イタリア産尼僧映画の系譜

 

 このホームページをご覧になっている皆さんならば、今さら改めて説明する必要もないかもしれないが、世の中には尼僧映画と呼ばれるジャンルがある。英語ではNunsploitationと呼ばれ、その人気はいまだに世界中で根強い。欧米では専門の研究書まで出版されているほどだ。
 尼僧映画がブームとなったのは主に70年代。そのルーツはイエジー・カワレロウィッチ監督のポーランド映画『尼僧ヨアンナ』(60)とされているが、もちろんそれ以前から尼僧を題材にした映画はヨーロッパ各国で作られてきた。しかし、現在認知されている尼僧映画の定義と照らし合わせると、やはり『尼僧ヨアンナ』がこのジャンルの原点であると言って差し支えないだろう。
 その定義を一言で述べるならば“抑圧”。性的抑圧、社会的抑圧、精神的抑圧など、男性主導の父性社会で女性が受けてきた様々な抑圧を集約したものが尼僧映画なのである。『尼僧ヨアンナ』では教会から“悪魔憑き”と見なされた尼僧たちの集団ヒステリーを題材に、女子修道院という狭い世界へ閉じ込められた女性たちの苦悩と哀しみを描きながら、このような非人道的な抑圧を強いる権力や社会の偽善を痛烈に批判した。それはすなわち、社会主義国だった当時のポーランドにおける理不尽な圧政へ対する批判だったと言えよう。
 この『尼僧ヨアンナ』によって撒かれた種が、その後の世界的な左翼運動の高まりによって“尼僧映画”という1つのジャンルを生み出すに至ったとも考えられる。各国で物議を醸して話題となったケン・ラッセル監督の問題作『肉体の悪魔』(71)も、このジャンルの盛り上がりに多大な影響を与えた。
 ただ、必然的に登場人物の殆んどが女性で占められ、多分にセクシュアルな題材を取り扱っていることから、やがて低予算のポルノ映画として応用されるようになっていく。そのきっかけとなったのは、やはりポーランド出身のワレリアン・ボロズウィック監督による『修道女の悶え』(77)である。抑圧された生活を送る尼僧たちの赤裸々な性欲を描いたこの作品は、芸術的なアート映画であると同時に大胆な性描写を含むポルノ映画的な要素も併せ持っていた。結局、そのポルノ映画的な部分が世間の人々の関心を集め、この作品は欧米で大変な話題となり、柳の下のドジョウを狙う尼僧ポルノが続出することとなったのだ。
 ちなみに、ここ日本でも尼僧映画は秘かな人気ジャンル。正確には尼僧映画と呼べないものの、早いところだと東映異常性愛路線第3弾の『徳川女刑罰史』(68)において、頭を坊主に丸めた尼僧たちによるレズ・プレイや釜茹での拷問が描かれている。その後、同じく東映から多岐川裕美主演の『聖獣学園』(74)、エログロ描写満載の『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』(77)という本格的(?)尼僧映画が登場。日活ロマン・ポルノからも『修道女ルナの告白』(76)や『修道女ルシア 辱す』(78)、『修道女 濡れ縄ざんげ』(79)などの尼僧ポルノが作られている。

 さて、ここからは肝心のイタリアにおける尼僧映画の系譜を紹介しよう。カトリックの総本山バチカンを擁しているイタリアでは、日常的にも歴史的にも非常に身近な題材であることから、宗教をテーマにした映画が数多く作られてきた。特に60年代末になると世界的な反体制・反権力を謳う政治運動の影響を受け、教会の功罪を鋭く追及する作品が次々と登場。尼僧映画もそうした流れの中で受け入れられたと考えられる。
 そんなイタリア産尼僧映画の原点と呼ばれているのが、巨匠ルキノ・ヴィスコンティの甥であるエリプランド・ヴィスコンティが手掛けた『ロザリオの悲しみ』(68)。これは、イタリアではとても有名な伝説“モンツァの修道女”を題材にした作品だ。舞台は17世紀初頭、ミラノ近郊にある町モンツァ。イタリア史にも登場する有名な指揮官アントニオ・デ・レイバを祖先に持つ由緒正しい家柄に生まれた女性マリアンネは、父親の政治的な策略の一環として強制的に女子修道院へと入れられてしまう。名門一族の強力な後ろ盾によって修道院内での権力を握ったマリアンネ。しかし、ジャンパオロ・オシオという若者と道ならぬ恋に落ちてしまったことから、彼女は教会から終身刑を言い渡されてしまう。
 当時の修道女は外界との接触を殆んど断たねばならず、修道院を出ることが出来るのは死ぬときだけとすら言われた時代。若くして無理やり修道院に入られたマリアンネが、異性に対する愛情や欲望を抑えることができなかったのは当然のことだったろう。
 当時は彼女のような境遇の女性は決して少なくなかったと言われる。中でも、貴族社会における政治ゲームのコマとして利用され、教会の定めた厳しい戒律によって無慈悲に裁かれたマリアンネは、男性によって支配された中世封建社会の哀れな犠牲者とも言えるだろう。
 この物語は19世紀の作家アレッサンドロ・マンゾーニの代表作『婚約者』の中でも描かれており、各方面に様々な影響を与えてきた。その中の1つが、1960年に出版されたマリオ・マッズケッティの小説『修道女』。“モンツァの修道女”を独自の視点で解釈したこの小説は、当時イタリアで大ベストセラーとなった。それを映画化したのが、エリプランド・ヴィスコンティの『ロザリオの悲しみ』だったわけだ。
 実は、この『ロザリオの悲しみ』の以前にも、“モンツァの修道女”を映画化した作品がある。ラファエロ・パチーニ監督の“La monaca di Monza”(47)と、名匠カルミネ・ガローネ監督による“La monaca di Monza”(62)の2本だ。どちらもマンゾーニの小説をモデルにしており、その内容は古式ゆかしい歴史物語といった按配。後のいわゆる“尼僧映画”の系譜とはかけ離れた作品だった。
 一方、イギリスの美人スター、アン・ヘイウッドを主演に迎えた『ロザリオの悲しみ』は、文学的な薫り高い歴史絵巻として描きつつも、随所にレイプや拷問、陰謀、殺人といったスキャンダラスな要素を盛り込み、よりリアリズムに徹したセンセーショナルな内容に仕上がっている。性描写や残酷描写はあくまでも控えめだが、これがイタリアにおける尼僧映画のプロトタイプとなったと考えて間違いないだろう。

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“Immagini di un convento”(79)より

 やがて、ケン・ラッセル監督の『肉体の悪魔』が話題とを呼ぶと、にわかにイタリアでもそれに触発された映画が作られるようになる。まずは、セルジョ・ベルゴンゼッリ監督による“Christina, la monacha indemoniata”。これは現代を舞台にした低予算のソフト・ポルノだが、初めて尼僧同士のレズビアン関係を赤裸々に描いたという点で画期的だった。
 しかし、この第1次尼僧映画ブームの中で最も重要な作品は、ベテランの名匠ドメニコ・パオレッラ監督による『修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史』(73)と言えよう。スタンダールの書き残した日誌を基にしたというこの作品、ストーリーは様々な点で“モンツァの修道女”と酷似している。本物の修道院でロケを行ったゴージャスなプロダクション・デザイン、パオレッラ監督の風格溢れる美しいカメラワークなど、重厚な歴史絵巻的な魅力のある映画だ。その一方で、修道院内における壮絶な権力闘争や腐敗したモラルを赤裸々に描いており、セックス・シーンやレズビアン・シーン、拷問シーンなどのショッキングな描写も少なくない。
 この作品の大ヒットを受け、パオレッラ監督は矢継ぎ早に『ア・クロイスタード・ナン』(73)を発表。『地獄の戦場コマンドス』(68)や『炎のいけにえ』(71)で知られる鬼才アルマンド・クリスピーノも、バーバラ・ブーシェ主演で“La badessa di Castro(カストロの女子修道院長)”(73)という作品を監督している。
 さらに、“ロミオとジュリエット”をモチーフにしたセルジョ・グリエコ監督の『罪深き尼僧の悶え』(74)、ジャンフランコ・ミンゴッツィ監督による社会派尼僧映画の怪作“Flavia, la monacha muslamana(ムスリムの修道女フラヴィア)”(74)が登場。しかし、これを最後に尼僧映画ブームはいったん沈静化する。
 だが、ワレリアン・ボロズウィック監督によるポルノ・タッチの『修道女の悶え』が話題になると、すぐさまイタリアでもそれに便乗したソフトコア版尼僧映画がブームとなる。“黒いエマニエル”ことラウラ・ジェムサーが修道女を演じるセックス・コメディ『シスター・インモラル/背徳の賛美歌』(77)、往年のグラマー女優アニタ・エクバーグがドラッグ中毒の淫乱な修道女を演じる『レイプ・ショック』(78)、C級エログロ映画の鬼才ジョー・ダマートによる“Immagini di un convento(女子修道院の情景)”(79)、同じくC級映画の名物監督ブルーノ・マッテイによる『尼僧の背徳』(80)に『呪われた修道院』(80)などなど・・・。
 中でも、ダマートの作品はハードコアのレイプ・シーンを臆面もなく挿入した純然たるエクスプロイテーション映画で、この第2次尼僧映画ブームを象徴するような作品だとも言えよう。また、その出来不出来はともかくとして、尼僧映画とオカルト映画を合体させたという点では、ブルーノ・マッテイの『呪われた修道院』も異色だった。

 このように、第1次尼僧映画ブームがあくまでも社会派的なメッセージ性を持った芸術作品を中心に成り立っていたのに対し、70年代後半からの第2次ブームはセンセーショナリズムばかりを売り物にした低予算のポルノ映画ばかりであったことがよく分かる。
 その後も、ジョー・ダマートがダリオ・ドナーティ名義で監督した『尼僧白書』(86)、“モンツァの修道女”をルチアーノ・オドリシオ監督が叙情性豊かに再映画化したミリアム・ルーセル主演の『肉体のバイブル/禁断の賛美歌』(87)などが作られ、90年代以降はポルノ監督マリオ・サリエリが尼僧を題材にしたハードコア・ポルノを幾つも発表している。

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『尼僧白書』(86)より

 

 

修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史
Le monache di Sant'Arcangelo (1973)

日本では劇場未公開
VHSは日本発売済・DVDは日本未発売

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(P)2009 Exploitation Digital (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(レターボックス収録)/モノラル/音声:英語
/字幕:なし/地域コード:1/100分/製作:イタリア・フランス

映像特典
スチル・ギャラリー
監督:ドメニコ・パオレッラ
製作:トニーノ・チェルヴィ
脚本:トニーノ・チェルヴィ
   ドメニコ・パオレッラ
撮影:ジュゼッペ・ルッツォリーニ
音楽:ピエロ・ピッチョーニ
出演:アン・ヘイウッド
   リュク・メレンダ
   オルネッラ・ムーティ
   マルティーヌ・ブロシャール
   ドゥイリオ・デル・プレーテ
   クラウディオ・ゴーラ
   ピエル・パオロ・カッポーニ
   ミュリエル・カタラ
   クラウディア・グレイヴィ
   マリア・クマーニ・クァジモド

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修道院サント・アルカンジェロの院長が危篤に陥る

次期院長の座を狙うシスター・ジュリア(A・ヘイウッド)

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厳かに行われる院長の弔いの儀式

大司祭(C・ゴーラ)に意見する書記官カラフォ(L・メレンダ)

 文豪スタンダールが残した『イタリア年代記』の中に記されている実話を映画化した作品。『海賊旗を上げろ』(61)や『ヘラクレス/闘神伝説』(61)、『地獄のガンマン』(67)などの娯楽映画で知られる職人ドメニコ・パオレッラが、パオロ・ドミニチ名義で監督を手掛けている。
 主人公は美しいベテラン修道女シスター・ジュリア。次期修道院長の座を狙う彼女は、ライバルであるシスター・カルメラを陥れ、最有力候補だったシスター・ラヴィニアにも毒を盛って寝たきりにさせてしまう。さらには、実の姪であるイザベラの肉体さえも、後見人であるドン・カルロスに差し出すという野心家だ。しかし、その数々の陰謀が大司教の知るところとなり、激しい拷問の末に死刑を言い渡されてしまう。
 女子修道院という狭い社会にうごめくドロドロとした野心と陰謀を軸にしながら、結局は封建社会における権力闘争のコマとして使い捨てにされる女たちの哀れを描いた残酷な歴史物語だ。
 シスター・ジュリアの野心というのも、もとはといえば出身一族や後見人ドン・カルロスの期待を一身に背負ってのもの。カトリック教会は修道女たちの出身一族から受ける寄付金によって潤っており、その金額が修道院内での力関係を決めてしまう。ライバルたちと比べて家系的に財力の劣る彼女は分が悪い。
 その一方で、一族にとってみれば身内の人間が教会内で出世するということは、政治的に優位なポジションに立てるということを意味する。つまり、たとえ卑怯な手段を使ってでも、シスター・ジュリアは修道院長の座を自分のものにしなくてはいけないのだ。
 パオレッラ監督は、修道院内における厳かな日常をまるで中世の宗教画のごとき壮麗さでカメラに収める。パゾリーニ映画で知られる大御所撮影監督ジュゼッペ・ルッツォリーニによる、自然光を生かした幻想的な映像はまさに圧巻の美しさだ。
 さらに、修道院内における人間関係の一筋縄ではいかない複雑さも繊細なタッチで描き出しており、当時としては比較的大胆なレズビアン・シーンですら、絵画的な気品を漂わせている。後半の拷問シーンもかなりショッキングであることは間違いないが、それでも必要以上に残虐性を強調していないのは正解で、それが逆に重苦しいリアリズムや説得力を生み出していると言えよう。
 また、シスター・ジュリア役のアン・ヘイウッドをはじめとするベテラン勢を中心とした配役も良く、その一方で当時まだデビューしたばかりだったオルネッラ・ムーティの初々しい美しさも輝いている。決して後味の良い作品ではないものの、イタリアの尼僧映画を語る上では決して欠かすことの出来ない名作だ。

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シスター・ジュリアの姪イザベラ(O・ムーティ)が到着する

シスター・ジュリアに想いを寄せるキアラ(M・ブロシャール)

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新たに修道院へ入る修練女たちの儀式

シスター・ラヴィニア(M・C・クァジモド)に毒を盛るジュリア

 時は1577年。舞台はナポリ近郊にある女子修道院サント・アルカンジェロ。年老いた修道院長が危篤状態に陥り、修道院内には緊張が走っている。やがて修道院長は静かに息を引き取り、その様子を見守っていたシスター・ジュリア(アン・ヘイウッド)は思わず院長の首から下げられたロザリオを手にするが、年長のシスター・ラヴィニア(マリア・クマーニ・クァジモド)に奪われてしまう。
 悔しさを滲ませたシスター・ジュリアの唇に、彼女のことを慕うシスター・キアラ(マルティーヌ・ブロシャール)がそっと口づけをする。壁に掲げられた修道院長の家紋を憎々しげに取り外したシスター・ジュリアは、野心に燃えるその瞳を妖しげに光らせるのだった。
 シスター・キアラとシスター・ジュリアは同性愛的な関係にあった。しかし、シスター・ジュリアはうら若い修練女アグネス(ミュリエル・カタラ)に心変わりしつつあり、シスター・キアラは不安を隠せないでいた。
 その頃、愛人のスペイン貴族ピエトロ(ドゥイリオ・デル・プレーテ)との逢引きを楽しんでいたシスター・カルメラ(クラウディア・グレイヴィー)は、修道院長の崩御を知らせる鐘の音を聞き、自分を次期修道院長に推薦してくれるようピエトロに頼む。だが、小走りに広間へ戻ってきたシスター・カルメラの足元に泥が付いていることに気付いたシスター・ジュリアは、彼女の秘密に気付いて一人ほくそ笑んでいた。
 それから数日後、修道院へシスター・ジュリアの姪イザベラ(オルネッラ・ムーティ)がやって来る。身分違いの若者と恋に落ちたことから、一族の名誉を守るために送り込まれたのだ。それでもイザベラは周囲の目を盗み、修道院の塀を挟んで恋人フェルナンド(ジャンルイジ・キリッツィ)と束の間の逢瀬を重ねていた。たとえ、相手の体に触れることが出来なくても。
 その頃、ナポリの大司教(クラウディオ・ゴーラ)のもとには、シスター・ジュリア、シスター・カルメラ、シスター・ラヴィニアそれぞれの家族から、次期修道院長の座を懇願する訴えが届いていた。年功序列でいうならばシスター・ラヴィニアが最有力候補だ。大司教は通例に倣って寄付金の額で人選を決めるつもりだったが、新たな書記官カラーフォ(リュク・メレンダ)は高潔かつ融通の利かない人物で、あくまでも選考の基準は信仰心の強さであるべきと主張する。
 一方、親族の財力的に自分が不利であると考えていたシスター・ジュリアは、さっそく行動を起こした。シスター・カルメラとピエトロが逢引きをしている最中に侵入者を知らせる鐘を鳴らし、予め修道院の外に待機させていた刺客が逃げ出してきたピエトロを暗殺。彼が窓から外へ逃げる際に使ったシーツが証拠となり、シスター・カルメラは独房へ監禁される。
 さらに、シスター・ラヴィニアが病で寝たきりになってしまう。これも実はシスター・ジュリアの策略で、健康の薬だと偽って毒薬を飲ませていたのだ。しかし、いずれも彼女一人で考えた計画ではない。一族の後ろ盾となっている領主ドン・カルロス(ピエル・パオロ・カッポーニ)の入れ知恵と協力があったのだ。
 かくして、念願だった修道院長の座を手に入れたシスター・ジュリア。カトリック教会にとっても、彼女の後ろ盾であるドン・カルロスの持っている広大な土地は大きな魅力だった。しかし、修道院内における不正を訴える匿名の手紙を受け取ったカラーフォは、大司教の反対を押し切って強制捜査に乗り出し、ジュリアの部屋で毒薬のビンを発見。かくして、修道女たちに対する厳しい審問と拷問が行われることとなる。
 その一方、ジュリアに頼まれてドン・カルロスのもとへ手紙を届けに行ったイザベラ。しかし、手紙はただの口実であり、ドン・カルロスの目的は彼女の肉体だった。一度は逃げたものの追いつめられ、愛するフェルナンドの命まで奪われそうになったイザベラは、ある大胆な取り引きをドン・カルロスに持ちかける・・・。

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恋人との再会を喜ぶイザベラ

イザベラに永遠の愛を誓うフェルナンド(G・キリッツィ)

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愛人との逢引きを重ねていたシスター・カルメラ(C・グレイヴィ)

ライバルのカルメラに動かぬ証拠を突きつけるジュリア

 パオレッラ監督と共に脚本を手掛け、製作も担当したトニーノ・チェルヴィは、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『殺し』(62)やミケランジェロ・アントニオーニ監督の『赤い砂漠』(64)などで知られるプロデューサー。映画監督としても、仲代達也がメキシコ人を演じた異色ウェスタン『野獣暁に死す』(68)や3人の美しい魔女に魅入られた若者を描く『火の森』(70)といった人気カルト映画を残している人物だ。
 そして、ため息が出るほどに美しい映像をカメラに収めたのは、『アポロンの地獄』(67)や『テオレマ』(68)、『豚小屋』(69)、『アラビアン・ナイト』(74)などのパゾリーニ映画で有名なジュゼッペ・ルッツォリーニ。他にも、カルロ・リッツァーニの『ミラノの銀行強盗』(68)やセルジョ・レオーネの『夕陽のギャングたち』(71)、タヴィアーニ兄弟の『アロンサンファン/気高い兄弟』(74)などを手掛け、ハリウッド映画『炎の少女チャーリー』(84)にも参加していた。
 また、衣装デザインには『シシリアン』(87)や『黄昏のチャイナタウン』(90)などで知られるアメリカ人ウェイン・A・フィンケルマン、編集にはパゾリーニやフェリーニ、レオーネらの作品を数多く手掛けた大御所ニーノ・バラーリが参加。
 さらに、巨匠フランチェスコ・ロージとのコラボレーションでも有名なマエストロ、ピエロ・ピッチョーニが音楽を担当。バロック・スタイルのクラシカルで優美なスコアを披露し、実に格調高いムードを醸し出している。これがバッハやテレマンの最良作にも匹敵するほどの出来栄えで、普段はジャズを得意とするピッチョーニの底力をまざまざと見せ付けられる傑作だ。

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ついに院長の座を手に入れたシスター・ジュリア

カラフォが修道院内の捜索に乗り出す

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ドン・カルロス(P・P・カッポーニ)はイザベルが狙いだった

大司祭とカラフォによる厳しい審問が始まる

 ヒロインのシスター・ジュリアを演じているのは、『ロザリオの悲しみ』にも主演していたイギリスの美人女優アン・ヘイウッド。日本では『さよならミス・ワイコフ』(78)でもお馴染みかもしれない。ハリウッドに招かれて主演したD・H・ロレンス原作の『女狐』(67)で大胆なヌード・シーンを披露し、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にもノミネートされた。その冷たい美貌もさることながら、女の欲望や情念を演じさせたら天下一品。本作でも、その演技力が存分に生かされている。
 一方、ジュリアの姪である美少女イザベラ役には、当時デビューしたばかりのオルネッラ・ムーティが登場。その後、イタリアを代表する大女優へと成長する彼女だが、この頃の素朴で初々しい美しさはまた格別。後半で垣間見せた凄みのある演技にも感心させられる。
 また、トリュフォーの映画などに出演していたフランス女優マルティーヌ・ブロシャールが、シスター・ジュリアに思いを寄せる内気な修道女キアラ役で登場。もともとあまり華のない女優さんだが、なぜか修道女姿が素晴らしいほどよく似合う。その後はソフト・ポルノを中心に、イタリア映画界で息の長い活動を続けることになるわけだが、これは代表作と言ってもいいかもしれない。
 さらに、次期修道院長の最有力候補と目される中年の修道女シスター・ラヴィニア役には、イタリアの有名な舞踏家マリア・クマーニ・クァジモド。彼女はノーベル文学賞を受賞した文豪サルヴァトーレ・クァジモドの夫人としても知られている。そのほか、シスター・カルメラ役にはジェス・フランコの『マルキド・サドのジュスティーヌ』(69)などに出演していたスペイン女優クラウディア・グレイヴィ、若い修練女アグネス役にはアンドレ・カイヤット監督の『愛の終わりに』(74)でソフィア・ローレンやジャン・ギャバンと共演していたフランス女優ミュリエル・カタラが扮している。
 さて、男性陣の方に目を移してみると、ポリス・アクションやマフィア映画のヒーローとしてお馴染みのリュク・メレンダが、修道院内の不正と陰謀を暴こうとする堅物の書記官カラフォ役を演じているのが興味深い。声高に正義を唱える彼自身が、実はカトリック教会の偽善そのものを象徴する存在であるというのはなんとも皮肉だ。
 他にも、ジョセフ・ロージー監督の『暗殺者のメロディ』(72)やピーター・ボグダノヴィッチ監督の『デイジー・ミラー』(74)にも出演していたドゥイリオ・デル・プレーテ、戦前から2枚目スターとして活躍するイタリアの伝説的な俳優クラウディオ・ゴラ、アクション映画などの刑事役や悪役でお馴染みのピエロ・パオロ・カッポーニといったベテラン勢が脇を固めている。また、イザベラの恋人フェルナンド役を演じているジャンルイジ・キリッツィは、後にアンドレア・ビアンキ監督のZ級ゾンビ映画『ゾンビ3』(81)に主演している。

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壮絶な拷問を受けるシスター・カルメラ

理不尽な仕打ちに耐えるシスター・ジュリアだったが・・・

 

 

ア・クロイスタード・ナン
Storia di una monaca di clausura (1973)
日本では劇場未公開
VHSは日本未発売・DVDは日本発売済
(日本盤DVDとアメリカ盤DVDは別仕様)

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(P)2006 No Shame Films (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:1/97分/製作:イタリア・フランス・西ドイツ

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー(E・ジョルジ&U・オルシーニのインタビュー収録)
イタリア版オリジナル劇場予告編
アメリカ公開版劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
監督:ドメニコ・パオレッラ
製作:トニーノ・チェルヴィ
脚本:ドメニコ・パオレッラ
   トニーノ・チェルヴィ
撮影:アルマンド・ナヌッツィ
音楽:ピエロ・ピッチョーニ
出演:エレオノラ・ジョルジ
   カトリーヌ・スパーク
   スージー・ケンドール
   ウンベルト・オルシーニ
   マルティーヌ・ブロシャール
   ティノ・カラーロ
   アントニオ・ファルシ
   カテリーナ・ボラット
   カルラ・マンシーニ
   パオラ・セナトーレ

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幼い娘カルメラを有力貴族の息子と婚約させるシモーニ侯爵家

成長したカルメラ(E・ジョルジ)には愛する人がいた

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結婚を頑なに拒むカルメラに失望する父親(T・カラーロ)

母(C・ボラット)に連れられて修道院へ到着したカルメラ

 英語タイトル“Story of a Cloistered Nun(世を捨てた修道女の物語)”の後半部分をそのままカタカナ表記しただけ・・・というなんともお粗末な邦題は何とかならなかったもんだろうか。これじゃあ、普通の日本人は何の映画だかさっぱり分からんだろう!?と言いたいところだが、まあ、普通の日本人が見るような映画でもないので仕方がないか(笑)せめて『修道女カルメラ/秘められた花弁のため息』とか、『尼僧残酷物語/悶絶!背徳の美少女』とか、ちょっと気の利いた邦題を付けて欲しかったもんだ。
 前作『修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史』の大成功を受けて、ドメニコ・パオレッラ監督とトニーノ・チェルヴィのコンビが足早に製作した尼僧映画。とはいえ、かなりシュールで表現主義的な修道院の美術セットといい、大御所撮影監督アルマンド・ナヌッツィによる壮麗なカメラワークといい、比較的短期間で製作された映画とは思えないくらい、その仕上がりはクオリティが高い。
 ただ、シンプルなストーリーの中にフェミニズム的なメッセージを明確に打ち出した前作に比べると、こちらは物語の方向性がいまひとつはっきりせず、それゆえに意外な展開を見せる後半部分も唐突な印象を受ける。
 主人公は裕福な家柄に生まれた美少女カルメラ。親の決めた相手との結婚を頑なに拒んだことから、一族の不名誉を免れるために修道院へと入れられてしまう。そこで待っていたのは、お嬢様育ちの彼女にとっては過酷すぎる修練の日々。やがて、彼女は修道院内の権力を巡る院長と先輩修道女エリザベッタの対立に巻き込まれ、身も心も引き裂かれるような運命を辿っていく。
 この修道院長とエリザベッタの権力争いというのがなんとも曖昧で、妊娠してしまったカルメラを修道女たち全員で守ろうとする後半の結束力へと繋がる橋渡し的な要素がほとんど感じられず、一応フェミニズム的なメッセージを言いたいんだろうことは分かるのだが、どうも取って付けたようにしか思えないのが最大の弱点だろう。
 ひとまず、先述したように映像的な完成度は非常に高い。エレオノラ・ジョルジにカトリーヌ・スパーク、スージー・ケンドールというアルジェント映画の歴代女優を一堂に揃えたキャスティングも魅力的。特に、中世の絵画からそのまま抜け出てきたかのようなジョルジの瑞々しい美しさは絶品だ。ヌード・シーンも裸体画のごとき上品さ。ただし、脱ぎ役は主にジョルジで、カトリーヌ・スパークのヌードは一瞬だけ、スージー・ケンドールに至っては尼僧服すら脱ぐことがないので悪しからず。

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修道院内の規則に戸惑いを隠せないカルメラ

修道院からは2度と生きて出ることの出来ない

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カルメラは独房で30日間の修行に耐えなくてはいけない

修行で疲れ果てたカルメラを労わる修道院長(S・ケンドール)

 シモーニ侯爵家の一人娘カルメラ(エレオノラ・ジョルジ)は、幼い頃に親が勝手に決めた許婚との政略結婚を迫られていた。しかし、彼女にはジュリアーノ(アントニオ・ファルシ)という身分違いの恋人がいた。頑なに結婚を拒否するカルメラに失望する父親(ティノ・カラーロ)。
 だが、相手は由緒正しい公爵家の跡取り息子。女性の方から一方的に結婚を断るというのは大変な失礼に当たるし、シモーニ家の名誉を汚すことにもなる。解決策は1つしかない。それは、カルメラを修道院へ入れること。世俗の愛よりも神への愛を選んだとなれば、誰も文句をつけることは出来ないからだ。
 かくして、母親(カテリーナ・ボラット)に連れられて修道院へとやって来たカルメラ。もちろん、彼女は自分の運命に何一つ納得できないが、もはや選択の余地はない。修練女の制服に着替えさせられたカルメラは、修道院の片隅にある独房へと入れられる。そこで30日間の修行を勤めなくてはならないのだ。
 お嬢様育ちの彼女にとって、30日間も独房から出ることが出来ないというのは、まさに地獄だった。来る日も来る日も先輩修道女たちに監視されながら、聖書の内容を大声で読み上げ、貧しい食事と孤独に耐える生活。
 やがて30日が過ぎ、独房の外へ出ることを許されたカルメラは、過度の疲労から気を失ってしまう。そんな彼女を優しく労わってくれたのは美しい修道院長(スージー・ケンドール)。先輩のエリザベッタ(カトリーヌ・スパーク)も何かと世話を焼いてくれるが、どうやら院長と彼女は対立関係にあるようだった。
 エリザベッタはカトリック教会に多額の献金をしている有力な一族の出身で、それをいいことに修道院内では自由奔放に振舞っている。彼女に味方をする修道女も多く、さすがの院長もその言動には目をつぶるしかない。片や、温厚そうに見える院長もその反面規律を重視する非常に厳格な女性で、その生真面目さがエリザベッタは気に食わなかった。
 真夜中に自室から出たことで鞭打ちの形を受けてしまうカルメラ。それは院内の規則で定められているのだが、エリザベッタはわざとカルメラに教えなかった。あえて罰を受けさせることで院長への反感を植え付け、自分の味方にしようというのだ。
 そんなエリザベッタだが、実はディエゴ(ウンベルト・オルシーニ)という不良貴族と愛人関係にあった。本来ここの修道女は死ぬまで一歩も外へ出れない決まりになっているが、エリザベッタは監視役の修道女たちを買収し、近くの廃墟でディエゴとの逢瀬を楽しんでいたのだ。
 さらに、彼女は院長に秘密で夜な夜なパーティを開いていた。おのおの世俗時代に愛用していたドレスを身にまとい、こっそりと入手したワインをたしなむ修道女たち。仲間に入れてもらったカルメラは、エリザベッタと共に懐かしい我が家に思いを馳せて涙する。
 一方、規律を守るために憎まれ役に徹しなくてはならない院長も、人知れず孤独に悩んでいた。清らかで美しいカルメラに安らぎを見出した院長は、彼女の前にひざまずいて涙ながらに愛を請う。しかし、カルメラはその想いに応えることは出来なかった。
 そんなある日、精神的に不安定だったシスター・ルチア(マルティーヌ・ブロシャール)が井戸で入水自殺を遂げた。キリスト教で自殺は神への冒涜。ルチアは神に祝福されることのない荒地へと秘かに葬られた。
 様々な哀しみの交錯する修道院生活の中で、神への信仰心に疑問を感じるようになったカルメラ。修練女を卒業する儀式で司祭から信仰心に迷いがないか問われた彼女は、思わず否定をしてしまった。その場に居合わせた父親は憤慨し、娘との絶縁を宣言する。“お前は娘としても修道女としても失格だ”と。
 ある日、長いこと会っていなかった恋人ジュリアーノからの手紙が届く。それを知ったエリザベッタは、彼との逢引きを手配してくれた。久々の再会を喜ぶカルメラとジュリアーノ。だが、お膳立てをしたエリザベッタには魂胆があった。カルメラを自分のものしようと考えていたのだ。
 しかし、カルメラはエリザベッタの好意に感謝しつつも、毅然とした態度でそれを断る。嫉妬心に駆られたエリザベッタは、ディエゴにあることを頼むのだった。約束の時間に逢引きの場所へとやって来たジュリアーノを、ディエゴの手配した男たちが襲う。怪我をさせる程度で済ませるはずだったが、ふとしたはずみで男たちはジュリアーノを殺してしまった。
 愛する人の亡骸を発見して狂ったように泣き叫ぶカルメラ。さらに、彼女がジュリアーノの子供を妊娠していることが分かり、噂を聞きつけた教会上層部が調査に乗り出すこととなった・・・。

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規則違反を犯して鞭打ちの罰を受けるカルメラ

シスター・ルチア(M・ブロシャール)が入水自殺を遂げる

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懐かしい我が家に思いを馳せるカルメラとエリザベッタ(C・スパーク)

エリザベッタにはディエゴ(U・オルシーニ)という愛人がいた

 一応、17世紀のイタリアで実際に起きた出来事を題材にしているとの触れ込みだが、真偽のほどは定かではない。脚本は前作と同じくパオレッラとチェルヴィの二人が手掛けているものの、前作のような力強いメッセージ性やインパクトには欠けているように思う。
 色彩豊かな美しい映像をカメラに収めたのは、『熊座の淡き星影』(65)や『地獄に堕ちた勇者ども』(69)、『ルードウィヒ/神々の黄昏』(72)などのヴィスコンティ映画で知られる大御所撮影監督アルマンド・ナヌッツィ。
 さらに、冒頭でカルメラやその母親が着用しているバロック・スタイルの優美なドレスのデザインを手掛けたのは、『エイジ・オブ・イノセンス』(93)でアカデミー賞を獲得したガブリエラ・ペスクッチ。カルメラのドレスは、『さらば美しき人』(71)でシャーロット・ランプリングが着用していたものと同じだという。
 そして、前作に引き続いて今回もピエロ・ピッチョーニがバロック風の素晴らしい音楽スコアを担当。両作品をカップリングで収めたサントラCDも発売されているので、映画音楽ファンのみならずクラシック音楽ファンにも強くお薦めしたい。

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恋人ジュリアーノ(A・ファルシ)との再会を喜ぶカルメラ

カルメラはエリザベッタの誘惑を毅然とした態度で断る

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嫉妬に燃えるエリザベッタはある策略をディエゴに伝える

ジュリアーノの亡骸を発見したカルメラ

 今回のヒロイン、カルメラ役を務めているのは、これが本格的な映画デビューとなったエレオノラ・ジョルジ。幼い頃から非常に目立つ美少女だったらしく、巨匠フェリーニから直々に『甘い生活』(60)と『サテリコン』(69)への出演をオファーされるも様々な事情で叶わず、3度目の正直でようやく『フェリーニのローマ』(72)に一瞬だけ顔を出したという。本作をきっかけにイタリアでは大変な売れっ子女優となったが、残念ながらその代表作の殆んどが日本未公開のまま。わずかに、前半で殺される女学生役を演じたダリオ・アルジェント監督の『インフェルノ』(80)が劇場公開されたのみだ。
 そのカルメラを振り回す自由奔放なシスター・エリザベッタ役には、60年代の小悪魔系アイドル女優として日本でも親しまれたカトリーヌ・スパーク。フランスの出身ながらイタリアで活躍し、その人気の高さからハリウッドにも進出。日本でも当時はかなり人気があり、歌手としても『青春がスパーク!』などのヒット曲を持っている。10年ほど前に渋谷系という括りでリバイバル・ブームが起き、『太陽の下の18歳』(62)や『狂ったバカンス』(62)などの代表作がリバイバル公開されたので、若い映画ファンにもお馴染みかもしれない。
 一方、エリザベッタと対立する修道院長役には、アルジェントの『歓びの毒牙』(69)のヒロイン役として有名なイギリス女優スージー・ケンドール。名作『いつも心に太陽を』(67)の清楚な女教師役で記憶している映画ファンも多いだろう。
 そのほか、『地獄に堕ちた勇者ども』のナチに殺される正義漢ヘルベルト役や『狼の挽歌』(70)の悪役としてもお馴染みのウンベルト・オルシーニ、前作に引き続いて耐え忍ぶ悲劇の修道女を演じるマルティーヌ・ブロシャール、歴史ドラマや戦争映画の重鎮役として重宝された名優ティノ・カラーロ、戦前のイタリア映画でディーバと謳われた大女優カテリーナ・ボラット、マウロ・ボロニーニ監督の名作『愛すれど哀しく』(71)で主人公ブブを演じていたアントニオ・ファルシなどの名優が脇を固めている。
 また、イタリアン・ホラーの傍役として知られる強面女優カルラ・マンシーニと、後にソフト・ポルノ女優として有名になるパオラ・セナトーレが、修道女役でチラリと顔を出しているのも注目だ。

 

 

レイプ・ショック
Suor omicidi (1978)

日本では劇場未公開・テレビ放送のみ
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2004 Blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/87分/製作:イタリア

映像特典
G・ベルーティ監督インタビュー
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
監督:ジュリオ・ベルーティ
製作:エンツォ・ガロ
脚本:ジュリオ・ベルーティ
   アルベルト・タラッロ
撮影:アントニオ・マッコッピ
音楽:アレッサンドロ・アレッサンドローニ
出演:アニタ・エクバーグ
   ジョー・ダレッサンドロ
   アリダ・ヴァリ
   ルー・カステル
   マッシモ・セラート
   パオラ・モッラ
   ダニエレ・ドゥブリーノ
   アリーチェ・ゲラルディ
   ラウラ・ヌッチ

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病院の看護婦長を務めるシスター・ガートルード(A・エクバーグ)

ガートルードの情緒不安定を心配するポワレ医師(M・セラート)

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老女ジョセフィーヌの入歯を踏み潰すガートルード

女子修道院長(A・ヴァリ)はガートルードの心配を一笑に付す

 当時、なかば妖怪と化しつつあった往年のグラマー女優アニタ・エクバーグが、モルヒネ中毒でニンフォマニアの修道女を怪演するというC級の尼僧スリラー。邦題ではレイプ・ショックとあるものの、べつに彼女がレイプされるシーンがあるわけでもなく。まあ、発情したホルスタインのようなアニタが行きずりの男とファックするシーンは、ある意味でレイプといえばレイプなのかもしれないが。もちろん、被害者は男性の方ということで(笑)
 主人公は病院の看護婦として勤務する修道女シスター・ガートルード。白衣の天使といえば聞こえはいいが、このガートルードはやたらと情緒不安定で口うるさくて短気なオバサンだ。
 患者の老人たちを苛めるなんてのは序の口。気に食わないお婆ちゃんが危篤に陥れば無視して見殺しにするし、自分の悪口を言う患者には睡眠薬を注射して監禁するし。でも本人には全く悪気がないようで、いきなりごめんなさいと泣いて謝ったり、そうかと思えば私は知りませんよとふんぞり返ったり。はたまた、みんな私のことが嫌いなのね、とベッドの枕を涙で濡らしたり。
 しかも、シスター・マチューというレズビアンの恋人がありながら、町へ出ては行きずりの男を漁るという欲求不満・・・というよりも欲求過多なニンフォマニア。自分が誰彼構わずセックスするのはオッケーだが、シスター・マチューが男と仲良くしたりすると嫉妬でパニックに陥るという身勝手ぶり。いったいアンタは何がしたいのか!?という、要はワケのわからない凶暴かつイカれたシスターなのである。
 で、そんな彼女の勤める病院で次々と患者が不可解な死を遂げ、周囲の人々はシスター・ガートルードに疑いの目を向ける。そりゃそうだろう、といったところなのだが、本人はさっぱり身に覚えがない。実は彼女、モルヒネ中毒のジャンキーで、トリップして記憶がぶっ飛んでいる間に事件が起きているのだ。
 果たして連続殺人事件の犯人はシスター・ガートルードなのか?それとも、誰かが彼女に罪を着せようとしているのだろうか・・・!?という、ぶっちゃけどうでもいいお話が約1時間半に渡って描かれていくわけだ。
 ひとまず、映画としては非常にお粗末。ジュリオ・ベルーティ監督はもともと脚本家や編集者を経験してきた人で、本作が劇場用映画の演出2作目に当たる。これを最後に、商業映画に嫌気がさしてドキュメンタリー映画の世界へ移ってしまったそうだが、恐らくこの出来栄えは自身の本意ではなかったのかもしれない。
 とはいうものの、ゲテモノ映画としてはすこぶる面白い作品。女の盛りを過ぎて顔も体も崩れかかったアニタ・エクバーグが、泣くわ暴れるわレズるわと捨て身の怪演を繰り広げる姿の強烈なこと!ヒステリーを起こしたアニタがお婆ちゃんの入歯を奪って粉々に踏み潰したり、車椅子のお爺ちゃんが土砂降りの雨の中で若い掃除婦相手にある意味命がけのファックに挑んだりと、なんだか分からないけどえらく悪趣味でヘンテコなシーンが盛りだくさんだ。残酷シーンのグロ度はあまり大したことないものの、お婆ちゃんの顔面にあちこち針をブスブスと刺しまくるシーンはなかなかのエグさ。
 イタリアでは劇場公開直後に上映禁止となり、イギリスでは“ビデオ・ナスティ”と呼ばれる発禁ビデオ・リストに載せられてしまったというが、いろんな意味でそれも納得のバチ当たり映画。なんとなく初期のアルモドヴァル映画を彷彿とさせるような部分もないことはないので、『セクシリア』とか『バチ当たり修道院の最期』とか好きな人にはおススメかも。多分、恐らく(笑)

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久しぶりに街へと出たガートルード

行きずりの男とのセックスに溺れる

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実は、彼女はモルヒネ中毒のジャンキーだった

患者の老人が謎の死を遂げる

 ベルギーの田舎町にあるカトリック系の総合病院。看護婦長を務めるシスター・ガートルード(アニタ・エクバーグ)は、このところ情緒不安定で奇行が目立つ。夕飯を食べる患者たちに聖人の受けた残酷な拷問の話を聞かせたり、老女ジョセフィーヌの入歯が目障りだと言って粉々に踏み潰したり。
 そのショックでジョセフィーヌは心臓発作を起こしてしまったが、ガートルードは薬を取りに行くふりをして見殺しにしてしまう。しかも、他の患者たちの見ている前で。誰もが彼女のことを頭が狂っていると考え、恐れおののいた。
 そんなガートルードのことを心配する脳外科医ポワレ(マッシモ・セラート)。実は、彼女は半年ほど前に脳腫瘍の手術を受けて回復したばかりだったのだ。しかし、ガートルードは経過良好だとポワレ医師の助言を突っぱね、院長(ダニエレ・デュブリーノ)に彼を解雇するよう苦言を呈する。
 しかし、彼女自身も内心では自分の精神状態に不安を抱いており、女子修道院長(アリダ・ヴァリ)に相談をするものの、考えすぎだと一笑に付されてしまう。そんなガートルードの現実逃避はモルヒネだ。手術の際にモルヒネを投与されて以来、すっかり中毒になっていたのである。
 ある日、タンスに隠していたモルヒネが切れてしまい、彼女は死んだジョセフィーヌから盗んだ指輪を売って現金に換えるため、一人でこっそりと街へ出かける。ホテルで私服に着替え、久々に“女”へ戻ったガートルード。バーでナンパした男と行きずりのセックスを楽しみ、懐も肉体も満たされて病院へと戻った。
 彼女は同室のシスター・マチュー(パオラ・モッラ)とレズビアンの関係にあった。マチューはガートルードがクビになってしまうことを心配し、彼女のレントゲンやカルテを処分するなどの隠蔽工作を行っている。
 大量にモルヒネを手に入れ、久々に心置きなくぶっ飛んでみせるガートルード。そこへ患者の老人が偶然やって来るが、頭をめった打ちにされた上で窓から放り投げられてしまった。我に返ったガートルードは慌てて外へ飛び出し、老人の傍へと駆け寄るが、既に息絶えていた。そんな彼女を疑いの目で見る患者たち。事件は不慮の事故と判断されたが、断片的な記憶の残っているガートルードは、もしかしたら自分が殺したのかもしれないと不安を隠せない。
 そんな折、ポワレ医師の後任としてパトリック(ジョー・ダレッサンドロ)という若くてハンサムな医師がやって来た。病院内は一時的に活気を取り戻すが、患者のピーター(ルー・カステル)らはガートルードが殺人犯だと疑っていた。
 その直後、今度は車椅子の老人が惨殺体で発見される。患者たちはガートルードに対する不信感を強め、抗議のハンガー・ストライキを行った。だが、彼女はより一層のこと態度を硬化させ、パトリックも彼女の不可解な言動に疑問を抱くようになった。
 さらに老女が顔面を針の筵にされた状態で殺害され、その死体を発見したガートルードは半狂乱になる。その晩、ピーターを地下室に拉致監禁した彼女は、なぜ自分のことを疑うのかと詰め寄った。
 一方、自室から姿を消したガートルードの行方を捜すシスター・マチューら看護婦たち。だが、なぜかマチューは院長へ報告することを禁じ、パトリックの部屋へと入っていく。その姿を見たガートルードは、マチューが自分を裏切っているのではないかと考え、不安からパニックに陥るのだった・・・。

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新任の医師パトリック(J・ダレッサンドロ)

土砂降りの雨の中でセックスをする老人と掃除婦

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ガートルードとシスター・マチュー(P・モッラ)はレズビアン関係

車椅子の老人が変死体で発見される

 “バチカンの極秘文書からヒントを得た実話”というのが当時の謳い文句だったらしいが、もちろんこれは配給会社が勝手に捏造した嘘っぱち。ただし、実話を基にしているというのは本当のことで、ベルギーの老人ホームで入居者たちを殺しては金品を奪っていた修道女がモデルになっているという。“Suor omicidi(人殺し修道女)”というタイトルも、事件を報じる新聞記事の見出しをそのまま流用したものらしい。
 ただ、やはり“バチカンの〜”という宣伝文句はやり過ぎだったようで、当のバチカンからクレームを受けてしまい、イタリア国内では上映が出来なくなってしまった。それでも、スペインや西ドイツではかなりの大ヒットになったという。
 ちなみに、撮影はベルギーのブリュッセルで行われ、本物のカトリック教会系病院がロケ現場として使用された。もちろん、どんな映画を作ろうとしているのかは秘密で。そのため、監督は全く違うタイトルの脚本をわざわざ用意し、教会関係者が現場を訪れた際にはわざと撮影を中断してやり過ごしたという。
 なお、ベルーティ監督と共に脚本を書いたアルベルト・タラッロは俳優が本業だったらしく、脚本を手掛けた作品はこれ一本のみ。撮影のアントニオ・マッコッピは、『悪魔の陵辱』(74)や『馬使いと公爵夫人』(92)など主にソフト・ポルノで活躍したカメラマン。製作のエンツォ・ガロも、『背徳の謝肉祭』(84)や『黒い炎・情事』(86)などのポルノで知られる。
 そして、音楽を手掛けたのはモリコーネ・ファミリーの一員としても知られるアレッサンドロ・アレッサンドローニ。ただ、出来栄えはあまりよろしくない。

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ガートルードに疑いの目を向ける患者たち

今度は老婆が顔面を針で刺されて殺される

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患者のピーター(L・カステル)を拉致監禁したガートルード

シスター・マチューはパトリックに真実を告白・・・!?

 さて、以上のようにスタッフは二流どころばかりといった印象だが、なぜだかキャストの顔ぶれはなかなか豪華。ベルーティ監督曰く、助監督時代に培った人脈のおかげで、かなり格安のギャラで出演してもらったのだそうだ。
 シスター・ガートルード役のアニタ・エクバーグは当時47歳。若い頃は彫刻のように美しい顔立ちとグラマラスな肉体の持ち主だったが、この頃にはすっかり顔も体も巨大化。9年後に出演したフェリーニの『インテルビスタ』(87)では、ほとんど別人に成り果てていた。
 若き医師パトリック役を演じているジョー・ダレッサンドロは、アンディ・ウォーホル作品でお馴染みのナルシスティックな美形スター。もともと俳優ではないので演技は大根だが、その端整でニヒルな美貌はいつ見ても非の打ちどころがない。この頃は、イタリア映画への出演も多かった。
 そのほか、女子修道院長役ではイタリアの誇る大女優アリダ・ヴァリが登場。脳外科医ポワレ役を演じているマッシモ・セラートは戦中・戦後の2枚目スターで、彼女の元ダンナだった。松葉杖をついた患者ピーター役には、名作『ポケットの中の握り拳』(65)で有名な左翼系俳優ルー・カステル。患者の一人男爵夫人役には戦前の美人女優ラウラ・ヌッチ。そして、シスター・マチュー役にはイタリア版『プレイボーイ』のプレイメイトだったパオラ・モッラが扮している。

 

 

尼僧の背徳
La vera storia della monaca di Monza (1980)

日本では1989年劇場公開
VHS・DVD共に日本発売済
(※日本盤DVDとアメリカ盤DVDは別仕様)

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(P)2006 Exploitation Digital (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:イタリア語/字幕:英語/地域コード:1/92分/製作:イタリア・フランス

映像特典
オリジナル劇場予告編
スチル・ギャラリー
監督:ブルーノ・マッテイ
製作:アルカンジェロ・ピッキ
脚本:クラウディオ・フラガッソ
撮影:ジュセッペ・ベルナルディーニ
音楽:ジャンニ・マルケッティ
出演:ゾーラ・ケローヴァ
   マリオ・クティーニ
   パオラ・コラッツィ
   パオラ・モンテネーロ
   フランコ・ガロファーロ
   ジョヴァンニ・アッタニシオ
   フランカ・ストッピ
   レダ・シモネッティ
   トム・フェレーギ

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父親の命令で修道女にさせられたヴィルジニア(Z・ケローヴァ)

アリゴーネ(F・ガロファーロ)とジャンピエロ(M・クティーニ)

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アリゴーネとシスター・カンディダ(P・コラッツィ)は愛人だった

厳格な修道院長(F・ストッピ)

 原題を邦訳するならば、“真説・モンツァの修道女”といったところだろうか。これこそ真実を描いた本当の決定版ですよ、と言いたいのだろうが、そこは『ヘル・オブ・ザ・リビング・デッド』(80)や『サンゲリア2』(88)などでお馴染みのペテン師(?)ブルーノ・マッテイのこと。なんとなく申し訳程度に文芸色を漂わせた、エログロ満載な低予算の尼僧ポルノに仕上がっている。もちろん、物語の真偽のほども眉唾もの。
 主人公ヴィルジニアは領主の一人娘で、父親の命令で無理やり修道女にさせられる。その父親が急逝して領主の地位を継承したことから、彼女は修道院長の座を手に入れるわけだが、今度はプレイボーイの不良貴族ジャンパオロによって無理やり犯されてしまう。そのジャンパオロと愛し合うようになった彼女は、不覚にも彼の子供を妊娠。その秘密をネタに脅迫してきた若い娘を殺害したことから、ヴィルジニアたちは絶体絶命の窮地に追い込まれる。
 ってな具合に、安い昼メロ風の愛憎ドラマに仕立て上げられた本作。本来のフェミニズム的なメッセージ性は微塵も残されていない。もちろん、メインはレイプやら乱交やらレズやらのセックス・シーン。オープニングでは馬の交尾の様子までドアップで見せてくれるという出血大サービスぶりだ(笑)まあ、低俗といえば低俗なのだが、尼僧ポルノとしては極めて正攻法の内容。
 マッテイ監督は同時期に『呪われた修道院』(80)というオカルト風の尼僧ホラー・ポルノを撮っているが、こちらでも随所にホラー・タッチの演出が施されている。とはいえ、ストーリー的な破綻の少ない分、全体的な完成度の高さでは、こちらの『尼僧の背徳』の方に軍配が上がるだろう。もちろん、あくまでも低レベルでの争いではあるのだけど(^^;

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父親の急逝で領主の座を受け継いだヴィルジニア

アリゴーネは乱交パーティにうつつを抜かす生臭坊主だった

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策略家のシスター・ベネデッタ(P・モンテネーロ)を味方に付ける

ベネデッタを脅迫するアリゴーネとカンディダ

 領主である父親の命令で修道女となったシスター・ヴィルジニア(ゾーラ・ケローヴァ)。まだまだうら若い彼女は、夜な夜な見る淫靡な夢に悩まされていた。修道院長(フランカ・ストッピ)は非常に厳しい女性で、物思いに耽りがちなヴィルジニアに対して辛く当たることが多い。
 一方、生臭坊主ドン・アリゴーネ(フランコ・ガロファーロ)の親友で、プレイボーイの不良貴族ジャンパオロ(マリオ・クティーニ)は、庭を散歩しているヴィルジニアを見かけて興味をそそられる。ドン・アリゴーネの入れ知恵で彼女の気を引こうとするが、当然のことながら相手にされない。それが、かえってジャンパオロの欲望に火をつけるのだった。
 やがて、ヴィルジニアの父親が急逝し、領主の座を継承した彼女は修道院内での権力を増す。折りしも、修道院長が健康上の問題で倒れてしまった。策略家のシスター・ベネデッタ(パオラ・モンテネーロ)を味方に付けたヴィルジニアは、次期修道院長の座を狙って根回しをするが、年配の修道女たちからは反発の声も強い。
 さて、生臭坊主ドン・アリゴーネはシスター・カンディダ(パオラ・コラッツィ)と愛人関係にあった。二人は権威主義的で潔癖なヴィルジニアが院長になれば、自分たちのお楽しみが奪われてしまうのではないかと考える。
 そこで、彼らはレズビアンのシスター・ベネデッタを脅迫し、誰もいない聖堂へヴィルジニアをおびき寄せる。そこで彼女を待っていたのはジャンパオロ。ドン・アリゴーネたちはヴィルジニアを全裸にひん剥き、ジャンパオロにレイプさせた。処女ではないということをネタにして、彼女の弱みを握ろうというのである。
 だが、その一部始終を目撃していた修道女がいた。ドン・アリゴーネたちはその修道女を屋根裏に監禁する。そのまましばらく放っておいたところ、彼女はネズミに食われて死亡していた。
 一方、ジャンパオロはいつしかヴィルジニアのことを本気で愛するようになる。来る日も来る日も情熱的な愛を交わす二人。やがて体調不良を訴えるようになった彼女だったが、なんと彼の子供を妊娠していることが発覚する。
 他の修道女たちに悟られないようにするため、近隣に住む農家の娘マルゲリータ(レダ・シモネッティ)を修練女として迎え、ヴィルジニアの身の回りの世話をさせるドン・アリゴーネたち。やがて産気づいたヴィルジニアだったが、残念ながら死産だった。
 やがてジャンパオロに好意を持つようになったマルゲリータは、秘密をばらすと息巻いてヴィルジニアやドン・アリゴーネたちを脅迫。怒り狂ったジャンパオロは彼女を殺害してしまう。
 その頃、修道女の失踪に疑問を持ったベテラン修道女たちが修道会長(ジョヴァンニ・アッタニシオ)を招き、院内の捜索を依頼していた・・・。

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まんまとおびき出されたヴィルジニアは全裸にさせられる

ジャンパオロにレイプされるヴィルジニア

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一部始終を見ていた修道女を屋根裏部屋に監禁する

ヴィルジニアを本気で愛するようになるジャンパオロ

 脚本を手掛けたクラウディオ・フラガッソは『ストライク・コマンドー』(87)シリーズや『サンゲリア2』などブルーノ・マッテイ作品の常連脚本家で、クライド・アンダーソン名義で『モンスター・ドッグ』(87)や『ゾンビ復活/人喰地獄』(88)などのホラー映画を監督している人物。
 また、撮影監督のジュゼッペ・ベルナルディーニは、『さらば恋の日』(67)や『地獄に堕ちた勇者ども』(69)などで大御所アルマンド・ナヌッツィの助手を務めた後、『新サスペリア』(85)や『ナイト・エンジェル/濡れた妖精』(94)などの低予算映画を手掛けたカメラマン。製作のアルカンジェロ・ピッキは『マフィア血の掟』(73)や『ブラック・シャツ』(74)などで製作総指揮を務めたプロデューサー。どちらも、マッテイ監督の『呪われた修道院』にも参加していた。
 そして、音楽スコアを手掛けたのは『紅ばらは夜ひらく』(68)や『ふたりだけの恋の島』(71)などで知られる中堅作曲家ジャンニ・マルケッティ。本作ではバロック調のクラシカルなスコアを目指したようだが、いかんせん低予算であったためか、チープなシンセサイザーの音色がなんとも虚しい。

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ヴィルジニアたちが屋根裏で見たものとは・・・!

ネズミに食い散らかされた修道女の死体

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来る日も来る日も情熱的な愛を交わすヴィルジニアたち

ヴィルジニアはジャンパオロの子供を妊娠してしまう

 主人公ヴィルジニア役を演じているのは、割れたビンを股間に突き刺されて悶絶死するストリッパーを演じた『ザ・リッパー』(84)や、両乳房を鉤吊りにされて殺される女性を演じた『人喰族』(81)など、主にホラー映画の殺され役でお馴染みのB級カルト女優。チェコスロヴァキアの出身で、家出をして流れ着いた先がイタリアだったというボヘミアン気質の女性だ。
 これが彼女にとっては初めての主演作。それだけに、演技には相当な気合が入っているものの、やはりそこは腐っても(?)B級女優。どこからどう見ても田舎のヤンキー娘にしか見えないのは致し方ないだろう。
 ジャンパオロ役のマリオ・クティーニは、どうやらギリシャ出身の俳優。そのほか、『ナチ女収容所/続・悪魔の生体実験』(77)などのナチ映画でお馴染みのパオラ・コラッツィ、マリオ・バーヴァの『血みどろの入江』(71)でセックスの最中に串刺しにされていたパオラ・モンテネーロ、B級ホラーやアクション映画の悪役としてお馴染みのフランク・ガーフィールドことフランコ・ガロファーロ、『呪われた修道院』でも強烈な修道院長役を演じていたフランカ・ストッピ、数え切れないほどのイタリア産娯楽映画でチョイ役を演じ続けた知る人ぞ知る名優トム・フェレーギなどが登場。また、ヴィルジニアの父親役として、50年代から60年代の歴史ドラマで主に軍人役や王様役で活躍した名脇役アンドレア・アウレーリがチラリと顔を出している。

 

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