Off Limits Productions - part 1
〜スパーニャからウィッグフィールドまで〜

 

 70年代のアラベスクやジンギス・カン、80年代のマイケル・フォーチュナティやサマンサ・ジルズ、90年代のミー&マイやファン・ファクトリーなど、昔から日本にはアメリカやイギリスのヒット・チャートとは全く別のル−トでヨーロッパのダンス・ポップスが数多く輸入されてきていた。元来ユーロ・ダンス・ポップスはメロディ・ライン重視が基本で、同じくメロディを大切にする日本人の琴線に触れるような作品も少なくない。が、音楽ジャーナリズムの発信する情報がどんどんと英米中心に傾いていく中で、ここ数年すっかり日本ではヨーロッパ産のダンス・ミュージックが鳴りを潜めてしまっている。
 唯一の例外とも言えるのが、数年前に日本でもブレイクしたO-Zoneだが、彼らにしたってノマネコ騒動がなけりゃ、あれだけ話題になったかどうかは大いに疑問。それに、そもそも彼らは既にイギリスやヨーロッパ全土のヒット・チャートを席巻し、アメリカでもダンス・チャートを中心にブレイクしていた。世界的に見ても、日本ではヒットするのが遅かったくらいなのだ。何と情報の偏った国なんだろう、日本ていうのは!
 そうした状況ゆえに、ここ数年ドイツやイタリア、フランス、ロシアなどで爆発的に売れまくっている女性アーティスト、イン−グリッドなんかも、ここ日本では全く紹介されないまま。60年代のフレンチ・ポップスやタンゴ、カンツォーネなどにインスパイアされたノスタルジックなメロディと、キャッチーでダンサンブルなユーロ・ハウス・サウンドがトレード・マークのイン−グリッドだが、その彼女を世に送り出した音楽レーベルこそ、今回のお題であるオフ・リミッツ・プロダクションズなのである。
 オフ・リミッツ・プロダクションズとは、イタリアのミラノを拠点とするユーロ・ダンス系レーベルで、プロデューサーであるアルフレード・ラリー・ピニャノーリによって1990年代初頭に設立された会社だ。デビュー曲“Saturday Night”が日本でも話題になったウィッグフィールドやアン・リー、イン−グリッド、そして最近ではベナッシ・ブラザーズやダニーといった人気アーティストを次々と世に送り出しており、今やヨーロッパで最も重要な音楽レーベルの一つである。
 彼らの特徴は、何と言っても問答無用なくらいにキャッチーでポップなメロディ。このメロディ重視という姿勢は、簡単なようでいて実は非常に困難なチャレンジだと言えよう。そもそもダンス・ミュージックというのは、とかくスタイルや機能性ばかりが重視されてしまい、メロディがなおざりにされてしまう傾向が強い。とりあえず、時流のサウンドさえ押さえておけば何となく成立してしまうのだ。それゆえに、安易に量産されてしまいがちなジャンルだと言える。
 ゆえに、その創立以来10年以上もの間、キャッチーでポップなダンス・ミュージックばかりを世に送り続けているオフ・リミッツ・プロダクションズの功績というのは、もっと評価されて然るべきなのではないかとも思う。そこで、今回はオフ・リミッツ・プロダクションズと、その創作活動をリードし続けてきたアルフレード・ラリー・ピニャノーリという人物についてスポットライトを当ててみたいと思う。

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デビュー当初のスパーニャ

カンツォーネ転向後のスパーニャ

 北イタリアのエミリア地方に生まれたアルフレード・ラリー・ピニャノーリは、ローマとミラノに拠点を置くエナジー・プロダクションズのアレンジャーとして80年代初頭にキャリアをスタートさせた。ここで彼が手掛けたアーティストが、ユーロビート・ブームの際に日本でも人気を得た女性デュオ、ファン・ファン。彼女たちの大ヒット曲“Happy Station”や“Colour Of My Love”の作曲とアレンジを手掛けたのがピニャノーリだったのだ。そして、この時に彼と共同で作曲を手掛けていた女性がイワナ・スパーニャ。そう、87年にシングル“Call Me”が世界中で大ヒットした女性アーティスト、スパーニャのことである。
 彼女の弟テオ・スパーニャと共に、スパーニャのプロデュースを手掛けるようになったピニャノーリは、“Call Me”や“Easy Lady”、“I Wanna Be Your Wife”などのヒット曲を次々と放っていく。しかし、90年代に入るとスパーニャはダンス・ポップスからカンツォーネへと方向を転換し、ピニャノーリとは袂を別つこととなった。
 そこで、彼は自らのレーベルとして新たにオフ・リミッツ・プロダクションズを設立、古巣のエナジー・プロダクションズとディストリビュート契約を結んだ。その第一号アーティストがウィッグフィールドだったのである。

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ウィッグフィールド

 ウィッグフィールドは本名をサニー・シャルロット・カールソンというオランダ人で、もともとはファッション・モデルだった。しかし音楽を志すようになり、モデルを廃業して弟の結成したバンドにボーカリストとして参加していた。
 1994年にリリースされたシングル“Saturday Night”だが、まずはスペインから火がついた。スペインのヒット・チャートで11週に渡ってナンバー・ワンを独占し、ドイツ、イタリア、スイス・・・と各国で1位を記録。遂にはイギリスでも4週に渡って1位を記録し、ヨーロッパだけで200万枚以上を売り上げてしまったのだ。続く“Another Day”、“Think Of You”も全英トップ・テンに入るなど、各国でヒットを記録。最終的にファースト・アルバムからは9曲がシングル・カットされ、いずれもが各国でヒット・チャートの上位にランクされるという驚異的な大成功を収めたのだった。ちなみに、日本でも女性グループMAXが“Saturday Night”を「恋するヴェルファーレダンス」としてカバー・ヒットさせている。
 96年の秋にはセカンド・アルバムからの先行シングル“Gimme Gimme”がオーストラリアや南アフリカでヒットを記録。さらに、97年にはセカンド・アルバムがリリースされ、シングル“Givin' All My Love”や“Baby Boy”がヨーロッパ各国やカナダ、オーストラリアでトップ10ヒットとなった。
 99年にはロネッツのカバー“Be My Baby”が、2000年には“Doo-Whop”、2001年には“Much More”と次々とヒット・シングルをリリース。ヨーロッパやカナダ、オーストラリアでの彼女の人気は絶大なものになっていった。しかし、何故だか日本ではセカンド・アルバム以降は一切リリースされないまま。その最大の理由は、アメリカやイギリスでチャート・インしていない事である。アメリカでは“Saturday Night”がビルボードのダンス・チャートで19位、“Another Day”が21位にランクされたのみで、世界の主要マーケットで唯一ウィッグフィールドが成功しなかった国だった。アメリカはヨーロピアン・ポップスへの偏見が非常に根強い国なので仕方がないだろう。さらに、イギリスでもセカンド・アルバム以降は全くの不発。基本的にUKチャートというのはスノッブな傾向が強いため、ユーロ・ダンス系のアーティストは短命に終わってしまう事が多い。そして、こうした英米のヒット・チャート一辺倒の日本では、ウィッグフィールドは完全に無視されてしまう事となってしまったのだった。
 さて、2002年にリリースされたシングル“Amazing and Beautiful”が初めてセールス的に失敗し、その後のシングルも不調続きとなったウィッグフィールドは、ここ数年はサニー・カールソン名義でオフ・リミッツ・プロダクションズのアーティストに楽曲を提供したり、アレンジやプロデュース、ゲスト・ボーカルとして活動を続けている。

 こうしてウィッグフィールドを世界的なトップ・スターに育て上げたアルフレード・ラリー・ピニャノーリ。同時期にはポーランド出身の女性ボーカリスト、J.K.や女性デュオのアリー&ジョーなどのプロデュースも手掛けている。共にヨーロッパやカナダでトップ10ヒットを放っており、オフ・リミッツ・プロダクションズはヨーロッパでも随一のヒット・ファクトリーとなっていく。
 まだまだオフ・リミッツ・プロダクションズの快進撃は続くわけだが、この先は次回パート2で詳しく紹介して行こうと思う。

 

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LE_SUE_PIU_BELLE.JPG

EASY_LADY_2004.JPG

Greatest Hits
Spagna

Le sue piu belle canzoni
Spagna

Easy Lady 2004 (2004) / Spagna

(P)1993 Sony Music (Italy) (P)2004 Sony Music (Italy) (P)2004 House Nation/ZYX(Germany)
1,Easy Lady (Band of Gypsies 12" Remix)
2,Call Me ビデオ
3,Dance Dance Dance
4,Every Girl And Boy ビデオ
5,I Wanna Be Your Wife ビデオ
6,This Generation
7,Love At First Sight
8,Dedicated To The Moon
9,You're My Energy
10,Let Me (Say I Love You)
11,Me And You
12,Only Words
13,No Way Out
14,No More Words
15,Easy Lady (Original Version) ビデオ

produced by Larry Pignagnoli & Teo Spagna
compilation produced by Ivana Spagna & Marco Marati
CD 1
1,Gente Come Noi ビデオ
2,Il Cerchio Della Vita ビデオ
3,Siamo In Due
4,Lupi Solitari
5,Il Bello Della Vita
6,Quella Carezza Della Sera
7,E Io Penso A Te
8,Colpa Del Sole
9,Teorema
10,Ti Amo
11,E Che Mai Sara
12,Con Il Tuo Nome
13,La Donna Cannone
14,Anime Sole
15,Lay Da Da
CD 2
1,Easy Lady
2,Call Me
3,Dance Dance Dance
4,Every Little Girl And Boy
5,I Wanna Be Your Wife
6,This Generation
7,Dedicated To The Moon
8,You Are My Energy
9,Me And You
10,Only Words
11,No Way Out
12,No More Words
13,Easy Lady (East Coast Jam Remix)
14,The Heat Of The Sun (Colpa del sole)
15,I Love You (Ti amo)
16,Solitary Angels (Lupi solitari)
1,Radio Mix 3:46
2,Scotty's Radio Mix 3:31
3,Disco Mix 6:05
4,Extended Mix 5:55
5,Scotty's Club Mix 7:49

produced by Ice & Cream
#2&#5 remixed by Oliver Dix & Oliver Floete.
 日本では車のCMソングとしても使われた爽やかなユーロビート・ナンバー“Call Me”#2のヒットで知られるスパーニャのベスト盤。どうもヨーロッパでは“Easy Lady”の方が有名らしく、ここでも2バージョン(#1と#15)が収録されています。やっぱり個人的には、スパーニャと言えば“Call Me”。あの爽快感溢れるシンセ・リフの気持ち良さは最高です。ただ、その他のナンバーは、いずれも平凡なイタロ・ビートばかり。普通のリスナーは、このベスト盤1枚で十分でしょう。  さて、こちらは2枚組のベスト盤。この1枚目は90年代半ば以降のカンツォーネ・ナンバーで構成されています。当たり前かもしれませんが、いずれもイタリア語で歌ってます。#1は95年のサン・レモ音楽祭で3位に入賞し、イタリアのヒット・チャートで1位をマーク、その年の年間チャートでも1位を記録した大ヒット曲。泣きのメロディが印象的なロック風バラードです。その他の作品もポップ・ロック的なアプローチが濃厚で、結構アメリカン・ポップス的なものを目指していたように感じます。  初期のユーロビート・ナンバーを中心に選曲された2枚目。ベーシックなヒット曲は全てこの1枚に集約されています。目玉は“Easy Lady”の初CD化リミックス#13ということなのですが、これ表記に偽りあり。どこからどう聴いても、Band of Gypsiesの12インチ・リミックスなんです。しかも初CD化だなんて!嘘も休み休み言って欲しいもんです。で、#14以降はカンツォーネ・ナンバーの英語バージョン。これは、いずれも未発表だったそうです。って、本当かな〜(笑)  こちらはドイツでリリースされたリメイク・バージョン。ドイツのDJチーム、アイス&クリームがプロデュースを担当しています。日本では“Call Me”みたいなヒットにはなりませんでしたが、ヨーロッパでは根強い人気のある曲みたいなんですよね。ただ、この2004年バージョンは、ありきたりなユーロ・ハウスという感じ。アマンダ・リアとか、イヴリン・トーマスとか、ここ数年のハウス・リメイクものはどうもパッとしないものが多いんですよね〜。

SATURDAY_NIGHT.JPG SATURDAY_NIGHT_JP.JPG THINK_OF_YOU.JPG CLOSE_TO_YOU_1.JPG

Saturday Night (1994)
Whigfield

Saturday Night (1994)
Whigfield

Think Of You (1995)
Whigfield

Close To You (1995)
Whigfield

(P)1994 Systematic/London (UK) (P)1995 Avex Trax (Japan) (P)1995 Systematic (UK) (P)1995 Systematic (UK)
1,Radio Mix ビデオ
2,Extended Nite Mix
3,Nite Mix
4,Beagle Mix
5,Dida Mix
6,Deep Nite Mix
7,Trance Beat Mix

produced by Larry Pignagnoli
1,Nite Mix
2,Beagle Mix
3,Dida Mix
4,Radio Mix
5,Deep Nite Mix
6,Radio Nite Mix
7,Extended Nite Mix
8,Fishbone Beat's Trance Beat Mix
9,Fishbone Beat's Afternoon Remix

produced by Larry Pignagnoli
1,Radio Edit ビデオ
2,David Remix
3,Extended X UK
4,Dancing Divaz Club Mix
5,MBRG Remix

produced by Larry Pignagnoli.
#4 remixed by Dancing Divaz.
1,Close To You (Radio Edit) ビデオ
2,Saturday Night (Classic Vocal Mix)
3,Another Day (The French Remix)

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
remixed by Darrin Friedman & Hex Hector
 泣く子も黙る超メガ・ヒット“Saturday Night”です。問答無用におバカさんで楽しい究極のユーロ・ダンス・ポップ。ダバララン、ディリリ、ラリラララ〜♪ってオツムの足りないサビが強烈なインパクトで、この能天気さが以降の彼女のトレードマークとなっていきます。リミックスは#1〜#3がベスト。ハード・トランス風のダブ#5も結構面白いです。  こちらはエイベックスからリリースされた日本盤のマキシ・シングル。#6と#9がUK盤には未収録のバージョンです。ただ、それだけ(笑)。どちらも別にどうこういう事のない平凡なリミックスです。しかし、MAXの「恋するヴェルファーレダンス」は酷いカバーでしたね。企画物だとはいえ、原曲のカワイさが台無しでした。  “Saturday Night”の路線をそのままに、より爽やかでキュートに仕上げたダンス・ポップ・ナンバーです。ほのかに哀愁感を漂わせたガラージ・ハウスに仕上げた#2も良いですね〜。ちょうど後期PWLを思わせる良質で上品なアーバン・ディスコって感じです。オリジナルをよりハッピーにした#5もまずまず。思い切りハンドバッグな#4は、残念ながら好みじゃありませんでした。

 タイトル曲はとても美しい珠玉のバラード・ナンバー。ウィッグフィールド熱唱です。で、カップリングが“Saturday Night”と“Another Day”のリミックス。手掛けるのはダリン・フリードマンとヘックス・ヘクターのスパイク・プロダクションズ。非常にタイトでアップリフティングなディープ・ハウスに仕上がった#2と超エレクトリックなハッピー・ハンドバッグに仕上がった#3、共にグッドな出来。

CLOSE_TO_YOU_2.JPG LAST_CHRISTMAS_UK.JPG LAST_CHRISTMAS.JPG BIG_TIME.JPG

Close To You (1995)
Whigfield

Last Christmas/Big Time (1995)
Whigfield

Last Christmas (1995)
Whigfield

Big Time (1995)
Whigfield

(P)1995 Systematic (UK) (P)1995 Systematic (UK) (P)1995 Dino Music (Holland) (P)1995 ZYX Music (Germany)
1,Close To You
2,It's Alright
3,Saturday Night/Another Day
  (The Canadian Mega Mix)

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
1,Last Christmas (Major Cut)
2,Big Time (Dancing Divaz Club Mix)
3,Saturday Night (Spike Vocal)
4,Saturday Night (Afternoon Mix)

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#2 remixed by Dancing Divaz
#3 remixed by Darrin Friedman & Hex Hector
1,MBRG Radio Version 3:47 ビデオ
2,Major Radio Version 4:10
3,Major Mild EQ. Version 4:10
4,Minor Version 4:20
5,David Version 8:00
6,MBRG Extended Version 5:25

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#1&#6 remixed by Maurizio Braccagni & Roberto Gallo Salsotto.
#4 remixed by Davide Riva
1,Album Version 3:21
2,Summer Zone Remix 5:18 
3,Dancing Divaz Club Mix 4:50
4,MBRG Remix 4:50
5,Saturday Night (U.S. Classic Vocal Remix) 7:15
6,Close To You (Album Version) 4:07

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#3 remixed by Dancing Divaz
#4 remixed by Maurizio Braccagni & Roberto Gallo Salsotto
#5 remixed by Darrin Friedman & Hex Hector
 こちらは“Close To You”マキシ・シングルのパート2です。UKはカップリング曲の違う2種類のシングルを同時リリースするのが結構一般的なんですね。目玉は#3のメガ・ミックス。カナダ向けに制作されたもので、“Saturday Night”と“Another Day”をごちゃ混ぜにしてハード・トランス風に仕上げています。まあ、どっちも似たような曲だし、ってことなんでしょうけど。とりあえず、カッコいいです。

 そうです、あのワムの定番クリスマス・ソングを無謀にも(?)カバーしたシングル。レゲエ風の仕上がりで、まずは無難な出来。悪くはないです。カップリングの#2はダメ。個人的にDancing Divazは相性が悪いようです。で、くどいくらいに出てくる“Saturday Night”のリミックス#3と#4も凡庸な出来映え(#4は日本盤にも収録されてました)。これを最後に、UKではウィッグフィールドのシングルが出なくなってしまいました。

 こちらはユーロ仕様のマキシ・シングル。やっぱり原曲のアレンジを忠実に生かしたレゲエ風の#2と#3がベスト・ミックスです。#4では哀愁漂うアシッド・ジャズ風に仕上げていますが違和感アリアリ。素直でハートウォーミングなユーロ・ダンス・ポップに仕上げた#5は及第点といった感じです。ハッピー感炸裂のアゲアゲ・ハイエナジーに仕上げた#1と#6も悪くはありませんが、何となく安っぽい感じは否めませんね。  ハイリハイリ、ハリハリホ〜♪というヨーデル風の掛け声ものどかな、キュートでポップな癒し系(?)ユーロ・レゲエの佳作です。リミックスではBPMを最大限に上げまくった#4が、意外にも爽やかでメロウな仕上がりで非常にグッド。哀愁感を漂わせたジャズ・フュージョン風のアプローチを聴かせる#2もアイディアとしてはいいものの、出来映えはイマイチです。

SEXY_EYES_ORIGINAL.JPG SEXY_EYES.JPG

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Sexy Eyes (1996)
Whigfield

Sexy Eyes Remixes (1998)
Whigfield

Whigfield Special Edition (1995)
Whigfield

(P)1996 ZYX Music (Germany) (P)1998 ZYX Music (Germany) (P)1995 Orange Records (Holland)
1,David's Epic Edit 3:55
2,MBRG Edit 3:18
3,Album Version 3:56 ビデオ
4,David's Epic Experience 6:55
5,Original MBRG 4:53
6,Out Of Sight 4:00
7,Junto A Ti (Close To You) 4:03

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#1&#4 remixed by David Riva
#2&#5 remixed nby Maurizio Braccagni & Roberto Gallo Salsotto
1,Original MBRG Radio Edit 3:51
2,Amen Remix 7:21 ビデオ
3,David's Epic Experience Mix 6:55

produced by Larry Pignagnoli & David Riva
#2 remixed by Amen UK
CD 1
1,Big Time (MBRG Remix) 4:50
2,Close To You (Down Town Remix) 4:56 ビデオ
3,Last Christmas (MBRG Version) 5:25
4,Think Of You (Dancin Divaz Remix) 7:38
5,Saturday Night (Nite Mix) 5:28
6,Another Day (Club Remix) 5:22
7,It's Alright 4:28
8,Megamix 18:48

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
CD 2
1,Think Of You 4:15
2,Another Day 4:09
3,Don't Walk Away 4:00
4,Big Time 3:21
5,Out Of Sight 4:00
6,Close To You 4:07
7,Saturday Night 3:44
8,Ain't It Blue 4:45
9,I Want To Love 4:16
10,Sexy Eyes 3:56
11,Last Christmas (Major Version) 4:10

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
 ファースト・アルバムの中でも一番好きな曲がこれ!ハッピーでキュートな究極のおバカさんユーロ・ポップです。“ナンナンナ〜ナンナンナナンネ〜”って口ずさむだけのサビなんて楽しいことこの上なし!深い事を一切考えないユーロ・ポップスの真骨頂です。ただ、リミックスはどれもイマイチ。オリジナルの問答無用な強烈パワーに完敗してしまってますね。  やっぱり世界には、この曲の良さの分かる方が多くいらっしゃるようで(笑)。ヨーロッパやオーストラリアでの根強い人気に応えてリリースされたのが、このリミックス盤なわけです。とはいえ、新たなバージョンはAmen UKの手掛けた#2のみ。ド迫力のハイエナジー・ミックスに仕上がっていて、オリジナルとは全く印象は違うものの、かなりカッコいい出来映えです。  ファースト・アルバムの2枚組特別盤。1枚目がリミックスを集めたボーナス・ディスクです。殆どが普通にCDシングルに収録されているバージョンですが、#2と#8は比較的入手困難なレア・トラック。#2はヒップ・ホップ風のトラックにメロウなトライアングルの音色を絡めたドリーミーな仕上がりで、オリジナルよりも良いです。#8は単純にシングルを繋いだだけのメガミックス。  そして、こちらがアルバム本体ですね。全11曲中、なんと9曲がシングル・カット(#9も一部の国でシングルが出てます)されているということで、ポップスとしても非常に完成度の高いアルバム。これだけキャッチーな楽曲ばかり揃ったダンス・ポップ・アルバムというのも珍しいでしょう。アルバム・トラックの中では#5がシングル向きの強力トラック。#8も爽やかでメロウな佳作です。

MEGA_MIXES.JPG GIMME_GIMME.JPG BABY_BOY.JPG NO_TEARS_TO_CRY.JPG

Mega Mixes (1996)
Whigfield

Gimme Gimme (1996)
Whigfield

Baby Boy (1997)
Whigfield

No Tears To Cry (1997)
Whigfield

(P)1996 ZYX Music (Germany) (P)1996 Orange Records (Holland) (P)1997 Orange Records (Holland) (P)1997 Orange Records (Holland)
1,Intro 2:58
2,Saturday Night 3:45
3,Think Of You 2:56
4,Another Day 4:58
5,Another Day 0:58
6,Saturday Night 2:55
7,Close To You 4:33
8,Big Time 3:54
9,Big Time 1:49
10,Think Of You 7:04
11,Saturday Night 2:54
12,Big Time 4:31
13,Last X'mas 4:31
14,Another Day 6:03
bonus tracks
15,Sexy Eyes (Extended LP Version) 8:00
16,Ricks Mega Mix (Single Vers.) 4:40
17,I Want To Love (Yakoo Boyz 7" Mix) 4:08

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva.
mixed by Vibehaus
1,Original Vox Cut 4:02 ビデオ
2,Original Vox Ext. 6:16
3,American Cut 3:47
4,MBRG Cut 3:24
5,American Mix 5:17
6,MBRG Ext. 5:35

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#4&3& remixed by Maurizio Braccagni & Roberto Gallo Salsotto.
1,The Prime Version Radio 3:32
2,Original Radio Mix 3:37
3,Pocho Man Extended Mix 5:01
4,The Prime Version Extended 6:23
5,MBRG Extended Mix 5:30
6,MBRG Radio Mix 3:31
7,Pocho Man Radio Mix 3:16

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#5&#6 remixed by Maurizio Braccagni & Robeto Gallo Salsotto.
#3&#7 remixed by Pocho Man.
1,Original Extended 5:26
2,Original Edit 3:51
3,MBRG Extended 6:12
4,MBRG Edit 3:30
5,Organ Mix 3:45

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#3&#4 remixed by Maurizio Braccagni & Roberto Gallo Salotto.
 ファースト・アルバムからのシングル曲を集めたノンストップ・メガ・ミックスです。それだけだったら見向きもしないのですが、このアルバムの最大の目玉は“Sexy Eyes”のエクステンデッド・バージョン#15がボーナス・トラックとして収録されていること!これだけで即買いです。あの完全無敵のオリジナル・ミックスのまま、8分間も“Sexy Eyes”を堪能出来るなんて、何たる幸せ(笑)!  セカンド・アルバムからの先行シングル。“Sexy Eyes”路線ということで、まさにボク好みのお気楽ダンス・ポップ・ナンバーです(笑)。やっぱりサビは“ナンナナ〜ナナンナ、ナ〜ナ〜ナナナンナンナ♪”と適当にやり過ごしてます。聴いてるだけで思わず心もウキウキ。こういう能天気をバカにする連中もいるかとは思いますが、正直クソ食らえです。楽しくて何が悪い!  来ました来ました〜爽やかでほんのりセンチメンタルなユーロ・サンバ・ハウスです!陽気なサンバのリズムに乗って“マンマンマ〜マンマイ・ベイビー、マンマンマ〜マンマイ・ベイビー・ボ〜イ”ですよっ!クーッ、カワイイ!音楽に理屈は一切不要です、ホント。あ〜、シアワセっ!でもね、Pocho ManとMBRGのリミックスはクソつまらんです。#1、#2、#4の3バージョンで十分!  ババ臭いジャケットもどうかと思いますが、楽曲的にも今回は残念ながら及第点。非常に平凡なユーロ・ダンス・ポップスです。路線的には王道のウィッグフィールド・ナンバーなんですがね。何というか、楽曲そのものが精彩に欠けています。その分、#3と#4のリミックスはイタロ・ハウスとして手堅い仕上がりです。

GIVIN_ALL_MY_LOVE.JPG

WHIGFIELD_SECOND.JPG

DOO_WHOP.JPG

Givin' All My Love (1998)
Whigfield

Whigfield 2 (1997)
Whigfield

Doo Whop (1999)
Whigfield

(P)1998 ZYX Music (Germany) (P)1997 Rock Co.Ltd (Hong Kong) (P)1999 Vale Music (Spain)
1,Original Radio Edit 3:38 ビデオ
2,Alesis Extended Mix 5:48
3,Alesis Edit Mix 3:58 
4,Gambadubs Easy Mix 6:33

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
#2&#3 remixed by Alex Natale & Alex Baraldi.
#4 remixed by Davide Riva & Stefano Gambarelli.
CD
1,Gicin' All My Love
2,No Tears To Cry
3,Baby Boy
4,Tenderly
5,What We've Done For Love
6,Lover
7,Gimme Gimme
8,Whiggy Whiggle
9,Forever On My Mind
10,Through The Night
11,Summer Samba
12,Saturday Night '97
13,Last Christmas (Major Cut)
14,Mega Rick Mix
15,No Tears To Cry (MBRG Edit)
16,No Tears To Cry (Original Extended)
17,No Tears To Cry (MBRG Extended)
18,No Tears To Cry (Organ Mix)
19,Baby Boy (Favilli Remix)

produced by Larry Pignagnoli & Davide Riva
VCD
1,No Tears To Cry
2,Baby Boy
3,Gimme Gimme
4,Last Christmas
5,Close To You
6,Big Time
7,Sexy Eyes
8,Think Of You
9,Another Day
10,Saturday Night
1,ABM Edit (Original) 3:22
2,ABM Ext. (Original) 5:06
3,Rivaz Tune Club 5:47
4,G.Side Ext. 5:04

produced by Alessandro Benassi, Marco Benassi & Ottavio Bacciocchi.
#3 remixed by Rivaz
#4 remixed by Alex Baraldi & Stefano Gambarelli.
 これはいい曲ですね。センチメンタルで乙女チック。何とも哀愁感溢れる美しいダンス・ポップ・ナンバーです。奇をてらうことなく原曲のイメージを生かした#2と#3のリミックスも秀逸だし、今までのウィッグフィールド路線を踏襲したドリーミーでキュートなリミックス#4も絶妙な職人技。ミックスの数は少ないですが、非常に手堅い仕事をしてます。  セカンド・アルバムの香港限定2枚組。ボーナス・トラック満載です。アルバム・トラックでは、ウィッグフィールドお得意のおバカさんパワー炸裂の#8が最強でしょう。“パパッパパーパー、パパッパパーパー”ですもん(笑)。ちなみに、#15のMBRGエディットは実際には収録されておりませんので悪しからず。アルバムとしての完成度は前作には及ばず、という感じですね。  香港盤のボーナス・ディスクは、今までのシングル全てのプロモ・クリップを収録したビデオCDです。そう、ビデオCDなんです!さすがは香港。まあ、当時はまだDVDが一般的ではなかったですしね。ただ、それにしても画質は良くないです。ほぼVHSと変らないような感じ。それでも当時は彼女の動く姿が見れるだけでも十分に嬉しかったもんです。懐かしいな〜。  これまた超キュートでドリーミーな正統派ウィッグフィールド・ナンバーです。“ドゥワッ、ドゥワッ、ドゥワドゥワッ、ドゥワドゥドゥワッ・・・”って全く意味のないサビがカワイイのなんのって!この頃からラリー・ピニャノーリが第一線から手を引き、本作では愛弟子のベナッシ・ブラザーズがプロデュースを手掛けています。炭酸飲料の泡のSEを効果的に使った#4のリミックスもユニーク。

MUCH_MORE.JPG

WHIGFIELD_THIRD.JPG

Much More (2000)
Whigfield

Whigfield Third Album (1999)
Whigfield

(P)2000 ZYX Music (Germany) (P)1999 VMP International Pte.Ltd (Singapore)
1,European Radio 3:42
2,DJ N.U.K.K. Radio 3:25
3,Radio Edit 3:32
4,RMH by Grand Luke-France 4:22
5,DJ N.U.K.K. Extended 4:50
6,European Full Extended 6:29
7,Extended Version 6:10

produced by S.Simmich
Disc 1
1,Be My Baby 3:30
2,Much More 4:15
3,Unbelievable 4:00
4,Lost In You 3:34
5,Makin' My Day 3:31
6,Outside 3:26
7,Upon A Star 3:37
8,All Your Love 3:31
9,Mi Amor 3:26
10,Waitin' For Somebody 3:31
11,Doo Whop (ABM) 3:21
Disc 2
1,Doo Whop (AMB Extended) 5:06
2,Doo Whop (Rivaz Tune Club) 5:47
3,Doo Whop (G.Side Extended) 5:04
4,Be My Baby (Edit House Mix) 3:22
5,Be My Baby (Extended House Mix) 5:07
6,Be My Baby (B.O.S. Mix) 6:16
7,Be My Baby (Tequila Dub) 5:45
8,Tu Seras Mi Baby (Spanish Version) 3:32
9,Whigfield Megamix 5:36
VCD
1,Be My Baby
2,Givin' All My Love
3,Baby Boy
4,No Tears To Cry
5,Gimme Gimme
6,Sexy Eyes
7,Big Time
8,Saturday Night
9,Close To You
10,Another Day
11,Think Of You
12,Last Christmas
 今までのウィッグフィールドにはなかったエロティックな感じの怪しげなユーロ・ダンス・ポップ。アンバー辺りを意識したような作品です。これはこれで悪くはないのですが、何となく彼女に期待するものとは違うような・・・。一応、ソングライター陣はダヴィデ・リーヴァをはじめ、いつものウィッグフィールド組が揃っています。まあ、いろいろと試行錯誤した結果がこれなのでしょう。リミックスはいずれも似たような感じで変り映えしません。  サード・アルバムのシンガポール盤は豪華3枚組です。オープニングの“Be My Baby”からハッピー感全開!言わずと知れたロネッツのカバーですが、いつものユーロ・ハウスではなく、正攻法のポップ・ナンバーとしてカバーしたのは大正解。まるで彼女の為に作られたかのような相性の良さです。アルバム・トラックはいずれも今までの路線を踏襲しているものの、残念ながら可もなく不可もなくな楽曲ばかり。おバカさんネタも尽きてきたのかもしれません。  こちらのボーナス・ディスクは、ファースト・シングル“Doo Whop”とセカンド・シングル“Be My Baby”のリミックスを集めた構成。というか、2枚のマキシ・シングルをそのまま詰め込んだだけですね。“Be My Baby”のリミックスは、いずれも手堅い仕上がりではあるものの、やっぱりアルバム・バージョンがベストです。でもって、またかよ〜といった感じのメガミックスですが、一応このCDの為の新しいバージョンのようで、“Be My Baby”が含まれてます。  そして3枚目は、またまたVCDです。さすがVCD天国のアジア!この当時は既にDVDも急速に普及していましたが、やはりVCDの方が手軽で一般的だったのでしょう。ということで、何も申しますまい。DVDが当たり前になった今では無用の長物です。

GOTTA_GETCHA.JPG

WAS_A_TIME.JPG

Gotta Getcha (2002)
Whigfield

Was A Time (2004)
Whigfield

(P)2002 ZYX Music (Germany) (P)2004 ZYX Music (Germany)
1,Radio Mix 3:36
2,Album Version 3:48 
3,Extended Mix 6:37
4,Saturday Night (Abigail's Party Remix) 4:37

produced by S.Simmich
#1&#3 remixed by Matt Kootchi & Ashley Rimes.
CD
1,Was A Time 3:25 ビデオ
2,Amazing And Beautiful 4:33
3,Beep Beep 3:42
4,Boys Boys Boys 3:21
5,Fantasy 3:54
6,Candy 3:30
7,I Knew Before 3:42
8,My Love's Gone 4:13
9,Get Get Get 3:12
10,Take Me To The Summertime 3:30
11,Outside Life 4:49
12,Welcome To Fun 3:40
13,My My 3:45
14,Every Single Day And Night 3:49
15,Tomorrow 3:46
16,Gotta Getcha 3:48
DVD
1,Was A Time
2,Saturday Night
3,Think Of You
4,Sexy Eyes
5,Big Time
6,Close To You
7,Gimme Gimme
8,Baby Boy
9,No Tears To Cry
10,Givin' All My Love
11,Be My Baby
12,Last Christmas
13,Another Day
 正統派ウィッグフィールド路線の、ちょっぴりセンチメンタルでキュートな哀愁ダンス・ポップ・ナンバーです。派手さはないものの、安心して聴ける良質な作品。#2のアルバム・バージョンがベストだと思います。でもって、飽きもせずに登場の“Saturday Night”リミックス#4。原曲を忠実にアップデートした感じで、今までのリミックスの中ではまずまずの仕上がりです。  2002年リリースの4枚目のアルバムに新曲を加えたリニューアル版。スパニッシュ風味を加えた牧歌的なナンバー#1でおやっ!?と思わされたものの、それ以降はいつものウィッグフィールド路線で安心。80年代のフレンチ・ポップを思わせる爽やかな#10なんか非常に好みですね。その一方で、アンダーグランド色濃厚な#3やヒップ・ホップ風味を加えた#5など、新しいサウンドを試行錯誤しています。全体的に安定感のある良質なアルバムです。  そして、ボーナス・ディスクは遂にDVDです!今までのプロモ・クリップが高画質で思う存分に楽しめます!ドイツ盤なので映像方式はPALですが、マルチ・プレイヤーを持っていない人でもパソコンで再生可能!リージョン・コードも入っていません。

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