ラテン!アフロ!ファンク!ジャズ!

 昔から音楽にしろ映画にしろ、食わず嫌いはなるべく避けるよう努めてきたのだが、それでもある時期まで避けてきたのがラテン・ジャズ、アフロ・ジャズと言われる類いの音。子供の頃からディスコ系の音には慣れ親しんでいたので、ソウルやファンクなら結構ディープなものでも抵抗なく入っていけたのだが、やはりラテン・ソウルだとかアフロ・ファンクだとか言われると敬遠しがちだった。
 その原因はなんだろうと考えてみると、真っ先に思い当たるのが日本の音楽ジャーナリズムにおけるラテンやアフロの取り扱い方だ。そこにはどうしてもスノッブな臭いがついてまわってしまう。よく日本人の音楽の聴き方は“音楽ではなくて音学だ”と言われるが、ラテンやアフロの取り上げられ方なんかはまさにそれだ。民族性の強いジャンルであるゆえに仕方がない部分はあるものの、どうしても民俗学的な分析や歴史的・政治的な側面から語られがちなために、素直に“面白そう!”とは思えなかったのである。

 そんなボクの先入観を見事に打ち砕いてくれたのが、Manu Dibangoの“Soul Makossa”との出会いだった。7〜8年ほど前、CDショップの500円セールのカゴの中に見つけたのがManu Dibangoの初期ベスト盤。彼の名前くらいは知っていたので、未開拓のジャンルを知る良いチャンスかもしれないと思って期待もせずに購入。その圧倒的なカッコ良さに一発でノックアウトされてしまった。アフリカ音楽のプリミティブなリズムにジャズやファンク、ロックのエッセンスを混ぜ込んだ彼のサウンドは、Fela Kutiに代表されるような他のアフリカ系アーティストのような政治性はあえて排除されており、純粋な音楽の快感と喜びに満ちている。そう、当たり前の事なのだが、音楽とは国境に関係なく“音を楽しむ”ものなのだ。ちなみに、このベスト盤、その後ある先輩に貸したまま未だに手元に返ってきておりません・・・。
 同じ時期に出会ったのがMongo Santamaria。言わずと知れたラテン・ジャズの大御所であり、所謂ラテンソウルのパイオニアであり、天才的なパーカッショニストだ。当時、世界的なラウンジ・ミュージック・ブームで、数多くのラウンジ系コンピCDがリリースされており、結構貪欲に買い漁っていたのだが、その中の一枚にMongoの楽曲“Fat Back”が収録されていた。これまたポップでグルーヴィーで爽快なナンバーで、まさに目からウロコ状態。カッコいいじゃん、楽しいじゃん!それまで、いわゆるラテン・ポップスやサルサは好きで聴いていたものの、ラテン・ジャズに関して言えばどこから手をつけていいか分らなかったというのが正直なところだった。
 ただ、Mongoの師匠Tito PuenteやPerez Prado辺りの、一世代前の超大御所になってしまうと、どうしても古臭さは否めない。やはり、MongoやRay Barretto、Willie Bobo辺りのロックン・ロール以降の世代が一番肌に合うし、時代を超越したカッコよさに溢れているように思う。
 結局、このManu DibangoとMongo Santamariaとの出会いがきっかけで、ラテンやアフロだけでなく、それまで苦手意識の強かったワールド・ミュージックにも開眼。そして、今まで自分がいかに音楽ジャーナリズムの発信する一方的な情報に振り回されていたのかを改めて痛感したのである。とにかく、未知の音楽を開拓していく音楽探検には、自分の勘と耳を信じることが大切。難しくて煩わしい理屈や理論なんか無視してオーケーなのである。音楽は音を楽しむものである、という純粋な原点に立って、これからもいろいろな音楽を捜しまくっていきたいと思うのである。

MONGO_ANTHOLOGY.JPG MONGO_FANIA.JPG MONGUITO_TOP.JPG MONGUITO_SISTER.JPG

Skin On Skin
The Mongo Santamaria Anthology

The Best of the Fania Years
Mongo Santamaria

On Top (1968)
Monguito Santamaria

Hey Sister (1968)
Monguito Santamaria

(P)1999 Rhino Entertainment (USA) (P)2001 Demon Music (UK) (P)2002 Sonido/Fania Records (USA) (P) Fania Records (USA)
Disc 1
1,Afro Blue
2,Chano Pozo
3,Yambu
4,Moingorama
5,Barandanga
6,Guaguanco Mania
7,Para Ti
8,Las Guajiras
9,Tenderly
10,Bacoso
11,Introduction by Symphony Sid
12,My Sound (Conga Drum Solo
13,Canta Bajo
14,Watermelon Man
15,Sweet 'Tater Pie
16,Dirty Willie
17,Happy Now
18,Cuidado
Disc 2
1,Cinderella
2,Black Stockings
3,Summertime
4,Cold Sweat
5,Fever
6,Adobo Criollo
7,Hippo Talk
8,Saoco
9,Sofrito
10,Virtue
11,Forked Tongue
12,Little Angel
13,Mayeya
14,Manteca
15,Bahia
16,Panamanian Aire
1,Mambomongo
2,Sofrito
3,Guajiro
4,Amanecer
5,Fingers
6,Last Tango In Paris
7,Gabrielle
8,Besame
9,Jelly Belly
10,New One
11,Manteca
12,Kindimbia
13,Chambique
14,Cantandole Al Amor
15,Leah
1,Juicy
2,Soiron Cano
3,Indio
4,Boogaloo Sabroso
5,Puchi's Boogaloo
6,Mambo Village
7,Guajira Y Son
8,Mi Guajira
9,Beans And Greens

produced by Jerry Masucci
1,Hey Sister
2,El Dorado
3,Groovetime
4,Monguito's Theme
5,Work Out
6,Guajirita
7,Soy Tu Ley
8,Mambo New
9,Chango

produced by Jerry Masucci

 Tito Puente Orchestraを脱退してソロへの道を歩き出すきっかけとなったCal Tjader作品Disc1の#4(Willie Boboと共演)を含む1958年から1995年までのベスト盤。残念ながらFania時代の作品は含まれていないものの、彼にとって最も充実した時代と言える60年代から70年代初頭にかけての代表作がまとめて聴けるお買い得盤。その神技ともいえるパーカッションのテクニックを思う存分堪能できるDisc1の#2,#12が何と言っても聴きもの。その他、Disc1では数多くのアーティストのカバーされた名曲#1、軽やかでグルーヴィーなサルサ#5、ハービー・ハンコック作曲のソウルフルでスウィンギーな#14、ハイパー・ビートなコンガが圧巻の#16、Disc2ではジャズの名曲をブルージーでファンキーなラテン・サウンドに仕上げた#3、ファンクの王様JBのカバー#4、パーカッションの文字通り乱れ打ちが圧巻の超ファンキーな#8辺りが特にオススメ。ラテン・ジャズ、ラテン・ソウルに興味があるけど、どこから始めたらいいか分らない人は、まずこのCDを購入すべし。

 Mongoがニューヨークの大手ラテン系レコード会社Fania傘下のVayaレーベルに在籍していた70年代の作品からのベスト盤。この時代のアルバムは殆どがCD化されているものの、結構値が張る上に実験性が高いために当たり外れが激しいので、このような廉価なベスト盤はとても有難い。ColumbiaやAtlanticの時代に比べると、よりラテンのルーツに回帰したようなディープな作品が多いのが特徴か。最大の聴きものはGato Barbieriによる映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」のテーマ曲のカバー#6。超クールでジャジーでグルーヴィーで濃厚でファンキーで腰を直撃するような激烈キラー・チューン。オリジナルを凌駕する大傑作トラックだ。Mongoの神技的コンガ・ソロから始まるDizzie Gillepie作品#11の猥雑なジャズ・ファンク的アプローチも最高にカッコいいし、Mongo自身のペンによる優雅でのどかなラテン・ラウンジ・チューン#8、Justo Betancourtをボーカルに迎えた陽気なサルサ#12など、実に多彩なトラックが目白押し。

 Mongo Santamariaの息子Monguitoのデビュー・アルバム。あまりにも偉大な父の陰に隠れてしまい、その存在すら忘れ去られがちなのが残念だが、同時代の他のラテン・ジャズ系アーティストと比べても決して引けを取らない、非常にクオリティの高い作品を残している。このアルバムにしても、デビュー作とは思えない高い完成度を誇る秀作。パーカッショニストだった父とは対照的にピアニストとなったMonguitoだが、その作品には父Mongoの影響が強い。本作では全体的にサルサやブーガルーが主流を占めているものの、ジャズ・ファンクやソウルのテイストを随所に盛り込み、非常にパーカッシブでファンキーなサウンドを聴かせる。ホーン・セクションとコンゴが非常に緊迫感のあるアンサンブルを展開する#4や切れの良いコンガがアクセントとなってタイトなサウンドを聴かせるミディアム・サルサ#7、父Mongoを彷彿とさせるスインギーでファンキーなジャンプ・ナンバー#9などは若き才能のほとばしりを感じさせる。  Monguitoの代表作であると同時に、ラテン・ジャズ・ファンクを代表すると言っても過言ではない大傑作。ここ数年ようやく再評価されるようになったのは嬉しい限り。ドライブ感溢れる最高にファンキーなホーン・セクションとソウルフルなコーラスの絡み合いが絶妙なアゲアゲのラテン・サイケ・ファンク#1なんかは、若いMonguitoの時代を読み取る感性の鋭さが最大限に生かされた素晴らしい傑作。続く#2もモータウン・サウンドを彷彿とさせるソウルフルかつファンキーな仕上がりだし、キューバン・サルサを新鮮な感覚で表現したパーカッシブで哀愁感漂う#4、エレガントで洗練されたラウンジ感覚溢れるスロウ・バラード#7など、甲乙付けがたい素晴らしい楽曲が揃っている。ラテン・ジャズ・ファンだけでなく、ソウルやレア・グルーヴ好きの音楽ファンやクラブDJにもオススメの1枚。

 

MONGUITO_BLACKOUT.JPG WILLIE_BOBO.JPG PEREZ_PRADO.JPG RODRIGUEZ_DELUSION.JPG

Black Out (1970)
Monguito Santamaria

Finest Hour
Willie Bobo

Concierto Para Bongo (1966)
Perez Prado

Delusion (1969)
Ray Rodriguez & His Orchestra

(P)1997 Fania Records (USA) (P)2003 Verve Music Group (USA) (P)1993 Polygram Latino (USA) (P)1999 Sonido/Aleore (USA)
1,Crying Time
2,Asi Sere Para Ti
3,Guarara
4,You Need Help
5,Todo Es Todo
6,I've Got To Find
7,Son Del Monte
8,All Your Talk
9,Sueno Contigo

produced by Jerry Masucci
1,Grazing in the Grass
2,It's Not Unusual
3,Evil Ways
3,Sham Time
5,Sunny
6,Quieres Volver
7,Fried Neck Bones and Some Home Fries
8,La Bamba
9,One,Two,Three
10,Psychedelic Blues
11,Walk Away Renee
12,Juicy
13,Cute
14,Dichoso
15,Spanish Grease
16,Come a Little Bit Closer
17,Knock On Wood
18,La Descarga del Bobo
1,Claudia
2,Virgen De La Mecarena
3,Mamma A Go Go
4,A Go Go
5,Estoy Acabando
6,Cayetano
7,Fantasia
8,Concierto Para Bongo

produced by Leroy Holmes
1,Viene De Bayamon
2,The Sergeant
3,A Rainy Day
4,Olvidame
5,Delusion
6,Ritmo Que Te Persigue
7,Touch Of Boogaloo
8,La Mulata Inovidable
9,Negra Sabrosura
10,Jumpin' With Symphony Sid

produced by Ralph Lew
 ソウルフルなミディアム・ナンバー#1で幕を開けるMonguitoの1970年作品。ソウルやレア・グルーヴを全面に押し出したファンキーな英語ボーカル・トラックとサルサ色の強い濃厚なラテン・ボーカル・トラックで構成されている。“Hey Sister”と比べると強烈なインパクトを残すような楽曲に欠けるものの、アルバムを通して安心して聴ける良質な作品に仕上がっている。特に同時代のノーザン・ソウルを彷彿とさせる#4や#6、#8なんかはラテン色薄いものの、非常にキャッチーでソウルフルで楽しい。 Mongo Santamariaの最大のライバルにして最大の親友だったWillie Boboが60年代にVerveレーベルに残した作品から選曲されたベスト盤。当時のポップ・ヒットのカバーが多いが、ラテン・ミュージックにジャズ、ソウル、ロックを融合したサウンドは、今聴いても全く古さを感じさせない。軽やかなフルートとホーン・セクションのドライブ感溢れるプレイが最高にダンサンブルなジャンプ・ナンバー#1、Bobby Hebbの大ヒット曲を軽やかなラテン・ジャズとしてカバーした#5、タイトル通りサイケデリックでトライバル感溢れるワイルドな#10、Four Topsの名曲を爽やかなラテン・ジャズとして蘇らせた#11、Count Basieの演奏でも有名なNeal Heftiのナンバーをブラジリアン・テイスト溢れる陽気なサウンドに仕上げた#13など、まさにおいしいところ取りの1枚。  マンボの王様Perez PradoがJudy GarlandやShirley Basseyのアレンジャーとして有名なLeroy Holmesと組んでサイケデリックなラテン・ジャズ・ファンクに挑戦した画期的な1枚。古き良き時代のラテン・ジャズというPerez Pradoのイメージを覆すグルーヴィーでファンキーでダンサンブルなアルバムに仕上がっている。タイトなリズム・セクションとホーン・セクションの絡み合いが最高にカッコ良い#3、思わずストーンズかと耳を疑ってしまうようなサイケ・ロック風の#6、17分以上にも及ぶアシッド感覚溢れる壮大なラテン・ジャズ・ファンク#8と、あの“Mambo No.5”を作った人の作品とは思えない前衛的な実験性に溢れた素晴らしいアルバム。  Ray Rodriguez & His Orchestraのセカンド・アルバム。いかにもサイケデリックなアルバム・ジャケットを見て期待すると若干肩透かしを食うかもしれないが、全体的にはオーソドックスなラテン・ジャズ、サルサ系の音に仕上がっている。その中で異色なのがタイトル・トラックの#5と#10。ファンキーでソウルフルななゴー・ゴー・ナンバーに仕上がった#5も良いが、何と言っても注目は#10。最高にグルーヴィーでクレイジーでファンキーでダンサンブルなパーティー・トラックに仕上がっており、この1曲のためのアルバムを購入しても損はないと断言したい傑作。

 

BARRETTO_007.JPG BARRETTO_TOGETHER.JPG BARRETTO_ACID.JPG AIRTO.JPG

Senor 007 (1965)
Ray Barretto

Together (1971)
Ray Barretto

Acid (1972)
Ray Barretto

Assential The Very Best Of
Airto Moreira

(P)2001 West Side Latino (USA) (P)2001 Sony Music Enter.(France) (P)2001 Sony Music Enter.(France) (P)1999 Music Collection Inter.(UK)
1,Mister Kiss Kiss Bang Bang
2,Search For Vulcan
3,Jamaica Jump Up
4,Thunderball
5,From Russia With Love
6,I Wanna Be A James Bond Girl
7,007 (Double O Seven)
8,Underneath The Mango Tree
9,The James Bond Theme
10,Goldfinger

produced by Ray Barretto & Leroy Holmes
1,Together
2,Adiviname Y Olividate
3,Hipocresia Y Falsedad
4,No Olvido A Caracas
5,De Donde Vengo
6,Vive Y Vacila
7,Invitacion Al Son
8,Tin Tin Deo
9,Al Ver Sus Campos*
10,Algo Nuevo*
11,Tumbao Africano*
12,Bruca Manigua*
13,Tumbao Moderno*

produced by Jerry Masucci(1-8),Ray Barretto(9-11)
* bonus tracks
1,El Nuevo Barretto
2,Mercy,Mercy,Baby
3,Acid
4,A Deeper Shade of Soul
5,The Soul Drummers
6,Sola Te Dejare
7,Teacher of Love
8,Espiritu Libre
9,Guarare*
10,Vine Pa' Echar Candela*
11,Vale Mas Un Guaguanco*
12,Canto Abacua*
13,Eras*

produced by Jerry Masucci & Harvey Averne(1-8),Ray Barretto(9-12)
* bonus tracks
1,Romance of Death
2,Tombo in 7/4
3,San Francisco River
4,The Road Is Hard
5,Misturada
6,Happy People
7,Samba de Flora
8,Casa Forte
9,Musikana
10,Seven Steps
11,Celebration Suite
 Mongo Santamariaの後釜としてTito Puente Orchestraに抜擢されて一躍名を上げたパーカッショニスト、Ray Barrettoによる007のカバー・アルバム。「ドクター・ノオ」から「サンダーボルト作戦」までの中から、御馴染みのテーマ曲とマニアックなスコアで構成されている。題材が題材なだけに、非常にお洒落でスタイリッシュな仕上がり。中でもエレガントでゴージャスなチャチャチャ風ボレロに仕上がった#5やファンキーなラテン・ジャズとして巧くまとまった#9なんかはラウンジ・ミュージックとしても楽しめる逸品。

 Ray BarrettoのFania時代のアルバム"Together"にボーナス・トラックを収録した1枚。アフロ・ファンク色の強い#1が強烈なインパクトを残す傑作。猛烈にテンションの高いハイパー・サルサとも言うべき#4、師匠Tito Puenteの作品をモダンなサルサ・ナンバーに仕上げた#6、ドライブ感に満ちた壮大なラテン・ジャズ・ファンク#8、アフロ・ジャズとラテンを融合したトライバル感溢れる#11など、クラブ・ユースにも最適なキラー・チューン満載。

 Fania時代の最高傑作と名高いアルバム“Acid”にボーナス・トラックを収録した特別版。ラテン、ジャズ、ロック、ファンクを融合した非常に野心的な1枚だ。フリー・ジャズ的な発想の実験性の高いタイトル・トラック#3も最高にカッコいいし、“Knock On Wood”をサンプリングしたソウルフルなブーガルー#4、ダンサンブルなゴー・ゴー・ナンバー#7、8分以上に及ぶグルーヴィーでアシッド感覚溢れる力作#8と、時代の空気を敏感に取り入れた素晴らしい仕上がり。また、ボーナス・トラックのRuben Blades作品#12も非常に前衛的な内容のサルサで面白い。

 本来はブラジル音楽として紹介するべきなのかもしれないのだが、彼の作品にはアフロ・キューバンやラテン・ジャズの影響も色濃いので、あえてここで紹介させてもらう。言わずと知れたブラジル出身の世界に名だたる天才的パーカッショニスト。このベスト盤は初期のハードなトライバル感に溢れた作品と70年代後半の洗練されたポップなフュージョン的作品を絶妙な選曲センスで織り交ぜた入門書的1枚。やはり、クラブ・クラシックの定番となっているサンバ・ジャズ・ファンク#7、そしてお約束の必殺お祭りコーラスで大盛り上がりのキラーチューン#2と#11で思わず腰も動く動く!もう最高!

 

COKE1.JPG COKE2.JPG SINTO.JPG ANGEL_DUST.JPG

1st & Foremost Latin Rock Group of Miami
Coke

Grandes Exitos
Coke

Sonho Negro (1978)
Sinti

Guapacheando (2000)
Professor Angel Dust & The PH Force

(P) Nostalgia Records (USA) (P)2003 Hot JWP Music (USA) (P)SpinningWheel Records (Germany) (P)2000 Virgin Records (Spain)
1,Na Na
2,You Turn Me On
3,Got To Touch Your Face
4,Quiero Decirte
5,Bun Bun Bun
6,Bang Bang
7,Sabor A Mi
8,Te Amo Mas
9,Nuestro Amor
10,Que Seria De Mi
11,Tu Amor No Esta
12,Martha
13,Man of Many Words
14,Won't Cry
15,Sin Ti
16,Beware
17,Get Yourself Up
18,Go Away
19,Tu Retrano
1,Na Na
2,You Turn Me On
3,Got To Touch Your Face
4,Que Seria De Mi
5,Bun Bun Bun
6,Bang Bang
7,Sabor A Mi
8,Te Amo Mas
9,Nuestro Amor
10,Quiero Decirte
11,Tu Amor No Esta
12,Martha
13,Man Of Many Words
14,Won't Cry
15,Sin Ti
16,Beware
17,Get Yourself Up
18,Go Away
19,Tu Retrano
1,Man On The Banks
2,Snho Negro
3,Paz E Amor
4,Cosa Rica
5,Feeling Right
6,Vida Na Terra
7,Vamos Par Georgia
8,Outra Vez

produced by Heinz Ulm
1,Dusted Intro
2,Latin a Go-Go
3,B-Boy Dope
4,Gozando este ritmo
5,Paquito "El Pimp"
6,PH Anthem
7,Oye Como Va
8,Tell me waz' wrong
9,Stronza (featuring Mala Rodriguez)
10,Elements Mafia (featuring Elements)
11,Loco Weed
12,Apache con leche (featuring Ben-Jammin')
13,Thou Shalt Funk
14,Outro
15,Oye Como Va (Freddie Fresh Loco Mix)*

produced by Professor Angel Dust
* bonus track
 70年代初頭に活躍したマイアミ・ベースのラテン・ファンク・ソウル・バンド、Cokeの2枚のアルバムを丸々収録したCD。もうカッコいいったらないです、こいつら。キャッチーなコーラスと緩めのグルーヴ感がたまらない代表作#1を筆頭に、サンバ・ロック風のリズムにキャッチーなホーン・セクションと重厚なオルガンが絡み合う超ファンキーな#4、陽気でポップなブーガルー#6、エレキ、オルガン、コンガが入り乱れて暴れまくるヘヴィーでワイルドなラテン・ファンクの傑作#16と、頭からケツまでシビレまくりの1枚。猛烈にオススメ。  収録曲は左と全く同じな上にCD-Rだったりするのだが、音質はこちらの方が格段に上。しかし、何故かジャケットには“伝説的キューバン・ロック・バンド”の文字が。確かマイアミのバンドだと聞いているのだけれど。まあ、いかんせんこのバンドに関する情報は非常に少ないので、もしかしたらキューバからの亡命バンドなのかもしれないのだけど。  1971年にミュンヘンで結成されたラテン・ファンク・バンド、Sintiの代表作。ヨーロッパのバンドとは思えない本格的な演奏が素晴らしい。サルサからラテン・ジャズ、ブラジリアン、アフロ・ファンクまで様々なジャンルを貪欲に取り入れており、非常にライブ感溢れるプレイを聴かせる一方で、楽曲はあくまでもダンサンブルにキャッチーに、という基本姿勢が一貫しており、非常に楽しめるアルバムに仕上がっている。キューバン・サルサ風のエレガントな#3や超キャッチーで軽やかなサンバ・ファンク#4、素晴らしくパーカッシブなアフロ・ジャズ風サルサ#6、猛烈にグルーヴィーな爆走ラテン・ファンク#7と、どれも甲乙付けがたいくらいにカッコいい。名盤。  メキシコ出身でスペインでも活動するProfessor Angel Dustによる痛快なラテン・エレクトロ・ファンク・アルバム。ラテン・ジャズ、ブーガルー、マンボ、サルサを吸収しながら、お祭り騒ぎのように賑やかなエレクトロ・ファンクが繰り広げられるのが楽しい。60年代末風のアシッド・テイストなサイケデリック・ラテン・ファンク#2のお茶目な遊び感覚、タイトなアーバン・ラテン・ジャズ#4のお洒落感覚、大御所Tito Puenteの名曲をヒップ・ホップ風にカバーした#7のストリート感覚など、全体的に下世話で猥雑でクールな作品に仕上がっている。

 

NEW_COOL1.JPG NEW_COOL2.JPG LOS_SAMPLERS.JPG LAFAYETTE.JPG

Soul Jazz Latin Flavours Nineties Vibe (1996)
New Cool Collective

More! Soul Jazz Latin Flavours Nineties Vibes (1998)
New Cool Collective

Descargas (2000)
Los Samplers

Darkest Light:The Best Of
The Lafayette Afro Rock Band

(P)1995 Challenge Records (Holland) (P)1998 Challange Records(Holland) (P)2000 Rather Interesting (P)1999 Strut (UK)
1,Flootie
2,Five High
3,So Cool
4,Weekend Bizarre
5,Hippie Tune (Song For Josh)
6,Cherry 2000
7,Wee
8,Trust In Me (Trip In The Jungle Mix)

produced by Benjamin Herman,Graham B
1,Big Mondays
2,Lucoolmi
3,Loveboat
4,Yeh Yeh
5,Q Baiano!
6,Ganesh
7,Jane XX
8,Movin On Out
9,The Golden Glow of Sunrise
10,Five High (Big Band Version)
11,So Cool (Club Ganesh Remix)

produced by Graham B & Benjamin Herman
1,Mambo Brillante
2,Nocaut
3,El Rey De Las Galletas (Soy Yo)
4,La Vida Es Llena De Cables
5,Wiken
6,Vamos Con San Pedro
7,Algo Ritmico
8,Descarga Mecano
9,Estudio En Ritmo
10,El Nuevo New Looks
11,Demasiado Funcional

produced by Atom

1,Voodounon
2,Conga
3,Hihache
4,Nicky
5,Malik
6,Ozan Koukle (Radio Edit)
7,Soul Makossa
8,Racubah
9,Darkest Light
10,Scorpion Flower
11,Heels & Soles
12,The Gap (Instrumental)
13,Red Matchbox
14,A.I.E. (A Mwana)
15,Dr. Beezar "Soul Frankenstein"

 サックス奏者Benjamin GermanとDJのGraham Bを中心に結成されたオランダのラテン・ジャズ・バンド、Cool Collectiveのファースト・アルバム。随所でテクノロジーを導入しつつも、全体的には生音のライブ感を重視したストレートな音作りが一貫している。60年代のUKのジャズ・ファンク・ムーブメントに影響されているのは明白で、非常に都会的で洗練されたダンサンブルなラテン・ジャズが繰り広げられる。アフロ・テイスト炸裂のハイテンションなトライバル・ジャズ・ファンク#7がカッコいい。  前作より更にモダンでファンキーなラテン・ジャズを聴かせてくれるセカンド・アルバム。ブラジリアン・テイスト溢れるグルーヴィーなファンク#3、Georgie Fameの大ヒット曲をストレートにカバーした#4、Elis Reginaを彷彿とさせる女性ボーカルをフューチャーしたエレガントでクールなボサ・ジャズ#5、気だるくファンキーなチャ・チャ・チャを聴かせる#8辺りがオススメ。しかし、一番の聴きものは9分以上に及ぶ気迫のライブ音源#10。まさに渾身の1曲といった感じで、猛烈にファンキーでグルーヴィーで爽快な生演奏を楽しめる。  チリ出身のラテン・ノイズ・ファンク・プロジェクト。どこまで真面目なのかふざけてるのか分らないキッチュでお遊び感覚溢れた音作りは、かなりクセになること請け合い。キャッチーなピコピコ・エレクトロ・ノイズ・マンボ#1、デジタル音源をいじくりまくった挙句に何故かルンバに仕上がってしまったといった感じの#3、ムーディーで幻想的でファンキーなエレクトロ・チャ・チャ・チャ#5など、テクノロジーで遊びまくったノイズサウンドとマンボ、ソン、ルンバ、ジャズを融合した、何だかおかしくってカッコいいサウンドが楽しめる、まさに拾い物といった感じの1枚。かなりオススメ。  Manu Dibangoの影響の下、フランスに渡ってきたアメリカ人ミュージシャンたちによって1971年パリで結成されたアフロ・ロック・バンドのベスト盤。PublicEnemyがサンプリングに使って話題になった#9を筆頭に、猛烈にファンキーでグルーヴィーなジャンプ・ナンバー#2、クレイジーなサックス・ソロが最高に気持ちいいタイトでヘヴィーなアフロ・ファンク#3、師匠Manu Dibangoの代表曲をストレートにカバーした#7、アフロ・ラテン色の強いスピード感溢れるジャズ・ファンク#8など、とにかくどれもカッコよい。しかし、日本でもキワモノ・ディスコとして紹介された#15が、彼らの作品とは知らなかった・・・。

 

DIBANGO_MAKOSSA.JPG DIBANGO_ANTHOLOGY.JPG OSIBISA.JPG RACUBAH.JPG

Soul Makossa
Manu Dibango

Anthology
Manu Dibango

Sunshine Day
Osibisa

Racubah!
Various Artists

(P)1992 Unidisc Music (Canada) (P)2000 Eagle Records (UK) (P)1999 Sequel Records (UK) (P) Comet Records (France)
1,Soul Makossa
2,Big Blow
3,Bayam Sell'Am
4,Baobab Sunset
5,Mwasa Makossa
6,Mimbo
7,Super Kumba
8,Qui Est Fou De Qui
9,Soir Au Village
10,Bekosa
11,Senga
12,Pepe Soup
13,O Boso
Disc 1
1,Soul Makossa
2,Dasiko
3,Africadelic
4,Sax City
5,Tropical Garden
6,On Na Mba
7,Pepe Soup
8,Aloko Party
9,Baobab Sunset
10,Mouvement Ewondo
11,Na Selele
12,Wilderness
13,Bolingo City
Disc 2
1,Reggae Makossa
2,Bona Sango
3,Doctor Bird
4,Sun Explosion
5,Ca Va Chouia
6,Miango
7,Mouna Loba
8,Ambiance Tropica
9,Bintou
10,Mouna Maria
11,Oh Koh
Disc 3
1,Makossa Rock
2,African Boogie
3,Yekey Tenge
4,Mouna Pola
5,Negropolitaines
6,Village News
7,Toumba
8,Super Kumba
9,Massa Lemba
10,Electric Africa
Disc 1
1,Sunshine Day
2,Welcome Home
3,Densu-Trad
4,Chooboi/(Heave Ho)
5,Do It (Like It Is)
6,Right Now
7,Seaside Meditation
8,Uhuru
9,Kolomashie-Trad
10,Bum To Bum
11,The Coffee Song
12,The Warrior
13,Flying Bird Anoma
14,Cherryfield
15Keep On Trying
16,Hamattan
17,Sakabo
Disc 2
1,Dance The Body Music
2,Ojah Awake
3,Sunset
4,Meeting Point
5,Celebration
6,Africa We Gogo
7,Oreba (Magic People)
8,Moving On
9,Mama (I Will Be Back)
10,(I Feel) Pata Pata
11,Fatima/Obinkabi
12,Jumbo
13,Meeting Point (12inch Mix)
14,(I Feel) Pata Pata (12inch Mix)
1,Afro-Disco Beat / Tony Allen
2,Racubah! / Ice
3,Nairobi / Mombasa
4,Save Me / The Tempos
5,Rythmotom 1 / Mamba Persuccions
6,I Feel Funky / Harry Mosco
7,Soul Power / Mulatu Astatke
8,Wilderness / Manu Dibango
9,Yebo Edi Pachanga / Orchestre Tembo
10,Jungle Dance / Edja Kungali
11,Creole Gypsy / Roland Brival
12,Odeiyolaco / Ray Stephen Oche
 70年代にアフロ・ブームの一大旋風を巻き起こしたカメルーン出身のManu Dibangoの記念碑的大ヒット#1を含む、72年から76年までの作品で構成されたベスト盤。荒削りだがワイルドでファンキーでダンサンブルな楽曲が並ぶ。やはり目玉はマイケル・ジャクソンにまでサンプリングされた傑作#1だが、当時のアメリカのファンク・ソウルとアフロ・ミュージックを見事に融合させた楽曲の数々は、いずれも素晴らしい。よりヘヴィーでファンキーでグルーヴィーな#5、トライバル色の強いアシッドな#8、ムーディーでソウルフルでメロウなスロウ・ナンバー#10、たてノリのハードなアフロ・ファンク・ロック#11など、とにかくカッコよい。  80年代〜90年代の作品を中心にチョイスされた3枚組のベスト盤。ゆえに、代表曲であるDisc1の#1や#7、#9などはいずれもリメイク版を収録。70年代の演奏と比べると格段に洗練されており、大御所の風格を漂わせているのだが、その反面初期の荒削りでワイルドなエネルギーは影をひそめてしまい、ちょっと寂しい気もする。そういった意味では60年代のレコーディングであるDisc1の#3と#4のパワフルなアフロ・ジャズ・ファンクの大胆な豪快さは気持ちいい。またIslandレーベル移籍直後に発表したSly&Robbie共演のDisc2の#1〜#3のアフロ・レゲエなサウンドも非常に面白い。

 やはり70年代に一大ブームを巻き起こした、ガーナ出身でロンドンで結成されたアフロ・ファンク・バンド、OsibisaがPye傘下のBronze Recordsに残した3枚のアルバムに、B面ソング、12インチ・バージョンを加えた2枚組CD。日本ではMatt Biancoのカバー・バージョンが大ヒットした傑作#1で幕を開ける。全体的には、意外にディープなアフロ・ファンク・サウンドが中心で、シングル曲のポップさとは対照的な作品が多い。Disc 1ではキャッチーでタイトなヘヴィー・ファンク#5、ヘヴィーでグルーヴィーなパーティー・ファンク#10、Disc 2では爽やかなメロウ・グルーヴ#1、クールなアーバン・ファンク・ソウル#8、Miriam Makebaの名曲をポップ・ソウル風にカバーした#10がオススメ。

 アフロ・ファンクの人気が根強いフランスでコンパイルされたオムニバス盤。何と言っても最大の聴きものは猛烈にファンキーでダンサンブルでパワフルなアフロ・レア・グルーヴの大傑作#6でしょう。頭がおかしくなりそうなくらいに踊れます。大御所Tony Allenの#1もクールでカッコいいし、Lafayette Afro Rock Band(Ice名義だけど)の#2、Manu Dibangoの#8など、アフロ・ファンク入門者必聴のトラックから、アフロ・パーカッションのリズムを思う存分堪能できる#5、ラテン・ジャズの影響の強い#9などマニアックな激レア・トラックまで、とても充実した選曲。

 

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