナイトクラブ“マザース”の女性ジャズ歌手イーディ・ハート(ロラ・オールブライト)と恋仲で、マダムのマザー(ホープ・エマーソン)も良き相談相手。そんな彼が警察のジャコビー警部(ハーシェル・バーナーディ)と協力しあいながら、捜索以来を受けた様々な難事件を解決していく。
当時のアメリカでは『ドラグネット』(51〜59)を皮切りに、『裸の町』(58〜63)、『アンタッチャブル』(59〜63)などフィルム・ノワール・スタイルの犯罪サスペンス・ドラマが大人気で、本作もその流れの中で登場したドラマの1つと言っていいだろう。
しかし、後のジェームズ・ボンドを彷彿とさせるプレイボーイなピーターのキャラクターやジャズ・クラブなどを舞台にしたスタイリッシュなロケーション、ラウンジ・ジャズを散りばめたお洒落なBGMなど、かなり洒脱な大人向けの演出が当時のテレビ・ドラマとしては異色だったようだ。
ただ、今見ると犯罪ドラマとしては非常に軽いタッチの作品といわざるを得ない。最大の難点は、やはり30分の一話完結という短い放送枠にあったと言えるだろう。そのため複雑で入り組んだストーリーを描くことが出来ず、人間描写に十分な時間を割くこともできなかったため、どうしても単純な犯罪を早足で解決していかねばならない。ゆえに、一つ一つのエピソードの底が浅く、似たような事件が多くなってしまうのだ。
だいたい、物語は謎の犯人による殺人事件や暴行事件で始まり、犠牲者の家族や無実の罪に問われた人物などが“マザース”を訪れ、名うての私立探偵であるピーターに行方不明者の捜索や真犯人の捜査を依頼する。で、犯罪現場でジャコビー警部と遭遇し、お互いに情報交換をしながら事件を解決に導くというわけだ。その時々によっては、人脈の広いマザーが助言をしたり、犯罪組織に襲われて傷ついたピーターをイーディが介抱したりする。このマンネリズムを退屈と感じる視聴者もいるに違いない。
その一方で、ジャズのライブ演奏を聴かせるお洒落なナイトクラブやアングラなジャズ・バーなど、当時の最先端のナイト・シーンを垣間見ることが出来るのはとても興味深い。また、エピソードを重ねるごとに激しくなっていく銃撃シーンや格闘シーンなどの暴力描写も、当時のドラマとしてはなかなか派手で迫力がある。
だが、なんと言っても一番の魅力は、やはりヘンリー・マンシーニ作曲のBGMに尽きると言えるだろう。テーマ曲以外にも、マンシーニならではのイージーでお洒落なラウンジ・ジャズが全編を通じて満載。イーディ役のロラ・オールブライトによる挿入歌の数々も魅惑的だ。
番組の生みの親はブレイク・エドワーズ。そう、『ティファニーで朝食を』(61)や『ピンクの豹』(63)といった往年のハリウッド映画で知られる名匠だ。スタイリッシュな映像センスや音楽センスは、いかにも彼らしい趣味と言えるだろう。本作のヒットがきっかけで映画界からも注目されるようになり、数々の名作を生み出すことになった。67年には、クレイグ・スティーヴンスが再びピーター役を演じるカラー映画化作品『銃口』を監督している。
ちなみに、日本では1961年の1月から半年に渡って31話が放送されている。アメリカで放送されたのが合計で114話だから、日本での評判はあまり芳しくなかったのかもしれない。
キャラクター紹介
ピーター・ガン
西海岸のベイ・エリアでは名の通ったタフな私立探偵。警察からも一目置かれており、依頼料はバカ高いものの、どんな難事件でも解決へと導いてみせる。普段はクールで冷静沈着だが、その一方で情に脆い面も。ジャズとカクテルをこよなく愛し、上質なイタリアン・スーツをダンディに着こなしてみせる。その上ハンサムでユーモア・センスも抜群。女性からの人気は高い。本人もそれは十分承知しており、その魅力を捜査で活用することも少なくない。
クレイグ・スティーヴンス
1918年ミズーリ州生まれ。39年に映画デビューするものの芽が出ず、このピーター・ガン役で初めてブレイクした。44年に当時のトップ女優アレクシス・スミスと結婚。00年にガンのため死去した。享年81歳。
イーディ・ハート
ナイトクラブ“マザース”専属のジャズ歌手。夜の世界には似つかわしくないほど清楚で控えめな女性だが、根は意外とタフで肝っ玉が据わっている。滅多なことで動じることはないものの、危険と隣り合わせで生きる恋人ピーターのことは心配で仕方がない。一匹狼である彼の性格をよく理解しており、多くを求めず内助の功に徹している聡明な良妻賢母タイプだ。
ロラ・オールブライト
1924年オハイオ州生まれ。ファッション・モデルを経て、48年に映画デビューする。カーク・ダグラス主演の『チャンピオン』(49)で不倫相手の若妻役を演じて注目されるが、その後はB級西部劇のヒロイン役に甘んじていた。このイーディ役で人気を得て、後にフランス映画でも活躍する。80年代に芸能界を引退。
ジャコビー警部
ピーターの良き理解者であり、心強い協力者でもある刑事。同僚や部下の手前、普段は素っ気ない態度をとっているが、たびたび落ち合っては情報交換をしたり、一緒になって犯罪組織のアジトへ乗り込んだりと、ほぼ一心同体の間柄にある。性格はいたって真面目だが、極端なコーヒー中毒なのが玉に瑕。刑事としての勘は非常に鋭く、ピーターの窮地を救うような場面も多い。
ハーシェル・バーナーディ
1923年ニューヨーク生まれ。ユダヤ系の芸能一家に生まれ、幼い頃から舞台に立っていた。30年代から映画でも活躍するが、赤狩りでハリウッドを追われる。本作を機に映画にも復帰し、『あなただけ今晩は』(63)などで活躍。86年死去している。享年62歳。
マザー
ナイトクラブ“マザース”の女性オーナー。“クリーンな商売”がモットーで、マフィアのみかじめ料を断ったために、爆弾を仕掛けられて大怪我を負ったことも。血気盛んで正義感が強く、チンピラ相手に食ってかかる事もしばしば。周囲からの人望も厚く、幅広い人脈を持っている。肝っ玉母さんタイプの女性で、ピーターにとっては心強い母親的存在だ。
ホープ・エマーソン
1897年アイオワ州生まれ。ボードビル芸人を経て、30年にブロードウェイで舞台デビュー。32年から映画にも出演するが、188センチという女性としては驚異的な長身が災いして、なかなか役に恵まれなかった。映画『女囚の掟』(50)の悪徳女性看守役でオスカー候補となり有名に。1960年死去。享年63歳。
ギャラリー
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ナイトクラブ“マザース”へ足繁く通うピーター |
ジャコビー警部の部屋にも入り浸っている |
イーディといい雰囲気のピーター |
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閉店後の“マザース”が憩いの場 |
ジャコビー警部とのコンビは相性ばっちり |
ダンディな魅力で女性を利用することも |
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スタイリッシュなアクションも見せ場 |
当時としては過激な格闘シーンも迫力ある |
“マザース”に爆弾が仕掛けられたことも |
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冷酷な殺人鬼が登場するエピソードも当時は珍しい |
エレベーター内での狙撃シーン |
スペインを舞台にしたエピソードもあった |
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随所に登場するお洒落なナイトクラブ |
ビートニクの集まるジャズ・バーも時代を感じさせる |
ピーター自身も顔が広い |
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こういうスタイリッシュなショットも魅力だ |
常に冷静沈着でクールなピーター |
イーディとの微笑ましいやり取りも |
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無名時代のロイ・シネス(『インベーダー』) |
『宇宙船の襲来』で有名な女優グロリア・タルボット |
人気歌手ニノ・テンポも本人役でカメオ出演 |
ロラ・オールブライト
ジャズ歌手イーディ役を演じる女優ロラ・オールブライト。番組名物のステージ・シーンは吹き替えではなく、実際に彼女自身が歌っている。実は、彼女はプロの歌手としても活動しており、57年にはレコード・デビューも果たしているのだ。ファースト・アルバム“Lola
Wants
You”はジャズ・ヴォーカル・ファンの間で評判となり、それがきっかけでイーディ役に抜擢されたという。
ちょっとハスキーで甘い歌声は、官能的でありながらも清楚で上品。ジュリー・ロンドンほど退廃的ではなく、かといって清純すぎたりしないところのさじ加減が実に絶妙だ。まさにシルクのように上品で心地の良い歌声。59年にはセカンド・アルバム“Dreamsville”もリリースされたが、歌手としての活動はそれっきりだったようだ。ちなみに、“Lola
Wants You”は日本及びヨーロッパでCD復刻されているので、女性ジャズ・ヴォーカルの好きな人は是非。
Lola Wants You
(1957)
(P)2007 LP Time Records
(Spain)
1,A Man, A Man, A
Man
2,Candy
3,Put Your Arms Around Me
4,Goodbye My
Lover
5,Aren't You Kinda Glad We Did
6,I've Got A Crush On
You
7,Here 'Tis
8,All Of You
9,There's A Man
10,Think Of
Me
11,Do What You Gotta Do
12,He's My Guy
arranged &
conducted by Dean Elliot
大人の女性の色香と、乙女の柔らかさを兼ね備えたロラのヴォーカルを思う存分堪能できる一枚。楽曲は半分がオリジナルで、残りはガーシュウィンやコール・ポーターなどの作品で構成されています。全体的に地味なナンバーが多いものの、ゴージャスでソフトなアレンジと、ロラの官能的な歌声だけでも十分に聴く価値アリ。特にジュリー・ロンドンが好きな人ならハマりまくること間違いなしです。
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