ディスコ・アーティスト列伝<19>
メル&キム Mel & Kim

 

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 カイリー・ミノーグやリック・アストリーなどのスーパー・スターを生み出し、80年代イギリスにおける最大のヒット・メーカーとなったプロデューサー・チーム、ストック・エイトキン・ウォーターマン。その彼らにとって初めての全英チャート・ナンバー・ワンをもたらし、彼らの製作プロダクションPWLがヒット・ファクトリーと呼ばれるようになる大きな足掛かりを作ったのが、このロンドン下町出身の姉妹デュオ、メル&キムだった。
 デビュー曲“Showing Out”でいきなり全英チャート3位をマークし、アメリカでもビルボードのダンス・チャートで1位を獲得。さらに、セカンド・シングル“Respectable”が全英チャート1位に見事輝き、同じくビルボードのダンス・チャートでも再び1位を記録した。それまでにもヘイゼル・ディーンやバナナラマ、デッド・オア・アライブなどのトップ10ヒットを手掛けていたS/A/Wではあったが、専属アーティストとしてこれほど大きな成功を収めることができたのはメル&キムが初めて。彼女たちがいなければ、もしかしたらPWLの全盛期もなかったかもしれない。
 それでは、なぜメル&キムが大成功を収めることが出来たのか?これはもう、全てのタイミングが見事にマッチしていたからという他ないかもしれない。まず当時のS/A/Wがクリエイティブ・チームとして上昇気流の真っただ中にあったこと。しかも、初期のヘイゼル・ディーンやディヴァインに代表されるハイエナジー路線を経て、プリンセスやスリー・ディグリーズの作品で打ち出したソウル・ミュージック路線へと裾野を広げていた当時の彼らは、音楽的な面で非常に柔軟性が高かった。後のいわゆるPWLサウンドと呼ばれる決まりきったフォーマットに陥ることもまだなかったし、なによりも特定のアーティストに腰を据えて取り組むだけの時間的な余裕がまだあったのである。
 そんな彼らがメル&キムの作品に取り入れたのは、当時世界的に注目されつつあったシカゴ・ハウス。ちょうどスティーヴ・シルク・ハーリーの“Jack Your Body”やファーリー・ジャックマスター・ファンクの“Love Can't Turn Around”がイギリスやヨーロッパのチャートを席巻し始めていた時期でもあり、彼女たちの存在はそうしたアメリカ発のハウス・ミュージック・ムーブメントに対するイギリスからの最初の明確なアンサーだったと言えよう。つまり、絶妙のタイミングで音楽的なトレンドを先駆けていたのだ。
 さらに、最先端のストリート・モードを取り入れた彼女たちのファッションや、ジャマイカ人の血を引く個性的なルックスなどの尖がったビジュアル・イメージも、クラブ・カルチャーが台頭しつつあった時代のニーズに適っていた。彼女たちのためにS/A/Wの3人が作り出したサウンドも含めて、80年代後半の音楽シーンに出るべくして出てきたアーティストだったのである。

 よく双子だと間違われるメルとキムだが、実は5つ違いの姉妹。姉のキム・アップルビーは1961年8月28日、妹のメラニーは1966年7月11日、共にロンドンの悪名高い貧民街ハックニー地区に生まれ育っている。父親はジャマイカ人で母親はイギリス人。家庭は非常に貧しく、さらに両親が離婚したこともあって、姉妹は少女時代から精神的に相当タフだったそうだ。
 姉のキムは17歳で未婚のまま出産し、女手一つで子供を育てるためにミシン縫いの仕事を始める。妹のメラニーも当初は同じ仕事をしてたそうだが、手先が不器用だったために長続きせず、やがて男性誌やタブロイド紙のグラビアを飾るヌード・モデルとなった。
 さらに、下着姿の美女たちがセクシーなダンスを繰り広げる“グラマー・ガール・ロード・ショー”という一座のダンサー兼シンガーとなったメラニーは、ある晩ロンドンのナイトクラブで一人の男性を紹介される。その男性とはスティーヴ・ローランドというアメリカ人の芸能プロデューサー。メラニーがプロの歌手を目指していると知ったローランドは興味を示すものの、当時の彼が求めていたのは女性デュオだった。
 そこで、メラニーは姉のキムを彼に紹介。もともと幼い頃から歌手に憧れていたキムだったが、そんなうまい話が転がっているはずはないと当初は疑心暗鬼だったそうだ。だが、実際に会ったローランドは真っ当なビジネスマンで、その話も信頼して良さそうだった。彼の方でも姉妹のことをすっかり気に入り、彼女たちをレコード会社へ売り込むためにボイス・トレーニングやデモ・テープの製作を始めることとなる。
 それからほどなくして、ローランドは姉妹をシュープリーム・レコードの社長ニック・イーストに引き合わせた。シュープリーム・レコードは当時プリンセスの“Say I'm Your Number One”をヒットさせていた会社であり、そのプロデュースを手掛けていたのがストック/エイトキン/ウォーターマンの3人。プリンセスの大ファンだった姉妹は当初から大変乗り気だったそうだ。
 すぐにシュープリーム・レコードとの契約が決まったキムとメラニー。実はローランド自身がプロデュースすることを望んでいたらしいのだが、社長イーストの判断でS/A/Wの3人に任されることとなった。後にキム自身も語っているが、86年初頭というこの時期にPWLの3人と出会うことが出来たのは彼女たちにとってラッキーなことだったと言えよう。
 バナナラマの“Venus”やデッド・オア・アライブの“You Spin Me Round”をヒットさせていた当時のS/A/Wだったが、一般的な知名度という点ではまだまだ低かった。翌年のカイリー・ミノーグやリック・アストリーのデビューで一気にブームが訪れ、まさにヒット・ファクトリーの名のごとくヒット・ソングの大量生産に追われることとなるわけだが、当時のPWLには時間的なゆとりと家族的な雰囲気が溢れていたという。
 そのため、S/A/Wの3人もメル&キムの音楽制作やイメージ作り、マーケティングなどに集中することが出来た。実際、初めの頃はスタジオ・ワークよりも近所のパブで一緒に飲み明かすことの方が多く、そこで話し合った会話、姉妹の生い立ちや趣味、考え方やライフスタイルなどを、S/A/Wの3人は積極的に楽曲へ取り込んだのだという。

 最初に姉妹がレコーディングしたのは、プリンセス路線のアーバンなソウル・グルーヴ“System”。しかし、ピート・ウォーターマンはデビュー曲に相応しいインパクトが足りないと直感し、本来はB面ソングにする予定だった“Showing Out”をファースト・シングルとして選んだ。この判断は正しかったと言えよう。
 86年9月に発売されたシングル“Showing Out”は徐々に全英チャートを駆け上がり、その年の11月には最高3位をマーク。ドイツやオランダ、スイスではヒット・チャート1位を獲得し、アメリカでもビルボードのダンス・チャートで1位となった。この成功を受けて、メル&キムはS/A/Wとタッグを組んでアルバム製作に取り掛かる。
 その先行シングルとして87年2月に発売されたのが“Respectable”。実は、この楽曲には当時の彼女たちの思いが色濃く反映されている。というのも、“Showing Out”の大ヒットで一気に世間の注目を集めた彼女たちだったが、目ざといマスコミがメラニーのヌード・モデルだった過去をすっぱ抜いてしまったのだ。いずれバレるであろうことは覚悟していた姉妹だったが、さすがにこれほど早く嗅ぎつけられるとは思ってもみなかった。
 怒られることを覚悟でピート・ウォーターマンに事実を知らせた二人。しかし、ウォーターマンは怒るどころかジョークで笑い飛ばして姉妹を慰めてくれたという。こういうピンチは笑って乗り越えるしかない。別に自分たちは偉そうにするつもりなんて全くない。そんな姉妹の思いをS/A/Wが汲み取って楽曲にしたのが、この“Respectable”という楽曲だったわけだ。
 全英チャートを筆頭に世界各国でナンバー・ワンを獲得し、イギリスだけで50万枚を売り上げた“Respectable”。この連続ヒットでいよいよメル&キムの人気は本格的なものとなった。4月に発売されたファースト・アルバム“F.L.M.”が全英7位をマ記録し、7月に発売された同名のサード・シングルも全英3位をマーク。順調すぎるくらいに順調なキャリアを歩む姉妹だったが、その裏で思いもよらない試練が彼女たちを待ち受けていた。
 プロモーション活動のために来日し、『夜のヒットスタジオ』などの音楽番組へ出演したメル&キム。しかし、その最中にメラニーが背中の痛みを訴えるようになった。当初はハードなステージ・パフォーマンスによる疲労が原因だと考えられたものの、検査の結果、癌に侵されていることが判明したのである。
 実は、メラニーが癌を告知されたのはこれが初めてではなかった。その2年前のダンサー時代に一度治療を受け、完治したはずだったのだ。だが、残念ながら癌は転移していた。ロンドンへ戻ったメラニーは治療のために入院し、予定されていたスケジュールは全てキャンセルに。マスコミはすぐ異変に気付いたものの、姉妹は家族のプライバシーを考えて病気の公表を控えることにした。
 それから数か月がたった頃。治療の効果で徐々に元気を取り戻したメラニーは、仕事への復帰を望むようになる。妹の気持ちを察したキムは、PWLのピート・ウォーターマンを訪ねた。もちろん、ウォーターマンは姉妹の復帰を喜んで歓迎してくれた。彼はメル&キムのプロジェクトとして製作途中だった楽曲の音源を大切に保管していた。その一つをアレンジし直し、歌詞を書き直したのが、姉妹にとって10ヶ月ぶりの新曲となったシングル“That's The Way It Is”だった。
 88年2月に発売された“That's The Way It Is”は、本人たちのプロモーションが全くないにも関わらず、全英チャート10位をマークするヒットを記録。依然としてメル&キムの人気が高いことが証明された。さらに、姉妹はメラニーの病気を正式に公表。だが、周囲の願いもむなしくメラニーの病状は回復することなく、1990年1月18日ロンドンの病院で息を引き取った。享年23歳。

 その後、ソロ歌手として活動を再開したキムは、もともとメル&キムのセカンド・アルバム用に書かれた楽曲“Don't Worry”を90年10月にリリース。全英チャート2位をマークする大ヒットとなり、翌年のシングル“G.L.A.D.”も全英10位のスマッシュ・ヒットとなった。アルバム“Kim Appleby”も全英25位にランク・イン。だが、93年に発売されたセカンド・ソロ・アルバム“Breakaway”がセールス的に振るわず。94年にはPWLを離れたストック&エイトキンと組んでシングル“Free Spirit”を発表するが、こちらも全英51位と低調な結果に終わってしまった。
 04年にドイツの人気DJ、トンカのアルバム“84”にゲスト・ボーカリストとして参加し、久々に音楽シーンへ戻ってきたキム。07年にはニューヨークのダンス・レーベル、ストリクトリー・リズムからダウンロード配信用の新曲“High”を発表。さらにテレビのバラエティ番組などへゲスト出演したり、今年はドイツのクラブ・ユニット、レフトハンドのアルバムにボーカル参加したりと、現在もマイペースで芸能活動を続けている。

 

アルバム

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F.L.M. (1987)

F.L.M. <Deluxe Edition> (2010)

(P)1987 Supreme Records (UK) (P)2010 Cherry Pop/EMI Records (UK)
1,F.L.M. 3:56
2,Showing Out 5:12 ビデオ
3,Respectable 5:43
4,Feel A Whole Lot Better 4:28
5,I'm The One
   Who Really Loves You 3:42 ビデオ
6,More Than Words Can Say 4:10 ビデオ
7,System 4:09
8,From A Whisper To A Scream 3:21
9,Who's Gonna Catch You 3:35 ビデオ
10,Showing Out (Freehold Mix)4:39
11,Respectable
  (Extra Beats Version)6:12

produced by Stock Aitken Waterman
#2 mixed by Phil Harding
#3 mixed by Phil Harding & Pete Hammo
nd
all other tracks mixed by Pete Hammond
DISC ONE
1,F.L.M. 3:33 ビデオ
2,Showing Out 3:36 ビデオ
3,Respectable 3:23 ビデオ
4,Feel A Whole Lot Better 4:28
5,I'm The One Who Really Loves You 3:41
6,More Than Words Can Say 4:10
7,System 4:09
8,From A Whisper To A Scream 3:25
9,Who's Gonna Catch You 3:36
bonus tracks
10,That's The Way It Is 3:27
11,You Changed My Life 3:27
12,Showing Out
 (Extended Version)7:16 ビデオ
13,Respectable
 (Extended Version)6:15 ビデオ
14,F.L.M. (Extended Version)7:50 ビデオ
15,That's The Way It Is
  (Extended Version) 6:49
16,System (Alternative Version)3:59
17,More Than Words Can Say
  (Extended Version) 6:50 ビデオ
DISC TWO
1,Respectable
  (Extra Beats Vocal)8:10 ビデオ
2,F.L.M. (Two Grooves Under One Nation Remix)8:14 ビデオ
3,I'm The One Who Really Loves You
  (Yoyo's 12" Mix)6:44 ビデオ
4,That's The Way It Is
  (Acid House Remix)7:40
5,System (Garage Vocal)7:23 ビデオ
6,Feel A Whole Lot Better
  (Yoyo's 12" Mix)7:40
7,Showing Out
  (The Mortgage Mix)6:28 ビデオ
8,That's The Way It Is
  (House Remix)6:44
9,Respectable (Shop Mix)6:18 ビデオ
10,F.L.M. (Sonic Remix)6:21 ビデオ
11,System (Original 12" Mix)5:46 ビデオ
 結果として姉妹にとって唯一のアルバムとなってしまったファースト・アルバム。どれをシングル・カットしてもおかしくないほど充実した楽曲のラインナップに、S/A/Wの3人が姉妹へ注いだ情熱のほどが感じられるように思います。シングル曲#1、#2、#3は勿論のこと、プリンセス路線のロマンティックで美しいミッドテンポ・バラード#6や、いわゆるPWLサウンドの先駆けとも言えるポップ&キャッチーな#9も大好き。ちなみに#11はインスト・バージョンの方です。  まさしくファン待望と言うべき、リマスター&レアトラック収録の2枚組デラックス・エディション。未発表バージョンまで聴くことが出来るのはうれしい限りです。こちらのディスク1では、#16と#17が未発表作。まず、もともとデビュー曲となるはずだった#16は、どうやらボツになった初期バージョンのようです。さらに、他のPWL系アーティストもカバーした名曲#17はエクステンデッド・バージョン。もしかすると、シングル・カットの予定があったのかもしれません。  12インチ・リミックスばかりを集めたディスク2ですが、#3、#5
、#6、#11の4曲が未発表バージョン。レコード会社の要望次第でシングル・カット出来るよう、万が一のために備えていたのでしょう。#3と#6は当時まだPWLに加わったばかりのヨーヨーがリミックスを手掛けていますが、どちらもPWLサウンドという枠組みを意識しすぎたような仕上がり。一方、アルバム・バージョンに忠実な#5は好感触です。その他のリミックスも完成度高し。もう満腹です。

 

12インチ・シングル

SHOWING_OUT.JPG F_L_M_12INCH.JPG IM_THE_ONE.JPG THATS_THE_WAY.JPG

Showing Out (1986)

F.L.M. (1987)

I'm The One One Who Really Loves You (1987)

That's The Way It Is (1988)

(P)1986 Supreme Records (UK) (P)1987 Supreme Records (UK) (P)1987 Supreme/Atlantic (USA) (P)1988 Supreme Records/EMI (UK)
side A
1,Showing Out
  (Get Fresh At The Weekend)7:15
side B
1,System (House Mix)9:00

produced by Stock Aitken Waterman
mixed by Phil Harding
side A
1.F.L.M. 7:50
side B
1,F.L.M. (Club Mix)5:37 ビデオ
2,F.L.M. (Dub Mix)4:00

produced by Stock Aitken Waterman
remixed by Pete Hammond
A side
1,Stardom Groove Club Mix 5:55 ビデオ
2,Groove Dub 5:40
B side
1,Kick'n Live Mix 6:46
2,Done Properly Dub 6:06

produced by Stock Aitken Waterman
remixed by David Cole & Robert Clivilles
side A
1,That's The Way It Is 6:49
side B
1,I'm The One Who Really Loves You
  (U.S. Remix) 6:47
2,You Changed My Life 3:27

produced by Stock Aitken Waterman
remixed by Pete Hammond
 これは80年代ダンス・クラシックの鉄板でしょう。今でいうユーロ・ハウスの先駆け的な作品であり、当時はなかなか衝撃的なサウンドでした。程よくアンダーグランドなクラブ・シーンを意識した、ディープなアレンジが今聴いても十分にクール。それでいてキラキラと煌びやかなのは職人フィル・ハーディングのセンスでしょう。B面はほとんどダブに近いミックスです。  メラニーの癌が発覚してからのシングル・カットだったため、プロモビデオには本人たちでなく操り人形が出演したサード・シングル。ピート・ハモンドのミックスは時として遊びに欠けたりするのが玉に傷ですが、彼女たちの作品に限ってはハーディングに負けず劣らずの仕事をしてくれています。もちろん、本作も例外ではありません。ただ、B面のクラブミックスは平凡だったかも。  これはアメリカのみで発売された4枚目のシングル。ビルボードのクラブ・チャートで11位をマークしました。リミックスを手掛けたのはC&Cミュージック・ファクトリー結成以前のデヴィッド・コール&ロバート・クリヴィリス。A面はまるっきりカバー・ガールズな感じのフリースタイル風ダンス・ポップ、B面はそれに若干クラブ色を加えた感じの仕上がりになっています。

 これが彼女たちにとって最後のシングルになろうとは、当時は全く思いもよりませんでした。パワフルでキャッチーなユーロ・ディスコの傑作です。なお、B面#1はU.S.リミックスとなっていますが、コール&クリヴィリスではなくピート・ハモンドの仕事。だた、基本的にはアメリカ盤A面のミックスとほとんど変わらない…というか非常に酷似しています。

THATS_THE_WAY_ACID.JPG MEGAMIX.JPG

That's The Way It Is (Remix) (1988)

Megamix : Ninety! (1990)

(P)1988 Supreme Records (UK) (P)1990 Supreme/Blow Up (W.Germany)
side A
1,That's The Way It Is
  (Acid House Remix)7:38 ビデオ
side B
1,That's The Way It Is
  (Acid Dub)
2,You Changed My Life

produced by Stock Aitken Waterman
remixed by Pete Hammond
side 1
Megamix : Ninety! 7:10
side 2
Showing Out (Italo House Mix) 6:09

produced by Stock Aitken Waterman
remixed by Alan Coulthard
 アシッド・ハウスと呼ぶにはちょっと硬めのミックスではありますが、エレクトリック・ファンク的な打ち込みとロックなギタープレイがむちゃくちゃカッコいいバージョン。オリジナル・バージョンに勝るとも劣らぬ出来栄え。ピート・ハモンドもなかなかやるもんです。  メラニーの死後、トリビュート的に発売された企画盤。A面はごくありきたりなノンストップミックス。B面はイタロハウス・ミックスという名のごとく、ブラック・ボックスか49ersかといった感じの仕上がりです。ただそれだけ。オリジナルの足元にも及びません。

 

ベスト盤

BEST_OF_1996.JPG BEST_OF_2001.JPG

The Best Of Mel & Kim

That's The Way It Is
The Best of Mel & Kim

(P)1996 Disky/EMI (Netherland) (P)2001 EMI Records (UK)
1,Showing Out 5:10
2,Respectable 5:40
3,F.L.M. 3:56
4,That's The Way It Is 3:31
5,I'm The One Who Really Loves You 3:41
6,Feel A Whole Lot Better 4:55
7,More Than Words Can Say 4:10
8,From A Whisper To A Scream 3:25
9,Who's Gonna Catch You 3:35
10,System 4:09
11,You Changed My Life 3:18
12,Respectable
  (Extra Beats Version)6:13
13,Showing Out (Freehold Mix) 4:38
15,That's The Way It Is (Remix) 6:45
1,Respectable (7" Version)3:21
2,Showing Out (7" Version) 3:32
3,F.L.M. (7" Version) 3:30
4,That's The Way It Is
  (7" Version) 3:21
5,Don't Worry 3:35
  Kim Appleby
6,G.L.A.D. (7" Remix) 3:03
  Kim Appleby
7,Mama (7" Mix) 4:15
  Kim Appleby
8,System 3:45
9,More Than Words Can Say 4:07
10,Feel A Whole Lot Better 4:23
11,Who's Gonna Catch You 3:31
12,From A Whisper To A Scream 3:24
13,You Changed My Life 3:21
14,Respectable
  (The Tabloid Mix) 7:50
15,F.L.M. (Two Grooves Under One Nation Remix) 8:10
16,I'm The One Who Really Loves You
  (C&C Kick'N Live Mix) 5:55
17,Don't Worry (94 Remix)7:15
  Kim Appleby
 なかなかベスト盤が発売されなかったメル&キムにとって、これが初めてのベスト・アルバム。基本的にはオリジナル・アルバムに“That's The Way It Is”のCDシングルをくっつけて混ぜ込みましたといった感じの内容。即席でコンパイルしたという印象は否めません。  こちらが究極のベスト盤と呼ぶべきでしょう。レアな12インチ・バージョンのみならずキムのソロ・ヒットまで収録されています。シングル曲がちゃんとシングル・バージョンで入っているのは正しい姿勢。ちなみに、#16はStardom Groove Club Mixの間違いです。

 

キム・アップルビー ソロ・シングル

DONT_WORRY.JPG G_L_A_D.JPG FREE_SPIRIT.JPG

Don't Worry (1990)

G.L.A.D. (1991)

Free Spirit (1994)

(P)1990 Parlophone/EMI Records (UK) (P)1991 Parlophone/EMI Records (UK) (P)1994 Parlophone/EMI Records (UK)
1,Don't Worry 3:33 ビデオ
2,Don't Worry (The Phil Chill Mix)4:37
3,Don't Worry
  (The Stressed Out Mix)7:51 ビデオ

produced by Pete Schwier & George DeA
ngelis
mixed by Pete Schwier
#2 remixed by Phil Chill
1,G.L.A.D. (7" Remix)3:03 ビデオ
2,G.L.A.D.
  (Harding/Curnow Remix)6:50
3,G.L.A.D. (Pete Schwier Mix)6:15

produced by Pete Schwier & George DeA
ngelis
remixed by Phil Harding & Ian Curnow
1,Free Spirit 3:34 ビデオ
2,Free Spirit (12" Mix)7:11
3,Don't Worry ('94 Remix)7:19
4,Free Spirit (Tony King Club Remix)6:53

producedn by Stock & Aitken
*#3 produced by George DeAngelis & Pe
te Schwier
#1&2 mixed by Mobius Loop
#3&4 remixed by Tony King
 キムのソロ作品でダントツに好きなのがこれ。当時の彼女の心情を盛り込んだような歌詞もさることながら、突き抜けるようにポップで爽やかなメロディとサンドが感動的ですらあります。オリジナルの良さを最大限に生かしつつ、クラブ・ミックスとしてのエッジを存分に効かせた#3も秀逸。ただ、フィル・チルによるレゲエ・ミックス#2はイマイチ。ピントが外れています。  PWL時代の仲間フィル・ハーディングとイアン・カーナウがリミックスを手掛けたセカンド・シングル。だからということもあるかもしれませんが、楽曲的にもサウンド的にも当時のPWLサウンドをかなり引きずりすぎている印象がありますね。それはそれで悪くはないし、個人的にも嫌いな曲ではないのですが、どうしてもPWLもどきに聴こえてしまうのが残念。

 ピート・ウォーターマンと袂を分かったストック&エイトキンがプロデュースを手掛けたシングル。ゴールデン・トリオ再結集といきたいところですが、残念ながら凡庸なPWLサウンドに終始してしまっています。同じくPWLを離れたトニー・キングによるリミックス#3と#4もイマイチ。特にオリジナルの良さを生かせなかった#3はガッカリです。

 

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