モニカ・ナランホ Monica Naranjo
スペインのダンス・ディーヴァ
スペインのみならず、ドイツやアメリカ、南米でも絶大な人気を誇るトップ・スターである。パワフルでスケールの大きなボーカルと情熱的なラテン・ビート。月並みな例え方をすると、スペインのマドンナといったところだろうか。かなりエキセントリックなタイプのアーティストで、その楽曲は単なるダンス・ポップと呼ぶには少々アクが強すぎるかもしれない。絶唱型のボーカル・スタイルも含めて、ちょっと好き嫌いが分かれるタイプのアーティストだろう。
また、驚くほどマイペースというか、10年以上のキャリアで4枚のオリジナル・アルバムと1枚のベスト盤しかリリースしていない。しかも、ハイエナジーやハード・ハウス、トランスなど本格的なクラブ・サウンドを積極的に取り入れており、マドンナやドナ・サマーのようなゲイ・ディーバを強く意識しているように見える。なので、リッキー・マーティンやタリア、パウリーナ・ルビオといった他のラテン系アーティストと比べると、明らかに“ラテン色”が薄い。その辺りが日本では無視されがちな理由なのかもしれない。
ちなみに、分かりやすく説明するためにマドンナやドナ・サマーと比べてしまったが、モニカ本人はカンツォーネの女王ミーナの熱狂的なファンだという。サード・アルバムのタイトル“Minage”は“ミーナへのオマージュ”という意味だそうで、その憧れのミーナとのデュエットも実現させている。
1974年5月23日、スペインはカタロニア地方の小さな村で生まれたモニカは、少女時代から歌とピアノを学んでいたという。母親に買ってもらったテープ・レコーダーでデモ・テープを録音してはせっせとレコード会社へ送っていたモニカ。その中で唯一、彼女のテープに反応を示したのがプロデューサーのクリストバル・サンサーノだった。ソニーとのレコーディング契約を結んだモニカは、1994年アルバム“Monica
Naranjo”でデビュー。しかし、当初は泣かず飛ばずだった。ところが、翌年メキシコでリリースされたところ大ヒットを記録。これが話題となって、本国スペインでもスマッシュ・ヒットとなった。
さらに1997年にリリースされたセカンド・アルバムはスペインとアメリカ、メキシコを中心に250万枚以上のセールスを記録。シングル“Pantera
en
Libertad”はハリウッド映画「ダンス・ウィズ・ミー」の挿入歌としても使用されて話題になった。2000年のサード・アルバム“Minage”はドイツやイタリアでも大ヒットとなり、その人気はよりワールド・ワイドになっていく。だが、2001年にリリースされた4枚目のアルバム“Chica
Malas”の売り上げが予想外の不調で、2003年には英語バージョンとしてリニューアルした“Bad
Girls”をリリースするも、ドイツなど一部の国で限定数発売されただけで終わってしまった。
そのまま、モニカの名前は殆ど話題にのぼる事がなくなってしまったが、2005年に新曲入りの2枚組ベスト“Coleccion
Privada”をリリース。久々の好セールスを記録し、ディーヴァ健在を印象付けた。今年は6年ぶりのオリジナル・アルバムのリリースも予定されており、いよいよ本格的に音楽活動を再始動させるようだ。
Monica Naranjo
(1994) Palabra de mujer
(1997) Minage (2000) Enamorada
(2000)
(P)1994 Sony Discos (USA)
(P)1997 Sony Latin (USA)
(P)2000 Sony Discos (USA)
(P)2000 Epic/Sony
(Spain)
1,El Amor Coloca ビデオ
2,Sola ビデオ
3,Oyeme! ビデオ
4,Supernatural ビデオ
5,Dame Tu
Calor
6,Fuego De Pasion
7,Llorando Bajo La Lluvia
8,Solo Se Vive
Una Vez ビデオ
9,Hoy La Luna
Sale Para Mi
10,Amor Es Solo Amar
produced by Cristobal
Sansano1,Desatame ビデオ
2,Empiezo a
Recordarte
3,Yo Vengo y tu te Vas
4,Entender el Amor
5,Amame o
Dejame
6,Pantera en Libertad
7,Rezando en Soledad
8,Las Campanas
del Amor ビデオ
9,Miedo ビデオ
10,Tu y yo
Volvemos al Amor
produced by Cristobal Sansano & Monica
Naranjo1,Ahora, Ahora ビデオ
2,Sobrevivire ビデオ
3,Perra
Enamorada
4,Enamorada (version spanglish)
5,Que
Imposible
6,Amando Locamente
7,If You Leave Me
Now
8,Immensidad
9,Abismo
10,El se Encuentra Entre tu y yo (duet
with Mina)
11,Siempre Fuiste Mio
12,Mi Vida Por Un
Hombre
13,Sobrevivire (The Groove Brothers Club Mix)
produced by
Phil Manzanera,Monica Naranjo,Brian Rawling,Graham Stack,Massimiliano
Pani.1,Enamorada (Gipsy Spanish Version
Remix) 4:17
2,Enamorada (Gipsy English Version Remix)
4:17
3,Enamorada (Version Album en Espanol) 4:21
4,Enamorada
(Version Album Spanglish) 4:21
5,Enamorada (Ferrero/Del Moral House
Single Remix) 3:51
6,Enamorada (Gipsy Instrumental Version Remix)
4:17
produced by Brian Rawling & Graham Stack.
#1,#2,#6
remixed by Cristobal Sansano
#5 remixed by David Ferrero & Pedro
del Moral
本国スペインよりもアメリカやメキシコで爆発的なヒットとなったデビュー・アルバム。まだこの頃はポップ/ロック色が強く、モニカのボーカルにも荒削りな初々しさがあります。全体的に非常にキャッチーで耳馴染みのいい楽曲が多く、80年代のPWLサウンドを思わせる爽やかでメロウなダンス・ナンバー#4は傑作。弾けんばかりに元気いっぱいのモニカのボーカルも気持ち良し。でもって、#6はそのPWLによるドナ・サマーの“Love's
About To Change My Heart”のカバーです。
アメリカと南米でメガ・ヒットを記録したセカンド・アルバム。オープニングを飾るのはスケールの大きいドラマチックなユーロ・ハウス#1。哀愁系のプログレッシブ・ハウス#4、楽曲としてはどちらかというと凡庸な典型的ユーロ・ガーラージ・ハウス#7、フワフワとドリーミーでハッピーなユーロ・ハウス#8など、ダンス路線のシングルが並ぶ一方で、アルバム・トラックはバラード一色。ルチオ・ダーラ辺りを思わせるカンツォーネ風のバラード#9はなかなかの名曲です。アルバムの出来としては平均点かな。
モニカの憧れの人、カンツォーネの女王ミーナに捧げたアルバム。ミーナのカバー曲にオリジナル曲を織り交ぜた構成です。5曲でミーナの息子であるマッシミリアーノ・パーニがプロデュースに参加。モニカはミーナそっくりのボーカルを聴かせてくれます。。#1は個人的にも大好きなミーナの名曲“Ancora
Ancora”のスペイン語カバー。大熱唱です。オリジナル曲では超爽やかでメロウなユーロ・ハウスの傑作#7がお気に入り。#10はミーナとのデュエットで、壮絶な歌バトルを繰り広げてます。
かき鳴らされるジプシー・ギターに激しいハンド・クラップ。これぞフラメンコ・ハウス!といった感じのテンション上がりまくるジプシー・リミックスを収録したマキシ・シングル。オリジナル・バージョンがミディアム・バラードだった事を考えると、見事な職人技リミックスです。サンタナのリミックス等も手掛けているDavid
Ferreroによる#5は平均的なガラージ系のラテン・ハウス。
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Sobrevivire (2000) |
Chicas Malas (2001) |
I Ain't Gonna Cry (2001) |
(P)2000 Epic/Sony (Spain) | (P)2001 Epic/Sony (Spain) | (P)2001 Epic/Sony (Spain) |
1,Sobrevivire (The Groove Brothers
Club Mix) 4:05 2,Sobrevivire (Pumpin' Dolls Radio Edit) 4:42 3,Sobrevivire (Version Album) 4:57 4,Sobrevivire (Pumpin' Dolls Armaggedon Club Mix) 9:20 5,If You Leave Me Now 3:34 #1-#4 produced by Phil Manzanera #4 produced by Brian Rawling & Graham Stack #1 remixed by Brian Rawling & Graham Stack #2,#4 remixed by Juan Belmonte & Abel Arana |
1,Chicas Malas (Ferreo/Del Moral
Single Remix) 4:15 2,Chicas Malas (N.Y. Remix Spanish Version) 3:48 3,Chicas Malas (Ferrero/Del Moral Album Remix Version) 5:26 4,Chicas Malas (Wally Lopez & Dr. Kucho Weekend Remix) 6:18 5,Bad Girls (N.Y. Remix Version) 3:50 6,Chicas Malas (La Fabrique Du Son Weekend Remix) 8:49 7,Chicas Malas (Album Version) 3:53 ビデオ 8,No Voy A Llorar (Album Version) 4:00 produced by Cristobal Sansano & Monica Naranjo #1 remixed by David Ferrero & Pedro del Moral #2 remixed by G Club #4 remixed by Wally Lopez & Dr.Kucho |
1,I Ain't Gonna Cry (Steelworks Mix
Radio Edit) 3:58 ビデオ 2,No Voy A Llorar 4:00 3,I Ain't Gonna Cry (La Fabrique Du Son Weekend Edit Remix) 4:35 4,I Ain't Gonna Cry (Wally Lopez Super Weekend Edit Remix) 5:35 5,Video Clip produced by True North Company #1 remixed by Steelworks #3 remixed by David Ferrero & Pedro del Moral #4 remixed by Wally Lopez |
ミーナのヒット曲をカバーしたシングル。オリジナルはハード・ロック風のバラードですが、豪快なダンス・ナンバーにリミックスされています。一番のオススメはスペインの人気リミキサー・チームPumpin' Dollsによるディープなハード・ハウス#4。#2のエディットは肝心の聴かせどころをそっくりカットしてしまっているので、9分を超える#4のフル・バージョンを堪能すべし。 | フィルター系のファンキー・ディスコ・ナンバー。同名タイトルのアルバムからのファースト・シングルで、かなりカッコいい出来映えながらセールス的には奮いませんでした。#1、#3辺りなんかインコグニートを彷彿とさせる仕上がりで好印象なんですがねー。Masters At Work風のラテン・ガラージに仕上がった#4も非常にクール。 |
これもいい曲です。スウェーデンのアーミー・オブ・ラバーズ辺りを思わせる哀愁の美メロ・ハウス。ネチっこくコブシを回してパワフルに歌いまくるモニカのボーカルも圧巻で、まさに情熱!!といった感じ。#3と#4のリミックスはどちらもダブ・ミックスで、エフェクトをガンガンに使いまくった派手なディープ・ハウスに仕上がっています。 |
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Bad Girls (2002) |
Coleccion Privada (2005) | ||
(P)2002 Epic/Sony (Holland) | (P)2005 Sony BMG/Dynamo Records (USA) | ||
1,I Ain't Gonna Cry (Steelworks Mix
Radio Edit) 2,Ain't It Better Like This 3,I Don't Wanna Take This ビデオ 4,What About Love 5,Bad Girls 6,If You Leave Me Now (Rawling Mix) 7,I Live For You 8,Love Found Me 9,Enamorada (Sub-Urban Mix) 10,I'll Never Run 11,Hot Line 12,I Ain't Gonna Cry 13,Bad Girls (N.Y. Remix) produced by Gregg Alexander,Cristobal Sansano,Monica Naranjo,Louis Biancaniello & Sam Watters,Khris Kellow & Rich E. Blaze,etc. |
1,What About Love (Corky Mix)
3:33 2,If You Leave Me Now (DJ Tombah Energy Single Mix) 3:47 3,Enamorada (Gipsy English Version Remix) 4:17 4,Ain't Better Like This (Rapino Carrera Club Mix) 5:01 5,Chicas Malas (Ferrero/Del Moral Single Remix) 4:15 6,I Ain't Gonna Cry (La Fabrique Du Son Weekend Edit Remix) 4:35 7,I Don't Wanna Take This (Ferrero & Del Moral English Batucada Remix) 4:18 8,Weekend DJ Session by Ferrero/Del Moral & M.Naranjo |
1,Enamorada de
ti 2,Sobrevivire 3,Desatame 4,Pantera en libertad 5,Entender el amor 6,Chicas malas 7,Tu y yo volveremos al amor 8,Empiezo a recordarte ビデオ 9,Enamorada 10,No voy a llorar 11,El amor coloca 12,Seguire sin ti (If You Leave Me Now) 13,Las campanas del amor 14,Amame o dejame 15,No puedo seguir 16,Sacrificio 17,Supernatural 18,Sola |
1,Enamorada de ti (Kai Miller's Intimate Moment) 6:10 2,Chicas malas (Ferrero & De Moral Single Remix) 3,Desatame (Latins do it better Club Mix) 5:31 4,Sacrificio (Corky Mix) 3:26 5,No voy a llorar (La Fabrique du son Weekend Remix) 5:07 6,If You Leave Me Now (Ferrero & De Moral Extended Remix) 7:23 7,Pantera en libertad (Dub Apollo 440) 4:55 8,No puedo seguir (Ferrero & De Moral Spanish Batucada Remix) 9,Sobrevivire (Pumpin' Dolls Armaggedon Club Mix) 7:33 10,No voy a llorar (Wally Lopez & Dr.Kucho Weekend Remix) 4:54 11,Entender el amor (Ferrero & De Moral Xtended Remix) 7:43 |
2001年のサード・アルバム“Chicas Malas”のヨーロッパ向け英語バージョンで、リミックスを加えた2枚組です。セクシーでパワフルなマンボ・ファンク#3やアーバン・ソウル・ディスコな#5、ジョルジョ・モロダー路線のミュンヘン・ディスコ風フィルター・ハウス#11、美しい哀愁ユーロ・ダンス・ポップ#12と、なかなかいい曲が揃っているものの、一部の国でしか流通しなかった為にセールス的には惨敗でした。プレス枚数が少ないので、一時期は海外のオークションで100ドルのプレミアが付いてました。 |
こちらは特典のリミックス・ディスク。基本的に、過去のマキシ・シングルから選曲されています。ダイナミックで派手派手なサンバ・ハウスに仕上がった#7はむちゃくちゃカッコいいです。ただ、それ以外はどれもベストのリミックスとは言えず、ボリューム的に言っても非常に中途半端。目玉は#8のメガミックスでしょうか。本アルバムからのシングル・カット曲のクラブ・ミックスをノンストップで繋いだもので、34分を超える大作です。 | 待望の新曲を含む2枚組のベスト盤。その新曲#1はファン納得のラテン風ハイエナジー・ディスコで、スケールの大きなダンス・ナンバーに仕上がっています。過去のシングル曲全てを収録しているので、ベスト盤というよりもコンプリート・シングル集と呼んだ方がいいかもしれませんね。キャッチーなダンス・ナンバーから情熱的なバラードまで、モニカの代表曲は全てこの1枚に収められております。 | 本作の目玉と言えるのが、この特典ディスク。リミックス集ですね。彼女のマキシ・シングルや12inchシングルはプレミアが付いているものばかりなので、ファンにとっては非常に嬉しい企画。個人的には哀愁ユーロ・ディスコの傑作“If You Leave Me Now”のリミックスがエクステンデッドで楽しめる#6に感動!その他、アメリカのクラブ・シーンでも話題になった正統派ラテン・ハウス#3、スペイシーでダイナミックなトライバル・ハウス#9など、ツボを押さえた選曲が大変グッドです。 |