イタリアン・ホラーの父〜マリオ・バーヴァに魅せられて

 

 ダリオ・アルジェント、ルチオ・フルチ、アンソニー・ドーソン・・・と、日本でも根強いファンを持つイタリア産ホラー映画。今でこそ、イタリアの娯楽映画産業がほぼ死滅してしまったために、イタリアン・ホラーも殆ど作られなくなってしまったが、60年代から70年代、80年代にかけて、数多くの作品が日本でも公開された。その魅力は何と言っても猟奇的なエロティシズムと理屈よりも映像美を優先させる芸術至上主義(もちろん、そうでない作品も沢山あるのだが・・・)。ルネッサンス絵画やオペラのような美と官能と残虐が混在する独特の世界観は、イタリアという国の歴史と文化の土壌があってこそ花開いた芸術と言える。そして、そのイタリアン・ホラーの父と呼ばれるのが、巨匠マリオ・バーヴァである。

 実は、バーヴァ登場以前にイタリアにはホラー映画というジャンルは存在しないに等しかった。サイレント期にフランケンシュタインものが作られたり、「マチステ地獄行き」('26)というローマ神話の英雄が地獄めぐりするホラー風の作品はあったものの、映画は家族で見に行くものという習慣の強かったイタリアでは、ホラー映画というジャンルはあまり好まれなかったのだ。しかし、戦後の大衆文化や市民生活の変化に伴い、観客のニーズも多様化していった。特に、50年代後半の「吸血鬼ドラキュラ」('57)をはじめとする一連のイギリスのハマー・ホラーの成功は、イタリアにもホラー映画を受け入れるような土壌を作ったと言えるだろう。

 マリオ・バーヴァは、もともと撮影監督としてその名を知られた人物だった。1914年7月31日、サン・レモに生まれたバーヴァの父エウジェニオは、彫刻家であり、映画監督であり、撮影監督であり、イタリアで最初に特撮工房を作った特殊効果のパイオニア的存在だった。幼い頃から撮影所に慣れ親しんで育ったバーヴァは、父の元で撮影助手や特殊効果助手などを務めた後、撮影監督としてひとり立ちをする。
 撮影監督としてのバーヴァの強みは、特殊効果の技術を応用したイマジネーション豊かな撮影スタイルにあった。ゆえに、50年代にブームとなったスペクタクル史劇のような、ダイナミックな見せ場を必要とする作品では非常に重宝がられたものだった。特に予算が限られたような作品を、撮影の技術で超大作に見せてしまうような裏技は彼の独壇場だった。その職人技は、ロベルト・ロッセリーニ、ラオール・ウォルシュ、G・W・パヴストといった巨匠たちにも高い信頼を得ていた。
 そして、彼が重宝がられたもう一つの理由に、演出のテクニックにも長けていたことが挙げられる。そのため、幸か不幸か、彼は撮影が行き詰って危機に瀕した作品を完成させるための助っ人として、しばしば起用されることになる。例えば、戦後イタリア初のホラー映画「吸血鬼」('57・日本未公開)では、監督のリカルド・フレーダが撮影終了間際で勝手に降板してしまったために、撮影監督だったバーヴァはその後の演出の一切をノー・クレジットで任される。ピエトロ・フランチージ監督の「ヘラクレス」(’57)と「ヘラクレスの逆襲」(’58)では、フランチージ監督が優雅にシエスタを楽しんでいる合間の演出を任された。
 中でも大変だったのが、ハリウッドからジャック・ターナー監督を招いて作られた大作「ペルシャ王」('59)。ターナー監督が肝心の戦闘シーンを完成しないままハリウッドに帰ってしまったため、バーヴァがその尻拭いをするハメになった。もちろん、ノー・クレジットで。バーヴァのおかげで窮地を脱することの出来たプロデューサーは、その見返りとしてバーヴァに低予算で好きな映画を一本作って良いと申し出る。そこでバーヴァは、大好きなゴーゴリの短編小説を題材として選んだ。それが、マリオ・バーヴァの記念すべき監督デビュー作にして、イタリアン・ホラーの金字塔と呼ばれる傑作「血ぬられた墓標」('60)だった。

 各作品の解説については、下記のDVDレビューを参考にしてもらうとして、マリオ・バーヴァ作品の特徴と魅力について簡単に述べてみたい。
 まず、何と言っても色彩豊かな照明効果。あえて不自然な角度から当てられた光や赤、青、緑、黄色と現実にはあり得ないような色彩に溢れた空間が、狂気に満ちた登場人物の心理状態を表現し、非日常の恐怖と緊張感を高める。それは、まるで絵画のような美しさだ。
 そして、臆することなくスクリーンの上で繰り広げられるセックスとバイオレンス。今見れば控えめなものだが、当時としてはショッキングな描写も多い。バーヴァ自身は非常に温厚でな人柄で、撮影現場では自ら道化となってスタッフや出演者の雰囲気を盛り上げ、映画会社の理不尽な要求にも決して嫌な顔をしない、愛すべき人物だった。彼自身、人の良すぎる自分の性格を、映画監督向きではないと考えていたらしい。
 だが、その一方で大変なリアリストでもあったという。“人の死は決して美しいものではない”というのが信条で、人間の狂気や残虐性をオブラートに包んでしまうことに対して懐疑的だった。それは性描写についても同様で、60年代にあって同性愛やSMという非常にきわどい題材を真正面からとりあげ、しかもそれを興味本位のキワモノとしてではなく、人間の本質の一部として観客に問いかける切り口の鋭さは彼の豊かな教養を物語る。
 ともするとホラー映画は安っぽい見世物小屋的な扱いを受け、金儲けの道具程度にしか考えていない映画監督や製作者も少なくない。そうした中にあってバーヴァは、ホラー映画というジャンルに自分の居場所を見出し、娯楽性と作家性のバランスを見事に保つことが出来た数少ない映画監督の一人と言えるだろう。リドリー・スコット、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・リンチ、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートンなど、現在の世界の映画界をリードする巨匠・名匠たちの多くがバーヴァに強く影響を受けていることも、その証と言える。
 あの世界の巨匠フェデリコー・フェリーニでさえ、「世にも怪奇な物語」(’68)でバーヴァの「呪いの館」(’66)を引用しているのは有名な話。

  ということで、マリオ・バーヴァやイタリアのホラー映画監督たちに関してのより詳細な研究書を書くというのが、目下のところの最大の野心なのである・・・。

 

I_VAMPIRI.JPG BLACK_SUNDAY.JPG HERCULES_HAUNTED_WORLD.JPG BLACK_SABBATH.JPG

I Vampiri (1956)

血ぬられた墓標
Black Sunday (1960)

ヘラクレス 魔界の死闘
Hercules in the Haunted World (1961)

ブラック・サバス/恐怖!三つの顔
Black Sabbath (1963)

(P)2001 Image Entertainment (USA)

(P)1999 Image Entertainment (USA)

(P)2002 Fantoma Films (USA)

(P)2000 Image Entertainment (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
モノクロ/ワイドスクリーン/モノラル/イタリア語音声/英語字幕/地域コード:ALL/78分/製作イタリア

映像特典
スチル・ギャラリー
監督フィルモグラフィー
予告編集
DVD仕様(北米盤)
モノクロ/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/87分/製作イタリア

映像特典
映画史家ティム・ルーカスのコメンタリー
フィルモグラフィー
予告編集
スチル&ポスター・ギャラリー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/英語字幕/地域コード:ALL/82分/製作イタリア

映像特典
予告編
スチル&ポスター・ギャラリー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/イタリア語音声/英語字幕/地域コード:ALL/92分/製作イタリア

映像特典
予告編
フィルモグラフィー
スチル&宣材ギャラリー
監督:リカルド・フレーダ
製作:エルマンノ・ドナーティ
    ルイジ・カルペンティエリ
脚本:リカルド・フレーダ
    ピエロ・レニョーリ
撮影:マリオ・バーヴァ
音楽:ロマン・ヴラド
出演:ジャンナ・マリア・カナーレ
    カルロ・ダンジェロ
    ダリオ・ミカエリス
    ワンディサ・グイーダ
    アントワーヌ・バルペトレ
    ポール・ミュラー
監督:マリオ・バーヴァ
製作:マッシモ・デ・リータ
脚本:エンニオ・デ・コンチーニ
    マリオ・セランドレイ
原作:ニコライ・ゴーゴリ
撮影:マリオ・バーヴァ
音楽:ロベルト・ニコロージ
出演:バーバラ・スティール
    ジョン・リチャードソン
    イヴォ・ガラーニ
    アンドレア・ケッキ
    アルトゥーロ・ドミニチ
監督:マリオ・バーヴァ
制作:アキーレ・ピアッツィ
脚本:マリオ・バーヴァ
    フランコ・E・プロスペリ
    サンドロ・コンチネンツァ
    ドゥッチョ・テッサリ
撮影:マリオ・バーヴァ
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
出演:レジ・パーク
    クリストファー・リー
    レオノラ・ルッフォ
    ジョルジョ・アーディソン
    イーダ・ガリ
    マリーサ・ベリ
    ロサルバ・ネリ
    ハヤ・ハラリート
監督:マリオ・バーヴァ
製作:パオロ・メルクーリ
脚本:マルチェッロ・フォンダート
    アルベルト・ベヴィラックア
    マリオ・バーヴァ
撮影:ウバルド・テルツァーノ
音楽:ロベルト・ニコロージ
出演:ボリス・カーロフ
    マーク・ダモン
    ミシェル・メルシエ
    ジャクリーヌ・ペロー
    スージー・アンダーソン
 舞台は現代のパリ。若い女性ばかりを狙った連続殺人事件が起こる。犠牲者はいずれも体中の血を抜き取られていた。若手ジャーナリストのピエールは、事件の真相を追ううちに、謎の貴婦人ジゼールの存在に行き当たる・・・。若さと美貌を保つためにマッド・サイエンティストの力を借りて若い娘たちの生血を奪う貴婦人・・・バートリ・エリジェベトの伝説に現代風の味付けを施した猟奇ホラー。監督のクレジットはリカルド・フレーダだが、実際にはマリオ・バーヴァがリハーサルまで行い、フレーダ監督は一番最後に現場に入って本番の号令をかけ、撮影が終わるとバーヴァに問題なかったかどうかの確認だけして帰っていったという。しかも、契約日数が過ぎると会社にギャラの追加を要求。それが拒否されると、撮影半ばにもかかわらずさっさと引き上げてしまった。おかげで、バーヴァは以降の演出をノー・クレジットで任される。全体的には古めかしい作品だが、バーヴァの撮影監督としての技量は十分に生かされている。中でも、貴婦人ジゼールが醜悪な老婆に変わり果てるシーンは、モノクロでは判別できない照明カラーを使用した見事なトリック撮影。赤のペンで老女メイクを施した上で、照明を赤から青に変えるというシンプルな発想が実に効果的だった。モノクロ撮影のために観客には全く気付かれない。ジゼール役のジャンナ・マリア・カナーレは史劇の悪女役で鳴らした当時のトップ・スター。彼女の犠牲になりかけた若い娘ロレッテ役のワンディサ・グイーダも史劇のヒロインとして活躍した女優。北米盤DVDは白黒のコントラストが若干甘いのが残念。  この作品のVHSやLDが目玉の飛び出るような高値で取引され、貧乏人は画質最悪の海賊盤ビデオでしか見る事ができなかった時代があったもんだった。全世界のホラー映画ファンのバイブル的大傑作。魔女狩りの行われた暗黒時代のヨーロッパ。モルダヴィアの姫君アーシャは魔女として実の兄によって愛人と共に処刑される。一族を末代まで呪うことを誓って。その200年後、モルダヴィアを旅していた医師と助手ゴルベックの2人は、アーシャの墓を偶然見つけ、蘇らせてしまう。アーシャは魔術で愛人を蘇らせ、自らと瓜二つの子孫カーチャと入れ替わろうとする・・・。低予算で作られたとは思えないような荘厳で美しい美術セット、流麗で無駄のないカメラワークが、独特のダークでファンタジックな世界を作り上げている。
 特にバーヴァの独壇場と言えるトリック撮影の数々は、今見ても非常に新鮮。冒頭の処刑シーンで、アーシャの顔に杭のついた仮面が打ち込まれるシーンや、ミイラ化したアーシャの顔の落ち窪んだ目の奥から眼球が蘇生してくるシーンなどの特殊効果などは見事なもの。
 アーシャとカーチャの2役を演じるイギリス女優バーバラ・スティールは、この作品がきっかけでホラー映画の女王として引っ張りだことなり、フェリーニの「81/2」にも出演した。ゴルベック役のジョン・リチャードソンはハマー映画の「恐竜100万年」で有名なイギリスの俳優。脚本のエンニオ・デ・コンチーニは「戦争と平和」や「イタリア式離婚狂想曲」などを手掛けた名脚本家だ。
 当時、世界的に大人気だったスペクタクル史劇ものにホラー・タッチのダークな味付けを施した異色作。バーヴァにとっては初のカラー映画監督作。撮影監督時代には鮮烈なテクニカラー撮影に定評があっただけに、原色の照明を多用した豊かな色彩と奥行きの深い映像が素晴らしい。悪夢のような美術セットも非常にユニークだし、バーヴァ十八番の特殊撮影も実に多彩で、ビザールな大人向けのダーク・ファンタジーに仕上がっている。
 物語はヘラクレスが故郷に戻るところから始まる。彼はリコ王の城に身を寄せていた恋人ディアニラ姫が呪いで正気を失ったと聞かされる。魔女メディアの預言によれば、”忘却の石”だけが彼女の呪いを解くという。ヘラクレスは盟友テシアスらを従えて、その石を捜す旅に出るのだが、行く先々でモンスターや魔女、そして空飛ぶゾンビ軍団と対峙することとなる・・・。
 ヘラクレス役のレジ・パークはミスター・ユニバースに4度も輝いたイギリス出身のボディ・ビルダー。悪役であるリコ王を演じるのはクリストファー・リー。彼が40年後にファンタジー映画の最高傑作「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで悪役サルマンを演じる事を考えると感慨深い。ディアニラ姫役はフェリーニの「青春群像」でサンドラ役を演じたレオノーラ・ルッフォ。その他、イタリア映画ファンにはイヴリン・スチュワートの変名でも知られるイーダ・ガリやB級ホラーの女王ロサルバ・ネリ、「ベン・ハー」のヒロイン役で有名なハヤ・ハラリートなど、多彩な美女が脇を固めている。
 トルストイ、チェーホフ、モーパッサンの短編をオムニバス形式で映画化した傑作ホラー・アンソロジー。色彩、奥行き、カメラワーク、どれを取っても計算しつくされたゴージャスで美しい第一級の作品だ。
 第1話はモーパッサンの短編をモデルにしたと言われる「電話」。刑務所を脱獄した恋人からの脅迫電話に怯える美女(トリュフォーの「ピアニストを撃て」や「アンジェリーク」シリーズで有名なミシェル・メルシェ)。実は女友達の悪戯電話だったのだが・・・。背景に同性愛を匂わせるシニカルなスリラーだが、アメリカ公開版では同性愛的要素を消された上に、結末まで変えられてしまった。
 第2話の「ヴルダラック」はアレクセイ・トルストイ原作の悲壮感溢れる吸血鬼もの。旅の途中で立ち寄った村で一夜の宿を求めた伯爵(「アッシャー家の惨劇」のマーク・ダモン)。この村には吸血鬼伝説が残っており、その晩帰宅した一家の主(ボリス・カーロフ)は吸血鬼となっていた。愛する者の血を求めざるを得ない宿命の吸血鬼。家族で一人また一人と殺しあう哀しみ。幻想的な叙情感に満ちた傑作エピソードだ。
 第3話の「一適の水」はチェーホフ原作とされているが、バーヴァ自身はドストエフスキーの短編をヒントにしたらしい。病死した老女の指から指輪を奪った看護婦(名優ジャン=ピエール・レオーの母親ジャクリーヌ・ペロー)に襲いかかる老女の亡霊。シンプルなストーリーだが、原色に彩られたシュールな映像空間が言いようのない不安感を煽り、猛烈な恐怖を演出する。皮肉に満ちたクライマックスも強烈なインパクトを残す。

 

WHIP_AND_THE_BODY.JPG BLOOD_AND_BLACK_LACE.JPG KNIVES_OF_THE_AVENGERS.JPG PLANET_OF_VAMPIRES.JPG

白い肌に狂う鞭
Whip and the Body (1963)

モデル連続殺人
Blood and Black Lace (1964)

バイキングの復讐
Knives of the Avenger (1965)

バンパイアの惑星
Planet of the Vampire (1965)

(P)2000 VCI Home Video (USA)

(P)2000 VCI Home Video (USA)

(P)2001 Image Entertainment (USA) (P)2001 MGM Home Enter. (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:ALL/88分/製作イタリア

特典
ティム・ルーカスのコメンタリー
サウンドトラック
予告編集
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語・フランス語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:ALL/90分/製作イタリア

特典
キャメロン・ミッチェル インタビュー
メアリー・アーデン インタビュー
フォト・ギャラリー
ティム・ルーカスのコメンタリー
サウンド・トラック
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/地域コード:ALL/85分/製作イタリア

特典
予告編集
フィルモグラフィー
フォト&ポスター・ギャラリー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/字幕:フランス語・スペイン語/地域コード:1/88分/製作イタリア

特典
予告編
監督:マリオ・バーヴァ
製作:エリオ・スカルダマリア
脚本:エルネスト・ガスタルディ
    ウーゴ・ゲッラ
    ルチアーノ・マルティーノ
撮影:ウバルド・テルツァーノ
音楽:カルロ・ルスティケッリ
出演:クリストファー・リー
    ダリア・ラヴィ
    トニー・ケンドール
    イスリ・オベロン
    ハリエット・ホワイト・メディン
    ルチアーノ・ピゴッツィ

監督:マリオ・バーヴァ
製作:アルフレド・ミラビーレ
    マッシモ・パトリツィ
脚本:ジュゼッペ・バリッラ
    マルチェッロ・フォンダート
    マリオ・バーヴァ
撮影:ウバルド・テルツァーノ
音楽:カルロ・ルスティケッリ
出演:キャメロン・ミッチェル
    エヴァ・バルトク
    トマス・レイナー
    メアリー・アーデン
    アリアンナ・ゴリーニ
    ルチアーノ・ピゴッツィ

監督:マリオ・バーヴァ
製作:アルフレド・レオーネ

脚本:マリオ・バーヴァ
    アルベルト・リベラーティ
    ジョルジオ・シモネッリ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:マルチェッロ・ジョンビーニ
出演:キャメロン・ミッチェル
    エリッサ・ピチェッリ
    ルチアーノ・ポレンティン
    ジャコモ・ロッシ=スチュアート
    ファウスト・トッツィ

監督:マリオ・バーヴァ
製作:フルヴィオ・ルチサーノ
脚本:イブ・メルキオー
    ルイス・M・ヘイワード
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:ジーノ・マリヌッツィ
出演:バリー・サリヴァン
    ノーマ・ベンゲル
    アンヘル・アランダ
    エヴィ・マランディ
    イワン・ラシモフ

 余りにも美しく余りにもエロティックなゴシック・ホラー。赤と青の鮮烈な色彩を基調としたカラー撮影の素晴らしさは言うまでもなく、光と影、色彩とシルエットのコントラストを多用したイマジネーション豊かなビジュアル世界は息を呑むほど美しい。
 舞台は18世紀。岬にそびえたつ古城に、かつて父親に勘当された長男カート(クリストファー・リー)が戻ってくる。かつての恋人ネヴェンカ(「明日になれば他人」や「ロード・ジム」などハリウッドでも活躍したエキゾチック美女ダリア・ラヴィ)は、カートの弟(トニー・ケンドール)の妻となっていた。カートの帰郷に不安を覚えるネヴェンカに、カートは容赦なく鞭を振るう。悲痛な叫びをあげるネヴェンカ。しかし、その声は次第に歓びに変わっていく。そして、その晩カートは何者かによって殺害される。悲しみと嫌悪感の狭間で動揺するネヴェンカの周囲で起こる怪現象。果たしてカートの亡霊が舞い戻ってきたのか・・・。
 最後の最後まで亡霊が本物なのか、それとも精神に異常をきたしたネヴェンカの妄想なのかを観客の判断に委ねる文学的薫り高い脚本が見事。イタリアン・ホラーの名脚本家エルネスト・ガスタルディが名を連ねている。暗闇に浮かび上がるダリア・ラヴィの恐怖の表情とサウンド・エフェクトだけで、じわじわと恐怖感を高めるバーヴァの演出も風格に満ちている。SMチックなエロティシズムが随所に織り込まれ、それがまた幻想文学のようなムードを醸し出す。直接的な性描写が全くないにもかかわらず、濃厚なくらいに艶かしい映像美に酔いしいれたい。

 スタイリッシュでモダンでエレガントでバイオレントな猟奇サスペンスの傑作。後に“ジャロ”と呼ばれるようになるこのジャンルの原点であり金字塔でもある。主要キャラクターが一人づつショー・ウィンドーのマネキンの如く飾り立てられて登場するオープニング・クレジットから一気に引き込まれてしまう。
 ファッション・ショーのリハーサルが行われた晩、モデルのイザベルが惨殺される。そしてショーの当日。モデルの一人がイザベルの日記を発見。その場に居合わせた誰もが目の色を変える。その日記には、関係者たちの他人には知られたくない秘密が記されていた。そして、その日記を巡って一人また一人と関係者が殺害されていく・・・。
 細部まで計算しつくされた流麗なカメラワーク、リアリズムを無視した表現主義的な照明効果、そしてリズム感溢れる巧みな編集。どれも見事としか言いようがない。冒頭のイザベル殺害シーンだけ取ってみても、真っ暗闇の中で木々に囲まれた小路を歩くイザベルの背後、首、胸元、正面と“その瞬間”に向かってカット・バックのスピードが速まり、足早に歩く彼女の下から照明が照らされて不安に満ちた顔と真っ赤なエナメルのコートが闇夜に浮かび上がるという演出のシュールさ。互いに疑心暗鬼の登場人物たちの心理描写も見事で、これぞサスペンス!という一級の仕上がりだ。ファッション・デザイナーのクリスティアーナ役はハンガリー出身でハリウッドでも活躍した女優エヴァ・バルトク。当時トップ・モデルだったメアリー・アーデンが特典映像のインタビューに登場、現在はNYの大学で教鞭を執っているという。

 カーク・ダグラス主演のハリウッド映画「バイキング」(’57)の大ヒットで、50年代半ばから60年代半ばにかけてイタリアで量産されたバイキング映画の一本。もともと他の監督のもとで撮影が進んでいたものの、製作資金が尽きて頓挫していた作品で、プロデューサーに請われたバーヴァが仕上げを引き受けたもの。
 王ハラルドが行方不明となった北欧の王国。王の邪悪な家臣ヘイゲンから身を守るため、身分を隠して暮らす王妃と王子のもとに流浪のバイキング、ルーリン(キャメロン・ミッチェル)が現れる。ヘイゲンに妻子を殺されたルーリンは、かつて復讐のために王妃を無理矢理犯したことがあった。彼は、自分に宿を貸してくれた女性が王妃であることに気付き、王子が自分の息子である事を知る。宿敵ヘイゲンに狙われている王妃と王子を守るため、ルーリンはハイゲンの一味に立ち向かう。
 バイキング映画というよりも、ノリとしては殆どウェスタン。父親のいない家庭に住み着いたヒーローが、幼い少年に男としての道を教え、その母親と惹かれあうという設定は、まさに「シェーン」そのもの。マルチェッロ・ジョンビーニの音楽も、まるっきりマカロニ・ウェスタン風だったりする。随所にバーヴァらしい幻想的で美しいシーンが見られるものの、全体的には可もなく不可もなく。与えられた仕事を無難にこなしたという印象だ。
 リドリー・スコット監督の「エイリアン」に強い影響を与えた傑作SFホラー。スタイリッシュかつフェティッシュな宇宙服や宇宙船のデザインも素晴らしいし、悪夢のように幻想的な惑星のスタジオ・セットの艶かしさも50年前の作品とは思えないような斬新さ。同時代のハリウッド製SF映画が子供じみて見えてくる。
 宇宙の彼方からの救助信号を傍受した宇宙船は、謎の惑星に吸い寄せられるように不時着する。そこは見るからに不気味な惑星だったが、空気が存在する。救助信号の発信源を探す一行は、白骨化した巨大な生物と、発信機らしいグロテスクな機械を発見する。その頃、宇宙船では何者かによって一人また一人とクルーが殺されていく。肉体が滅びて精神だけ生き残ったエイリアンたちが、魂のなくなった肉体を乗っ取るためにクルーを殺していたのだ。果たして誰がエイリアンに体を乗っ取られ、誰が乗っ取られていないのか・・・。
 あらすじを読んだだけでも「エイリアン」との類似性は明らかだろう。特に、エイリアンの遺体や不気味な発信機のデザインは、ギーガーのデザインと比べると全く古典的だが、共通するような精神が感じられる。古い映画ゆえに、全体的にスローペースなのは否めないが、SFとしてもスリラーとしても非常に良く出来た作品。皮肉に満ちたクライマックスも思わずニンマリもの。宇宙船の船長役のバリー・サリヴァンは「狂恋の果て」や「悪人と美女」で有名なハリウッドの名優。70年代に数多くのマカロニ・ウェスタンやイタリアン・ホラーで活躍したイワン・ラシモフが宇宙船クルーの一人として顔を出している。

 

KILL_BABY_KILL.JPG DANGER_DIABOLIK.JPG FIVE_DOLLS.JPG ROY_COLT.JPG

呪いの館
Kill, Baby Kill (1966)

黄金の眼
Danger Diabolik(1968)

ファイブ・バンボーレ
5 Dolls for an August Moon (1970
)

ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック
Roy Colt and Winchester Jack (1970)

(P)1999 VCI Home Video (USA) (P)2005 Paramount Pictures (USA) (P)2001 Image Entertainment (USA) (P)2001 Image Entertainment (USA)
画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/84分/製作イタリア

特典
バイオグラフィー
予告編集
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/英語字幕/地域コード:1/100分/製作イタリア・フランス

特典
俳優ジョン・フィリップ・ロー及び評論家ティム・ルーカスのコメンタリー
メイキング・ドキュメンタリー
ビースティ・ボーイズのプロモ・ビデオ
予告編集
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語・SE&音楽/英語字幕/地域コード:ALL/78分/製作イタリア

特典
フィルモグラフィー
フォト&ポスター・ギャラリー
予告編集
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/イタリア語音声/英語字幕/地域コード:1/86分/製作イタリア

特典
予告編集

監督:マリオ・バーヴァ
製作:ナンド・ピサーニ
    ルチアーノ・カテナッチ
脚本:ロマーノ・ミリオリーニ
    ロベルト・ナターレ
    マリオ・バーヴァ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:カルロ・ルスティケッリ
出演:ジャコモ・ロッシ=スチュアート
    エリカ・ブラン
    ファビエンヌ・ダリ
    ピエロ・ルッリ
    マックス・ローレンス
    ジャナ・ヴィヴァルディ

監督:マリオ・バーヴァ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
脚本:ディーノ・マイウーリ
    ブライアン・デガス
    チューダー・ゲイツ
    マリオ・バーヴァ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジョン・フィリップ・ロー
    マリーザ・メル
    アドルフォ・チェッリ
    ミシェル・ピッコリ
    テリー・トーマス
    クラウディオ・ゴーラ
    カテリーナ・ボラット
監督:マリオ・バーヴァ
製作:ルイジ・アレッシ
脚本:マリオ・ディ・ナルディ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:ピエロ・ウミリアーニ
出演:ウィリアム・バーガー
    イラ・フルステンベルグ
    エドウィージュ・フェネッシュ
    モーリス・ポリ
    ハワード・ロス
監督:マリオ・バーヴァ
製作:ルイジ・アレッシ
脚本:マリオ・ディ・ナルディ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:ピエロ・ウミリアーニ
出演:ブレット・ハルセイ
    マリルー・トロ
    イーザ・ミランダ
    チャールズ・サウスウッド
    テオドーロ・コッラ
    リー・バートン
    ブルーノ・コラッツァーリ
 フェリーニが「世にも怪奇な物語」('68)で引用し、プレミア試写会ではルキノ・ヴィスコンティが立ち上がって大絶賛したというゴシック・ホラーの大傑作。日本の怪談を思わせるような、不気味でおどろおどろしくも哀しく美しい作品だ。
 舞台はトランシルヴァニアの砦に囲まれた閉鎖的な古い村。捜査官クルーガー(イタリアの美形スター、キム・ロッシ=スチュアートの父親、ジャコモ・ロッシ=スチュアート)は、この村で連続して起こっている謎の怪死事件の捜査に呼ばれる。迷信の根強い村で、人々は何かを恐れており、捜査は難航する。唯一の協力者である村の娘モニカ(イタリア映画ファンの間で熱狂的なファンを持つカルト女優エリカ・ブラン)の協力で、クルーガーは謎の手がかりが男爵夫人の館にあることを知るのだが・・・。
 荘厳かつ重苦しい村の雰囲気、幻想的な男爵夫人の屋敷、そして手毬を持った少女の幽霊の摩訶不思議な存在感。少女の不気味さを表現するために、少女役に男の子をキャスティングしている。随所に挿入された、幽霊の目線を表現した巧みなカメラワークも効果的で、日本の「雨月物語」と並んで、ホラー映画を芸術のレベルにまで押し上げた素晴らしい作品。今のところ十分なクオリティのビデオ・ソフトが発売されていない事だけが惜しまれる。
 ちなみに、霊媒師役を演じるファビエンヌ・ダリは「いぬ」や「快楽の砂」などのフィルム・ノワールで知られるフランス女優。
 カラフルでサイケデリックでゴージャスでグルーヴィーなスーパー・ヒーローもの。原作は“クリミナル”と呼ばれるイタリアの大人向けコミックの人気シリーズ「ディアボリック」。ロマン・コッポラ監督の「GQ」('01)が公開された時、日本の評論家やマスコミはロジェ・ヴァディムの「バーバレラ」ばかりを引き合いに出していたが、本DVDの特典ドキュメンタリーでコッポラ監督本人が語っているように、この「黄金の眼」こそが「GQ」の元ネタ。日本では劇場公開以来ビデオソフトも発売されていないような状況なので仕方ないのかもしれないが・・・。
 物語はセクシー美女エヴァ・ケント(マリーザ・メル)を助手に、世界中の宝石を狙う謎のヒーロー(?)、ディアボリック(ジョン=フィリップ・ロー)と彼を利用しようとする犯罪組織のボス、ヴァルモン(アドルフォ・チェリ)、そして彼らを追うギンコ捜査官(ミシェル・ピッコリ)率いる警察の三つ巴の戦いを描く。非常にシンプルなストーリーながら、全編に溢れるモダンでキッチュでハイセンスな映像の楽しいことといったら!巨大な白い回転ベッドにばら撒かれた紙幣の山、セクシーなため息とグルーヴィーな音楽が流れると同時に、札束の下から現れる女性の脚。そして、その札束の山の中から現れしエヴァとディアボリックが濃厚な愛を交わす・・・。こういうセクシーでスタイリッシュで人を食ったようなセンス、大好きです。バーヴァにとっては初のメジャー大作。十分に与えられた予算の半分で仕上げてしまったところに、バーヴァの職人監督としての心意気が感じられる。なお、エヴァ・ケント役は当初カトリーヌ・ドヌーヴが演じる予定だった。戦前のイタリア映画のディーヴァ、カテリーナ・ボラットが顔を出している。
 アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を下敷きにした猟奇サスペンス。バーヴァ自身はこの作品を“最大の失敗作”と呼んでいたらしいが、カラフルでモダンなイタリアン・モード感覚溢れる衣装やセット、ジャジーでグルーヴィーでヒップで奇想天外なピエロ・ウミリアーニの音楽、アシッド感覚に満ちたカメラワークなど、今見ると非常に新鮮でカッコ良い映像は、なかなか魅力的。まあ、確かにサスペンスと呼ぶには都合が良すぎる脚本、だらだらとしたストーリー展開の退屈さは否めないが・・・。
 そもそもプロデューサーから監督の依頼があった3日後に撮影開始という強行スケジュールで製作された作品。当初手元に送られてきた脚本を読んだバーヴァは、その出来の悪さを指摘したものの、プロデューサーの熱心な説得と、撮影までに脚本を書き直させるという約束のもとに監督を承諾。しかし、実際に現場に着いてみると脚本には全く手が付けられていなかったという。スタッフやキャストも全て会社側が用意した面子(撮影のアントニオ・リナルディはバーヴァ作品の常連だが、これは全くの偶然だったという)で、バーヴァが口を挟む余地はナシだった。しかも、撮影終了の段階で予算が底をついてしまい、バーヴァ自身が編集をせざるを得なくなってしまう。彼にとっては苦い思い出ばかりの作品と言えるかもしれない。
 キャストで注目は、公爵夫人兼映画女優として当時ヨーロッパで話題だったイラ・フルステンベルグと、後にイタリアを代表するセックス・シンボルとなるエドウィージュ・フェネッシュ。
 バーヴァにとっては3本目のマカロニ・ウェスタン。この作品も「ファイブ・バンボーレ」同様に、マリオ・ディ・ナルディの脚本が酷すぎた。そのため、バーヴァはディ・ナルディの意図を無視して、ウェスタン・コメディに仕上げることによって脚本の不出来をカバーしようとしたようだ。それでも、出来の悪い脚本を救うのは至難の技と見え、全く焦点の定まらない緩〜いウェスタンに仕上がってしまっている。
 主人公は2人のカウボーイ、ロイ・コルト(ブレット・ハルセイ)とウィンチェスター・ジャック(チャールス・サウスウッド)。2人は強盗などをして食いつないでいるが、悪人になりきれないためにいつも腹ペコ状態。そこで2人は、袂を分って真っ当な道に進もうとするが・・・。「風来坊」シリーズなど、70年代にブームとなったコミカル・ウェスタンの先駆け的作品とも言える。
 主人公のロイ・コルトを演じるハルセイは、ハリウッドで青春スターとして活動するものの芽が出ず、マカロニ・ウェスタン「野獣暁に死す」にモンゴメリー・ウッドの名前で主演し、一躍国際的なスターとなったアメリカ人俳優。現在もイタリアで活躍している。相棒のウィンチェスター・ジャックを演じるサウスウッドもアメリカ人俳優で、「荒野の無頼漢」のバラライカを機関銃にするロシア人貴族役で知られる。インディアンの娘マイラ役のマリルー・トロはハリウッド映画「悪のシンフォニー」などにも出演したイタリアのトップ女優で、マカロニ・ウェスタンへの出演も数多い。また、戦前の伝説的な大女優イーザ・ミランダがちょい役で顔を出している。

 

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血みどろの入江
Bay of Blood (1971)

血みどろの入江
Twitch of the Death Nerve (1971)

血みどろの入江
Bay of Blood (1971)

処刑男爵
Baron Blood (1972)

(P)1999 Simitar Entertainment (USA) (P)2000 Image Entertainment (USA) (P)2004 Minerva Pictures (Italy) (P)1999 Image Entertainment (USA)
画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/80分/製作イタリア

※スクリーン・サイズは微妙にトリミングされており、左右が欠けている。
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/84分/製作イタリア

特典
別タイトル予告編
ラジオ・スポット集
フィルモグラフィー
フォト&ポスター・ギャラリー
予告編集
DVD仕様(イタリアPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語/英語字幕/地域コード:ALL/95分/製作イタリア

特典
メイキング・ドキュメンタリー
オリジナル予告編
監督バイオグラフィー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/100分/製作イタリア

特典
監督&キャスト・フィルモグラフィー
予告編
フォト&ポスター・ギャラリー
監督:マリオ・バーヴァ
製作:ジュゼッペ・ザッカリエッロ
脚本:マリオ・バーヴァ
    フィリッポ・オットーニ
    ジュゼッペ・ザッカリエッロ
撮影:マリオ・バーヴァ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:クロディーヌ・オージェ
    ルイジ・ピスティッリ
    クラウディオ・ヴォロンテ
    アンナ・マリア・ロサーティ
    クリス・アヴラム
    レオポルド・トリエステ
    ブリジット・スカイ
    イーザ・ミランダ
    ニコレッタ・エルミ
同左 同左 監督:マリオ・バーヴァ
製作:アルフレド・レオーネ
脚本:ヴィンセント・G・フォートレ
撮影:マリオ・バーヴァ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:ジョセフ・コットン
    エルケ・ソマー
    マッシモ・ジロッティ
    アントニオ・カンタフォーラ
    ラダ・ラシモフ
    ウンベルト・ラホー
    ルチアーノ・ピゴッツィ
    ニコレッタ・エルミ
    モーリス・ポリ
 バーヴァのフィルモグラフィーの中でも突出した異色作であり、ホラー映画の流れまでをも変えてしまったと言われる怪作。70年代以降のスラッシャー映画の原点であり、ホラー映画における残酷描写に革命をもたらした作品と言われている。確かに、この作品以前にもスプラッター映画の父と呼ばれるハーシェル・ゴードン・ルイスやアンディ・ミリガンといった監督が残酷描写の激しい作品を作っているが、彼らの作品はあくまでもアングラの素人映画の域を出ず、アメリカでも都市部の場末の映画館で上映されるのが関の山だった。一流の監督が一流のスターを使って世界的に配給された映画としては、この「血みどろの入江」が全編に露骨な残酷描写を取り入れた最初の映画作品と言える。膨張した水死体に絡みつくタコや、オノで頭がかち割られるシーン、鎌で喉が掻っ切られるシーンなど、今見ても度肝を抜かれるような完成度の高い残酷描写は大変な迫力。
 さらに、登場人物の実に全員が殺されてしまう、13の連続殺人という設定は、「ハロウィン」、「13日の金曜日」といったスラッシャー映画に多大な影響を与えている。実際、「13日の金曜日」に出資をしたスティーヴ・ミナシアンは「血みどろの入江」をアメリカで配給した人物であり、湖のほとりを舞台にした設定も似ているし、殺害シーンに至っては全く同じ設定のシーンが幾つもある。
 この作品には幾つもタイトルが存在する。最も有名なのが"Bay of Blood"と"Twitch of Death Nerve"だが、他にも"Ecology of Murder"、"Carnage"、"Chain Reaction"などのタイトルで各国で公開されている。もともとは、バーヴァと女優ラウラ・ベッティ(パゾリーニの大親友で、彼の「テオレマ」でヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞したイタリアの名女優)の発案から生まれた企画で、後にイタリアン・ホラーの名脚本家となるダルダノ・サケッティがアイディアを出した。
 物語のベースは非常にシンプル。湖に面した避暑地の権利を巡って、その持ち主である伯爵夫人(イーザ・ミランダ)が殺されたことをきっかけに、金と欲に目のくらんだ人々がお互いを次々と殺しあうというもの。そこに、個性豊かな登場人物たちの複雑な関係が絡み合い、非常に入り組んだ物語が繰り広げられる。人間の愚かさ、したたかさ、セックス、金、欲望、狂気、残虐性。バーヴァの時代の空気を読むセンスの確かさは、そのフィルモグラフィーを見ても明らかだが、特にこの作品はベトナム戦争以降の社会に対するバーヴァの冷徹な視線が強く感じられる。ただのスラッシャー映画だと思ったら大間違い。アバンギャルドなインテリである女優ベッティや、野心的な若手脚本家だったサケッティの影響もあったろう。
 現在のところ最も完全な形で見ることが出来るのが、このイタリア盤DVD。画質はアメリカImage盤に若干劣るが。特にサケッティら関係者のインタビューが収められたドキュメンタリーは興味深い。サケッティ自身はこの作品を“子供の目から見た大人の世界”として捉えていたという。“子供は大人が考えるほど純粋ではない。大人の多くは自分が子供だった頃を忘れてしまっている”という彼の言葉には大いに共感できる。
 ちなみに、生前自分の作品には評価が厳しかったバーヴァだが、この「血みどろの入江」に関しては自分の代表作として満足していたという。
 この作品のもう一つの魅力は個性の強い登場人物たちにある。演じるのは実に多彩な名優たち。一見仲睦まじい夫婦を演じるのは「007/サンダーボール作戦」のボンド・ガールで有名なフランスのトップ・スター、クローディーヌ・オージェと名優ジャン・マリア・ヴォロンテの弟クラウディオ・ヴォロンテ。冒頭に殺される伯爵夫人役のイーザ・ミランダは「鉄格子の彼方」など戦前のフランス映画の傑作にも主演したイタリアを代表する大女優。ベッティ演じる占い師の夫で昆虫マニアの変人を演じるのは「イタリア式離婚狂想曲」が有名な名優レオポルド・トリエステ。その他、イタリアン・ホラー・ファンには御馴染みの名子役ニコレッタ・エルミやマカロニ・ウェスタンで有名なルイジ・ピスティッリなど。
 バーヴァが再びゴシック・ホラーのジャンルに戻った作品。オーストリアの古い町を舞台に、“処刑男爵”と恐れられた暴君の呪いの復活を描く作品だが、制作年代を考慮しても古めかしい仕上がりであることは否めない。ただ、ヨーロッパ的なゴシック・ムードは良く出ているし、前作「血みどろの入江」でもラウンジ感覚溢れる素晴らしいスコアを聴かせたチプリアーニによるイージー・リスニング風の美しいスコアが魅力的だ。
 物語はアメリカ人の大学生ピーター(アントニオ・カンタフォーラ)が両親の故郷であるオーストリアに戻るところから始まる。“処刑男爵”と呼ばれ、幾多の人々を血祭りに上げた先祖の城を訪れた彼は、城を研究するスタッフの一人エヴァ(エルケ・ソマー)と共に、男爵の霊を蘇らせてしまう・・・。
 ヒロイン役のソマーは、ハリウッドでも活躍したドイツ出身の小悪魔女優で、当時既に全盛期は過ぎていたもののヨーロッパでは絶大な人気を誇っていた。相手役のカンタフォーラは、コミカル・ウェスタン“カランボラ”シリーズで人気を得た2枚目スター。「デモンズ2」にも出ていた。城を買い取る謎の紳士を演じるのはご存知ハリウッドの大スター、ジョセフ・コットン。一方、イタリアの誇る往年の2枚目スター、マッシモ・ジロッティがピーターの叔父を演じる。また、「続・夕陽のガンマン」などのマカロニ・ウェスタンで有名な女優ラダ・ラシモフが霊媒役で登場。

 

LISA_AND_THE_DEVIL.JPG RABID_DOGS.JPG SHOCK.JPG MARIO_BAVA.JPG

新エクソシスト/死肉のダンス
Lisa and the Devil (1973)
The House of Exorcism (1975)

Rabid Dogs (1974)

ザ・ショック
Shock (1977)

マリオ・バーヴァ 地獄の舞踏
Mario Bava Maestro of the Macabre (2000)

(P)2000 Image entertainment (USA) (P)1997 Lucertola Media (USA) (P)2000 Anchor Bay (USA) (P)2000 Image Entertainment (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/地域コード:ALL/"Lisa and the Devil"95分:"The House of Exorcism"91分/製作イタリア

特典
アルフレド・レオーネ、エルケ・ソマーのオーディオ・コメンタリー
未公開シーン
予告編集
監督&キャスト・フィルモグラフィー
フォト&ポスター・ギャラリー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/英語音声/字幕:英語・ドイツ語/地域コード:ALL/96分/製作イタリア

特典
スチル&ポスター・ギャラリー
フィルモグラフィー
予告編
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/音声:英語・イタリア語・フランス語/地域コード:ALL/92分/製作イタリア

特典
ランベルト・バーヴァ インタビュー
予告編
アメリカ公開版テレビ・スポット集
バイオグラフィー
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/ステレオ/英語音声/地域コード:ALL/60分/製作アメリカ

監督:マリオ・バーヴァ
    アルフレド・レオーネ(The House
    
of Exorcism)
製作:アルフレド・レオーネ
脚本:マリオ・バーヴァ
    アルフレド・レオーネ
    ナンド・アッツィーニ(The House
        of Exorcism)
撮影:チェチリオ・パニアグア
音楽:カルロ・サヴィーナ
出演:エルケ・ソマー
    テリー・サヴァラス
    アリダ・ヴァリ
    アレッシオ・オラーノ
    シルヴァ・コシナ
    ガブリエル・ティンティ
    エドゥアルド・ファヤルド
    ロバート・アルダ(The House of
        Exorcism)

監督:マリオ・バーヴァ
製作:ロベルト・ロヨーラ
脚本:アレッサンドロ・パレンツォ
    チェザーレ・フルゴーニ
撮影:エミィオ・ヴァリアーノ
    マリオ・バーヴァ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:リカルド・クッチョーラ
    リア・ランデール
    モーリス・ポリ
    ルイジ・モンテフィオーリ
    アルド・カポーニ

監督:マリオ・バーヴァ
    ランベルト・バーヴァ(クレジット無
製作:トゥーリ・ヴァシーレ
脚本:ランベルト・バーヴァ
    フランチェスコ・バルビエリ
    パオロ・ブリガンティ
    ダルダノ・サケッティ
撮影:アルベルト・スパノーリ
音楽:ゴブリン
出演:ダリア・ニコロディ
    ジョン・スタイナー
    デヴィッド・コリン・ジュニア
    イワン・ラシモフ

監督:ギャリー・S・グラント
脚本:チャールズ・プリース
製作:ジャン・シャック
出演:サミュエル・Z・アーコフ
    ファブリツィオ・バーヴァ
    ランベルト・バーヴァ
    ティム・バートン
    ジョン・カーペンター
    ショーン・S・カニンガム
    ジョー・ダンテ
    ジョン・フィリップ・ロー
    アルフレド・レオーネ
    ダリア・ニコロディ
    カルロ・ランバルディ
    カルロ・ルスティケッリ
    ダルダノ・サケッティ
    ジョン・サクソン
 不幸な運命を辿ったバーヴァの隠れた名作。もともと"Lisa and the Devil"として製作され、カンヌ映画祭に出品され、評判を得たものの何故か買い手がつかずにお蔵入りとなってしまう。その頃、ウィリアム・フリードキン監督の「エクソシスト」が評判になっており、バーヴァはプロデューサーのレオーネの要望でロンドンに飛び、「エクソシスト」を鑑賞する。当然の如く、レオーネは「エクソシスト」をコピーして追加撮影を行うようにバーヴァに依頼するが、露骨な物まねに抵抗感のあるバーヴァはこれを拒否。結局、レオーネが単独で追加撮影を行い、同じ作品とは思えないような酷い映画に仕上げてしまう。皮肉なことに、このバージョンはブームに乗って大ヒット。日本で「新エクソシスト」としてビデオ発売されたのも、この改悪バージョン。
 本来のストーリーは、スペインのトレドの町を訪れたアメリカ人女性リサ(エルケ・ソマー)が、壁画の悪魔にそっくりな男(テリー・サヴァラス)の後を追ううちに道に迷い、パラレル・ワールドに入り込んでしまうことから始まる。偶然知り合った旅行者の夫婦と共に、一夜の宿を求めた古い屋敷で、リサはマックス(アレッシオ・オラーノ)という青年と出会う。彼はリサを一目見て“戻ってきてくれたのだね”と喜ぶ。そして、次々と不思議な出来事が彼女の周囲で起こる・・・。
 非常にシュールで幻想的なストーリー、映像世界が繰り広げられるゴシック・ムードたっぷりの哀しい怪奇譚の秀作。これが、75年バージョンでは、悪魔に憑りつかれたリサが見る悪夢となってしまい、オリジナルのロマンティシズムも幻想性も全て台無しにされてしまった。
 政治家の汚職、犯罪の増加で荒れに荒れた70年代のイタリア。そうした社会背景をもとに、バーヴァが取り組んだ野心的で画期的な犯罪バイオレンス映画の傑作。ところが撮影終了後に出資者が事故死してしまったことから製作資金が尽きてしまい、何とお蔵入りの憂き目に遭ってしまう。幸いにも、主演女優リア・ランデールがネガ・フィルムやサウンドトラックを保存しており、残されたバーヴァの編集ノートをもとに私財を投じて作品を完成させ、1996年にプレミア公開されたといういわく付きの作品。
 凶悪そのものの強盗グループが、銀行強盗をした上に、通りがかりの人々を次々と殺したり誘拐しながら逃亡を続ける。たまたま事件に巻き込まれてしまった女性と中年男の地獄巡りが壮絶なリアリズムで描かれていく。強盗グループの面々の狂犬のような切れっぷり、凄まじい暴力描写、車という密室の中で繰り広げられる鬼気迫る恐怖。当時60歳とは思えないバーヴァの気骨溢れる演出には驚かされる。クライマックスの呆気に取られるほどのどんでん返しも見事というしかない。現代社会における犯罪と暴力の根深さを痛烈に皮肉った結末だ。
 拉致される女性マリア役のリア・ランデールは名優ハーディ・クリューガーの元妻で、「夢魔」にも出演していたドイツ女優。同じく拉致られる地味な中年男を演じるのは「死刑台のメロディ」でカンヌ映画祭男優賞を受賞した名優リカルド・クッチョーラ。ジョージ・イーストマンの変名で有名な怪優ルイジ・モンテフィオーリが強盗グループの一味として強烈な印象を残す。チプリアーニの超グルーヴィーでアシッドなスコアも最高!
 マリオ・バーヴァの遺作。随所にバーヴァらしい効果的なトリックを用いた流麗なカメラワーク(母親に駆け寄ってくる少年が突然血みどろの幽霊に変わるシーンはシンプルな発想が思いがけないほどの効果を発揮するというバーヴァ的トリックの典型)が確認できるものの、全体的には息子ランベルトのカラーが強く出ている。もともとは、父マリオにモダン・ホラーを撮ってもらいたいというランベルトの思いから生まれた作品で、脚本家のダルダノ・サケッティと共にスティーブン・キングの小説を意識して脚本を書いたという。実際に撮影現場でもランベルトが演出を任されることが多く、当時既にあまり体調の思わしくなかった父マリオにとっては、息子に監督としての経験を積ませるための良い機会だったようだ。
 若く美しい母親ドーラと息子のマルコは、ドーラの再婚相手であるブルーノと共に郊外の屋敷に移り住む。前夫の死で精神的に病んでいたドーラは、引越しの当日から奇妙な現象に悩まされるようになる。それと同時に、息子マルコも不可解な行動をとるようになっていく・・・。ドーラ役を演じるのは当時イタリアン・ホラーの巨匠として世界中の注目を浴びていたダリオ・アルジェント監督のパートナーだった女優ダリア・ニコロディ。彼女が橋渡しとなり、アルジェントと親交を深めたバーヴァは彼の「インフェルノ」('80)の特殊撮影と一部演出を任せられる。ブルーノ役のジョン・スタイナーは、イギリス出身の俳優だがイタリア映画への出演が数多く、「サロン・キティ」のナチス将校や「シャドー」の批評家役など、冷徹な人物やどこか中性的な雰囲気の役が巧い役者だ。
 生前は本国イタリアでもなかなか正当な評価を得ることが出来なかったバーヴァ(当の本人も他人の評価などあまり気にはしてなかったと思うが)だが、アメリカでこのようなドキュメンタリーが作られる程までに世界的な評価を高めるまでになったというのは実に感慨深い。昔はマリオ・バーヴァなどと言っても、よっぽどの映画マニアでなければピンと来なかったものだが、日本でも黒沢清監督など日本映画をリードする優秀な監督たちがマリオ・バーヴァ作品からの影響を口にするようになり、瞬く間に伝説的な存在となってしまった。
 このドキュメンタリーでも、ティム・バートンがバーヴァ作品への愛情や「スリーピー・ホロー」がいかにバーヴァに影響されて作られたかを熱く語り、ジョー・ダンテやジョン・カーペンターがバーヴァ作品がいかに少年時代の彼らに影響を与えたかを楽しそうに、懐かしそうに語る姿は実に微笑ましい。また、バーヴァの作品や人柄を知る上でも貴重な証言も多い。例えば、バーヴァがバート・ランカスターとカーク・ダグラスの違いも分らないほど役者に関して無関心だったという話。ビジュアル・スタイルこそが彼の最大関心事であり、その役柄に俳優の姿がはまっているかどうかという事こそ重要で、俳優の名前や有名・無名などは一切気にしなかったという。また、ホラー映画を作ることについて、“人は誰でも死ぬのに、死について語ろうとする人は少ない。愛について語る人は余りにも多いから、私は愛と死について語ってみたい”という言葉にも彼の人柄が表れている。マリオ・バーヴァという人物とその業績を知るには格好のドキュメンタリー作品である。

UPDATE!

GOLDFOOT.JPG BLOOD_AND_BLACK_LACE2.JPG

Le Spie Vengono dal Semifreddo (1966)

モデル連続殺人(コレクターズ盤)
Blood and Black Lace(1965)

(P)2005 IIF Home Video (Italy) (P)2005 VCI Home Video (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(イタリアPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン/モノラル/イタリア語音声/字幕:イタリア語・英語/地域コード:不明/83分/製作イタリア

特典
予告編
フォト・ギャラリー
DVD仕様(北米盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン/5.1chサラウンド/音声:イタリア語・英語・フランス語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:ALL/90分/製作イタリア

特典
ティム・ルーカス・コメンタリー
女優メアリー・アーデン・インタビュー
俳優キャメロン・ミッチェル・インタビュー
サウンドトラック
予告編集(イタリア版・ドイツ版・フランス版)
フォト・ギャラリー
バイオグラフィー集
フランス公開版オープニング
アメリカ公開版オープニング
イタリア版・アメリカ版比較
監督:マリオ・バーヴァ
製作:フルヴィオ・ルチサーノ
脚本:カステラーノ&ピポーロ
撮影:アントニオ・リナルディ
音楽:ラロ・ゴリ
出演:フランコ・フランキ
    チッチョ・イングラッシア
    ヴィンセント・プライス
    ファビアン
    ラウラ・アントネッリ
    フランチェスコ・ムーレ
監督:マリオ・バーヴァ
製作:アルフレード・ミラビーレ
    マッシモ・パトリツィ
脚本:ジュゼッペ・バリッラ
    マルチェロ・フォンダート
    マリオ・バーヴァ
撮影:ウバルド・テルツァーノ
音楽:カルロ・ルスティケッリ
出演:キャメロン・ミッチェル
    エヴァ・バルトク
    トーマス・レイナー
    メアリー・アーデン
    アリアンナ・ゴリーニ
    ダンテ・ディパオロ
    フランコ・レッセル
 前年に公開されて世界的なヒットとなったAIP製作のハリウッド産スパイ・コメディ「ビキニマシン」の続編として製作された作品。主演は当時イタリアで国民的な人気を誇ったコメディアン・コンビ、フランコ・フランキとチッチョ・イングラッシア。前作に引き続きヴィンセント・プライスが悪の科学者ゴールドフット博士を演じ、人気絶頂だったアメリカの男性ポップ・アイドル、ファビアンが若手スパイ役を演じる。フランコとチッチョはスパイに憧れるしがないホテルのドアマン。この二人が、ゴールドフット博士の世界征服計画を巡るスパイ合戦に巻き込まれたことから起こる珍騒動を描く。
 ソウル・バス風のタイトル・アニメとセクシー美女を配したカラフルなオープニングや、ピラニアのプールに落ちた人間が片腕だけ残して食われちゃうなんていうブラック・テイストなギャグがマリオ・バーヴァらしい。前作の目玉だった黄金のビキニをまとった美女ロボット軍団は今回も登場。今度の武器はなんと“キス爆弾”。全編通じてナンセンスなギャグのオンパレードだが、これでもかと言わんばかりにクドいフランコ&チッチョの芸風についていけるかどうかで、かなり好き嫌いが分れる作品でもある。そうした事を考慮に入れても、コメディ映画としては平凡な出来。撮影現場でスタッフや俳優を笑わせるのが得意だったというバーヴァだが、コメディ映画とは相性が良くなかったようだ。結局、一番印象に残るのはデビュー当時の初々しいラウラ・アントネッリの可愛らしさくらいか。
 本DVDは、複数のマスター・フィルムを繋いでからテレシネをしているらしく、部分的に画質の差が激しいのだが、総じて良好。
 VCIから再リリースとなった「モデル連続殺人」。2000年版(日本盤も同じマスターを使用していると思われる)はテレシネの際にフレーム・サイズを間違えてしまい、両端が微妙にカットされていたらしい。そこで、今回は正確なサイズでテレシネし直したマスターを使用。映像特典を増やし、2枚組にリニューアルされての発売となった。これが正真正銘の完全版と言えるのだが、残念なのは2000年版に比べて明らかに画質が落ちているということ。全体的にソフト・フォーカス気味で、輪郭が非常に甘く、色も淡い感じになってしまった。画質的には、輪郭がシャープで発色に深みのある2000年版の方が良かった。映像特典では、オリジナルのイタリア公開版と残酷シーンをカットしたアメリカ公開版の映像比較が非常に興味深い。ただ、やはりリニューアルするからには、最新の関係者インタビュー映像なんかは欲しかった。コレクターズ盤としては多少不満の残る出来映えだ。

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