The Hamiltons

※『パニック・ゲーム』として2008年3月に日本盤DVDが発売されました

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2006年/アメリカ映画/上映時間:86分
ワイド・スクリーン/カラー作品
監督:ブッチャー・ブラザーズ
製作:ミッチェル・アルティエリ
    フィル・フローレス
脚本:ブッチャー・ブラザーズ
撮影:マイケル・メイレイ
音楽:ジョシュア・マイヤーズ
出演:コリー・ナーフ
    サミュエル・チャイルド
    ジョセフ・マッキーラー
    マッケンジー・ファーゲンズ
    レベカ・ホイル
    ブリタニー・ダニエル
北米盤DVD発売:Lions Gate
発売年:2007年

 

 アメリカの平凡な田舎町に暮らす平凡な一家、ハミルトン家。地域のコミュニティーにちゃんと溶け込み、チャリティー活動や市民の集まりにも積極的に参加している理想的な家族だ。しかし、彼らには他人に知られてはならない恐ろしい秘密があった・・・。地下室の檻に吊るされた人々、その奥に隠された秘密の部屋。ハミルトン家の人々は、人間の血と肉を糧として生きている呪われた種族だったのだ。

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多感な末っ子フランシス(コリー・ナーフ)

自由奔放な次男ウェンデル(ジョセフ・マッキーラー)

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優しい長男デヴィッド(サミュエル・チャイルド)

ゴス系好きの長女ダーリーン(M・ファーゲンズ)


 そんな恐るべき一家の日常が、末っ子である多感な少年フランシス(コリー・ナーフ)の目を通して淡々と描かれていく。両親を亡くしたばかりの一家をまとめるのは長男のデヴィッド(サミュエル・チャイルド)。町の工場で働く心優しい青年で、亡くなった両親に代わって弟や妹の面倒を見ている。双子のウェンデル(ジョセフ・マッキーラー)とダーリーン(マッケンジー・ファーゲンズ)は自由奔放な野性児コンビで、様々なトラブルを起こしては兄を困らせる。そして一番年下のフランシスは、亡くなった両親の事が忘れられず、自分の殻に閉じこもったままの内気で繊細な少年。しかも、夜の闇に紛れては旅行者や隣町の住人を誘拐し、地下室に監禁して殺している兄たちの姿に嫌悪感を覚えている。“自分だけは違う”と信じながらも、いつか兄たちと同じようになってしまうのではないかという不安に悩まされているのだ。
 そうしたハミルトン家のささやかな(?)トラブル、フランシスの苦悩などが詩情豊かな映像と淡々としたモノローグで綴られていく。ホラー映画というよりも、アート・フィルムのような佇まいだ。ウェンデルとダーリーンが、ついハメを外して隣人の少女を殺してしまった事から、一家の置かれた立場は急変。誰も知らない別の町に移らねばならなくなってしまう。追われるような生活に辟易していたフランシスは、地下室に監禁されていた女性ダニー(ブリタニー・ダニエル)を連れて逃亡しようとするのだが・・・。

 大人への階段を上ろうとする思春期の少年の複雑な内面を描く妄想ドラマ・・・とも取れる作風は、いわゆるホラー映画ファンからは賛否両論かもしれない。また、これが初の劇映画作品となるブッチャー・ブラザーズの演出も、まだまだ学生映画の域を出ないような稚拙さが随所に目立つ。さらに、ウェンデルとダーリーンが隣人の少女を殺してしまうシーンなどは、変に二人をモンスターもしくはバンパイア的な存在として描いてしまっており、作品全体のバランスを崩してしまっている。人の血肉を食らわねば生きていけないという普通じゃない家族の平凡な日常生活、というテーマそのものは非常にユニークで、個人と家族、社会の関わりを特殊な状況下で描くドラマ作品として、もっと奥の深い内容に仕上げる事は十分に出来たと思う。仕上がった作品としては及第点ながらも、実験的な試みとして評価したい1本ではある。

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地域の人々と交流を深めるハミルトン家

監禁された女性ダニー(ブリタニー・ダニエル)

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隣人の少女を殺してしまう・・・

ダニーを連れて逃亡しようとするフランシス

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