クリストファー・リー版
怪人フーマンチュー・シリーズ

 

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 長身で痩せた体に中国服をまとい、悪魔のような顔にドジョウ髭をたくわえた中国人フーマンチュー。チベットを拠点に強大な権力を持つ彼は、アジア人による世界征服を企む冷酷な犯罪王である。そんなフーマンチューの宿敵はスコットランド・ヤードの捜査官ネイランド・スミス。恐るべき陰謀計画から幾度となく世界を救ってきたスミスだが、その度にあともう一歩のところでフーマンチューと右腕の愛娘ファー・ロー・スーイに逃げられてしまう。
 トーキー初期から幾度となく映画化されてきた“怪人フーマンチュー”シリーズ。特に大日本帝国が勢力を拡大した1930〜40年代には、ワーナー・ブラザーズがワーナー・オーランド主演で製作した“フーマンチュウ博士”シリーズや、ユニバーサルがボリス・カーロフ主演で製作した『成吉思汗の仮面』などの映画がアメリカで人気を呼んだ。その背景には、“イエロー・ペリル(黄色い脅威)”と呼ばれる東洋人の台頭に対する欧米人の差別意識や危機感が色濃く反映されていたわけだが、同時に神出鬼没で不死身の犯罪王フーマンチューという強烈なキャラクターの持つアンチヒーロー的な魅力も人気の秘密であったことは否定できないだろう。
 その原作小説を書いたのは、イギリスの推理作家サックス・ローマ―。1919年に第1作目“The Mystery of Dr. Fu-Manchu”が出版され、59年の“Emperor Fu Manchu”まで実に40年にも渡って新作が発表され続けるほどの人気を獲得した。頭脳明晰でクールな捜査官ネイランド・スミスと世界征服を企む犯罪王フーマンチューの宿命的な戦いを描いた冒険活劇。そのスタイルは、世界各地の犯罪王を相手に戦うスパイ007の活躍を描いたイアン・フレミングの人気小説“ジェームズ・ボンド”シリーズにも多大な影響を与えたとされる。
 そのジェームズ・ボンド・シリーズはショーン・コネリー主演の『007/ドクター・ノオ』(62)を皮切りに次々と映画化され、空前のスパイ映画ブームを世界中で巻き起こした。その人気に着目したのがイギリス出身の映画プロデューサー、ハリー・アラン・タワーズ。ソビエトのスパイだとしてFBIから指名手配されたこともあり、生涯に渡って世界各国を渡り歩きながら映画を作り続けた謎多き人物だ。
 スパイ小説の原点とも言うべきフーマンチュー・シリーズを映画の世界に甦らせたタワーズ。彼がフーマンチュー役に選んだのは、当時怪奇映画スターとして一世を風靡していたクリストファー・リーだった。『吸血鬼ドラキュラ』(58)の大ヒットで一躍名を成したリー。しかし、その一方でドラキュラ俳優というイメージの定着に悩まされ、当時はそのレッテルを返上すべく吸血鬼役以外の仕事は片っ端から引き受けていた。イギリス人の彼が特殊メイクで中国人を演じるというのは、一歩間違えればとんでもなくナンセンスな結果になる。本人としては
かなり躊躇するところもあったそうだが、ドラキュラに代わる当たり役となればと割り切って引き受けることにした。
 その愛娘で右腕の悪女リンタン(原作のファー・ロー・スーイから変更)役には、有名な京劇俳優を父親に持つ中国系イギリス人の女優ツァイ・チンが起用された。彼女もまた中国人のイメージを悪くするような役柄に抵抗感を感じたが、アジア人の女優にとって大きなチャンスであることも理解していた。人を殺したり傷つけたりするシーンを撮影するたびに“こんなの嫌だ!”と内心思いながらも、仕事だと割り切って演じ続けたという。
 1965年から69年にかけて、合計で5本の作品が製作されたクリストファー・リー版“怪人フーマンチュー”シリーズ。製作者タワーズはジェームズ・ボンド・シリーズに対抗するつもりだったようだが、配給元であるワーナー・ブラザーズはあまり協力的ではなかった。そのためなかなか配給網を拡大することが出来ず、シリーズは徐々にジリ貧となっていった。4作目からは配給会社を変えてみたものの、予算不足に悩まされてシリーズは5作で終了。ちなみに、
『007/ドクター・ノオ』のノオ博士という人物は原作者イアン・フレミングの親戚であるクリストファー・リーをモデルに書かれたと言われているが、本シリーズにおけるフーマンチューの特殊メイクもどことなくノオ博士を彷彿とさせるのが興味深い。
 脚本は全てハリー・アラン・タワーズ自身が、ピーター・ウェルベックという変名で手掛けている。サックス・ローマ―の原作からは登場人物の設定のみ拝借されており、ストーリーはほぼ全てタワーズのオリジナル。ただし、キッスを用いて相手を毒殺するという4作目『女奴隷の復讐』のみ、原作シリーズの第一弾“The Zayat Kiss”に出てくる毒を持つトカゲの“キッス”よりヒントを得ている。
 なお、フーマンチューの宿敵ネイランド・スミス役のキャスティングは3回変わったが、クリストファー・リーとツァイ・チンの主演コンビ、及びネイランドの親友ピートリ博士を演じるハワード・マリオン=クロフォードの3人は、シリーズを通して前作に登板した。今回はその5作品全てを紹介してみたい。

 

怪人フー・マンチュー
The Face of Fu Manchu (1965)
日本では1967年劇場公開
VHSは日本未発売・DVDは日本発売済

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(P)2001 Momentum Pictures (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(イギリスPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:2/92分/製作:イギリス・西ドイツ

特典映像
オリジナル劇場予告編
監督:ドン・シャープ
製作:ハリー・アラン・タワーズ
原作:サックス・ローマ―
脚本:ハリー・アラン・タワーズ
撮影:アーネスト・スチュワード
音楽:クリストファー・ウィーレン
出演:クリストファー・リー
   ツァイ・チン
   ナイジェル・グリーン
   ヨアヒム・フックスベルゲル
   カリン・ドール
   ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス
   ハワード・マリオン=クロフォード
   ウォルター・リラ
   ハリー・ブローガン
   ポーレット・ツー

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犯罪王フーマンチュー(C・リー)の処刑が中国で行われた

フーマンチューの生存を疑うネイランド・スミス(N・グリーン)

 こちらが記念すべきシリーズ第一弾。チベットに古くから伝わる猛毒を使って化学兵器を作り、世界征服の野望を推し進めるフーマンチューとリンタンの親子に、スコットランドヤードのネイランド・スミスが立ち向かう。20世紀初頭のロンドンを舞台にしたクラシカルなムード、ホラー・タッチのおどろおどろしいオリエンタリズム、そして賑やかなアクションとガジェットをふんだんに盛り込んだ痛快な娯楽映画に仕上がっている。
 反逆者として中国本土で処刑された犯罪王フーマンチュー。だが、その半年後にロンドンで高名な科学者が謎の失踪を遂げ、捜査を担当したネイランド・スミスは事件の背後にフーマンチューの存在を感じ取る。そう、フーマンチューは死んでなどいなかった。彼は誘拐したミュラー博士を脅迫し、チベットの植物“黒い丘のケシ”から抽出した猛毒を使って化学兵器を開発しようとしていたのだ。その毒には人間の血を凝固させる効果があり、兵器が完成すれば一度に何万もの人々を殺すことが出来る。大量殺人をネタにして世界各国のリーダーに服従を迫るフーマンチュー。果たして、ネイランド・スミスはその野望を打ち砕くことが出来るのか…!?ってなわけだ。
 ストーリーはシンプルかつ単純明快。いい意味で、奇をてらうことのないB級娯楽映画に徹している。ロンドンの裏社会に張り巡らされたフーマンチュー一味の組織網を徐々に叩きながら、彼らの根城へと迫っていく過程なんかはまさに王道の展開。第一次世界大戦前のロンドンを丁寧に再現したノスタルジックな雰囲気や荒唐無稽でファンタジックな仕掛けなどを含め、古き良き時代の冒険活劇の伝統をきっちり踏襲した作品とも言えるかもしれない。
 監督は『吸血鬼の接吻』(63)や『海賊船悪魔号』(64)、『白夜の陰獣』(65)など、ハマー・プロのホラーや活劇で鳴らした職人監督ドン・シャープ。妖怪の巣窟のごときフーマンチューの秘密基地、残酷な処刑シーンをはじめとする刺激的な演出、低予算を意識させない派手な見せ場の作り方などなど、ハマー以降も長く幅広いキャリアを歩んだシャープ監督ならではの上手さが光る。肩の力を抜いて気楽に楽しみたい一本だ。

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高名な科学者ミュラー教授(W・リラ)が何者かに拉致される

ネイランドはフーマンチュー一味の犯行を確信する

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ミュラー教授の助手カール(J・フックスベルゲル)

教授の愛娘マリア(K・ドール)が襲われる

 清朝末期の中国で国際的な犯罪組織のボス、フーマンチュー(クリストファー・リー)が処刑された。その様子を固唾をのんで見守るスコットランドヤードのネイランド・スミス(ナイジェル・グリーン)。フーマンチューの首が切り落とされるのを見届けてロンドンへ戻ったネイランドだったが、あの大悪党が本当にこの世からいなくなったとはにわかに信じ難かった。親友のピートリ博士(ハワード・マリオン=クロフォード)は考え過ぎだと諭すが、どうも気がかりな点が多い。なによりも、フーマンチューが処刑されたにもかかわらず、アジア人による組織的な犯罪が後を絶たない。一体、誰が裏で操っているのだろうか?
 その頃、ハイデルベルグ大学のミュラー教授(ウォルター・リラ)が、廃墟となった豪邸で何者かに拉致された。翌朝、見回りの警官が門の前で運転手の遺体を発見。死因は窒息死だった。凶器の真っ赤なスカーフを一目見たネイランドは、それがフーマンチューの手下が持つものと同じだと気付く。運転手の遺体の身元確認をしたのは、ミュラー教授の助手カール・ヤンセン(ヨアヒム・フックスベルゲル)。教授の所在を確認するネイランドだったが、なぜかカールは口ごもる。
 カールは教授の一人娘マリア(カリン・ドール)の恋人でもあった。マリアは自宅で怪しげな中国人の一団に襲われる。カールの到着で事なきを得たものの、それは教授の失踪を警察へ通報するなという警告だった。すると、二人は教授の研究室を探る侵入者を発見。他でもないネイランド・スミスだった。教授がフーマンチューの仲間ではないかと怪しんだのだ。だが、マリアとカールの話によると2日前にフーマンチューと名乗る人物から教授に手紙が届き、行き先を告げずに出かけたまま帰ってこないのだった。教授はフーマンチューの名前を見てひどく怯えた様子で、このことは絶対に他言は無用だとマリアに言い聞かせたという。
 実は、ミュラー教授はかつてチベットを旅したことがあった。彼はそこで知ったチベット特有の植物“黒い丘のケシ”に魅了され、その研究に情熱を注いでいたという。この植物から抽出される液体には人間の血液を凝固させる効果がある。医学への利用が期待されたものの、使い方を間違えれば猛毒にもなる代物だ。ネイランドは、それこそが犯人グループの狙いだと気付く。
 ロンドンで“黒い丘のケシ”を輸入している業者は一つだけ。そこから情報が漏れたはずだ。カールを伴って業者へ下見に行ったネイランドは、社長ハヌマン(ペーター・ボスバケル)の秘書を装ったフーマンチューの娘リンタン(ツァイ・チン)に気が付く。さらに、上海警察からの連絡で、処刑されたフーマンチューが身代わりだったと判明。犯罪王はまんまと生き延びていたのだ。
 輸入会社倉庫の地下にフーマンチューの秘密基地があった。彼はミュラー教授に“黒い丘のケシ”から抽出される毒を使って化学兵器を開発させようと考えていた。しかし、教授はフーマンチューへの協力を頑なに拒否する。そこで、父親の命を受けたリンタンが、教授の愛娘マリアを誘拐。彼女を救おうとしたカールもハヌマンに捕らわれてしまった。
 かくして、フーマンチューの命令に従わざるを得なくなったミュラー教授。だが、化学兵器の開発には重大な問題があった。“黒い丘のケシ”の猛毒は氷点下なら効果を発揮するが、常温以上だと無害になってしまうのだ。それを解決する秘密が記された古文書は、東洋学博物館のガスケル博士(ハリー・ブローガン)が持っているという。フーマンチューはリンタンと手下たちに古文書を盗むよう命じる。
 隙を見てハヌマンの事務所を脱走したカールは、東洋学博物館が狙われているとネイランドに知らせた。警備の強化を要請するネイランドだったが、危機感の薄い館長サー・チャールズ(ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス)はのらりくらり。すると案の定、古文書を保管する地下室にフーマンチュー一味が侵入した。乱闘の末に相手を倒したネイランドとカールだったが、保管されているはずの古文書がない。どうやら、ガスケル博士が無断で自宅へ持ち帰ったようだった。
 すぐにピートリ博士がガスケルの自宅を調べた。ところが、その会話の一部始終を老婆に扮装したリンタンが聴いていた。急いでリンタンと手下たちの乗った車を追跡するネイランドたち。だが、まんまと巻かれてしまった上に、ハヌマンの操縦する戦闘機に爆撃されて立ち往生してしまう。その頃、フーマンチューとリンタンはガスケル博士に催眠術をかけて誘拐し、古文書を奪い去ってしまった。
 化学兵器の開発には時間がかかる。だが、実験をすることは可能だった。天気予報によると、明日はエセックス州で氷点下になるという。フーマンチューはラジオ電波をジャックし、犯行を予告した。キーワードはフリートウィック。ネイランドたちはそれがエセックスの小さな村の名前だと気付き、すぐに軍隊を送り込ませた。しかし、さすがの軍隊も猛毒には無力だった。
 翌朝、フリートウィックでの惨劇が報じられた。軍隊と住民を合わせた約3000人が全員死亡。現地を視察したネイランド、カール、ピートリ博士の3人は怒りに震えた。勝ち誇るフーマンチューは世界各国のリーダーに服従を要求。さもなくば、これ以上の威力を持った化学兵器で数万人の犠牲者が出ることになると。タイムリミットは2日。敵の秘密基地を捜索するネイランドは、各事件の発生現場がテムズ河で繋がっていることに気付く…。

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教授とカールはチベットに伝わる植物の研究をしていた

ミュラー教授を拉致したのはフーマンチューだった

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裏切り者を溺死させてテムズ河へ流してしまう

マリアの命と引き換えに協力させられるミュラー教授

 45年も前の映画なので、今みたいにアクロバティックなカンフー・アクションや期待できないものの、まさに“殴り合い”という言葉がぴったりな体当たりのファイト・シーンやクラシック・カーを使ったスリリングなカー・チェイスはなかなかの見もの。裏切り者をガラス張りの密閉室で溺死させ、そのままテムズ河へ流してしまうという気の利いた(?)フーマンチュー一味の処刑方法も007シリーズっぽくて面白い。
 撮影監督のアーネスト・スチュワードは、『三十九階段』(59)や『地獄のガイドブック』(64)、『キッスは殺しのサイン』(66)などラルフ・トーマス監督による一連のアクション映画を手掛けたカメラマン。ドン・シャープ監督とはテロ・サスペンス『怒りの日』(75)でも組んでいる人物だ。
 また、編集にはマイケル・ケイン主演の『ミニミニ大作戦』(69)や『狙撃者』(71)のジョン・トランパー、美術デザインには英国産スパイ・ドラマの元祖『秘密諜報員ジョン・ドレーク』(60〜61)のフランク・ホワイト、助監督には『世界殺人公社』(69)や『ジャガーノート』(74)などの製作マネージャーを務めたバリー・メルローズといった具合に、アクション映画やスパイ映画を熟知したスタッフが集結している。
 なお、舞台はロンドンに設定されているものの、冒頭の中国での処刑シーンを含め、全編に渡ってアイルランドのダブリン及びその近郊で撮影されたのだそうだ。

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古文書を狙うフーマンチュー一味と対決するネイランド

逃走したリンタンと手下たちを車で追跡する

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ガスケル教授を誘拐して古文書を入手するフーマンチューとリンタン

フーマンチューの化学兵器で小さな村が全滅する

 この1作目でネイランド・スミスを演じているのは、その立派な体格と眼光鋭い顔立ちから軍人役や英雄役として親しまれたイギリスの名脇役ナイジェル・グリーン。中でも『シャーウッドの剣』(60)のリトル・ジョンや『アルゴ探検隊の大冒険』(63)のヘラクレスなど、主人公を助太刀する心強い味方役として重宝された。ネイランド・スミス役としてはまさに適任。シリーズ中ではベストの配役だと思うのだが、残念ながらこれ一本だけで降板してしまった。
 そのネイランド・スミスの親友で、ちょっと間の抜けた好々爺ピートリ博士役には、『アラビアのロレンス』(62)や『遥かなる戦場』(68)などで軍人役を得意としたハワード・マリオン=クロフォード。ドクター役も多かったらしく、50年代にはテレビのシャーロック・ホームズ・シリーズでワトソン博士役を演じたこともあるそうだ。
 本作でネイランドとタッグを組むカール・ヤンセン役には、50年代から60年代にかけて戦争映画や犯罪サスペンスのヒーローとして大活躍したドイツのトップ・スター、ヨアヒム・フックスベルゲル。中でもコメディ・タッチの戦争映画『08/15』(55)は当時の西ドイツで大ヒットを記録し、シリーズ化されるほどの評判となった。ハンサムでいかにも誠実そうな雰囲気の持ち主で、83歳となる現在も第一線でバリバリ活躍している。
 そして、ミュラー博士の娘でカールの恋人でもあるマリア役には、当時西ドイツで犯罪サスペンスや西部劇のヒロイン役として絶大な人気を得ていた美人女優カリン・ドール。『007は2度死ぬ』(67)のピラニアに食い殺される悪女ヘルガ役や『トパーズ』(69)のくるくる回るカメラで有名な射殺シーンで犠牲になる美しき未亡人フアニタ役で記憶している映画ファンも多いだろう。当時のスパイ映画や犯罪映画には欠かせないスターだった。
 その他、イギリスでは『私のお医者さま』(54)を始めとするドクター”シリーズで有名な脇役ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス、『紅はこべ』(34)など主にイギリス映画で活躍したドイツ人俳優ウォルター・リラ、アラン・ドロン主演の『悪魔のようなあなた』(67)でアジア人の気味悪い召使を演じていたドイツ人俳優ペーター・ボスバケルなど、アクの強い役者たちが脇を固めている。

 

怪人フー・マンチュー/連続美女誘拐事件
The Brides of Fu Manchu (1966)
日本では劇場未公開・テレビ放送のみ
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2001 Momentum Pictures (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(イギリスPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:2/94分/イギリス・西ドイツ

特典映像
なし
監督:ドン・シャープ
製作:ハリー・アラン・タワーズ
原作:サックス・ローマ―
脚本:ハリー・アラン・タワーズ
撮影:アーネスト・スチュワード
音楽:ブルース・モンゴメリー
出演:クリストファー・リー
   ツァイ・チン
   ダグラス・ウィルマ―
   ハインツ・ドラシェ
   マリー・ヴェルシニ
   ハワード・マリオン=クロフォード
   ルパート・デイヴィス
   ロジェ・アナン
   ケネス・フォートスキュー
   ヨゼフ・フュールスト
   ハラルド・ライプニッツ
   バート・クウォーク
   ポーレット・ツー

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世界各国から高名な科学者の妻や娘が誘拐されてきた

もちろん犯人は世界征服を企む大悪党フーマンチュー(C・リー)

 本シリーズ中で、個人的に一番好きなのがこの2作目。世界中の高名な科学者を協力させるため、その妻や娘たちを誘拐してきては監禁するフーマンチュー。その目的は、世界の主要都市を破壊するレーザー兵器を開発することだ。ロンドン、パリ、モロッコと暗躍するフーマンチュー一味の野望を打ち砕くべく、再びネイランド・スミスが立ち上がる。ストーリーの面白さ、スケールの大きさなど、これが全5作でベストの出来栄えだと思う。
 世界各地で名だたる科学者の妻や娘が行方不明となり、その直後に科学者たちがモロッコ方面へ向けて消息を絶つという失踪事件が相次いで起きた。ネイランド・スミスは宿敵フーマンチューの関与を疑う。さらに、ロンドン市内でマリーというフランス人女性が誘拐されそうになり、恋人のフランツによって救われた。彼女は光学研究の権威オットー博士の娘。現場で身柄を確保された犯人の一人はフーマンチューの手下だった。
 パリ警察の協力で捜査を続けたネイランドは、フーマンチューに娘を誘拐されたマーリン博士から敵の計画内容を聞き出す。しかし、マリーが誘拐されたことからオットー博士も行方をくらまし、さらには豪華客船が試作品のレーザー兵器によって乗客もろとも消されてしまった。だが、これはほんの序章にしか過ぎない。フーマンチューの本当の狙いは何なのか?万策尽きたかのように見えたネイランドだが、実は秘かに意外な方法で打開策を練っていたのだった…。
 冒頭からいきなり女囚もののノリで始まり、うら若き美女をヘビ地獄へ叩き落とすというサディスティックなサービス・シーンまで登場。そこからストーリーはテンポよく進み、国際的なスケールの陰謀と裏切り、殺人、誘拐、拷問の賑やかなストーリーがスピーディに展開していく。エクスプロイテーション的な見せ場を存分に用意しつつ、決してC級のエログロ映画に陥ることのないドン・シャープ監督の研ぎ澄まされたバランス感覚が見事。ハリー・アラン・タワーズの書いた脚本も、前作よりもいい意味で複雑に入り組んでおり、スパイ活劇としてもなかなか完成度の高い仕上がりだ。
 ただ、惜しむらくは本作でネイランド・スミス役をバトンタッチしたダグラス・ウィルマ―が、前作のナイジェル・グリーンに比べると明らかにカリスマ性に乏しいということ。どことなく頼りなげで軟弱。そのいでたちも含めて、なんだかシャーロック・ホームズの出来損ないみたいになってしまった。このキャスティングさえ何とかなっていれば、より完璧に近い作品となったはずなのに。なんとも惜しい。

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娘の命と引き換えに協力させられるマーリン博士(R・デイヴィス)

フーマンチューの暗躍を察知するネイランド・スミス(D・ウィルマ―)

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フーマンチューはレーザー兵器の開発をマーリン博士に命じる

ロンドン市内でフーマンチュー一味による誘拐未遂が発生

 世界各地で高名な科学者や研究者の妻や娘が次々と誘拐され、その2週間後に科学者たちがモロッコ方面へ向かったまま消息を絶つという不可解な事件が多発していた。フランス人の科学者マーリン博士(ルパート・デイヴィス)もその一人。目隠しをされて連れてこられた場所は、古代遺跡を改造した牢獄のような場所だった。そこに捕らわれている女性たちの中に、愛娘ミシェル(キャロル・グレイ)を発見する博士。だが、女性たちは犯罪王フーマンチュー(クリストファー・リー)とその娘リンタン(ツァイ・チン)が現れると、まるで催眠術にかけられたかのごとく自らの意志をなくしてしまう。
 フーマンチューはマーリン博士に協力を求めた。拒否すれば娘ミシェルの命はない。見せしめのために若い娘がヘビ地獄へと落とされた。博士に選択の余地はなかった。フーマンチューの目的は、複数の無線送信機を使って強力な光エネルギーを転送し、世界各国の主要都市を破壊できるようなシステムを構築すること。既に他の科学者たちによってひな形は完成しており、それを基に現物を設計して組み立てるのがマーリン博士の役割だった。
 その頃、スコットランドヤードのネイランド・スミス(ダグラス・ウィルマ―)は、一連の失踪事件の背後に“例の男”が関与しているのではないかと疑っていた。すると、ロンドン市内でフランツ・バウマー(ハインツ・ドラシェ)という若い研究者と、その恋人マリー(マリー・ヴェルシニ)が東洋人の集団に襲われるという事件が発生。腕に覚えのあるフランツのおかげで相手を撃退し、駆けつけた警察官が犯人一味の死体を確認したところ、それがフーマンチューの手下だと判明する。ネイランドがフランツから話を聞いたところ、どうやら犯人一味の目的は彼でなくマリーだったらしい。マリーは光学研究の世界的権威オットー博士(ヨゼフ・フュールスト)の娘だったのだ。
 フーマンチュー一味はマリーが勤める病院にも侵入した。間一髪でネイランドとピートリ博士(ハワード・マリオン=クロフォード)が駆けつけたことから事なきを得たが、マリーは警察の保護下に置かれることとなった。フーマンチューは光エネルギーを転送するために必要なレンズを、オットー博士に作らせようと考えていたのだ。実は、オットー博士の助手ニッキ(ハラルド・ライプニッツ)がフーマンチューのスパイだった。彼はマリーを騙してバレエ鑑賞へ連れ出し、劇場に待機していたリンタンと手下たちに彼女を誘拐させた。マリーの無断外出に気付いたフランツとネイランドが劇場へ向かったが、あと一歩のところで間に合わなかった。
 一方、マーリン博士は送信機を設置するためにパリへ向かうこととなる。その直前、フーマンチューに反感を持つ手下が秘密基地の場所をこっそりと教えてくれた。さらに、彼はロンドンへと移動。行方不明だったマーリン博士の出現に気付いたネイランドは、部下のスパイサー巡査(ケネス・フォートスキュー)に博士の尾行をさせる。博士を出迎えたのはニッキだった。フーマンチューは裏で組織網を張り巡らせていた。そこで、ネイランドはフランツと相談して計画を練る。
 まず、フランツはニッキの同僚を装ってマーリン博士を訪ね、自白剤を注射してフーマンチュー一味の目的を探った。相手の秘密基地は“カーナ寺院”にあるという。その頃、フーマンチューの命を受けたリンタンがオットー博士に接触。用意された車に乗るよう指示する。スパイサー巡査は必死になって後を追いかけるが、おとり作戦に引っかかって相手を逃がしてしまった。プロペラ機に乗り換えて消え去っていくリンタンとオットー博士。しかし、ネイランドはニンマリとほくそ笑む。というのも、リンタンが連れ去ったのは、オットー博士に扮装したフランツだったのだ。
 ネイランドの旧友でパリ警察の有能な刑事ピエール(ロジェ・アナン)が極秘でロンドンへやって来た。パリにおけるマーリン博士の行動を監視していたところ、“ワイアレス・インターナショナル”という会社の存在が浮上おしたという。ちょうどその頃、フーマンチューが行動を起こした。ラジオ電波をジャックしたフーマンチューは、最新鋭のレーザー兵器によってウィンザー城を破壊すると宣言する。これはあくまでも警告であり、各国のリーダーが自分への服従を誓わねば、より大規模な破壊行為を行うと。
 ワイアレス・インターナショナルの住所を突き止めたネイランドたちは、ウィンザー城からの人員退去を指示すると急いでワイアレス・インターナショナルへと向かった。すると、ビルの屋上に送信機らしきものがある。だが、それはダミーだった。その頃、ウィンザー城と同じ名前を持つ豪華客船が、乗客もろとも跡形もなく姿を消す。まんまとフーマンチューの罠に引っかかってしまったのだ。ワイアレス・インターナショナルの事務所ももぬけの殻だった。
 手掛かりを掴めぬまま退却するネイランドたち。だが、引っかかるものを感じたピエールが、秘かに現場へ残った。すると、壁に隠された抜け道からフーマンチューの手下たちが現れた。そう、事務所の地下に秘密基地があったのだ。その会話を盗み聞きしたピエールは、急いでスコットランドヤードへと戻る。フーマンチュー一味のターゲットは、パリで開かれる国際軍事会議だった。先進各国の軍部トップが集まる会場を、レーザー兵器によって木端微塵にしようというのだ…。

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一味を撃退した若き研究者フランツ(H・ドラシェ)

オットー博士の娘マリー(M・ヴェルシニ)が狙われる

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フランツはマーリン博士に自白剤を注射して尋問する

フーマンチューの娘リンタン(T・チン)がオットー博士を連れ去る

 前作の興行的な成功で製作費が跳ね上がったのだろうか、ストーリーもセットも前作と比べると遥かにスケールアップしている。クライマックスもスペクタクルと呼ぶにはちょっと苦しいが、それでもなかなか派手で見応えのある爆破・崩壊シーンを堪能させてくれる。フーマンチューが生き延びたであろうことを示唆させる、ちょっとした演出も心憎い。
 撮影監督のアーネスト・スチュワード、美術デザインのフランク・ホワイト、助監督のバリー・メルローズは前作に引き続いての登板。マイ・ゼッタリング主演の“Faces in the Dark”(60)など優れた低予算スリラーを監督したデヴィッド・イーディが第2班監督、イギリスの有名なコメディ“キャリー・オン”シリーズで知られるブルース・モンゴメリーが音楽スコア、『アフリカの女王』(51)や『ソロモンとシバの女王』(59)などでカメラ助手を務めたジョン・フォン・コッツェが第2班撮影監督として新たに加わっている。

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着々と破壊工作の計画を進めるフーマンチュー

パリ警察の刑事ピエール(R・アナン)が手掛かりを掴む

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宿敵ネイランド・スミスの策略に気付くフーマンチュー

オットー博士はフランツの扮した偽物だったのだ

 本作から2代目ネイランド・スミスを演じるのは、ハマー・プロの『バンパイア・ラヴァーズ』(71)でヴァンパイア・ハンター、ハルトグ男爵役を演じていたダグラス・ウィルマ―。実は彼、イギリスではシャーロック・ホームズ俳優としても有名で、60年代にBBCテレビのシャーロック・ホームズ・シリーズでホームズ役を演じたほか、映画『新シャーロック・ホームズ/おかしな弟の大冒険』(75)にもホームズ役で顔を出している。
 そのネイランドに協力してフーマンチューを追いつめるフランツ役には、60〜70年代に“クリミ”と呼ばれる西ドイツの犯罪スリラー映画に数多く主演して人気を博した俳優ハインツ・ドラシェ。その恋人マリー役には、名作『パリは燃えているか』(66)でジャン=ポール・ベルモンドの相手役を演じたマリー・ベルシニが扮している。
 その他、前作に引き続いてピートリ博士を演じるハワード・マリオン=クロフォード、同じく前作に続いて秘書ロータスを演じるアジア系女優ポーレット・ツー、戦争映画やスパイ映画の軍人や科学者役として欠かせない名脇役ルパート・デイヴィス、クロード・シャブロル監督のスパイ映画シリーズ『虎は新鮮な肉を好む』(65)と『スーパータイガー/黄金作戦』(66)で人気を博したフランスの名優ロジェ・アナン、当時イタリアや西ドイツのスパイ映画で悪役として活躍していたドイツ人俳優ハラルド・ライプニッツ、『007/ダイヤモンドは永遠に』(71)の天才科学者メッツ博士役で知られるドイツ人俳優ヨゼフ・フュールスト、そして映画ピンク・パンサー・シリーズのクルーゾー警部の使用人カトー役で有名な中国系俳優バート・クウォークなどなど、実に多彩なキャストが顔をそろえている。

 

怪人フー・マンチューの復讐
Vengeance of Fu Manchu (1967)
日本では劇場未公開・テレビ放送のみ
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2001 Momentum Pictures (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(イギリスPAL盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:2/87分/製作:イギリス・西ドイツ・香港

特典映像
オリジナル劇場予告編
監督:ジェレミー・サマーズ
製作:ハリー・アラン・タワーズ
原作:サックス・ローマ―
脚本:ハリー・アラン・タワーズ
撮影:ジョン・フォン・コッツェ
音楽:マルコム・ロックヤー
出演:クリストファー・リー
   ツァイ・チン
   ダグラス・ウィルマ―
   ホルスト・フランク
   マリア・ローム
   ノエル・トレヴァーセン
   ハワード・マリオン=クロフォード
   ペーター・カルステン
   トニー・フェラー
   ウォルフガング・キーリング
   モナ・チョン
   エディー・バーン

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祖先の故郷へ戻ったフーマンチュー(C・リー)と娘リンタン(T・チン)

ネイランド・スミスへの復讐を誓うフーマンチュー

 ドン・シャープ監督に代わって、“International Detective”(59〜61)や『プロテクター電光石火』(72〜74)などテレビのスパイ・ドラマで知られるジェレミー・サマーズが演出を手掛けたシリーズ第3弾。その結果、どことなくテレビ・ムービーを彷彿とさせるような作品になってしまったことは否めないものの、荒唐無稽かつ奇想天外なストーリー展開で最後まで飽きさせない。オイオイ!という突っ込みどころを含め、これはこれで楽しいB級娯楽アクションだ。
 タイトルにもある通り、今回のテーマは“フーマンチュウの復讐”。宿敵ネイランド・スミスをはじめとする世界各国の凄腕捜査官たちの偽物を送り込み、代わりに本物を拉致誘拐。その偽物たちに重罪を犯させて彼らの名声を失墜させた上に、この世から抹殺してしまおうというのだ。さらに、アメリカを拠点にする国際的な巨大犯罪組織と結託し、彼らのリーダーとなって世界征服を目論む。
 とまあ、前2作に比べるとフーマンチューの野望も小ぢんまりしてきたというか、なんだか半ば個人的な恨みを晴らす方に走ってしまったという感がないでもないのだが、一方で今回は香港が製作に絡んでいることもあって、これまで以上にファイト・シーンやアクション・シーンが盛り沢山。また、血なまぐさい処刑シーンも幾つか用意されており、そういった方面ではファンの期待を裏切らない内容になっている。
 ただ、ネイランド・スミス役を演じるダグラス・ウィルマ―が前作以上にダメ。その代わりと言ってはなんだが、今回はマッチョなイケメン俳優ノエル・トレヴァーセンが大活躍し、ウィルマ―のお株をすっかり奪ってしまう形となった。また、新たな悪役として登場するホルスト・フランクや、そのライバル役のペーター・カルステンといったタフガイ系の俳優陣もカッコいい。それだけに、精彩を欠くネイランド・スミスの存在がなんとも寂しい。

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インターポールの会議へ招かれたネイランド・スミス(D・ウィルマ―)

FBI捜査官マーク・ウェストン(N・トレヴァーセン)から重要な報告が

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上海へ向かったシカゴ・ギャング、ロナルド(H・フランク)

世界的な整形外科医リーバーソン(W・キーリング)と娘が誘拐される

 中国へと戻ったフーマンチュー(クリストファー・リー)と愛娘リンタン(ツァイ・チン)。二人は祖先の生まれ故郷で歓迎される。早速、地元の不満分子を血なまぐさい方法で処刑する親子。さらに、ダイナマイトで山岳地帯に地震を引き起こし、地域一帯を外界から遮断。かくして、彼らは世界征服と復讐へ向けた陰謀計画に専念することとなった。
 一方、親友ピートリ博士(ハワード・マリオン・クロフォード)と談笑していたネイランド・スミス(ダグラス・ウィルマ―)だったが、中国で大規模な地震が起きたとの新聞記事を読んで顔を曇らせる。地震の発生源はフーマンチューの生まれ故郷だ。ピートリ博士は考え過ぎだと笑い飛ばすが、ネイランドはどうにも気がかりだった。
 インターポールの緊急会議へ出席するためにパリへと飛んだネイランド。FBI捜査官マーク・ウェストン(ノエル・トレヴァーセン)から重大な報告があった。というのも、シカゴの悪名高いギャング、ロナルド・モス(ホルスト・フランク)が国外へ姿をくらましたのだ。しかも、どうやら国際的な巨大犯罪組織の新リーダーと接触することになっているらしい。インターポールとしては緊急の警戒が必要だった。
 その頃、ロナルド・モスは愛人イングリッド(マリア・ローム)を伴って、横浜経由で上海へと向かっていた。そのことを知ったネイランドは、上海警察の友人ラモス刑事(トニー・フェラー)に報告。警察の動きを察知したロナルドは、豪華客船からボートへと乗り換えて中国へ密入国する。残されたイングリッドは、上海の人気ナイトクラブパラダイス・バー”の歌手として働き、ロナルドからの連絡を待つよう指示された。
 パラダイス・バー”のオーナー、カート・ヘラ―(ペーター・カルステン)はロナルドの部下だが、お互いにあまり良い感情は持っていないようだった。イングリッドは、ロナルドと違って紳士的なカートに惹かれる。一方、店の様子や従業員の行動を監視していたラモス刑事は、フーマンチューの娘リンタンがイングリッドに接触する現場を目撃した。もはや、フーマンチューの関与は疑いようのない事実だった。
 そのフーマンチューは、手下たちに付近の村でキリスト教の慈善活動を行う医師リーバーソン博士(ウォルフガング・キーリング)とその娘マリア(スザンヌ・ロケット)を誘拐してくるよう命じる。村は焼き払われ、住民は皆殺しにされた。リーバーソン博士は世界的な整形外科医。実は、フーマンチューは各国の凄腕捜査官たちの偽物を送り込み、彼らを罠にはめようと計画していたのだ。そのためには、リーバーソン博士の整形技術が必要だ。博士は娘マリアの命と引き換えに、無理やり協力させられることとなった。最初のターゲットは、もちろん宿敵ネイランド・スミス。処刑を免れた村人の若者が実験台となり、ネイランドの偽物が出来上がった。
 ピートリ博士とドライブへ出かけたネイランドだったが、その途中でなぜか車が動かなくなってしまう。昨夜給油したばかりだというのにも関わらず、ガス欠だった。そこへたまたま車が通りがかり、ピートリ博士は近くの給油所へ行ってガソリンを調達してくることにする。だが、全てはフーマンチュー一味の仕組んだ罠だった。戻ってきたピートリ博士は、ネイランドの様子がおかしいことに気付く。そのうつろな瞳はまるで別人で、話しかけても全く反応がないのだ。ネイランドが病気になってしまったと考えたピートリ博士は、ひとまず事務所へと彼を連れ戻した。ところが、博士がマーク・ウェストンを呼びに行っている間に、偽ネイランドは秘書ジャスミン(モナ・チョン)を殺害してしまう。偽ネイランドは殺人犯として逮捕されてしまった。
 その頃、本物のネイランドは薬漬けにされ、中国で待つフーマンチューのもとへと貨物船で運ばれている最中だった。これで煮て食おうと焼いて食おうとフーマンチューの勝手だ。一方、中国へ密入国したロナルド・モスがフーマンチューのもとへと到着した。彼は国際的な巨大犯罪組織を代表して、フーマンチューを自分たちの新たなリーダーに迎えることを伝える。フーマンチューもその申し出を引き受けた。
 一方、ロンドンではネイランド・スミスの裁判が始まった。ところが、偽ネイランドはまるで心ここにあらずといった感じで、裁判官や弁護士の質問にも全くの無反応。本人の証言が一切出ないまま、裁判は被告に不利な状況で進行した。このままではネイランドが死刑になってしまう。焦るピートリ博士とマーク・ウェストンのもとへ、上海のラモス刑事から電報が届く。フーマンチューが生きているのだとすれば、今回の出来事は彼の仕業である可能性が高い。ネイランドを救うため、ウェストンは上海へ飛ぶことにした。一方、警察の捜査網が狭まってきたことに危機感を抱いたカートとイングリッドは、ロナルドと合流すべくフーマンチューの城へと向かう…。

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整形手術で作り上げられた偽ネイランド・スミス

上海で歌手として働くロナルドの愛人イングリッド(M・ローム)

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クラブ店主カート(P・カルステン)を調べるラモス刑事(T・フェラー)

ネイランドの運転する車がガス欠を起こす

 というわけで、ネイランド・スミスにマーク・ウェストン、ロナルド・モス、カート・ヘラ―といった主要人物たち全員がフーマンチューの城へとたどり着き、役者が揃ったところでクライマックスの大立ち回りと相成るわけだ。そもそも、どこからどう見ても日焼けした黄色人種のぽっちゃり体型な中国人青年を、整形手術で白人の中年紳士ネイランド・スミスに変えてしまうというアイディアが荒唐無稽。顔だけしか手術してないはずなのに、いつのまにか全身の皮膚の色や体型まで変わっているんだから(笑)。しかも、うつろな目つきで一言も喋らない被告人を前に、そのまま裁判を進めてしまう裁判官や弁護士というのもあり得ない。普通なら精神鑑定にでも回すだろうに。ただ、そんなことしてたら都合よく話が進まないので、合理的な展開や説明などは一切無視。所詮はファンタジーですから、というあからさまな開き直り方は、ある意味で潔いと言えるかもしれない。もちろん、人によって賛否両論は大きく分かれると思うのだが。
 今回は前作で第2班の撮影を担当していたジョン・フォン・コッツェが、めでたく撮影監督に昇進。『バンパイア・ラヴァーズ』(70)や『吸血サーカス団』(72)などのハマー・ホラーを数多く手掛けたスコット・マグレガーが美術デザイン、『姿なき殺人者』(65)などの推理サスペンス映画を得意としたマルコム・ロックヤーが音楽スコア、『円卓の騎士』(53)や『虐殺の女王』(67)などの撮影監督を手掛けたスティーブン・デイドが追加撮影を担当。また、イギリスの有名なソウル・シンガー、サマンサ・ジョーンズがマリア・ロームの歌声を吹替えている。

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ピートリ博士はネイランドが偽物にすり替えられたと気付かない

本物のネイランドは中国行きの貨物船に乗せられた

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偽ネイランドは秘書ジャスミン(M・チョン)を殺害する

マークはネイランドを救うため中国へ向かうことに

 今回、フーマンチューとは全くタイプの異なるアメリカンな極悪人ロナルド・モス役として、マカロニ・ウェスタンの悪役スターとしてもお馴染みのドイツ人俳優ホルスト・フランクが登場。シカゴ・ギャングにしては、話す英語のヨーロッパ訛りが強すぎるんじゃない!?と突っ込みたくもなってしまうのだが、そこは演じるフランク自身の存在感とカッコ良さに免じて許してあげたいところ(笑)。
 そんな彼の部下にしてライバルのカート・ヘラ―役には、地元西ドイツのみならずハリウッドでも戦争映画のヒーローとして活躍したドイツ人俳優ペーター・カルステン。彼ら二人に愛される美女イングリッド役には、当時のハリー・アラン・タワーズ夫人であり、鬼才ジェス・フランコ作品のヒロインとしても活躍したオーストリア人女優マリア・ローム。
 そして、ネイランド・スミスに代わってフーマンチューを追いつめるFBIのイケメン捜査官マーク・ウェストン役には、イギリスの“Riviera Police”(65)やオーストラリアの“The Rovers”(69〜70)などテレビのアクション・ドラマに主演したニュージーランド出身のノエル・トレヴァーセン。ダグラス・ウィルマ―の薄い存在感を補って余りあるカッコ良さだ。
 その他、今回もピートリ博士役を演じるハワード・マリオン=クロフォード、『引き裂かれたカーテン』(66)の東ドイツ側スパイ役で知られるウォルフガング・キーリング、人気SFドラマ『スペース1999』の女性隊員タニア役で有名なスザンヌ・ロケット、フィリピンで60年代から80年代にかけて通算15本も作られた有名なスパイ映画トニー・ファルコン”シリーズの主演俳優トニー・フェラーなどが出演。また、ハマー・ホラー『ミイラの幽霊』(59)で警察のムルーニー捜査官役を演じていた俳優エディー・バーンズが、ノー・クレジットで豪華客船の船長役を演じている。

 

女奴隷の復讐
The Blood of Fu Manchu (1968)
日本では1970年劇場公開
VHSは日本未発売・DVDは日本発売済
※日本盤DVDとアメリカ盤DVDは別仕様

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(P)2003 Blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/94分/製作:イギリス・西ドイツ・スペイン・アメリカ

特典映像
メイキング・ドキュメンタリー
国際版オリジナル劇場予告編
アメリカ版オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
タレント・バイオ
フーマンチュー・トリビア
監督:ジェス・フランコ
製作:ハリー・アラン・タワーズ
原作:サックス・ローマ―
脚本:ハリー・アラン・タワーズ
撮影:マヌエル・メリーノ
音楽:ダニエル・ホワイト
出演:クリストファー・リー
   ツァイ・チン
   リチャード・グリーン
   マリア・ローム
   シャーリー・イートン
  
ハワード・マリオン=クロフォード
   ゲッツ・ゲオルグ
   リカルド・パラシオス
   ロニー・フォン・フリードル
   ポーレット・ツー

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誘拐された女性たちを威圧するリンタン(T・チン)

フーマンチュー(C・リー)は女性たちを刺客として利用するつもりだ

 ちょっと意外な人選ではあるが、独自のエログロ・ワールドで世界中に熱狂的なファンを持つスペインのカルト映画監督ジェス・フランコを起用したシリーズ第4弾。南米のジャングルに秘密基地を築いたフーマンチューが、世界各国の警察指導者を抹殺するために10人の女性を刺客として送り込む。殺しの手段は“キッス”。女性の体内にヘビの猛毒を仕込み、キッスによって相手を毒殺するというのだ。全編これチープなエロとグロとナンセンスがてんこ盛り。これまでギリギリご法度だったおっぱい丸出しも全面解禁。良い意味でも悪い意味でも、いかにもジェス・フランコらしい悪趣味なトラッシュ・ムービーに仕上がっている。
 南米はジャングル奥地の古代遺跡を改造して秘密基地とし、誘拐してきた若い美女たちを拷問&調教するフーマンチューと娘リンタン。彼らはジャングルに古くから伝わる秘法を使い、ヘビの猛毒を女性たちの体内に仕込む。するとビックリ、キッスによって相手を毒殺することが出来るようになっちゃうのだ。フーマンチューは彼女たちを世界各国へ送り込み、大物警察指導者たちを一斉に抹殺しようと計画する。もちろん、宿敵ネイランド・スミスは第一ターゲットだ。猛毒によって徐々に体が蝕まれていく中、ネイランドは親友ピートリ博士や友人の諜報員カールの協力を得て、フーマンチューの秘密基地を壊滅させるべくジャングルへと足を踏み入れる。
 これまでの痛快なB級娯楽アクション路線から、一気に方向性が変わった本作。ノリとしては、“イルザ”シリーズに代表される亜熱帯系C級女囚アクションに近いものを感じる。例えるならば、前作までが池袋のナムコ・ナンジャタウンだとすると、本作はさしずめ熱海の秘宝館。これはもう、完全にジェス・フランコが趣味に走ってしまった結果であろう。
 もともと、自分が好きで撮る作品と割り切って撮る作品では力の入れ具合が天と地の差ほど広がってしまうフランコ監督。サックス・ローマ―やエドガー・ウォレスの熱狂的な大ファンだと自認しているだけあって、ノリノリで撮っていることはよ〜く分かる…のだが、いかんせんこの人、アクション・シーンの撮り方が救いようのないくらいに下手っくそな上、スリルやサスペンスを盛り上げるコツみたいなものをよく分かっていない。『マルキ・ド・サドのジュスティーヌ』(68)や『ヴァンピロス・レスボス』(70)などの代表作を見れば一目瞭然だが、彼は独特の趣味を持ったムード志向のアングラ映像作家であり、残念ながらこの手の活劇映画にはあまり向いてなかったように思う。もともと子供の頃からハリウッドの古い連続活劇が大好きだったというフランコだが、必ずしも“好きこそものの上手なれ”というわけにはいかないのである。
 なので、本作もフランコ作品特有のアングラなバッド・テイストを楽しめる人であればそれなりに退屈しないと思うが、そうでなければ結構厳しい内容かもしれない。正直なところ、冒険活劇としては全くの駄作。テンポは遅いし、アクションは緩いし、サスペンスの緊迫感もへったくれもない。とはいえ、チープでお下劣なユーロトラッシュの魅力は満載。もともとサックス・ローマ―の原作シリーズ自体が安手のパルプ・フィクションなわけだから、これはこれでアリだったりするようなしないような…(笑)

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フーマンチュー一味に襲われた諜報員カール(G・ゲオルグ)

刺客の第一号として選ばれたセレステ(L・フォン・フリードル)

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ネイランド(R・グリーン)はフーマンチューの生存を確信していた

ネイランドを毒殺すべくキッスするセレステ

 南米のジャングル奥地に眠るインカ帝国の古代遺跡。犯罪王フーマンチュー(クリストファー・リー)と愛娘リンタン(ツァイ・チン)は、この地に新たな秘密基地を作った。最大の理由は、インカの時代から伝わる究極の暗殺術を利用するためだ。その暗殺術とは、ヘビの猛毒を女性の体内へ仕込み、キッスによって相手を亡き者にするというもの。毒を仕込まれた女性は6週間で死んでしまうが、それだけの時間があれば暗殺を遂行するには十分だ。
 うら若き美女たちを誘拐し、冷酷な暗殺者に仕立てるべく拷問と調教を繰り返すフーマンチュー。彼はこの美女たちを使って、世界各国の警察指導者10人を抹殺しようと計画していた。もちろん、最大のターゲットは宿敵ネイランド・スミス(リチャード・グリーン)である。
 その頃、ジャングルの案内人カール・ヤンセン(ゲッツ・ゲオルグ)は考古学者ワグナー博士を連れてインカ帝国の古代遺跡を目指していた。ところが、侵入者を警戒するフーマンチューの手下たちに銃撃され、ワグナー博士は射殺されてしまった。命からがら逃げだしたカールは、救援を要請するために地元の領事館へと駆け込む。ところが、暇を持て余していた領事は彼を犯罪の容疑者として拘束し、趣味のチェスの相手をさせることにする。
 実は、カールはフーマンチューの足跡を追うためにネイランドが送り込んだスパイだった。フーマンチューがジャングルの奥地を拠点にしているようだとの電報をカールから受け取ったネイランド。そんな時、セレステ(ロニー・フォン・フリードル)という女性が彼のもとを訪れる。フーマンチューの送り込んだ刺客だ。
 いきなりネイランドにキッスをするセレステ。その様子を親友ピートリ博士(ハワード・マリオン=クロフォード)はニヤニヤしながら見ていたが、次の瞬間ネイランドは苦しそうにして倒れてしまった。逃げるセレステを追いかけるピートリ博士。だが、彼女は外で待機していた車に跳ね飛ばされて即死してしまった。急速に毒が体に回り、目が見えなくなってしまったネイランド。過去に読んだ文献によると、数か月後には死んでしまうはずだ。それまでに治療方法を見つけなくてはいけない。ネイランドとピートリ博士は、南米へ行くことを決めた。解毒剤を探すために、そしてフーマンチューを成敗するために。
 一方、ジャングルの周辺ではサンチョ・ロペス(リカルド・パラシオス)という盗賊が幅をきかせていた。フーマンチュー一味も食料や資材を奪われるなど、たびたび盗賊の被害に遭っている。猜疑心の強い彼はサンチョがネイランドのスパイではないかと疑い、盗賊一味を皆殺しにするようリンタンに命じた。
 サンチョ・ロペスはミリアという小さな町を根城にしていた。そのミリアに新しく赴任して来た看護婦こそ、殺されたワグナー博士の娘ウルスラ(マリア・ローム)だった。傍若無人なサンチョ一味に眉をひそめるウルスラ。その晩、サンチョと手下たちが宴を繰り広げていると、美しき踊り子が突然現れて官能的なダンスを繰り広げる。フーマンチューの送り込んだ刺客だ。しかし、サンチョに近づこうとした瞬間に殺されてしまう。その様子を陰から見守っていたリンタンは、手下たちに命じて盗賊たちを皆殺しにし、頭であるサンチョを生け捕りにした。当初はフーマンチューへの協力を拒んだサンチョだったが、報奨金につられて仲間となることにする。
 ミリアでの大量虐殺を目の当たりにしたウルスラは、助けを求めて領事館へと駆け込み、そこでカールと再会する。父親が殺されたことを知ってショックを受けるウルスラ。領事もようやくジャングルで起きてる異常事態を悟る。救援隊と共にミリアへ向かったカールとウルスラは、その途中でネイランド・スミスとピートリ博士の一行と合流する。ところが、サンチョ・ロペスの率いるフーマンチュー一味によって、ピートリ博士とウルスラが捕らわれてしまった。
 その頃、世界各地では黒衣の未亡人(シャーリー・イートン)に率いられた女暗殺団が“殺しのキッス”を用いて警察指導者たちを次々と襲っていた。地元住民の協力でネイランド・スミスの解毒剤は見つかったが、回復するまでには時間がかかる。ピートリ博士とウルスラを救い出すため、カールは単身フーマンチューの秘密基地へと乗り込む…。

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抵抗する女性たちには容赦ない拷問が加えられる

小さな町ミリアに赴任した看護婦ウルスラ(M・ローム)

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盗賊のリーダー、サンチョ(R・パラシオス)と手下たち

猛毒に体を蝕まれながらも南米へやって来たネイランド

 それまで母国スペインで超低予算のB級ホラーばかり撮っていたジェス・フランコにとって、本作は初めてのインターナショナルな“娯楽大作”だったという。それだけに、当初電話でオファーを受けた時は、知り合いの仕組んだ悪いジョークだろうと思っていたそうだ。しかも、その電話はハリウッドからの国際電話だという。いかにも子供じみた悪戯と受け取るのも仕方なかろう。
 ところが、その4日後に再び電話がかかってきて、マドリード市内のホテルで打ち合わせをしたいという。これはどうやら本当の話みたいだ。相手はプロデューサーのハリー・アラン・タワーズ。聞けばクリストファー・リーやリチャード・グリーンなどの有名俳優が出演し、ブラジルでロケ撮影をすることになっているらしい。しかも、製作費やギャラはこれまでの仕事の5倍以上。願ってもない夢のようなオファーだったもんだから、その場ですぐに契約書へサインしたそうだ。
 実をいうとハリー・アラン・タワーズは低予算でそつなく映画を撮れて、しかも安いギャラで使える監督を探していた。フランコはオーソン・ウェルズの映画を手伝った実績もあったことから、世界各地に情報網を持つタワーズもそれとなく評判を耳にしていたのであろう。それでも、スペインのローカルで地道に活動してきたフランコにとってみれば、提示された予算やギャラの金額は大作映画並に大きなものだったのかもしれない。これをきっかけにフランコとタワーズは意気投合し、『マルキ・ド・サドのジュスティーヌ』や『悪徳の快楽』(69)、『吸血のデアボリカ』(70)といったカルト映画を次々と生み出していくこととなる。
 ちなみに、特別ゲストとしてシャーリー・イートンがワン・シーンだけ出演しているが、実はこの映像、ハリー・アラン・タワーズの製作でほぼ同時期にブラジルで撮影を行ったフランコ監督の女スパイ映画The Seven Secrets of Sumuru”(68)の削除シーンを流用したもの。このシーンが別の映画に使用されることも、さらには特別ゲストとして名前がクレジットされることも、シャーリー・イートン本人には一切の断りがなかったらしく、後からその事実を知ったイートンは本気で激怒したそうだ。
 撮影監督を担当したのは、本作を皮切りに『ヴァンピロス・レスボス』や『シー・キルド・イン・エクスタシー』(70)など数多くのフランコ作品を手掛けることになるスペインのカメラマン、マヌエル・メリーノ。また、フランコ作品には欠かせない作曲家ダニエル・ホワイトが音楽スコアを、シリーズ2作目から参加しているアラン・モリソンが編集を手掛けている。

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領事館で再会したカールに助けを求めるウルスラ

フーマンチューは生け捕りにしたサンチョを仲間にする

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ピートリ博士とウルスラはフーマンチューの捕虜となってしまう

女暗殺団を率いる黒衣の未亡人(S・イートン)

 今作で3代目ネイランド・スミスを演じるのは、30〜40年代のハリウッド映画で活躍したイギリス人俳優リチャード・グリーン。一時期は、あのタイロン・パワーと肩を並べるほどのトップ・スターだった人だ。その知的で華のある存在感とオーラは、フーマンチューの宿敵ネイランド役としてまさに適任。ただ、特別ゲストとしてクレジットされていることからも分かる通り、出番そのものが少ないのはちょっと残念だった。
 そのネイランドの代わりに大活躍するカール・ヤンセン役には、80年代から90年代にかけて西ドイツで大ヒットしたテレビ映画『ジャーマンヒート』シリーズの刑事役で国民的スターとなった俳優ゲッツ・ゲオルグ。その恋人でワグナー博士の娘ウルスラ役には、前作『怪人フー・マンチューの復讐』に引き続いてマリア・ロームが起用されている。
 その他、ピートリ博士役のハワード・マリオン=クロフォード、マカロニ・ウェスタンの悪役としても顔馴染みのスペイン人俳優リカルド・パラシオス、『決死圏SOS宇宙船』(69)のオーストリア人女優ロニー・フォン・フリードル、これがシリーズ3度目の登板となる秘書ロータス役のポーレット・ツーなどが出演。中でも、マカロニ・ウェスタンの世界からそのまま抜け出てきたような盗賊サンチョ・ロペスを演じるパラシオスの演技は痛快で、本作の数少ない見どころの一つとなっている。また、先述したように『007/ゴールドフィンガー』(64)の金箔ボンドガールとして有名な女優シャーリー・イートンが、本人には無断の特別ゲストとして顔を見せているのも一応注目しておきたい。

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ジェス・フランコ

クリストファー・リー

ツァイ・チン

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ハリー・アラン・タワーズ

シャーリー・イートン

 

 

The Castle of Fu Manchu (1969)
日本では劇場未公開
VHS・DVD共に日本未発売

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(P)2003 Blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/モノラル/音声:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/94分/製作:イギリス・西ドイツ・スペイン・イタリア・リヒテンシュタイン

特典映像
メイキング・ドキュメンタリー
オリジナル劇場予告編
ポスター&スチル・ギャラリー
タレント・バイオ
フーマンチュー・トリビア
監督:ジェス・フランコ
製作:ハリー・アラン・タワーズ
原作:サックス・ローマ―
脚本:ハリー・アラン・タワーズ
   マンフレッド・バルテル
撮影:マヌエル・メリーノ
音楽:カルロス・カミレーリ
   マルコム・シェルビー
出演:クリストファー・リー
   ツァイ・チン
   リチャード・グリーン
   マリア・ペルシー
   ハワード・マリオン=クロフォード
   ギュンター・ストール
   ロサルバ・ネリ
   ホセ・マヌエル・マルティン
   ジェス・フランコ

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カリブ海で豪華客船が氷山に激突して沈没した

もちろん犯罪王フーマンチュー(C・リー)の仕業だ

 これがシリーズ最終章。日本では劇場公開はおろかテレビ放送すらされなかったが、正直なところそれもむべなるかなといった塩梅の出来栄えである。一応、フーマンチューの陰謀計画のスケールだけはそれなりにデカい。世界中の海を一瞬にして氷に変えてしまおうってのだから。ところが、肝心の見せ場は全て他の映画やシリーズ旧作からの映像流用。アクション・シーンの演出も相変わらずモタモタしているし、あらゆる展開が終始あっけなく描かれるもんだからドキドキハラハラのスリルもほぼゼロに等しい。なんだか尻つぼみのようにしてシリーズが終わってしまったのは残念である。
 カリブ海で豪華客船が沈没した。原因は氷山との激突。案の定、犯罪王フーマンチューの仕業だった。彼はトルコの宮殿を占拠して秘密基地とし、2週間以内に降伏しなければ世界各地の海を氷に変えてやると宣言する。しかし、実は彼の陰謀計画はまだ未完成だった。誘拐してきた科学者ヘラクレス博士は心臓病を患っており、あと一歩のところで秘密兵器の開発がストップしていたのである。そこで、フーマンチューは博士の主治医ケスラーを誘拐して心臓の移植手術をさせようとする。だが、ケスラーの友人がネイランド・スミスだったことはフーマンチューの大きな誤算だった…。
 というわけで、冒頭から豪華客船の沈没パニック・シーンあり、中盤ではダムの決壊シーンありといった具合に、一見すると派手な見せ場が用意されているようにも思えるのだが、いずれも全く別の映画から拝借されたものばかり。豪華客船の沈没は『SOSタイタニック』(58)、ダムの決壊はダーク・ボガード主演の“Campbell's Kingdom”(57)。しかも、誰が見ても明らかに違う映画のワン・シーンだと分かってしまうような有様だ。なにしろ、『SOSタイタニック』は白黒映画だし、“Campbell's Kingdom”もカラーの質感が全く違う。しかも、ダーク・ボガードの姿まで映りこんでしまっているのだから、いい加減というかなんというか(笑)
 さらに、フーマンチューと手下たちが豪華客船を沈没させるために秘密兵器を操作するシーンは、シリーズ2作目『怪人フーマンチュー/連続美女誘拐事件』のクライマックスでレーザー兵器を操作するシーンをそのまま流用。バート・クオークがフーマンチューに射殺される場面まで丸々残してしまっている。この無神経さだけでも、製作陣の姿勢というものが如実に分かろうというものだろう。
 主な撮影場所であるトルコのロケーションは風光明媚で美しいし、イタリアのカルト女優ロサルバ・ネリ扮する男装の女スパイなどアメコミ的な要素を盛り込んだのも悪くはないが、いかんせん作り手の志が低すぎた。犯罪王とは思えないようなチョンボばかりするフーマンチューも情けないし、上映時間を稼ぐための穴埋め的なシーンもやけに多すぎる。アクション・シーンだって、スタントマンが適当に飛び回っているのをダラダラと撮っているだけ。しかも、照明の当て方が下手くそなので、スタッフの影があちらこちらにバッチリと写ってしまっている。ジェス・フランコもハリー・アラン・タワーズも、もしかすると既にやる気を失っていたのかもしれない。そんな風に思えてしまうほどの酷い仕上がり。そういった意味では、もしかしたら一見の価値ぐらいはあるかも…!?

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休暇中のネイランド(R・グリーン)がロンドンへ呼び戻される

次なる破壊行為を予告するフーマンチューとリンタン(T・チン)

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リンタンはトルコで女スパイ、リサ(R・ネリ)と接触

領事館を襲撃するフーマンチュー一味

 カリブ海を運航していた豪華客船が巨大な氷山と激突した。フーマンチュー(クリストファー・リー)一味の仕業である。遠隔操作で海水を氷結させたのだ。乗客もろとも沈没していく豪華客船。しかし、フーマンチューの秘密兵器には重大な欠陥があり、オーバーヒートが原因で大爆発してしまった。フーマンチューと娘リンタン(ツァイ・チン)は間一髪で脱出に成功する。
 休暇を利用してピートリ博士(ハワード・マリオン・クロフォード)と釣りを楽しんでいたネイランド・スミス(リチャード・グリーン)は、豪華客船がカリブ海で氷山に激突するという新聞記事を読んで衝撃を受ける。これはフーマンチューの仕業に違いない。案の定、ネイランドはすぐにロンドンへ呼び戻された。電波ジャックされたラジオでは、フーマンチューからのメッセージがひっきりなしに流れている。2週間以内に各国のリーダーが降伏せねば、さらなる大惨事を引き起こすというのだ。
 その頃、トルコのイスタンブールではリンタンが男装の女性スパイ、リサ(ロサルバ・ネリ)と接触していた。リサはトルコの麻薬王オマール・パシャ(ホセ・マヌエル・マルティン)の右腕だ。実は、秘密兵器を開発するためには原料となるアヘンが大量に必要だった。黒海に面したアナトリア半島の小さな町の領事が大量のアヘンを隠し持っていると知ったフーマンチューは、地元の裏社会を牛耳るパシャの協力を得てそのアヘンを奪おうと考えたのだ。
 宮殿のような領事館へ忍び込むフーマンチュー一味とパシャの武装兵たち。警備の手薄な領事館はあっという間に占拠されてしまった。しかも、フーマンチューは助太刀をしたパシャの武装兵たちを皆殺しにし、有能なスパイであるリサだけを生け捕りにする。拷問を加えて洗脳し、自分の部下として利用するためだ。そして、領事暗殺が外部へ漏れていないのをいいことに、彼はこの広大な宮殿を秘密基地として使うことにした。
 一方、フーマンチューがどのようにして海水を氷結させることが出来たのかと頭を悩ませていたネイランドだったが、ピートリ博士は自宅の書斎に眠っていた本の存在を思い出した。それは、ヘラクレス博士(グスタヴォ・レー)という人物が記した研究所で、アヘンを使って海水を氷に変えることが出来ると書いてある。早速、ヘラクレス博士の所在を探して主治医カート・ケスラー(ギュンター・ストール)のもとを訪れたネイランドとピートリ博士だったが、二人が目を離しているすきにケスラー医師と助手イングリッド(マリア・ペルシー)はフーマンチュー一味にさらわれてしまった。
 実は、ヘラクレス博士はフーマンチューに誘拐され、秘密兵器開発のために協力させられていた。だが、博士は心臓病が原因で衰弱著しく、ラボにも足を運べないような状態だった。そこで、フーマンチューは心臓外科の世界的権威でもある主治医ケスラーと助手イングリッドを誘拐し、ヘラクレス博士の心臓移植手術をさせようと考えたのである。最初は協力を拒むケスラー医師だったが、フーマンチューは近隣のダムを決壊させて自らの力を知らしめた。
 その頃、フーマンチューによって部下を虐殺され、大切な右腕リサを拉致されたパシャは復讐を計画していた。トルコ警察からの連絡でその不穏な動きを知ったネイランドは、フーマンチューの秘密基地がアナトリア半島にあると気付く。トルコはアヘンの重要な密輸経路であるし、なによりもアナトリア半島は黒海に面している。秘密兵器の開発をするには最適な場所だ。
 トルコへと向かったネイランドは、フーマンチューへの復讐を計画するパシャと接触。共通の敵を倒すために力を合わせることとなる。その頃、ケスラー医師の手術によってヘラクレス博士の病状は回復していた。果たして、ネイランドとパシャはフーマンチューの野望を未然に打ち砕くことが出来るのか…!?

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フーマンチューへの服従を頑なに拒絶するリサ

領事館を秘密基地と定めたフーマンチュー

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秘密兵器の開発に必要なヘラクレス博士は末期の心臓病だった

心臓外科医ケスラー(G・ストール)と助手イングリッド(M・ペルシー)

 とりあえず一番の見どころは、ロケで使用された豪華な宮殿とトルコ風のエレガント衣装に身を包んだ女優ツァイ・チン。ロサルバ・ネリ扮する男装の麗人リサというキャラクターも面白いのだが、いま一つストーリーに生かすことができなかった。まるで仕事をする気のないトルコ警察の捜査官をジェス・フランコ監督自身が演じているというのも皮肉といえば皮肉だが、果たして何かしらの意図が含まれたキャスティングなのかどうか。
 さすがにネタが尽きてきたのかどうかは定かでないものの、本作はドイツ人の脚本家マンフレッド・バルテルなる人物がハリー・アラン・タワーズとの共同で脚本を執筆。前作に引き続いてマヌエル・メリーノが撮影監督を担当している。さらに、アラン・ドロン主演の『黒いチューリップ』(64)などの歴史劇を得意としたサンチャゴ・オンタニョンが美術デザイン、イタリア産のスパイ映画『キス・キス・バン・バン』(66)のベレニチェ・スパラーノが衣装デザインとして参加。
 また、今回はマルタ島出身の有名な現代音楽家カルロス・カミレーリが音楽スコアを手掛けており、メロディアスかつスリリングで抒情的なサウンドを聴かせてくれる。この音楽だけはシリーズ中でベストの出来栄えだ。

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己の力を見せつけるためにダムを決壊させたフーマンチュー

その様子を眺めて悦に入る

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フーマンチューに復讐心を燃やす麻薬王パシャ(J・M・マルティン)

ネイランドはパシャの協力を仰ぐ

 前作に引き続いての登場となったネイランド・スミス役のリチャード・グリーン。今回は出番もぐっと増えてヒーローらしい活躍ぶりではあるが、当時既に51歳ということでアクション・シーンは明らかに若いスタントマンが代役を務めている。また、フーマンチューに誘拐される心臓外科医ケスラー役には、70年代に西ドイツで大ヒットしたテレビの刑事ドラマ“Derrick”(75〜77)のギュンター・ストール。イタリアのジャッロ映画『ソランジェ 残酷なメルヘン』(72)の犯人役として記憶している映画ファンもいるかもしれない。
 そして、ケスラー医師の助手イングリッド役には、ハリウッド映画『男性の好きなスポーツ』(64)でロック・ハドソンと共演したオーストリア出身の美人女優マリア・ペルシー。エレガントで上品な女優さんだったが、ロミー・シュナイダーに瓜二つというのが仇になって、人気はあまり長続きしなかった。また、男装の麗人リサ役にはイタリアのセクシー女優ロサルバ・ネリが登場。後半ではしっかりとセミヌードも披露している。
 その他、主演のクリストファー・リー&ツァイ・チンと並んでシリーズ全作への出演を果たしたハワード・マリオン=クロフォード、マカロニ・ウェスタンの悪役としてお馴染みのスペイン人俳優ホセ・マヌエル・マルティンなどが出演。また、先述したようにフランコ監督がトルコ警察の捜査官を演じている。ただし、セリフは他人の吹替えで、まったく見た目とマッチしていないダンディな低音が不自然(笑)

 

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