マリア・コンチータ・アロンソ Maria Conchita Alonso
ポップ・スターから女優へ転身した元ミス・ベネズエラ

 

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 日本では女優としてしか知られていないマリア・コンチータ・アロンソだが、もともとは歌手としてアメリカや南米で絶大な人気を誇るスターだった。デビューは1979年。当時はAmbarという変名を使っていたが、80年代に入ってMaria Conchita Alonso名義で数多くのヒット曲を放った。AORの影響を強く受けたムーディーなラテン・ポップスが特徴で、ニューヨーク系のサウンドと西海岸系のサウンドの美味しいところを取ったような作品が多く、それこそボビー・コールドウェルやバリー・マニロウ、さらにはシャカタクにまで通ずるようなお洒落で都会的なラテン・ポップスを聴かせてくれる。ハスキーで情熱的な歌声も非常に個性的で、日本人受けするアーティストの一人だと思う。
 1957年6月29日、キューバに生まれたマリアは、生後すぐに家族と共にベネズエラのカラカスに移住した。少女時代から美少女として評判で、1971年にはミス・ティーンの世界大会で優勝している。75年にはミス・ベネズエラに選ばれ、ミス・ワールドにも出場しているが、この時は残念ながら6位に終わってしまった。その一方、スイスとスペインで教育を受けたマリアは、英語、イタリア語、スペイン語、フランス語を自在に操るトライリンガルでもある。
 79年にAmbar名義のアルバム“Love Maniac”でレコード・デビューを果たしたマリアは、同時に女優として映画デビューも果たす。しかし、歌手としての活動のほうが活発で、女優としては80年代に入ってテレビで数多くのメロドラマに出演して名前を知られるようになる。82年にアメリカに移住した彼女は、映画「ハドソン河のモスコー」('84)でロビン・ウィリアムスの相手役を演じてハリウッド・デビューを果たす。さらに、85年にはマリア・コンチータ・アロンソ名義での初のアルバム“Maria Conchita”がプラチナム・ディスクを獲得する大ヒットとなり、その年のグラミー賞で最優秀ラテン・アーティスト賞にノミネートされる。さらに、“O Ella Oyo”('86)、“Mirame”('87)、“Hazme Sentir”('91)、“Imaginame”('93)とリリースするアルバムが続々とゴールド・ディスクを獲得。“Imaginame”ではグラミー賞の最優秀ラテン・ポップ・アルバム賞にノミネートされた。また、映画「スカーフェイス」('84)のサントラにも参加している。
 女優としても「バトルランナー」('87)や「ダブルボーダー」('87)辺りから日本でも知られるようになり、「バンパイア・キッス」('88)や「カラーズ/天使の消えた街」('88)、「プレデター2」(90)などヒット作に次々と主演。「サルバドル」や「プレデター」で活躍したエルピディア・キャリロと並んで、ハリウッドで活躍する数少ないラテン系スター女優として一時代を築いた。「愛と精霊の家」('93)以降は日本公開作が少ないため、その活動ぶりが日本には余り伝わってこないが、インディペンデント系の作品を中心に多くの映画に出演している。
 97年にはヒスパニック系の映画人に贈られるノソストロス・ゴールデン・イーグル賞を、98年にはスペインのフエルヴァ・ラテン・アメリカン映画祭でフエルヴァ市民名誉賞を受賞しており、広くスペイン語圏で尊敬を集めている。
 最近では、全米で大ヒット中のテレビ・ドラマ「デスパレートな妻たち」のシーズン2でガブリエルの母親役として登場。娘を女としてライバル視する、自由奔放かつウルトラ・ビッチなラテン系マダムを嬉々として演じていた。映画でも、最新作であるスコット・アンダーソン監督・主演のシェイクスピア劇“Richard V”('06)ではエリザベス女王役を演じている他、撮影中の“The Last Guy On Earth”ではウーピー・ゴールドバーグ、ジョーン・キューザック、リリー・トムリン、タリア・シャイア、ブルック・シールズ、ブレンダ・ストロング(「デスパレートな妻たち」)といった豪華スターと共演している。
 歌手としても、2004年には久々の新曲“Soy”をリリース。Lewis A MartineeやFred Couryをリミックスに迎え、哀愁感溢れるダンサンブルなラテン・ハウスを聴かせてくれたが、残念ながら大きなヒットには結びつかなかった。ビルボードのラテン・チャートで1位に輝いた“Acariciame”や“O Ella O Yo”、“Noche De Copas”など、80年代に数多くの名曲を放ったスターだけに、そろそろ音楽活動にも本腰を入れて欲しいところである。

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「デスパレートな妻たち」シーズン2より

「デスパレートな妻たち」シーズン2より

“O Ella O Yo”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

“Acariciame”のテレビ映像 ココ で見れます!

“Noche De Copas”のテレビ映像 ココ で見れます!

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Mirame (1987)

De Coleccion

Hoy Y Siempre (1997)

Soy (2004)

(P)2003 A&M Records (USA) (P)1994 A&M Records (USA) (P)1997 Mercury/Polygram (USA) (P)2004 Hypnotic Records (USA)
1,Ganar O Perder
2,Te Amo, Te Amo
3,Tu, Mi Hombre
4,Lluvia De Amor
5,Todo Lo Que Yo Pretendo
6,Soy Tu Mujer
7,Hielo
8,Otra Mentira Mas
9,Y Es Que Llegaste Tu
10,Mirame

produced by Jose Quintana, Maria Conchita Alonso and K.C. Porter
1,Noche De Copas
2,Acariciame
3,La Loca
4,Sueltame
5,O Ella O Yo
6,Tu Eres El Hombre
7,Y Es Que Llegaste Tu
8,Lluvia De Amor
9,Eres Tan Real
10,Entre La Espada Y La Pared
11,Dueno De Mi Cuerpo
1,Lo Que Here Por Ti *
2,Noche De Copas
3,Acariciame
4,Muy Dentro *
5,Tomame O Dejame
6,Amigos No *
7,Ganar O Perder
8,La Loca
9,Enamorada De Ti *
10,Mirame
11,Hazme Sentir
12,O Ella O Yo

* produced by Marcos Flores
1,Soy (Champagne Radio Mix) 3:48
2,Soy (Lewis A Martinee Radio Mix) 3:47
3,Soy (Effcee Radio Mix) 4:54
4,Soy (Consciousness Radio Mix) 3:49
5,Noche De Copas '04 (Zoran's Mix) 4:08
6,La Loca '04 (Zoran's Mix) 5:27
7,Soy (Asyd Club Mix) 4:50
8,Soy (Consciousness Club Mix) 6:58
9,Soy (Lewis A Martinee Club Mix) 4:57
10,Soy (Effcee Club Mix) 4:49

executive produced by Maria Conchita Alonso
 マリアのオリジナル・アルバムで唯一CD化されているのが、この作品。プロデュースにはリッキー・マーティンやセレナ、ルイス・ミゲールを手掛けた事で有名なK.C.Porterも参加している。全体的には平均的なラテン・ポップ・アルバムで、いかにも80年代って感じのサウンド・プロダクションが懐かしい。もろに竹内まりあ系のバラード#8なんか日本人の琴線にも触れる出来映え。出来れば、他のアルバムもCD化して欲しいもの。  彼女の大ヒット曲が全て網羅されたベスト・アルバム。ベスト盤は幾つかリリースされていますが、だいたい選曲は一緒です。お洒落でムーディーなラテン・ポップスが満載。夕暮れのリゾート・ホテルのレストランなんか似合いそうなラテン・ダンス・ナンバー#1やAOR色濃厚な哀愁バラード#2、インディアもサルサ・カバーしたドラマチックな哀愁バラード#5など、素晴らしい名曲が目白押しです。ラテン・ポップス・ファン以外にもオススメ!

 新作4曲を含むベスト・アルバム。音質があまり良くなかったA&M盤に比べて、こちらは非常にクリアで立体感のあるマスタリング仕上げ。新作以外の選曲もちょっと変っています。ただ、残念なことに、その新曲がいずれも平凡な仕上がり。路線的には間違っていないものの、あまりにも中庸過ぎて全く印象に残らないんですよねー。コアなファンでない限りは普通のベスト盤でオーケーだと思います。

 マリアにとって7年ぶりの新曲となったシングル。バリバリの哀愁系ラテン・ハウスです。フラメンコ色の濃厚な#1、80年代にエクスポゼのプロデューサーとして一世を風靡したルイス・A・マーティニーによるプログレッシブ・ハウス#2、ピコピコしたシンセ・サウンドもユニークなユーロ・ハウス風エレクトロ・ディスコ#3などバラエティ豊かなリミックス満載でお腹いっぱい。さらに、往年の大ヒット曲のセルフ・リメイク#5&#6のオマケ付きで、ファンなら大満足の1枚です。


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