フェルザン・オズペテクとガブリエル・ムッチーノ
現代イタリア映画で最も注目したい映像作家

 

 歴史的にも規模的にも、イタリアはヨーロッパ最大の映画大国と呼んでも過言ではないだろう。フェリーニやヴィスコンティ、ロッセリーニといった世界の映画史に重大な影響を与えた巨匠を数多く生み出し、ソフィア・ローレンやマルチェロ・マストロヤンニ、ジーナ・ロロブリジーダといった世界的な大スターを輩出してきた。ムッソリーニがローマ郊外に建てたスタジオ、チネチッタはヨーロッパでも最大級の映画撮影所で、今でも数多くのハリウッド映画が撮影されている。
 しかし、80年代以降急激にイタリア映画界の影響力は衰えてしまい、ここ日本でも劇場公開されるイタリア映画の数は激減してきた。特に、90年代半ば以降の激減ぶりは顕著で、ジュゼッペ・トルナトーレやベルナルド・ベルトルッチ、タヴィアーニ兄弟といった巨匠の新作や、アメリカで大ヒットしたロベルト・ベニーニやガブリエル・サルヴァトレスの作品など、ごく一部しか日本に紹介されることはなくなってしまった。もしくは、ティント・ブラスやアウレリオ・グリマルディといった一部でカルト的な人気を誇るエロス系監督の作品がひっそりと劇場公開される程度。「踊れトスカーナ!」('96)というサプライズなヒット作もあったが、特別な例外と見るべきだろう。
 イタリアでは圧倒的な評価を受けているジャンニ・アメリオ監督の作品も「家の鍵」(’04)がようやく今年になって劇場公開されたが、それ以前に日本に輸入された作品も数少ない。イタリアを代表する巨匠であるマルコ・ベロッキオ監督作品にしても、今年に入ってほぼ10年ぶりに「夜よ、こんにちは」('03)が劇場公開されたのみ。90年代から数多くのヒット作を放っているリッキー・トニャッツィ監督の作品だって、日本では「検事ファルコーネ/マフィア殲滅作戦」('99)がWOWOWで放送されたのみ。もはや、映画大国などとは言っておれない状況だ。
 こうなってしまった理由はいくつか考えられるが、まずはハリウッドで工場生産されたサッカリン漬けの娯楽映画の影響というのが挙げられるだろう。しかし、ハリウッド映画の悪影響というのは昔から言われていることであって、その一方ではフランス映画やスウェーデン映画などが単館系ロードショーで次々と評判になっているのだから、一方的にハリウッド映画のせいにばかりもしていられまい。
 ボクが個人的に思うのは、やはり90年代以降のイタリア映画の“華”のなさという点だ。陰鬱でストーリーの起伏に欠けるジャンニ・アメリオ作品、難解で重苦しいマルコ・ベロッキオ作品、マニアックで変態的な要素の濃厚なアウレリオ・グリマルディ作品など、どうも90年代以降のイタリア映画というのは暗いばかりでエンターテイメント性に欠如した作品が多いように思うのだ。さらに、映画を彩るスターの欠如。マルガリータ・ブイやジョヴァンナ・メッゾジョルノ、キム・ロッシ・スチュワルト、キアラ・カゼッリなど、イタリアで活躍するスター俳優には、国際マーケットでも通用するような強いカリスマ性に欠ける人が多くなってしまった。それぞれには魅力的な俳優なのだが、スターとしてのスケール感が乏しい。モニカ・ベルッチはハリウッドやフランスでの仕事が多くなってしまったし、ラウル・ボヴァも最近はすっかりハリウッドに腰を落ち着けてしまった。こうした、映画そのものの暗さとカリスマ性のあるスターの不在が、日本の映画観客をイタリア映画から遠ざけてしまったのかもしれない。

 そうした中で、ボクが特に注目して心酔しているイタリアの映画監督がフェルザン・オスペテクとガブリエル・ムッチーノだ。どちらも、往年のイタリア映画を彷彿とさせる華麗な映像美の中に、非常に現代的なテーマを描きこんでいく優れた映像作家。彼らの作品を見ていると、イタリア映画の素晴らしい伝統が脈々と受け継がれていることが感じられ、とても嬉しくなる。
 まずはフェルザン・オズペテク。名前から察することが出来る通り、彼はイタリア人ではない。学生時代にイタリアに留学し、そのまま定住してしまったトルコ人である。日本では「ラスト・ハーレム」('99)が劇場公開されたのみで、それ以外の代表作は1本も紹介されていない。その「ラスト・ハーレム」にしても、フランスの清純派アイドル女優マリー・ジランが大胆なヌード・シーンに挑んだという部分ばかりが強調されてしまい、マリー・ジランの人気そのものが日本では大したことがなかったために、ほぼ無視されたに等しい扱いだった。
 映画監督オズペテクの魅力は、何といってもルキノ・ヴィスコンティを彷彿とさせる華やかさ、エロティシズム、そして残酷さを秘めた郷愁感だろう。描く題材こそ全く違うものの、その人間や社会、歴史を見る目にはとても共通するものがあるように思う。ヴィスコンティがそうであったように、オズペテクもまたゲイであることは決して偶然の一致ではないはずだ。
 1959年2月3日、イスタンブールに生まれたオズペテクは、18才の時にローマのラ・スピエンザ大学に入学した。そのままローマに居を構えた彼は、シルヴィオ・ダミーコ芸術演劇アカデミーの演出コースに学び、故マッシモ・トロイージ監督の助手として映画界入りを果たした。

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トルコを訪れるイタリア人フランチェスコ(アレッサンドロ・ガスマン)

夫の変化に戸惑う妻マルタ(フランチェスカ・ダローヤ)


 監督デビュー作は「ハマム」('97・日本未公開)。ハマムとはトルコの大衆浴場のこと。主人公のフランチェスコ(アレッサンドロ・ガスマン)とマルタ(フランチェスカ・ダローヤ)は、夫婦でローマにあるデザイン会社を経営している。ワンマンで仕事人間のフランチェスコに対して、やり手で野心的なマルタは不満を抱いており、夫婦仲はぎくしゃくしている。そんな折、トルコのイスタンブールに住むフランチェスコの伯母が亡くなったという知らせが入る。家族のいない伯母の遺産を受け取るために、フランチェスコは仕事をマルタに任せてイスタンブールへと向かう。伯母の遺産とは、寂れて閉鎖されたトルコの大浴場“ハマム”だった。地元の怪しげな女性実業家にハマムを売り渡し、さっさとローマに戻るつもりだったフランチェスコだが、どこか心和むイスタンブールの不思議なたたずまい、伯母の家族代わりとしてハマムを守ってきた一家、そして伯母の残した手紙に綴られた言葉が少しづつ彼の気持ちを変えていく。そして、いつしかハマム再建に向けて尽力するようになる。そんなフランチェスコのもとを訪れるマルタ。夫の変貌ぶりに戸惑う彼女は、彼を通じて生きることの意味を見出していく・・・。
 異国情緒溢れるイスタンブールの町を、時に荒々しく、時に官能的に、そして時にノスタルジックに描き出していく流麗なカメラの目。肌と肌が触れ合うハマムの存在も、時に賑やかで楽しく、そして時にエロティックなものとして描写される。そんなトルコの生々しくも人間的な文化に魅了されるフランチェスコは、それまで日々の生活の中で抑圧してきた様々な感情や欲望を解放していく。そして、彼に離婚を告げるつもりでイスタンブールに来たマルタは、次々と明らかになるフランチェスコの本当の姿に傷つきながらも、何故か共感をしていく。その二人の微妙な心の揺れの橋渡しをするのが、亡き伯母の残した手紙の数々。そこには、許されない愛に傷つき、異国の地で心の平安を得た一人の女性の思いが切々と綴られていた。
 まだまだ演出が荒削りで脚本の説明不足なども目立つものの、人間の本能的なエロスの解放と現代社会の束縛からの解放を、忘れ去られようとしている古の文化“ハマム”を題材にして描いた非常に興味深い作品と言えるだろう。フランチェスコが、彼に“ハマム”の魅力を教える若者メフメット(メフメット・ギュンスル)と同性愛的な関係になることから、アメリカではゲイ・ムービーとして紹介されたようだが、それはこの作品の本質ではない。それさえをも包み込んでしまう人間の性愛の大きさを描こうとしているのだが、全体の流れからその部分だけが突出してしまって消化しきれていないのが少々残念だった。

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ハマムの魅力を分かち合うフランチェスコとマフメット

大らかに人生を享受するトルコの人々

 フランチェスコ役を演じるのは、イタリアの誇る大スター、ヴィットリオ・ガスマンの息子であるアレッサンドロ・ガスマン。「湖畔のひと月」('95)でウマ・サーマンと共演するなど、一時期は国際的にも活躍した俳優だが、偉大な父ヴィットリオのような強烈なカリスマ性に恵まれなかった。マルタ役のフランチェスカ・ダローヤも、主に脇役として活躍している女優で、どちらかというと主役を張るようなタイプではない。この地味なキャスティングも、少々ハンデだったように思う。彼らを見守るちょっと怪しげな紳士オスカルを演じる大ベテラン、カルロ・チェッキがすこぶる渋さで、要所を引き締めていたのがせめてもの救いか。

 次にオズペテクが選んだ題材が、オスマン・トルコ帝国最後のハーレムを舞台にした絢爛たる歴史絵巻「ラスト・ハーレム」('99)。深夜の鉄道駅。人生に疲れた若い女性アニタ(ヴァレリア・ゴリノ)は、謎めいた一人の老女(ルチア・ボゼ)と出会う。老女はアニタに、ある一人の女性の激動の半生を物語って聞かせるのだった。時は20世紀初頭。奴隷市場で買い取られたイタリア娘サフィエ(マリー・ジラン)。彼女は召使ナディール(アレックス・デスカス)の協力のもと、皇帝の寵愛を受けるようになり、遂には正妻の地位を得るまでになる。しかし、近代化の歴史の波はトルコ全土を呑み込み、ほどなくして皇帝は失脚。後に残されたハーレムの女達のために、そして彼女自身の生き残りを賭けて、サフィエは新たなる時代に孤独な闘いを挑むのだった・・・。
 運命に翻弄される女性の過酷で数奇な半生を赤裸々に描きながら、滅び行く貴族社会の黄昏と過ぎ去ってゆく時代への郷愁を厳かに見つめる。荘厳でありながら官能的であり、叙情的でありながら冷徹。彼のフィルモグラフィーの中でも、最もヴィスコンティ的な作品と言えるだろう。先述したように、マリー・ジランのヌード・シーンばかりがことさら強調され、エロス大作的な売り方をされてしまったがために、日本では不当な扱いを受けてしまった作品だが、非常に重みのある優れた歴史映画だと思う。

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サフィエ役を演じるフランス女優マリー・ジラン

年老いたサフィエを演じるイタリアの大女優ルチア・ボゼ

 そして、オズペテク監督の国際的な評価を決定付けた作品が、「何も知らない妖精たち」('01・日本未公開)。あらゆる意味で、最も彼らしい作品と言えるだろう。主人公はエイズ治療に当たっている女医アントニア(マルガリータ・ブイ)。結婚10年目を迎える夫マッシモ(アンドレア・レンツィ)とは、今も恋人のように仲睦まじい。しかし、その最愛の夫が交通事故で亡くなってしまった事から、彼女の人生は一変する。来る日も来る日も、夫との思い出に耽るアントニア。その夫の遺品である絵画の包みを開けてみたアントニアは、その裏に書かれていたメッセージを読んで衝撃を受ける。それは、夫と7年間もの間、人知れず愛し合っていた女性からのメッセージだったのだ。夫の裏切り行為を信じられず、戸惑うばかりのアントニアは、意を決してその女性と会うことにする。絵画の購入先から、相手の住所を割り出したアントニアは、そこでさらにショッキングな事実を知る事になる。夫マッシモが不倫を続けていた相手は、女性ではなく若い男性だったのだ。
 その相手、ミケーレ(ステファノ・アコルジ)のアパートメントは不思議な場所だった。センスのいい家具と色とりどりの花々で彩られた彼の部屋には、様々な人生を背負った人々が集まり、広いテラスに置かれた大きなテーブルを囲んで食事や雑談を楽しんでいた。祖国を追われてきたトルコ人の女性、エイズに冒されながらも消息の分からない恋人を待ち続ける純粋な青年、性転換をした事を故郷の家族に隠しているシチリア出身のトランスセクシュアル、気が強くて心優しい年増の売春婦などなど・・・。社会からドロップアウトしながらも、それぞれ懸命になって生きている人々。それは、まるで一つの家族のようだった。学生時代の恋人であるマッシモと結婚し、何の疑問も持たずに恵まれた生活を送ってきたアントニアは、今まで全く知らなかった夫の一面を知ると同時に、様々な人生のあり方を学んでいく。

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幸福な結婚生活を送るマッシモとアントニア

アントニア役を好演するマルガリータ・ブイ


 この作品がユニークなのは、社会がよしとするモラルや規範の偽善を心地よく覆していくのと同時に、本当に人間らしい生き方というのを平凡な女性アントニアの視点と落伍者であるミケーレの視点の両方から探っていく点にある。平凡であることに何の疑問も持たずに生きてきたアントニアの無知、そしてアウトサイダーである事に甘んじて無軌道な生き方をしてしまうミケーレの傲慢。双方の欠点を暴きながら、人間の尊厳や人生の意味を丁寧に描き出していく。不思議な爽快感を残す小品佳作と言えるだろう。
 アントニア役を演じるのは、イタリアで最も人気の高い女優の一人マルガリータ・ブイ。どちらかというと個性の薄い女優だが、こういった平凡な中流階級の女性役にはピッタリで、とても自然な演技を見せてくれる。対するミケーレ役にはイタリアで引っ張りだこの人気スター、ステファノ・アコルジ。ハンサムで陰のあるゲイの青年役を大熱演しており、普段の爽やかな好青年的イメージとは全く違った魅力を発揮している。さらに、随所で場をさらっていくのが、アントニアの母親ヴェロニカを演じるエリカ・ブラン。ちょっととぼけた中年女性なのだが、実は近所の軍人と不倫していた事を突然暴露、日陰者に徹しなければいけない愛人の立場を擁護してアントニアを動揺させるなど、モラルに凝り固まった娘にさりげない毒舌アドバイスを与えるユーモラスな存在だ。60年代から70年代にかけてB級映画のセクシー女優として活躍したエリカ・ブランだが、とても味のある上手い女優になった。

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ミケーレ役の人気スター、ステファノ・アコルジ

アントニアの母親役を演じるエリカ・ブラン

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ミケーレの部屋に集うユニークな人々

 この「何も知らない妖精たち」はベルリン国際映画祭の金獅子賞にノミネートされた他、シルバー・リボン賞の主演男優賞、主演女優賞、最優秀プロデューサー賞を受賞。さらにニューヨークのレズビアン&ゲイ・フィルム・フェスティバルで最優秀作品賞を受賞し、オズペテクの国際的な評価は一躍高まった。

 そして、次に彼が発表したのが「向かい合った窓」('03・日本未公開)。抑圧された現代の平凡な主婦と戦時中に報われない愛を貫こうとした青年の、時代を超えた二つの生き様を重ね合わせながら普遍的な“愛”というものを力強く描く素晴らしい傑作だ。
 主人公のジョヴァンナ(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)は工場で働く平凡な主婦。夫のフィリッポ(フィリッポ・ニグロ)との間に二人の子宝にも恵まれているが、仕事の安定しない夫との間の溝は広がるばかりだ。そんなある日、ジョヴァンナとフィリッポは、道に迷った老人(マッシモ・ジロッティ)と出会う。老人は記憶を失っている様子で、二人は彼を家に泊めることにした。翌日から役所に行くものの埒があかず、老人はそのまま家に滞在することになる。最初は素性の知れない老人を快く思っていなかったジョヴァンナだが、次第に彼の紳士的で優雅な振る舞いや豊かな知性、そして瞳の奥に隠された哀しみのようなものに強く引きつけられていく。
 ジョヴァンナにはある秘密があった。それは、キッチンの窓の向かいに住む青年ロレンツォ(ラウル・ボヴァ)の姿をこっそり盗み見すること。この美しい男性ロレンツォに強く惹かれていくジョヴァンナ。しかし、それは決して周囲に知られてはならない感情だった。ある晩、老人を連れて外に出たジョヴァンナは、偶然ロレンツォと一緒になる。その傍らで、老人は次第に遠い過去の記憶を蘇らせていた。それは、余りにも残酷で哀しい記憶だった。突然、何かに取りつかれたかのように歩き出し、激しく感情を高ぶらせて号泣する老人に戸惑うジョヴァンナとロレンツォ。老人のポケットから古い手紙を見つけたジョヴァンナは、第2次世界大戦中に彼が人目を忍ぶ激しい恋愛を経験していた事を知る。そして、激動の時代の渦に巻き込まれてしまったことを・・・。

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ジョヴァンナと夫のフィリッポ

ジョヴァンナと道ならぬ恋に落ちる青年ロレンツォ


 まず、老人役を演じるマッシモ・ジロッティがとにかく素晴らしい。ヴィスコンティ映画における美青年の原点と言われ、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」や「夏の嵐」といった名作に出演してきたイタリア映画史に残る名優。ここで彼が演じるのは、若い頃に一人の青年と激しい恋に落ちた老人だ。同性愛が重大な罪とされていた時代に生まれてしまった彼は、その激しい愛情に身を焦がしながらもモラルの重圧に屈してしまい、それが結果的に最愛の人をホロコーストに送ることになってしまった。その悔やんでも悔やみきれない罪の意識、そして深い哀しみを心に抱えたまま生きてきた老人の姿は、かつてのヴィスコンティ映画の美青年ジロッティの姿に自然と重なりあっていく。そんな彼の人生が、現代を生きるジョヴァンナの禁断の愛の中へと投影されていくのだ。“愛とは決して後悔しないこと”というキャッチコピーの映画があったが、たとえ許されない愛であっても、その感情と正直に向き合わなければ一生後悔することになる。そんな、あまりにも痛々しく切実な愛の物語が深く静かな感動と共に描き出されていく。繊細で流麗なカメラ・ワーク、回想シーンの荘厳で気品溢れる美術セット、そして文学的かつ官能的な演出タッチ。イタリア映画黄金期の薫りを漂わせる美しくも哀しい作品で、オズペテク監督の代表作といって間違いないだろう。なお、本作はマッシモ・ジロッティの最後の作品となった。その幕切れにこれだけの素晴らしい役柄に恵まれたのは、幸福な俳優人生だったと考えていいだろう。お互いに理解を深め合った老人とジョヴァンナが、人生の味わいを噛みしめるかのように色とりどりのケーキを焼いていくシーンの不思議な高揚感、切なさの入り混じった幸福感は筆舌に尽くしがたい。

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老人役を演じるマッシモ・ジロッティ

ジョヴァンナ役のジョヴァンナ・メッゾジョルノ

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若かりし頃のマッシモ・ジロッティ

 この「向かい合った窓」は、イタリアのオスカーであるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀作品賞、主演女優賞(G・メッゾジョルノ)、助演男優賞(M・ジロッティ)、音楽賞、そして特別賞(オズペテク監督)を受賞した他、シアトル国際映画祭の最優秀作品賞など世界各国の映画賞に輝いた。これだけの傑作が日本未公開のままというのは、それ自体が実に罪深いことだと思う。
 昨年には最新作「聖なる心」('05)がイタリアで公開されたが、こちらも日本公開の予定はなし。まだアメリカでも公開されておらず未見だが、親友の自殺をきっかけに自らの人生を振り返る女性の物語だという。主演はオズペテク監督作品には初出演のバルボラ・ボブロヴァ。脇役には往年の名女優リーザ・ガストーニの名前や、「何も知らない妖精たち」に続いて出演のエリカ・ブランの名前もある。恐らくアメリカ盤のDVDで見ることになるだろう。残念ながら。

 

  さて、もう一人の注目すべき監督がガブリエル・ムッチーノ。今まで日本には一度も紹介された事のない監督だが、イタリアのみならずアメリカでも高い評価を得ている人物だ。代表作である「最後のキス」('01)はトニー・ゴールドウィンの監督でハリウッド・リメイクもされた。日本でも、ようやく来年の正月にハリウッド進出第1弾「幸せのちから」('06)が劇場公開される。
 彼の作品の面白さは、人間の愛や性、欲望にまつわる愛すべき滑稽さや、その愚かさが招く悲劇や深い心の傷を赤裸々に描きながらも、どこか爽やかな余韻を残す瑞々しい作風にあると言えるだろう。時として愚かな本能に振り回される人々の姿は、可笑しくもあり切なくもある。人間は不完全な生き物であるからこそ面白い。そんな人生の悲哀を柔らかさと鋭さを織り交ぜながら描くムッチーノの作品は、時代や風俗は全く違えどもヴィットリオ・デ・シーカやディノ・リージらによるかつての“バラ色のネオ・レアリスモ”的な精神が息づいているように思う。

 1967年5月20日、ローマに生まれたムッチーノは、プピ・アヴァティやマルコ・リージの助監督として映画界入りを果たした。その後、ハンサムなルックスを買われて俳優としても映画に出演。1996年のオムニバス映画「イントレランス」(日本未公開)で監督デビューを果たす。
 本格的な長編劇映画監督としてのデビューは、「その通り」('98・日本未公開)。これでトリノ国際映画祭の監督賞にノミネートされ、続く青春映画「でも僕の心には永遠に」('99・日本未公開)でブリュッセル国際映画祭の最優秀脚本賞を受賞して注目された。
 そんな彼の興行的な出世作は、先述した「最後のキス」('01・日本未公開)。大人になりきれない大人たちの、若さへの憧憬と悪あがきをユーモアたっぷりに描くシニカルでセンチメンタルなコメディ映画だ。主人公はカルロ(ステファノ・アコルジ)とジュリア(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)のカップル。30代を目前に迎えた2人は一見幸福そうに見える恋人同士。ジュリアの妊娠も発覚し、いよいよ結婚かと周囲は期待するものの、カルロは身を固めるだけの決心がつかない。彼の親友たちも、30代を目前にしながら子供のように夢を追いかけている遊び人ばかり。それぞれが理想と現実の狭間で大人になりきれずにもがき苦しんでいる。もっと遊びたい、もっと冒険をしたい、もっと夢を見ていたい。しかし、周囲の現実はそれを許さない。そんな時、カルロは美しい女子高生フランチェスカ(マルティナ・ステッラ)と知り合い、彼女の若さと無邪気さに強く惹かれていく。まるで過ぎ去っていく青春を取り戻そうとするかのように、フランチェスカに夢中になっていくカルロ。
 一方、ジュリアの妊娠を知らされた母アンナ(ステファニア・サンドレッリ)は心中穏やかではない。自分がお祖母ちゃんに・・・!?若かりし頃の美しい写真を見ながら、皺の増えた鏡の中の自分をまじまじと見つめるアンナ。彼女は夫ミケーレ(ピエロ・ナトーリ)との結婚生活に疑問を抱くようになる。仕事ばかりで構ってくれないのは私が年を取ってしまったから・・・?もう女としては通用しないの・・・?そんな不安をかき消そうとするかのように、昔の恋人エウジェニオ(セルジョ・カステリット)を誘惑しようとするアンナだったが、妻子のあるエウジェニオはそれを優しく拒絶する。ショックを受けたアンナはパニック状態に陥り、全てを夫のせいにして激しくなじり、衝動的に離婚を決意する。私の青春を返して!と。
 周囲の人々が必死になって“若さ”にすがりつこうとする中で、唯一人生を建設的に考えているジュリアだったが、遂にカルロの裏切りを知ってしまう・・・。

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ジョヴァンナ・メッゾジョルノとステファノ・アコルジ

アンナ役のステファニア・サンドレッリ

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大人になりきれない男たち

女子高生に夢中になるカルロ

 人は誰もが年を取り、社会の現実と折り合いをつけながら大人になっていく。真の自由には責任が伴うものだ。そうとは分かっていても、人は何故か若さに執着してしまうし、理想と幻想の区別がつかなくなってしまう。そんな愛すべき愚かさ、滑稽さをとても暖かい目で見つめた作品が「最後のキス」だった。
 主役のステファノ・アルコルジとジョヴァンナ・メッゾジョルノは絶妙のキャスティングで、どちらも素晴らしい演技を見せてくれる。しかし、何と言っても傑作なのはミッドライフ・クライシスに陥る女性アンナをユーモラスに、そしてセクシーに演じるステファニア・サンドレッリ。イタリア映画黄金期が生んだ最後の大女優であり、ミッドライフ・クライシスと呼ぶにはちょっと年齢が行き過ぎているのだが、かつての小悪魔サンドレッリが演じるからこその切実な悲哀感は本当に真に迫っている。ここ最近はネーム・バリューだけの役柄が多かったが、このアンナ役は大女優サンドレッリの面目躍如たる当たり役と言って差し支えないだろう。
 この「最後のキス」は、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀監督賞以下、最優秀助演女優賞(S・サンドレッリ)など5部門を受賞。さらに、シルバー・リボン賞でも最優秀助演女優賞(S・サンドレッリ)など3部門、アメリカのサンダンス映画祭では観客賞を受賞し、ガブリエル・ムッチーノの名前は世界的に知られるようになった。

 こうしてイタリアを代表する映画監督の一人となったムッチーノが次に発表したのが「私を忘れないで」('03・日本未公開)。これまた、皆がそれぞれに夢を追いかけるあまり崩壊の危機に瀕してしまう家族をユーモラスに、そしてセンチメンタルに描く美しい作品だった。
 主人公は結婚して20年近くを迎える中年夫婦カルロ(ファブリツィオ・ベンティヴォリオ)とジュリア(ラウラ・モランテ)。優秀なビジネスマンのカルロはストレスが溜まるばかりの仕事に飽き飽きしている。妻のジュリアは学校教師をしているが、殺伐として忙しい毎日に疲れて切っている。長男のパオロ(シルヴィオ・ムッチーノ)は内気で地味な大学生だが、人気者になりたい、恋人が欲しい、青春を謳歌したいと欲求不満を溜めまくっている。対照的に長女のヴァレンティナ(ニコレッタ・ロマノフ)は女子高生ながら非常に大人びており、スターを夢見る野心的で派手好きな女の子。
 ある日、カルロは学生時代の恋人アレッシア(モニカ・ベルッチ)と偶然に再会する。結婚して幼い子供のいるアレッシアだったが、以前にも増して美しい女性になっていた。この出会いが、一家に重大な影響を及ぼす。アレッシアと不倫関係を持つようになったカルロは、彼女を通して自由と理想に燃えていた学生時代を思い出し、若さを取り戻したような錯覚に陥ってしまう。アレッシアと新しい人生をやり直そうと考えたカルロは、仕事なんかクソ食らえとばかりに職場で大暴れをし、会社をクビになってしまう。夫の変貌と裏切りに激怒するジュリアは、それなら私もとばかりに結婚のため志半ばで諦めた女優業に復帰する。一方、好きになった女の子の気を引くために自ら誕生パーティーを企画して友達を集めまくったパオロだったが、ケーキ・カットを待たずにゲストを続々と他のパーティーに取られてしまい、完全に自暴自棄になってしまう。さらに、人気テレビ番組のダンサーの座を狙うヴァレンティナは、女の武器を使ってプロデューサーを誘惑。セックスとドラッグにまみれた芸能界に溺れていく。こうして、それぞれが己の本能の赴くままに行動するようになった一家は、文字通り崩壊の危機に直面。そんな折、ジュリアのもとを去る決意をしたカルロが交通事故に巻き込まれてしまう・・・。

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カルロ(F・ベンティヴォリオ)とジュリア(L・モランテ)

アレッシア役のモニカ・ベルッチ

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セックスを武器にのし上がろうとするヴァレンティナ

女優としての格の違いを見せ付けるラウラ・モランテ


 ある中流家庭の崩壊と再生を描く「私を忘れないで」の面白さは、登場人物たちの愚かな行動を決して全面的に否定していないところだろう。人間はついつい間違った選択をしてしまうが、それはそれで何らかの意味がある。バカな失敗をしてしまったり欲望に溺れてしまったりするのも、それはそれで人間らしいとはいえないだろうか。そこから得た教訓を次に生かしていけばいいじゃないか、というポジティブな大らかさが、この深刻で痛々しい物語を何故か後味の良いドラマに仕立てている。繊細で流麗なカメラ・ワークや、ロマンティックで官能的な演出もムードたっぷりで、ちょっぴりほろ苦くて切ないクライマックスも小粋に感じる。ハリウッド映画では決して出すことの出来ない洒脱さ。酸いも甘いもかみ分けた大人の味わいと言えるだろう。
 日本でも御馴染みの人気女優モニカ・ベルッチが、本作でもしっとりとした美しさを見せてくれる。しかし、そんなモニカもジュリア役のラウラ・モランテを前にすると存在感が消し飛んでしまう。ナンニ・モレッティ監督作品のミューズとして知られ、フランス映画への出演も多いモランテだが、その美しさ、激しさ、気品、そして生々しさ、全てにおいて女優としての格の違いというか、スケールの違いを感じさせてくれる。改めて凄い女優だと思う。カルロ役のファブリツィオ・ベンティヴォリオも、人生の目的を見失った優柔不断な中年の優男がはまり役。どちらかというと渋い脇役タイプの俳優だが、ラウラ・モランテに引けを取らない名演を披露している。なお、女優復帰したジュリアを支えるゲイの演出家役で、「サスペリアPART2」でゲイのピアニストを演じたガブリエル・ラヴィアが顔を出しているのにも注目。
 いずれにせよ、こうした非常にヨーロッパ的なモラル感覚の持ち主であるムッチーノが、ハリウッド進出でどのような変化を遂げるのかが今後注目されるところだろう。そのままの持ち味をハリウッドでも生かすのか、それとも逆にハリウッドナイズされてしまうのか。「幸せのちから」の日本公開が待たれる。

 最後に、番外編的に紹介しておきたいのが、女流監督ロベルタ・トーレの野心作「アンジェラ」('03)。日本では第15回東京国際映画祭で上映され、ドナテッラ・フィノッキアーロが最優秀主演女優賞を受賞しながら、結局劇場公開されなかった作品。1980年代半ばのシチリアを舞台に、麻薬の密売で生計を立てているマフィアの妻の日常をドキュメンタリー・タッチで描いた異色作だ。そのリアルで生々しい演出は、まさにネオ・レアリスモそのもの。シチリアの裏社会に生きる女の逞しさ、したたかさ、そして人間臭さがダイナミックに描かれる力作であり、女流監督らしからぬ力強さが強烈なインパクトを残す作品だった。

 このように、まだまだ優れた才能を輩出し続けるイタリア映画界。すっかり“地味・マイナー・重たい”というイメージが付いてしまった感のあるイタリア映画だが、その一方でエンターテイメント性の高い佳作・秀作が日本未公開のまま埋もれてしまっているというのが現実。確かに、日本ではハリウッド映画以外はなかなかビジネスにならないというのは否定できない事実であり、ヨーロッパ映画は現実的に配給しづらい。ハリウッド映画のDVDが安価で出回るようになり、一般ユーザーにとっての“映画の価格”はどんどん下がっているが、これは世界中に巨大なマーケットを持つハリウッド映画だからこそ出来る価格設定であり、独立系の配給会社はとてもじゃないが太刀打ち出来ない。そうなると、配給会社も安く手に入って見栄えも派手な低予算のB級映画やC級映画を手っ取り早く売った方がよっぽど商売になる。事実、ビデオ・レンタル店に行くとハリウッド映画のパクりものや即物的な娯楽映画ばかりが店頭に並んでいる今日この頃。このままだと、どんどん優れた映画が日本に入って来なくなってしまうのではないかとも危惧する。

 

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Steam The Turkish Bath (1997)

ラスト・ハーレム
Harem Suare (1999)

His Secret Life (2001)

Facing Windows (2003)

(P)2000 Strand Home Video (USA) (P)2000 Pony Canyon (Japan) (P)2003 Strand Home Video (USA) (P)2004 Sony Pictures (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/音声:イタリア語・トルコ語/字幕:英語/地域コード:ALL/96分/製作:イタリア・トルコ・スペイン

映像特典
劇場予告編
DVD仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド・2.0chステレオ/音声:フランス語・イタリア語・トルコ語/字幕:日本語/地域コード:2/106分/製作:イタリア・フランス・トルコ

映像特典
劇場予告編
オリジナル予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/音声:イタリア語・トルコ語/字幕:英語/地域コード:ALL/106分/製作:イタリア

映像特典
劇場予告編
「ハマム」劇場予告編
「ラスト・ハーレム」劇場予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド/音声:イタリア語/字幕:英語・フランス語/地域コード:1/106分/製作:イタリア

映像特典
劇場予告編
監督:フェルザン・オズペテク
脚本:フェルザン・オズペテク
    ステファノ・トゥモリーニ
製作:マルコ・リージ
    マウリツィオ・テデスコ
    アルド・サンブレル
撮影:パスカーレ・マリ
音楽:アンドレア・ゲッラ
出演:アレッサンドロ・ガスマン
    フランチェスカ・ダローヤ
    ハリル・エルグン
    セリフ・セゼール
    メフメット・ギュンスル
特別出演:カルロ・チェッキ
監督:フェルザン・オズペテク
脚本:ジャンニ・ロモーリ
    フェルザン・オズペテク
撮影:パスカーレ・マリ
音楽:ピヴィオ・デ・スカルツィ
    アルド・デ・スカルツィ
出演:マリー・ジラン
    アレックス・デスカス
    ルチア・ボゼ
    ヴァレリア・ゴリノ
    セラ・イルマズ
監督:フェルザン・オズペテク
製作:ティルデ・コルシ
    ジャンニ・ロモーリ
脚本:フェルザン・オズペテク
    ジャンニ・ロモーリ
撮影:パスカーレ・マリ
音楽:アンドレア・ゲッラ
出演:マルガリータ・ブイ
    ステファノ・アコルジ
    エリカ・ブラン
    ジョルジョ・ゴッビ
    クリスティアノ・マンシーニ
    セラ・イルマズ
    ガブリエル・ガルコ
監督:フェルザン・オズペテク
製作:ティルデ・コルシ
    ジャンニ・ロモーリ
脚本:ジャンニ・ロモーリ
    フェルザン・オズペテク
撮影:ジャンフィリッポ・コルティチェッリ
音楽:アンドレア・ゲッラ
出演:ジョヴァンナ・メッゾジョルノ
    マッシモ・ジロッティ
    ラウル・ボヴァ
    フィリッポ・ニグロ
    セラ・イルマズ
    マッシモ・ポッジョ
 「ハマム」のアメリカ公開版です。プロデューサーの中にマカロニ・ウェスタンの悪役で有名なアルド・サンブレルの名前があるのにちょっとビックリ。このアメリカ盤DVDはテレシネやエンコードにちょっと問題ありで、全体的に画質が粗い。しかも暗い。作品そのものの出来がいいだけに、ちょっと残念な商品。  全体的に色調や輪郭の甘さがちょっと気になるものの、まずは合格点レベルのDVD。ハリウッド映画の高品位なリマスター版に慣れてしまうと、画質や音質にもどんどん厳しくなってしまいますね(^^; ただ、やはり画質というのは映画の印象を大きく左右する重要なポイント。どんなに優れた作品でも、画質が悪ければ興ざめしますからねー。  こちらは「何も知らない妖精たち」のアメリカ公開版。南欧的なカラフルな色彩や暖かい空気感を捉えた美しい映像。同じメーカーのDVD商品ながら、「ハマム」とは段違いに質の高い仕上がりです。それに比べると、ジャケットのやっつけ仕事的なデザインはどうにかならなかったんでしょうかね(笑)。これじゃ、まるでゲイ・ポルノです。  さすが大メジャーであるソニー・ピクチャーズの仕事ですね。画質・音質共に大変満足のいく仕上がりで、格調高い映像美を余すところなく再現しています。映像特典が予告編だけというのが残念ですが、まあ仕方ないでしょう。唯一不満が残るのは、日本発売がされなかった事くらいかな。

THE_LAST_KISS.JPG REMEMBER_ME_MY_LOVE.JPG ANGELA.JPG

The Last Kiss (2001)

Remember Me, My Love (2003)

Angela (2002)

(P)2003 Miramax Pictures (USA) (P)2004 First Look Media (USA) (P)2003 BBC/Optimum (UK)
画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド/音声:イタリア語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:1/118分/製作:イタリア

映像特典
劇場予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:1/125分/製作:イタリア

映像特典
劇場予告編
DVD仕様(イギリスPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:2/91分/製作:イタリア

映像特典
劇場予告編
スチル・ギャラリー
監督:ガブリエル・ムッチーノ
製作:ドメニコ・プロカッチ
脚本:ガブリエル・ムッチーノ
撮影:マルチェッロ・モンタルシ
音楽:パオロ・ボンヴィーノ
出演:ジョヴァンナ・メッゾジョルノ
    ステファノ・アコルジ
    ステファニア・サンドレッリ
    クラウディオ・サンタマリア
    マルティナ・ステラ
    ルイジ・ディベルティ
    ピエロ・ナトーリ
特別出演:セルジョ・カステリット
監督:ガブリエル・ムッチーノ
製作:ドメニコ・プロカッチ
脚本:ガブリエル・ムッチーノ
    ゲイドルン・シュリーフ
    フランチェスコ・ヴェドヴァティ
撮影:マルチェッロ・モンタルシ
音楽:パオロ・ボンヴィーノ
出演:ファブリツィオ・ベンティヴォリオ
    ラウラ・モランテ
    モニカ・ベルッチ
    シルヴィオ・ムッチーノ
    ニコレッタ・ロマノフ
    ガブリエル・ラヴィア
特別出演:アマンダ・サンドレッリ
監督:ロベルタ・トーレ
製作:リレカ&リタ
脚本:ロベルタ・トーレ
撮影:ダニエレ・コプリ
音楽:アンドレア・ゲッラ
出演:ドナテッラ・フィノキアーロ
    アンドレア・ディ・ステファーノ
    マリオ・プペッラ
 ディズニー系列のミラマックスからの発売ということで、こちらも非常に出来の良いアメリカ盤DVDです。ちなみに、製作を手掛けたドメニコ・プリカッチは「青春の形見」や「フライト・オブ・ジ・イノセント」など80年代から90年代にかけて数多くの名作を世に送り出した名プロデューサー。昔からイタリアではプロデューサーの力も大きいんですよね。  こちらもディズニー系列のファースト・ルックからのリリース。さすがにアメリカでの知名度の高さからか、モニカ・ベルッチが前面に押し出されていて、ラウラ・モランテの姿はジャケットに一切ありません。ちなみに、ステファニア・サンドレッリの愛娘アマンダがゲスト出演しています。  ジャケット・デザインのセンスがイマイチなせいか、なんだか安手のインディーズ映画っぽいような印象のイギリス盤DVD。さすがに、天下のBBCからのリリースなので、画質・音質はまずまずの仕上がりです。イギリスは検閲が厳しいので、こんな良質な作品でもマフィアを題材にしているというだけで15才未満お断りのマークが入っていますね。

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