ヘイゼル・ディーン Hazell Dean
〜80年代を代表するハイエナジー・クィーン〜
ディスコ・アーティスト列伝<10>

 

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 80年代のディスコ・シーンを席巻したハイエナジー・サウンド。そのルーツは70年代のフィリー・サウンドやミュンヘン・サウンドまで遡り、アバに代表されるユーロ・ポップス的な味付けを施したキャッチーなメロディが特徴的だった。80年代初頭にロンドンのゲイ・ディスコ・シーンで誕生したハイエナジー・サウンドは、その後ニューヨークのゲイ・ディスコ・シーンへも飛び火し、やがて英米のポップ・チャートを賑わすように。日本でも80年代半ば頃から新宿や六本木のディスコで盛り上がるようになり、やがてユーロビートの名称で広く親しまれていくこととなる。
 そのハイエナジー・ミュージックの女王として80年代のUKミュージック・シーンを席巻したアーティストが、このヘイゼル・ディーンである。もともと70年代からポップス歌手として活動していたものの、なかなかヒット曲に恵まれなかったヘイゼル。しかし、80年代のハイエナジー・シーンを代表する名プロデューサー、イアン・アンソニー・スティーブンスのもとでレコーディングした“Searchin'(I Gotta Find A Man)”がUKのポップ・チャートで6位をマークする大ヒットとなり、一躍注目されることとなった。
 日本でもシングル“Whatever I Do (Wherever I Go)”が『気分はハイエナジー』というタイトルで85年にリリースされ、ディスコで爆発的な人気を集めるようになった。同名日本語タイトルのアルバムも発売され、当時高校2年生だったボクは夢中になって聴きまくったもんだった。

 このように、もともとアンダーグラウンドなジャンルだったハイエナジー・サウンドが一気にメジャーとなったのはヘイゼルのおかげだったわけだが、それ以外にも彼女は重要な功績を残している。80年代のUK音楽界最大のヒット・メーカーといえば、カイリー・ミノーグやバナナラマ、デッド・オア・アライブ、リック・アストリーを手掛けたストック/エイトキン/ウォーターマンの名前が挙げられると思うが、彼らにとって最初のメジャー・ヒットをもたらしたのがヘイゼルだったのだ。
 そのストック/エイトキン/ウォーターマンのトリオと組んだ最初のシングルが、先述の『気分はハイエナジー』。これはUKチャートで最高4位をマークする大ヒットとなった。ボクがストック/エイトキン/ウォーターマンの名前を意識するようになったのも、ヘイゼルの作品が最初だった。ちなみに、当時の正確な表記は“Directed by Mike Stock and Matt Aitken A Pete Waterman Production”という長ったらしいものだったのだが。

 1956年10月27日、イギリスはエセックス州グレート・バドウに生まれたヘイゼルは、ダスティ・スプリングフィールドやキキ・ディーを育てた敏腕音楽マネージャー、ヴィック・ビリングスにスカウトされて1975年にレコード・デビューを果たしている。デビュー曲は“Our Day Will Come”。ルビー&ザ・ロマンティックスが1963年に放った全米ナンバー・ワン・ヒットのカバーだ。その後もコンスタントにシングルをリリースし、バート・バカラックとハル・デイヴィッドの楽曲をカバーしたファースト・アルバム“The Sound of Bacharach and David”も発売されたが、いずれも全くヒットしなかった。
 そんな彼女の運命を変えたのが、1983年にリリースされたシングル“Searchin'(I Gotta Find A Man)
”。プロデュースをイアン・アンソニー・スティーブンスが担当し、リミックスをイアン・レヴィンが手掛けたハイエナジー・ナンバーで、瞬く間にゲイ・ディスコを中心に大ヒットを記録した。ヘヴィーでアンダーグラウンドなベース・ラインに煌びやかなシンセ・サウンド、そしていい男を捜してナイト・クルージングするという歌詞の内容がゲイの琴線に触れたのだろう。また、ハイトーン・ボイスでシャウトしまくるヘイゼルのパワフルなボーカルも圧倒的で、ディーヴァ好きなゲイのハートをがっちりと掴まえたのだった。
 この“Searchin' (I Gotta Find A Man”は当初UKチャートで76位という小規模ヒットに留まっていたが、その後アメリカのビルボード・クラブ・チャートで8位をマーク。翌年に再リリースされるやいなや、全英6位まで駆け上ったのだった。
 その間にリリースされた次のシングル“Evergreen/Jealous Love”は63位止まりだったものの、ストック/エイトキン/ウォーターマンをプロデュースに迎えた“Whatever I Do (Wherever I Go”は全英4位をマーク。こうして、ヘイゼルはハイエナジー・サウンドの女王としてその名を知られるようになった。

 ところが、その後数年間はビッグ・ヒットに恵まれなくなってしまう。全盛期を迎えたハイエナジー・サウンドは次々とヒット曲を生み出し、新たなアーティストが入れ替わり立ち代り登場。ダンス・ミュージックの世界は競争が激しいため、生き残るのは至難の業なのだ。
 しかし、その間にストック/エイトキン/ウォーターマンのトリオはプリンセスやデッド・オア・アライブなどのヒット曲を着実に生み出し、87年のリック・アストリー、88年のカイリー・ミノーグの大ブレイクで、イギリスで最大のヒット・メーカーへと成長して行った。
 そうした状況の中でリリースされたシングル“Who's Leaving Who”が全英9位をマーク。アメリカでもビルボードのダンス・チャートで9位を記録し、ヘイゼルにとって久々のビッグ・ヒットとなった。さらに、続く“Maybe (We Should Call It A Day”が全英15位、“Turn It Into Love”が全英21位と中堅ヒットを記録。4年ぶりにリリースされたサード・アルバム“Always”も全英アルバム・チャートで38位にランクされ、全米リリースまでされるほど話題になった。
 だが、91年の“Better Off Without You”を最後にストック/エイトキン/ウォーターマンと離れたヘイゼルは、ソングライター兼プロデューサーの仕事もこなすようになる。当時ヨーロッパで大ブレイクしていたボーイズ・アイドル・グループ、バッド・ボーイズ・インクに楽曲を幾つか提供した他、ベテラン男女デュオ、ダラーやイギリスの男性シンガー、ジョン・オーティスなどの作品も手掛けている。
 その傍らでインディーズ・レーベルを中心にシングルをリリース。96年にはアバの名曲をカバーしたシングル“The Winner Takes It All”が全英89位にランクされ、久々にチャート・インを果たした。現在はイギリス各地のゲイ・クラブを中心にライブ活動を続けており、昨年は約15年ぶりにイアン・レヴィンと組んだ新曲を発表している。

 ちなみに、イギリスでは彼女のようなハイトーン・ボイス系白人女性ディスコ・シンガーの伝統がある。その草分け的存在がティナ・チャールズ。その後に続いたのがケリー・マリーで、3番目に当たるのがヘイゼルというわけだ。いずれも、血管がブチ切れるんじゃないかというくらいの高音でソウルフルに歌いまくるのが特徴。残念ながらヘイゼルの後に続くシンガーが生まれなかったが、ティナもケリーも、そして勿論ヘイゼルもまだバリバリの現役。数年前にはティナとケリーがデュエット・シングルをリリースし、一部のディスコ・ファンの間で話題になったが、是非とも今度はヘイゼルを加えたトリオで新曲を出して欲しいもの。もちろん、イアン・レヴィンのプロデュースで(^o^)v

 

SEARCHIN.JPG EVERGREEN.JPG WHATEVER_I_DO.JPG BACK_IN_MY_ARMS.JPG

Searchin' (I Gotta Find A Man) (1983)

Evergreen/Jealous Love (1984)

Whatever I Do (Wherever I Go) (1984)

Back In My Arms (Once Again) (1984)

(P)1983 TSR Records (USA) (P)1984 Proto Records (UK) (P)1984 Proto Records (UK) (P)1984 Proto Records (UK)

Side A
1,Searchin' (I Gotta Find A Man)
  (Remix) 10:01* ビデオ
Side AA
1,Searchin' (I Gotta Find A Man)
  (Original Version) 8:12
2,Searchin' (I Gotta Find A Man)
  (Instrumental) 7:48 *

produced by Ian Anthony Stephens
* remixed by Ian Levine

Side A
1,Jealous Love 8:30 ビデオ
Side AA
1,Evergreen 7:40 ビデオ

produced by Willi Morrison & Ian Gunther
Side A
1,Whatever I Do (Wherever I Go)  8:12 ビデオ
Side B
1,Whatever I Do (Wherever I Go) (Dub Mix) 5:44
2,Young Boy in the City

directed by Mike Stock and Matt Aitken
A Pete Waterman Production.
Side A
1,Back In My Arms (Once Again)
  (Dance Mix) 6:38 ビデオ
Side B
1,Take Me Home 3:18

directed by Mike Stock and Matt Aitken
A Pete Waterman Production

 これぞゲイ・ディスコ!といった感じのヘヴィーでアゲアゲでキャッチーなハイエナジー・ナンバー。ヘイゼルの記念すべき初メジャー・ヒットです。ズンドコズンドコと重たいベース・ラインと、キラキラしたシンセ・リフの相性はバツグン。イアン・レヴィンのリミックスとオリジナル12インチ・バージョンの両方が収録されているのはアメリカ盤だけ。やはり、パーカッシブでパッキンパッキンしたリミックスの方がカッコいいですね。

 爽やかで甘酸っぱいハイエナジー・ポップ“Jealous Love”と、バーブラ・ストレイサンドの名曲『スター誕生愛のテーマ』をダンス・カバーした“Evergreen”を両A面としてカップリングしたシングル。通常の黒ビニールに加えて、グリーンの透明カラー版もリリースされました。手元にあるのは透明カラー版です。楽曲の仕上がり的には、正直なところ可もなく不可もなく。アルバムに収録されなかったのも宜なるかなですね。  80年代のUKダンス・シーンを象徴する不朽の名作。日本語タイトルは『気分はハイエナジー』でしたが、楽曲そのものも躍動感溢れるパワフルでハイテンションなダンス・ナンバーです。デッド・オア・アライブに代表されるような、ストック/エイトキン/ウォーターマンらしいパキパキ・サウンドが心地良いですね。しかも、そこはかとない哀愁感を漂わせているのが素晴らしい。ポップスとしても完成度の高い作品です。  これまた当時大好きだった作品です。前作『気分はハイエナジー』の路線を踏襲しつつ、より爽やかに、よりポップに、よりキャッチーに進化した素晴らしいダンス・ナンバー。ヒット・チャートの上では最高41位と前作に比べてイマイチの結果でしたが、楽曲の出来映えは全く遜色ないと思います。カップリング曲はヘイゼルの自作で、60年代風のキャッチーなポップ・ナンバー。こちらも悪くないです。

HEART_FIRST.JPG NO_FOOL.JPG THEY_SAY.JPG WALK_IN_MY_SHOES.JPG

Heart First (1984)

No Fool (For Love) (1985)

 They Say It's Gonna Rain (1985)

Walk In My Shoes (1986)

(P) Infinity Records (UK) (P)1985 Proto Records (UK) (P)1985 EMI/Parlophone (UK) (P)1986 EMI (Holland)
1,Back In My Arms (Once Again) ビデオ
2,Searchin' * ビデオ
3,Break The Rules
4,Whatever I Do (Wherever I Go) ビデオ
5,You're Too Good To Be True
6,Back In My Arms (Once Again) (Reprise)
7,Heart First
8,No Fool (For Love)
9,Harmony
10,Devil In You
11,Everything I Need

directed by Mike Stock and Matt Aitken
A Pete Waterman Production
*produced by Ian Anthony Stephens
A Side
1,No Fool (For Love) (Dance Version) 5:12 ビデオ
B Side
1,No Fool (For Love) (Part Two Instrumental) 4:08

directed by Mike Stock and Matt Aitken
A Pete Waterman Production
A Side
1,They Say It's Gonna Rain
  (Indian Summer Mix) 6:17
B Side
1,Can't Get You Out Of My Mind 3:54

produced by Stock/Aitken/Waterman
Side 1
1,Walk In My Shoes (Nightmare Mix)
Side 2
1,Walk In My Shoes (Dub Mix)
2,Walk In My Shoes (7" Version)

produced by Trevor Vallis
remixed by Ian Levine
 高校生の時にアナログ盤で購入し、何度も何度も繰り返し聴きまくったヘイゼルのフル・アルバム。とにかく、楽曲の充実ぶりがハンパないんですね。まるで全盛期のアバを聴いているかのような楽しさとクオリティの高さ。ピート・ウォーターマンはアバに多大な影響を受けていたわけですが、それが如実に分るような1枚です。シングル・カット曲以外では、#3、#5、#7、#10が特にお薦め。ちなみに、上記は通販のみで再発されたイギリス盤CDです。  ちょっと地味めな印象のミディアム・ナンバーですが、ポップでキュートな仕上がりは個人的にとてもツボ。知る人ぞ知る隠れた名曲とでも言うべき1枚です。なので、全英チャートでは41位というランキング結果でしたが、ある意味では妥当だったのかもしれません。ファンの間では根強い人気を誇る作品。88年のアルバム“Always”にはリミックス・バージョンが収録され、アメリカではシングル・カットまでされています。  全英ポップ・チャートでは最高58位と奮わなかったものの、ダンス・チャートやハイエナジー・チャートでは爆発的なヒットとなった作品。特に、アメリカのゲイ・ディスコではバカ受けしたらしく、未だに根強い人気を誇っているようです。南アフリカでもナンバー・ワンを記録。トライバルでスケールの大きなアレンジを施しつつ、同時に抒情的な哀愁感を漂わせた名曲。この他に“Zulu Mix”もリリースされていますが、印象としては殆んど変わりありません。  オランダのみでシングル・カットされた12インチ。情熱的なメロディと派手なホーン・セクションが印象的なダンス・ナンバーで、イギリスではシングル・カットされていないにも関わらずハイエナジー・チャートで最高5位をマークしています。プロデューサーのトレヴァー・ヴァリスは70年代から活躍しており、どちらかというとニュー・ウェーヴ系に強い人物。ハイエナジー界の大御所イアン・レヴィンがリミックスを手掛けています。

ESP.JPG STAND_UP.JPG ALWAYS_DOESNT_MEAN_FOREVER.JPG WHOS_LEAVING_WHO.JPG

Extra Sensual Persuasion (1986)

Stand Up (1986)

Always Doesn't Mean Forever (1987)

Who's Leaving Who (1988)

(P)1986 EMI Records (USA) (P)1986 EMI Records (UK) (P)1987 EMI Records/PWL (UK) (P)1988 EMI Records (UK)
A Side
1,E.S.P. (Extra Sensual Persuasion) *
  (Extended Dance Mix)
B Side
1,Image In The Mirror (Extended Mix)

produced by Ian Anthony Stephens
* mixed by Ian Levine
A Side
1,Stand Up (Extended Version) ビデオ
B Side
1,Love Ends Love Parts

produced by Stock/Aitken/Waterman.
A Side
1,Always Doesn't Mean Forever
  (My-Ami Mix) 7:05 ビデオ
B Side
1,Always (Instrumental) 3:50

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Pete Hammond
A
1,Who's Leaving Who (Bob's Tambourine Mix)
B
1,Who's Leaving Who
  (Bob's Tambourine Instrumental Mix)
2,Whatever I Do (Wherever I Go)
  (Extended Version) *

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Pete Hammond
* mixed by Phil Harding
 “Searchin' (I Gotta Find A Man)”以来、久しぶりにイアン・アンソニー・スティーブンスと組んだ作品。ミックスを担当したのもイアン・レヴィンで、黄金トリオの復活といったとこですが、仕上がりはいまひとつ地味な印象。チャート・アクションも全英98位と全く奮いませんでした。逆に、B面ソングの“Image In The Mirror”の方がバッキンバッキンのハイエナジーという感じで、個人的にはお気に入りです。  ローラ・ブラニガンが歌って大ヒットした“Gloria”が有名なイタリアのシンガー・ソングライター、ウンベルト・トッツィのヒット曲をカバーした作品。“Gloria”をさらにハイテンションにしたような感じのバキバキ・ハイエナジーです。まあ、ちょっと二番煎じ的な印象は否めないものの、ヘイゼルのイメージにはしっくりくる作品でしょう。当時は2枚組の限定盤12インチも出てました。全英チャートでは79位止まりです。  まさに全盛期のPWLサウンド!といった感じの作品で、ちょっと哀愁がかったメロディも悪くはないものの、いまひとつインパクトに欠ける作品でした。全英チャートでも最高92位。ミックスを担当しているのは、当時フィル・ハーディングと並ぶPWLの看板ミキサーだったピート・ハモンド。ハーディングはキラキラと派手なサウンドが、ハモンドは情緒のある重厚なサウンドが得意でした。  ヘイゼルにとっては久々の全英トップ10入りとなった大ヒット曲。抒情感溢れる美しいメロディは、ピート・ハモンドの分厚いサウンドとの相性も抜群で、非常にエレガントなダンス・ナンバーに仕上がっています。ちなみに、ファンの間でもあまり知られていませんが、この曲はカナダの大物カントリー・シンガー、アン・マレーが86年にリリースしたシングルのカバーに当たります。

WHOS_LEAVING_WHO_2.JPG MAYBE.JPG TURN_IT_INTO_LOVE.JPG TURN_IT_INTO_LOVE_MEGAMIX.JPG

Who's Leaving Who (1988)

Maybe (We Should Call It A Day) (1988)

Turn It Into Love (1988)

Turn It Into Love (1988)

(P)1988 Toshiba EMI (Japan) (P)1988 EMI Records/PWL (UK) (P)1988 EMI Records/PWL (UK) (P)1988 EMI Records/PWL (UK)
1,Who's Leaving Who
  (The Boys Are Back In Town Mix) 6:59 ビデオ
2,Whatever I Do (Wherever I Go)
  (Extended Version) 6:47 *

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Pete Hammond
* mixed by Phil Harding
Side A
1,Maybe (We Should Call It A Day) 6:33 ビデオ
Side B
1,Maybe (Instrumental) 3:38
2,No Fool (For Love) (The Murray Mix) 5:501*

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Pete Hammond
* mixed by Phil Harding
A
1,Turn It Into Love (Extended Version)
B
1,Turn It Into Love (Instrumental Long Version)
2,You're Too Good To Be True *

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Dave Ford
* remixed by Extra Beat Boys
A
1,Turn It Into Love (7" Version) 3:35
2,You're Too Good To Be True 3:15 *
B
Megamix-  12:58 **
1,No Fool For Love
2,They Say It's Gonna Rain
3,Always Doesn't Mean Forever
4,Who's Leaving Who
5,Danger
6,Searching
7,Whatever I Do

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Dave Ford
* remixed by Extra Beat Boys
** remixed by Les Adams of DMC
 よりベース・ラインを強調したヘヴィーなサウンドに仕上がったセカンド・ミックス。アメリカではこちらのバージョンが12インチ発売されました。たしかに、この方がダンスフロア受けはするかもしれませんね。そして、カップリング曲は『気分はハイエナジー』のリミックス・バージョン。サンプリングを使いまくったバッキンバッキンのサウンドで、フィル・ハーディングらしいド派手でパワフルな仕上がり。カッコいいです。

 PWLらしい爽やかでメロウなダンス・ポップ・ナンバー。ソフトに包み込むようなピート・ハモンドのドリーミーなミックスがとても素敵です。全英チャートでは最高15位でしたが、もっと売れても良かったようにおもいますね。そしてB面には、あの隠れた名曲“No Fool”のリミックスを収録。アメリカではこちらがシングル・カットされました。フィル・ハーディングらしい煌びやかなサウンドに仕上がっています。

 もともとはカイリー・ミノーグのファースト・アルバムに収録されていた曲で、日本ではカイリーのバージョンでシングル・カットされ、ウィンクが『愛が止まらない』としてカバーした哀愁ハイエナジーの傑作。歌唱力という点では完全にヘイゼルのバージョンに軍配が上がります。バリバリに歌謡ポップス路線のメロディは日本人の琴線に触れまくりでした。デイヴ・フォードのツボを心得たミックスも良かったと思います。  こちらはメガミックスを収録したセカンド12インチ。どちらかというとコレクター向けの1枚かもしれませんね。目玉のメガミックスですが、基本的にはシンプルなノンストップ・ミックスで、これといって奇をてらったような遊びがないのはちょっと物足りない感じですね。ちなみに、A面#2はアルバム“Heart First”に収録されていた楽曲のリミックス・バージョン。個人的にはオリジナルの方が好きでした。

TURN_IT_INTO_LOVE_REMIX.JPG ALWAYS.JPG LOVE_PAINS.JPG BETTER_OFF_WITHOUT_YOU.JPG

Turn It Into Love (1988)

Always (1988)

Love Pains (1989)

Better Off Without You (1991)

(P)1988 Capitol Records/EMI (USA) (P)1988 Toshiba EMI (Japan) (P)1989 Lisson Records/PWL (UK) (P)1991 Lisson Records/PWL (UK)
Side 1
1,Turn It Into Love (Disconet Edit) 6:32 *
Side 2
1,Turn It Into Love
  (The Danae Jacovidis Edit) 7:27
2,You're Too Good To Be True 3:56 **

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Dave Ford
* edited by Mark Styles & Steven Von Blau
** remixed by Extra Beat Boys
1,They Say It's Gonna Rain (Zulu Mix) 7:08ビデオ
2,Who's Leaving Who
  (Bob's Tambourine Mix) 4:45 ビデオ
3,Turn It Into Love 3:37
4,You're My Rainbow 5:13 *
5,Always Doen't Mean Forever 7:05
6,Maybe (We Should Call It A Day) 6:39
7,Walk In My Shoes 4:19 **
8,Nothing In My Life 3:46 ***
9,Danger 4:58 ****
10,No Fool (For Love) 6:09
11,Ain't Nothing Like The Real Thing
  (duet with Darryl Pandy) 6:23 *

produced by Stock/Aitken/Waterman
* produced by Ian Levine
** produced by Trevor Vallis
*** produced by Pete Hammond
**** produced by Hazell Dean & Pete Ware
Side One
1,Love Pains 7:55
Side Two
1,More Than Words Can Say 4:30

produced by Phil Harding & Ian Curnow
mixed by Phil Harding
A Side
1,Better Off Without You (Lickin' Mix) 7:12

produced by Stock/Aitken/Waterman
mixed by Phil Harding

B Side
1,Love Pains (The Rawhide and Bullwhip Mix) 6:26*
2,Are You Man Enough

produced by Phil Harding & Ian Curnow
mixed by Phil Harding
* mixed by Dave Ford
 アメリカ盤のみのエディット・バージョンです。デイヴ・フォードのミックスをベースにしつつ、よりダンスフロア映えするようなサウンドに加工処理されており、UK盤よりも遥かに聴き応えがあります。本当、お腹いっぱい♪という感じ。ちなみに、アメリカ盤では他にハウス・ミックスも出てるんですよね。ついつい買いそびれたままで、今じゃプレミアが付いてなかなか手が出せないのですが、死ぬまでには是非とも手に入れたいもんです。  ヘイゼルにとっては4年ぶりとなったフル・アルバム。殆んどがシングル・カット曲なので、ベスト盤と呼んでもおかしくないような内容です。#4と#11はイアン・レヴィンがプロデュースを担当。ミケール・ブラウンやバーバラ・ペニントン辺りを彷彿とさせるエレガントなメロウ・ディスコ#4は、レヴィンらしいフィリー・サウンド・タイプの作品。また、マーヴィン・ゲイの名曲をバッキンバッキンのハイエナジーにカバーした#11もパワフルな出来映え。かなりアゲです。  イヴォンヌ・エリマンが82年にリリースしたディスコ・ヒットのカバー。今回はストック/エイトキン/ウォーターマンのトリオに代わって、フィル・ハーディングとイアン・カーナウがプロデュースを手掛けています。ハーディングらしいキラキラと華やかなハイエナジー・サウンドに仕上がっており、オリジナルよりも出来はいいと思います。全英では最高48位。カップリングはセンチメンタルでメロウなバラード。もともとはメル&キムのアルバムに収録されていた名曲です。  ヘイゼルがPWLと組んだ最後のシングルになります。ここでひとつの時代が終わったという感じで、ファンとしてはいろいろな意味で感慨深い1枚ですね。煌びやかでエレガントなハイエナジー・ナンバーですが、サビのインパクトがもうちょっと欲しかったというのが正直なところ。全英チャートでは72位止まりでした。B面の#1はデイヴ・フォードによるリミックスで、ムチの音やハンドクラップをサンプリングした遊び心溢れる派手で楽しい仕上がりです。

MY_IDEA_OF_HEAVEN.JPG THE_BEST_OF.JPG GREATEST_HITS.JPG HAZELL_SINGS_ABBA.JPG

My Idea Of Heaven (1993)

The Best Of Hazell Dean (1995)

Greatest Hits

Hazell Dean Sings Abba (1996)

(P)1993 Wicked Vibes (France) (P)1995 Hot Productions (USA) (P)1996 EMI Records (UK) (P)2003 HHO Ltd. (Czech Republic)
1,7" Radio Edit 3:41
2,12" Back To Heaven 8:13
3,Club Mix 6:22
4,Tribal Drift 6:41

produced by Hazell Dean & Barry Upton
#4 remixed by Tribal Drift
1,They Say It's Gonna Rain 6:37
2,Don't Stop The Love, Stop The Love 6:19
3,Searching (I Got To Find A Man) 3:58 *
4,Whatever I Do, Wherever I Go 3:22 **
5,You're My Rainbow 5:10
6,Ain't Nothing Like The Real Thing 7:49
7,Round In Circles 5:05
8,Feel The Power Of Your Loving 4:57
9,Forever Isn't Long Enough 6:03
10,Time Will Tell 4:42
11,Mesmerized 4:21
12,Don't Play With Love 4:34
13,Before The Loving Fades Away 4:03
14,Give You All Or Nothing 5:05
15,I'm Taking No Chances 4:09
16,Lose Is In Your Eyes 4:50

produced by Ian Levine
* produced by Ian Anthony Stephens
** produced by Stock/Aitken/Waterman

1,Searchin'
2,Whatever I Do (Wherever I Go)
 
(Extended Version)
3,Evergreen
4,Jealous Love
5,Back In My Arms Again
6,They Say It's Gonna Rain
7,Turn It Into Love
8,You're Too Good To Be True
9,Who's Leaving Who
10,Maybe (We Should Call It A Day)
11,No Fool (For Love)
12,Ain't Nothing Like The Real Thing
13,Searchin'/Whatever I Do/Stand Up
  (High As A Kite Megamix)
14,Who's Leaving Who (Bob's Tambourine Mix)

1,S.O.S.
2,The King Has Lost His Crown
3,The Winner Takes It All
4,My Love My Life
5,I Wonder
6,If It Wasn't For The Nights
7,Andante, Andante
8,One Of Us
9,When All Is Said And Done
10,Our Last Summer
11,Like An Angel Passing Through My Room
12,The Way Old Friends Do
13,Mamma Mia
14,Knowing Me, Knowing You

produced by Hazell Dean & Pete Ware
 インディーズに転向したヘイゼルが、バリー・アプトンとのコンビで自ら作曲・プロデュースを手掛けたシングル。アプトンは中堅どころのDJで、比較的最近ではチーキー・ガールズのプロデュースを手掛けていた人物。サンプリングを多用したアゲアゲのハイエナジー・ナンバーで、サウンド的にはなかなかカッコいい仕上がり。ゴスペル風のソウルフルなメロディも秀逸で、ヘイゼルはパワフルにシャウトしまくってます。  ベスト盤と銘打ちながら、実際には殆んどが新曲と焼き直しで構成されたコンピレーション盤。ほとんどニュー・アルバムです。実際に、本来はオリジナル・アルバムとして制作されたみたいですが、ディストリビュートを担当したホット・プロダクションの意向で同社のベスト盤シリーズの1枚としてリリースされることになったとのこと。かなりチープな出来映えなので、熱心なコレクターでない限りお薦めできません。  こちらが正真正銘のベスト盤に当たります。収録時間の都合でラジオ・エディットばかりなのが残念ですが、それでも#3と#4、#13が初めてCD化されたことは喜ばしい限り。特に#13はプロモ用のホワイト・レーベルでリリースされたバージョンなので、ファンとしてはかなり嬉しい驚きでした。単なるノンストップ・ミックスではなく、それぞれの楽曲のパーツをサンプリングして遊びまくってます。  アバもヘイゼルも大好きなボクにとっては夢のような1枚。ヘイゼルもアバが大好きだったんですね、やっぱり。この選曲は相当なファンでなければ出来ませんもん。しかも、どれもオリジナルの良さをしっかりと生かした上で斬新なアレンジを施してあり、彼女のアバに対する愛情の深さをひしひしと感じさせてくれます。#7のサンバなんて目からウロコ。名盤だと思います。ちなみに、上記はチェコでリリースされた再発盤。

THE_WINNER.JPG SEARCHIN_97.JPG WHOS_LEAVING_WHO_2001.JPG DONT_STOP_THE_RAIN.JPG

The Winner Takes It All (1996)

Searchin' '97 (1997)

Who's Leaving Who 2001 (2001)

Don't Stop The Love (2005)

(P)1996 Carlton (UK) (P)1997 Infinity Records (UK) (P)2001 Key West Records (UK) (P)2005 Pegasus (Germany)
1,The Winner Takes It All (Radio Mix) 3:52
2,The Winner Takes It All (12" Mix) 7:52
3,The Winner Takes It All (Lovers Mix) 8:29
4,The Best Is Yet To Come 3:40

produced by Hazell Dean & Pete Ware
#1-3 mixed by Pete Hammond & Steve Hammond
1,Radio Edit 4:24
2,12" Clubmix 5:45
3,Powermix 5:06
4,Gotta Find A Man Mix 5:20
5,Where's Housin' Who Mix 4:05

produced by Hazell Dean & Pete Ware
#1& 2 mixed by Dean & Ware
#3 & 4 mixed by Over 18
#5 mixed by Jock In The Box
1,Who's Leaving Who 2001
  (Wayne G's Heaven Mix)
2,Who's Leaving Who (D-Bop Mix)
3,Rumour Has It
4,It's All Over

produced by Wayne G.
vocals produced by Hazell Dean & Clive Scott.
1,Ain't Nothing Like The Real Thing
2,Who's Leaving Who
3,Back In Your Arms (Once Again)
4,Whatever I Do (Wherever I Go)
5,Better Off Without You
6,Turn It Into Love
7,Don't Stop The Love, Stop The Love
8,Time Will Tell
9,Evergreen
10,They Say It's Gonna Rain
11,Love Pains
12,Searchin' (I Gotta Find A Man)
13,Love Land
14,Rumour Has It
15,Maybe (We Should Call It A Day)
16,Mesmerised
17,No Fool (For Love)
 “Hazell Dean Sings Abba”からのシングル・カットは、アバの傑作バラードを壮大なスケールのハイエナジー・ディスコにカバーした作品。ヘイゼルはノリノリでパワフルに歌い上げまくっており、5年ぶりの全英ポップ・チャート入りを果たしました。しかも、ミックスには元PWLのピート・ハモンドの名前が!PWLファンにとっても感慨深い1枚じゃないかと思います。  自身の出世作を90年代仕様にアップデートしたリメイク・バージョン。この手の企画は往々にしてガッカリすることが多いのですが、これはなかなかの出来だと思います。原曲のイメージを大切にしながらも、よりアッパーに、より派手に、よりエネルギッシュに仕上げているのは好感度高し。ただし、プログレッシブ・ハウス仕様の#5はちょっと無理があるかな。  ということで、こちらも往年のヒット曲のセルフ・リメイク。通販のみでリリースされ、あっという間に廃盤となってしまったため、存在すら知らない人も多いかもしれません。プロデュースはシェールの“Believe”のリミックスを手掛けたウェインG。オールマイティでも仕事している人ですが、可もなく不可もなくのユーロ・ハイエナジーです。人気DJ、Dボップのミックス#2も凡庸。残念。  往年のヒット曲から90年代のマイナー・ソングまで、全て新たにレコーディングし直したセルフ・リメイク・アルバム。かつてホット・プロダクションから出ていたものとも全く違います。ファンでも意外と見落としがちな作品かもしれませんね。やはりPWL時代と比べるとサウンド・プロダクションのチープさは否めません。初心者にはお薦め出来ませんが、ファンなら持ってて損はないかも。

 

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