90's Dance
Classics
リンディ・レイトン Lindy Layton
ノーマン・クック率いるクラブ系バンド、ビーツ・インターナショナルのリード・ボーカリストを経て、ソロとして90年代初頭のUKハウス・シーンで脚光を浴びた女性ボーカリスト、リンディ・レイトン。ポップでありながらもソウルフルなサウンドは、それよりちょっと前のリサ・スタンスフィールドを彷彿させるものがあった。
が、その一方でボーカリストとしてはアイドル的なカラーが強く、いまひとつ立ち位置が曖昧だったようにも思える。それゆえになのだろうか、ヒット・チャートでは全くと言っていいほど奮わなかった。
とはいえ、当時から根強いファンが少なくなかったこともまた事実であろう。特に、そのセンチメンタルでメロディアスなポップ・センスは日本人好みだったようで、一時期は日本のレコード会社と契約していたこともある。
かくいう自分も、ソロ・デビュー曲“Silly
Games”からUKでのラスト・シングル“Show
Me”に至るまで全ての作品をリアル・タイムで買い集めたもんだった。中でも、思いっきり乙女チックでメランコリックなサード・シングル“Wait For
Love”は大のお気に入り。なぜ当時のUKではあそこまで不発だったのか?と未だに不思議で仕方ない。
1970年12月7日生まれ。本名をベリンダ・キンバリー・レイトンという。ビーツ・インターナショナルのリード・ボーカリストとしてデビューし、シングル“Dub
Be Good To
Me”が90年に全英チャート・ナンバー・ワンを獲得。その直後にバンドを脱退し、ソロ・アーティストとしてアリスタ・レコードと契約を結んだ。
レゲエ歌手ジャネット・ケイの名曲をカバーした“Silly
Games”でソロ・デビューを飾り、その翌年にはアルバム“Pressure”もリリース。だが、デビュー曲こそUKチャート・トップ40入りを果たしたものの、それに続くシングルはいずれもチャート・アクションが鈍く、サード・シングル“Wait
For
Love”などはチャート・インすら果たせないという惨敗ぶりだった。
あっという間にアリスタを解雇されたリンディは、パッション・レコード傘下のインディーズ・レーベル、デビュー・レコードからシングルを1枚リリースした後、カイリー・ミノーグやリック・アストリー、ジェイソン・ドノヴァンらを輩出したPWLインターナショナルへと移籍。だが、当時のPWLはカイリーをはじめとする看板アーティストが次々と離れていった時期だったこともあり、リンディの作品はほとんど注目されることなく終ってしまった。
96年には、日本のカッティング・エッジと契約してレゲエ・アルバム“No
Other
Star”をリリースしたリンディ。その後、ロンドンでクラブDJとして活躍するようになり、スティーヴ・プロクターと組んだDJユニット、ハードノックスとして幾つかクラブ・ヒットを放っている。現在もDJ兼アーティストとして地道な活動を続けているそうだ。
MAXI SINGLES
Silly Games
(1990) Silly Games Remix
(1990) Echo My Heart
(1991) Echo My Heart
Remix(1991)
(P)1990 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1990 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
side 1
1.Silly Games (Danny's
Mix)6:36 *
side 2
1.Silly Games (Norman's Mix)6:38 **
2.Silly
Games 4:11 ビデオ
produced
by Martin Phillips
* remixed by Dancin' Danny D
** remixed by Norman
Cookside 1
1.Silly Games (Phil
Chill's Dub)*
side 2
1.Silly Games (Norman's Skank)**
2.Silly
Games (Phil Chill's Main Mix)*
produced by Martin Phillips
*
remixed by Phil Chill
** remixed by Norman Cook1.Echo My Heart 4:27 ビデオ
2.This Isn't
Fair 4:28
3.Echo My Heart (Extended Mix)6:02
4.Echo My
Heart
(Grand Canyon Mix)5:00
produced by Martin
Phillipsside A
1.Echo My Heart
(Yvonne Turner Remix) *
side B
1.Echo My Heart (Yvonne's Dub)
*
2.Echo My Heart
(Alternative Extended
Mix)**
produced by Martin Phillips
* remixed by Yvonne
Turner
** remixed by Mark Saunders
久々に聴きましたが、いや、下手っクソですね〜(笑)。なんて言い過ぎかもしれませんが、もともと線の細い彼女のボーカルでは荷が重いという印象。当たり前ですが、やはりオリジナルのジャネット・ケイには敵わない。ミックスとしては、ちょっと重たすぎるダンシン・ダニー・Dよりも、フンワリとしたグランドビートに仕上げたノーマン・クックの方が聴きやすいかと思います。
そういえばフィル・チルなんて人いましたね〜。当時はマキシ・プリーストとかダイアナ・ロスのリミックスなんかでワリと注目されていた人。ここではかなりミニマムでシンプルなグランドビートを聴かせていますが、どうも面白味に欠けるかな〜。一方のノーマン・クックはというと、トロピカルなダンスホール・レゲエ仕様にまとめていてオリジナル・ミックスよりいいかも。
UKソウル・スタイルのエレガントなグランドビート・ナンバー。やはり、この手のポップでお洒落なサウンドが彼女には似合います。リサ・スタンスフィールドほどソウルフルにならない、そのさじ加減が彼女の声質にはちょうどいいんですね。ここはやはり煌びやかなエクステンデッド・ミックスで。アンダーグランド色を強めたリミックス#4も決して悪くはないんですけどね。
こちらはUKハウスの先駆者としてアメリカでも売れっ子だったマーク・サウンダースと、その女弟子とも言うべきイヴォンヌ・ターナーが手掛けたリミックス盤。ディープなアシッド感を強調したサウンダースのミックスよりも、ジャジーなグルーヴ感を生かしたイヴォンヌのミックスの方が好きですね。さり気なくファンキーなピアノ・プレイを絡めてくる辺りのセンスもグッド。
Wait For Love
(1991) Wait For Love Remix
(1991) Without You (One And One)
(1991) Without You (One And One) Remix
(1991) 当時UKでちょうどブレイクしていたクラブ系ユニット、ドライザ・ボーンがプロデュースとミックスを手掛けたシングル。いかにも彼ららしいジャジーでエレガントなハウス・ナンバーに仕上がっています。というか、彼らのシングル“Real
Love”にそっくり(笑)。なお、B面のジャズ・ミックスは単なるインスト・バージョンで、アレンジなどはオリジナルそのまんまです。
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
1.Wait For Love 3:56
2.Wait For
Love (Patience Mix)6:02*
3.Wait For Love (Extended Mix)3:02
4.Keep
It Up 4:54
produced by Norman Cook
* remixed by
Coldcutside A
1.Wait For Love (Blue
Dub)*
side B
1.Wait For Love
(Blue Dub
Instrumental)*
2.Wait For Love (Extended Remix)**
produced by
Norman Cook
* remixed by Coldcut
** remixed by John
Waddellside A
1.Without You (One And
One)
(Extended Mix)
side B
1.Without You (One And
One)
(Jazz Mix)
2.Without You (One And One)
(Single
Mix)
produced & mixed by Driza Boneside A
1.Without You (One And
One)
(Extended Remix)
side B
1.Without You (One And
One)
(Instrumental)
produced & remixed by Driza
Bone
いや〜、ホントいい曲です。サウンド的にはグランドビートに分類されるのでしょうけど、そのメランコリックでセンチメンタルなメロディは懐メロ・ポップスにも通じる魅力があります。彼女のアイドル的なイメージや声質にこれほどマッチする曲はないと思いますね。ただ、エッジを効かせ過ぎたコールドカットのリミックスは及第点。素直にメロディの甘さを生かして欲しかった。
こちらはジョン・ワデルの手掛けたエクステンデッド・リミックスでしょう。ワデルといえば、当時クールテンポをベースにジャズ・フュージョン・スタイルの洒落たサウンドを聴かせてくれていた人。ここでも、その粋なセンスが光っています。一方、コールドカットのミックスも悪くはないんですけど、やはりディープな方向に行き過ぎてしまっているような印象。
こちらのリミックスもドライザ・ボーンが手掛けています。経費削減といったところだったのでしょうか(笑)。でも、よりファンキーでパーティ・フィーリング溢れるアレンジはなかなか秀逸。他人に任せて変ないじられ方をするより良かったかもしれません。なかなかハイセンスな曲だと思うのですが、結局セールス的には惨敗。リンディにとってアリスタ最後のシングルとなりました。
I'll Be A Freak For You
(1992) We Got The Love
(1992) Show Me
(1992)
(P)1992 Debut Records/Passion
(UK)
(P)1992 PWL International
(UK)
(P)1992 PWL International
(UK)
1.7" Freak Mix 4:05
2.Orr-Some
Mix 7:06 *
3.12" Freak Mix 5:48
4.Evian Mix 5:07 **
5.My Pushca
Mix 5:25 **
6.Orr-Some Dub 7:22 *
produced by Steve
Mac
*remixed by Steve Mac & Jon Jules
**remixed by Steve Mac.
Lindy Layton & Nick Hanson1.Edit 3:55
2.Essential Mix
6:21
3.Macca At Work Mix 6:40 ビデオ
4.Deep
Undercover Mix 7:05
produced & mixed by Steve Mac1.Essential Mix 3:42
2.Macca At
Work Edit 3:31
3.Macca At Work Mix 5:04
4.Deep Undercover Mix
4:49 ビデオ
5.Space
Terrace Mix 5:13 *
6.Hip Hop Mix 5:10
produced & mixed by
Steve Mac
*remixed by Steve Mac & Lindy Layton
今はなきハイエナジー系老舗レーベル、パッション傘下のデビュー・レコードから発売されたシングル。ロイヤル・デライトのカバーです。ノリとしては、当時PWLがシビルやクール・ノーツなんかでやっていたようなポップ・ソウル路線。正直言って可もなく不可もなくの軽い仕上がりです。リミックスも全体的に似たり寄ったり。手っ取り早く仕上げたような印象は否めません。
引き続きスティーヴ・マックと組んだPWL移籍第一弾。マックは後にボーイゾーンやウェストライフのプロデューサーとして有名になる人です。今回も当時流行だったポップ・ソウル路線のハウス・ナンバーで、極めて当たり障りがないような仕上がり。リミックスも同様ですね。#4なんかシビルの“When
I'm Good And Ready”とアレンジがソックリですもん(笑)。
こちらも基本的には一緒。オリジナル・ミックス#1は若干ヒップ・ホップ色が強めですけど、リミックスはまるっきり変わり映えのしないポップ・ソウル路線のハウス・ナンバーに仕上がっています。#4では当時のスティーヴ・シルク・ハーレーを意識したような印象。#6はソウルUソウルですか(笑)。いずれにせよ、流行の音をパクッタだけの内容に終始しているのが寂しい限り。
ALBUM
Pressure
(1991)
(P)1991 Arista/BMG Eurodisc
(UK)
1.Wait For Love 3:55
2.Echo My
Heart 3:59
3.Do Me Baby 5:31
4.Without You 4:03
5.Keep It Up
4:52
6.Silly Games 4:52
7.Drop The Pressure 4:17
8.Lines
5:20
9.Cruel (To Be Kind) 4:05
10.This Isn't Fair 4:27
11.Best
Thing 4:55
12.Let Me Keep You Here 4:38
produced by Norman Cook,
Martyn Phillip
s, Jolley/Harris/Jolley, Driza Bone
結果的にソロ名義では唯一のアルバムとなってしまった作品。こうやってみると、当時のUKクラブ・シーンを代表する優れたクリエイターを集め、かなりしっかりとしたコンセプトの基に作られていたんですね。リサ・スタンスフィールド路線のソウルフルなハウスをベースにしつつ、アイドル的な彼女の個性を存分に生かした味付けが施されています。#3ではメリッサ・モーガンのカバーにも挑戦してますが、ドリーミーかつ乙女チックなアレンジで違和感のない仕上がり。トータルで良く出来た一枚だと思います。
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