ラウンジ・ア・ゴー!ゴー!

 90年代半ばに世界的なラウンジ・コア・ブームで注目を浴びたラウンジ・ミュージック。もともとはイージー・リスニング、カクテル・ジャズなどの名称で呼ばれ、50年代後半から70年代にかけて世界中でもてはやされたジャンルだった。その名の通り、ホテルやカジノのバー・ラウンジやカクテル・パーティーといった夜の社交場、レストランや空港ロビー、さらにはデパートのエレベーターから家庭のラジオまで、あらゆる場所で手軽なBGMとして親しまれた音楽である。
 もともとはビッグ・バンド・ジャズから派生したポピュラー音楽で、ロック、ソウル、ファンク、ブラジル音楽、ラテン音楽といった時代の先端を行く音楽ジャンルを、一般のリスナーの耳に馴染みやすいようにポップなアレンジで聴かせる大衆音楽として定着した。あくまでも踊ったりくつろいだりする為のBGMとして発信されるため、アーティストの名前を前面に押し出すことが少ない。その分、様々な実験的試みも出来るジャンルであったが、そのお手軽さと機能性を重視した匿名性のおかげでシリアスな音楽ファンには長年見下されてきたジャンルでもあった。特に、夜の遊びの主流をディスコに奪われてしまった70年代後半には一気に衰退してしまう。
 しかし、80年代半ばから台頭してきたクラブ・カルチャーの成熟と共に、UKやヨーロッパのDJが中心となって失われた過去の遺産であるラウンジ・ミュージック、イージー・リスニングが積極的に発掘されるようになる。その背景には、お子様の夜遊びの場と化してしまったディスコへのアンチテーゼ、かつての粋な大人の夜の社交場だったラウンジ・カルチャーへの憧憬、そして時代の距離を置くことによって認識されるようになった有名無名の職人たちによるプロに徹した音楽の魅力といったものがあると思われる。
 フラワー・パワー、ドラッグ・カルチャー、ロック革命の時代に、ポップであるがゆえに卑下され過小評価されてきた作品群が、ようやく正当な評価を得るようになったのだ。メインストリーム・ミュージックの細分化による、リスナーの趣味の多様化も幸いしたと言えるだろう。昔だったら、それこそポール・モーリアがカッコいいなんて言おうものなら、うるさ型の音楽ファンには小ばかにされたものだが、本当に良い音楽を良いと正々堂々言える時代になった事を嬉しく思う。

 さて、ラウンジ・ミュージックの起源だが、ビリー・ヴォーンやネルソン・リドルといったビッグ・バンド・ジャズにそのルーツがあるとはいえ、現在のラウンジ・ミュージック、イージー・リスニングの原型を作ったのは50年代末にレス・バクスターやマーティン・デニーらが世に送り出した“エキゾチカ”と呼ばれる音楽と言って良いだろう。これはハワイアンや南太平洋諸島の民族音楽を取り入れた異国情緒たっぷりのジャズで、その流れはラテン音楽を全面に押し出したエスキヴェルやペレス・プラドらに受け継がれ、モンド・ミュージックの流れを生み出した。さらに、ヘンリー・マンシーニ、バート・バカラック、ハーブ・アルパートらによって、ボサノバやロック、ソウルといったジャンルとの融合を果たし、次第に洗練されていったのだ。
 一方、ヨーロッパからはポール・モーリアが国際舞台に颯爽と登場、クラシックやヨーロッパのポピュラー・ミュージックとの融合が生まれ、ラウンジ・ミュージック、イージー・リスニングは世界的なムーブメントへと成長する。

 そうしたラウンジ・ミュージックの総本山とも言えるのが意外にもドイツだ。ドイツからは実に多くの優れたラウンジ系アーティストが生まれている。その代表格がジェームズ・ラスト。特に世界的に大ヒットした彼の“ノン・ストップ・ダンシング”シリーズは、70年代以降のクラブ、ディスコにおけるノンストップ・ミックスの原点と言えるもの。踊るための音楽という機能性を重視した音楽という点で、クラブ・ミュージックとラウンジ・ミュージックというのは非常に似通っているというのはしばしば指摘される点だが、ジェームズ・ラストはそれを象徴する存在と言えるだろう。
 その他、フランク・シナトラが歌詞を付けて歌って大ヒットさせた「夜のストレンジャー」で有名なベルト・ケンプフェルト、映画音楽でも有名なピーター・トーマス、近年再評価が著しいベリー・リップマン、アルフレッド・ハウゼ、ホルスト・ヤンコフスキー、ロベルト・デルガードなど枚挙にいとまない。
 また、ドイツにはMPSというジャズ・レーベルがあるが、ここが実はジャーマン・ラウンジの最重要拠点であり、地元のミュージシャンの他、オスカー・ピーターソンやらネルソン・リドルやらアメリカの大御所がヨーロッパ訪問の際に、ここでアルバムを吹き込んでいる。非常にイージー・リスニング色の強いレーベル・カラーが特徴で、アメリカの大御所ジャズ・ミュージシャンも、このレーベルで録音すると本国では聴かせないようなサウンドを作り上げてしまう、というところが非常にユニーク。

 ポール・モーリアを生んだフランスもラウンジ・ミュージックは盛んだった。モーリア、フランク・プールセルを筆頭に、リチャード・クレイダーマン、カラヴェリ、レイモン・ルフェーヴィルなど数多くの世界的な大御所アーティストを生んでいるが、全体的に軽いのが特徴。ゆえに、90年代以降のラウンジ・コア・ブームの中では、あまり重要な位置を占めてはいない。そんな中で異色なのがユーゴスラヴィア出身のヤンコ・ニロヴィッチ。当時は彼の作品はライブラリー・ミュージックとして使い捨てされていたのだが、ラウンジ・コア・ブームの中で発掘され、カリスマ的存在となった。現在はイギリスを拠点に活躍している。

 ラウンジ・コア・ブームが盛んで、新しい世代のラウンジ系アーティストを数多く輩出しているイタリアは、意外にも60年代、70年代のラウンジ系、イージー・リスニング系のアーティストが少ない。その代わり、イタリアの場合はピエロ・ウミリアーニやアルマンド・トロヴァヨーリ、ピエロ・ピッチョーニ、そしてエンニオ・モリコーネといった映画音楽家がラウンジ色の強い優れた映画音楽を数多く生み出しており、ウミリアーニの「マ・ナ・マ・ナ」やトロヴァヨーリの「セッソ・マット」は映画と全く切り離されたラウンジ・クラシックとして世界的に人気が高い。モリコーネも「ある夕食のテーブル」がラウンジ・シーンで人気が高い他、イージー・リスニング・アルバムも発表している。

 また、ヨーロッパのクラブ・シーンに於いてラウンジ・コア先進国的存在のイギリスも、マントヴァーニ、ロニー・アルドリッチやジョン・シュローダーなど、重要なラウンジ系アーティストが意外に少ない。ただ、イギリスで忘れてはならないのがトニー・ハッチ。イギリスのバカラックと呼ばれるハッチは、「恋のダウンタウン」などペチュラ・クラークの一連の大ヒットを世に送り放った人物であり、ラウンジ・ミュージックに多大な影響を与えた作曲家だ。

 そして、ラウンジ・ミュージック発祥の地であるアメリカは、マンシーニ、バカラックを筆頭に、パーシー・フェイス、アンドレ・コステラネッツ、ジャッキー・グリーソン、レイ・コーニフ、ピーター・ネロなど実に華やかな顔ぶれが並ぶ。ただ、アメリカではこの種の音を“エレベーター・ミュージック”として卑下して見る傾向が根強いのも事実。そのため、ラウンジ・コア・ブームも比較的控えめだった。

 なお、日本では昔からポール・モーリアやレーモン・ルフェーヴィル、マントヴァーニといったイージー・リスニング系のアーティストの人気は根強いが、どうしても年配の人が聴く保守的な音楽といった先入観と印象が強く、若い世代やうるさ型の音楽ファンから“カッコの悪いもの”というレッテルを貼られてきた。しかし、90年代に入ってピチカート・ファイブの小西康陽やコーネリアスによって日本にもラウンジ・コアのムーブメントがもたらされ、イージー・リスニングも含め、ソフト・ロックや映画音楽など、ロックンロールやパンクの世代に差別されてきたポップなサウンドがクールなものとして受け入れられるようになった。

 そもそも、スタイルやファッションから入るロックやパンクに比べ、その高い柔軟性ゆえにポップスというのは非常に高度な職人技が必要とされるジャンル。しかし、その耳障りの良さゆえに安易に量産されやすいジャンルでもある。それはラウンジ・ミュージック、イージー・リスニングも同じで、60年代から70年代にかけて量産され過ぎた事は事実。それ故に、ヒット曲をインストにしただけの安手のカラオケと変わりないような代物や、片っ端から似たような骨抜きのダンス・ミュージックにしてしまったものなんかも多い。しかし、そうした量産によるC級、Z級作品の氾濫は、ロックやパンクでも同じである。
 優れた音楽はジャンルに関係なく時代を超越して残るものなのである。

 

ALFONSO.JPG BRAZILIAN1.JPG BRAZILIAN2.JPG BRAZILIAN3.JPG

Verano Del 72 (1972)
Alfonso Santisteban

Natureza Humana (1995)
Brazilian Love Affair

Uma Brasileira (1996)
Brazilian Love Affair

Dilene (1997)
Brazilian Love Affair

(P)2002 Subterfuge Records (Spain) (P)1995 Dig It International (Italy) (P)1996 Dig It International (Italy) (P)1997 Dig It International (Italy)
1,Sabor A Fresa
2,Brincadeira
3,Zorongo
4,Persecucion
5,The Suitcase
6,Manias De Maria
7,No Te Acuerdas De Mi
8,Tierra Mojada
9,Un Dia De Lluvia
10,Nuestro Ayer
11,Vuelve A Tu Ciudad
12,Limon Y Sal

produced by Alfonso Santisteban
1,Som Das Aguas (prelude)
2,Sina
3,How Deep Is Your Love
4,Bem Que Se Quiz
5,Georgy Porgy
6,Fragil
7,Star
8,Aguas De Marco
9,Do You Know The Way To San Jose
10,Natureza Humana
11,2 Steves
12,While You See A Chance
13,Paginas Do Meu Eu

produced by Colombo's Touch
1,Pra Adriano (intro)
2,Fortuna
3,Demais
4,Ninho De Cobra
5,Uma Brasileira
6,Franci
7,One Way
8,Amiga
9,Quando Chove (Quanno Chiove)
10,Ferais No Brasil
11,I'm Out Of Your Life
12,Voce E Linda
13,Esta Em Mim

produced by Colombo's Touch
1,Mel
2,Con Il Nastro Rosa
3,A Deusa Do Mar
4,Fruta Melao
5,Love You Right
6,Let's Get Together
7,I Wanna Be Yours
8,6 (sei)
9,Que Sabor
10,Mama Africa
11,Doce Taboo
12,Magia Viver
13,Manoel, O Audaz
14,Natureza Humana (Vibrazioni Mix)
15,Que Sabor (2 Steves Remix)

produced by Colombo's Touch
 60年代から80年代にかけてスペインで活躍した作曲家Alfonso Santisteban(特にテレビ番組のテーマ曲で有名らしい)のセカンド・アルバム。これぞイージー・リスニング、これぞラウンジ・ポップといった感じの、ファッショナブルでカラフルでさりげなくスパニッシュ風味の漂う作品。甘いフルートの音色に女性コーラスの洒落たスキャットが絡むグルーヴィーでダンサンブルな#1、同じく女性コーラスのスキャットに軽やかなボサノバのリズム、ノスタルジックで気だるいフルートが真夏のリゾートの昼下がりを演出する#2など、トロヴァヨーリやウミリアーニも真っ青のお洒落な楽曲が並ぶ。傑作。  イタリアのクラブ系レーベルDig It Internationalからデビューしたラウンジ系ボサ・プロジェクト、Brazilian Love Affairのファースト・アルバム。エレガントでソフトで華やかなヨーロッパ的解釈のブラジリアン・サウンドが繰り広げられる素敵な作品。レーベル・カラーからいってストレートなクラブ・ラウンジ系のアプローチがあっても不思議はないのだが、あえてダンサンブルな要素は抑え気味なのがかえって好印象。Bee Geesのカバー#3やStingの名曲を艶かしいクラブ・ボサにカバーした#6あたりは出色の出来だ。  素晴らしい!Brazilian Love Affairの最高傑作といって間違いないセカンド・アルバム。ほど良いクラブ・ラウンジ系サウンドに乗せて、華麗で甘く美しいボサノバやサンバが繰り広げられる。今回はリード・ボーカルのDilene Ferrazが作曲にも深く関わっており、そのソングライトのセンスも注目に値する。キャッチーでダンサンブルでジャジーなクラブ・ボサ#3やエレガントかつファンキーなクラブ系サンバ#4、ボーカリストとしての実力も圧巻の本格的哀愁系サンバ#10など、非常にいい曲を書いている。くどいけど、素晴らしいアルバムです。  前作の出来が素晴らしすぎたせいか、少々地味な印象のサード・アルバム。イタリアの大スター、Lucio Battistiのカバー#2やリード・ボーカルDilene Ferraz自身のペンによる気だるくてキャッチーなクラブ・ボサ#4、爽やかでポップなお祭りサンバ#9、SadeのSweetest Tabooを引用したジャジーで退廃的なクラブ・ボサ#11など、モダンで洗練されたブラジリアン・サウンドは健在。その一方でUKのクラブ系アーティストTony Di Bartを迎えた#5や#8など、アーバン・ソウル的なアプローチも聴かせており、その辺りが中途半端な印象を与えてしまっているのかもしれない。

 

BRAZILIAN4.JPG BRAZILIAN5.JPG BALANCO.JPG SILVETTI.JPG

Fruta Melao (1997)
Brazilian Love Affair

Rio De Janeiro Blue (1998)
Brazilian Love Affair

More (1999)
Balanco

Adios al Amigo
Bebu Silvetti

(P)1997 Dig It International (Italy) (P)1998 Dig It International (Italy) (P)1999 Schema (Italy) (P)2003 Orfeon Videovox (Mexico)
1,Fruta Melao
2,Natureza Humana (Live)
3,Georgy Porgy (Live)
4,Con Il Nastro Rosa
5,Star (Bustin' Loose Remix Edit)
6,Que Sabor (2 Steves Remix)

produced by Colombo's Touch
#5 remixed by Souled Out
1,Agua De Beber
2,Se Voce Se For
3,Lanca Perfume
4,Rio De Janeiro Blue
5,Tranquilo (intro)
6,Happy Ever After
7,Insensatez
8,Aguasela
9,Festa De Sexta
10,Colo De Rio
11,Mais Gue Nada
12,Samba Nova
13,Insensatez (Delicado Mix)

produced by Colombo's Touch
1,More
2,Bossa Memorandum
3,Cocktail con Laura
4,Cuori solitari
5,The Bachelor Waltz
6,A Man And A Woman
7,Un posto per me
8,Intrigo a Francoforte
9,Mrs Beat
10,The Girl from Ipanema
11,A Day in the Life of Fool
12,Dreamflight
13,Nessun Dolore
14,Metti una sera a cena (Fez Mix)
15,Metti una sera a cena (Jazzanova Remix)

produced by Nicola Conte
1,Lluvia de Primavera (Spring Rain)
2,Cerca de las Estrellas
3,Tema Triste
4,Tema de Rosario y Mariano
5,Tema de la Hermana Carmen
6,Cuando no estas conmigo
7,Arena
8,Tema del Internado
9,Las novias de Mariano
10,Tema de la Hermana Rosario
11,No dejes tus suenos volar
 サード・アルバムからのシングル・カットで、カップリングにライブ・バージョンやアルバム未収録のリミックスを加えたもの。ライブはまずまずの仕上がり。#5のリミックスは当時のUKのカラージ・ハウスっぽい仕上がりだが、こちらは可もなく不可もなく。Love To Infinity風にも聴こえたりするのが時代ですねえ。  ボサノバの定番中の定番と言える「おいしい水」のカバー#1で幕を開けるラスト・アルバム。もちろん、ありきたりなカバーではなく、とてもファンキーでソウルフルな仕上がり。ファースト・アルバムからのファンには、ポップでキュートで爽やかな#3がオススメ。前年に若くして急逝したアメリカの女性ロック・シンガー、Nicolette Larsonに捧げられた#4、Julia Fordhamの名曲のカバー#6、これもボサノバの超有名曲をエレクトロ・ボサ風にカバーした#7など、全体的に悪くはないのだが、セカンド・アルバムの頃までの強烈なインパクトに欠けるのが残念。  日本でも一時期もてはやされたイタリアのクラブ・ラウンジ系レーベル、Schemaからデビューしたボサノバ・グループ、Balancoのセカンド・アルバム。ファースト・アルバムは全く印象に残らなかったのだが、本作はイージー・リスニング・ファンからイタリア映画音楽ファン、ボサノバ・ファンまで満足の大傑作。あの「世界残酷物語」のテーマを軽やかなクラブ系ボサとして蘇らせた#1からして素晴らしい出来。60年代ヨーロッパの避暑地の昼下がりを思わせるエレガントでノスタルジックなボサ#2、ヨーロピアン・ボサの定番「男と女」をスインギーにカバーした#6、バッハ・ミーツ・エレクトロ・ボサといった感じの傑作#8など、往年のヨーロッパ映画音楽を彷彿とさせる1枚。

 日本では電気グルーブが「シャングリラ」でサンプリングした70年代のディスコ・ヒットSpring Rainが有名なSilvettiのベスト盤。アルゼンチン出身で、スペインやメキシコでソングライター、プロデューサー、映画・テレビの音楽家、そしてオーケストラ指揮者として活躍した、いわばラテン版ポール・モーリアといった感じの人物だ。2003年に癌で亡くなった彼の、映画音楽作品などを含めたベスト盤がこれ。#1は大ヒットSpring Rainのセルフ・リメイク。何と言っても注目は、フランシス・レイやミシェル・ルグランも真っ青のロマンティックで美しいイージー・リスニング・ナンバー#3、#4、#6。甘い女性コーラスがエレガントなラウンジ・ジャズ#7も素敵だ。

 

BERT_KAEMPFERT.JPG BERRY_LIPMAN.JPG CARAVELLI.JPG MCCALLUM.JPG

Easy Loungin'
Bert Kaempfert & His Orchestra

Paramaribo Classics
Berry Lipman

In Moscow (1982)
Caravelli

Music-A Part Of Me (1966)
Music-A Bit More Of Me (1966)
David McCallum

(P)1995 Polydor (Germany) (P)2001 All Score Media (Germany) (P)1999 Boheme Music (Russia) (P)2001 EMI Records (UK)
1,Mambo Mania
2,A Swingin' Safari
3,Afrikaan Beat
4,Wimoweh
5,Sobre Las Olas
6,Cherokee
7,Ridin' Rainbows
8,Twilight Time
9,Fado De Santarem
10,Besame Mucho
11,Caravan
12,Perfifo
13,Flight To Mecca
14,Manhattan After Dark
15,My Guy's Come Back
16,What Is This Thing Called Love
17,Wave
18,Falling Free
19,Theme from the Godfather Part 2
20,Strangers in the Night (Live)
1,Der Stern von Afrika
2,Helicopter Power
3,Sex World
4,Concerto for Young Lovers
5,Let's Dance Together
6,Die Girls von Paramaribo
7,Auf Wiederseh'n Madeleine
8,Easy Drummin'
9,Saludos Amigos
10,I Like It
11,Beach Party in Santa Cruz
12,Bonita Carmencita
13,It Never Rains in Southern California
14,Girl Talk
15,The Girl from Ipanema
16,Hol' Dir den Sonnenschen
17,Hey Du
18,Kussunterricht
19,Wives and Lovers
20,Night Fever
1,A Starlit Summer
2,Love Has Come
3,The Moon Is Shining
4,It Was A Long Ago
5,I Was In The Garden
6,The Re Arrow Train
7,Expectation
8,Carrie's Song
9,Music of Love
10,Farewell
11,On the Swings
12,No One Gives Up On Love

produced by Andrey Feofanov
1,1-2-3
2,Turn! Turn! Turn!
3,The "In" Crowd
4,A Taste of Honey
5,Yesterday
6,Satisfaction
7,We Gotta Get Out Of This Place
8,Downtown
9,The Far Side of the Moon
10,Louise
11,Insomnia
12,The Sugar Cane
13,Uptight
14,Michelle
15,Batman Theme
16Call Me
17,Isn't It Wonderful
18,My World Is Empty Without You
19,Five O'Clock World
20,The Shadow of Your Smile
21,It Won't Be Wrong
22,Far Away Blue
23,The Edge
24,Final,
 ラウンジ大国ドイツを代表する、粋でクールでスウィンギンな伊達男Bert Kaempfert。彼の60年代〜70年代にかけての作品を集めたベスト盤。ポップでキッチュでお洒落な代表作#2なんかは何度聴いても楽しい。日本でも有名なPlattersの大ヒットをコミカルな味付けのラウンジ・ジャズに仕上げた#8、ラテンの名曲を濃厚でエレガントなマンボに仕上げた#10、Antonio Carlos Jobimの名曲をゴージャスなラウンジ・ボサに仕上げた#17、そしてFrank Sinatraもカバーした彼の最高傑作#20など、カバーからオリジナルまで実に多彩な選曲。最高にハッピーで優雅なムードに浸れる1枚。  のっけから突き抜けるようなストリングスと爽やかなメロディ、ソフトな女性コーラスがソウルフルなリズムに乗って華やかに舞う70’sイージー・サウンドが炸裂する、ドイツのラウンジ・ポップ・キングBerry Lipmanのベスト盤。Lipmanは60年代末から70年代にかけて活躍した作曲家兼アレンジャー。ジャズ、ソウル、ディスコ、ラテン、ボサノバを絶妙にブレンドし、甘くてポップで粋でダンサンブルなラウンジ・サウンドを聴かせてくれる。夏の避暑地のバカンスに最適なキャッチーなボサ#6など、思わず水着のラウラ・アントネッリでも出てきそうな至福のラウンジ・ポップをご堪能あれ!  フランスのピアニスト兼オーケストラ指揮者で、日本でも絶大な人気を誇るイージー・リスニングの巨匠Caravelliがソヴィエト・ツアーの際にモスクワでレコーディングしたアルバム。ロシアの古典から当時のソヴィエト・ポップスまでをカバーした作品で、全体的に非常にオーソドックスで華麗な仕上がり。安心して聴けるものの、ラウンジ・ポップ的な刺激には欠ける。聴きものはロシアン・ポップスの女王Alla Pugachevaの大ヒットをカバーした#1と#12、そしてラトヴィア出身のメロディ・メーカー、Raimond Paulsのあまりにも美しいイージー・カバー#2と#8。ロシア的なロマンティシズムに溢れた好盤。  60年代の大ヒットTVドラマ「0011ナポレオン・ソロ」のイリア・クリアキン役で有名なDavid McCallumがジャズ界の大物プロデューサーDavid Axelrodと組んでリリースした2枚のアルバムのカップリング。とはいうものの、マッカラムは基本的にアレンジャー、そして数曲の作曲家としてのみ絡んでおり、ぶっちゃけたところ彼の人気に当て込んだ企画物と言って間違いないだろう。ビートルズからストーンズ、ペチュラ・クラーク、スティービー・ワンダーと、当時のヒット曲のカバーを中心に、グルーヴィーでダンサンブルなラウンジ・ジャズ・ロックが満載。バカラックやハーブ・アルパート辺りが好きな人にはオススメ。

 

DOROTHY_ASHBY.JPG ENOCH_LIGHT.JPG ESQUIVEL.JPG FLABBY.JPG

Afro-Harping (1968)
Dorothy Ashby

Spaced Out (1970)
Enoch Light

The Best of
Esquivel

Modern Tunes for Everybody (1998)
Flabby

(P)2003 Verve Music Group (USA) (P)1999 SPJ Records (USA) (P)2003 BMG UK/Camden (UK) (P)1998 LOFT/EMI Music (Italy)
1,Soul Vibration
2,Games
3,Action Line
4,Lonely Girl
5,Life Has It's Trials
6,Afro-Harping
7,Little Sunflower
8,Theme from "Valley of Dolls"
9,Come Live With Me
10,The Look of Love

produced by Richard Evans

1,Bond Street
2,Lover's Concerto
3,Knowing When To Leave
4,My Silent Song
5,Walk On By
6,Eleanor Rigby
7,A Little Fugue For You And Me
8,Norwegian Wood
9,Ob-La-Di, Ob La Da
10,What The World Needs Now Is Love
11,Petite Paulette
12,Get Back

1,Mucha Muchacha
2,Mini Skirt
3,Night And Day
4,Vereda Tropical
5,Puerto Principe
6,Besame Mucho
7,La Raspa
8,Nature Boy
9,Speak Low
10,Johnson Rag
11,Poinciana
12,Sentimental Journey
13,Question Mark
14,Ballerina
15,Harlem Nocturne
16,Carioca
17,Limehouse blues
18,Jesusita De Chihuahua

1,Intro
2,Cheek-A-Boom
3,Diggy Doggy Doo
4,Everybody Loves Me
5,Mambo Italiano
6,Round & Round
7,Miss You All The Time "Parole Parole"
8,Blue Song
9,Jazz 4 Two
10,Come Back To Me
11,Wake Up
12,Flabby's Groove
13,Everybody Loves Me (Re-Mix)
14,Diggy Doggy Doo (Remix)

produced by Flabby & Mirella Reitano

 伝説的なジャズ・ハーピスト、Dorothy Ashbyによるジャジーでファンキーでイージーなクラブ・ラウンジ系ジャズ・アルバムの秀作。ラテン、ブラジル、アフロ・サウンドを取り入れた、非常にクールでエレガントなカクテル・ミュージックといった趣き。Ashbyの華麗で優雅なハープに気だるいボサノバのリズムが絡む#4やソウルフルでグルーヴィーなクラブ受け間違いナシの#6、名匠Andre Previnによる気だるくもエレガントなダウンビート#9、そしてバート・バカラックの名曲をアフロ・グルーヴ全開でカバーした#10辺りが秀逸。

 50年代から70年代にかけてアメリカで活躍したプロデューサー兼アレンジャーのEnoch Lightが発表したスペース・エイジ・ポップ・アルバムの傑作。まさにポップでキッチュでグルーヴィー!「カジノ・ロワイヤル」のテーマ曲#1から、オースティン・パワーズ的世界が繰り広げられます。バッハの名曲をセクシーな女性スキャットを絡めたロマンティックでイージーなラウンジ・サウンドに仕上げた#2と#4(タイトルでは分らないが「G線上のアリア」を使用)なんか出色の出来。ビートルズの大ヒット曲を、ムーグ・シンセ満載のモンド・ミュージックに仕上げてしまった#9も面白い。  50年代から60年代にかけて一世を風靡したメキシコのラテン・ラウンジの王様Esquivelのベスト盤。ポップでコミカルでダンサンブルでお洒落なサウンドが満載!楽しいのなんの!スウィンギンでユーモア・センスたっぷりのビート・ポップ#2、ラテンの名曲「ベサメ・ムーチョ」を「ピンク・パンサーのテーマ」風に仕上げた#6、ステレオ効果で遊びまくった実験精神溢れるコミカル・ポップ#7など、洒落の分る大人のための粋なカクテル・パーティー・サウンド連発!。これぞまさしくモンド・ミュージック!  ドイツと並ぶヨーロッパ最大のラウンジ大国イタリアからデビューしたネオ・ラウンジ・グループFlabbyのデビュー・アルバム。“みんなボクのことが大好き!”なんて超お気楽なラウンジ・ボサ・ポップ#4やRosemary Clooneyが大ヒットさせた陽気なマンボのエレクトロ・カバー#5もいいが、何と言っても個人的にはDalidaとAlan Delonの「甘い囁き」をエレガントなエレクトロ・ボサに仕上げた#7がツボですねえ。超キャッチーでファンキーなバブルガム・ポップ風の#11も大好き。粋な遊び心に溢れたお洒落な作品。

 

FRANCK_POURCEL.JPG G_RACE.JPG HORST_JANKOWSKI.JPG HUGO_MONTENEGRO.JPG

Les Meilleurs
Franck Pourcel

Beach Party
G' Race

Black Forest Explosion
Horst Jankowski

The Best of
Hugo Montenegro

(P)1996 Disky Communications (EU) (P)1995 Bunny Music (Holland) (P)1997 Motor Music (Germany) (P)2000 BMG/Camden (UK)
1,C'est Magnifique (from "Can Can")
2,Francais, Francais
3,Emmanuelle
4,Last Tango In Paris
5,Arrivederci Roma
6,I Love Paris
7,La vie en Rose
8,Un homme et une femme
9,Pigalle
10,La mer
11,Les feuilles mortes
12,Les parapluies de Cherbourg
13,Intermezzo de Cavalleria Rusticana
14,Air on a G-String
1,Rhythm of Your Heart
2,Calypso Round the Clock
3,Slow Dancing (In a Fast World)
4,Never Felt This Way Before
5,Grains of Sand
6,Don't Wanna Be the One
7,Jazz Eyes
8,Stay With Me Tonight
9,Crazee Riddim
10,Guantanamera
11,Ritmo Latino
12,Bon Bon
13,Paris in the Spring
14,Serai
15,Ain't No Escaping You
16,Stan Getz

produced by Peter de Wijn

1,Any Problem Now?
2,Wack Wack
3,Dreamlight
4,The Blues, The Beat & All That
5,My Gertie
6,Pink Balloon
7,Pata Pata
8,Slick
9,Light My Fire
10,This is the Morning (To End Such a Night)
11,Lazy
12,Like a Ruby in the Sunset
13,A Walk in the Black Forest
14,Mais Que Nada
15,Baronesse
16,Der Mann, Den's Nicht Gibt
17,Soulful Strut
18,Preacherman's Daughter
19,Lady Eve
20,Shaft
21,Alexander U
22,Heut' Fangt das Leben An (We've Only Just Begun)

1,Come Spy With Me
2,Secret Agent Man
3,Theme from "I Spy"
4,Thunderball
5,Theme from "The Man from U.N.C.L.E."
6,The James Bond Theme
7,The Silencers
8,"Get Smart" Theme
9,Theme from "The F.B.I."
10,The Man from TRUSH
11,Theme from "The Spy Who Came In from The Cold"
12,Goldfinger
13,Our Man Flint
14,Illya
15,The Good, The Bad & The Ugly
16,Hang' em High
17,For A Few Dollars More
18,Theme from "A Fistful of Dollars"
19,Theme for Three
20,The Godfather Waltz
 日本でも根強い人気を誇るフランスのイージー・リスニング指揮者Franck Pourcelのベスト盤。彼のベスト盤は数多く出ているが、60年代半ばから70年代にかけての最も脂の乗った時期の作品から選曲した本CDがコアなラウンジ・ファンにはオススメ。「エマニエル夫人」のテーマを優雅なアフロ・ビート風にアレンジした#3、コール・ポーターの名曲をゴージャスなディスコ・ファンク風に仕上げた#6、「男と女」をこの上なくエレガントでアップ・ビートなボサノバに仕上げた#8、「シェルブールの雨傘」をゆったりとしたスインギーなメロウ・バラードにした#12など、誰でも知っている名曲を非常にオリジナリティ溢れる解釈で演奏した新鮮な楽曲が並ぶ。

 オランダ出身の女性シンガー、G'Raceのベスト盤。正確にはラウンジ系アーティストではないのだが、ラテンやブラジル、カリプソ、ジャズなどを取り入れた、限りなくラウンジ・テイストに近いポップ・ソングが並ぶ。傑作はオープニングを飾る、ゴージャスでパワフルで情熱的なフラメンコ・サンバ#1。思わず腰が動き出す素晴らしいナンバー。またフレンチ・ポップ・テイスト溢れるメランコリックでお洒落なボサ・ナンバー#14も秀逸。この2曲のインパクトが強烈過ぎて、他の楽曲が地味に聴こえてしまうのは残念だが、この2曲のためだけでも持っていて損はないCD。結構、中古屋のセール・コーナーで見かけるので、見つけたら即ゲットです。

 ドイツを代表するジャズ・ピアニストHorst Jankowskiが、ジャーマン・ラウンジの総本山MPSレーベルに残した1968年から1973年までの作品から選曲されたベスト盤。ジャズをベースにボサノバ、ラテン、ポップスを絶妙にブレンドした素晴らしい楽曲が揃っている。メロウかつスウィンギーなソフト・ジャズ・サンバ#3、ハモンド・オルガンがポップでキュートで小粋なメロディを紡ぐ#5、Miriam Makebaの名曲をグルーヴィーで陽気なラウンジ・ポップに仕上げた#7、The Doorsの大ヒットをロウ・ビートのジャズ・ファンクに変身させた#9など、あまりにもカッコよすぎなナンバーが続く。しかし、一番の聴きものは#21。哀愁感炸裂のメロディにゴージャスそのもののオーケストレーション、そして疾走感溢れるビートが絡む、これぞユーロ・ラウンジ・グルーヴ!  アメリカのラウンジ・シーンを代表するクールで粋な伊達男Hugo Montenegroの、60年代半ばから70年代初頭までの作品から選りすぐったベスト盤。「007」シリーズや「0011ナポレオン・ソロ」、「サイレンサー」シリーズなどのスパイ映画・テレビのテーマ曲カバーを中心にした選曲。ちょうど「オースティン・パワーズ」がブームになっていた頃の発売なので、商業的な理由からのセレクトなのだろう。全体的にジャズ・ファンク寄りの音作りで、非常にタイトでダンサンブルな楽曲が並ぶ。コミカルかつシャープな「それ行け!スマート」のテーマ#8や「007/ゴールドフィンガー」のテーマをゴージャスかつファンキーに仕上げた#12なんかは特にオススメ。

 

JANKO_IMPRESSIONS1.JPG JANKO_IMPRESSIONS2.JPG JANKO_CHORUS.JPG JANKO_SOUL.JPG

Impressions Vol.1
Janko Nilovic

Impressions Vol.2
Janko Nilovic

Chorus (1974)
Janko Nilovic

Soul Impressions (1975)
Janko Nilovic

(P)2000 Fulp Flavor (France) (P)2000 Fulp Flavor (France) (P)2001 Pulp Flavor (France) (P)2001 Pulp Flavor (France)

1,Shacking Pop
2,Electric Days
3,Essai Pop Art
4,Funky Village
5,Gipsy Funk
6,chorus For Leslie
7,Scratching Machine
8,Sacha Pacha
9,Atchika Boum
10,Blows and Rhythm
11,Blue Baby
12,Centre Atomique
13,African Dream
14,Cascades et canoes
15,Cross Rolls
16,Blow Down

1,Mixed Grill
2,Golf Open
3,Improvisation Pour 2 Voix
4,Post Scriptum
5,Samba Dio
6,Funky Tramway
7,Flock
8,Machine Gun
9,Aerospacial
10,Sitting Bull
11,Sunder Fire
12,Soul Impressions
13,The Third Power
14,Trumpet Superstar
15,Strange Dream
16,Sometimes Ago
1,Mornings
2,Chorus
3,The Third Power
4,One Together
5,Ilion
6,Boom Bang
7,Christmas Roses
8,Hommage A Pele
9,Vox Humana
10,Mrs. Brown
11,Magical World
12,Down Down

composed & conducted by Janko Nilovic

1,Hippocampus
2,Open Country
3,Crazy Enterprise
4,Soul Impressions
5,Lettre De Mer
6,Drug Song
7,Man of Genius
8,Push Push
9,Black Swan Lake
10,Lady Day
11,To And Fro
12,Family Tree

composed & conducted by Janko Nilovic

 旧ユーゴスラビアのモンテネグロ出身で、60年代末から70年代にかけてフランスでライブラリー・ミュージックの作曲家として活躍したピアニスト、Janko Nilovic。90年代のラウンジ・ブームの際にイギリスやヨーロッパのDJによって発掘され、一気に注目の的となった彼のベスト盤第1弾。男女のスキャットとマンボ風の掛け声にハモンド・オルガンとフルートが絡むラテン・ソウル風の#4、ロウ・ビートのジャズ・ファンクにキャッチーでメロウな女声スキャットがフワフワと乗った#6、コミカルな男声スキャットにエレガントな女声ソプラノが絡むモンド・ポップ#9、トライバルなアフロ・サウンドに乗せて木琴がポップでキャッチーなメロディを奏でる#13など、ジャズ、ロック、アフロ、ラテンなどを絶妙にブレンドした、粋でポップでクールなサウンドを聴かせてくれる。

 こちらがベスト盤第2弾。ちなみに、彼が今までにリリースしたシングルは150枚以上にものぼるのだそうだ。それだけに、ベスト盤といえど中身が濃い。ファンキーでグルーヴィーなリズムにフルートの軽やかなメロディが舞うポップでキャッチーな#2、分厚いパーカッションのサウンドが超トライバルでファンキーなサンバ#5、クールなラテン・ソウル風のリズム・セクションにドリーミーなヴィブラフォンのメロディが絡む#7、ヘヴィーなレア・グルーヴ・サウンドにエレガントでゴージャスなコーラスが華を添える#8、超ハイテンションなリズム・セクションとホーン・セクションにゴスペル風のパワフルでスケールの大きなコーラスがぶつかり合うウルトラ・ファンキーなアフロ・ジャズ#13など、ヨーロッパ的エレガンスをまとったファンキーでクールな楽曲が並ぶ。  タイトル通り男女混声のコーラスを全編にフューチャーしたパワフルで素晴らしいアルバム。いかにも70年代風のラブ&ピースなゴスペル・サウンドが炸裂する#1、左のベスト盤Vol2でも異彩を放っていた超強力なゴスペル風アフロ・ジャズ・ファンク#3、Tony Hatch辺りを思わせるウルトラ・ポップでダンサンブルでドリーミーなバブルガム・ポップ#4、コミカルな男声スキャットとサウンド・エフェクトで遊びまくったお気楽なボードビル・サウンド#6、超キャッチーで爽やかでファンキーでダンサンブルなお祭りサンバ#8、哀愁に満ちたもの悲しげな女声ソプラノのスキャットにメキシカン・タッチのサウンドがハマる#9、コミカルなワルツ風のリズムに哀愁たっぷりの女声スキャットが絶妙にマッチした#10など、Nilovicの優れた音のセンスとメロディー・メーカーぶりが発揮された一枚。  これまたカッコよくてエレガントでダンサンブルなアルバム。70年代のブラック・ムービーのテーマ曲を彷彿とさせるファンキーでスケールの大きな#1、一転してファンタジックでドリーミーでキャッチーなソフト・ロック#2、うねりまくるリズムに狂ったようにかき鳴らされるギターとハモンド・オルガン、激しく叫びまくるフルートが未曾有のグルーヴ感を生み出すサイケデリック・ファンクの大傑作#3、途中でサンバに変身してしまうハイ・テンションでタイトなアフロ・ジャズ・ファンク#4、70年代のフレンチ・ポップ・サウンドの甘酸っぱいポップさが堪能できるポルナレフ風のソフト・ロック#5、哀愁に満ちた導入から一転してはちきれんばかりにポップでキュートなフルートのメロディが舞い上がる超ダンサンブルなキラー・チューン#8など、こんなに素晴らしいサウンドが30年前に作られていた事が驚き。傑作。

 

JANKO_COUPLE.JPG JANKO_PARIS.JPG JAMES_LAST.JPG JOHN_SCHROEDER.JPG

Un Couple Dans La Ville (1976)
Janko Nilovic

Paris Pop Galaxy (2002)
Janko Nilovic

Celebrating The Sixties
James Last

Space Age Soul
John Schroeder Orchestra

(P)2001 Pulp Flavor (France) (P)2002 Pulp Flavor (France) (P)2004 Demon Music (UK) (P)1996 Sanctuary/Castle (UK)
1,Diamant Dans L'Espace
2,Para Papaya
3,Un Couple Dans La Ville
4,Jungle Story
5,Vocal Inventions
6,Dam Dim Dam
7,Aerospatioal
8,The Pink Horse
9,La Romance D'helene
10,Hand In Hand
11,Chanson Pour Cendrillon
12,L'Aventure

composed & conducted by Janko Nilovic
1,Batucada Pop
2,Surboum Funky
3,Bossa Boogaloo
4,Fiesta Parisienne
5,boulmich Bossa
6,Monokini Concerto
7,Paris Poncho
8,Bossa New Look
9,Super Week End
10,Paris La Defense
11,Societe de consommation
12,Paris le Bourget
13,Disco Tonic
14,Paris Deauville
15,Vibraphone interlude
16,Paris Safari
17,Underscore 1
18,Underscore 2
19,Underscore 3

remixed by Eric Caspar
1,Games That Lovers Play
2,(Sittin' On The) Dock Of The Bay
3,Secret Love
4,She Loves You
5,Midnight In Moscow
6,Lara's Theme From Dr. Zhivago
7,Never On Sunday
8,Telstar
9,(Love) This Is My Song
10,Moon River
11,My Love
12,Around The World
13,That's Life
14,Guantanamera
15,Downtown (Live)
16,Oh Pretty woman (Live)
1,Hungry For Love
2,Soul Coaxing
3,Ain't That Peculiar
4,Soul Trek
5,Agent Double-O-Soul
6,Sweet Soul Talk
7,soul Destroyer
8,Soul For Sale
9,Get Out Of My Life Woman
10,Where Did Our Love Go
11,Working In The Coalmine
12,You've Lost That Loving Feelin'
13,Sunny
14,Rescue Me
15,Papa's Got A Brand New Bag
16,You Can't Hurry Love
17,Summertime
18,Lovin' You Girl
19,How Sweet It Is (To Be Loved By You)
20,When A Man Loves A Woman
21,Black Is Black
 Nilovicの作品の中でも、よりフレンチ度が増した大傑作アルバム。フランス映画風のドラマチックでメランコリックな出だしから超ハイテンションなジャズ・ファンクに転調する#1、キュートでポップでエレガントな男女のスキャットが弾けるようなボサ・ロックのリズムに舞い踊る#2、哀愁に満ちた切ない男女のスキャットとボサノバの心地よいリズムに前衛ジャズ的隠し味がピリッと効いた#4、筆舌に尽くしがたいくらいにキャッチーでキュートで爽やかで楽しいメロディが炸裂しまくるダンサンブルなソフト・ロックの大傑作#6、軽やかなラテン・ロックのリズムにエレガントでゴージャスで甘いメロディが華やかに絡みつく#8、ラテン風ソフト・ロックのグルーヴにバロック音楽風の美しいメロディを乗せてしまった、これまた大傑作の#9と、とにかくNilovicの天才ぶりに圧倒される。これだけ前衛的で凝った音作りをしながら、何故にこれだけポップでいられるのか。凄いとしか言いようがない。  Nilovicの楽曲をEric Casparがリミックスしまくった企画盤。しかし、ほとんどリミックスが気にならないというか、そもそもNilovicが30年以上も前に作り出したサウンド自体が、現代のクラブ・シーンにも十分に通用する実験性と刺激とコマーシャリズムを兼ね備えているのだから、リミックスという行為自体が無駄と言わざるを得ない。それよりも、まだCD化されていないアルバムは沢山あるのだから、そちらの方をどんどんリリースして欲しいものだ。  ドイツ・イージー・リスニング界の帝王James Lastの60年代から70年代初頭にかけての作品から選曲したベスト盤。どうしても70年代以降の毒にも薬にもならないサウンドのイメージが強くて個人的には敬遠しがちな人物だが、この時期には非常にクールでゴージャスなサウンドを生み出している。CD化されているのは70年代後半、80年代、90年代の作品に偏っているので、こういうコンピレーションCDは非常に有難い。ヨーロピアン・イージー・サウンドの最良系とも言うべき代表作#1、Beatlesの大ヒットを実に洒落たラウンジ・ポップに仕上げた#4、ロシアの名曲「モスクワ郊外の夕べ」がグルーヴィーなソフト・ロックに大変身した#5、「日曜日はダメよ」のテーマ曲を実にゴージャスでエレガントなリゾート・サウンドに仕上げた#7、誰もが知っている名曲「ムーン・リバー」がドラマチックなソフト・ロック風バラードになった#10など、独創的な解釈の粋なアレンジが素晴らしい。  60年代からソングライター、プロデューサーとしてHelen ShapiroやStatus Quo、さらにはCymandeらを手掛けた実力者John Schroeder。モータウン・サウンドやノーザン・ソウルに強い影響を受けた彼は、当時流行のラウンジ・ミュージックに本格的なソウル・テイストを盛り込んだ。本作は、彼のアルバム"Working in The Soul Mine"にボーナス・トラックを盛り込んだコンピレーション。ラウンジ・ファンだけではなく、モッズ・ファンやソウル・ファンも楽しめる充実した内容。時にファンキーに、時にエレガントに、時にクレイジーに、スウィンギン・ロンドンの時代を感じさせてくれる。ゴージャスなストリングスと甘いピアノの調べ、そしてソウルフルなリズムがドラマチックな#6、タイトなモータウン風サウンドがクールな#8、Supremesをストレートにカバーした#10、Bobby Hebbの名曲をグルーヴィーでイージーなカクテル・サウンドに仕上げた#13、James Brownの大ヒットファンクをラテン・ソウル風に仕上げた#15辺りがオススメ。

 

JUAN_CARLOS.JPG JUMPING_SUGAR.JPG JUMPING_AVALON.JPG LOUNGE_BRIGADE.JPG

El Taller de Musica de
Juan Carlos Calderon

Sugar & Spice (1968)
The Jumping Jacques

Avalon (1968)
The Jumping Jacques

Put Some Style In It (1998)
Lounge Brigade

(P)2002 Rama-Lama Music (Spain)

(P)2002 Petra srl (Italy) (P)2002 Petra srl (Italy) (P)1998 Shanachie (USA)
Disc 1
1,Eres Tu
2,Poder a Todos los Amigos
3,El Moscardon
4,Una Bella Historia
5,Pianola
6,Mananas de Terciopelo
7,Nunca Llueveal sur de California
8,Frere Jacques
9,Cancion de Abril
10,Suavemente me mata con su Cancion
11,Bandolero
12,Melodia Perdida
13,Dies Irae
14,Cuentos de la Alhambra
15,Fantasia sobre un Preludio de Bach
16,Oh, My Guitar
17,I Love Beethoven
18,El Quijote
19,Love After Love
20,Resaca
Disc 2
1,Fiesta
2,Tio Sam
3,La Diligencia
4,Marilyn
5,Eleanor Rigby
6,California
7,Mafioso
8,Mi Pequeno Chopin
9,Laurel & Hardy
10,El Desfile
11,A la Carga
12,Villa Asuncion
13,Fuga No.2
14,Michelle Michelle
15,Ave Maria
16,Atentamente
17,Arlequin
18,Pavana
19,Romeo y Julieta
20,Para Despedirnos
1,Mississippi Mischief
2,Gossip And Chatter
3,Strolling Along the Seine
4,Let Them Eat Cake
5,Through a Brazillian Forest
6,Offbeat Fugue
7,Sugar and Spice and Everything Nice
8,Love Me Now
9,Somehow I Feel I Must Be Dreaming
10,L'opera des jours heureux
11,Someday We'll Know
12,Banjo Itis
1,Double Francoise
2,La terre, le ciel et l'eau
3,Lucinda
4,Just a Little Midnight Swinm
5,Avalon
6,Where Flamingos Fly
7,Adagio Romantique
8,Chili Peppers
9,Haunted House
10,Velvet and Satin
11,Who's That Knocking at the Door
12,Whispering
1,Don't Speak
2,Heart Shaped Box
3,Hi-Fi Collegiate Medley
4,Where It's At
5,Sammy David Jr. Medley
6,Star Wars
7,Virtual Insanity
8,Touch of Grey
9,Exotica Medley
10,Thank You and Goodnight

produced by Joe Ferry
 今やスペインのみならずラテン音楽シーンを代表するソングライター、プロデューサーとなった大御所Juan Carlos Calderon。彼が、1973年から76年にかけてリリースしたイージー・リスニング・アルバム4枚を収めた2枚組CD。ソフト・ロックやボサノバ、フレンチ・ポップなど、当時のトレンドの音を積極的に取り入れた非常にエレガントで刺激的な作品が並ぶ。エレクトロなサンバのリズムにメロウかつファンキーなシンセサイザーがうねりまくるDisc1の#3や、フランシス・レイを思わせるセンチメンタルなピアノのメロディが美しい#9、ファンキーかつエレガントなラテン風サイケ・ジャズ・ファンク#13などオリジナル作品の出来が非常に素晴らしい。また、日本では「Mrサマータイム」として有名なMichel Fugainの大ヒットを爽やかなソフト・ロックに仕上げたDisc1の#4など、カバーものもセンス抜群。爽やかな躍動感に溢れた瑞々しい楽曲ばかりだ。  フランスの作曲家Jacques Hendrix率いるスキャット・コーラス・グループJumping Jacques。フランス版Brasil 66というか、フランス版I Cantori Moderniというか、とにかくグルーヴィーでモダンでポップな楽曲が詰め込まれた素敵なアルバム。ラウンジ・ファンからフレンチ・ポップ・ファン、モッズ・ファンまで幅広く楽しめること請け合い。男女混声のハイ・テクニックで遊び心に溢れたお洒落なスキャット・コーラスがとても楽しい。バロック風の美しいメロディを猛烈に複雑な四重奏でスキャットする、モッズ・ビート炸裂のお洒落でダンサンブルな#6やフレンチ・ポップ特有の爽やかなメロディとグルーヴィーなファンク・ソウルのリズムが新鮮な#8など、全体的にリズム・パターンが似通っているものの、素晴らしくセンスの良い仕上がり。オススメです。  ノリとしては“Sugar & Spice”とほぼ同じ雰囲気のアルバム。やはり、全体的にモッズ・ビートを中心にした仕上がりで、そのマンネリズムが逆に安心して聴ける魅力になっている。そんな中、ドリーミーでノスタルジックで哀愁感溢れるスロー・ナンバー#2は異色の出来。ものすごく切ない気持ちになってしまう、とってもいい曲です。超キャッチーでメランコリックなジャンプ・ナンバー#3、クラシカルでロマンチックでエレガントなミディアム・ポップ#7もオススメ。  意外に珍しいアメリカ産のネオ・ラウンジ系アルバム。UKやヨーロッパのネオ・ラウンジ・アーティストがハウスやノイズ、エレクトロニカといったクラブ・ミュージック的アプローチに偏っているのに対し、思いきりストレートにマンシーニやバカラック的世界を再現しているのが微笑ましい。本作ではNo Doubtの大ヒット曲をイージーなカクテル・ジャズにしてしまった#1を筆頭に、Nirvanaと007をミックスしてマンシーニ風イージー・サウンドに仕上げた#2、Beckを場末のストリップ風ラウンジ・ジャズに変身させてしまった#4、そしてあの「スター・ウォーズ」を超お気楽なチャ・チャ・チャにしてしまった#6、さらにはJamiroquaiをイージー&スウィンギーなムード・ジャズに大変身させた#7など、90年代全米ヒットを60年代風イージー・リスニングに解釈してしまったアイディア勝負のユニークなアルバム。面白い!

 

NICO_GOMEZ.JPG ORANJ_MANCINI.JPG ORANJ_ALBUM.JPG PAUL_MAURIAT2.JPG

Bossa Nova (?)
Nico Gomez and His Orchestra

Plays Mancini(1996)
Oranj Symphonette

The Oranj Album (1998)
Oranj Symphonette

Best Selection U
Paul Mauriat

(P)2002 Blues International (Japan) (P)1996 Gramavision (USA) (P)1998 Rykodisc (USA) (P)2002 Universal (Japan)
1,Aquarela
2,Tristeza
3,Desafinado
4,Agua
5,Manha De Carnaval
6,Garota De Ipanema
7,Samba De Rio
8,Saudade Do Rio
9,Rio
10,O Barqhuinho
11,Voce E Eu
12,Din! Din! Din!
1,A Shot In The Dark
2,Experiment in Terror
3,The Pink Panther Theme
4,Lujon
5,The Inspector Clouseau Theme
6,Moon River
7,Charade
8,The Days of Wine and Roses
9,Mr. Yunioshi
10,Mr. Lucky
11,The March of the Cue Balls
12,Baby Elephant Gunn

produced by Pete Scaturro & Oranj Symphonette
1,Call Me Mister Tibbs
2,The Magnificent Seven
3,Satin Doll
4,Beat Girl
5,Bananas
6,Dreamsville
7,A Man And A Woman
8,After The Fox
9,Arabesque
10,Midnight Cowboy
11,Up,Up and Away
12,Chelsie Bridge
13,Valley of the Dolls

produced by Joe Gore
1,La reine de Saba
2,Toccata
3,Le piano sur la Vague
4,Une belle Histoire
5,Mandy
6,On ne vit pas sans se dire adieu
7,Brasilia Carnaval
8,Mon Credo
9,Jamais je ne vivrai sans toi
10,Endless Love
11,Inch Allah
12,Retalhos de cetim
13,Prelude
14,Etude en forme de Rhythm & Blues
15,Penelope
16,The Last Waltz
17,L'orage
18,Le temps des fleurs
19,How Deep Is Your Love
20,Killing Me Softly with Your Love
21,Love Is Blue (Version '77)
 オランダ出身らしいという情報以外に殆ど知られていない、60年代末に活躍したヨーロピアン・ラウンジの隠し玉Nico Gomez。どうやら、この名前は本名ではないらしい。しかもオランダ人ではなくベルギー人。息子が“ベルギー・ポップの王様”と呼ばれるRaymond van het Groenewoud。とまあ、それはさておき、90年代以降のネオ・ラウンジ・ブームの中、ヨーロッパのDJによって発掘された名盤。何と言っても聴きものはもの哀しいメロディにパワフルなサンバのリズムが炸裂するキラー・チューン#1とこれまたパーカッシブなサンバのリズムに女声スキャットと哀愁溢れるピアノのメロディが絡みつく#9の2曲だろう。その他、「黒いオルフェ」のテーマ#5のようなカバーからオリジナル作品まで、ユーロ・ラウンジらしい耳ざわりの良さと結構本格的なブラジリアン・サウンドが絶妙にブレンドされた好盤。  サンフランシスコをベースにするアメリカのジャズ・フュージョン・バンド、Oranj Symphonetteが、アメリカン・イージー・サウンドの神様Henry Manciniを丸ごとカバーしたアルバム。「ピンク・パンサー」のテーマ#3は意外にストレートなカバーだったが、思いきりヘヴィーな前衛ジャズ風に仕上げた「ムーン・リバー」#6やグルーヴィーでクールなジャズ・ファンクに仕上がった「シャレード」#7、レゲエ風のロウ・ビートで演奏される「酒とバラの日々」#8など、ラウンジというよりもアシッド・ジャズ的な色が強い仕上がり。しかし、何と言っても傑出しているのは「ピーター・ガン」のリズムに「小象の行進」のメロディを乗っけてしまった奇想天外で愉快な#12。まさに、してやられたといった感じ。  60年代の映画音楽やポップ・ヒット、ジャズ・スタンダードをラウンジ・テイスト溢れるアシッド・ジャズ風にカバーしたアルバム。猛烈にファンキーでドライブ感に満ちた「続・夜の大捜査線」のカバー#1から飛ばしまくる。個人的には、ロウ・ビートのクールなジャズ・ファンクに仕上げてしまった「男と女」#7、これまたクールでジャジーでアシッドなマンシーニの「アラベスク」#9、あの爽快な5th Dimensionのポップ・チューンを何とも気だるいジャズ・フュージョンに変身させた#11辺りがオススメ。イージーでポップなラウンジ・ミュージックを期待する向きにはちょっと・・・かもしれないが、アシッド・ジャズもイケますよ、って人は是非。  まさにイージー・リスニングの代名詞、Paul Mauriatのベスト盤の一つ。激レア・アイテムとして一部のディスコ・ファンに大人気だった「恋は水色」のディスコ・バージョン#21が聴きたくて手に入れました。エレベーター・ミュージックなどと揶揄されるイージー・リスニングの権化といったイメージのPaul Mauriatだが、こうして改めて聴くと、なかなかどうしていいじゃありませんか。ネオ・ラウンジ的な面白さには欠けるものの、良質なユーロ・イージー・リスニングのお手本とも言うべきツボを抑えたアレンジは見事なもの。大衆音楽を侮ってならんのだ。ソフト・ロックやボサノバ、ラテンなどを取り入れたサウンドも魅力的だが、#7なんかを聴くとサンバも彼にかかるとこんなにソフト&ライトになってしまうのね、と違った意味で感心。で、肝心の#21はというと、これまたディスコと呼ぶには軽いのね〜。フワフワ。

 

PERCY_FAITH.JPG PERREY_KINGSLEY.JPG PETER_THOMAS.JPG QUELQUUN.JPG

Soledad
Percy Faith

The Out Sound From Way In!
Perrey & Kingsley

Easy Loungin'
Peter Thomas Sound Orchester

Comme Cinemas Romantique(1991)
Quelqu'un

(P)1999 Sony Music Enter.(Argentin) (P)2001 Vanguard Records (USA) (P)1995 Polydor (Germany) (P)1991 Nippon Columbia (Japan)
1,Soledad
2,No Puedo quitar Mis Ojos De Ti
3,Mi Dulce Senor
4,Corazon
5,Concierto para Enamorados
6,Un Hombre y Una Mujer
7,Sentimentos
8,La Chica de Ipanema
9,Nunca En Domingo
10,Sin Ti
11,Tema de Amor de "El Padrino"
12,Siboney
13,Viva Vivaldi
14,Los Diamantes Son Eternos
15,Clair
16,Verano de Amor '76
17,Operacion Trueno
18,La Cancion del Moulin Rouge
Disc 1
1,The Unidentified Flying Object
2,The Little Man From Mars
3,Cosmic Ballad
4,Swan's Splashdown
5,Countdown
6,Barnyard in Orbit
7,Spooks in Space
8,Girl from Venus
9,Electronic Can-Can
10,Jungle Blues from Jupiter
11,Computer in Love
12,Visa to the Stars
13,The Savers
14,Umbrellas of Cherbourg
15,Strangers in the Night
16,One Note Samba
17,Lover's Concerto
18,Third Man Theme
19,Fallout
20,Baroque Hoedown
21,Winchester Cathedral
22,Carousel of the Planets
23,Toy Ballooons
24,Moon River
25,Mas Que Nada
26,Pioneers of the Stars
Disc 2
1,Mary France
2,The Little Ships
3,Island in Space
4,Mexican Cactus
5,Porcupine Rock
6,Little Girl from Mars
7,Mister James Bond
8,Frere Jean Jacques
9,Brazillian Flower
10,In the Heart of A Rose
11,Minuet of the Robots
12,Four,Three,Two,One
13,Gypsy in Rio
14,Soul City
15,E.V.A.
16,The Rose and the Cross
17,Cat in the Night
18,Flight of the Bumblebee
19,Moog Indigo
20,Gossippo Perpetuo
21,Country Rock Polka
22,Elephant Never Forgets
23,18th Century Puppet
24,Hello Dolly
25,Passport to Future
Disc 3
1,E.V.A.(Dub)
2,E.V.A.(Remix) etc.
1,Space Patrol
2,Twiggy Beat
3,Der Hexer
4,Mister Unbekannt
5,Take It Jerry
6,Like To Get To Know You
7,Pardon Me Mr. Carmen
8,Die Gruft mit dem Ratselschlob
9,Gente
10,Pizzicato-Leo
11,Mars Close Up
12,Verrater
13,Monster
14,Der Gorilla von Soho
15,Landing On The Moon
16,Slimfinado
17,Andante Novembra
18,Big Boss
19,The World is Gone
20,Till the Blue Moon
1,All About Love
2,Sunflower
3,Tea For Two
4,Bonjour, Tristesse
5,Good-bye Girl
6,Intermission
7,Happiness Is Blue
8,Cabaret
9,Last Gate Of Your Heart
10,Unchained Melody
 アルゼンチン限定で発売されたPercy Faithのベスト盤。まさにイージー・リスニングの王道を行く内容だが、ラウンジ・ファンにも楽しめるグルーヴィーな選曲はまずまず。60年代末から70年代にかけての楽曲からチョイスされており、「君の瞳に恋してる」#2やサラ・ヴォーンのカバーでも有名な「ラバーズ・コンチェルト」#5など、御馴染みのメロディが並ぶ。これといって斬新なアレンジや実験的な音作りもなく、いわゆるエレベーター・ミュージック的内容なのだが、その中で一際異彩を放つのがヴィヴァルディをディスコティックなラウンジ・ポップ・メドレーに仕上げた#13と「007ダイヤモンドは永遠に」をゴージャスなショー・ミュージックに仕上げた#14、代表作「夏の日の恋」をディスコ・リメイクした#16。もう、コッテコテに70年代っぽくて楽しめる。この3曲のためだけに持っていても損のない1枚。  「ディズニー・ランド」のエレクトリカル・パレードで有名なDisc 1#20を含む、シンセサイザーの先駆者Perrey & Kingsleyが60年代末にVanguardに残した全アルバムを収録した3枚組のCDセット。とにかく、ポップでキュートで変な音満載の楽しい作品ばかり。シンセサイザーの祖先であるムーグやテープの早回し、SEなどを駆使し、ユーモアたっぷりの愉快なエレクトリカル・サウンドが繰り広げられる。チャイコフスキーの「白鳥の湖」が「みにくいアヒルの子」みたくなっちゃったDisc1#4や「シェルブールの雨傘」がシュールなSFロマン・ミュージックみたいになっちゃったDisc1#14、これぞエレクトロ・サンバの元祖とも言うべきDisc 1#16など、ピコピコ、ピョン・ピョン、プシュー!みたいな音に彩られた、摩訶不思議でハッピーなサウンドが強烈なインパクト。テクノやノイズの元祖と言うべき内容。

 これまたドイツを代表するラウンジ・アーティストで、スペース・エイジ・ポップの寵児Peter Thomasのベスト盤。彼の手掛けた映画音楽のサントラも含んだ選曲で、ジャケット写真のイメージ通り、クールでお洒落でグルーヴィーで洗練されたサウンドが楽しめる。全体的にジャズ、ロック寄りのサウンド・プロダクションで、非常に都会的でハイセンス。それだけに、モンド系サウンドのような個性の強さやイージー・リスニング系のような甘さには欠けるものの、ダンディな大人のラウンジ・ミュージックといった印象。ビゼーの「カルメン」をサイケでダンサンブルなゴー・ゴー・サウンドに仕上げた#7やイージーで優雅なボサノバのリズムに女声スキャットと舌鼓の音をフューチャーしたユーモラスな#9辺りはモンド系にも通ずる粋なユーモア・センスが楽しい。

 音好きの間では伝説的な日本のボサ・グループ、Quelqu'un。とにかく、いいです。最高です。フレンチ&ボサ&シネマという、いっかにも日本人が好きそうなコッテコテのお洒落ネタで、ここまで完成度の高い作品を作ってしまったアーティストというのも、他にはいないでしょう。ラウンジ・ミュージックとしても非常に心地よい音作り。個人的にイチオシはマンシーニの大傑作「ひまわり」のボサ・カバー#2。あまりにも切なくて、あまりにもはかなげで、あまりにもロマンティックなカバーに仕上がってます。ロミー・シュナイダーの映画「夕なぎ」をイメージしたオリジナル作品#7も哀しげでエレガントで素晴らしい出来。ハッピーで楽しいはずのドリス・デイの名曲「二人でお茶を」をちょっとセンチメンタルで暖かいスロウ・ボサに仕上げた#3なんかも真冬に暖炉の傍で聴きたい小粋な佳作。

 

RAIMONDSPAULS_PIANO.JPG RAIMONDPAULS_CINEMA.JPG DELGADO_SAMBA.JPG DELGADO_LOUNGE.JPG

White Melodies (2001)
Raimond Pauls

Cinema
Raimond Pauls

Samba Caramba South America Ole (1972)
Roberto Delgado

Lounge Legends
Roberto Delgado

(P)2001 Microphone Records (EU) (P)1995 J.S.P. (Russia) (P)1972 Polydor (Germany) (P)2001 Polydor/Universal (EU)
1,Nobody Will Know It
2,Cuckoo
3,Mersedesa
4,Love Song
5,Silly Love Song
6,Tokyo
7,Loneliness
8,White Song
9,Mother Maria
10,Do You Remember
11,My Sweet Home
12,When I Was A Young Boy

produced by Raimond Pauls
1,Vvedehie
2,Teatr
3,Romans Antse
4,Melodiya
5,Dvoe
6,Melodiya
7,Melodiya
8,Charli
9,Kapli Boli
10,1-aya Tema
11,V Krasnuie Tona
12,Depressiya
13,4-aya Tema
14,7-aya Tema
15,Pesnya Keri
16,Pesnya Drue o Guse
17,Pesnya Drue "Bu-Bu"
18,Skripach
19,Muzuika iz Kinofilma
20,Muzuika iz Kinofilma

Side 1
1,Mama Inez-Carioca-El Colas
2,La Bamba-Amor,Amor,Amor-Tequila
3,Besame Mucho-Mexicana
4,Summer Samba-El Condor Pasa
5,Negra Maria Esther-rum and Coca Cola-Tabasco

Side 2
1,Perfidia-La Ragazza
2,Adios Mariquita-Amapola0Un Poco Rio
3,Ave Maria No Morro-Maria Elena
4,Vaya Con Dios-Banana Boat-Soul Calypso
5,Corcovado-Pepito-El Rancho Grande-La Felicidad

1,Mas Que Nada
2,Mocoto
3,Salambo No.1
4,Brazilian Afternoon
5,Last Tango in Paris
6,Hurricane
7,Music To Watch Girls Go By
8,Hawaii Five O
9,The Retun of Django
10,Batucada
11,Un Poco Rio
12,California Sunday Morning
13,Hare Krishna
14,Cast Your Fate To The Wind
15,Grazin' In The Grass
16,Summer Samba
17,Moonglow
18,Up Cherry Street
19,Corcovado
20,Fly Me To The Moon

 ラトヴィア共和国を代表する大物ジャズ・ピアニストで作曲家、イージー・リスニング・アーティストであるRaimond Paulsのオリジナル・アルバム。まさにラトヴィアのフランシス・レイといった感じで、ロマンティックで爽やかでメランコリックで美しい楽曲が並ぶ。適度にジャズやボサノバ、ラテンのエッセンスをブレンドしながら、クラシカルな雰囲気さえ漂わせる芳醇なメロディが素晴らしい。フル・オーケストラを動員したゴージャスなサウンドがまた最高。路線としてはPaul Mauriatにも通ずるものがあると思うが、よりドラマティックで重厚感に満ちており、時として崇高でさえある。これをエレベーター・ミュージックなどとは呼ばせない。しかし、#6は東京の何をイメージして書いたのだろう。あまりにもメランコリックで美しすぎて、全く結びつかないのだが・・・。

 Raimond Paulsが旧ソ連時代から手掛けた映画のサウンドトラックばかりを集めたコンピレーション。いかにもオーケストラ・スコアといった感じの楽曲から、ロシア民謡風、シャンソン風、軍歌風のものまでバラエティ豊か。ちょっとイージー・リスニングと呼ぶには無理のある作品が多いが、ロシアン・ポップの女王Alla Pugachevaが歌詞を付けてカバーした事もあるメロドラマティックな美しいスコア#6やボードヴィル・サウンド風のノスタルジックな#10、フランシス・レイ風のロマンティックでもの悲しいメロディの#13などはイージー・リスニング・ファンも楽しめるだろう。

 ドイツのラテン系ラウンジ・ミュージックの王様Roberto Delgado(本名はHorst Wendeというれっきとしたドイツ人)が72年にリリースした、南米の有名曲メドレーを集めた企画盤。James Lastのノンストップ・シリーズに影響されたのかもしれない。それにしては、A面B面それぞれ全編ノンストップではないのが中途半端だったりする。そんないい加減さを象徴するかのように、全編に渡ってお気楽でゆるーい感じのラテン・イージー・サウンドが展開。ジャケットのサイケな躍動感に惹かれて、こりゃ掘り出し物か!?と思ってレコードの針を落とした人に、ある意味痛烈な衝撃を与える1枚。ん〜、Delgadoおじさん、適当な仕事してしまいましたねえ。

 こちらは一転して全ラウンジ・ファン必携のRoberto Delgadoベスト盤!文字通り、彼のベスト・トラックばかりをチョイスしただけあって、適当に手を抜いたような作品がないのが助かる。やるときはやるんだよね、Delgadoおじさん。ファンキーなパーカッションと能天気なメロディ、そしてお色気満点な女声ウィスパーが超クールでキュートでお洒落な無国籍ラテン・ラウンジ#3、あの「ラスト・タンゴ・イン・パリ」をムーディーでイージーなボサノバにしてしまった#5、ミュージカル「ヘアー」の挿入歌を哀愁感漂うダンサンブルなラテン・グルーヴに仕上げた#13、ジャズ・スタンダード「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」をイージーなカクテル・ジャズ風ボサノバに仕上げた#20など、ラウンジ・マニアの心をくすぐる素晴らしい楽曲が存分に楽しめる。

 

RONNIEALDRICH_REFLECTIONS.JPG RONNIEALDRICH_TOGETHERNESS.JPG RONNIEALDRICH_TODAY.JPG NELSONRIDDLE_COMMUNICATION.JPG

Reflections(1976)/With Love & Understanding (1977)
Ronnie Aldrich

Togetherness (1970)
Ronnie Aldrich

Two Pianos-Today!(1967)/Soft & Wicked(1973)
Ronnie Aldrich

Communication (1971)
Nelson Riddle & His Orchestra

(P)2005 Vocation (UK) (P)2005 Vocation (UK) (P)2003 Vocation (UK) (P)2004 MPS/Universal (Germany)
Disc 1
1,Summer's End
2,Never Gonna Fall in Love Again
3,Times of Your Life
4,Spanish Eyes
5,Save Your Kisses For Me
6,How Insensitive
7,Adagio
8,On Days Like These
9,Scarlet Ribbons
10,Love is a Many Splended Thing
11,All By Myself
Disc 2
1,A Little Love and Understanding
2,Evergreen
3,For Ever And Ever (And Ever)
4,Feeling
5,Dancing Queen
6,When a Child is Born
7,When Forever Has Gone
8,Nadia's Theme
9,Theme from King Kong
10,Summer of My Life
11,Aria
12,Gabriella
Disco1
1,Airport Love Theme
2,Raindrops Keep Fallin' On My Head
3,Arizona
4,Bridge Over Troubled Water
5,Sugar, Sugar
6,Daydream
7,Venus
8,Because
9,United We Stand
10,Girl on the Via Veneto
11,Let It Be
12,My Heart Reminds Me
Disc 2
1,Something
2,Don't Play That Song (You Lied)
3,The Long and Winding Road
4,Paper Mache
5,Make It With You
6,snowbird
7,Cecilia
8,The Long To Be Close To You
9,Ride on the Rain
10,My Baby Loves My Lovin'
11,The Sound of Silence
12,Sun-Dance
1,You Only Live Twice
2,A Whiter Shade of Pale
3,Georgy Girl
4,Somethin' Stupid
5,A Man and a Woman
6,My Cup Runneth Over
7,Don't Sleep in the Subway
8,Release Me
9,Barefoot in the Park
10,Alfie
11,Music to Watch Girls By
12,This is My Song
13,Last Tango in Paris
14,You'so Vain
15,Aubrey
16,Tie a Yellow Ribbon Round the Oak Tree
17,Clair
18,Call Me
19,Good Time Charlie's Got the Blues
20,Oh Babe, What Would You Say
21,killing Me Softly with His Song
22,Last Song
23,Love theme from The Valachi Paper
24,It Never Rains in Southern California
1,It's Your Turn
2,Uptown Dance
3,Time and Space
4,Romantic Places
5,Volcano's Daughter
6,Rachel
7,Born Happy
8,A Night of Love
9,Dedication
10,Greenwich Village

produced by Will Fruth and Claus Ogerman

 イギリスを代表するイージー・リスニング系ピアニストRonnie Aldrichのアルバムのカップリング。あくまでもソフトにロマンティックに、奇をてらうことのない王道のアレンジと演奏が非常に70年代的。Disc 1のアップ・テンポなUKバブルガム・ポップの名曲#5にしても、ドリーミーでソフトな仕上がりだし、Disc2のABBAのメガ・ヒットのカバー#5にしたって、ゴージャスなポップ・オーケストラ・スコアとしてアレンジされており、オリジナルのディスコティックな雰囲気は皆無。日曜の朝のリビングのBGMといった雰囲気の爽やかな作品。

 これまた爽やかで透明感溢れる美しいイージー・リスニング・アルバム。この種の音は甘ったるすぎて好き嫌いがかなり分れるかもしれない。あの70年代を代表するサイケ・ロックの名曲「ヴィーナス」まで、出だしはハープとストリングスがきらきらと美しく煌くクラシカルなノリだし、Beatlesの傑作「レット・イット・ビー」にしても、仕上がりは殆どクラッシク。これを洗練されたロマンティックなサウンドと取るか、毒にも薬にもならない保守的なサウンドと取るかは趣味の分れるところ。いずれにせよ、少なくとも安心して聴けるBGMではある。  Aldrich作品の中では、最もラウンジ色の強い2枚のアルバムのカップリング。ペチュラ・クラークの大ヒット曲を爽やかなソフト・ロック風に仕上げた#7や「ラスト・タンゴ・イン・パリ」を文字通りアルゼンチン・タンゴとシャンソンをミックスしたようなノスタルジックでムーディーなサウンドで聴かせる#13、カーリー・サイモンの代表曲をグルーヴィーなソフト・ロックに大胆にも変えてしまった#14、ギルバート・オサリバンの大傑作をドリーミーでスウィンギーなカクテル・ミュージック風に仕上げた#17など、結構意外性に溢れて楽しめる。  あのNelson Riddleがジャーマン・イージー・リスニングの宝庫とも言えるMPSに残したアルバム。正統派ジャズ・マンNelson Riddleのイメージを覆すくらいに、イージーでクールでサイケな素晴らしい仕上がり。ファンキーでダンサンブルなエレガント・ボサ#2、ハモンド・オルガンも鮮やかなロー・ビートのファンク・ソウル#5、Horst Jankowskiのムーディーでメロウなスウィング・ナンバーをカバーした#6、ため息が出るほどに華麗なヨーロピアン・ボサの佳作#8など、MPSでのレコーディングだからこそ実現した素晴らしい楽曲が並ぶ。

 

SAINT_PREUX.JPG SERGIO_MENDES.JPG TROMBO_COMBO.JPG VERRILL_KEENE.JPG

Concerto pour une voix(1969)
Le piano sous la mer (1972)
Saint-Preux

Greatest Hits
Sergio Mendes & Brasil '66

Swedish Lounge Bossa
Trombo Combo

Afternoon Affair (1966)
Verrill Keene

(P)1995 SB Musik Produktion (EU) (P) A&M Records (USA) (P) a-pical records (Japan) (P)1996 Del-Fi Records (USA)
1,Concerto pour une voix
2,Prelude pour piano
3,Andante pour Trompette
4,Concerto pour piano
5,Adagio pour Trompette
6,Divertissement
7,Variations
8,Sonate Vendeenne
9,Allegro
10,Harmonies
11,Impromptu
12,Le depart
13,Le voyage
14,L'appel de la sirene
15,La tempete
16,Le naufrage
17,Le piano sous la mer 1
18,Le piano sous la mer 2
19,Le concert sous-marin
20,L'ivresse des profondeurs
21,Le gouffre amer
22,L'abime
1,Mais Que Nada
2,Scarborough Fair
3,With A Little Help From My Friend
4,Like A Lover
5,Look of Love
6,Night and Day
7,Fool on the Hill
8,Going Out of My Head
9,Look Around
10,So Many Stars
11,Daytripper
12,Pretty World

produced by Herb Alpert and Sergio Mendes
1,The Winner Takes It All
2,The Sign
3,Hooked on a Feeling
4,Tva av oss
5,The Final Countdown
6,Min mor
7,Stone me (into the groove)
8,Be mig sa stannar jag kvar
9,Vingar
10,It Must have been Love
11,Hon har blommer i sitt har
12,Vill ha dig (i morkret hos mig)
13,Dos de nosotros (Tva av oss)

produced by Anders B Carlsson
1,Lilly's Back
2,An Afternoon Affair
3,Chanelle's Theme
4,Velvet Waters
5,Night Scene
6,Norwegian Wood
7,Soft Water Taffy
8,Adios Marquita Linda
9,Heartbreak
10,Hot Pink

produced by Bob Keane
 Danielle Licariの美しいソプラノをフューチャーした「ふたりの天使」#1で日本でも有名な(というよりもDanielle Licariの名前の方が有名だったりするが)Saint-Preuxの2枚のアルバムのカップリング。いずれも、エレガントでロマンティックでクラシカルな心洗われる佳作。似たような曲が多いのが玉に瑕だが、バロック風のストリングスにSaint-Preuxの繊細かつ力強いピアノやシンセサイザーをフューチャーしたゴージャスな音作りは実に気持ちいい。イージー・リスニング・ファンのみならず、全てのヨーロッパ音楽ファンに薦めたい。  Burt Bacharach、Henry Manciniと並んで、60年代以降のラウンジ・ミュージック、イージー・リスニング・ミュージックに多大なる影響を与えた偉大なアーティストSergio Mendes。ブラジル・ミュージック、ソフト・ロックとしても優れた作品を数多く残しているが、特にこの60年代に残した作品の数々は、最高のラウンジ・ミュージックと呼んでいいだろう。数多くのカバーを生んだ代表作#1はもちろんのこと、サイモン&ガーファンクルの傑作フォークをグルーヴィーでジャジーなボサノヴァに仕上げた#2、ビートルズの名曲を小粋なソフト・ロックに仕上げた#3など、クールでイージーなカクテル・ミュージック、ダンサンブルなクラブ系ラウンジ・ミュージックとして楽しめる楽曲が揃っている。  ボクのオールタイム・フェイバリットなアルバムの1枚。小粋でポップでお洒落なネオ・ラウンジ・アルバムの佳作。スウェーデンのグループらしいが、のっけからスウェーデンの誇るスーパー・スターABBAの傑作バラードを、イージーでポップな60年代風キャバレー・ミュージックにアレンジした#1で驚かせてくれる。続く#2では、やはりスウェーデンのトップ・スターAce of Baseのラガ・ポップ・ヒットをTony Hatch風のノスタルジックでお洒落なソフト・ロックに仕上げている。さらに驚愕は、原曲が一瞬分らなくなるくらいにメロウでジャジーな美しいボサに変身したEuropeの大ヒット・ハード・ロックのカバー#5。凄いの一言。  1967年に突如として謎の失踪を遂げた、知る人ぞ知る名クラリネット奏者Verrill Keeneが残したラウンジ・アルバムの名盤。まさに「プレイボーイ」黄金期を象徴するような、ジャジーでスウィンギーでポップな、遊びなれた大人のためのイージー・リスニング・アルバムといった趣き。西海岸をベースに活躍していたせいか、ニューヨーク的な洒脱さやひねったユーモア、ヨーロッパ的なエレガンスやセンチメンタリズムはなく、あくまでもストレートで単純、明朗快活な夜遊びのための音楽といった感じで、その辺りで好き嫌いが分かれるかもしれない。

 

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