ニリュフェル Nilufer
トルコ音楽界最大のディーヴァ
ターキッシュ・ポップの女王というと、どうしてもセゼン・アクスの名前が挙がることが多い。実際、セゼン・アクスはタルカンやセルタブと並んで、世界的に最も知名度の高いターキッシュ・ポップのアーティストだろう。それは確かに間違いない。もちろん、彼女がトルコで最も尊敬を集めている女性アーティストである、という事実も間違いではない。しかし不思議なことに、そのセゼン・アクスと並んでトルコで最も愛され続けているディーヴァの存在について触れられる機会というのは、実は意外に少ないのだ。
それが、このニリュフェル。1972年のデビュー以来、常にトルコの音楽シーンの第一線で活躍し続けている女性シンガー。セゼン・アクスよりもキャリアの長い大ベテランである。つい先頃も約3年振りとなるニュー・アルバム“Karar
Verdim”をリリースし、シングル・カットされた同名曲がヒット・チャートで1位に輝いたばかり。
ニリュフェルがセゼン・アクスと比べてトルコ国外で語られることが少ないのは、やはりそのアーティスト的な性格の違いによるものだと思う。アクスが歌手としてだけではなく作曲家としても優れた才能を持っており、プロデューサーとしてもタルカンやセルタブといった若手を次々と発掘、トルコ音楽界のゴッド・マザー的な役割を果たしているのに対し、ニリュフェルはあくまでも歌に比重を置いた活動を続けてきている。
また、アクスがクラシックとトルコ伝統音楽の融合をはかったり、ボスニア・ヘルツェゴビナのゴラン・ブレゴヴィッチと共演するなど、様々な実験を試みる芸術志向の強いアーティストであるのに対し、ニリュフェルはフレンチ・ポップやカンツォーネのカバーからユーロビートまで歌う流行歌手である。その辺りのワールド・ミュージック的カラーの薄さが、トルコ国外での注目度の低さに繋がっているのかもしれない。
しかし、あくまでも歌手として評価するならば、ニリュフェルはセゼン・アクスを遥かに上回る実力の持ち主だと断言できる。それどころか、その表現力、テクニック、パワーは世界的なディーヴァたちをも圧倒すると言っても過言ではないかもしれない。
中でも、イタリアのカンツォーネの女王ミーナのカバー“Ancora”(78年)での絶唱ぶりは、当時まだ23歳だったとは思えない程の迫力。もう、何じゃこりゃ!?と驚愕してしまうほど。本家のミーナも足元に及ばない、実に見事な歌いっぷりだった。しかも、彼女の歌声が素晴らしいのは、それだけ力強く歌いまくりながらも、どこか少女のような瑞々しさを失っていないという点だろう。ただこれみよがしに歌い散らすようなシンガーは数多いが、ニリュフェルの歌声には女性らしい慎ましやかさや優しさがあり、非常に素直で伸び伸びとしている。いかにもショービジネス的ないやらしさを全く感じさせないのが好感持てるのだ。
1955年生まれのニリュフェルは、デビュー当時まだ17歳。父親はピアニストで、西洋音楽に囲まれて育ったという。もともと、トルコでは民謡や歌謡曲といった民族色の強い音楽が主流だった。そうした中で、70年代に台頭したのがシャンソンやカンツォーネに影響を受けたトルコ流のポップ・ミュージック。その草分け的存在がアジダ・ベッカンであり、このニリュフェルである。ニリュフュルも、ミレイユ・マチューやミーナ、ミシェル・フーガン、エンリコ・マシアス、アバなどのヒット曲を数多くカバーしている。
80年代に入ると、大人のシンガーへの脱皮を図ろうとしたのかバラードが主流になっていくが、90年代後半辺りから一転してダンス・ミュージックを積極的に取り入れている。いわゆるユーロ・ダンス・ポップ的なアプローチながら、ラテンやアラベスクの要素も取り入れ、まるでシェールのごとく若返っているのが面白い。やっぱり、世の東西を問わずディーヴァはダンス・ミュージックがお好きなのかもしれない。
“Son Perde”のプロモ・クリップは ココ で見れます!
“Namussuz
Aksamlar”のプロモ・クリップは ココ で見れます!
“Karar
Verdim”のプロモ・クリップは ココ で見れます!
“Hosuna Gider
Mi”のプロモ・クリップは ココ で見れます!(50歳を過ぎてるとは思えません〜!)
※トルコ語表記の特殊文字は英語のアルファベットで代用してあります。
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Nilufer '74 (1974) |
Selam Soyle (1976) |
Muzik (1978) |
Sensiz Olmaz (1981) |
(P)2004 Odeon (Turkey) | (P)2004 Odeon (Turkey) | (P)2004 Odeon (Turkey) | (P) Yasar Kekeva (Turkey) |
1,Goreceksin Kendini 2,Hayir Hayir Hayir 3,Neden 4,Hatira Defteri 5,Basima Gelenler 6,Ayrilik Hasreti 7,O Sevince 8,Sende Soyle 9,Aldanirim Sanma 10,Dunya Donuyor |
1,Selam Soyle 2,Oh Ya 3,Son Arzum 4,Kaderime Kaderime 5,Bosver 6,Kim Kime Dum Duma 7,Askta Gurur Olmaz 8,Ara Sira Bazi Bazi 9,Ali 10,Bastan Aniat |
1,Muzik 2,Son Asik 3,Kim arar seni 4,Iysi Mi 5,Ne Gunlere Kaldim 6,Ne Olacak Simdi 7,Dunya Bir Yana 8,Baska Sozum Yok 9,Pisman Olacaksin 10,O Bendim Iste |
1,Sensiz Olmaz 2,Taa Uzak Yollardan 3,Hatiralar Hayal Oldu 4,Pisman Etme 5,Sende Gozum Yok 6,Yalnizligimla Basbasa 7,Donsen Bile 8,Intizar 9,Tanrim 10,Benim Icin Oldun Artik 11,Ask Kitabi 12,Neredesin Nerede 13,Elveda |
ヒット・チャート1位を記録したシングル#1はフランスの女性シンガー、Anne Marie Davidのカバー、#2はイタリアのシンガー・ソングライターTony Reisのカバー、#7はカンツォーネ歌手Marcella Bellaのカバー、といった具合に当時のヨーロピアン・ポップスの影響色濃いアルバム。また、#6ではRoberta Flackの“Killing Me Softly”をカバーしている。目玉はイスラエルの伝統音楽である“Bashana Haba'an”を歌った#5。クロディーヌ・ロンジェなど様々なアーティストが歌っているが、女版トム・ジョーンズとでも言うべきニリュフェル・バージョンの高揚感はまた素晴らしい。全体的にアイドル・ポップス的色合いが強いが、そのド迫力の歌声は完全にアイドルの枠を超えている。 | エンリコ・マシアスのカバー#1で幕を開けるニリュフェルの大ヒット・アルバム。当時のヒット・チャートで軒並み1位を記録している。ダンサンブルでキャッチーなソフト・ロック風の哀愁ポップ・チューン#2はシングル・チャートで1位を記録。相変わらずヨーロピアン・ポップス的な内容で、日本人が聴いてもとても懐かしいような気分になる楽曲ばかりだ。個人的には、ギリシャ的な哀愁感の漂う切なくも美しいメロウ・ポップス#7がオススメ。また、ミーナの“La scala buia”をカバーした#10の70年代カンツォーネらしい爽やかな雰囲気もいい。フレンチ・ポップやカンツォーネ、歌謡ポップスが好きな人なら楽しめること請け合いの1枚。 | オリエンタルな哀愁系ターキッシュ・ディスコの大傑作#1で完全にノックアウトされました。もうカッコいいったらありゃしない!サルソウルを彷彿とさせるリズム・セクション、ほのかに香るフルートの音色、そして哀愁感炸裂の素晴らしいメロディ。ニリュフェルの歌声も伸び伸びとパワフルで爽快感に溢れている。恐らくはカバーだと思うのだが、誰のカバーだか分りません・・・。サンタ・エスメラルダのカバー#8など、全体的にディスコ的アプローチの濃厚なアルバムで、歌声も溌剌とした若さに満ちている。歌謡曲真っ青の哀愁感溢れるバラード#4や#7も素晴らしいし、彼女のアルバムの中でも楽曲の充実度は抜きん出ている。 | 81年のリリースながら、まだまだ70年代的雰囲気を残した好盤。中でも出色なのは、アバの“The Winner Takes It All”を、まるで70年代のシャンソンのようにカバーした#6。フランスでもミレイユ・マチューがカバーしているが、ニリュフェル・バージョンの方が遥かにフレンチっぽく聴こえるのは不思議。鐘の音やクラリネットまでフューチャーして、アバのオリジナルとはまた違ったドラマチックな雰囲気を演出している。まさにトルコ歌謡!といった感じの哀愁感漂う#2やアラベスク風オリエンタル歌謡#4、コブシを回しまくって歌うフラメンコ風のオープニングがユニークな#9など、全体的にトルコ的なオリエンタル色を強めたアルバムに仕上がっている。 |
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Bir Selam Yeter (1984) |
Geceler (1988) |
Sen Muhimsin (1990) |
Yine Yeni Teniden (1993) |
(P) Yasar Kekeva (Turkey) | (P) Yasar Kekeva (Turkey) | (P) Yasar Kekeva (Turkey) | (P) Yasar Kekeva(Turkey) |
1,Bir Selam Yeter 2,O Sevgili Nerde 3,Neden Sanki Neden 4,Yagmur 5,Acikmisim Sevgine 6,Haydi Durma 7,Al Gotur Beni 8,Bir Gun Darilip Bir Gun Barisma 9,Erkekler Aglamaz 10,Ver Elini Bana 11,Bir Mevsim Ariyorum 12,Mavi Mavi |
1,Geceler 2,Bazen Hayeller Kurarim 3,Tek Basina 4,Sensiz Yillarda 5,Yazik Sana 6,Ispanyol Meyhanesi 7,Her Yerde Kar Var 8,Bosvermisim Dunyaya 9,Seni Beklerim Optugum Yerde 10,Ayrilanlar Icin 11,Bos Sokak 12,Yasamak Ne Guzel Sey |
1,Sen Muhimsin 2,Yemin Ettim 3,Boyle Ayrilik Olmaz 4,Gozlerinin Hapsindeyim 5,O Kadin Ben Olsam 6,Inkar Etme 7,Canim Sikiliyor Canim 8,Bir Dunya Doguyor 9,Her Sey Bitecek Birgun 10,Ve Melankoli 11,E...Bebegim... E... |
1,Sov Yapma 2,Dokun Bana 3,Yeniden Sev 4,Haram Geceler 5,Kavak Yelleri 6,Aman 7,Her Sevda Yeni Bir Veda 8,Dokunsalar Aglarim 9,Beni Anlamadin Ya 10,Carem Benim |
70年代のキラキラとしたポップ性はすっかり抑え気味で、なんだか全体的に地味めなトルコ歌謡でまとまってしまったような内容のアルバム。やたらとビシビシうるさいシンセ・ドラムの音ばかりが目立つ。トルコ歌謡として聴いても、楽曲的には決して恵まれているとは言えず、全く面白みのない作品に仕上がってしまっている。 | またまた地味で大人しいアルバムながら、ムーディで叙情的な雰囲気は決して悪くはない。「黒いオルフェ」のカバー#2やラテン・スタンダード「キエン・セラ」のカバー#5など、50年代〜60年代のラテン、イージー・リスニング系名曲のカバーが中心で、とてもアダルトな仕上がり。どれもストレートなカバーなので、アレンジの妙みたいなものは期待できないものの、安心して聴けるといった感じではある。 | こちらもアダルトな渋いバラード中心のトルコ歌謡風ポップ・アルバム。叙情的で美しいメロディの哀愁系バラード#5や民謡風の哀愁感漂うキャッチーでダンサンブルなポップ・ナンバー#4、ラテン風の哀しくも愛らしいメロウ・バラード#11辺りがオススメ。ただ、やはりアルバム単位で聴くと、ちょっと地味すぎる印象は否めないかもしれない。 | ビジュアルも含めて、一気にイメージ・チェンジを図った作品。オープニングを飾る#1からして、超キャッチーでダンサンブルなラテン風オリエンタル・ハウスで、まるで憑き物が取れたかのような潔さ。80年代のDavid Fosterを思わせるAOR風の美しいバラード#2、トライバルな打ち込みと叙情的なギターのメロディがドラマチックなフラメンコ風のミディアム・ダンス・ナンバー#3など、洗練されたモダンなサウンドとパワフルな歌声を聴かせてくれる。 |
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Ne Masal Ne Ruya (1994) |
Nilufer Le (1997) |
Yeniden Yetmise (1998) |
Buyuk Askim (2001) |
(P) Yasar Kekeva (Turkey) | (P) Tempa Foneks (Turkey) | (P) Tempa Foneks (Turkey) | (P) Tempa Foneks (Turkey) |
1,Egrisi Dogrusu 2,Son Perde 3,Tam Bana Goresin 4,Olsun Varsin 5,Es Deli Ruzgar 6,Ne Masal Ne Ruya 7,Sevda Sardi Basimi 8,Sevgi Tam Olmali 9,Zorba 10,Uzak Dur A Atesimden 11,Yoksun 12,Bosnada Biraktim Kalbimi |
1,Degisir Dunya 2,Unut Gitsin 3,Cok Uzaklarda 4,Herseyden Cok 5,Mavilim 6,Hepsi Bu 7,Birak Beni 8,Namussuz Aksamlar 9,Beni Benimle Anla 10,Harset Cigliklari |
1,Dunya Dunuyor 2,Bosver 3,Oh Ya 4,Aguyorum Yine 5,Of Aman Aman 6,Son Arzum 7,Kim Arar Seni 8,Goreceksin Kendini 9,Selam Soyle 10,Neden 11,Sasima Gelenler 12,O Sevince 13,Ne Olacak Simdi |
1,Buyuk Askim 2,Soz Guzelim 3,Beni Mi Buldun? 4,Anlat Arkadasim 5,Cok Buyuksun 6,Cumartesi 7,Her Sey Bir An 8,Erkekler Aglamaz 9,Olmek Var Donmek Yok 10,Bir Gun Bitecek 11,Her Sey Bir An (2 Versiyon) |
前作に引き続き、ハウス、クラブ系のサウンドを取り入れたオリエンタルでダンサンブルな楽曲を聴かせる一方で、70年代のニリュフェルを思わせる哀愁系のトルコ歌謡ポップにも挑戦、その歌声は実に生き生きとしている。ハイテンションでエレクトロなフラメンコ・ハウス#1から始まり、#4では哀切感に満ちた地中海民謡風バラード、#6では壮大なスケールのオリエンタル・ディスコ・アンセムでパワフルな歌声を聴かせる。エキゾチックなエレクトロ・ハウス#7や叙情的なオリエンタル・バラード#8では濃厚なアラベスク・サウンドを展開し、現在のターキッシュ・ポップ黄金期を予感させるアルバムに仕上がっている。 | すっかり板に付いたオリエンタル・ディスコ路線の佳作#1で幕を開けるものの、全体的には叙情的で深みのあるバラードを中心に構成されたアルバム。力強さの中にも優しさを湛えた堂々たるニリュフェルのボーカルが素晴らしい。中でもオーケストラをバックにスケールの大きな歌声を聴かせる#6は出色の出来。また、トルコ歌謡的な哀愁感を滲ませたドラマチックなバラード#2も美しい。ただ、バランス的に言うと、もう少し躍動感のある楽曲が欲しかったかもしれない。いずれにせよ、ディーヴァの名に恥じない風格を漂わせた1枚。 | 70年代のヒット曲を90年代仕様のエレクトリックなアレンジでリメイクした企画盤。オリジナル・バージョンと聴き比べると、若さとパワーで歌いこなしていた頃と違い、表現力に女性らしい豊かさが加わり、よりスケールの大きな歌手へと成長している事がよく分って面白い。それでいて、パワフルな歌声は全く衰えることがなく、より逞しさと深みを増している。また、アレンジも原曲の良さを丁寧に生かしており、この手の企画盤の陥りがちな過剰なアップデートがなされていないのは大正解だった。70年代風の懐かしさ漂うオリエンタル・ダンス・ポップを存分に楽しめる好盤。特に洒落た哀愁ラテン・サンバ風に仕上げた#11は気持ち良い。 | 21世紀の幕開けを飾るアルバムとしては、若干大人しい印象の仕上がり。ダンサンブルなサウンドは控えめで、全体的にじっくりと聴かせるアラベスク調のミディアム〜スロー系ナンバーが多い。楽曲的にもインパクトの強い作品がなく、もう少しメリハリが欲しかったように思う。若々しい躍動感に溢れたジャケットとは対照的に、ちょっと落ち着きすぎてしまったような内容。 |
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Olur mu...Olur mu?/Gozunaydin (2003) |
Surprizler |
Karar Verdim (2006) |
(P) Erol Kose Productions (Turkey) | (P)2004 Odeon (Turkey) | (P) Seyhan Muzik (Turkey) |
1,Bir Garip Yolcuyum |
1,Ben Seni Seven Kadin 2,Of Aman Aman 3,Agliyorum Yine 4,Al Beni Cal Beni 5,Soyle Soyle Sever Mi? 6,Yas 35 7,Leggera 8,Kim Ayirdi Sevenleri 9,Pourquoi Parler D'amout 10,Bau Mir Ein Paradies 11,Korebe 12,Italiano 13,Ancora |
1,Karar Verdim 2,Ask 3,Hosuna Gider Mi 4,Unutmuyor Sevdan 5,Hayalime Birak 6,Huzun 7,Kaderin Oyunu 8,Ansizin 9,Ucuz Atlattim 10,Kolaycisin 11,Ilk Goz Agrisi |
前作の鬱積を晴らすかのように、爽快感溢れるエネルギッシュなオリエンタル・ダンス・ポップ・アルバムに仕上がった痛快作。オリエンタル・ムードたっぷりのフラメンコ・ハウス#1、超キャッチーでアッパーな哀愁ハイエナジー・ディスコの傑作#3、豪快なワウワウ・ギターのたたみかけがカッコいいアッパー&メロウなユーロ・ディスコ#5、これまたキャッチーでトランシーでパワフルなオリエンタル・ユーロ・ハウス#6と、オバサン頑張りまくってます!といった感じ。ターキッシュ・ポップ初心者にもダントツにオススメ。 |
オデオンからリリースされた、1972年〜1981年までの作品からコンパイルしたベスト盤。同社から復刻されたオリジナル・アルバムには未収録の楽曲や別バージョンを中心に構成されているのが好感。#1はバーブラ・ストレイサンドの“Woman In Love”のカバー。#3はミレイユ・マチューの“Acropolis Adieu”のカバー。#8はミシェル・フーガンの“Une Belle Histoire”(サーカスの「ミスター・サマータイムの原曲ですね)のカバー。いずれも原曲に忠実なカバーで、取り立てて特筆することもないのだが、圧巻はミーナのカバー#13。とても当時23歳とは思えない大熱唱で、これだけはオリジナルを確実に凌駕している。ヨーロピアン・ポップス・ファン必聴。 |
リリースと同時に大ヒットを記録しているニリュフェルの最新作。ちなみに、ジャケットは光沢加工を施した特殊仕様なため、上手くスキャンができませんでした・・・。派手なユーロ・ディスコ路線だった前作から一転、妖艶なアダルト・ムード漂うエキゾチックなダンス・ポップ・アルバムに仕上がっている。ファースト・シングルとなったタイトル曲#1からして、フラメンコ風の叙情感溢れるミディアム・ナンバー。濃厚なタンゴのリズムに哀しげなバイオリンの音色が絡むエロティックな#2、哀愁感炸裂の地中海風ミディアム・ディスコ#3と楽曲も充実しており、まさに女王健在といった感じの1枚。また、本作では半数以上の楽曲をニリュフェル自身が作詞・作曲しているのにも注目したい。 |