Mustafa Sandal
トルコから世界へはばたくスーパー・スター

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 今やトルコを代表するスーパー・スターの一人となったMustafa Sandal。シンガーとしてだけではなく、プロデューサー、ソングライターとしても活躍しており、近年はヨーロッパ各国でも成功を収めている。日本ではトルコの男性スターと言えばTarkanくらいしか知られていないが、本国ではそのTarkanをも凌ぐ絶大な人気を誇っている。今までリリースしたアルバムの全てが100万枚以上の売り上げを記録していることだけでも、その人気の凄さが分るだろう。
 とにかくカッコいい。そのルックスもさることながら、エキゾチックなアラベスク・ビートを基調にヒップ・ホップやハウス、トランスを取り入れたヒット・ポテンシャルの高い楽曲、ソフトで情熱的で甘いボーカル、そしてスターに必要なカリスマ性。国際マーケットで売れるための要素を兼ね備えたアーティストである。

 1970年1月11日、イスタンブールの生まれ。家庭は裕福だったらしく、高校時代をスイスで過ごし、アメリカのニュー・ハンプシャー大学で学んでいる。しかし、音楽の道を志すべく大学を中退して帰国。しばらくは裏方の仕事をしていたが、親しくなったミュージシャンBulent Tezcanの紹介で1994年にデビューを果たす。このデビュー・アルバム“Suc Bende”はヒット・チャートで1位を獲得、170万枚を売り上げる大ヒットとなり、年間チャートでも1位を記録した。
 さらに、96年にリリースされたセカンド・アルバム“Golgede Ayni”は300万枚を売り上げる記録的なヒットとなり、再び年間チャートの1位を記録。文字通り国民的スターとなった。その後もリリースするアルバムは全てチャートの1位を独占。向かうところ敵なしの快進撃を続けている。
 99年にはヨーロッパ向けにアルバム“Araba”をリリース。しかし、この最初の世界進出は失敗に終わってしまう。当時はヨーロッパ中でTarkanが人気を得ていた時期。その2番煎じと思われてしまったのかもしれない。2003年にはシングル“Aya Benzer 2003”で再度ヨーロッパに挑戦。ドイツでヒット・チャート8位を記録した他、ヨーロッパ各国でチャート・インを果たし、ようやく本格的に世界進出を果たした。2005年にリリースしたシングル“Isyankar”はドイツで6位、スイスで4位を記録するなど、さらに大きなヒットとなっており、イギリスやアメリカのヒット・チャートを席巻する日もそう遠くはないかもしれない。

 そうしたアーティストとしての活躍の傍らで、プロデューサーとしても才能を発揮しており、Sibel AlasやIzelといったアーティストのアルバムを手掛けてヒットさせている。ソングライターとしても自身の楽曲の殆どを手掛けており、まさに天にニ物を与えられたスーパー・スターと言えるだろう。
 もともとトルコは歌謡大国として知られているが、国際マーケットに通用するようなポップ・スターはなかなか生まれなかった。もちろん言葉の壁の問題もあるが、それ以上に濃厚な民族色が文化の垣根を越えることを阻んでいたと言えるだろう。日本の演歌や歌謡曲が中国や韓国のような一部のアジア圏では受け入れられても、それ以外の文化圏ではなかなか理解されないように。そうした中で、インターナショナルなポップ・センスと最先端のサウンドを取り入れ、トルコ独自のポップ・ミュージックを世界に知らしめたのがTarkanやSertabである。そして、Mustafa Sandalはその路線を確実に継承しつつも、より積極的にグローバルな“今”の音にこだわっているように思う。ニューヨーク、ロンドン、東京、そしてイスタンブールの若者が同じような文化を共有する時代に、生まれるべくして生まれたアーティストと言えるのかもしれない。

“Aya Benzer”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

“Isyankar”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

“Yamali Tovbeler”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

GOLGEDE_AYNI.JPG DETAY.JPG KOP.JPG AYA_BENZER.JPG

Golgede Ayni (1996)

Detay (1998)

KOP (2002)

Aya Benzer 2003 (2003)

(P)1996 Ozer (Turkey) (P)1998 Prestij Muzik (Turkey) (P)2002 Erol Kose Production (Turkey) (P)2003 Freizeit/Polydor (Germany)
1,Bir Anda (Remix)
2,Araba
3,Kalmadi
4,Denize Dogru
5,Bir Tanem
6,Bir Anda
7,Gidenlerden
8,Jest Oldu
9,Karanliga Veda
10,Oyalama
11,Iki Tas Corba
12,Daha Cok Vaktin Yar
13,Goldege Ayni

produced by Sahin Ozer
1,Aya Benzer
2,Top
3,Bombaci
4,Teyze
5,Onca
6,Detay
7,Cekilin
8,Mevcut
9,Ya Da
10,Niyet
11,Bir Baska
12,Ve

produced by Hilmi Topaloglu,Mahsun Kirmizigul
1,Pazara Kadar
2,Gecmis Olsun
3,Gururumdan
4,Kopmam Lazim
5,Bizi Bozar
6,Tusuma Bas
7,Yok Gerekcem
8,En Kotu Ihtimalle
9,Aptal Asik
10,Helal Et

produced by Erol Kose, Ethan Guleryuz
1,Single Version 3:54
2,English Version 3:54
3,Solo Version 3:44
4,Extended Version 4:35

produced by Bulent Aris
 トルコでは年間チャート1位に輝く大ヒットとなり、実に300万枚以上のセールスを記録したセカンド・アルバム。まだ若干垢抜けないトルコ歌謡的な要素を残しつつも、当時の最先端のクラブ系サウンドも積極的に取り入れており、既に確固たる方向性が定まっている事が良く分る。ボーカルもまだまだ荒削りで弱く、発展途上にあるといった感は否めない。楽曲的にも強烈なインパクトを持った作品に欠けるものの、当時のトルコのリスナー(特に若者層)には強くアピールするものがあったのかもしれない。  前作に引き続きミリオン・セラーを記録したサード・アルバム。強烈なアラベスク・ビートにキャッチーなサビがインパクトに残るナンバー・ワン・ヒット#1がダントツにカッコいい。全体的に見ても、よりポップでダンサンブルなアプローチを強めており、アーティストとして大きな成長を遂げた1枚と言えるだろう。トルコらしいオリエンタルなエキゾチズムを残しつつ、より洗練された西欧的なサウンド・プロダクションを聴かせてくれる。ジャジーで小粋なポップ・ナンバー#3やラテン風のユーロ・ポップ・ハウス#7など、ソングライターとしても優れたセンスを身に着けつつある。  エキゾチックで情熱的なダンス・ナンバーを中心に構成された5枚目のアルバムで、トルコでは年間チャート2位を記録した。いかにもトルコらしいアラベスク・ビート#1で幕を開け、トルコ歌謡風の哀愁溢れるメロディとハイエナジー・サウンドが相性抜群のユーロ・ハウス#2、エレガントでヨーロピアンな雰囲気漂う切ないバラード#3、ノスタルジックなメロディとトライバルなサウンドがギリシャのライカを思わせる佳作#4、トルコ流ギター・ポップといった感じの叙情的で哀しいポップ・ナンバー#5など、いずれもシングルとして通用しそうな充実した楽曲が並ぶ好盤。  サード・アルバムからの大ヒット・ナンバーを、ヨーロッパ向けにセルフ・リメイクしたシングル。ドイツで人気のトルコ系スター、Gulcanがゲストでラップ(というよりも語り)を聴かせる。当時ユーロビジョン・ソング・コンテストで優勝し、ヨーロッパ中で話題になっていたSertabの“Everywhere I Can”を強く意識したような仕上がりで、アラベスクとユーロ・ハウスを融合した強烈にキャッチーな作品に仕上がっている。ただし、ジャケットの髪型は全然似合っとらん(笑)。一瞬、山本譲二かと思ったぜ、兄貴。

ISTE.JPG YAMALI_TOVBELER.JPG SEVEN.JPG

Iste (2004)

Yamali Tovbeler (2005)

Seven Reloaded (2005)

(P)2004 Erol Kose Production (Turkey) (P)2005 Erol Kose Production (Turkey) (P)2005 Universal Music (Germany)
1,Isyankar
2,Kavrulduk
3,Gel Askim
4,Fikra
5,All My Life (Remix)
6,Isyankar (Oryantal Remix)
7,Gel Askim (Remix)
8,Story
9,All My Life
10,Ozetle

produced by Erol Kose
1,Yamali Tovbeler
2,Yamali Tovbeler (Akustik)
3,Isyankar (Panjabi MC Version)
4,Kopman Lazim (Retro Version)
5,Araba 2005 (Summer Tone)
6,Yamali Tovbeler (Sense & Trance)
7,Isyankar (Kingstone's Senorita Remix)
8,Yamali Tovbeler (Caisun)

produced by Erol Kose
1,Isyankar (Panjabi MC)
2,Kavrulduk
3,Fikra
4,Aya Benzer 2003 (Single Version)
5,All My Life (Album Version)
6,Gel Askim (Album Version)
7,Story
8,Araba (Single Version)
9,Isyankar (Beathoavenz Cut)
10,Isyankar (Summer Breeze Mix)
video clips
*Isyankar
*Araba
*Gel Askim
*All My Life
*Isyankar (Turkish Video)
 今までのアラベスク風ポップ路線にR&Bやヒップ・ホップの要素を大幅に取り入れたミニ・アルバム。トライバルなオリエンタル・サウンドにR&B風の打ち込みを組み合わせた#1が大ヒットし、去年ヨーロッパでもシングル・カットされて話題になった。ラテン風の哀愁感とワールド・ミュージック的なサウンド・プロダクションで、どことなくShakiraのような世界観を感じさせる美しいバラード#4も素晴らしい。英語詩の楽曲も含まれており、完全に世界マーケットを意識した仕上がり。  新曲“Yamali Tovbeler”をメインに、過去のヒット曲のリミックス・バージョンを織り交ぜたミニ・アルバム。エレガントでグルーヴィーなボサノヴァに仕上がった#2や、ゴリゴリにヘヴィーなオリエンタル風ヒップ・ホップに仕上がった#3(リミックスはインドのパンジャビ民謡とヒップ・ホップの融合で知られるパンジャビMC)、ゴージャスでスケールの大きなトルコ風哀愁ユーロ・ハウスになった#5、ヘヴィーでトライバルなオリエンタル・ヒップ・ホップに仕上げた#7、ジャジーでグルーヴィーなボサノヴァに仕上がったインスト・バージョン#8辺りがオススメ。  2003年にヨーロッパ・マーケット向けにリリースされたアルバム“Seven”のリニューアル・バージョン。大ヒットしたIsyankarのリミックスを中心に、大幅に楽曲が入れ替えられている。目玉はIsyankarのリミックス・バージョン。アコースティックな雰囲気を残したエレガントなレゲトン風ヒップ・ホップ仕上がった#10が面白い。また、ボーナス・トラックとしてプロモ・クリップが収録されている。

 

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