Love, American Style
(1969-1974)

 

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 1969年から5シーズンに渡ってネットワーク局ABCで放送され、全米で大反響を呼んだアンソロジー・シリーズ。1時間の放送枠の中で、毎回2話〜4話の寸劇コメディが披露され、その合間に幾つかの一発ギャグが挿入される。テーマは“アメリカ式愛”。当時はウーマン・リブや公民権運動などによって、アメリカ社会の価値観が大きく変化した時代。そうした中で、様々な新しい愛の形をコミカルに、そして時にはホロリとさせるようなストーリーで紹介していく、大人向けのテレビ・ドラマだった。
 扱われる題材は若者の同棲や婚前交渉、妊娠、離婚、浮気、老いらくの恋などなど。時にはスワッピングや乱交パーティなんていうきわどいテーマも扱われ、当時としてはかなりオープンに“恋愛とセックス”を語る番組だった。各エピソードには新進の若手スターからベテランの映画スターまで幅広い有名俳優が起用され、華やかな雰囲気を盛り上げる。それ以外にも、ファッションやインテリア、音楽など、当時の最新風俗やライフスタイルなどが盛り込まれていた。
 また、テーマ曲にはソフト・ロック・ファンにお馴染みのファミリー・バンド、カウシルズが起用され、全編に渡ってお洒落でポップなソフト・ロック・サウンドが散りばめられている。残念ながら日本では放送されなかったが、当時のアメリカのトレンドや文化、時代の空気を存分に感じさせてくれる楽しい番組だ。
 製作を担当したのはパラマウント・テレビジョン。『アイ・ラブ・ルーシー』で有名なルシール・ボールとデジ・アーナズ夫婦が立ち上げた制作プロダクション、デジルー・プロをパラマウント映画が買収して誕生した制作会社だ。やはり『アイ・ラブ・ルーシー』の伝統なのだろうか、この会社は『ゆかいなブレディ家』や『ハッピー・デイズ』、『ファミリー・タイズ』など、主にシチュエーション・コメディの名作を数多く生み出している。そして、この“Love, American Style”にも、そうしたシットコムの伝統がしっかりと受け継がれている。
 また、このシリーズのエピソードには、その評判の高さから別途シリーズ化されてしまった作品もある。その代表的なものが『ハッピー・デイズ』。70年代に一世を風靡した人気ファミリー・ドラマだが、もともとは“Love, American Style”の1エピソードに登場する寸劇だった。テレビ局に却下されたパイロット版の脚本をプロデューサーがパラマウントに売り渡し、その一部分を寸劇にして放送したところ大好評で、そのまま同一キャストでシリーズ化されてしまった、というのが具体的な経緯だったらしい。これ以外にも、売れなかったドラマの脚本を基にしたエピソードは幾つもあったようだ。
 いずれにせよ、リアル・タイムの放送を知らない我々でも存分に楽しめるドラマ。中でも、あの時代のファッションや音楽、文化などが好きなお洒落さんだったら、どのエピソードも十分に興味深いはず。衛星の海外ドラマ専門チャンネルで是非とも取り上げて欲しいクラシック番組のひとつだ。

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ということで、幾つかのエピソードを紹介してみよう

 

エピソード1 第1話“Love and a Couple of Couples(愛と2組のカップル)” 1969年9月29日放送
 恋人をディナーに招待した独身バツイチ男のアパートに、離婚した前妻がいきなり訪れたことから巻き起こるドタバタを描くスラップスティックなお話。ベタなギャグのつるべ打ちが抱腹絶倒のエピソードだ。
 主人公はゲイリー(マイケル・カラン)。恋人のジューン(イヴォンヌ・クレイグ)をディナーに招待したのはいいが、慣れない料理作りに悪戦苦闘している。しかし、今日は彼にとって重要な日。なぜなら、ジューンに思い切ってプロポーズをするつもりなのだ。そこへ、玄関のベルが鳴る。もう来たのかと慌ててドアを開けると、そこに立っていたのは2年前に離婚した妻アグネス(ペニー・フラー)だった。久々に街へ来たので寄ってみたのだという。彼が恋人とのディナーを用意するために苦戦していることを知ると、世話好きのアグネスは手際よく料理をこなしていく。その光景はまるっきり夫婦だ。やがてディナーの準備が整い、一息ついたアグネスは、テーブルに置かれた指輪を発見する。ゲイリーがジューンに贈る婚約指輪だ。なんとなく、それを自分の指にはめてみたアグネス。ところが、その指輪が外せなくなってしまう。大慌てするゲイリーとアグネス。だが、そこへジューンがやって来てしまった。
 で、結局3人でディナーを始めることになるわけだが、全く事情を読めていないジューンとの不穏なムードから壮絶バトルへ突入し、最後にはコーラス隊まで乱入して大騒ぎになるというハチャメチャぶりが痛快。いかにもロマンチック・コメディ的なハッピー・エンドも素敵だ。
 ゲイリー役は映画『ヤング・ハワイ』(61年)の2枚目スター、マイケル・カラン。前妻アグネス役のペニー・フラーは、当時数多くのドラマにゲスト出演していたテレビ女優。そして、恋人ジューン役にはテレビ『バットマン』のバットガール役で有名なイヴォンヌ・クレイグが顔を出している。

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独身バツイチ男ゲイリーの部屋に前妻アグネスが

婚約指輪が抜けなくなってしまった!

さすがに恋人ジューンは大激怒

 

エピソード1 第3話“Love and the Pill(愛と避妊薬)” 1969年9月29日放送
 娘とそのボーイフレンドがヨーロッパ旅行へ行くと知った両親が、理解ある大人を精いっぱい演じようとする姿をコミカルに描いた作品。フリーセックスの時代にどう対応すべきかアタフタとする大人の滑稽さを笑い飛ばしつつ、最終的には若者をもっと信用しなさいとさりげなく諭すエンディングが心憎い。
 バート(ボブ・カミングス)とエレン(ジェーン・ワイアット)のパーカー夫妻は、ごく平均的な中流家庭の中年夫婦。ある日、妻が娘キムの部屋で旅行ツアーのパンフレットを発見する。どうやら、娘はボーイフレンドとヨーロッパ旅行を計画しているらしい。パンフレットには“スインガー(最先端をいく人の意)・ツアー”と書かれており、ヨーロッパの最先端のナイトスポットなどを巡るらしい。ヨーロッパはアメリカと違って性に開放的だと聞く。雑誌やテレビで見聞きした情報で頭がいっぱいの夫婦は、途端にあれこれと心配になってくる。だが、今はアメリカもフリー・セックスの時代。自分たちの若い頃とは価値観が違う。だが、親の責任として言うべきは言う、教えるべきは教えないといけないだろう。少なくとも、避妊薬のことについては教えておかないとなるまい。そこへ、キムのボーイフレンドであるデニス(デヴィッド・ラッド)がやって来た。夫婦はなんとか旅行の話を切り出し、問題の核心へと迫ろうとするのだが、なかなか肝心な話題に触れることが出来ない。
 あれこれと遠まわしに性の話題に触れようとする夫婦と、上手く状況が呑みこめないデニスとの会話のズレが生み出す笑いというのがドラマの焦点となるわけだが、その背景にある当時の世相やジェレネーション・ギャップがいろいろと垣間見れて非常に楽しいエピソード。ヨーロッパ=フリー・セックスという、当時の一般的アメリカ人の妙な先入観が興味深いだろう。そして、結局はやれやれ取り越し苦労でしたね、というオチも非常に微笑ましい。
 夫バートを演じるのは、グレース・ケリーの不倫相手を演じたヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ』(54年)などで有名な映画スター、ボブ・カミングス。妻エレンを演じているジェーン・ワイアットも、『失はれた地平線』(37年)や『紳士協定』(47年)で知られる往年の名女優だ。また、デニス役のデヴィッド・ラッドは西部劇スター、アラン・ラッドの息子で、『チャーリーズ・エンジェル』のシェリル・ラッドの元ダンナである。

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バートとエレンは娘のヨーロッパ旅行を知って心配する

タイミング良く、娘のボーイフレンド・デニスがやって来た

なんとか核心に触れようとする夫婦だったが・・・


 

エピソード2 第1話“Love and the Living Doll(愛とダッチ・ワイフ)” 1969年10月6日放送
 アパートの隣に住む女性の気を引こうと、モテない男がダッチワイフを恋人に仕立てたことから巻き起こるドタバタ騒動を描いた話。全米キー局のドラマでダッチワイフが登場するというのは、当時としてはかなり大胆な挑戦だったに違いない。その甲斐あって、まさに抱腹絶倒の傑作エピソードに仕上がっている。
 チビでメガネの冴えない若者ハーヴェイ(アート・ジョンソン)は、アパートの隣に住む女性バーバラ(マーリン・メイソン)に片思い中。勇気を振り絞ってデートに誘ってみたが、あっけなく断られてしまった。なにしろ、彼女は男性から引く手あまたの美女。隣の部屋の窓を覗くと、男性とイチャイチャする彼女のシルエットが浮かび上がる。なんとか、彼女の気を引きたいと考えたハーヴェイは、ある秘策を思いついた。豪華なディナーを準備した彼は、テーブルにダッチワイフを座らせる。そして、窓のカーテンをちょっとだけ開けて、さもゴージャスな美女とデートを楽しんでいるようなふりをするのだった。ハーヴェイから今夜はデートだと聞いていたバーバラは、気になる様子で窓をちょくちょく覗く。ところが、ダッチワイフはなにかと取り扱いが難しい。悪戦苦闘した挙句に疲れ果てた彼は、ダッチワイフをナイフで刺して縮めてしまった。ところが、向かいに住むブラッドビューリー夫人(エステル・ウィンウッド)がその様子を目撃し、ハーヴェイが女性を殺したと勘違いして警察に通報してしまう。
 ハーヴェイ役のアート・ジョンソンは有名なコメディアンで、映画『ドラキュラ都へ行く』(79年)ではドラキュラ伯爵の下僕レンフィールド役を演じていた。バーバラ役のマーリン・メイソンは、70年代に活躍したテレビ・スターで、ドラマ『ロングストリート』のヒロイン役で有名。また、ブラッドビューリー夫人役のエステル・ウィンウッドは、戦前から数多くのハリウッド映画に出演している個性的な名脇役女優だ。

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モテない男ハーヴェイは隣の住人バーバラに片思い

ダッチワイフを恋人に見立ててバーバラの気を引こうとする

向かいに住むブラッドビューリー夫人


 

エピソード2 第4話“Love and the Unlikely Couple(愛と不釣合いなカップル)” 1969年10月6日放送
 どこからどう見ても平凡な息子が、とびきりの美女を婚約者として両親に紹介したらどうなるか?というアイディアから生まれた、小粋で微笑ましいショート・ストーリー。あんな美人がうちの息子の嫁に来るなんて話がうますぎる、と勝手に慌てふためく両親の姿が愉快だ。
 下町の中年カップル、シルヴァーマン夫妻(ルー・ジャコビとアリス・ゴーストリー)のもとに、息子ウォーリー(ウェス・スターン)が久々に帰ってくることになった。しかも、婚約者を一緒に連れてくるという。期待に胸を膨らませながら息子を出迎えた夫妻。ところが、ウォーリーの連れてきた婚約者バニー(バーバラ・ローズ)は長身でスタイル抜群の、まるでモデルのような美人だった。さすが俺の息子、よくやった!と大喜びするシルヴァーマン氏だったが、妻はまるで反対の意見。どこからどう見ても平凡極まりないうちの息子に、あんな美人が本気で惚れるわけがない。近頃の若い娘は計算高いから、あれはきっと財産目当てに違いないわ、というのだ。しかし、一家は典型的な下町家庭。お金なんてありゃしない。だとすれば、彼女の目的は何なのか!?あれこれと詮索をする夫婦だったが、やがてバニーの意外な本心と驚くべき正体を知ることになる。
 シルヴァーマン夫妻を演じるのは、『あなただけ今晩は』(63年)や『グリニッチ・ビレッジの青春』(76年)など下町オヤジを演じさせたら天下一品の名脇役ルー・ジャコビと、『卒業』(68年)や『グリース』(78年)などでお馴染みの脇役女優アリス・ゴーストリー。バニー役のバーバラ・ローズは『吸血鬼ブラキュラの復活』(73年)や『グッバイガール』(77年)など、70年代に活躍した女優だった。

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息子の婚約者と初対面するシルヴァーマン夫妻

息子の婚約者バニーはとびきりの美人だった

あんな美人が息子に惚れるはずないと疑う妻


 

エピソード4 第1話“Love and Legal Agreement(愛と法律協定)” 1969年10月20日放送
 結婚生活に行き詰まった夫婦が、その解決策として一時的に夫婦関係を解消する。法律的には夫婦だが、お友達の関係でいましょうというわけだ。もちろん、恋愛もそれぞれの自由。ところが、同居したままなもんだから、ややこしい。相手の恋愛活動が気になって仕方なくなり、お互いに嫉妬心をむき出しにするようになる、というお話。外で働いて稼いでくる夫が偉いのか、家庭を守る主婦が偉いのかという2人の言い争いを発端に、男女同権の時代における夫婦関係を描いた風刺コメディに仕上がっている。
 弁護士ダリアン(ビル・ビクスビー)と妻ルイーズ(コニー・スティーヴンス)は倦怠期で、朝から夫婦喧嘩が絶えない。ルイーズはダリアンの飲酒癖と浮気性にご立腹だが、ダリアンに言わせれば彼女も同罪。仕事で苦労して稼いでくるのだから酒と女くらい自由にさせろと彼が主張すれば、主婦の苦労を分かっていないとルイーズも譲らない。夫婦のすれ違いは決定的だった。二人は話し合いの結果、一時的な夫婦関係の解消を決める。だが、お互いに家を出て行く気はない。家賃を払っているのはダリアンだし、専業主婦のルイーズには行く当てがない。そこで2人は、同居はするがお互いのプライバシーには一切干渉しない、という協定を結ぶ。ところが、いざ夫婦関係を解消してはみたものの、同居していればお互いの存在が気になるもの。お互いに見栄を張りあい、いかに自分が“独身”生活を満喫しているか、いかに自分が異性にもてるかを誇示し合う2人。だが、いざ本当にお互いにデートの相手が出来ると、共に嫉妬心がメラメラと燃え上がるのだった。
 夫ダリアン役を演じているのは、テレビ版『超人ハルク』でお馴染みのビル・ビクスビー。妻ルイーズ役には、60年代の人気テレビ『ハワイアン・アイ』や映画『パームスプリングスの週末』などで日本でも大人気だった女優コニー・スティーヴンスが扮している。

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夫の飲酒癖と浮気性に怒り心頭の妻ルイーズ

夫ダリアンだって黙ってはいられない

お互いに“独身生活”を誇示しあう2人だったが・・・



エピソード5 第2話“Love and the Phonies(愛とペテン師たち)” 1969年10月27日放送
  パーティから戻った夫婦が普段着に着替える様子を描きながら、人間の虚栄心を微笑ましいタッチで皮肉った寸劇コント。主演のフィリス・ディラーとリチャード・ディーコンの見事な“変装”ぶりにも注目だ。
 ディナー・パーティから帰って来たボイド(リチャード・ディーコン)とダフネ(フィリス・ディラー)のダニエルズ夫妻。話題はパーティに出席していた友人たちのことばかり。フェイス・リフトして精いっぱい若作りしてきた女友達や、日焼けマシンで真っ黒に焼いて健康美をアピールする中年男、レンタル衣装を自慢げに着ていた女性などなど、なんでみんな下らないことに見栄を張るのだろうと呆れるばかりの二人。まったく、世の中は身の丈を知らない偽者の人間ばかりだ、と。そう言いながら、厚化粧を落とし、胸パッドを外し、カラー・コンタクトを外し、ロング・ヘアのウィッグを取るダフネ。一方、ボイドの方も上げ底ブーツを脱ぎ、強制腹巻きを取り、カラー・コンタクトを外し、付け髭も外し、カツラを取る。華麗な紳士・淑女から普通のオジサンとオバサンへ戻った2人は、自分たちはいつも自然のままで幸せだと微笑みあうのだった。
 夫ボイド役のリチャード・ディーコンは、『原子水爆戦』(55年)や『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(56年)などのSF映画に出演していた俳優。一方、妻ダフネ役のフィリス・ディラーはステージのスタンダップ・コメディで人気を集めた有名なコメディエンヌだった。

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ディナー・パーティから戻ってきたダニエルズ夫妻

コンタクトや付け髭を外していく夫ボイド

妻のダフネも化粧を落としてどんどん別人の顔に

 

エピソード5 第3話“Love and the Single Couple(愛と独身カップル)” 1969年10月27日放送
 同棲生活を送る学生カップルの愛の巣に、彼女の両親が押しかけたことから巻き起こるドタバタ劇をハートウォーミングなタッチで描いたエピソード。既成概念に囚われない自由な生き方を理想とするヒッピー世代の若者たちが、結婚というフォーマルな問題に直面するというストーリーに当時の世相が色濃く反映されている。今となってはそれ自体が古めかしいお話だが、爽やかで瑞々しい語り口が素敵な余韻を残す作品だ。
 ケイト(ダイアナ・イーウィング)とティム(マイケル・アンダーソン・ジュニア)の2人は同棲中の大学生カップル。ケイトは進歩的で独立心旺盛な女の子で、愛があれば結婚する必要なんてないと考えている。一方のティムは学業とアルバイトに追われる毎日で、結婚なんて考えている余裕はない。
 そんな2人の住むアパートに、突然ケイトの両親(ドン・ポーターとマージョリー・ロード)が押しかけてくる。従姉妹から彼女が男友達と同棲しているという話を聞きつけ、大慌てで田舎から出てきたのだ。娘が男にそそのかされていると思い込んでいた父だったが、その娘本人がなんだか分からない個人主義とやらにかぶれていることを知って大激怒。なんとか母親の仲裁で喧嘩は収まったが、愛しているのなら結婚するのが筋だという父親の意見にケイトは真っ向から反論する。さらに、両親の言い分にも一理あるとティムが言い始めたもんだから、ケイトは本気でキレてしまった。そんなのは中流階級の妄想だと。翌朝ケイトが目覚めるとティムの姿がなかった。もしかして出て行ってしまったのか?自分がいかにティムを必要としているかを身にしみて感じたケイトは、改めて自分の行動を後悔する。
 ケイト役のダイアナ・イーウィングは、映画『80歩大行進』(68年)などに主演して当時注目されていた若手スター。対するマイケル・アンダーソン・ジュニアはイギリスの名匠マイケル・アンダーソンの息子で、当時は映画『エルダー兄弟』(65年)やドラマ『ワイオミングの兄弟』などの西部劇で人気を集めていた。父親役のドン・ポーターはドラマ『ギジェットは15才』のパパ役でお馴染み。母親役のマージョリー・ロードは元RKO専属の映画スターで、女優アン・アーチャーの母親でもある。

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進歩的で独立心の旺盛な女子大生ケイト

ケイトの両親が突然押しかけてくる

両親に同調する恋人ティムに驚くケイト

 

エピソード6 第1話“Love and the Dating Computer(愛とお見合いコンピューター)” 1969年11月3日放送
 コンピューター・システムによるお見合いサービスで、間違ってデートする羽目になった2人の男性の姿を通じ、システムに振り回される現代人を風刺したユニークなエピソード。コンピューターが選んだだけにお互いの趣味嗜好はぴったりマッチ、というのも皮肉で可笑しい。出演はハーブ・エデルマンとブロデリク・クロフォードという名優の顔合わせだが、彼らのとぼけた演技も絶妙だ。
 しがない独身の中年男マリオン(ハーブ・エデルマン)は、これまでに様々なお見合いサービスを利用してきたが、なかなか良い出会いに恵まれなかった。そこで彼は、コンピューターで相性を診断してマッチングするという最新のお見合いシステムに登録する。そして、いよいよ紹介された相手を自宅を招いて自宅でデートをする日がやって来た。得意の料理を準備して待つまりおん。玄関のベルが鳴ったので扉を開けると、そこに立っていたのは初老の男性フランシス(ブロデリク・クロフォード)。どうやらコンピューターが性別を間違えてしまったらしい。マリオンもフランシスも、男性と女性の両方に使われる名前だからだ。最初は頭に来て、お互いに八つ当たりをする2人だったが、話をしていると趣味や食事の好みなどが全く同じであることに気付き、にわかに意気投合してしまうのだった。
 マリオン役のハーブ・エデルマンはアメリカの有名なコメディアンで、『ザ・ヤクザ』(74年)では日本通のアメリカ人役を演じ、『男はつらいよ 寅次郎春の夢』(79年)にも出演しているという、とても日本にゆかりの深い俳優。一方のブロデリク・クロフォードは『オール・ザ・キングスメン』(49年)でアカデミー主演男優賞を受賞し、『夜の人々』(54年)やフェリーニの『崖』(55年)などにも出演している名優だ。

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コンピューターによるお見合いシステムを利用するマリオン

これで理想の相手が見つかると思ったのだが

現れたのは初老の男性フランシスだった

 

エピソード7 第3話“Love and Geisha(愛と芸者)” 1969年11月10日放送
 女房に愛想を尽かされた中年男のもとへ昔馴染みの日本人女性が現れ、至れり尽くせりの世話をしてもらう。やっぱり大和撫子は最高だと喜んだのもつかの間、結局ダメ男はダメ男にしか過ぎませんでしたというオチの小噺。
 スポーツ観戦が大好きな中年男ノーマン(レッド・バトンズ)は、家の事なんかそっちのけで野球やフットボールのテレビ中継にかじりついている。そんな毎日に嫌気のさした妻ヴェラ(キャロリン・ジョーンズ)は、堪忍袋の緒が切れて家を出て行ってしまった。それでも反省するどころか、これでゆっくりとテレビが見れると大喜びのノーマン。そこへ、かつて日本にいた頃に知り合った芸者ケイ・ヨーコ(ノブ・マッカーシー)が突然やって来た。日本を離れるときの“アメリカにおいで”という口約束を真に受けたらしい。ビックリしながらも家に招きいれたノーマン。だが、彼女は自己主張の強いアメリカ女性とは違って、何から何まで世話をしてくれる夢のような女性だった。やはり日本の女は素晴らしい、と甘えっぱなしのノーマン。そこへ、出て行ったはずのヴェラが戻ってきた。痴話げんかになるかと思いきや、なぜかヴェラとケイ・ヨーコは意気投合し、ノーマンのダメ男ぶりを次々と糾弾していく。
 ノーマン役のレッド・バトンズは、日本人女性と結婚する軍人役を演じた『サヨナラ』(57年)でアカデミー助演男優賞を受賞した名優。明らかに“狙った”キャスティングだろう。その妻ヴェラ役を演じているのは、テレビ『アダムスのお化け一家』のモーティシア役でお馴染みの女優キャロリン・ジョーンズ。そして、『ペインテッド・デザート』(94年)が印象的だった日系人女優ノブ・マッカーシーが芸者ケイ・ヨーコ役で登場。晩年の肝っ玉母さん的なイメージしか持っていなかったが、これが予想外に綺麗なんで驚いた。

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スポーツ観戦に没頭するあまり女房に逃げられたノーマン

そこへ日本から美人の芸者が訪ねてくる

なぜか結託してノーマンのダメ男ぶりを糾弾する妻と芸者

 

エピソード9 第3話“Love and the Former Marriage(愛と元夫婦)” 1969年11月24日放送
 離婚した前妻から何かにつけて呼び出され、父親の責任ばかり押し付けられるバツイチ男性の災難を描いた風刺コメディ。前妻は娘を連れて再婚しているのだが、この夫婦は2人揃って文句ばかり言うくせに、肝心なことは人任せにしようとする。やっぱり家庭には血のつながった父親が必要だ、ということなのだろうか。
 独身貴族のバツイチ男ジョン(カール・ベッツ)は、真夜中に緊急の電話で呼び出される。声の主は前妻デビー(ダナ・ウィンター)。娘のジュリー(ジェニー・サリヴァン)が家に帰ってこないというのだ。仕方なくデビーのところへ向うジョン。彼女はポール(エリオット・リード)という男性と再婚しているが、ポールは義娘のことに関して全くノー・タッチ。おかげで、ジョンは何かあるたびに、こうやって呼び出されるのだ。ジュリーも大人なのだから心配する必要もないだろうというジョンに、父親として無責任だと大騒ぎするデビーとポール。そこへ、ジュリーがボーイフレンドのロジャー(ハリソン・フォード)を連れて帰ってくる。なんと、2人は結婚するのだという。これまた大騒ぎで猛反対するデビーとポール。2人が愛し合っているのなら結婚を認めてあげるべきだというジョンに対し、またまたデビーとポールは父親として無責任な発言だと抗議する。
 ジョン役を演じているカール・ベッツは、日本でも大ヒットしたホーム・ドラマ『うちのママは世界一』のパパ役でお馴染みのテレビ・スター。前妻デビーを演じているダナ・ウィンターは、『あの日あの時』(56年)や『大戦争』(58年)などの映画で評判となった往年の美人女優だ。そして、娘ジュリーのボーイフレンド役で、当時まだ無名だったハリソン・フォードが出てくる。

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真夜中に前妻から呼び出されるバツイチ男ジョン

前妻デビーと夫ポールは、娘の責任をジョンに押し付ける

娘ジュリーは恋人ロジャーとの婚約を宣言した

 

エピソード11 第2話“Love and the Divorce Sale(愛と離婚セール)” 1969年12月1日放送
 離婚を決意した夫婦が、思い出の品を処分するために“離婚セール”を開催するも、最後に売れ残ったダブルベッドの上で改めて愛を確認し合うというハートウォーミングなお話。主人公夫婦が写真家とモデルという設定ゆえに、当時のカラフルでサイケなヒッピー・ファッションが盛りだくさん。小道具として使われる家具や調度品もお洒落で可愛いものばかりで、それを見ているだけでも十分に楽しめるエピソードだろう。
 ビフ(アンドリュー・プライン)は若者向けのファッション・フォトグラファー。これまでは妻のティフィー(レスリー・アン・ウォーレン)をモデルに使っていたが、近頃はモデルの低年齢化が進んでしまい、正直なところ20歳のティフィーでは年を取りすぎ。新しいモデルを雇うことにしたが、ティフィーは深く傷ついてしまう。年上の親友マキシーン(ジャッキー・ジョセフ)に慰められ、2人の思い出の花であるバイオレットを贈って仲直りしようとしたティフィーだが、仕事に夢中で彼女の気遣いを無視するビフにキレてしまった。結婚には若すぎたのか。離婚を決意したビフとティフィーは、家の中のものを売り払って、その売上金を折半することにした。これは私のもの、あれはあなたのものと言い争いになるのが嫌だったからだ。かくして、“離婚セール”が行われることに。次々と買われていく品を眺めながら、あれこれと幸せだった日々を思い出す2人。やがて、巨大なダブルベッドだけを残して、品物は全て売切れてしまった。
 ビフ役を演じているアンドリュー・プラインは、『奇跡の人』(62年)で脚光を浴びた俳優。70年代以降は『悪魔の調教師』(73年)や『グリズリー』(76年)などのカルト映画に数多く出演している。一方、ティフィー役を演じるレスリー・アン・ウォーレンは『ファミリー・バンド』(68年)などディズニー映画で人気を集めたアイドル女優。最近では、テレビ『デスパレートな妻たち』でテリー・ハッチャーの母親役を演じて評判になっている。また、彼女の親友マキシーン役を演じているジャッキー・ジョセフは、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(60年)のオードリー役で有名な女優だ。

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マキシーは年齢を気にするティフィーを慰めるが・・・

ティフィーとビフは離婚を決意する

2人は離婚セールで身の回りの品を売り払うことにする


 

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(P)2007 CBS/Paramount (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤3枚組)
カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:1/
619分/制作:アメリカ

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