フェルナンダ・アブレウ Fernanda Abreu
〜サンバ・ファンクの女王〜
まあ、世の中にはいろいろと女王がいるものだが、フェルナンダ・アブレウは正真正銘(?)のサンバ・ファンクの女王。ブラジルではファンキ・カリオカと呼ばれているクラブ・ミュージックを代表するスター。そのサウンドは、いわゆるR&B的なファンクではなく、どちらかというとエレクトロやノイズに近いかもしれない。欧米的な打ち込みのクラブ・サウンドとブラジルの伝統音楽を融合したストリート・ミュージックと言えるだろう。このフェルナンダ・アブレウは、もともとアンダー・グランドだったファンキ・カリオカをいち早く取り入れた立役者とも言われている。
1995年にリリースしたアルバム“Da
Lata”はブラジル国内で驚異的なセールスを記録し、一躍スーパー・スターの仲間入りをした。ボクは、彼女を知るのがちょっと遅かったので、その次のアルバム“Raio
X”で初めて彼女のサウンドに触れたのだが、これがカッコ良かった。単なるエレクトロ・ファンクやラップの真似事ではなく、ちゃんと民族性が反映されていると言うか、ブラジル人にしか生み出せないファンク・サウンドをやってるのが気持ちいいのだ。日本でも最近一部で盛り上がってるというファンキ・カリオカ。その中でも、ストリートのコアなサウンドではなく、ポップ色の強いフェルナンダの作品は日本の一般リスナーにも受け入れられやすいと思う。
1961年8月9日、リオデジャネイロの生まれ。1981年にBlitzというバンドにバック・ボーカリストとして参加。このBlitzが80年代のブラジルを代表する人気ポップ・バンドとなった事から、本格的にプロとしての道を歩むようになる。86年にBlitzが解散すると、ソロ・デビューを目指してギターとボーカルのレッスンを受けるようになる。数々のライブを経験した後、1990年にソロ・デビュー・アルバム“SLA
Radical Disco Dance Club”をリリース。シングル“A
Noite”がヒットを記録した。
さらに、1992年にセカンド・アルバム“SLA 2”をリリースし、95年にはサード・アルバム“Da
Lata”をリリース。これがゴールド・ディスクを獲得する大ヒットとなり、続く97年の“Raio
X”もゴールド・ディスクを獲得。寡作ながらも、コンスタントにアルバムをリリースしている。
Raio X (1997) Entidade Urbana
(2000) Na Paz
(2005)
(P)1997 EMI (Brasil)
(P)2000 EMI (Brasil)
(P)2005 EMI (Brasil)
1,Radio X
2,Aquarela
Brasileira
3,Jack Soul Brasileiro
4,Un Amor, Um Jugar
5,Rio 40
Graus ビデオ
6,Jorge De
Capadocia
7,Speed Racer
8,A Noite (remix)
9,Voce Pra Mim
(remix) ビデオ
10,Garota
Sangue Bom (remix)
11,Veneo Da Lata (remix)
12,Bloco Rap
Rio
13,Katia Flavia A Godiva Do Iraja
14,E Hoje
produced by
Fernanda Abreu, Chico Neves, Bema Ceppas, Carlinhos Brown, Fernando Vidal,
etc.1,Sou Da Cidade
2,Baila Da
Pesada ビデオ
3,Rada Que Se
Mexe
4,Eu Quero Sol
5,Fatos E Fotos
6,Zona Norte-Zana
Sul
7,Sao Paulo-SP
8,Meu Cep Eo Seu
9,Urbano
Canibal
10,Megalopole-Cidade
11,Paisagem De Amor
produced by
Liminha e Chico Neves1,Brasileiro
2,Eu Vou Torcer ビデオ
3,Zazue
4,Bidolibido ビデオ
5,Sol-Lua
6,2
Namorados
7,Padroeira Debochada
8,Vida De Rei
9,A Onca
10,Sou
Brasileiro
11,Nao Deixe O Samba Murrer
produced by Fernanda
Abreu e Rodrigo Campello
過去のヒット曲のリミックスを含むサード・アルバム。ゴリゴリにファンキーな大ヒット曲#5もカッコいいけど、個人的には哀愁系サンバ・ファンクの佳作#2やトロピカルでサイケな#6(ジョルジュ・ベンのカバー)、グルーヴィーでちょいメロウなラップ・ナンバー#11(エリス・レジーナをサンプリング)辺りが大好きです。
ジャズ・ファンクからオールド・スクール、ディスコ、リズム&ブルースまで消化し、ブラジル流の洗練されたアーバン・ファンクに仕上げた4枚目のアルバム。前作に比べるとかなりアダルトな雰囲気ですが、その分聴きやすい作品になっているかと思います。個人的には90年代UKのアシッド・ジャズを思わせるダンス・ナンバー#6がお気に入り。
実に5年ぶりとなったオリジナル・アルバム。かなりブラジル色の強い作品ですが、その一方でオリエンタルな民族楽器も効果的に使用していて、とても野心的なアルバムに仕上がっています。ファンキーでありながらほど良くメロウで、その絶妙なバランス感覚はベテランの風格ですね。アルシオーネのカバー#11も最高の出来映えです。