ロラ・フローレス Lola Flores

 

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 スペインの伝説的なフラメンコ歌手にしてダンサー、そして映画女優としても活躍した大スターである。“ラ・ファラオーナ(女ファラオ=女王)”の愛称で親しまれ、メキシコやアルゼンチン、キューバ、ブラジルなど南米諸国でも絶大な人気を誇った。本格的な民族音楽としてのフラメンコではなく、あくまでもエンターテインメントとしてのフラメンコ音楽に徹したのが、その世界的な成功の秘訣だったと言えるだろう。ゆえに、こだわりのあるフラメンコ・ファンからは邪道視されることもあるようだが、一般大衆からは熱烈に愛され続けた女性だった。
 1923年1月21日、フラメンコで有名なスペインの街ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに生まれた。両親はジプシーだったらしい。幼い頃より歌が上手く、家庭が貧しかったということもあり、10歳からバーのステージで歌って家計を助けていた。15歳の頃には仲間と演芸一座を立ち上げ、17歳の時に家族を連れてマドリードへと出る。そこで知り合ったフラメンコ・ギタリストのマノロ・カラコルとコンビを組み、“Zambra”という歌ありダンスありのショーで人気を博すようになった。44年から51年までの間、2人はスペイン各地を回って圧倒的な成功を収めている。
 47年には歌手としてレコード・デビューを果たし、53年にはメキシコでもコンサートを行った。これをきっかけに、南米各国での人気も爆発。55年に公開された主演映画“La Faraona”はスペイン及び南米で大ヒットを記録し、映画のタイトルがそのまま彼女の愛称となった。生涯に渡ってレコーディングしたアルバムの数は、実に50枚以上。フラメンコだけでなくボレロやランチェラ、ルンバなど様々なジャンルにも挑戦している。
 私生活では有名なフラメンコ・ギタリスト、アントニオ・ゴンザレスと結婚。長女ロリータ、次女ロサリオ、長男アントニオの3人も歌手となって大成功している。しかし、91年には脱税容疑で逮捕され、有罪判決を受けて1年4ヶ月もの間服役。95年5月16日に癌のためマドリードにて死去した。長男アントニオは母を亡くしたショックから麻薬に溺れ、2週間後に麻薬の過剰摂取のため34歳の若さでこの世を去ってしまった。
 その死後も“ラ・ファラオーナ”はスペインの国民に愛され続け、2003年には生まれ故郷ヘレス・デ・ラ・フロンテーラに記念碑も建てられた。2007年には伝記映画“Lola la pelicula”も劇場公開されている。親友だったサルサ歌手セリア・クルーズが彼女に捧げたトリビュート・ソング“Canto a Lola Flores”(98年)も話題になった。また、残された娘ロリータとロサリオの2人も、スペインを代表するトップ・スターとして活躍を続けている。彼女たちについても、今後別枠で詳しく紹介していきたい。

 

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24 Grandes Exitos

Eternamente Lola

(P)2001 Disky Communicasions/EMI Music (Spain) (P)1995 Divucsa (Spain)
CD 1
1,Zorongo ginato
2,La zarzamora
3,Rosa y clavel
4,Ay, pena, penita, pena ビデオ
5,Las tres bodas
6,Con el dorrefa
7,Gloria de la petenera
8,Macarena en Cahmberi
9,Maria Victoria
10,Ay mamasita
11,No me tires indire
12,Coplas del kikiriki
CD 2
1,Ole mi torrero
2,Se Ilama Antonio
3,Bulerias del corregidor
4,La salvaora (con Manolo Caracoll)
5,Salero
6,Siete punales
7,No vayas nina
8,Cancion del rio
9,La via que me pidieras
10,Dona Micaela
11,Coplas por bulerias
12,Canciones mananeras
Vol.1
1,Lola de Espana
2,Mi sangre mora
3,El lerele
4,Torbellino de colores
5,Los metales
6,Tu engano
7,Adoro
8,Historia de un amor (con Antonio Gonzalez)
9,Punto en boca
10,America
11,Tu caballo
12,Que barbaridad!
Vol.2
1,La flor del temperamento
2,Pena, Penita, Pena
3,Lola...si
4,Verdes...Verdes
5,El escandalo
6,Que me coma el tigre (con Antonio Gonzalez)
7,A tu vera
8,Tanguillo de la guapa de cadiz
9,Abanico de los toros
10,Barlovento
11,Tengo miedo
12,La casa en elaire
 ロラ・フローレスのベスト盤はかなりの数がリリースされてますが、こちらは40年代〜60年代初頭までの音源を網羅した手頃な2枚組。1枚目は40年代の楽曲を中心とした構成です。#2は彼女の葬儀でも参列者が合唱したという名曲。情熱的でロマンティックなラブソング#4の大熱唱も聴き応えあります。  こちらは50年代後半から61年頃までの音源が中心です。#3の野性的で土着的なパワーはフラメンコの醍醐味。ロラのボーカルは小股が切れ上がっているというか、その歌声だけで気性の激しさと根性の強さがよく分かります。#12の熱唱ぶりなんて、ほとんどファンクですね。すんごい迫力です。  こちらの2枚組は50年代末〜70年代の音源からの選曲。ラスベガスやパリのレビュー・ショーを思わせる歌謡フラメンコのオンパレードです。なのでコアなフラメンコ・ファンは眉をひそめるのかもしれませんが、こういうゴージャス感も嫌いじゃないですね、個人的には。ほとんどムード歌謡の世界です。  夫アントニオ・ゴンザレスのギターをバックに、これでもかとばかりに絶唱しまくる#6が圧巻。Vol.1の#8も素晴らしかったですけど、この2曲を聴くためだけでも持っていて損のない2枚組だと思いますね。軽快なルンバのリズムに乗せて自由自在に歌いまくる#9も秀逸。サンバ風のパワフルな#10もオススメ。

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Homenaje (1990)

(P)1990 Sony Music (Argentina)
1,Apuesta por el amor
2,Somos dos caminantes (con Julio Iglesias)
3,Guadalupana
4,Burundanga (con Celia Cruz)
5,Dejandonos la piel (con Rocio Jurado) ビデオ
6,Pan y chocolate (y Familia Flores) ビデオ
7,Sal y pimienta (con Jose Luis Rodgriguez)
8,Su cara gitana
9,Ay alvarino ビデオ
10,Federico Garcia Lorca
 ロラ・フローレスにとって最後のアルバムとなったのがこれ。フラメンコというよりも、当時流行のラテン・ポップス仕様の一枚です。フリオ・イグレシアスを筆頭に、セリア・クルーズ、ロチオ・フラードなど、ラテン音楽界の大御所をゲストに迎えた豪華な内容。もちろん、ロラは圧倒的に貫禄勝ち(笑)#6では一家総出でフラメンコ・ハウスに挑戦。息子や娘たちと楽しそうに歌いまくってます。#9ではガンガンにラップまでこなしてるのにはビックリ。#10ではギター・ソロをバックにロルカの詩を語ってます。

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