ミシェル・フーガン Michel Fugain
永遠のミスター・サマータイム

 

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 日本のコーラス・グループ、サーカスが「ミスター・サマータイム」としてカバーした永遠の名曲“Une belle histoire”で有名なフランスのシンガー・ソングライターである。60年代〜70年代にかけて、フランスは素晴らしいシンガー・ソングライターを数多く輩出した。その中で、ボクが勝手に三大ミシェルと呼んでいるのが、ミシェル・ポルナレフ、ミシェル・デルペシュ、そしてミシェル・フーガンだ。
 ポップで爽やかでちょっとトンガったポルナレフ、しっとりとした正統派貴公子のデルペシュに比べ、自由奔放でロマンティックで人間臭いのがフーガンの持ち味と言えるかもしれない。特に70年代初期の作品は、当時のフラワー・パワー全開のハッピーで開放感に溢れた素晴らしいポップ・ナンバーばかりで、それはもう愛さずにはいられない。
 サイケデリックなギターとソウルフルなリズムにメロウで素朴なメロディを乗せた“Ballad en Bugati”('70)、軽快なサンバのリズムにゴスペル・コーラスが炸裂する“Soleil”('70)、スケールの大きなコーラスとリズミカルなアフロ・ビート、爽やかでポップなメロディが突き抜けるほどに爽快な“Attention Mesdames et Messieurs”('72)など、本当にカッコ良くて気持ちの良いフレンチ・ポップを次々と生み出した。

 1942年5月12日、1968年の冬季オリンピックが行われた事で有名な町グレノーブルに生まれる。医者だった父親の後を継ぐべく医学を学んだフーガンだったが、熱狂的な映画ファンだった彼は21歳のときに医学の道を諦め、父親の知り合いのつてを頼って映画界へ。助監督として働いていた彼は、若手俳優ミシェル・サルドゥと親しくなる。フーガンに作曲の才能があることを知ったサルドゥは、自らのオーディション用として彼に曲を書いてもらった。これがレコード会社バークレイに認められ、フーガンは作曲家としてダリダやマリー・ラフォレ、ユーグ・オーフレらに楽曲を提供するようになる。
 1965年にシングル“C'est que je t'aime”でデビュー。67年にリリースした“Prends ta Guitare”と“Je n'aurai pas le temps”が大ヒットし、一躍人気スターとなった。しかし、多忙な日々に疲れ切ってしまい、1969年に一時休業する。翌年にはカムバック。
 1972年には若手の歌手やダンサー、ミュージシャンを集めた11人編成のフラワー・チルドレン的音楽集団Le Big Bazarを率いてアルバム“Fais comme l'oiseau”をリリース。ここから“Une belle histoire”(ミスター・サマータイム)が爆発的な大ヒットとなった。さらに、Fugain & Le Big Bazarとしてツアー活動も積極的に行い、フランス中のヒッピー世代の心を捉えた。

 その後はパンク・ムーブメントの台頭などにより、ハッピーでポップなフーガンの作品は時代遅れとなってしまい、77年にはLe Big Bazarも解散。79年には学校を設立して若手の育成に専念するようになった。しかし、1982年にはテレビにカムバックし、85年にはシングル“La fille de Rockfeller”を大ヒットさせている。その後も、コンスタントに音楽活動を続けており、2004年にリリースしたアルバム“C'est pas de l'amour, mais c'est tout comme”も話題になった。
 ということで、現在もベテラン・アーティストとして活躍しているフーガンだが、やっぱり“Une belle histoire”の頃が最高。その若々しいパワー、ピュアな輝き。あれこそフレンチ・ポップスの楽しさだと思う。

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“Une Belle Histoire”のテレビ映像 ココ で見れます!

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Fais comme l'oiseau (1972)

Michel Fugain

Gold

Master Serie

(P)2000 Sony Music (France) (P)1990 CBS Disques (France) (P)1999 Sony Music (France) (P)2000 Universal (France)
1,Attention mesdames et messieurs
2,Fais comme l'oiseau
3,Notre societe
4,Les gens irremplacables
5,Une belle histoire
6,Leda Leda
7,L'arche de noe
8,Les cerises de monsieur Clement
9,Nous sommes
10,L'oiseau
11,Allez bouge-toi
1,Balade en Bugati
2,On laisse tous un jour
3,Je rends mon tablier
4,Comme un soleil
5,Le temps de ma chanson
6,Le temps met longtemps
7,On ne se refait pas
8,Toi qui me ressembles
9,soleil
10,La corde au cou
11,Si tu decidais
12,C'est pas ma faute si j'ai pas fait verdun
13,Ouvre un petit peu les yeux
14,Yoi qui ne me salues pas
15,Le jeu et le vent
1,Attention mesdames et messieurs
2,Fais comme l'oiseau
3,Une belle histoire
4,L'arche de noe
5,Depeche-toi duet with Marie Roos)
6,Les cerises de monsieur Clement
7,Les gens irremplacables
8,Soleil
9,Balade en Bugatti
10,La corde au cou
11,Je rends mon tablier
12,Allez bouge-toi
13,On laisse tous un jour
1,C'est que je t'aime
2,Ne dis plus rien
3,La famille Fugain
4,Tu peux compter sur moi
5,Prends ta Guitare, chante avec moi
6,Un homme, un enfant
7,Je n'aurai pas le temps
8,Si je reviens la belle
9,Si tu vas la-bas
10,Les fleurs de Mandarine
11,Le enfants trop grands
12,Quand l'oiseau chante
13,Le petit Nicolas
14,On a la mer
15,A qui crois-tu donc que je pense ?
16,Laissez-moi essayer
17,Le grand comique
 フレンチ・ポップ・ファンのみならず、ソフト・ロック・ファンも必携の大傑作アルバム。メロウで爽やかでダンサンブルなポップ・ナンバーを詰め込んだ素晴らしい作品です。目玉は何と言っても「ミスターサマータイム」の原曲#5。サーカスのバージョンよりもギター・ポップ色の強い爽やかな仕上がり。アカペラとアフロビートのオープニングが猛烈にカッコいい#1、ブラジルの男性デュオAntonio Carlos & Jocaliの名曲“Voce Abusou”をカバーした#2、ストリングスと電子オルガンの実験的なサウンドが印象的なドラマティックな哀愁バラード#6など、何度聴いても飽きのこない楽曲ばかり。奇跡のような1枚です。  1969年から71年までの作品を網羅したコンピレーション盤。サイケデリックでグルーヴィーでメロウなキラー・チューン#1、ノスタルジックでハッピーなボードビル・ナンバー#2、爽やかで楽しいギター・ポップ・ナンバー#5、女の子のハート一撃の美しくも切ないバラード#7、サンバとゴスペルを合体させた超ファンキーで爽快な#9など、いい曲が揃ってます。ブラジル・サウンドやアフロ・ジャズ、ラテン・ジャズ、サイケデリック・ロックなどの影響を受けながら、爽やかでハッピーな極上のポップ・ナンバーを聴かせてくれます。既に廃盤ですが、中古で見かけたら迷わずゲットすべし。オススメです。  こちらは1970年〜72年までのヒット曲を集めたベスト盤。フランスのソニーが所属アーティストのベスト盤シリーズとして出していた“Gold”シリーズの中の1枚です。とりあえず、左の2枚を持っていればほとんど必要のない1枚ではありますが、注目は#5。女性シンガーMarie Roosとのデュエットで、ソウルフルなボーカル、ギターとパーカッションだけのシンプルかつクールでサイケデリックなサウンドがインパクト強烈な作品。この曲が含まれている彼のCDは非常に少ないので、これだけのために持っていても損はしないでしょう。  ジャケット写真は90年代のものが使われていますが、中身は60年代のヒット曲を集めたベスト盤です。70年代の楽曲でファンになった人が聴くと、ちょっと肩透かしを食らってしまうようなオーソドックスなシャンソン/プレンチ・ポップスが中心。それでも、随所でモータウン・サウンドやフォーク・ロックの影響がチラホラとしていて興味深いですね。どの楽曲も決して出来が悪いわけではないので、純粋にオールディーズなフレンチ・ポップスとして聴けば十分に楽しむことが出来ます。ミシェル・サルドゥの為に書いた#7は静かで美しい名曲。フランク・プールセルなどもカバーしています。

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