Penny Dreadful (2005)

 

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(P)2007 Cinema Image (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(レターボックス収録)/ステレオ/音声:英語
/字幕:なし/地域コード:ALL/30分/製作:アメリカ

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー
女優B・パーマー インタビュー
NG集
監督B・ノートンの音声解説
スライドショー
オリジナル劇場予告編
B・ノートン監督処女短編作
監督:ブライアン・ノートン
製作:エリック・ビーン
脚本:ブライアン・ノートン
撮影:オースティン・F・シュミット
音楽:ダニエル・ベラーディネッリ
出演:エミリー・ヴァッキア−ノ
   セバスチャン・ラコーズ
   ベッツィ・パーマー
   ティナ・クローズ
   ピーター・デュプレ
   ウォリントン・ジレット
   ジョディ・ケリー

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秋も深まるニューヨークの街角

ジェシカは叔母から古い家を相続した

 ニューヨーク大学の教授として映画史を教え、これまでに幾つもの書籍や雑誌・新聞記事を執筆、記録映画やDVDの映像特典などの製作にも関わってきたブライアン・ノートンによる短編ホラー。ミラノ国際映画祭やファンタスポートなど世界各国の映画祭で28もの短編映画賞を獲得し、大変高い評価を得た作品だ。
 ストーリーは至ってシンプル。ニューヨーク高級住宅街の古い家に引っ越してきた夫婦が、正体不明の幽霊の存在に悩まされる。ライフル銃を持った男の影、助けを求める女性の悲鳴。果たして、過去にこの家で何が起きたのか?霊能者の老婆に鑑定してもらったところ、霊現象の痕跡は全く見られないという。だとすれば、単なるジェシカの妄想なのか・・・?
 派手な残酷描写などほとんどなく、細かいディテールの積み重ねによってジワジワと恐怖を盛り上げていく正統派の演出。枯葉の舞う晩秋のニューヨーク、50年代風の古い家、叙情的なジャズの音色など、ノスタルジックな映像の美しさも魅力的だ。随所でさり気なく挿入されるスタンダード・ミュージックが、ちゃんと物語の伏線になっているというのも心憎い。
 クライマックスのどんでん返しはM・ナイト・シャラマン辺りが好んで使いそうな手ではあるものの、スタイリッシュで控えめな演出が好印象を残す。良く出来た『ミステリーゾーン』の1エピソードを見ているような感じ、といったところだろうか。オードリー・ヘプバーン主演作『暗くなるまで待って』の舞台としても使われた古い建物が、クラシカルな雰囲気を高めるのに一役買っている。
 タイトルの“Penny Dreadful”とは“三文小説”という意味だが、その出来栄えは上質な短編恐怖小説のごとき趣きがあると言えよう。

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相続税の高さに愕然とするジェシカとデヴィッド

2人は住み込みで改装作業を行うことにする

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真夜中に怪現象を目撃するジェシカ(E・ヴァッキアーノ)

さらに、窓際で幼い少年の幽霊を目にする

 ハロウィンを目前に控え、秋の深まりを見せつつあるニューヨーク。ヒロインのジェシカ(エミリー・ヴァッキアーノ)は、亡くなった叔母から高級住宅街ウェスト・ヴィレッジにある古い家を相続する。夫デヴィッド(セバスチャン・ラコーズ)と共に移り住むつもりだった彼女だが、不動産屋ステンダー(ピーター・デュプレ)から相続税の金額を聞いて断念。しばらくの間、夫婦で住み込みながら内装の改修を行い、最終的には売りに出すことにした。
 改装作業を始めてから数日たったある晩、眠りに就いていたジェシカは不気味な物音に気付いて目を覚ました。階下のリビングへ降りると、まるで人が暮らしているかのような光景が広がっている。驚きを隠せないジェシカだったが、すぐに元の殺風景な室内に戻ってしまった。
 それでも、幽霊屋敷で寝泊りできるなんて滅多にないチャンスだからラッキー、などとお気楽に構えているジェシカとデヴィッド。さらに、仕事へ出かけようとしたジェシカは、窓際で幼い少年の幽霊を目撃する。
 その日の夕方、再び物音に気付いたジェシカは、地下室からライフル銃を持って階段を上がってくる男の影を目撃して戦慄した。家の中に響き渡る女性の悲鳴、鳴り響く銃声。ただ事ではないものを感じた彼女は、電話帳を頼りに霊媒師トルーディ(ベッツィ・パーマー)のもとを訪れる。
 ジェシカに頼まれて家の中を見てまわるトルーディだが、霊に祟られているような様子は一切ない。彼女のいうには、感受性の強い人間が慣れない環境の中で幻覚を見ることは稀にあるという。一方で、裕福な夫婦ドナルド(ウォリントン・ジレット)とルイーズ(ジョディ・ケリー)が家を買うことも決まり、ジェシカが幽霊を見ることもなくなった。
 やがてハロウィンの日がやって来る。1人で留守番をしていたジェシカは、ついついベッドでうたた寝をしてしまった。目を覚ました彼女は、あたり一面が血の海になっていることに気付いてパニックに陥る・・・。

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地下室から聞こえてくる不気味な音

霊媒師トルーディ(B・パーマー)に相談するジェシカ

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トルーディは霊現象の痕跡はないと言い切る

ようやく家の買い手もついた

 ブライアン・ノートンにとっては、これが監督2作目。処女作“Tomorrow's Bacon”(01)は閉店間際のカフェテリアで繰り広げられる中年男女の夫婦喧嘩をウェイトレスの目線から描いたブラック・ユーモア溢れる小話で、シチェス国際映画祭など6つの映画祭で短編映画賞を受賞。その実績が高く評価され、ワーナー・ブラザーズの資金援助を受けて製作されたのが、この“Penny Dreadful”だったというわけだ。
 撮影監督のオースティン・F・シュミット以下、スタッフにはインディーズ映画で活躍する面々が集結。SFXには『パーフェクト・ストレンジャー』(07)や『愛を読むひと』(08)などのメジャー作品を手掛けているニタント・カーニックが参加している。枯葉の舞うニューヨークの美しい風景など、細かいところでさり気なくCGが使われているらしい。

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やがてハロウィンの夜がやって来る

ジェシカが目覚めると辺り一面は血の海に・・・

 主人公のジェシカとデヴィッドを演じるエミリー・ヴァッキアーノとセバスチャン・ラコーズは、共にこれが初の大役だという無名の役者。しかし、2人ともなかなか存在感があり、演技力もしっかりしている。低予算映画にありがちな安っぽさを感じさせないのは、主役のキャスティングに負う部分も少なからずあると言えるだろう。
 一方、その脇を固めているのは、ホラー映画ファンにはお馴染みのベテラン勢だ。まず、霊媒師の老婆トルーディ役で登場するのが、『13日の金曜日』(80)のジェイソンの母親役で知られる女優ベッツィー・パーマー。もともと巨匠ジョン・フォードに見出されて映画界入りした人で、若い頃は健康的な美人スターとして将来を嘱望された人だった。
 さらに、家を購入することになる夫婦のダンナ役を演じているウォリントン・ジレットは、『13日の金曜日PART2』(82)でジェイソン役を演じていた俳優。ジェシカの友人である女性デザイナー役のティナ・クローズは、“Zombie Holocaust”(95)や“Psycho Sisters”(98)、“Witchouse 3:Demon Fire”(01)などのZ級ホラーに数多く出演しているスクリーム・クィーン。そして、不動産屋ステンダー役には、スラッシャー映画の佳作『他人の目』(81)でヒロインの恋人役を演じていたピーター・デュプレが顔を出している。

 

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