キム・ワイルド Kim Wilde
UK発のニューウェーヴ・サウンドが世界を席巻した80年代。そのクールでモダンなビジュアル・イメージも手伝って、まさに“ニューウェーブの女王”的な存在として衝撃的なデビューを飾ったのがキム・ワイルドだった。
81年にリリースされたデビュー・シングル“Kids
In
Ameica”は全英2位をマークし、ヨーロッパ各国でも軒並みトップ10入りする大ヒットを記録。アメリカでも25位の中ヒットとなった。その後も“Chequered
Love”や“Cambodia”、“View From A
Bridge”などのヒットを連発。デビュー当初はロックン・ロール路線が濃厚だったものの、次第にシンセサイザーやドラム・マシンを駆使した幻想的でミステリアスなテクノ・ポップで本領を発揮するようになる。
実は、彼女の父親は50年代に活躍したイギリスの有名なロック・シンガー、マーティ・ワイルド。さらに、彼女のデビューを後押ししたのは、アニマルズやハーマンズ・ハーミッツなどのロック・バンドを育てたUK音楽界の伝説的仕掛け人ミッキー・モストだった。
その父マーティと兄リッキーが、殆んどの楽曲で作詞・作曲を手掛け、リッキーがプロデュースを担当。長いキャリアを誇る父マーティの業界経験に裏打ちされたポップ・センスと、新しいサウンドを貪欲に取り入れる兄リッキーの時代を読む若い感性が上手いことマッチし、数多くのヒット曲を生み出したわけだ。
一時はセールス的に低迷した時期もあったものの、86年にリリースされたシュープリームスのカバー“You
Keep Me Hangin'
On”が、翌年にかけて世界中で爆発的なヒットを記録。彼女にとって初の全米ナンバー・ワンを獲得することとなった。
以降、当時世界的にブームだったハイエナジー/ユーロビート路線のダンス・ナンバーで人気を博し、“You
Came”や“Never Trust A Stranger”などをヒットさせる。
だが、ダンス路線からポップ路線へとシフトした90年のアルバム“Love
Moves”がコケてしまい、ベリンダ・カーライルを成功させたリック・ノウルズと組んだ次のアルバム“Love
Is”も失敗。徐々にヒット・チャートの表舞台から遠ざかってしまった。
その後、趣味のガーデニングにのめり込んだ彼女は、園芸家としても活躍するように。近年はコンスタントにシングルを発売する一方で、06年には久々のオリジナル・アルバム“Never
Say
Never”をリリースして話題となった。
80年代はマドンナやシンディー・ローパー、シーナ・イーストンなどの女性アーティストが脚光を集めた時代。中でも、ヨーロッパにおけるキムの人気は絶大なものがあり、一時は音楽雑誌のファン投票でマドンナを抑えて1位を独占するほどだった。80年代半ばや90年代以降の低迷期でも、オランダやスイスではコンスタントにヒットを放ち、ヨーロッパでは彼女から多大な影響を受けたと公言するアーティストも少なくない。
なお、日本でもデビュー当初からブロンドのクール・ビューティとして脚光を浴び、83年には清涼飲料水のTVコマーシャルに出演。土屋昌巳がプロデュースを手掛けたCMソング“Bitter
Is Better”もヒットした。また、ハイエナジー/ユーロビート時代の“You Keep Me Hangin' On”や“You
Came”も、日本のディスコで爆発的なブームを呼んでいる。
1960年11月18日イギリスはウェスト・ロンドンに生まれたキムは、本名をキム・スミスという。父親は50年代のロック・スター、マーティ・ワイルド。母親も女性コーラス・グループ、ヴァーノンズ・ガールズのメンバーとして活躍した歌手だった。
80年に父の古い友人でもあったミッキー・モストの経営するRAKレコードと契約し、シングル“Kids
In
America”でデビュー。発売と同時にイギリスで2位を記録したほか、デンマークやアイルランドなどでは1位、その他のヨーロッパ各国でも軒並みトップ10入りを果たす。
続く“Chequered
Love”も全英4位、ドイツやオランダ、デンマークなどで2位、オーストラリアで6位というヒットに。デビュー・アルバム“Kim
Wilde”も全英アルバム・チャートで最高3位をマークした。
さらに、セカンド・アルバム“Select”からはベトナム戦争をモチーフにした“Cambodia”が大ヒット。イギリスでは12位止まりだったが、フランスやスイス、スウェーデン、デンマークなどで1位を獲得し、その他の主要各国でもトップ10上位を独占している。続く“Vew
From A
Bridge”もイギリスでは16位だったが、フランスでは再び1位をマーク(※ソースによって異なる)し、西ドイツやオランダ、スウェーデンなど各国でトップ10ヒットとなった。
ところが、83年のサード・アルバム“Catch
As Catch Can”は全英アルバム・チャート最高90位で、しかも1週間でチャートから消えてしまうという予想外の大惨敗に。シングル“Love
Bonde”と“Dancing In The
Dark”も、オランダやスイス、スウェーデンなどではトップ10入りを果たしたものの、イギリスを含むそれ以外の国では軒並み不調だった。
これを最後にRAKレコードを離れたキムは、大手MCAレコードと契約。その第一弾としてリリースされた4枚目のアルバム“Teases
& Dares”は、非常に野心的で完成度の高い作品であったものの、セールス的にはいまひとつ伸び悩んだ。ただ、ファースト・シングル“The Second
Time”は西ドイツやスイス、デンマークでトップ10入りするヒットとなり、アメリカでも最高65位ではあったものの、久々の全米チャート・ヒットとなっている。
そんなスランプ時期真っ只中の彼女にとって大きな転機をもたらしたのが、シュープリームスのカバー“You
Keep Me Hangin'
On”だったわけだ。イギリスで最高2位をマークしたほか、オーストラリアやカナダで1位、西ドイツやスイス、デンマーク、アイルランドなど各国でもトップ10入りを果たした。さらに、翌年にはビルボードの全米チャートで1位を獲得し、キムは押しも押されぬ世界的なトップ・スターとなる。
続いて発売されたシングル“Another
Step”(黒人歌手ジュニアとのデュエット)も全英トップ10をマーク。ただ、好調だったシングルに比べてアルバムのセールスはいまひとつ伸び悩み、全米40位、全英88位というちょっと残念な結果に終っている。
しかし、88年にリリースされたアルバム“Close”は、イギリスを含むヨーロッパ各国で軒並みトップ10入りを果たし、トータルで100万枚というセールスを記録。シングル“You
Came”は全英3位を筆頭に、デンマークや西ドイツ、イタリア、フランス、スウェーデンなど、ヨーロッパの殆んどの国でトップ10上位にランクされた。さらに、“Never
Trust A Stranger”も全英7位のほか、スイスやオランダ、オーストリアなどでトップ10入り。ドリーミーなバラード“Four Letter
Words”も、全英6位、オランダ8位などのヒットとなっている。
ところが、90年に発売されたシングル“It's
Here”はイギリスを含むヨーロッパ各国でトップ10入りを逃し、続くシングルも次々とチャート下位に止まってしまう。当然のことながら、アルバム“Love
Moves”も惨敗。
恐らく、彼女自身はそれまでのダンス・ポップ路線に飽きてしまったのだろう。よりオーガニックなアコースティック路線を目指すようになったわけだが、それはファンが求めているキム・ワイルドではなかったのかもしれない。
よりアコースティック色を強めた92年のアルバム“Love
Is”も全く奮わず。ファースト・シングル“Love Is
Holy”は爽やかでなかなか良く出来た名曲だったが、それでも一部の国で辛うじてトップ20に入る程度の結果しか残せなかった。
93年にはベスト・アルバム“The
Singles Collection 1981-1993”を発表。ここから新曲としてシングル・カットされたイヴォンヌ・エリマンのカバー“If I Ccan't
Have
You”は全英12位まで上がったほか、オーストラリアでは最高3位をマークし、キムにとって90年代最後のメジャー・ヒットとなる。
次のアルバム“Now
&
Forever”はR&B路線を打ち出したものの、イギリスをはじめ各国でチャート・インすら出来ないという散々な結果に。シングルの“Breaking
Away”と“This I
Swear”もほぼ無視され、ラジオでのエアプレイ・リストにすら載せてもらえなかった。
その後、数年間は音楽界の第一線から退いてしまったキム。01年になって新たなベスト盤“The
Very Best Of Kim
Wilde”をリリースし、ここからは久々の新曲“Loved”がシングル・カットされた。とはいえ、ベルギーなど一部の国でトップ10入りしたものの、それ以外では概ね不調だったようだ。
しかし、03年にドイツの人気女性シンガー、ネーナとデュエットしたシングル“Anyplace,
Anywhere,
Anytime”がドイツやオランダ、スイスなど各国でトップ10入りする大ヒットに。
これをきっかけに、キムはドイツのEMIレコードと契約。06年に11年ぶりとなるオリジナル・アルバム“Never
Say Never”を発表した。ファースト・シングルとして発売された“You
Came”はヨーロッパ各国でトップ20入りを果たし、まずまずのセールスを記録。アルバムそのものも概ね好評だった。
また、07年と09年には大規模なヨーロッパ・ツアーを成功させており、つい先ごろもスウェーデンのロック・バンド、Fibes
oh Fibesと組んだシングル“Run To
You”を発表したばかり。私生活では96年に結婚したミュージカル俳優ハル・フォウラーとの間に11歳の長男と9歳の長女がおり、子育てと両立しながらマイペースな音楽活動を行っている。
なお、日本ではダリオ・アルジェント監督のホラー映画『シャドー』(82)の主題歌として、キムの“Take Me
Tonight”がエンディング・クレジットのバックで使用されている。アルジェント監督自身や同作で音楽を担当したクラウディオ・シモネッティらは全く知らなかったらしく、この日本公開バージョンを収録したアメリカ盤DVDの音声コメンタリーでは一同“なんじゃこりゃ!?”状態(笑)誰が歌っているかも分からない様子で、“どうせどこかの国の配給会社が、社長の愛人かなにかに歌わせたんだろう、よくあることさ”とシモネッティがのたまっていたのにはズッコケた。いや、天下のキム・ワイルドだってばさ!!!
いやはや、知らないということは恐ろしいことである(笑)
アルバム
Kim Wilde
(1981) Select (1982) Catch As Catch Can
(1983) Teases & Dares
(1984)
(P)2009 EMI/Cherry Pop
(UK)
(P)2009 EMI/Cherry Pop
(UK)
(P)2009 EMI/Cherry Pop
(UK)
(P)1984 MCA/Warner-Pioneer
(Japan)
1,Water On Glass 3:29 ビデオ
2,Our Town
3:47 ビデオ
3,Everything
We Know 3:42
4,Young Heroes 3:16
5,Kids In America 3:25 ビデオ
6,Chequered
Love 3:21 ビデオ
7,2-6-5-8-0
3:12
8,You'll Never Be So Wrong 4:11 ビデオ
9,Falling Out
4:03
10,Tuning In Tuning On 4:25 ビデオ
bonus
tracks
11,Shane 3:41
12,Boys 3:15
13,Water On Glass (7"
Version)3:33
produced by Ricki Wilde1,Ego 4:10
2,Words Fell Down
3:32 ビデオ
3,Action City
3:22
4,View From A Bridge 3:30 ビデオ
5,Just A
Feeling 4:09
6,Chaos At The Airport 3:19 ビデオ
7,Take Me
Tonight 3:52 ビデオ
8,Can You
Come Over 3:35
9,Wendy Sadd 3:48
10,Cambodia + Reprise 7:14
bonus
tracks
11,Watching For Shapes 3:43
12,Cambodia (Single Version) 3:58
ビデオ
13,Child
Come Away 4:05 ビデオ
14,Just
Another Guy 3:20
15,Bitter Is Better 3:44 * ビデオ
produced
by Ricki Wilde
*produced by Masami Tsuchiya1,House Of Salome3:34 ビデオ
2,Back Street
Joe 4:28
3,Stay Awhile 3:40
4,Love Blonde 4:05 ビデオ
5,Dream
Sequence 6:04
6,Dancing In The Dark 3:44 ビデオ
7,Shoot To
Disable 3:36
8,Can You Hear It 4:25
9,Sparks 4:09
10,Sing It Out
For Love 3:33
bonus tracks
11,Love Blonde (7" Version)
3:33
12,Back Street Driver 3:33
13,Love Blonde (12" Version) 5:00ビデオ
14,Dancing In
The Dark
(Nile Rodgers Re-Mix) 5:26*
15,Dancing In The
Dark
(Instrumental)3:38
produced by Ricki Wilde
*
remixed by Nile Rodgers1,The Touch 4:13 ビデオ
2,Is It Over
3:56 ビデオ
3,Suburbs Of
Moscow 3:25 ビデオ
4,Fit In
4:38
5,Rage To Love 4:21 ビデオ
6,The Second
Time 3:54 ビデオ
7,Bladerunner
4:30 ビデオ
8,Janine
3:48 ビデオ
9,Shanri-La
4:49 ビデオ
10,Thought It
Was Goodbye 4:37 ビデオ
produced
by Ricki Wilde & Marty Wilde
デビュー曲#5の大ヒットを受けてリリースされたファースト・アルバム。全体的にロックン・ロール色の強いシンセ・ポップ・サウンドでまとめられています。キムの初々しいボーカルやバックの演奏を含めて、まだまだ荒削りな印象の残る仕上がりですが、ブラス・バンドをフューチャーした#7やメランコリックなダウンビート・レゲエ#3などはなかなかユニークな試み。ヒットしたストレートなロック・ナンバー#6も爽やかです。ちなみに、キムのすぐ隣の背後に立っているのが兄リッキー。あまり似てませんね(笑)
基本的には前作の路線を踏襲しつつ、よりテクノ・ポップ路線を全面に押し出したセカンド・アルバム。やはり、シングル・ヒットした#10が真骨頂でしょう。この幻想的でダークなサウンド・プロダクションとメランコリックなメロディの美しさは絶品。#12ではコンパクトにまとめたシングル・バージョンも収録されています。また、同様のサウンド世界を目指した#4や#7も秀逸な出来栄え。ただ、それ以外はいまひとつ楽曲的にインパクトが弱く、アルバムとしてのセールスが伸び悩んだのは納得かもしれません。
発売当時は散々な不評ぶりで、シングルも含めてセールス的に惨敗を喫したサード・アルバム。とはいえ、今聴くと決して出来は悪くないんですけれどね。あからさまにダンス・ポップ路線を打ち出したのが、当時はファンにそっぽ向かれた原因だったのかもしれません。キャッチーでミステリアスな哀愁ハイエナジー#1なんか、当時はかなり大好きでした。12インチ・バージョンが製作されなかったのは残念ですが。ナイル・ロジャースがミックスを担当したダンス・ナンバー#6もまずまずだと思います。
MCAへ移籍しての第一弾。これは傑作だと思います。同名タイトルの作品#7もありますが、映画『ブレードランナー』の世界を彷彿とさせるような、近未来的でダークで幻想的なサウンドが実に魅力的。楽曲そのものもキャッチーかつメロディアスで、非常にクオリティの高いナンバーばかり。全曲まとめてオススメしたいくらいです。#1と#5、#6がシングル・カットされていますが、陰鬱でメランコリックな#3やノスタルジックでドリーミーなバラード#10なんかも最高。80'sポップスの魅力が凝縮された1枚です。
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Another Step (1986) |
You Keep Me Hangin' On (1987) |
Close (1988) |
The Remix Collection (1993) |
(P)1986 MCA Records (Germany) | (P)1987 MCA/Warner-Pioneer (Japan) | (P)1988 MCA Records (UK) | (P)1993 MCA Victor (Japan) |
1,You Keep Me Hangin' On 4:19 ビデオ 2,Hit Him 3:34 3,Another Step (Closer To You) 3:23 ビデオ 4,The Thrill Of It 3:57 5,I've Got So Much Love 4:01 6,Victim 4:05 7,Schoolgirl 3:42 ビデオ 8,Say You Really Want Me 3:45 9,She Hasn't Got Time For You 4:19ビデオ 10,Brothers 4:50 11,Missing 4:28 12,How Do You Want My Love 4:02 13,Don't Say Nothing's Changed 3:55 produced by Ricki Wilde #6 & #12 produced by Richard James Burgess #7 produced by Ricki Wilde & Reinhold Heil #8 produced by Rod Temperton, Dick Rudolph & Bruce Swedien #11 produced by Ricki Wilde & Kim Wilde |
1,You Keep Me Hangin' On (Extended Mix) 9:07 ビデオ 2,Another Step (Closer To You) (Extended Mix) 5:56 3,Rage To Love (Extended Version) 6:01 4,Say You Really Want Me (Extended Version) 6:36 ビデオ 5,The Second Time (Extended Version) 6:36 6,The Touch (Extended Version) 6:37 produced by Ricki Wilde #4 produced by Rod Temperton, Dick Rudolph and Bruce Sweiden. remixed by Ricki Wilde #6 produced by Ricki Wilde & Marty Wilde #1 mixed by Ian Levine |
1,Hey Mister Heartache 4:34 ビデオ 2,You Came 4:34 ビデオ 3,Four Letter Word 4:02 ビデオ 4,Love In The Natural Way 4:16 ビデオ 5,Love's Sad 4:15 6,Never Trust A Stranger 4:05 ビデオ 7,You'll Be The One Who'll Lose 4:31 8,European Soul 5:21 9,Stone 10,Lucky Guy 11,Hey Mister Heartache (12" Mix) 8:06 produced by Ricki Wilde & Tony Swein #6 produced by Ricki Wilde |
1,If I Can't Have You (John Robinson Mix) 4:36 2,Kids In America (The Maranza Mix) 5:06 3,The Second Time (U.S. Remix) 5:23 4,Rage To Love (Extended Version) 5:59 5,You Keep Me Hangin' On (W.C.H. Mix) 9:03 6,Another Step (Closer To You) (Extended Mix) 5:51 7,You Came (The Close Mix) 6:41 8,Never Trust A Stranger (Sanjazz Mix) 5:44 9,Four Letter Word (Late Night Mix) 3:55 10,Love Is Holy (Ambient Mix) 4:44 11,If I Can't Have You (Extended Version) 6:29 ビデオ 12,In My Life (West End 12" Mix) 4:57 |
初の全米ナンバー・ワン・ヒット#1を生み出した、キムにとって5枚目に当たるアルバム。これまで兄リッキーと父マーティが全面的にバックアップして来ましたが、今回はリチャード・ジェームス・バージェスやロッド・テンパートンといったヒット・メーカーを起用。アメリカ市場でのヒットを狙った内容に仕上がっています。ただ、シングル曲以外はあまり印象に残るものではなく、アルバムとしては中途半端な出来と言わざるを得ません。エンディングを飾るバラード#13はなかなかの名曲だと思いますが・・・。 | こちらは日本で企画されたコンピレーション盤。MCAに移籍してから発表された12インチ・バージョンの中から、代表的な作品をセレクトしています。#1は当時一番多く流通したイアン・レヴィンによるエクステンデッド・ミックス。いかにも彼らしいハイエナジー・サウンドに仕上がっていますが、いまいちパンチに欠けるような気もします。また、#4は当時UK盤の12インチ・シングルに収録されていたバージョン。基本的にはアルバムのエクステンデッドなので、特筆すべき点はあまりないかもしれません。 | キムにとっては最大のセールスを記録したアルバム。個人的には4枚目の“Teases & Dares”が彼女の最高傑作だと思っているので、それに次ぐ出来栄えといったところでしょうか(笑)楽曲は粒揃いですし、その統一感も含めてサウンド・プロダクションは非常にハイ・クオリティだと思います。やはりシングル・カットされた#1と#2、#6が抜きん出て素晴らしいと思いますが、それ以外の楽曲もトータルで良く出来ています。エレガントで哀愁感溢れるミディアム・ポップ#8なんかは、隠れた名曲だと思いますね。 | 日本独自企画のリミックス・コレクション。当時ジュリアナの花形DJだったジョン・ロビンソンの頭の悪すぎる(笑)リミックス#1、んでもってあの名曲をさらに頭悪そうなハイパー・テクノに仕上げてしまった#2と、早々から酷いミックスが続きます。#5も結局はイアン・レヴィンのエクステンデッド・ミックスだし。ただ、#3の初CD化は個人的にとても嬉しかったです。#7を素直にエクステンデッドにしたのも良かったですが、#8はミックスの選曲を間違えたと思いますね。ひとまず、ギリギリ合格点の1枚かな。 |
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The Very Best Of Kim Wilde (2001) |
Never Say Never (2006) |
(P)2001 EMI Records (UK) | (P)2006 EMI Music (Germany) |
1,Kinds In America 2,Chequered Love 3,Water On Glass 4,Cambodia 5,View From A Bridge 6,Child Come Away 7,Love Blonde 8,Rage To Love 9,You Keep Me Hangin' On 10,Another Step (Closer To You) 11,You Came 12,Never Trust A Stranger 13,Four Letter Word 14,Love Is Holy 15,If I Can't Have You 16,Loved 17,View From A Bridge (RAW Remix) 18,Kids In America (D-Bop's Bright Lights Mix) |
1,Perfect Girl 3:46 ビデオ 2,You Came 3:10 ビデオ 3,Together We Belong 4:17 ビデオ 4,Forgive Me 3:55 ビデオ 5,Four Letter Word 4:35 6,You Keep Me Hangin' On 3:11ビデオ (feat. Nena) 7,Baby Obey Me 3:13 8,Kids In America 3:24 (feat. Charlotte Hatherley) 9,I Fly 2:59 10,Game Over 3:50 11,Lost Without You 4:06 12,View From A Bridge 13,Maybe I'm Crazy 3:55 14,Cambodia (Paul Oakenfold Remix) 4:06 produced by Joern-Uwe Fahrenkorg-Petersen. #7 produced by Jeff Coplan #14 produced by Ricki Wilde. remixed by Paul Oakenfold |
廉価版を含めて数多く出回っているキムのベスト盤ですが、究極の一枚を選ぶとすればこれでしょうか。“The Second
Time”とか、“ House of Salome”とか選曲から洩れてしまっている名曲も少なくないものの、とりあえずベーシックな作品はこれ一枚で揃います。で、ファンにとって目玉となるのが、約6年ぶりとなる新曲#16と、過去の名曲をリミックスした#17と#18 。ただ、残念ながらいずれもパッとしない印象で、正直なところ期待外れでございました。ひとまず、初心者の方はここからどうぞ。 |
過去作品のリメイクと新曲で構成された、約11年ぶりのオリジナル・アルバム。これがビックリするくらい良く出来た1枚です。中でも、叙情感溢れるアコースティックなポップ・ロックに仕上がった#2には感心しました。ポリスの『見つめていたい』風にアレンジされた#5も良いし、ネーナとデュエットした#6も良質なユーロ・ハウスに。新曲の中では、キャッチーで爽やかなロック・ナンバー#1がダントツに素晴らしい出来栄え。いろいろな意味で、キム・ワイルドが本格的に戻ってきたって感じです。 |
マキシ・シングル
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Go For It (1984) |
The Touch (1984) |
Rage To Love (1984) |
You Keep Me Hangin' On (1986) |
(P)1985 MCA Records (USA) | (P)1984 MCA Records (UK) | (P)1985 MCA Records (UK) | (P)1986 MCA Records (Germany) |
side 1 Go For It (Extended Dance Version) 7:17 side 2 Go For It (Dub Version) 9:32 produced by Ricki Wilde |
A side The Touch (Extended Version) 6:34 ビデオ B side Shangri-La (Extended Version) 4:57 produced by Ricki Wilde |
A side Rage To Love (Extended Version)6:00 B side 1,The Second Time (U.S. Remix) 5:28 * 2,Putty In Your Hands produced by Ricki Wilde. * remixed by Mark Kamins & J. Burnett |
A Side 1,You Keep Me Hangin' On (Extended WCH Club Mix) 6:28 ビデオ B side 1,You Keep Me Hangin' On 2,Loving You produced by Ricki Wilde |
これは“The Second Time”のアメリカ向けバージョン。なぜかタイトルが“Go For It”と変更されていますが、歌詞はそのままです。ミックス自体はアルバム・バージョンとほぼ変わりませんが、随所にエフェクトを加えた上でロング・エディットを施したという感じ。UK盤12インチとは別バージョンです。当時のラテン・フリースタイルを彷彿とさせるキャッチーなダンス・ナンバーで、アメリカ市場向けだったように思いますね。ちなみに、B面のダブはUK盤ミックスをベースにしており、なかなかスケール感のある仕上がりです。 | アルバムではオープニングを飾っていた、近未来的でSi-Fiチックなテクノ・ポップ風のダンス・ナンバー。この12インチ・バージョンは スピード感溢れるベース・ラインがガツンガツンとうねりまくり、シンセサイザーの音色が煌びやかに散りばめられた派手な仕上がり。これはダンス・フロアでバリバリ映えるでしょうね〜。むちゃくちゃカッコいいです。一方、B面はアルバムの中でも比較的地味だった、ダークでミステリアスなミディアム・ナンバー。この12インチ・バージョンでは、サックスのパートを増やしてジャジーな味付けを施してあります。 |
父マーティへのオマージュとも言える50年代ロカビリー風のキャッチーなポップ・ロック・ナンバー。SEを駆使した派手なミックスが迫力満点です。一方、B面の#1はマドンナの“Everybody”などでもお馴染みのマーク・カミンズによる、“The Second Time”のリミックス・バージョン。オリジナルのエクステンデッドよりも、遥かに派手でパワフルな仕上がりです。当時はこのバージョンばかり繰り返し聴きまくっていました。なお、#2はアルバム未収録のレア・トラックで、やはり50年代ロカビリー風のキャッチーでユーモラスなナンバーです。 | イアン・レヴィンのミックスでも“WCH Mix”と表記された12インチが存在しますが、これはそれとは全く異なるアレンジに仕上がったドイツ盤オンリーのリミックス・バージョン。アルバム・バージョンをベースに、よりタイトで硬質なバッキンバッキン・サウンドとして仕上げられています。それこそ、デッド・オア・アライブを彷彿とさせるような感じで、イアン・レヴィン・ミックスよりも遥かにカッコいいと思います。残念ながら、いまだにCD化されていないので、とても貴重なバージョンだと言えますね。中古で見つけたら即買いです。 |
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Say You Really Want Me (1986) |
You Came 2006 (2006) |
(P)1986 MCA Records (USA) | (P)2006 EMI Music (Germany) |
side 1 Say You Really Want Me (Extended Mix) 9:50 ビデオ side 2 1,Say You Really Want Me (Soundtrack Remix) 5:43 * 2,Say You Really Want Me (Radio Edit) 5:13 produced by Rod Temperton, Dick Rudolph & Bruce Swedien remixed by Louil Silas, Jr. * remixed by David Todd |
1,You Came (2006-Album
Version)3:10 2,Maybe I'm Crazy (Album Version) 4:02 3,You Came (Groovenut Remix) 6:33 4,You Came (Old School - Mix) 3:11 produced by Joern-Uwe Fahrenkorg-Petersen #3 remixed by Groovenut. #4 remixed by Jeo |
アメリカでは映画『夢みて走れ/シカゴ・コネクション』の挿入歌としても使用されたR&Bスタイルのポップなダンス・ナンバー。このアメリカ盤12インチ・バージョンでは、当時のアリーシャ辺りを彷彿とさせるフリースタイル系サウンドに仕上がっています。日本でCD化されたUK盤ミックスよりも、個人的にはこっちの方が好きですね。また、B面ではサントラ盤で使用されたリミックスも収録。こちらは、より硬質でファンキーなサウンドにアレンジされています。 | 代表作の1つ“You Came”をアコースティックなポップ・ロック・ナンバーとして見事にリメイクした本作。目玉となる#3のクラブ・ミックスですが、構成としてはダブ的な仕上がりながら、オリジナルの雰囲気を生かしたポップなアレンジが光ります。リミックスを手掛けたグルーヴナットは、過去にブートで“You Came”のリミックスを手掛けたもののお蔵入りとなり、晴れてオフィシャル盤を任されることになったとのこと。バンド・サウンド風に仕上げた#4もナイスな出来栄えです。 |