The Feast/フィースト
Feast (2005)

2008年3月22日 ロードショー公開

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(P)2006 Dimension/Genius (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
DVD仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録
)/5.1chサラウンド/音声:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:1/92分/
製作:アメリカ

映像特典
削除シーン集
NG集
メイキング・ドキュメンタリー
特殊メイク・ドキュメンタリー
監督らスタッフによる音声解説
監督:ジョン・ギャラガー
製作:マイケル・リー
    ジョエル・ソッソン
製作総指揮:ベン・アフレック
        マット・デイモン
        クリス・ムーア
        ウェス・クレーヴン
脚本:パトリック・メルトン
    マーカス・ダンスタン
撮影:トーマス・L・キャラウェイ
特殊メイク:ゲイリー・J・タニクリフ
音楽:スティーヴ・エドワーズ
出演:バルサザール・ゲティ
    ヘンリー・ロリンズ
    クリスタ・アレン
    クルー・ギャラガー
    ナヴィ・ラワット
    ジュダ・フリードランダー
    ジョシュ・ザッカーマン
    ジェイソン・ミューズ
    ジェニー・ウェイド
    エリック・デイン
    アイリーン・ライアン

 アカデミー脚本賞を受賞した名作「グッド・ウィル・ハンティング」('97)のベン・アフレック、マット・デイモン、クリス・ムーアのトリオと、あのウェス・クレーヴンが製作総指揮に参加したモンスター・ホラーの怪作。ホラー映画界のヒット・メーカー、ウェス・クレーヴンが関わっているのは分るとしても、一体なぜベン・アフレックやマット・デイモンが!?と首を傾げたものの、本編を見て何となく納得。
 自称ヒーローがさんざん格好つけた挙句に真っ先ぶっ殺されたり、モンスターがやたらと性欲満々だったりと、いわばジャンル系映画のパロディ的要素が満載。だいたい、主人公たちがド田舎のホワイト・トラッシュばっかりで、全員が生存本能むき出しにするもんだから一致団結もクソもないのだ。そのひねくれた毒舌ユーモアは、アフレックやデイモンたちの盟友ケヴィン・スミスのセンスに近いものがあるかもしれない。
 その他、モンスターが剥製の鹿に欲情して腰をカクカクさせたり、モンスターの巨大なアソコをドアに挟んでちょん切ったりと、前代未聞のお下劣ギャグも連発。大量の血飛沫はもちろんのこと、ゲロの大噴射や顔面に這いつくばるウジ虫の群、床一面に飛び散る内臓などスプラッター描写も強烈。ある意味、「死霊のはらわた」ミーツ「ブレイン・デッド」的な一本。かなり見る人を選ぶ映画ではあるものの、好きな人にはたまらない作品であることは間違いないだろう。

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颯爽と現れる我らがヒーロー(エリック・デイン)!?

いかさまハスラーのボゾ(バルサザール・ゲティ)

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生活の為に体を売るウェイトレス、タフィー(クリスタ・アレン)

ちょっとトボけた老バーテンダー(クルー・ギャラガー)

 舞台は砂漠のど真ん中にある寂れた酒場。今夜も他に行く当てのない怪しげな連中がウダウダとたむろしている。いかさまハスラーのボゾ(バルサザール・ゲティ)、その弟で車椅子に乗ったホット・ホイール(ジョシュ・ザッカーマン)、年がら年中酔っ払ってフラフラしている老女グランマ(アイリーン・ライアン)、女優志願のウェイトレス、ハニー・パイ(ジェニー・ウェイド)にお触りしている自称ハリウッド関係者のコーチ(ヘンリー・ロリンズ)、店のオーナー(デュウェイン・ウィテカー)にファックさせながらタバコをふかしている子連れのウェイトレス、タフィー(クリスタ・アレン)などなど・・・。
 そこへ突然、モンスターの生首を片手に持った男ヒーロー(エリック・デイン)がドアを蹴り飛ばしながら入ってくる。彼の言うのには、この近辺に少なくとも4体のモンスターが徘徊していて、今すぐにでもドアや窓を閉め切らないと危ないという。キョトンとした顔のバーテン(クルー・ギャラガー)が、「で、お前は何者なんだ?」と訊ねる。「お前らを助けに来たのさ」と威勢よく言い放った瞬間、ヒーローは窓から手を伸ばしたモンスターに首をもぎ取られる。
 たちまち酒場は大パニックに。そこへ、ヒーローの妻であるヒロイン(ナヴィ・ラワット)がライフルを片手に酒場へ入ってくる。夫の死体を発見して復讐に燃えるヒロイン。そこへ、ちびっ子モンスターが飛び込んできたもんだから大騒ぎ。客の撃った弾が他の客に命中したりと、次々と無様な殺戮(?)が繰り広げられる。
 さらに、2階に残されていたタフィーの幼い息子がモンスターに食い殺され、現場に居合わせたビア・ガイ(ジュダ・フリードランダー)がモンスターのゲロを全身に浴びてしまう。一体奴らは何者なんだ!?愕然とする人々は、自分たちが得体の知れない怪物たちに取り囲まれている事を知る。
 そこで、先ほど酒場内に乱入したちびっ子モンスターの死体を外に放り出し、自分たちと関わったらこんな目に遭うぜ!と威嚇してやろうとコーチが提案する。しかし、どうやらモンスターたちは家族連れで、先ほど殺したちびっ子は彼らの子供だったようだ。とすれば、逆に彼らを刺激してしまったことになる。しかも、母親モンスターは子供をムシャムシャと食べてしまう。そして、母親モンスターと父親モンスターはその場でセックスを開始。たちまち双子の子供モンスターを出産してしまった。
 メンバーを増強したモンスター軍団は、より凶暴になって酒場を襲撃しようとする。穴から外を覗いていたビア・ガイは目玉をくり抜かれ、その傷口からはうじ虫がワサワサと湧いてくる。ボソは2階にある無線で外と連絡を取ろうとするが失敗。そこへモンスターが飛び込んで来るものの、間一髪で脱出した。その際、モンスターの巨大なイチモツをドアに挟んでちょん切ってしまう。さらに、ブービー・トラップを仕掛ける為に外へ出たヒロインが惨死。
 そこで主人公たちは、モンスターたちの気をそらしている隙に、誰かが外に停めてあるトラックに乗り込み、酒場の前で全員を拾って脱出するという計画を立てる。ところが、自ら志願したハニー・パイがトラックに乗り込んでそのままトンズラしてしまう。果たして、残された人々の運命やいかに・・・!?

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復讐に燃えるヒロイン(ナヴィ・ラワット)

いつも血だらけのハニー・パイ(ジェニー・ウェイド)

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剥製の鹿に欲情するちびっ子モンスター

凶悪な姿をさらす砂漠のモンスター

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ドアに挟まれちゃったモンスターのアソコ

こんな痛そうなシーンも盛りだくさん!

 監督を手掛けたのは、これがデビュー作となるジョン・ギャラガー。本作でバーテン役を演じている名優クルー・ギャラガーの息子だ。シリアスなモンスター・パニック・ホラーのように見せかけて、悪趣味全開のギャグをさり気なく盛り込んでいくというセンスはなかなか絶妙。露骨にパロディ色を出していないところが逆に好感持てる。
 また、特殊メイクにCGを一切使っていないのもグッド。モンスターもスタントマンが中に入ったスーツと手動操作のメカを使い分けており、そのリアル感が80年代っぽくて良い。暗いライティングや細切れのカットが目立つものの、低予算をカバーするための演出と見れば気にもならないだろう。いずれにせよ、人によって好き嫌いのはっきりと分かれる作品だとは思うが、ポップコーンとビール片手に仲間とワイワイ騒ぎながら見るにはもって来いの一本だ。
 脚本を手掛けたのは「ソウ4」('07)のコンビ、パトリック・メルトンとマーカス・ダンスタン。シリアスとコメディの境界線ギリギリのところで展開される皮肉な人間ドラマは、人によってちょっと鼻にように感じられるかもしれない。やたらとヒューマニズムや社会性をホラーに盛り込もうとするのは、最近の脚本家の悪い癖なのかもしれない。もちろん、それ自体は否定されるものではない。ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作などは、ホラーと社会風刺の融合を見事に成功させていたわけだし。ただ、本作に関して言うと、家族の絆を巡るヒューマニズム的な伏線は余計で、それがない方が逆にスッキリとしたのではないかと思う。

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顔面にうじ虫が湧いたビア・ガイ(ジュダ・フリードランダー)

間抜けな自称ハリウッド関係者コーチ(ヘンリー・ロリンズ)

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ひらすら酔っ払っているグランマ(アイリーン・ライアン)

闘志に目覚めていくタフィー

 また、キャラの立った登場人物たちも面白い。主演は日本でもお馴染みの人気俳優バルサザール・ゲティと、テレビ・ドラマ「NUMBERS〜天才数学者の事件ファイル」で注目されている女優ナヴィ・ラワット。ただ、この二人がキャストの中で一番存在感が薄い。
 逆に一番目立っているのは、生活の為に体を売る子持ちウェイトレス、タフィーを演じているクリスタ・アレンだろう。どちらかというと、これまではキレイなだけの色添え的な役柄ばかりだった女優だが、本作では実質的なヒロインとも言える活躍ぶり。最初はフラフラとしているだけだったのが、最後には素手でモンスターを殴り殺すという荒業まで披露。もしかしたらリプリーなんかよりも強いかもしれない。
 また、隣で人が血飛沫をあげてようが、モンスターが大暴れしていようが、何食わぬ顔でひたすら酒を飲み続けているおばさんグランマ役を演じているアイリーン・ライアンも秀逸。この人、あのショーン・ペンとクリス・ペンの実母。さすがの貫禄に思わずニンマリさせられる。
 ベテランといえば、ちょっととぼけたバーテン役のクルー・ギャラガーも久しぶりの登場で、ファンにとっては嬉しい限り。ホラー・ファンの間では「バタリアン」('85)や「エルム街の悪夢2」('85)、「ヒドゥン」('87)なんかに出ていた渋めの俳優として知られているが、もともとはドン・シーゲル監督の名作「殺人者たち」('64)で注目された2枚目スター。撮影当時で既に78歳だが、ライフルを持つ姿もなかなか決まっている。
 モンスターにズボンを剥ぎ取られてしまう間抜けな自称ハリウッド関係者コーチを演じているのは、テレビ“Henry Rollins Show”で今全米で大人気のコメディアン、ヘンリー・ロリンズ。また、オープニングで真っ先に殺されるヒーロー役として、テレビ「グレイズ・アナトミー」のエリック・デインが登場するのも面白い。

 なお、製作から3年近くを経て、ようやく日本公開が決定した本作だが、本国では既にパート2の撮影も終わっている。今度はモンスターたちが近隣の町を襲うということだが、パート1の主要キャラクターも引き続き登場するらしい。スタッフも監督以下ほぼ同じ面子。さらに、パート3の製作も決定しており、もしかしたらカルト・シリーズとして人気が定着するかもしれない。

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