ミシェル・バウアー Michelle Bauer

 

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 80年代から90年代にかけて、低予算のB級ホラーやソフト・ポルノで大活躍した女優ミシェル・バウアー。中でも、ブリンク・スティーヴンス、リニア・クイグリーと並ぶ“三大スクリーム・クィーン”の一人として、ホラー映画ファンの間では絶大な人気を誇るスーパー・スターだ。
 ミシェル・バウアーの魅力は、なんといっても思い切りの良さと気風の良さ。ブリンク・スティーヴンスがお姉様系、リニア・クイグリーがロリータ系とするならば、ミシェルはさしずめ女番長系といったところだろうか(笑)脱ぎっぷりがいいのは勿論のこと、堂々とした面構えといい、ハスキーな低音ボイスといい、まさしく姐御の風格だ。
 エッチな悪女役を演じさせたら天下一品だが、コミカルな役をやらせても抜群にセンスがいい。セックスだろうがスプラッターだろうが、楽しけりゃそれでいいじゃん!?という飾り気のなさが、彼女の人気の秘密と言えるだろう。

 1958年10月1日、カリフォルニア州はモンテベロに生まれたミシェルは、本名をミシェル・メドヴィッツという。父親はチェコスロヴァキア系、母親はメキシコ系。81年にアダルト雑誌『ペントハウス』7月号の“Pet of the Month”に選ばれて注目され、ピア・スノウの名前でハードコア・ポルノの女優としてデビュー。5年間で20本以上のハードコアに出演した。ただし、本人曰く本番の挿入シーンはボディ・ダブルを使ったとのこと。
 で、その中の1本が、アート系ポルノとして当時話題になった『愛の終焉/カフェ・フレッシュ』(82)だった。この作品で演技も出来ることを証明した彼女は、往年のハリウッド女優ジョーン・コリンズ主演のソフト・ポルノ“Homework”や原始時代を舞台にしたSFコメディ『バック・トゥ・ザ・ネイチャー』(85)などの一般作にも端役で出演するようになり、青春映画『トンボーイ』(85)では主演女優ベッツィ・ラッセルのヌード・シーンのボディ・ダブルを演じている。
 そんな彼女に初めて大役を与えたのが、B級映画の帝王フレッド・オーレン・レイだった。冒険ファンタジー『ネフレイティスの秘宝』(86)で古代エジプトの女王ネフレイティス役を演じた彼女は、以降オーレン・レイ監督作品の常連として活躍するようになる。
 『地獄の武装都市/復讐のターミネーター』(86)のダンサー役、『ファントム・エンパイア』(86)の女地底人役を経て、80年代を代表するカルト映画として名高いエロ・スプラッター『女切り裂き狂団チェーンソー・クィーン』(88)の悪女マーセデス役を怪演。ヒロイン役のリニア・クイグリーを完全に食ってしまうくらい強烈な存在感を発揮し、ホラー映画ファンから熱狂的に受け入れられた。
 それ以降も、『バンパイア・ファミリー』(89)や『セクシー・デビル/悪魔はTバックがお好き』(91)、『ジュラシック・アマゾネス』(94)、『アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ウーマン』(95)、『天使のゆびさき』(98)、“The Bikini Escort Company”(04)、“Voodoo Dolls”(08)などに出演し、オーレン・レイ監督作品には欠かせない顔となる。
 また、ブリンク・スティーヴンス、リニア・クイグリーと共演したホラー・コメディ『ナイトメア・シスターズ』(87)を皮切りに、『レディ・アベンジャー』(87)や『ショットガン・ポリス』(88)、『Dr.エイリアン』(89)、『パペット・マスター3/ナチス大決闘』(91)、“Blonde Heaven”(95)など、デヴィッド・デコトー監督作品にも多数出演。80〜90年代のB級映画を語る上では、絶対に欠かすことの出来ないカルト女優と言えるだろう。

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『ファントム・エンパイア』より

 私生活では1977年にケン・バウアーという男性と結婚。その翌年に離婚しているが、その後も芸名としてバウアーの姓を名乗っている。ところが、女優として有名になった途端、前夫が名前使用の差し止めを訴えてきた。仕方なく、当時の夫だったドン・マッケランの名前を使用。そのため、一時期はミシェル・マッケラン及びミシェル・マクリーランドなどの別名を名乗っていた。しかし、ファンや関係者からは紛らわしいと不評で、最終的には正式な許可を得てミシェル・バウアーに名前を戻している。
 また、無名時代から現在までに20本近くの作品で共演しているリニア・クイグリーとは、プライベートでも大親友の仲。本物のチェーンソーを振りまわして決闘シーンを演じた『女切り裂き狂団チェーンソー・クィーン』は、お互いの信頼関係なしには出来なかったという。
 50代を迎えた現在もスクリーム・クィーンとしての活動を続けるミシェル。そのモットーは、“とにかく楽しんでストレスを溜めないこと”らしい。

 

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Terror Night (1987)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2004 Retromedia (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL
/90分/製作:アメリカ

映像特典
35ミリ予告編
監督:ニック・マリーノ
共同監督:アンドレ・ド・トス
製作:ニック・マリーノ
    ナンシー・ペロイアン
原案:ニック・マリーノ
脚本:マレー・レヴィ
    デヴィッド・リッグ
    ケネス・J・ホール
撮影:ハワード・ウェクスラー
    R・マイケル・ストリンガー
音楽:ブルース・ハニファン
出演:ジョン・アイアランド
    キャメロン・ミッチェル
    アラン・ヘイル・ジュニア
    ステイシー・グリーソン
    ウィリアム・C・バトラー
    ミシェル・バウアー
    ジミ・エルウェル
    カーラ・バロン
    ケン・エイブラハム
特別出演:アルド・レイ
       ダン・ハガーティ

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伝説的映画スターの豪邸で頻発する殺人

キャシー(S・グリーソン)とチップ(W・C ・バトラー)

エンジェル(J・エルウェル)とジョー(M・バウアー)

 『ゴッドファーザーPARTV』のオリジナル脚本に携わったとされる脚本家ニック・マリーノの、最初にして最後の監督作品。廃墟となった往年のハリウッド・スターの豪邸を舞台に、屋敷へ迷い込んだ若者たちが次々に殺されていくというスラッシャー映画だ。
 実はこの作品、87年の夏に撮影が行われたものの、そのまま長いことお蔵入りになっていた。映画マニアの間では完成すらしなかったのでは?とも噂されていたが、90年代に入ってヨーロッパでビデオ発売され、ようやく存在が確認された。一時期はPALビデオを違法コピーした海賊版も出回っていたものの、04年になってアメリカのレトロメディアから、“Bloody Movies”のタイトルでオフィシャル盤DVDがリリースされている。
 ストーリーは至って単純。往年の映画スター、ランス・ヘイワードの豪邸が取り壊されると知った若者たちが、興味本位で屋敷内に忍び込んだところ、何者かによって一人また一人と殺されていく。映画の名場面を再現しながら人々を血祭りにあげる殺人鬼や、引退したまま姿を消してしまった映画スターの謎など、映画の都ハリウッドならではの都市伝説的な味付けがユニークと言えるだろう。
 とはいえ、マリーノ監督の演出は素人並みの稚拙さ。『肉の蝋人形』(53)や『蒙古の嵐』(61)で有名な往年のB級映画監督アンドレ・ド・トスが演出を手伝ったと言われているが、どこをどう手伝ったのか?と首を傾げざるを得ないような出来栄えだ。
 しかも、殺人鬼の正体が判明する後半からの展開が全くの意味不明。映画の根幹となる最大の疑問が解決されないままに、映画はすこぶるシュールなエンディングを迎える。これじゃお蔵入りも仕方がないところだろう、といわざるを得ないのだが、もしかしたら現存するフィルムそのものが最終的な完成形ではないのかもしれない。ポスト・プロダクションの段階で資金が底をついてしまったという可能性も捨てきれないだろう。まあ、いずれにしても貧相な出来栄えの映画であることに変わりはないのだが(^^;
 で、我らがミシェル・バウアーの演じているのは、レザー・ファッションに身を包んだクレイジーなバイカー娘ジョー。ロッカー風の彼氏と一緒に屋敷へ忍び込み、酔っ払ってあちこちウロチョロしたり、にわかに発情してエッチに励んだりした挙句、階段から突き落とされて殺されるという役どころだ。憎めない不良娘といった感じで、随所で絶妙なコメディエンヌぶりを発揮してくれる。もちろん、あっけらかんとしたお色気ショットも満載。ちゃんと自分の役割を心得ているためだろうか、いかにも楽しそうに演じているのは好感の持てるところだ。

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豪邸に足を踏み入れたキャシーたち

そこは往年の映画スター、ランス・ヘイワードの屋敷だった

ジョーとエンジェルの2人も屋敷に忍び込む

 1920年代に活躍した映画スター、ランス・ヘイワードの豪邸が売却された。ヘイワードは映画界引退後に行方をくらまし、90歳を超えたはずの現在も正確な所在は分かっていない。すでに豪邸は廃墟と化しており、新オーナーは建て替えを決定する。しかし、その前夜に屋敷を訪れた管財人マイケルズ(ダン・ハガーティ)と新オーナーは、管理人ジェイク(アラン・ヘイル・ジュニア)が帰宅した直後に、何者かによって無残にも殺害されてしまう。その殺され方は、かつてヘイワードが主演したギャング映画とソックリだった。
 その頃、テレビのニュースでヘイワード邸の取り壊しを知ったキャシー(ステイシー・グリーソン)は、屋敷を一目見ようと仲間を誘う。キャシーと友達のチップ(ウィリアム・C・バトラー)は熱狂的なランス・ヘイワード・ファンだった。プレイボーイのグレッグ(ケン・エイブラハム)とその恋人シェリー(ジェイミー・サマーズ)、ロレイン(カーラ・バロン)、そしてキャシーの彼氏トッド(ジョン・ワイルドマン)らは古い映画に全く無関心だったが、お化け屋敷へ行く感覚で同行することにする。
 ヘイワード邸にやって来た一行は、広大な敷地を歩いている途中で、キャプテン・ネッド(アルド・レイ)と名乗る浮浪者の老人と出会う。彼は、近頃この敷地内で次々と人が殺されていると警告するが、キャシーたちは酔っ払いのたわ言として取り合わなかった。そして彼らが去った後、キャプテン・ネッドは海賊のような姿をした謎の男によって殺害される。それはやはり、かつてヘイワードが主演した海賊映画に出てくるのと同じ殺され方だった。
 一方、ラジオのニュースでヘイワード邸の取り壊しを知ったカップル、ジョー(ミシェル・バウアー)とエンジェル(ジミ・エルウェル)は、酒に酔った勢いでヘイワード邸に忍び込むことにした。同じ頃、キャシーたち一行も屋敷へと到着する。廃墟となった豪邸を散策する若者たちだったが、まずは一人で散歩に出たグレッグが矢で射抜かれ、廊下を歩いていたシェリーが首を切断されて殺される。
 グレッグたちの行方を捜しに出たチップとロレインは、セックスの真っ最中だったジョーとエンジェルの2人と遭遇。お互いに相手を幽霊だと思って逃げ出した。そして、一人で外へ出たロレインは、冒険家の格好をした男に崖から突き落とされ、串刺しになって殺される。
 犯人は60年前の若さを保ったランス・ヘイワード(トッド・スタークス)その人だった。彼は屋敷に隠された財産を守ろうとしていたのである。ジョーは階段から突き落とされて死亡し、トッドも剣でメッタ刺しにされて惨死。果敢にも立ち向かったエンジェルだったが、結局はヘイワードによって殺されてしまう。
 追い詰められたキャシーとチップは、フィルム保管庫に火を投げ入れ、そのままヘイワードを中に閉じ込めた。古い映画フィルムは発火性が高いため、たちまち保管庫は大爆発。屋敷は炎に包まれた。
 命からがら逃げ出したキャシーとチップ。チップの自宅へ戻った2人のもとへ、サンダース刑事(キャメロン・ミッチェル)が事情聴取に訪れる。その頃、家の裏庭から忍び込む怪しげな老人の姿が。それは、年老いたランス・ヘイワード(ジョン・アイアランド)だった・・・!

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首を切断されて殺されるシェリー(J・サマーズ)

お色気ショット担当のミシェル・バウアー

往年の映画俳優ランス・ヘイワード(J・アイアランド)

 なぜランス・ヘイワードが若さを保っていたのか?そして、どうやって屋敷の大爆破から逃れ、なぜ老人の姿に戻ってしまったのか?すべてが謎のまま、まるでシェークスピア劇のような歴史ドラマ風のエンディングへとなだれ込む。思わず、は〜!?と目が点になってしまうこと請け合いだ。
 ニック・マリーノの原案をもとに脚本を書き上げたのは、マレー・レヴィとデヴィッド・リッグ、ケネス・J・ホールの3人。ホールは『ナイトメア・シスターズ』(87)や『パペットマスター』(89)の脚本家としても知られる人物だが、他の2人については全くの詳細不明。果たして支離滅裂な脚本は誰の責任なのか、とても興味深いところではある(笑)
 撮影を担当したのは、アンディ・シダリスやデヴィッド・デコトーのカメラマンとしても知られるハワード・ウェクスラーと、アル・アダムソンやゲイリー・グレイヴァーのクズ映画を幾つも手掛けたR・マイケル・ストリンガーの2人。さらに、SFXマンとして有名なジョン・V・ファンテとジョン・ヴァリッチが、ノー・クレジットで撮影に協力しているらしい。
 また、共同製作に名を連ねているナンシー・パロイアンは、その後デンゼル・ワシントンの監督作『きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー』(02)や、ロビン・ウィリアムス主演の『ファイナル・カット』(04)などのメジャー作品を手掛けている女性プロデューサーだ。
 その他、『グーリーズ』(85)や『テラービジョン』(85)のクリーヴ・ホールが特殊効果を、テレビ・ドラマで知られる作曲家ブルース・ハニファンが音楽スコアを担当している。

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警備員ジェイクを演じるアラン・ヘイル・ジュニア

浮浪者キャプテン・ネッド役のアルド・レイ

サンダース刑事役のキャメロン・ミッチェル

 ハリウッドの栄枯盛衰を題材にしているだけあって、キャストには往年のハリウッド・スターがズラリと勢ぞろい。とはいっても、いずれもゲスト出演程度の扱いなのだが。主演としてクレジットされているジョン・アイアランドなんぞは、最後の15分程度しか出番が用意されていない。
 そのアイアランドは、ジョン・ウェインと共演した西部劇『赤い河』(48)の早撃ちガンマン役で知られる名優。ギャング映画の悪役としても御馴染みの顔だった。そして、こちらもラスト20分頃に登場して、ほんの数分程度の出番で殺されてしまうサンダース刑事役のキャメロン・ミッチェルは、『百万長者と結婚する方法』(53)でローレン・バコールに恋する若者を演じていた俳優。B級映画のヒーローとしても有名なスターだった。
 警備員ジェイク役を演じているアラン・ヘイル・ジュニアは、『スプリングフィールド銃』(52)や『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』(57)など西部劇の脇役として有名な名優。惨殺される浮浪者キャプテン・ネッド役のアルド・レイは、『雨に濡れた欲情』(53)でリタ・ヘイワースの相手役を演じていたタフガイ・スターである。そして、冒頭で殺される管財人マイケルズ役のダン・ハガーティは、70年代のテレビ・ドラマ“The Life and the Times of Grizzly Adams”(77〜78)で一世を風靡した巨漢俳優だった。
 一方の若手キャストはいずれも無名の俳優ばかり。キャシー役のステイシー・グリーソンと、チップ役のウィリアム・C・バトラーは、『13日の金曜日PART7/新しい恐怖』(88)で一番最初に殺されるカップル役を演じていた。また、ロレイン役のカーラ・バロンは、後に占星術師として有名になったらしい。そして、首を切断されて殺されるシェリー役のジェイミー・サマーズは、ハードコア・ポルノの女優として活躍した人だった。

 

ナイトメア・シスターズ
Nightmare Sisters (1987)

日本では劇場未公開
VHSは日本発売済・DVDは日本未発売

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(P)2003 Retromedia (USA)
画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/
81分/製作:アメリカ

映像特典
未公開NG集
スチル・ギャラリー
オリジナル劇場予告編
監督・製作者による音声解説
主演女優3人による音声解説
監督:デヴィッド・デコトー
製作:デヴィッド・デコトー
脚本:ケネス・J・ホール
撮影:ヴォイスラフ・ミクリッチ
音楽:デル・キャッシャー
出演:リニア・クイグリー
    ブリンク・スティーヴンス
    ミシェル・バウアー
    リチャード・ガバイ
    ウィリアム・ドリスタス
    マーカス・ヴォーター
    サンディ・ブルック
    ジム・カルヴァー
特別出演:マイケル・ソニエ

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地味でおブスな女の子メロディ、ミッキー、マーシー

メロディたちは男の子を招待してパーティを開く

マーシー(B・スティーヴンス)が降霊術を始める

 おバカなC級ホラーを撮らせたらフレッド・オーレン・レイの次に天下一品のデヴィッド・デコトー監督が、3大スクリーム・クィーンの豪華競演でお届けする能天気なホラー・コメディ。B級ホラー・マニアの素人が悪ノリで作っちゃいました、みたいなデタラメさとイイ加減さが実に愉快な作品だ。個人的に、こういうヤンキー的な頭の悪さは大・大・大好きである。
 しかも、バカ丸出しのヘビメタなテーマ曲がまた最高!“サキュサキュサキュサキュ、サッキュバス!サキュサキュサキュサキュ、サッキュバス!”だもんね。ホント、救いようがないくらいにバカなんだから(笑)
 主人公は地味でおブスな3人の女子大生。せっかくの週末を女子寮で過ごさねばならなくなった彼女たちは、こちらも冴えない男子学生3人を招いてパーティを企画する。で、たまたまフリーマーケットで手に入れた水晶玉で降霊術を行ったところ、ヒロインたちは別人のようなセクシー美女に変身。実は水晶玉には淫乱な悪魔サキュバスが棲みついており、彼女たちに取り憑いてしまったのだ・・・!
 てなわけで、全編に渡って知能レベルの低いギャグとオッパイが満載。英語が分からないとピンとこないようなギャグが日本人にとってはちょっと難かもしれないが、まあ、大したことは言ってないので構わんでしょう(笑)

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呆気にとられるデュウェイン、ケヴィン、フレディ

セクシー美女に変身したミッキー、メロディ、マーシー

いじめっ子のフィルたちも大興奮!

 ここはとある大学の女子寮。ほとんどの学生が週末で出払ってしまっている中、3人の女の子たちが寂しく取り残されていた。ピアノが趣味の出っ歯なメロディ(リニア・クイグリー)、骨董品集めが趣味のメガネっ娘マーシ(ブリンク・スティーブンス)、そして大食漢のおデブちゃんミッキー(ミシェル・バウアー)。
 地味で目立たない彼女たちは、せっかくの週末だというのに何の予定もない。そこで、メロディは1回だけデートしたことのある男子学生ケヴィン(リチャード・ガバイ)に電話をかけて、友達を連れてパーティに来ない?と誘ってみることにした。
 モテない男子のケヴィンはすっかりその気になり、同じくモテないルームメイトのフレディ(マーカス・ヴォーター)とデュウェイン(ウィリアム・ドリスタス)の2人を誘う。しかし、いじめっ子のフィル(ティモシー・カウフマン)たちに邪魔をされて、男子寮の外に出ることを禁止されてしまった。
 約束の時間になっても男子たちが現れず、やっぱり私たちはブスだから・・・と諦めていたメロディたちだが、なんとか男子寮を抜け出したケヴィンたちがやって来た。一通り遊び終えた彼らは、マーシがフリーマーケットで手に入れたという水晶玉で降霊術をやってみることにする。
 ところが、水晶玉の中から不気味な顔が現れ、辺りは異様な光に包まれた。呆気にとられるケヴィンたちが気付くと、そこには別人のようなセクシー美女に変身したメロディとマーシ、ミッキーの3人が。しかも、全員Tバック一枚のあられもない姿になっていた。
 思わず興奮するケヴィンたちだったが、よくよく考えるとおかしい。地味で大人しかった彼女たちが、打って変わったように淫乱な様子で誘惑してくるのだから。もしかしたら、何かに取り憑かれてしまったのではないかと、ケヴィンたちは疑いを持つのだった。
 一方、女子寮を覗き見していたフィルと仲間たちは、トップレスのセクシー美女出現に大興奮。あんな冴えない奴らにはもったいないとばかりに、ケヴィンたちを次々と拉致して納屋に放り込んでしまった。代わりにセクシー美女のお相手を務めるフィルと仲間たち。
 だが、メロディたちは男の精気を吸って灰にしてしまう悪魔サキュバスに取り憑かれていた。次々とサキュバスの餌食となるフィルたち。納屋を脱出したケヴィンたちはその現場を目撃し、急いで電話帳を開いてエクソシストを呼び寄せた。現れたのは牧師の格好をしたタダのオッサン。かくして、悪魔サキュバスとエクソシストの壮絶(?)なる闘いが始まるのだった・・・?

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いじめっ子男子をベッドに誘惑するミッキー(M・バウアー)

本性を現したミッキーが男の精気を吸い尽くす!

いじめっ子番長フィル(T・カウフマン)も餌食に

 いや、ほとんどマンガというかカートゥーンの世界。フレッド・オーレン・レイが『セクシー・デビル/悪魔はTバックがお好き』というアニメと実写を合体したエロ・ホラーを撮っているが、根本的なノリはほとんど一緒だ。エロもギャグも中学生レベル。この屈託のない無邪気さが何とも楽しい。
 脚本は上記の“Terror Night”を手掛けていたケネス・J・ホール。『Dr.エイリアン』(89)や“Blonde Heaven”(95)でもデコトー監督と組んでおり、フレッド・オーレン・レイの『ネフレイティスの秘宝』も手掛けていたという筋金入りのおバカさんだ(笑)
 撮影監督のヴォイスラフ・ミクリッチはセルビアの出身で、本作を皮切りに低予算のホラー映画を幾つも手掛けたカメラマン。また、特殊アニメーション効果を担当しているブレット・ミクソンは、ロトスコープの第一人者として『トレマーズ』(90)や『ターミネーター2』(91)、『JM』(95)、『スノーホワイト』(97)などのメジャー作品を数多く手掛けているVFXマン。その一方で、デコトー監督作品やフレッド・オーレン・レイ監督作品のアニメーション効果も数多く担当していた。

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ケヴィン(R・ガバイ)たちはエクソシストを呼ぶことにする

サキュバスに立ち向かうエクソシスト(J・カルヴァー)

ついに姿を見せた悪魔サキュバス

 で、悪魔サキュバスに取り憑かれるヒロインたちを演じるのは、リニア・クイグリー、ブリンク・スティーヴンス、そして我らがミシェル・バウアーの“3大スクリーム・クィーン”。他でも共演作が少なくない彼女たちなだけに、文字通り息もピッタリの楽しそうな演技を見せてくれる。
 中でも、やはりミシェルのノリの良さは最高!シリコン・オッパイをプルンプルンさせながら、セクシーでお下品なコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮している。ここまでアッケラカンとしていると、逆に健康的に見えてしまうのだから不思議だ。
 そのほか、ケヴィン役にはミシェル・バウアーも出演したホラー・コメディ“Assault of the Party Nerds 2”(95)や“Popstar”(05)などのB級映画監督として知られるリチャード・ガバイ、いじめっ子の一人バッド役には宗教と同性愛をテーマにした映画“Latter Days”(04)で高く評価された映画監督C・ジェイ・コックスが扮している。
 なお、オープニングにはフレッド・オーレン・レイ作品の常連として有名な怪優マイケル・ソニエと、同じくオーレン・レイの『宇宙要塞からの脱出』に主演していた女優サンディ・ブルックがゲストとして登場。80年代B級映画ファンにとっては嬉しいオマケだ。

 

女切り裂き狂団チェーンソー・クィーン
Hollywood Chainsaw Hookers (1988)
日本では劇場未公開
VHSは日本発売済・DVDは日本未発売

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(P)2008 Infinity/Retromedia (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録
)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/75分/製作:アメリカ

映像特典
メイキング・ドキュメンタリー(23分)
オリジナル劇場予告編
監督・脚本家による音声解説
監督:フレッド・オーレン・レイ
製作:フレッド・オーレン・レイ
脚本:フレッド・オーレン・レイ
    T・L・ランクフォード
撮影:スコット・アンドリュー・レスラー
音楽:マイケル・ペリルステイン
出演:ガンナー・ハンセン
    リニア・クイグリー
    ジェイ・リチャードソン
    ドーン・ワイルドスミス
    ミシェル・バウアー
    エステル・エリーズ
    トリシア・バーンズ
    マイケル・ソニエ

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家出少女の行方を捜す私立探偵チャンドラー(J・リチャードソン)

ナイトクラブにたむろす売春婦の一人マーセデス(M・バウアー)

 チェーンソーにガンナー・ハンセンときたら、ホラー映画ファンなら誰もがトビー・フーパーの傑作『悪魔のいけにえ』を思い浮かべることだろう。あのレザーフェイスの恐怖をいま一度!というホラー・ファンの余計な(?)期待感を、ものの見事に裏切ってくれたC級ホラー・コメディがこいつだ。
 そもそも、天下のバカ映画監督フレッド・オーレン・レイに真面目なホラー映画を期待する方がお門違いというもの。分かる人にしか分からない楽屋落ち的ギャグの連発で、最後の最後までオーレン・レイ節が全開。最高に下らなくて楽しいバカ映画に仕上がっている。
 家出した少女の行方を捜索する私立探偵がたどり着いたのは、チェーンソーを振りまわして男たちを血祭りにあげる売春婦たちのカルト教団。その教祖が元レザーフェイスのガンナー・ハンセンということで、一応は『悪魔のいけにえ』に対するオマージュなのだろうが、結果的に冒涜となってしまった感は否めないところ(笑)
 で、一応ヒロイン役を演じるのはリニア・クイグリーなのだが、実質的にはミシェル・バウアーの映画といっても差し支えないだろう。リニアよりも圧倒的に出番が多いのはもちろんのこと、オッパイを揺さぶりながらチェーンソーを振りまわし、歓喜の表情を浮かべながら血飛沫にまみれる姿は素晴らしいの一言!その勇姿はポスターやビデオ・パッケージにもデカデカと使われ、これ一本で彼女は80年代スクリーム・クィーンの座を確固たるものとしたわけである。

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男性客をチェーンソーで切り刻むマーセデス

カルト教団の教祖(G・ハンセン)

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チャンドラーは馴染みのコールガール(D・ワイルドスミス)から情報を得る

ナイトクラブに潜入捜査するチャンドラー

 ロサンゼルスを根城にする私立探偵ジャック・チャンドラー(ジェイ・リチャードソン)は、家出をした若い女性サマンサ(リニア・クイグリー)の行方を捜して欲しいという依頼を受ける。やがて独自の調査を開始した彼は、夜のハリウッドに暗躍する恐怖のカルト教団の存在を知ってしまうのだった。
 それは、ハリウッド大通りのとあるナイトクラブ。店にたむろするマーセデス(ミシェル・バウアー)ら妖艶な売春婦たち。実は、彼女たちはチェーンソーを崇拝するカルト教団のメンバーで、夜な夜な男性客をホテルに連れ込んでは、チェーンソーでバラバラにして殺しまくっていた。店の奥に鎮座する謎の男(ガンナー・ハンセン)は彼女たちの教祖。バーテンダーのジェイク(マイケル・ソニエ)ら従業員も、全てカルト教団のメンバーなのだ。
 顔見知りのコールガール、ロリー(ドーン・ワイルドスミス)から情報を得たチャンドラーは、そのナイトクラブでダンサーとして働いているサマンサを発見する。しかし、マーセデスの罠にかかり、チャンドラーはカルト教団に囚われてしまった。あわや生贄にされかかった彼だが、サマンサの助けで脱出することに成功する。
 親友がカルト教団によって殺されたサマンサは、復讐のため教団に潜入していたのだ。そうと知ったチャンドラーは彼女と協力し、真夜中に行われる教団の黒ミサに忍び込むことにする。しかし、警備員によって見つかり、2人とも捕まってしまった。やがて始まる黒ミサの儀式。果たしてサマンサとチャンドラーは無事に脱出し、カルト教団を一網打尽にすることが出来るのか・・・?

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家出少女サマンサ(L・クイグリー)はクラブのダンサーになっていた

囚われの身となってしまったチャンドラー

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売春婦たちはチェーンソーを崇拝するカルト教団のメンバーだった

カルト教団を一網打尽にするため協力するサマンサとチャンドラー

 とまあ、ストーリー自体が非常に軽いノリなわけだが、ホラー・ファンにとって肝心要のスプラッター・シーンもかなりのユルさ。ゴアよりもエロ、シリアスよりもギャグに重点が置かれている。チェーンソーで切り刻まれた男の腕が、血糊まみれになったミシェル・バウアーのオッパイをムンギュッと掴むシーンで大笑いができるなら、最後まで素直に楽しめるはずだ。
 私立探偵の名前がレイモンド・チャンドラーをもじってたり、探偵事務所のセットが50年代のフィルム・ノワール風だったり、イルサなんて名前の売春婦が出てきたりと、監督の個人的趣味を反映したオマージュの数々も相変わらず微笑ましい。映画に対する才能の伴わない愛情という意味では、あの『シベ超』にも相通ずるものがあるだろう。
 ちなみに、本作の撮影期間はたったの5日間半。当時彼が協力していた『クルージング・ヘル』(87)という映画の制作会社から、ギャラの代わりに週末だけ撮影機材を借りて撮ってしまったという。探偵事務所のセットはその制作会社のオフィスを使い、クライマックスの黒ミサ・シーンは映画『ガバリン』(86)のセットを流用している。もちろん全てタダ。最低予算映画の帝王フレッド・オーレン・レイの面目躍如たるところだろう。
 また、撮影に使用されたチェーンソーは全て本物で、刃の部分だけフェルト製のニセモノを使ったそうだ。とはいえ、女性が持つには重過ぎるし、撮影現場にはオイルやガスの匂いが充満して大変だったという。サマンサが黒ミサで両手にチェーンソーを持って踊るシーンでは、大量のガスを吸い込んだリニア・クイグリーがフラフラになってしまったらしい。
 脚本に参加しているT・L・ランクフォードは、『スカルプス』(83)以来オーレン・レイ監督とたびたび組んでいる盟友。また、撮影のスコット・アンドリュー・レスラーは、『クルージング・ヘル』のカメラ・アシスタントをしていた人物で、撮影監督を務めるのは本作が初めてだった。機材と一緒にスタッフまで借りてくるとは、監督もなかなかやるもんですなあ(笑)
 なお、特殊メイク・デザインを担当したのは、コールガール役で出演もしている当時のオーレン・レイ夫人ドーン・ワイルドスミス。当時12歳だった息子クリスも、ナイト・クラブの客(!)としてチラリと顔を出している。

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カルト教団の黒ミサが始まった・・・

サマンサとマーセデスのチェーンソー対決!

 さてさて、主演のリニア・クイグリーがオーレン・レイ監督と組むのは、これが初めてのこと。以前から監督の大ファンだったという彼女は、常連スターである親友ミシェル・バウアーに頼んで彼に紹介してもらい、本作への出演に至ったらしい。
 一方、教祖役のガンナー・ハンセンは、先にも述べたとおり『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス役で有名なホラー・アイコン。その容貌に似合わず本人は意外にも物静かなインテリで、一時期は作家を志して俳優業から足を洗っていたこともある。
 私立探偵役を演じるジェイ・リチャードソンは、フレッド・オーレン・レイやジム・ウィノースキーの作品の常連として知られる俳優。これまでに90本近くの低予算映画に出演しており、知る人ぞ知るB級映画スターと言えるだろう。
 なお、黒ミサ・シーンでは本物の売春婦たちがエキストラとして登場。監督もまさかスタッフが本物を連れてくるとは思っていなかったらしく、酔っ払って現場にやって来た彼女たちを前にして途方に暮れたらしい(笑)

 

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