ヨーロッパ映画 ブルーレイ レビュー Pt.2

 

ヘンリィ五世
Henry V (1945)

HENRY_V.JPG
(P)2009 ITV Studios (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.33:1/HD規格:1080p/音声: Dolby Digital 2.0 MONO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/127分/制作国:イギリス

<特典>
・映画評論家による音声解説
・オリジナル劇場予告編
・スチル・ギャラリー
監督:ローレンス・オリヴィエ
製作:ローレンス・オリヴィエ
原作:ウィリアム・シェイクスピア
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:ウィリアム・ウォルトン
出演:ローレンス・オリヴィエ
   ルネ・アシャーソン
   ロバート・ニュートン
   レスリー・バンクス
   エズモンド・ナイト
   フェリックス・アイルマー
   レオ・ゲン
   ラルフ・トルーマン
   アーネスト・セシジャー
   フリーダ・ジャクソン

 イギリスとフランスの百年戦争を終結させた英国王ヘンリー五世の苦悩と勝利を描くシェイクスピア劇の映画化であり、史上最高のシェイクスピア俳優であるローレンス・オリヴィエの初監督作品でもある。しかも、当時アカデミー賞4部門にノミネートされた名作。とはいえ、今から70年以上も前に作られた映画だけに古臭さは否めない。特に最大の山場である“アジンコートの戦い”の合戦シーンは、生々しいバイオレンス満載の剣戟バトルを見慣れてしまった現代の観客の目には迫力不足…というよりも、ハッキリ言ってショボすぎると映っても仕方ないだろう。
 とはいえ、これがドイツ軍の度重なる空襲に悩まされた戦時下のロンドンで撮影されたことを考えれば、おのずと見方も変わってくるはずだ。しかも全編フルカラーでの撮影。さすがに舞台演劇そのままな役者の演技は違和感を隠せないものの、あえて映画ならではの表現技術をフル稼働させたオリヴィエの演出は今見ても十分に新鮮だ。
 オープニングは精巧なミニチュアセットで再現された17世紀初頭のロンドン。俯瞰ショットでカメラを移動させながら、やがて「ヘンリー五世」を上演するグローブ座の舞台へと寄っていくダイナミックなカメラワークに胸躍らされる。そして、当時の舞台演出を忠実に再現した導入部分で物語の世界への扉が開かれ、いつしか中世の装飾写本に描かれた挿絵そのままの非現実的な異空間へと移行。デフォルメされたスタイリッシュな美術セットはもとより、三色法テクニカラーの独特な風合いが木版画的なイメージを高めていく。
 さらに、フランス戦線へと舞台が移ると、今度はルネッサンス時代の戦争画を彷彿とさせる油絵的な世界へと変貌。幾つもの異なる表現スタイルを巧みに使い分けながら構成されたビジュアルの美しさと面白さは格別だ。それだけでも一見の価値があると言えよう。演技陣ではフランス王女キャサリンを演じるルネ・アシャーソンが出色。コメティッシュな愛らしさと聡明な賢さを兼ね備え、ヘンリー五世を相手に堂々と渡り合う求婚シーンが素晴らしい。アシャーソンはこれが唯一の大役だったが、そのキャリアは驚くほど長く、ニコール・キッドマン主演の「アザーズ」('01)では霊媒師の老婆役を演じていた。

 今のところイギリスのみでブルーレイ化されている本作。上記のITVスタジオ盤は新たに修復されたHDマスターを使用している。フィルムの傷や汚れは殆ど見られず、ディテールのきめ細かさや画面の明るさも十分。過去の米クライテリオン版DVDと比較しても画質の向上は明らかだ。ただ、唯一惜しまれるのがテクニカラーの再現力。「オズの魔法使」や「風と共に去りぬ」のリマスター映像と見比べると、やはり少なからず褪色していることが確認できる。
 一方、音声はDVDと同じドルビー・デジタル仕様のモノラル。ブルーレイでドルビー・デジタル!?と文句の一つも言いたくなるが、これが意外にも悪くない。セリフはクリアで輪郭もハッキリとしており、耳障りなノイズもほとんどなし。70年前の映画ということを考えれば十分な仕上がりだと思う。
 特典の中身も平均的。専門家による音声解説は情報量も多くて勉強になるが、ヒロイン役のルネ・アシャーソンはまだ存命中なわけだし、せめて簡単なメイキングやインタビューくらいは欲しかった。オリジナル劇場予告編も修復されていないし。宣材用ポートレートなどを含むスチルギャラリーも、ボリューム的にはそこそこといった感じ。ブルーレイのパッケージとしては全体的に可もなく不可もなくという印象だ。

 

 

黒水仙
Black Narcissus (1947)

BLACK_NARCISSUS.JPG
(P)2014 Network (UK)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.37:1/HD規格:1080p/音声: 2.0ch LPCM MONO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/101分/制作国:イギリス

<パッケージ仕様>
・フルカラー冊子封入(12p)

<特典>
・マイケル・パウエル監督とマーティン・スコセッシによる音声解説
・オリジナル劇場予告編(HD)
・ドキュメンタリー「Painting with Light」
・メイキング「A Profile of Black Narcissus」
・スチル・ギャラリー(HD)
・宣材資料集(PDFデータ)
監督:マイケル・パウエル
   エメリック・プレスバーガー
製作:マイケル・パウエル
   エメリック・プレスバーガー
脚本:マイケル・パウエル
   エメリック・プレスバーガー
撮影:ジャック・カーディフ
音楽:ブライアン・イースデイル
出演:デボラ・カー
   サブー
   デヴィッド・ファラー
   キャスリーン・バイロン
   フローラ・ロブソン
   エズモンド・ナイト
   ジーン・シモンズ

 大女優デボラ・カーの出世作であり、イギリスの誇る名監督コンビ、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガーにとっては、「赤い靴」('47)と並んで全盛期を象徴する傑作と言えよう。信心深い高潔なシスター・クローダの率いる尼僧たちが、英国の修道院からヒマラヤの奥地へと赴任するものの、そこで様々な困難に直面することとなる。
 あまりにも潔癖で誇り高いがゆえに、人間の欠点や弱点に対して不寛容なシスター・クローダ。異文化を理解したり受け入れたりする姿勢にも乏しく、そのせいで地元住民ばかりではなく周囲の尼僧たちからも遠ざけられ孤立してしまう。氷のように冷たい美貌と品行方正な堅物イメージのデボラ・カーはまさに適役。どれほど崇高な理想も人間の本質を無視しては成り立たず、一方的な価値観の押しつけでは他者の信頼を勝ち得ることなど到底できない。デヴィッド・ファラー扮する粗暴で通俗的な現地駐在の英国人将校の方が、よっぽど世間を達観した聖人のように見えてしまうのは大いなる皮肉だ。
 だが、本作が何より素晴らしいのは、テクニカラーの豊かな色彩を散りばめたビジュアルの美しさ。ヒマラヤでの現地ロケは行わず、大掛かりなセットやマット・ペイントを用いて再現したことにより、ファンタジックな人工美の世界を作り上げている。嫉妬に狂ったシスター・ルース(キャスリーン・バイロンの怪演が見事!)が、精神的に壊れてしまうクライマックスなどはほとんどサイコ・ホラー。「赤い靴」や「血を吸うカメラ」('60)などもそうだが、薫り高い芸術性と映画的なセンセーショナリズムを柔軟に使い分ける点もパウエル&プレスバーガーの魅力だったりする。

 イギリスでは世界に先駆けて2008年にブルーレイ化された本作。'11年に発売された日本盤ブルーレイも、この'08年盤をローカライズしたものだった。で、上記の'14年盤は新たにテレシネされたHDリマスターバージョンを収録。全体的に画像イメージは明るさを増しており、よりクリアかつ鮮明な高画質を堪能することができる。シーンによっては、とても'70年近く前の映画とは思えないほど。カラーの再現力も質感の再現力も十分過ぎるくらいだ。まあ、そのせいで背景のマット・ペインティングがバレバレになってしまったのは玉に瑕なのかもしれないけれど(^^; DTS-HD マスターオーディオにエンコードされたモノラル音声も、目立った経年劣化はあまり感じられない。
 さらに、今回は特典映像もボリュームアップ。パウエル&プレスバーガー作品を中心に撮影監督ジャック・カーディフのキャリアを追った「Painting with Light」(約26分)、そのカーディフや女優キャサリーン・バイロンらが撮影の舞台裏を振り返る「A Profile in Black」(約25分)という2種類のドキュメンタリーに加え、撮影風景から宣材用ポートレート、ポスターまで網羅した膨大な量のスチル・ギャラリーも充実している。また、生前のパウエル監督とマーティン・スコセッシの対談を音声解説として収録している点も嬉しい。ファンであれば、旧盤から買い替える価値は十分アリだと思う。

 

 

 

ハムレット
Hamlet (1948)

HAMLET.JPG
(P)2009 ITV Studios (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
モノクロ/スタンダードサイズ/画面比:1.33:1/HD規格:1080p/音声: 2.0ch LPCM MONO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/153分/制作国:イギリス

<特典>
・オリジナル劇場予告編
・スチル・ギャラリー
・宣材ギャラリー
監督:ローレンス・オリヴィエ
製作:ローレンス・オリヴィエ
原作:ウィリアム・シェイクスピア
撮影:デズモンド・ディッキンソン
音楽:ウィリアム・ウォルトン
出演:ローレンス・オリヴィエ
   ベイジル・シドニー
   アイリーン・ハーリー
   ジーン・シモンズ
   フェリックス・アイルマー
   ノーマン・ウーランド
   テレンス・モーガン
   ピーター・カッシング
   アンソニー・クエイル

 「ヘンリィ五世」に続くローレンス・オリヴィエの監督・主演作。これまでに幾度となく映画化されているシェイクスピア悲劇だが、本作はゴシック調の怪奇幻想タッチで描かれている点が見どころだと言えよう。舞台となるエルシノア城の荘厳なセットの美しさ、モノクロの光と影を巧みに用いた幻想的な情景。シンプルながらも妖しい雰囲気を醸し出す幽霊の特殊効果も出来が良い。ミリアスの名画「オフィーリア」を連想させるオフィーリアの溺死シーンの美しさも絶品だ。
 その一方で、主演のオリヴィエをはじめとする役者陣の舞台的な演技は、その大仰さゆえに居心地の悪さというか違和感を覚える向きもあるだろう。2時間半を超える長尺も、全く苦痛でないと言えば嘘になる。映画化に際してだいぶ簡略されているとはいえ、なにしろセリフが多くてテンポが遅いので、どうしてもダラダラと長く感じられてしまう部分は少なくない。アカデミー賞4部門を獲得した堂々たる名作であることは間違いないが、それでもなお歳月の経過には打ち勝つことができなかったように思う。

 上記はイギリスで「ヘンリィ五世」と同時発売されたITVスタジオ版のブルーレイ。その後リリースされた日本盤ブルーレイと同じ原版マスターを使用している。モノクロのコントラストがしっかりしており、ディテールの再現力も全く文句のないレベル。空間の奥行にも立体感があり、細部まで緻密に作り込まれた美術セットを存分に堪能することができる。過去のDVDとはまさに雲泥の差だ。
 ただ、修復作業の施されているワリにはフィルムの劣化が目立つ部分も多く、シーンによっては雨降りのようなノイズがチラついてしまうことも。やはり現代の修復技術をもってしても完全な復元は困難だったのか。音声も経年劣化によるスクラッチノイズやヒスノイズが少なからず残されている。まあ、もともと本作は昔から音声の保存状態が悪かったので、DVDに比べればだいぶ改善されているのだけれど。なお、ジャケット裏にはドルビー・デジタルと表記されているものの、実際には非圧縮のリニアPCMで収録されている。
 特典はオリジナル劇場予告編とスチル・ギャラリーおよび宣材ギャラリー。スチル・ギャラリーには舞台裏ショットや衣装デザインの原画などが収められており、ボリュームとしてはまずまずといったところか。それでも、アカデミー作品賞を受賞した映画史に残る名作のブルーレイ・ソフトとしては、少々寂しい特典内容ではある。

 

 

 

赤い靴
The Red Shoes (1948)

RED_SHOES.JPG
(P)2009 ITV Studios (UK)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.33:1/HD規格:1080p/音声: 2.0ch LPCM MONO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/135分/制作国:イギリス

<特典>
・ドキュメンタリー「Profile of The Red Shoes」
・スケッチ資料映像「The Ballet of The Red Shoes」
・マーティン・スコセッシによるイントロダクション('09年カンヌにて)
・テルマ・ショーンメイカーのインタビュー('09年カンヌにて)
・オリジナル劇場予告編
・スチル・ギャラリー
・宣材ギャラリー
・バイオグラフィー集
・スター・ギャラリー
監督:マイケル・パウエル
   エメリック・プレスバーガー
製作:マイケル・パウエル
   エメリック・プレスバーガー
脚本:エメリック・プレスバーガー
撮影:ジャック・カーディフ
音楽:ブライアン・イースデイル
出演:アントン・ウォルブルック
   マリウス・ゴーリング
   モイラ・シアラー
   ロバート・ヘルプマン
   レオニード・マシーン
   アルバート・バッサーマン
   リュドミラ・チェリーナ

 “映画史上最も美しいテクニカラー映画”と呼ばれている、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督の代表的傑作。赤いトウシューズを履いた踊り子が死ぬまで踊り続けるというアンデルセン原作の創作バレエを軸に、ダンサーとしての情熱と個人の幸せとの狭間で苦しむ女性の悲劇を描く。
 まずは、赤を基調とした色彩の鮮烈な美しさに目を奪われる。リアリズムに囚われることなく、様々な映画的技法を自在に使ったパウエル&プレスバーガーの、ダーク・ファンタジー的な演出タッチも素晴らしい。ヒロインを追い込む嫉妬深くて支配欲の強い興行主レルモントフは、言わずと知れたディアギレフがモデル。そのディアギレフが寵愛したダンサーで、ニジンスキーの後釜に座ったレオニード・マシーン本人が出演する。随所であからさまにショックを煽るあざとさを含め、臆することなくセンセーショナリズムに訴える点も、パウエル&プレスバーガーの作品らしいケレン味だと言えよう。
 ロンドンやモンテカルロを舞台にしたゴージャスなロケーション、イマジネーション豊かで幻想的なバレエ・シーン、まるで戦場さながらの舞台裏のスリリングな人間模様など、とにかくストーリー的にもビジュアル的にも息をつく暇も与えぬ面白さ。何かを極めるためには何かを犠牲にせねばならないという、芸術家や職業人にとっては永遠の課題とも呼ぶべきシンプルなテーマを貫いた分かりやすさも良い。

 マーティン・スコセッシの監修でUCLAが修復作業を手がけた'09年のデジタル・リマスター版を収録した英国盤ブルーレイ。'11年に発売された日本盤も同一の本編映像ソースを使用している。ただし、英国盤の実売価格は日本盤の6分の1くらいなのだけれどね…(。-∀-)
 それはさておき、デジタル・リマスターの恩恵を十二分に感じさせる本編映像の高画質は素晴らしいの一言。撮影用の反射板の光まで確認できてしまうのは驚きだ。なおかつ、それこそ肌の質感まで手に取るように分かるリアルな再現力に、非現実的とも言えるテクニカラーの極彩色が組み合わさることで、何とも言えぬ独特のマジカルな世界が浮かび上がる。これは、過去のVHSやDVDでは望むべくもない、ハイデフ映像だからこその新体験と言えるかもしれない。
 また、豊かで重量感のあるモノラル音声も見事な仕上がり。本作はブライアン・イースデイルの音楽が重要な位置を占めるだけに、非圧縮のリニアPCMでエンコードしたのは大正解。下手に5.1chサラウンドなどのリミックス処理を施すことなく、原音を忠実に再現することに徹したのも賢い選択だ。
 一方、特典は日本版に比べるとやや少なめ。約24分のメイキング・ドキュメンタリーや、バレエシーンの撮影準備のためにデザイン・スケッチをアニメーション風にまとめ上げた短編映画(約15分)は同じだが、日本盤に収録されているスコセッシによるレストア解説は見当たらない。また、スケッチと本編映像の比較や、ジェレミー・アイアンズによる朗読音声も未収録。その代わりと言ってはなんだが、カンヌ映画祭でのレストア版完成披露に際して行われたスコセッシのスピーチ映像と、パウエル監督未亡人テルマ・ショーンメイカーのインタビュー映像が収められている。

 

 

歴史は女で作られる
Lola Montes (1955)

LOLA_MONTES.JPG
(P)2009 Criterion Collection (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.55:1/HD規格: 1080p/音声:3.0ch DTS-HD Master Audio/言語:フランス語/字幕:英語/地域コード:A/114分/制作国:フランス

<パッケージ仕様>
・フルカラーブックレット封入(28p)

<特典>
・マックス・オフュールス研究者スーザン・ホワイトの音声解説
・フランス制作TV用ドキュメンタリー“Max Ophuls ou le plaisir de tourner”(1965年)
・最新ドキュメンタリー“Max by Marcel”(マルセル・オフュールス監督)
・マルティーヌ・キャロルのヘアスタイル テスト映像
・リバイバル公開版劇場予告編
監督:マックス・オフュールス
製作:アルベール・カラコ
原作:セシル・サン=ローラン
脚本:アネット・ワドマン
   マックス・オフュールス
   ジャック・ナタンソン
撮影:クリスチャン・マトラ
音楽:ジョルジュ・オーリック
出演:マルティーヌ・キャロル
   ピーター・ユスティノフ
   アントン・ウォルブルック
   オスカー・ウェルナー
   イワン・デスニ
   ウィル・キャドフリーグ

 ルードヴィヒ一世やフランツ・リストなど、ヨーロッパの名だたる偉人・名士たちと浮名を流したことで知られる伝説の踊り子ロラ・モンテスのドラマチックな半生を、後年の落ちぶれたモンテス自らがサーカスの見世物として披露するという設定のもと描かれる。シネスコ・サイズの画面いっぱいに広がるゴージャスなセットに衣装、緻密に計算され尽くした流麗なカメラワーク、そして煌びやかかつ鮮やかなテクニカラーの色彩。何度見てもため息が出るほどに美しい巨匠マックス・オフュールスの傑作である。
 裕福な男たちの間を渡り歩く自由奔放なヒロインの生き様はスキャンダラスでもあり、プレミア上映の際には少なからず批判にさらされたため、オフュールス監督の意に反する形で再編集が施されたという不運な作品でもあるが、1966年に権利を買い上げた映画プロデューサー、ピエール・ブラウンバーガーの尽力によって、いわゆるディレクターズ・カット版が作られて'69年にリバイバル上映された。本作が真に評価されるようになったのは、それ以降のことと言えるかもしれない。
 さらに、'06年にはブラウンバーガーの娘ローレーヌがシネマテーク・フランセーズなどの協力のもとデジタル・リマスター版の制作に着手。テクニカラーの退色やフィルムの損傷など経年劣化の著しく進んでいた本作を、オリジナル・ネガやラフカット版など複数のプリント・ソースからデジタルでテレシネを行い、プレミア上映版と同じ長さに再編集を施した上で、フィルムに付着した汚れや傷などを丁寧に取り除き、欠損した部分などもVFXソフトを用いて修復したという。色彩についてはオフュールス監督自身が残した膨大なメモを参考にしながらテクニカラーの復元作業を行い、最終的にはオフュールスの息子マルセルが劇場公開当時の記憶をもとに肉眼でカラーチェックを行った。
 また、本作は当時シネマスコープ社が開発したばかりの4チャンネルステレオでサウンドトラックが制作されたことでも知られている。これは左右中央の3チャンネル音声に補足的なサラウンド・チャンネルを加えるもので、要は現在のサラウンド・システムの原型というわけだ。ただ、通常のモノラルに比べて音質が劣る上に、技術的な理由からフィルムそのものが劣化しやすくなってしまうために普及しなかったという。デジタル・リマスター版ではオリジナルの3チャンネル・サウンドトラックを24ビットでリマスターした上で、足りない部分の音声を現存する上映用プリントの4チャンネル・トラックやモノラル・サウンドトラックから抜き出して編集、その上でデジタル技術を用いてノイズ除去や音響補正などの修復作業が施された。

 上記の米クライテリオン版ブルーレイは、そのデジタル・リマスター版をマスターとして使用。日本でも紀伊國屋書店から同一マスターによるブルーレイが発売されているが、過去のDVD版とは比べ物にならないくらい画質は向上している。なにしろ古い映画なので、フィルムグレインのチラツキは僅かながら残されているものの、ほとんど気にならないレベル。それよりも、現在の映画には望むべくもないテクニカラーの鮮やかさや、豪華な美術セットの細部まで堪能できる映像のきめ細やかさに目を奪われる。3.0chのステレオ音声もすこぶる明瞭で、フルオーケストラによるゴージャスな音楽スコアを豊かに再現。全てにおいて文句のない仕上がりだ。
 また、リバイバル版予告編とスチル・ギャラリーのみの日本版BDと違い、クライテリオン版は特典映像も充実。中でも貴重なのは、主演女優マルティーヌ・キャロルのヘアスタイルをチェックするために撮影された約1分間のテスト映像。音声までは収録されていないものの、カメラの向こう側のスタッフと雑談を交わしながらポーズを取ってみせるキャロルの、チャーミングで自信に満ちた素顔がなんとも魅力的だ。
 さらに、オフュールス監督の死から8年後の1965年に制作されたTV用ドキュメンタリーも収録。『歴史は女で作られる』を中心にオフュールスのフィルモグラフィーを紐解きつつ、マルティーヌ・キャロルやダニエル・ダリュー、ダニエル・ジェラン、シモーヌ・シモン、ピーター・ユスチノフ、クリスチャン・マトラなどオフュールスゆかりのスター&スタッフのインタビューや撮影舞台裏映像を織り交ぜながら、オフュールス作品の魅力を50分以上に渡って分析していく。
 そして、最後はドキュメンタリー作家となった息子マックス・オフュールスが'09年に制作した32分のドキュメンタリー『Max by Marcel』。こちらは『歴史は女で作られる』の助監督を務めたマックスの回想インタビューを中心に、過去に撮影された関係スタッフの証言を織り交ぜつつ、本作の撮影秘話を詳らかにしていく。企画当初から監督と製作者が対立し続けた舞台裏のドラマもまた映画同様に興味深い。

 

 

 

ビバ!マリア
Viva Maria! (1965)

VIVA_MARIA.JPG
(P)2014 Kino Lorber (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch DTS-HD MA/言語:フランス語/字幕:英語/地域コード:A/119分/制作国:フランス・イタリア

<特典>
・オリジナル劇場予告編
監督:ルイ・マル
製作:ルイ・マル
   オスカル・ダンシジェール
脚本:ルイ・マル
   ジャン=クロード・カリエール
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ブリジット・バルドー
   ジャンヌ・モロー
   ジョージ・ハミルトン
   ポーレット・デュボワ
   クラウディオ・ブルック
   カルロス・ロペス・モクテズマ

 「死刑台のエレベーター」('57)や「恋人たち」('58)などのスタイリッシュな作品で注目され、ヌーヴェルバーグの旗手として世界的な高い評価を得ていたルイ・マル監督が、一転してアクションとユーモアとお色気をふんだんに盛り込んで映画ファンを驚かせた作品。メキシコを訪れた旅回り芸人一座のセクシーな踊り子コンビが、なんの因果か革命軍のリーダーとなって圧制に苦しむ人民を解放するという荒唐無稽なフレンチ・ウェスタンである。
 なんといっても最大の見どころは、フランスを代表するトップスターであるブリジット・バルドーにジャンヌ・モローという豪華な主演女優の顔合わせ。ちょっとだけよ♪的なノリのチャーミングなストリップ・シーンなんかも楽しい。そんな2人をメキシコ革命の嵐に巻き込むレジスタンスの闘士にジョージ・ハミルトン、ニヒルだけどどこか抜けている英国人の軽業師にクラウディオ・ブルックという脇のメンツも魅力的だ。
 スラップスティックなビジュアル・ギャグの数々は今見るとさすがに古臭いなあーとしか思えないし、バルドーとモローが友情を育んでいく前半は必要以上に長く、少なからず退屈なことは否めないものの、クライマックスの革命軍VS政府軍の大規模な市街戦は圧倒的な迫力だ。庶民を抑圧する軍部をカトリック教会が背後から密かに操っているという、現代にも通じる“悪の構造”なんかもすこぶる風刺が効いている。一見するとライトなようでいて、実はしっかりと社会派の側面を持つ娯楽映画だといえよう。

 で、本作のブルーレイは現時点でアメリカとオーストラリアにて発売中。上記の米国盤はクラシック映画やヨーロッパ映画のリイシューを専門にするインディペンデント・レーベルKino Lorberが、MGMと20世紀フォックスからライセンス許諾を受けてリリースしたものになる。
 原版ソースのクレジットがないためにハッキリとは言えないものの、シャープな輪郭やディテールのきめ細やかさを見る限りでは、少なくとも上映用プリントからのテレシネということはないと思われる。役者の肌や物体の質感もリアル。高解像度でのテレシネおよびカラコレが行われたことは間違いないだろう。ただ、フィルムの修復作業は一切施されていないため、あちこちでキズや汚れが目立つばかりか、数ヶ所ではフィルムがガッツリと割れてしまっている。
 DTS=HDにエンコードされたフランス語のモノラル音声は十分にクリア。バルドーとモローの歌声や賑やかな音楽を損なうことも一切ない。ただ、楽曲の歌詞に英語字幕が付かないのは不親切。特典が米国向けのオリジナル劇場予告編のみという素っ気のなさも惜しまれる。

 

 

 

世にも怪奇な物語
Histoires Extraordinaires (1967)

SPIRIT_DEAD.JPG
(P)2011 Arrow Films (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch LPCM MONO/言語:英語・フランス語・イタリア語/字幕:英語/地域コード:ALL/ 121分/制作国:フランス・イタリア

<パッケージ仕様>
・ジャケット2種類(リバーシブル)
・フルカラー冊子封入(60p)

<特典>
・米国公開版ヴィンセント・プライスのナレーション
・オリジナル劇場予告編
監督:ロジェ・ヴァディム
   ルイ・マル
   フェデリコ・フェリーニ
製作:レイモン・イーガー
原作:エドガー・アラン・ポー
脚本:ロジェ・ヴァディム
   パスカル・カズン
   ダニエル・ボーランジェ
   ルイ・マル
   クレモン・ビドル・ウッド
   フェデリコ・フェリーニ
   ベルナルディーノ・ザッポーニ
撮影:クロード・ルノワール
   トニーノ・デリ・コリ
   ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ジャン・プロドロミデス
   ディエゴ・マッソン
   ニノ・ロータ
出演:ブリジット・バルドー
   アラン・ドロン
   ジェーン・フォンダ
   テレンス・スタンプ
   ピーター・フォンダ
   ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス
   フランソワーズ・プレヴォー
   セルジュ・マルカン
   レンツォ・パルメール
   ミレーナ・ヴコティッチ

 ロジェ・ヴァディムにルイ・マル、そしてフェデリコ・フェリーニ。フランスとイタリアの名匠・巨匠たちが一堂に会し、それぞれが独自の解釈でエドガー・アラン・ポー作品を映像化したオムニバス映画だ。'60年代といえば、ロジャー・コーマン監督の「アッシャー家の惨劇」('60)を皮切りに、エドガー・アラン・ポー原作のホラー映画が大ブームとなった時代。さすがに本作の当時はブームも下火にはなっていたものの、当初からアメリカでの配給権がアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズにオファーされていた事実を鑑みても、製作陣がそうしたポー映画人気を強く意識していたことは間違いないだろう。
 さらに、当時のヨーロッパでは「ボッカチオ'70」('62)や「華やかな魔女たち」('66)、「愛すべき女・女たち」('67)など、複数の大物監督が競作するオムニバス映画が数多く作られて人気を集めていた。そう考えると、本作はさしずめ'60年代映画界の2大トレンドを融合させた作品だったとも言えるわけだ。
 第1話「黒馬の哭く館」はロジェ・ヴァディムが担当。当時の恋人だったジェーン・フォンダが、女版カリギュラとも呼ぶべき極悪非道な貴族の令嬢を演じる。しかも、そんな彼女が一目惚れしてしまう相手は実の弟ピーター・フォンダ。さすがは「血とバラ」('61)のヴァディム、デカダンで危険な香りがプンプンする。愛した男につれなくされ、プライドを傷つけられた令嬢の残酷な復讐。ムード先行で底が浅いと言われればそれまでだが、本作の中では出来栄えが最もAIPのポー映画に近いという意味ではとても興味深いエピソードだと思う。
 第2話「影を殺した男」はルイ・マル監督。善なるドッペルゲンガーの存在に悩まされる邪悪な男の物語を、アラン・ドロンにブリジット・バルドーという豪華な顔合わせで描くわけだが、本作中では最もインパクトが弱い。ポーの原作はドイツ表現主義映画の傑作「プラーグの大学生」('26)にも多大な影響を与えているわけだが、映画的な面白さではあちらに軍配が上がる。
 そして、恐らく本作で最も評価が高いのはフェリーニの手がけた第3話「悪魔の首飾り」だろう。酒で身を持ち崩した人気俳優の悪夢を描いた本作は、さながらダーク・ファンタジー風の「甘い生活」+「8 1/2」といった按配。中でも、ボールを持った少女の幻影が強烈なインパクトを残す。しかし、ホラー映画ファンであれば一目瞭然だと思うが、これはイタリアン・ホラーの巨匠マリオ・バーヴァの名作「呪いの館」('66)の完全なるパクリなのだ。
 実際、フェリーニとベルナルディーノ・ザッポーニの2人は「呪いの館」に出てくるボールを持った少女の幽霊を参考にしたと伝えられているし、バーヴァ自身もフェリーニ夫人ジュリエッタ・マッシーナからそれとなく聞いたことがあったそうだ。それらの真偽のほどはともかくとしても、「呪いの館」が本作に少なからず影響を与えていることは、両者を見比べれば明白というほかない。ゆえに、イタリアン・ホラー・ファンとして、そしてマリオ・バーヴァ・ファンとしては、これを手放しで賞賛することはできない、というのが正直な気持ちだったりする。そもそも、「呪いの館」の少女の方が遥かに不気味で怖いしね。

 で、今のところイギリスとドイツでブルーレイのリリースされている本作。上記の英国盤は“オリジナル・ネガから新たにHD画質で修復作業が施された”と明記されているものの、実際にモニターで確認してみると結構ビミョーな感じだ。確かにフィルムのキズや汚れなどはほとんど見受けられない。そういう意味では、非常にクリーンな仕上がり。ただ、画像イメージは全体的にソフト・フォーカスが強すぎるというか、輪郭がかなりボヤけているという印象だ。シーンによっては滲んでいるようにさえ見えてしまう。過去のHDリマスター版DVDも同じような問題を抱えていたことから察するに、恐らくオリジナル・ネガ自体がそんな状態なのだろう。
 リニアPCMのモノラル音声も、部分的に音が割れているなどの経年劣化が少なからず聞き取れる。もしかすると、そもそもの保存状態があまり良くなかったのかもしれない。なお、音声の選択肢はフランス語&イタリア語のマルチ・リンガル・バージョン、フランス語バージョン、そして英語バージョンの3種類。また、アメリカ公開版用に収録されたヴィンセント・プライスのナレーションも別途選ぶことが出来る。
 そして、特典映像はオリジナル劇場予告編のみという寂しさ。画質と音質のみならず、商品パッケージとしても今ひとつ不満が残ることは否めない。

 

 

早春
Deep End (1970)

DEEP_END.JPG
(P)2011 British Film Institute (UK)
画質★★★★★ 音声★★★★☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:リニアPCM 2.0ch/言語:英語/字幕:英語/地域コード:ALL/91分/制作国:イギリス・西ドイツ

<パッケージ仕様>
・フルカラー冊子封入(25p)

<特典>
・メイキングドキュメンタリー「Starting Out: The Making of Jerzy Skolimowski's Deep End」
・ドキュメンタリー「Deep End: The Deleted Scenes」
・短編映画「Careless Love」('76年/ジェーン・アッシャー主演)
・オリジナル劇場予告編
監督:イエジー・スコリモフスキ
製作:ヘルムート・ジェデル
脚本:イエジー・スコリモフスキ
   J・グルーザ
   B・サリク
撮影:チャーリー・スタインバーガー
音楽:キャット・スティーヴンス
   カン
出演:ジェーン・アッシャー
   ジョン・モルダー=ブラウン
   カール・マイケル=フォーグラー
   クリス・サンドフォード
   ダイアナ・ドース

 ポーランド出身の名匠イエジー・スコリモフスキ監督による青春映画の隠れた名作。高校を卒業したばかりのウブな少年マイクが、就職先の公共浴場で知り合った年上の同僚女性スーザンに惹かれるわけだが、彼女が筋金入りのドS気質な女王様で、優しくされたり冷たくされたり誘惑されたり足蹴にされたりと翻弄されていくうちに、やがてマイクの肥大した妄想は収まりがつかないくらい暴走していく。
 要するに、純情な童貞君を面白がって手玉に取ると痛い目にあうよ…ってな話なのだが、そこはさすがポーランド・ニューウェーブの鬼才スコリモフスキだけあって、青春の甘い瑞々しさとほろ苦さ、眩さと暗さを巧みに交錯させつつ、幻想的でポエティックで繊細なラブストーリーに仕上げている。鮮烈な赤を基調にしたシンボリックな色彩や小道具の使い方も実に凝っていて、見るたびに新しい発見がある作品だと言えよう。
 さらに、まるで女の子のように綺麗で純朴な美少年マイクを演じるジョン・モルダー=ブラウン、隣の女の子的なチャームの中に小悪魔的な妖しさを兼ね備えたスーザンを演じるジェーン・アッシャーと、主演コンビもすこぶる魅力的。また、ほとんどレイプみたいな状態でマイクの若い肉体に迫る巨漢マダムを、英国版モンローとして一世を風靡した往年のグラマー女優ダイアナ・ドースが怪演し、強烈過ぎるほどのインパクトを残す。

 日本では過去にビデオソフト化されたことがなく、欧米でも長いこと幻のカルト映画とされてきた本作だが、'11年にUKで待望のブルーレイがリリース。オリジナルの35mmインターポジ・フィルムから2K解像度でテレシネが行われ、ドイツのCineProductionにてレストア作業が行われた。画質は驚くほどクリアかつ鮮明で、ジョン・モルダー=ブラウンのきめ細やかな美肌や産毛の質感まで伝わって来るほど。テクニカラーの色彩も濃厚で美しい。とても45年前の映画とは思えないほどである。
 音声は17.5mmの磁気フィルムよりエンコードされたオリジナルのメイン・ミックスを、非圧縮のリニアPCMにて収録。こちらも音源の経年劣化などはほとんどないに等しく、セリフもBGMもしっかりと明瞭に響いていくる。ほとんど文句のつけようがない仕上がりだ。
 特典映像の目玉は、74分におよぶメイキング・ドキュメンタリー。ジェーン・アッシャーとジョン・モルダー=ブラウンの感動の再会は見ている方もウルウルとしてしまうが、しかし、2人とも容色衰える気配が全くないのは凄い。モルダー=ブラウンなんて、惚れ惚れするくらいのイケメンだもんなあ。もちろん、スコリモフスキ監督や編集者バリー・ヴィンスなどのスタッフも登場。メインのロケ地は実はドイツだったのだが、撮影に使用された公衆浴場を撮影監督のチャーリー・スタインバーガーが再訪し、本編映像と現在の様子を比べながら当時を振り返ったりする。興味深い撮影秘話が目白押しだ。
 さらに、本編で使用されなかった削除シーンを関係者の証言で再現する12分のドキュメンタリー「Deep End: The Deleted Scenes」、およびオリジナル劇場予告編も収録されている。また、名門NFTS(国立映画テレビ学校)の学生だったフランシーヌ・ウィンハムが、ワークショップ用に制作したジェーン・アッシャー主演の短編学生映画「Careless Love」もオマケとして収録。当時はプロの役者が学生映画にノーギャラで出演することは珍しくなかったらしい。これは男を次々と毒殺する魔性の女の話で、ファスビンダーの戯曲にインスパイアされたというが、なかなか皮肉の効いた面白い作品だ。

 

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