ジェニファー・ラッシュ Jennifer Rush
〜ジャーマン・ポップスの歌姫〜

 

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 今では半ば忘れられてしまっているが、セリーヌ・ディオンが大ヒットさせた名曲“パワー・オブ・ラブ”は、もともとジェニファー・ラッシュのヒット曲だった。1985年にリリースされたジェニファー・ラッシュの“パワー・オブ・ラブ(The Power of Love)”はオーストラリアや南アフリカ、そしてイギリスなど世界各国でナンバー・ワンを記録。特にイギリスでは6週に渡って1位の座をキープし、その年の年間チャートでも1位に輝いた。その他、西ドイツで9位、スウェーデンで3位など各国で話題となり、80年代を代表するバラード・ソングとなったのだった。
 しかし、なぜかアメリカでは57位までしか上昇せず。日本でも、当時は「ベスト・ヒット・USA」の全盛期でUKチャートの影響力が低かったこともあり、プロモーションの割には大ヒットするまでに至らなかった。
 その後、90年代後半まで精力的に活動し、プラシド・ドミンゴやホセ・カレーラス、エルトン・ジョンなどの大御所とも共演。オペラの歌唱法をアレンジした独特のボーカル・スタイルはとても評価が高く、彼女と共演を望むアーティストも少なくなかったようだ。当初はダンサンブルなポップ・ロック系の楽曲を歌っていたが、キャリアを重ねるごとに正統派のボーカリストへと変貌を遂げていった。

 主にドイツを中心として活躍した人だが、もともとはアメリカの出身。誕生日は1960年9月28日で、ニューヨークのクィーンズに生まれた。父親モーリス・スターンはオペラのテノール歌手で、母親はコンサート・ピアニストだったという。祖母が当時の西ドイツに住んでいたことから、アメリカとドイツを行き来しながら育ったという。高校卒業と同時にドイツへ移り住んだジェニファーは、1979年に本名のヘイディ・スターン(Heidi Stern)の名前でレコード・デビューを果たす。しかし、このデビュー・アルバムは全く売れず、彼女はすぐにアメリカに戻ってしまった。
 その後、1982年に父親を伴って再びドイツへ渡ったジェニファーは、1983年にCBSと契約して再デビュー。ステージ・ネームもジェニファー・ラッシュに変えた。ファースト・シングルは“Into My Dreams”。3枚目のシングルとなったハイエナジー風のダンス・ポップ・ナンバー“25 Lovers”が翌年にドイツ・チャートで25位をマークし、ようやく注目を集めるようになった。そして、ファースト・アルバム“Jennifer Rush”の直後にリリースされたシングル“The Power of Love”が世界各国でミリオン・セラーを記録し、遂に念願だったトップ・スターの座を手に入れたのだった。
 ただ、彼女にとって母国アメリカでの失敗は不本意なものだった。その後、87年にローラ・ブラニガンのカバー・バージョンが全米トップ40に入り、さらに94年にリリースされたセリーヌ・ディオンのバージョンが全米ナンバー・ワンを獲得。ソングライターに名を連ねた彼女には莫大な印税が入ったものの、本人はざそかし複雑な気持ちだったに違いない。いずれにせよ、アメリカでの成功というのが、その後のジェニファーにとって大きな課題となる。

 85年にはセカンド・アルバム“Movin'”もリリースされ、西ドイツやスウェーデンで1位を獲得。ファースト・シングル“Destiny”も西ドイツで4位をマークするが、イギリスではシングルとアルバム共に不発に終わってしまった。
 起死回生を図った87年のサード・アルバム“Heart Over Mind”からは、エルトン・ジョンとのデュエット“Flames of Paradise”が全米でシングル・カットされた。今度こそアメリカで勝負を賭けようという意気込みだったわけだが、残念ながら全米36位という結果に終わってしまった。明らかにアメリカン・マーケットを意識した、ウェスト・コースト風のダンス・ポップ・ナンバーだったが、正直なところあまり印象に残るような楽曲ではなかったように思う。アルバムでも、当時ボン・ジョビの成功で名を馳せていたデズモンド・チャイルドをプロデューサーとして起用するなど、やはりアメリカでの成功を意識していたが、こちらも平凡な出来映え。それでも、西ドイツではアルバムが12週に渡って1位を独占し、150万枚のセールスを記録している。
 続く4枚目のアルバム“Passion”でも、ハロルド・ファルターマイヤーにジェリービーン、リック・ウェイクなど当時のヒットメーカーをプロデューサーとして起用し、マイケル・ボルトンをゲストに迎えるなど、露骨なまでにアメリカでの成功を狙っていたが、ビルボードにチャート・インすることすら出来なかった。そして、このアルバムを最後に、ジェニファー・ラッシュの作品がアメリカでリリースされることは無くなってしまった。

その後、日本映画「アナザー・ウェイ」('88)の主題歌をリリースしたり、プラシド・ドミンゴとデュエットしたシングル“Till I Loved You”がイギリスで18位のスマッシュ・ヒットとなったジェニファー。89年には5枚目のアルバム“Wings of Desire”をリリースするが、もはやダンス・ポップ路線では通用しなくなったのか、西ドイツでも最高12位という中堅ヒットに終わってしまう。
 しばらく充電期間を置いたジェニファーは、92年にEMIへ移籍して6枚目のアルバム“Jennifer Rush”をリリースした。ここではガラリとイメージ・チェンジし、大人向けのアダルトなポップスを展開。整形でルックスも妖艶なファム・ファタールへと変化し、エレガントな正統派ボーカリストへの転向を図るようになった。
 しかし、95年の“Out of My Hands”、97年の“Credo”と、そのアルバムの完成度の高さとは裏腹に、セールス自体は伸び悩んでいくようになる。98年には過去のヒット曲をクラシカルにアレンジし、ハンガリアン・フィルハーモニック・オーケストラをバックに従えたアルバム“Classics”をリリース。これはかなり評判が良く、アルバム・リリースに合わせたコンサート・ツアーも大変好評だった。

 99年に娘を連れてニューヨークに移り住んだジェニファーは、子育てのための長期休暇に入ったまま、今のところ沈黙を守り続けている。しかし、2006年にはロンドンに移住し、現在はカムバック・アルバムの準備を進めているという。その前振りとして、2007年の秋に3枚組CD“Stronghold”をリリース。これはCBS時代のヒット曲を12インチ・バージョンを中心にセレクトし、さらに初CD化のレア・トラックをふんだんに盛り込んだファン垂涎のボックス・セットだ。もしかしたら、今年中にはニュー・アルバムの発売があるかもしれない。

 

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Jennifer Rush (1984)

Ring Of Ince (1984)

Madonna's Eyes (1984)

Movin' (1985)

(P)1984 CBS (Germany) (P)1984 CBS (Germany) (P)1985 CBS (UK) (P)1985 Epic/CBS (USA)
1,Madonna's Eyes
2,25 Lovers
3,Come Give Me Your Hand
4,Nobody Move
5,Never Gonna Turn Back Again
6,Ring Of Ice
7,Into My Dreams
8,I See A Shadow (Nor A Fantasy)
9,Surrender
10,The Power Of Love ビデオ

produced by Gunther Mende & Candy de Rouge.
Side 1
1,Ring Of Ice (Extended Mix) 6:15
Side 2
1,Get Out
2,I See A Shadow (Not A Fantasy)

produced by Gunther Mende & Candy de Rouge
remixed by Ralph Ruppert & Gunther Mende.
A Side
1,Madonna's Eyes (Extended Remix) 5:15
B Side
1,Surrender

produced by Gunther Mende & Candy de Rouge
remixed by Walter Samuel
1,Destiny ビデオ
2,Live Wire
3,Into My Dreams
4,Automatic
5,Hero Of A Fool
6,Ring Of Ice
7,Nobody Move
8,If You're Ever Gonna Lose My Love
9,The Right Time Has Come Now
10,The Power Of Love

produced by Gunther Mende & Candy de Rouge
 世界中で大ヒットを記録したファースト・アルバム。西ドイツで2位、南アフリカで1位、イギリスでも7位をマークしています。ヨーロピアン・ポップスの醍醐味が詰まったメロディアスなダンス・ポップ・アルバムに仕上がっています。全10曲中で6曲がシングル・カットされているということで、ほぼベスト盤に近いような感じですね。プロデュースのグンター・メンデとカンディ・デ・ロウゲの二人も、このアルバムの成功をきっかけにヒット・メーカーとして活躍しました。  ファースト・アルバムから5枚目のシングルとしてリリースされた作品。全英15位です。ミュンヘン・サウンドを思わせる煌びやかなシンセサイザーが印象的なハイエナジー風のダンス・ポップ・ナンバー。この12インチ・ミックスはアルバム・バージョンとほぼ変わりませんが、派手なエフェクトで全体的なメリハリを付けており、よりテクノな感じが出ていますね。ただ、打ち込みが基本的にロックなので、クラブ・プレイは難しいような気もします。  こちらはファーストからの6枚目のシングル。まさにジャーマン・ユーロ!といった感じの哀愁系ダンス・ポップです。リミックスを担当したウォルター・サミュエルは、アリソン・モイエやU2のエンジニア出身で、アーケイディアやトーク・トークのリミックスなども手掛けた、いわば80年代ニューウェーブの申し子的存在の人。ここではパーカッションを前面に押し出したラテン・ファンク的アプローチを聴かせており、よりタイトでダンサンブルな仕上がりです。  ファースト・アルバムの代表曲に新曲を6曲加えて制作されたセカンド・アルバム。世界マーケット向けのファースト・アルバムといった意味合いもあるのでしょうね。アメリカでは、これがデビュー盤に当たります。ただ、基本路線はファースト・アルバムと変わらず、正統派のヨーロピアン・ダンス・ポップ・アルバムに仕上がっています。個人的にはデヴィッド・フォスター風の壮大で美しいバラード#5が大好き。

DESTINY.JPG I_COME_UNDONE.JPG PASSION.JPG WINGS_OF_DESIRE.JPG

Destiny (1985)

I Come Undone (!987)

Passion (1988)

Wings Of Desire (1990)

(P)1986 CBS (UK) (P)1987 CBS (Germany) (P)1988 CBS/Epic (USA) (P)1990 CBS (Germany)
Side A
1,Destiny (Extended Remix) 7:15
Side B
2,The Right Time Has Come Now

produced by Gunther Mende & Candy de Rouge
Side One
1,I Come Undone (Extended Version) 6:24
Side Two
1,Search The Sky *
2,I Come Undone (Single Version) 4:06 ビデオ

produced by Desmond Child
*produced by Harold Faltermeyer
1,Love Get Ready
2,You're My One And Only
3,Falling In Love
4,When I Look In Your Eyes
5,Remind My Heart
6,Keep All The Fires Burning Bright
7,Same Heart (duet with Michael Bolton)
8,My Heart Is Still Young
9,You Don't Know What You've Got
10,Rain Coming Down On Me
11,Now That It's Over

produced by Harold Faltermeyer, Keith Forsey, Michael Omartian, Ric Wake, Jellybean.
1,Wings Of Desire (Single Version) 4:03
2,Love Is The Language (Of The Heart) *
3,Wings Of Desire (Extended Version) 5:45

produced by Christopher Neil
* produced by Michael J. Powell
 セカンド・アルバムからのファースト・シングルで、西ドイツでは最高4位をマークしました。ドラマチックなロック・スタイルのミディアム・ダンス・ナンバ−ですが、イギリスやアメリカでは全く奮いませんでした。いかにもヨーロッパの歌謡ポップスといった田舎臭さが、英米で受けなかった理由かもしれません。ただ、それが逆に当時の彼女の魅力ではあったのですけどね。  当時ボン・ジョビのプロデューサーとして大活躍中だったデズモンド・チャイルドが作曲・プロデュースを手掛けた作品。サード・アルバムからのファースト・シングルです。もう、シンフォニックなシンセの使い方からドラマチックな盛り上がりまで、全てがこれでもかというくらいにデズモンド・チャイルド(笑)。日本人好みの哀愁系ダンス・ロック・ナンバーです。

 当時のヒット・メーカーをずらりと豪華に揃えた4枚目のアルバム。当時は、この手の企画が流行ってました。全体的には、やはりアメリカ市場を意識したポップス・アルバムに仕上がっていて、デビュー当時のようなユーロ・ディスコっぽさは影を潜めています。ただ、楽曲的には粒ぞろいではあるものの、アルバムとしての統一感がなく、全体的なインパクトの薄さは否めません。

 5枚目のアルバムからのファースト・シングルで、初期シーナ・イーストンやダラー、ポール・キャラックを手掛けたイギリスのベテラン、クリストファー・ニールをプロデュースに迎えた作品。歌い上げ系の雄大なダンス・ポップ・ナンバーで、なかなか気持ちの良い作品ですが、いまひとつサウンドにパンチ力の足りなさを感じてしまいます。PWL辺りにリミックスを任せた方が良かったかも。

VISION_OF_YOU.JPG OUT_OF_MY_HANDS.JPG CREDO.JPG CLASSICS.JPG

Jennifer Rush (1992)

Out Of My Hands (1995)

Credo (1997)

Classics (1998)

(P)1992 EMI Electrola (Germany) (P)1995 EMI Electrola (Germany) (P)1997 EMI Electrola (Germany) (P)1998 Vrigin (Germany)
1,Vision Of You
2,I'm In For Love
3,Everything
4,Wherever You Are
5,Never Say Never
6,Unwanted Child
7,Who I Am
8,Waiting For The Heartache
9,A Broken Heart
10,Timeless Love
11,I Can't Say No

produced by Rick Knowles, Oli Poulsen & Poul Bruun, Desmond Child,Michael O'Hara, Denise Rich, Peter Columbus.
1,Tears In The Rain ビデオ
2,Out Of My Hands
3,In The Arms Of Love
4,Fortress
5,Shocked
6,Who Wants To Live Forever (with Brian May)
7,Untouchable
8,Only Heaven Knows
9,Crazy 'Bout You
10,Cry, Baby...
11,Nights In White Satin

produced by Desmond Child, Ric Wake, David Austin, Jurgen Fritz, Andy Goldmark, Peter Rizzo, Peter Columbus
1,Credo
2,The Flame
3,Now That I Found You
4,Sweet Thing
5,Healing Power
6,Piano In The Dark
7,Deeper Within
8,More Than Words
9,A Touch Of Paradise
10,The Places You Find Love
11,All In Love Is Fair

produced by Nick Patrick.
1,The End Of A Journey
2,The Power Of Love
3,Ring Of Ice
4,Destiny
5,I Come Undone
6,All I Want Is You
7,The Last Day Of Summer
8,25 Lovers
9,Heart Over Mind
10,You'll Never Catch Me Dreaming
11,Ave Maria
12,Hero Of A Fool

produced by Leslie Mandoki
 EMIへの移籍第一弾に当たるアルバム。3曲をデズモンド・チャイルドが手掛けています。とはいえ、CBS時代のキャッチーなダンス色、ロック色はかなり抑え気味で、アダルトなポップ・ナンバーを中心に構成されています。トータルでは決して悪くないアルバムですが、傑出した楽曲がないのが物足りないかもしれません。シングル・ヒットが出なかったのも仕方ないとは思います。  欧米人は分厚い唇が大好きだとは言いますが、そこまで厚くする必要もないだろうという感じのジャケットが一番インパクト強い作品(笑)。明らかに整形ですね。で、肝心の内容はというと、プロデューサーの顔ぶれを見ても分るとおり、王道路線を狙った正統派ボーカル・アルバム。セリーヌなんかには負けないわよっ!って感じですか。ご苦労なこってす。  クラシック畑出身で、映画「ザ・ビーチ」の音楽なども手掛けているニック・パトリックをプロデュースに迎えた作品。肩の力を抜いた感じが好印象で、90年代に入ってからのアルバムの中ではベストの出来映えです。やはりアルバムは特定のプロデューサーとがっつり組んで作ったほうが良い結果が出ますね。良質のアダルト・コンテンポラリーに仕上がってます。  そのタイトルの通り、フル・オーケストラをバックに従えたクラシック・アルバム。過去のヒット曲のリメイクと新曲で構成されています。#2なんか鳥肌モノの出来映えで、とても聴き応えのあるアルバムです。プロデューサーのレスリー・マンドキは、ドイツのディスコ・グループ、ジンギス・カンの元メンバーで、プラシド・ドミンゴやフィル・コリンズのプロデュースも手掛けた人物。

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Stronghold (2007)

(P)2007 Sony/BMG (Germany)

CD 1
1,Ave Maria (Survivors Of A Different Kind)
2,I Come Undone (Extended Version)
3,Into My Dreams
4,Destiny (Extended Version)
5,You're My One And Only (Extended Version)
6,Call My Name
7,Wings Of Desire (Extended Version)
8,Flames Of Paradise (duet with Elton John)
  (Extended Version) ビデオ
9,Yesterme, Yesteryou, Yesterday
10,Come Give Me Your Hand
11,Falling In Love
12,Madonna's Eyes (Extended Version)
13,Love Get Ready (Extended Version)
14,Testify With My Heart
15,Love Is A Wild Thing
16,The Power Of Love (Extended Remix) ビデオ
CD 2
1,Stronghold
2,25 Lovers
3,Heart Over Mind (Extended Version) ビデオ
4,If You're Ever Gonna Lose My Love (Guitar Mix)
5,Till I Loved You
  (duet with Placido Domingo) ビデオ
6,We Are Strong (Extended Version)
7,Higher Ground (Extended Version)
8,Same Heart (duet with Michael Bolton)
9,Heart Wars
10,Midnight Miracle
11,Hero Of A Fool
12,Keep All The Fires Burning Bright
  (Extended Version)
13,Down To You
14,Ring Of Ice (Extended Mix)
15,When I Look In Your Eyes
16,Where Can You Run
CD 3
1,Tonight
2,Listen (To What I Say)
3,Goldfinger
4,The Man With The Golden Gun
5,For Your Eyes Only
6,Thunderball
7,Give Out
8,Witch Queen Of New Orleans
9,The Power Of Love (Radio Edit)
10,Ring Of Ice (Extended UK Remix)
11,Heart Over Mind (Single Mix)
12,Keep All The Fires Burning Bright (Club Mix)
13,Another Way
14,We Are Strong (Single Version)
15,Si Tu Eres Mi Hombre Y Yo Tu Mujer
16,No Me Canso De Pensar En Ti
17,Vida De Mi Vida
18,Solitaria Mujer
19,We Are Strong (Soundtrack Version)
20,I Come Undone (Dave Kurtis Remix 2007)
 CBS時代のシングルを中心に選曲された3枚組ベスト盤の1枚目。12インチ・バージョンが存在するものは、全て12インチ・バージョンで収録されています。#13なんかは12インチが存在することすら知らなかったので、ファンには嬉しい企画だと思います。まあ、彼女は他にも廉価なベスト盤が大量に出回っていることだし。  この2枚目の目玉は、何といってもプラシド・ドミンゴとのデュエット曲#5。もともと映画主題歌で、当時はサントラとシングルでしか聴く事が出来ませんでした。これまでのベスト盤にも収録されていません。ボサノバ・タッチのエレガントで美しいナンバーです。ちなみに、#6も映画主題歌でしたね。  そして、このボックス・セット最大の売りなのが、この3枚目でしょう。ヘイディ・スタ−ン時代のシングルから、お蔵入りになっていた007映画の主題歌カバー集、スペイン語バージョン、ヒット曲のレア・バージョンに至るまで、他では聴けないナンバーが目白押しです。トム・ジョーンズのカバー#8は、スウェーデンのみでリリースされた貴重な作品。

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