ローラ・ブラニガン Laura Branigan
4年前の秋、ローラ・ブラニガンが亡くなったというニュースが飛び込んできた時は本当に驚いた。享年47歳。その2年ほど前、久々の新曲としてアバの“The
Winner Takes It
All”のカバーをリリースすると公式ホーム・ページで発表があったものの、そのまま音沙汰がなくなっていた。カムバックを心待ちにしていただけに、ファンにとってはショッキングなニュースだったと言えよう。
ローラ・ブラニガンが一世を風靡した80年代は、アメリカのヒット・チャート上で初めて女性アーティストの活躍が注目された時代だった。もちろん、それまでにも数多くの女性アーティストがヒットを放ってきたわけだが、いわゆるムーブメントとして注目されるのは初めてのこと。パット・ベネター、マドンナ、シンディ・ローパー、シーナ・イーストン、キム・カーンズ、キム・ワイルドなど、次々と女性アーティストがメガ・ヒットを放った時代だった。
ただ、その一方でチャート上では短命で終わるケースも多く、必ずしも男性優位という図式が劇的に変わったわけでもなかった。ローラにしても、全米トップ10ヒットはたったの3曲だけだったわけだが、女性アーティストがトップ10に食い込むのが至難の業だった時代背景を考えれば、立派な活躍ぶりだったと言えるだろう。そう考えると、次々とトップ10・ヒットを放ったマドンナやシーナ・イーストンの活躍は例外中の例外だったと言える。
また、80年代のアメリカン・チャートではヨーロッパ風のシンセ・ポップが大流行したが、その先駆けとなったのがローラだった。最初のシングル・ヒット“Gloria”は、もともとイタリアのシンガー・ソングライター、ウンベルト・トッツィの作品。続く“Solitare”はフレンチ・ポップだし、“Self
Control”はイタリアのテクノ・ポップ・シンガー、ラフの作品だった。また、彼女のプロデュースを担当したジャック・ホワイトはドイツ出身で、キャッチーなメロディとダンサンブルなサウンドを基調にした正統派ユーロ・ポップが得意な人物。
いずれにせよ、彼女の“Gloria”の大ヒットをきっかけに、アメリカでは数多くのアーティストがヨーロッパのヒット曲をカバーしたり、ヨーロッパ風のシンセ・ポップ作品をリリースするようになった。そういった意味でも、彼女は80年代の音楽界において重要な役割を果たしていたのである。
1957年7月3日、ニューヨーク州ブリュースターに生まれたローラは、ミードウというロック・バンドのメンバーとして73年にレコード・デビューを果たしている。ただ、このバンドは全くの鳴かず飛ばずで、彼女はその後数年間バック・ボーカリストとして数多くのセッションに参加した。
79年にソロ・シンガーとしてアトランティック・レコードと契約。しかし、レコード会社は彼女の売り出しに試行錯誤し、すぐにはレコードデビューが決まらなかった。4オクターブという広い音域、パワフルで圧倒的な声量、そして情熱的な表現力を持った彼女を、レコード会社は慎重に売り出そうと考えていたのだ。
そして、ようやくデビューが決まったのが81年のこと。試験的に発売されたデビュー曲“Looking
Out For Number
One”は、ビルボードのダンス・チャートで60位にランクされたが、ポップ・チャートでは全く無視されてしまった。しかし、翌年の“All Night With
Me”がポップ・チャートで69位とまずまずの健闘を見せ、ファースト・アルバム“Branigan”は批評家からも高く評価された。そして、決定打となったのが、サード・シングルに当たる“Gloria”だったのである。“Gloria”は全米チャート2位という大ヒットを記録し、カナダやヨーロッパ、オーストラリアでも軒並みトップ10に入った。
さらに、83年にリリースされた“Solitare”も全米7位をマークする大ヒットに。セカンド・アルバムも50万枚以上を売り上げ、バラード“How
Am I Supposed To Live Without You”も全米12位と大健闘した。そして、84年にリリースされたシングル“Self
Control”は全米4位に輝いた他、ヨーロッパ各国では軒並みナンバー・ワンを記録。彼女にとって最大のメガ・ヒットとなったのだった。
しかし、85年にリリースされたアルバム“Hold
Me”はセールス的に伸び悩み、ファースト・シングル“Spanish
Eddie”も全米チャートで40位までしか上がらなかった。ただ、それでもヨーロッパでの人気は根強く、トップ10入りを果たした国もある。87年にはそれまで組んできたジャック・ホワイトと決別し、新たな制作陣を従えたアルバム“Touch”をリリース。ファースト・シングルとなった“Shattered
Glass”は当時人気絶頂だったストック/エイトキン/ウォーターマンをプロデュースに向え、本格的なハイエナジー・ナンバーにチャレンジした。全米チャートでは48位と中ヒット止まりだったが、ダンス・チャートでは大ヒットとなり、ヨーロッパでもまずまずの健闘を見せている。また、ジェニファー・ラッシュの大ヒット“The
Power Of
Love”のカバー・バージョンもリリースし、こちらは全米26位という健闘ぶりだった。歌唱力の素晴らしさという点で、ジェニファーのオリジナルやその後のセリーヌ・ディオンのカバーと比べても、ローラのバージョンは圧倒的にずば抜けている。
いずれにせよ、ここまでがローラの全盛期。その後のアルバム“Laura
Branigan”、“Over My Heart”はいずれもセールス的には大失敗で、シングルも“Moonlight on
Water”の全米59位が唯一のヒットだった。その代わり、“Self
Control”や“Gloria”といった代表曲のリミックス・バージョンがドイツや南アフリカで発売され、それぞれ現地でリバイバル・ヒットとなっている。
その後、夫の癌が発覚し、看病に専念するため95年には音楽業界を引退。その夫も96年に死去し、彼女はファンの前に姿を見せることはなくなってしまった。しかし、2001年に先述したアバのカバー曲“The
Winner Takes It
All”をレコーディング。ミュージカルの舞台にも出演するなど、カムバックの準備を着々と進めていた。その矢先だった2004年8月26日、脳動脈瘤のためロサンゼルスの自宅で死去したのだった。数週間前から頻繁に頭痛を訴えていたものの、本人は医者に行こうとはしなかったという。
2004年の秋には生前レコーディングを終えていた“Self
Control”のセルフ・リメイク・バージョンがリリースされ、全米ダンス・チャートで10位をマークするヒットとなった。さらに、“Gloria”のリメイク・バージョンも発売となり、ヨーロッパで大ヒット。翌年には制作途中だったアルバムがドイツで発売され、本格的カムバックとなるはずだった新曲“The
Challenge”がシングル・カットされている。
ちなみに、80年代半ばに実弟ビリー・ブラニガンもレコード・デビューしたことがある。完全に姉の七光りだったわけだが、結局はちょっと話題になっただけで終わってしまった。
Branigan
(1982) Self Control
(1984) Self Control
(1984) The Lucky One
(1984)
(P)1982 Atlantic (USA)
(P)1984 Atlantic (USA)
(P)1984 Atlantic (UK)
(P)1984 Atlantic (UK)
1,All Night With Me ビデオ
2,Gloria ビデオ
3,Lovin' You
Baby
4,Living A Lie ビデオ
5,If You Loved
Me
6,Please Stay Go Away
7,I Wish We Could Be Alone
8,Down Like A
Rock
9,Maybe I Love You
produced by Jack White
co-produced by
Greg Mathieson1,The Lucky One ビデオ
2,Self
Control
3,Ti Amo ビデオ
4,Heart
5,Will
You Still Love Me Tomorrow
6,Satisfaction
7,Silent
Partners
8,Breaking Out
9,Take Me
10,With Every Beat Of My
Heart
produced by Jack White & Robbie BuchananA
1,Self Control (Full Length
Version) 5:00 ビデオ
B
1,Silent
Partners
produced by Jack White & Robbie BuchananA
1,The Lucky One (Jack White
Mix) 5:04 ビデオ
B
1,Breaking
Out
2,The Lucky One (John Robie Mix) 5:25 *
produced by Jack
White & Robbie Buchanan
* remixed by John Robie
記念すべきデビュー・アルバム。ファースト・シングルはAOR風バラード#1。やはり、ユーロ・ポップ全開の#2をシングル・カットするのは冒険だったのかもしれません。この頃のローラは勢いだけで歌いきるという傾向が強く、まだまだ青臭さが感じられますが、それがかえってフレッシュな印象を与えますね。#4の絶叫シャウトなんかも、なかなかの迫力です。ただ、アルバムとしては平均点かな。可もなく不可もなくです。
彼女のアルバムとしては、これがダントツのベストでしょう。全編ユーロ・ポップ炸裂で、どの楽曲も非常に完成度の高い仕上がり。シングル・カットされた#1と#2は、まさに当時のユーロ・ディスコの王道。#3ではウンベルト・トッツィによるイタリアの国民的大ヒット・バラードをカバーしています。また、バリバリのジャーマン・ユーロに仕上がった#6も大好きでしたね。80'sポップスを語る上でも絶対に外せない1枚です。
こちらはUK盤の12インチ・シングル。基本的なミックスはアルバム・バージョンと同じで、いわゆるエクステンデッドに仕上がっています。この頃のポップ・ロック系の12インチって、だいたいどれもそんな感じでしたよね。ブレイク・ビーツもほとんどなく、最後もコーラスでフェイド・アウトしていくので、つなぎはほぼ不可能。DJ泣かせの12インチです。
続く“The Lucky
One”ですが、こちらは当時としては珍しく2バージョン収録されています。ジャック・ホワイトによるA面はエクステンデッド。そして、B面にはヒップ・ホップの名ミキサー、ジョン・ロビーを起用し、かなり遊び心溢れる派手なミックスを聴かせてくれています。エフェクトもガンガンに効かせていて、むちゃくちゃカッコいい仕上がり。楽曲自体もドラマチックなシンセ・ディスコという感じで大好きでした。
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Satisfaction (1984) |
Hold Me (1985) |
Spanish Eddie (1985) |
Hold Me (1985) |
(P)1984 Atlantic (USA) | (P)1985 Atlantic (USA) | (P)1985 Atlantic (Germany) | (P)1985 Atlantic (USA) |
A Side 1,Satisfaction (Vocal/Extended Version) 5:56 ビデオ B Side 1,Ti Amo produced by Jack White & Robbie Buchanan |
1,Hold Me ビデオ 2,Maybe Tonight 3,Foolish Lullaby ビデオ 4,Spanish Eddie 5,Forever Young ビデオ 6,When I'm With You 7,I Found Someone ビデオ 8,Sanctuary ビデオ 9,Tenderness ビデオ 10,When The Heat Hits The Streets ビデオ produced by Jack White, Harold Faltermeyer, Mark Spiro |
Side One 1,Spanish Eddie (Extended Remix Version) 5:31 ビデオ Side Two 1,Tenderness (Extended Remix Version) 5:30 2,Spanish Eddie (LP Version) 4:05 produced by Jack White |
A Side 1,Hold Me (Vocal/New Extended Remix) 5:16 produced by Jack White & Harold Faltermeyer remixed by Beau Hill |
これも、どうやらドイツのディスコ・ヒットのカバーみたいです。まさにキラキラ系の哀愁ジャーマン・ユーロ。個人的には“Self Control”よりもこっちの方が好きでしたね。この12インチはエクステンデッド・バージョンですが、派手なブレイク・ビーツをたっぷり盛り込んだ煌びやかな仕上がりで大満足。12インチのみでのリリースで、ビルボードのダンス・チャートで24位をマークしました。 | メガ・ヒットとなった“Self Control”の後ということで期待されながらも、セールス的にいまいち伸びなかったアルバム。全体的にアダルト路線を狙ったのが裏目に出たのかもしれません。ボーカル・スタイルも今回は抑え気味で、得意のシャウトも影を潜めています。ただ、ハロルド・ファルターマイヤーがプロデュースに参加していることでも分かるように、ユーロ・ポップ路線は全く変わっておらず、ファンなら安心して聴ける一枚。#7は後にシェールがカバーして大ヒットさせました。 | いい曲だったんですけどね、なぜか全米40位までしか上がりませんでした。“Gloria”にそっくりだったのが悪かったのかもしれませんね。でも、インスト部分のブリッジなんかほど良い哀愁感があって、とても爽やかで気持ちの良い仕上がり。個人的には大好きな1曲でした。リミックス・バージョンは、ほぼエクステンデッドに近い出来。また、B面にはアルバムでもお気に入りのキャッチーな哀愁系ファンク・ロック・ナンバー“Tenderness”のリミックスが収録されてます。こっちもカッコいいです。 | こちらはアルバムのタイトル・トラック。華麗で美しいメロディが印象的な、哀愁系ミディアム・ディスコです。12インチはエクステンデッドに近い仕上がりで、随所にドラマチックなエフェクトが施されています。しかし、こうやって振り返ってみると、“Hold Me”って楽曲的にはとても充実したアルバムだったんですよね。なお、リミックスのボー・ヒルはゲイリー・ムーアやアリス・クーパーのプロデューサーとして有名な人。また、作曲のベス・アンダーソンも西海岸の有名なセッション・シンガーです。 |
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Touch (1987) |
Shattered Glass (1987) |
Spirit Of Love (1987) |
Turn The Beat Around (1990) |
(P)1987 Atlantic (USA) | (P)1987 Atlantic (USA) | (P)1987 Atlantic (Germany) | (P)1990 Atlantic (USA) |
1,Over Lover 2,Shadow Of Love 3,Angels Calling 4,Meaning Of The Word 5,Power Of Love ビデオ 6,Shattered Glass * ビデオ 7,Whatever I Do * ビデオ 8,Spirit Of Love 9,Name Game ビデオ 10,Touch 11,Cry Wolf ビデオ 12,Statue In The Rain produced by David Kershenbaum * produced by Stock/Aitken/Waterman |
A Side 1,Shattered Glass (Vocal/12" Mix) 7:14 * ビデオ B Side 1,Shattered Glass (LP Version) 3:40 2,Statue In The Rain 4:16 ** produced by Stock/Aitken/Waterman * mixed by Pete Hammond} ** produced by David Kershenbaum |
Side A 1,Spirit Of Love (Remix) 5:41 ビデオ Side B 1,Touch 4:09 produced by David Kershenbaum remixed by Brian "Chuck" New |
A Side 1,Turn The Beat Around (Popcussion Mix) 7:42 B Side 1,Turn The Beat Around (Don & Vic Mix) 6:25 produced by Laura Branigan & David Lindsay remixed by Danny Vargas & Victor Vargas |
前作とは打って変わって、ブラニガン節とも言うべき迫力の絶叫シャウトが炸裂するパワフルなアルバム。全体的にウェスト・コースト・ロック色が強くなっていますが、ストック/エイトキン/ウォーターマンの手掛けた#6と#7ではバッキンバッキンのハイエナジーに挑戦。特に#7ではオリジナルのヘイゼル・ディーンに迫る大熱唱を聴かせてくれます。ジェニファー・ラッシュの名曲をカバーしたバラード#5も必聴。 | 当時人気絶頂だったストック/エイトキン/ウォーターマンと組んだハイエナジー・ナンバー。イギリスの女性シンガー、エリー・ウォーレンが80年にリリースしたディスコ・ヒットのカバーです。ベース・ラインなんか、まさに当時の典型的PWLサウンド。カイリー・ミノーグの“Locomotion”辺りの感じをご想像頂ければ。まんまです。いずれにせよ、パッとしない原曲を、よくぞここまでポップに仕上げたもんですね。 |
こちらはドイツ盤のみでリリースされた12インチ・シングル。ローラの絶叫シャウトが炸裂する、ドラマチックでパワフルなロック・ナンバーです。かなりボン・ジョビっぽい仕上がり。日本人受けしそうな曲ですね。このリミックスも基本的にはロックですけど、打ち込みを派手にして、激しいパーカッションを盛り込むなど、かなりダンサンブルな音になっています。結構レアなので、見つけたら即買いですね。 |
グロリア・エステファンもカバーしたディスコ・ナンバー。もともとはヴィッキー・スー・ロビンソンが70年代に大ヒットさせた曲です。90年代にラテン・ハウスのミキサーとして活躍したヴァルガス兄弟がリミックスを担当しており、かなりラテン色の強いパワフルなガラージ・ハウスに仕上がっています。特にパーカッションの乱れ打ちはカッコいいですね。チャート上では全く無視されたのが惜しまれます。 |
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Self Control 1992 (1992) |
Gloria '99 (1999) |
Self Control (1999) |
Self Control 2004 (2004) |
(P)1992 Atlantic/Warner (Germany) | (P)1999 Atlantic (South Africa) | (P)1999 Atlantic (South Africa) | (P)2004 Dance Street (Germany) |
Side One 1,Classic Summer Mix 1992 3:59 * 2,Original Version 4:08 Side Two 1,117 BPM Club 1992 4:54 ** produced by Jack White & Robbie Buchanan * remixed by Spencer Tobie ** remixed by Sancho Perez |
1,Gloria (DJ-C Radio Edit)
3:30 2,Gloria (DJ-C Extended Mix) 4:32 3,Gloria (Tinka's House Mix) 6:29 4,Gloria (Tinka's Dub Mix) 6:31 produced by Jack White remixed by DJ-C |
1,Self Control (Club Mix-Radio Edit)
4:03 2,Self Control (Original '99 Album Remix) 5:04 3,Self Control (Club Mix) 5:38 4,Self Control (Self Control Adventure-Club Mix) 7:24 produced by Jack White & Robbie Buchanan remixed by Gary Van Riet & Chris Palmer |
1,Mindworkers Radio Mix 3:21 |
これはドイツでベスト盤が発売された際、シングル・カットされたリミックス・バージョン。ボーカル・トラックはオリジナルのものを使用しています。A面はごく平凡なポップ・ハウス。リミックスを手掛けたスペンサー・トビーはドイツ人で、ファルコの“Vienna Calling”のリミックスをやってました。B面はラテン風のハウス・ミックスですが、いかんせん音数が少なくてチープ。全体的に期待外れの出来栄えです。 | 南アフリカのみでリリースされたリミックス盤。南アフリカではローラの作品が発売されるのが比較的遅く、そのため他の国と違って90年代まで人気が高かったようです。ボーカル・トラックはオリジナルをそのまま使用。#1と#2はかなり秀逸な出来栄えで、原曲のイメージを生かしたキャッチーでアッパーなハウス・ミックスに仕上がってます。これならファンも納得でしょう。#3はアフロ風ハード・ハウスで、こっちも上出来。 | 同じく南アフリカ限定のリミックス盤です。へヴィーなギターリフを前面に押し出した、疾走感のあるガラージ・ハウスに仕上がっており、これはこれで悪くはないと思います。ただ、やはりオリジナルの完成度には及ばないというのが正直な感想。#4はBPM140は越そうかといった勢いのトランス・ミックスで、ダブ的な作りになっています。とりあえず、ファンなら持っていても損はないでしょう。激レアだし(笑) | こちらは彼女の死後、ドイツでリリースされたセルフ・リメイク・バージョン。ボーカル・トラックも全て新録です。どのミックスもハイテンションなトランス仕様で、今どきのクラブ・プレイには向いているのかもしれませんが、当時からのファンとしてはかなり微妙なところですね。あえてベスト・トラックを選ぶとすれば#4かな。でも、南アフリカの99年バージョンの方が、原曲の良さを生かしているという点で格上だと思います。 |
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Gloria 2004 (2004) |
Her Very Last Recordings (2004) |
The Challenge (2005) |
The Winner Takes It All (2005) |
(P)2004 Dance Street (Germany) | (P)2004 Dance Street (Germany) | (P)2005 Dance Street (Germany) | (P)2005 Dance Street (Germany) |
1,Prodygee & Davis Radio Mix
3:23 2,Alternative Radio Version 3:38 3,S.A.D. Radio Mix 4:09 4,Prodygee & Davis Remix 6:16 5,S.A.D. Club Mix 6:59 6,Prodygee & Davis Club Mix 6:01 produced by Stephen Singer, David Kolodzej & Mario Kaufmann |
1,Self Control (Mindworkers Radio
Mix) 3:21 2,Self Control (Flip & Fill Remix) 6:45 3,Gloria (Profygee & Davis Radio Mix) 3:23 4,Gloria (S.A.D. Club Mix) 6:59 5,Gloria (Discotronix Remix) 7:01 |
1,The Challenge (Single Edit)
3:51 2,The Challenge (Long Version) 5:10 3,Self Control 2004 (Spacekid Club Mix) 7:48 * produced by Laura Branigan remixed by D.Winter & Stephen Singer * remixed by Spacekid |
1,Album Version 5:25 2,Original Radio Version 4:16 3,Original Version 4:48 4,Self Control 2005 (Tekhouse Mix) 3:46 * produced by Jeff Bova remixed by D.Winter & Stephen Singer * remixed by Spacekid |
こいつもリメイク・バージョン。原曲そのものがトランス向きの作品だと思うので、トランス・ミックスとの相性は合っていますね。ただ、どのミックスも原曲の爽快感を生かしきれていない。ちょっとカッコつけ過ぎちゃったって感じなんですよね。ローラのボーカルも若い頃より音域が狭くなってしまった分、突き抜けるようなパワーがない。南アフリカ限定99年バージョンの方が、思い切り弾けちゃっていることもあって、遥かに出来が良かったと思います。 | この時期、まさに矢継ぎ早といった感じで新譜がリリースされました。訃報のショックが覚めやらぬうちに稼いでしまえってことで、まあ露骨な商売主義だったわけですが、これなんかその象徴と言える1枚ですね。これまでにリリースしたシングルから2バージョンづつカップリングした上に、ここでしか聴けないリミックスを1曲追加するという抱き合わせ商法(?)。ファンなら買うしかないですもん。で、肝心の#5ですが、原曲を生かしたまずまずの出来です。 | 実に10年振りとなったオリジナル新作です。しかし、死後にリリースされることになろうとは、本人も全く想像しなかったでしょうね。爽快感溢れるユーロ・ハウス・ナンバーで、往年のアバを彷彿とさせるようなメロディが印象的。ただ、もうちょっとキャッチーでも良かったんじゃないかなとも思います。カップリングは“Self Control”の未発表リミックス。思いっきりスペイシーなエレクトロ・ミックスに仕上がっています。これが意外とカッコいいんですよね。 | もともと2001年にレコーディングされ、翌年にDJプロモのみでリリースされていた作品。言わずと知れたアバの名曲のカバーです。原曲のイメージをそのまま生かしたユーロ・ハウスに仕上がっており、決して悪くはありません。ただ、全盛期の伸びのある歌声で聴きたかったな、というのも正直な感想としてありますね。そして、またまた登場しました“Self Control”のリミックス。ぶっちゃけ、“Spacekid Club Mix”のエディット版です。 |
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Remember Me (2004) |
(P)2004 Dance Street (Germany) |
1,The Challenge 2,If That's What It Takes 3,I Can See Again 4,The Winner Takes It All 5,I Know You By Heart 6,Gloria 2004 7,Self Control 2004 (Mindworkers Radio Edit) produced by Laura Branigan, Eve Nelson, Jeff Bova. Bernadette O'Reilly, Stephen Singer,etc. |
死の直前にレコーディングが終了していた楽曲を集めて、即席でリリースされたコンピレーション盤。事実上、これが彼女の遺作となります。もちろん、他にも準備していた曲はあったのでしょうね。中途半端な形でしか世に出すことが出来なかったのは残念だったと思います。それでも、叙情的で美しいバラード#3は彼女のアーティストとしての円熟ぶりを実感させる素晴らしい傑作。この1曲のためだけにでも、是非とも手に入れて欲しい1枚です。 |