歌うフレンチ・アクトレス
古今東西を問わず、歌を歌う映画女優は結構多い。それは何も映画の中だけとは限らない。女優活動の傍らで、プロの歌手として活躍する人だって少なくはない。ただし、女優は演じる事が本業なだけに、中には歌わない方が良かったような人もいる。事実、レコードを出した過去を封印しているような日本の女優だっているくらいだし。
だが、実は歌うことと演技をすることには密接な関係がある。どちらも言葉や体を使って感情を表現し、ドラマを伝えねばならないからだ。ゆえに、優れた歌い手であれば優れた演技をする事が出来るし、優れた演技者であれば優れた歌唱を聴かせてくれるもの。よく、歌の上手さというのは何オクターブ声が出るとか、どれだけ声量があるかとかいった物理的な基準で評価される事が多いが、それではあまりにも杓子定規が過ぎる。何よりも重要なのは歌心であり、それは俳優や歌手を問わず優れた表現者であれば誰でも備わっているものではないだろうか。
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ジェーン・バーキン |
さて、そもそもフランスは歌う女優の宝庫である。日本でも古くは高峰三枝子、もっと近いところだと松坂慶子や多岐川裕美、藤真利子、さらに近いところだと中谷美紀や柴咲コウなどなど、魅惑的な“歌う女優”は数多い。ディートリッヒからソフィア・ローレン、ジェニファー・ロペスに至るまで、スター女優が歌を歌うのは世界共通の現象だ。スペインのアナ・ベレン、ロシアのリュドミラ・グルチェンコ、ギリシャのイレーネ・パパスといった名女優もレコードをリリースしている。しかし、だ。何故か、総じてフランスの女優は最も歌が似合うように思えてならない。
ぶっちゃけたところを言うと、フランスの女優で抜群に歌が上手いという人は少ない。ここで言う“上手い”とは、いわゆる歌唱力というヤツだ。“歌うフランス女優”の代表格とも言えるジェーン・バーキンを筆頭に、マリー・ラフォレ、ブリジット・バルドー、ジャンヌ・モロー、アンナ・カリーナと、いずれも歌が上手いかどうかと言われれば、明らかに下手な部類に入るだろう。しかし、彼女たちには女優にしか出せない独特の“歌心”がある。こういうのを“ヘタウマ”と言うのだろうか。たとえ声量やオクターブが貧困であろうと、彼女たちにはそれに取って代わるユニークな表現力が備わっているのだ。
やはり、歌うフランス女優の最高峰と呼べるのはジェーン・バーキンだろうか。彼女のヘタウマさ加減は尋常ではない。センシュアルでエロティックで無垢。肺活量ほぼゼロのウィスパー・ボイスで、高音なんて殆どかすれて聞こえなかったりすることさえあるのだが、その確信犯的なさじ加減は天才的でさえある。要は演技力の問題なのだ。
実は、彼女は決して歌えない人ではない。かといって、むちゃくちゃ歌唱力のある人でもない。そこを、ウィスパーという歌唱法で演出を施しながら、独特のロリータ的な世界を作り出していってるのだ。そういった意味では、実に芸達者な歌い手だと言える。
ちなみに、ご存知だとは思うがジェーン・バーキンはフランス人ではない。生粋のイギリス人である。しかし、彼女の個性はフランスという異形を慈しみ育てる土壌にあって、初めて花開いたと言える。その手助けをしたのが、夫でもあった天才的芸術家セルジュ・ゲンズブールであったというのは、今更述べるまでもないだろう。
一方で、娘のシャルロット・ゲンズブールが15才の時にリリースしたアルバム「魅少女・シャルロット」には末恐ろしいものを感じたものだった。本物のロリータでありながら、母親のジェーンをも凌駕するような艶かしい表現力。あどけない少女が歌う無垢なエロティシズムだ。セルジュ・ゲンズブールが禁断の扉を開けてしまった、まさに反則技的な傑作だった。その後、音楽活動からは距離を置いていたシャルロットだが、最近約20年ぶりにアルバムをリリース。母ジェーンとは一味違った、気だるい大人のウィスパー・ボイスを聴かせてくれている。
セルジュ・ゲンズブールといえば一時期恋仲にあったブリジット・バルドーも手掛けているが、個人的にはセルジュと出会う前のバルドーの方が好きだったりする。彼女もまた歌唱力とは縁の遠いタイプの人だったが、そのキュートでコケティッシュな歌声は少女のような無邪気さに満ちていて、妙に心をくすぐられる。天衣無縫のロリータとでも言うべきか。よく聴くと、実はなかなかのテクニックの持ち主だったりするのも興味深い。ただ、ゲンズブールが手掛けた女優の中では、やはりバルドーよりもジェーン・バーキンやアンナ・カリーナの方がずっと彼の雰囲気だったようにも思う。
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ジャンヌ・モロー |
そのバルドーと映画「ビバ!マリア」で一緒に歌っていたのがジャンヌ・モロー。彼女も音程はいまひとつ安定しないわ、妙ちくりんな声をしてるわで、決して歌の上手い人とは言えないものの、不思議な味わいのある歌唱を聴かせてくれる。特に叙情的で美しいバラードや、お洒落なボサノバなんか歌わせれば天下一品で、逆に歌唱力のある歌い手には出せないようなエレガンスを漂わせる。その辺りは、シャーロット・ランプリングやカトリーヌ・ドヌーヴ、マルレーヌ・ジョベールなどにも共通するものがあるかもしれない。が、ドヌーヴはそれにしてもちょっと下手すぎた。表現力や雰囲気ではとてもカバーしきれないくらいに音痴なのは致命的だった。「8人の女たち」('02)ではファニー・アルダンやイザベル・ユペールらと共に歌を披露していたが、彼女が一番危なっかしかったのは残念ながら否定できまい。その点では、撮影当時85歳の大女優ダニエル・ダリューの堂々たる歌声は見事だった。なにせ、彼女こそ歌うフランス女優の原点とも言える人だから。
そういえば、彼女と同時代の大女優ミシェリーヌ・プレールも非常に上手い歌い手でもあった。甘く気品に満ちた美貌もさることながら、小粋で凛とした歌声はとても上品。彼女が歌う“La
Vie Parisienne”は、パリジェンヌの心意気を歌ったノスタルジックでエレガントな作品だった。
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アリエル・ドンバール |
さて、比較的最近の女優さんに目を移してみると、ダントツに注目したいのがアリエル・ドンバール。女優としてのキャリアは既に30年を越している大ベテラン。エリック・ロメール監督作品の常連として知られ、一時期ハリウッドでも活躍していたスターだ。しかも、映画監督・脚本家・作曲家などの肩書きを持つ才女でもあり、往年のバルドーを彷彿とさせる美貌の持ち主。
「恋の力学」('95)などの映画でも時折歌声を聴かせてくれてはいたが、2000年のアルバム“Liberta”で本格的に歌手デビューを果たした。これが、とても女優の片手間とは思えないくらいに上手いのだ。コンセプトとしてはエレクトロ・オペラで、彼女は見事なソプラノ・ボイスを披露してくれている。続く“Extase”も同じような内容の作品だったが、2004年にリリースしたサード・アルバム“Amor
Amor”ではラテン・スタンダードにチャレンジ。今度は戦前の流行歌手を思わせるビブラートを効かせた正統派のソプラノ・ボーカルで、実にノスタルジックでエレガントな世界を作り上げた。聞けば、彼女は幼少時代をメキシコで過ごした経験があるという。オランピア劇場のコンサートでは流暢なスペイン語でミュージシャンとコミュニケーションを取っていたが、そう言われるとなるほどと納得。矢継ぎ早に最新アルバム“C'est
Si
Bon”もリリースされており、しばらくは音楽活動に忙しそうな様子だ。
そういえば、昔ご贔屓だった女優マチルダ・メイも10年以上前に歌手デビューしたことがあったが、あまりパッとしなかった。アリエル・ドンバールに負けず劣らずの美女で歌唱力もあったが、変にアメリカやUKのアーバン・ソウルを狙ったのが失敗だったのかもしれない。やはり、フランス女優にはエスプリの効いたエレガンスが必要なのだ。
Je t'aime...moi non plus 〜 Ballade de Johnny-Jane 〜 Lolita Go
Home Ex-fan des sisties 〜 Lemon Incest (1986) こちらはセカンド・アルバム“Lolita Go
Home”をフル収録した上に、映画「マダム・クロード」のテーマ曲#16などアルバム未収録曲を詰め込んだコンプリート・シリーズ第2弾。キュートでグルーヴィーなロリータ・ディスコ#3は大傑作です。コール・ポーターの名曲をアーバンなアシッド・ジャズ風にカバーした#8なんかも、ジェーンのかすれ気味な気だるいロリータ・ボイスが卒倒しそうなくらいにセクシー。 “Ex-fan des sixties”と“Baby Alone In
Babylone”の2枚のアルバムをフル収録し、さらにイタリアのメロディ・メーカー、デ・アンジェリス兄弟のペンによる珠玉の名曲#24を収めたコンプリート・シリーズ第3弾。日本のテレビ・ドラマの主題歌として大ヒットした「無造作紳士」#5も収録されています。エレガントでデカダンなアーバン・ポップ#13やブラームスの交響曲第3番第3章に詩を付けたメランコリックで幻想的なバラード#23が特にオススメです。
Di doo
dah
Jane Birkin
Jane Birkin
Baby Alone
in Babylone
Jane Birkin
Charlotte
Gainsbourg
(P)1992 Phonogram(France)
(P)1992 Phonogram (France)
(P)1992 Phonogram (France)
(P) Philips/Phonogram
(France)
1,Je t'aime.... moi non
plus
en duo avec S.Gainsbourg ビデオ
2,Orang
Outang
3,18 - 39
4,Jane B.
5,Le canari est sur le balcon
6,La
chanson de Slogan
en duo avec S.Gainsbourg
7,Les langues de
chat
8,La decadanse
en duo avec S.Gainsbourg
9,Di doo
dah
10,Help camionneur
11,Encore lui
12,Puisque je te le
dis
13,Les capotes anglaises
14,Leur plaisir sans moi
15,Mon
amour baiser
16,Banana Boat
17,Kawasaki
18,La cible qui
bouge
19,La baigneuse de Brighton
20,C'est la vie qui veut
ca1,My cherie Jane
2,Bebe
Gal
3,Lolita Go Home
4,What Is This Thing Called Love
5,Bebe
Song
6,Where Or When
7,Si ca peut te consoler
8,Love For
Sale
9,Just Me And You
10,La fille aux claquettes
11,Rien pour
rien
12,French Graffiti
13,There's A Small Hotel
14,Ballade de
Johnny-Jane
15,Raccrochez c'est une horreur
16,Yesterday Yes A
Day
17,Mister Iceberg (version anglaise)
18,Ex-fan des sixties
(version anglaise)1,Ex-fan des sixties ビデオ
2,Apocalypstick
3,Exercice
en forme de Z
4,Melodie interdite
5,L'aquoiboniste
6,Vie mort et
resurrection d'un amour passion
7,Nicotine
8,Rocking
Chair
9,Depressive
10,Le velours des vierges
11,Classee
X
12,Melo Melo
13,Baby Lou
14,Fuir le bonheur de peur qu'il ne se
sauve
15,Partie perdue
16,Norma Jean Baker
17,Haine pour
aime
18,Overseas telegram
19,Con c'est con ces consequences
20,En
rire de peur d'etre obligee d'en pleurer
21,Rupture au miroir
22,Les
dessous chics
23,Baby Alone In Babylone
24,Quoi
25,Come un
gabbiano1,Charlotte Forever ビデオ
2,Ouvertures
eclair
3,Oh daddy oh
4,Don't forget to forget me
5,Pour ce que tu
n'etais pas
6,Plus doux avec moi
7,Elastique
8,Zero pointe vers
l'infini
9,Lemon incest
produced by Serge
Gainsbourg
アルバムを1枚づつ揃えるよりもお得なフォノグラムのコンプリート・シリーズ。中でも、この第1弾は彼女の名刺代わりとも言える禁断の大ヒット#1及び映画「スローガン」のテーマ曲#6、さらに初の単独名義アルバム“Di
doo
dah”を完全フルで収録したお買い得盤になってます。個人的には、#1よりもさらに官能的で叙情的な美メロ・ナンバー#8と、コケティッシュでメランコリックなロリータ・ポップ#9が超オススメ。
なんとも禁断の香りのするシャルロットのファースト・アルバム。特に父セルジュとデュエットした#1は本当にヤバイです。近親相姦のエロスってやつですか。あえぎ声にも似たウィスパー・ボイスで“パパ、パパ”と囁くシャルロット。甘く切ないメロディが、より官能的なムードを高めます。セルジュが父親の特権をフルに濫用した究極のロリータ・ポップスと言うべきでしょう。メランコリックで愛らしいメロディを、ため息混じりに切なく囁きまくる#5も傑作です。
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B.B.(1964) |
Master Serie |
Essentiellement |
(P)1998 Mercury/Polygram (France) | (P)2003 Universal (France) | (P)1997 CNR Music (France) |
1,Moi je joue 2,Une histoire de plage 3,Ca pourrait changer 4,A la fin de l'ete 5,Ne me laisse pas l'aimer 6,Maria minguem 7,Je danse donc je suis 8,Melanie 9,Ciel de lit 10,Un jour comme un autre 11,Les cheveux dans le vent 12,Jamais trois sans quatre direction musicale : Alain Goraguer |
1,India Song 2,Je suis vous tous qui m'ecoutez 3,Quelle merveille ton coeur 4,La velebrite, la publicite 5,Jamais 6,Je monte sur le planches 7,Le tourbillon 8,Les ennuis du soleil 9,Au verso de ce monde 10,Notre ile, ton ile, mon ile 11,On dit que je ne suis pas sage 12,Juste un fil de soie 13,Quelle histoire 14,Les voyages 15,Je suis a prendre ou a laisser 16,Le vrai scandale c'est la morte 17,Errante du coeur 18,Aimer 19,Que toi 20,Les plaintes de la plaine 21,Les petites ruisseaux font les grandes rivieres |
1,I Wanna Be Loved By You by Marilyn Monroe 2,La Complainte de ;'auberge rouge by Yves Montand 3,Quand on se promene au bord de l'ean by Jean Gabin 4,Moi je m'ennuie by Marlene Dietrich 5,Love Affair by Claudia Cardinale 6,Mariage by Rufus & Bulle Ogier 7,You Were Always There by Anthony Quinn 8,La vie Parisienne by Micheline Presle 9,She Says Move On by Carole Laure 10,Comme au Cinema by Alain Delon 11,Si on chantait Prevert by Jean Claude Brialy 12,Emmanuelle by Sylvia Kristel 13,100 ans deja by Richard Berry 14,Tout ca pour ca by Philippe Leotard |
バルドーの作品は、この頃が一番好きです。いわゆるイエ・イエ系のキュートでガーリーなフレンチ・ポップ。元気いっぱいなバルドーのボーカルは、フランス・ギャルなんかよりも遥かに上手く聴こえます。楽曲的にも、キャッチーでダンサンブルなロックン・ロールから、メランコリックでセンチメンタルなバラードまで色とりどり。個人的にはサイケデリックでファンキーなロック・ナンバー#5が特にお気に入りです。 | ジャンヌ・モローが60年代に発表した楽曲からセレクトされたベスト盤。流麗なメロディが爽やかな薫りを運ぶフォーク・バラードの名曲#3、遊び心溢れるキュートでポップなフレンチ・サンバ#6、叙情的でメランコリックなワルツ・ナンバー#8、ギリシャ民謡風の牧歌的でセンチメンタルなポップ・ナンバー#10など、ジャンヌの知的でフェミニンな歌声を生かした、小粋でノスタルジックな楽曲が並びます。シャンソン・ファンにもお勧め。 |
フランスでリリースされたコンピレーション盤で、映画スターの歌ばかりを集めたもの。当然ながら、殆どの楽曲がフランスのスターによるものです。中でもお勧めは、1940年代〜50年代に活躍した大女優ミシェリーヌ・プレールの歌う#8。古きよき時代のパリとパリジェンヌの心意気を歌った作品で、その凛とした歌声と豊かな表現力に惚れ惚れとします。シルヴィア・クリステルの歌う#12も、ジェーン・バーキンそっくりのウィスパー・ボイスが最高。 |
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Liberta (2000) |
Extase (2002) |
Amor Amor (2004) |
C'est si bon (2006) |
(P)2000 Universal (France) | (P)2002 Universal (France) | (P)2004 Warasse/Sony (USA) | (P)2006 Tempest/Sony/BMG (USA) |
1,Cara Sposa 2,Piangero 3,Ogni Indugio 4,Odysseus 5,A Child Is Born 6,Liberta 7,Vittoria 8,Sebben Crudele 9,Rejoice 10,Cold Song 11,Liberta Hot Division (Radio Edit) arrangements et realisation : Claude Morgan |
1,En aranjuez con tu amor 2,Pie jesu 3,L'ange amoureux 4,Senti lo battere 5,Pavane pour un amour divin 6,Sanctus 7,Prayer 8,Giovane Amore 9,Ave Maria 10,Lakme 11,In Paradisum |
1,Quien sera (Sway) 2,Amor Amor 3,Quizas, Quizas, Quizas (diet with Julio Iglesias) 4,Rhum and Coca-Cola 5,El Tiburon 6,Quiereme ( I Want) 7,As Time goes By 8,I Wish You Love 9,Cuando Calienta El Sol (When It Heats The Sun) 10,Solamente Una Vez (Once Only) 11,Whispering 12,Quizas, Quizas, Quizas 13,Besame Mucho artistic direction & production : Marc di Domenico |
1,C'est magnifico 2,C'est si bon ビデオ 3,Tico Tico 4,Relax-ay-voo 5,Dream a Lttle Dream of Me 6,Cheek To Cheek 7,Que Sera Sera 8,A Fine Romance 9,Moi, je m'ennuie 10,Paris in Delight 11,South American Way 12,Boys in the Backroom 13,Darling, je vous aimes beaucoup 14,Tenais que ser tu 15,I'm in the Mood for Love produced by Marc di Domenico |
とても女優の片手間とは思えない見事なソプラノで、バロック・オペラの世界を21世紀仕様で歌い上げるアリエル・ドンバールのファースト・アルバム。大半がヘンデルの作品で、#1、#6、#11が「リナルド」、#2が「ジュリアス・シーザー」、#5と#9が「メイサイア」といった具合。その他、パーセルやカリッシミ、カルダーラの作品も取り上げてます。サラ・ブライトマンに刺激されたであろう事は明らかなのですが、程よくエレクトリックでポップなアレンジが絶妙で、個人的にはサラ・ブライトマンよりも好き。 | 日本では「恋のアランフェス」として有名なロドリゴの「アランフェス協奏曲」#1で幕を開ける、アリエル・ドンバールのエレクトロ・オペラ第2弾。前回はバロックがテーマでしたが、今回はずばりロマン派。ガブリエル・フォーレを中心に、シャルル・グノー、ベートーヴェン、ムソルグスキーなど多彩な楽曲を取り上げています。唯一、#4のマルチェッロだけはバロック派ですが、全く違和感はなし。これがまたロマンチックで幻想的で美しいの何の!ため息と涙が止まらなくなります。この曲のためだけに買っても損なしと断言しておきます。 | 古き良き時代のラテン・ジャズを現代に甦らせた、ノスタルジックで官能的で耽美的なラテン・アルバム。戦前のハバナやマイアミ辺りのナイト・クラブを思わせる、華やかでデカダンな雰囲気を漂わせた傑作です。ビブラートを効かせた溜息まじりのソプラノ・ボイスは、むせかえるようにエロティックで上品。映画「カサブランカ」で有名な#7では特殊なモノラル・レコーディング効果を施しており、戦前のSP盤のような雰囲気を作り上げています。#3ではフリオ・イグレシアスとの濃厚なデュエットも披露。女性にもお勧めしたい1枚です。 | 前作が戦前のラテンなら、こちらは戦後のパリのナイト・クラブといった雰囲気のノスタルジックで小粋なジャズ・ボーカル・アルバム。ちょっとイージー・リスニング的なエッセンスも織り込み、非常にフェミニンでエレガントな作品に仕上がっています。正直、前作ほどの強烈なインパクトには欠けるものの、おフレンチ流大人のお遊び的センスは健在。もしかしたら彼女、「8人の女たち」に出たかったんじゃないかな〜。と、そんな気がしてきます。クイアーなセンスやムードが好きな人にもオススメです。 |
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En concert al Olympia
(2005) |
(P)2005 Tempest/Sony/BMG (USA) |
画質★★★★☆ 音質★★★★★ |
DVD仕様(北米盤) カラー/ワイド・スクリ−ン/5.1chDTSサラウンド・PCM2.0/音声:フランス語/字幕:なし/地域コード:ALL/125分/製作:フランス 映像特典 バック・バンド演奏集 “La chicana”プロモ・クリップ “Rhum and Coca-Cola”プロモ・クリップ |
1,Amor
amor 2,Perfidia 3,Quiereme 4,Amapola 5,Quizas,quizas,quizas 6,Solamente una vez 7,Cuando callenta el sol 8,As time goes by 9,You go to my head 10,I wish your love 11,Whispering 12,Rgum and Coca-Cola 13,Quien sera (sway) 14,Piel canela 15,El tiburon 16,Besame mucho 17,Preso no9 18,Cucurrucucu paloma |
アメリカでの人気も安定したアリエル・ドンバールがリリースしたライブDVD。派手な小細工を一切排した、シンプルかつエレガントなステージを堪能させてくれます。雰囲気はまさに戦前のハバナ。キューバから招いたミュージシャンの演奏をバックに、アリエルがファム・ファタール的魅力を振りまきます。ただ、ライブに慣れていないのか、低音になると音程が安定しなくなるのがちょっと気になりますね。あと、観客席に年配の女性が多いのも印象的。実は、大人の男性よりも大人の女性の方がうっとりと楽しめるのかもしれません。オススメ。 |