ダスティ・スプリングフィールド Dusty Springfield
ブルー・アイド・ソウルの女王
元祖ブルー・アイド・ソウル・シンガーであり、死後7年を経た現在も多くのファンに熱狂的に愛され、多くのアーティストに影響を与え続けている女性である。アニー・レノックスやアリソン・モイエ、シンニード・オコナーなど、彼女を尊敬するアーティストは後を絶たない。アレサ・フランクリンやマーサ・リーヴスといった偉大な黒人女性シンガーたちも、彼女には一目を置いていた。彼女の代表曲のひとつ“Son
of a Preacher
Man”はもともとアレサのために書かれた曲だった。しかし、アレサが気に入らずに却下したという話を聞いたダスティがレコーディングし、大ヒットさせたという経緯があった。ところが、このダスティのバージョンに刺激を受けたのか、アレサは改めてこの曲をレコーディング。アレサのバージョンを聴いて“負けた”と思ったダスティだったが、偶然アレサと同じエレベーターに乗り合わせた彼女の腕をアレサは抱きしめて“この娘ったら・・・!”と嬉しそうにつぶやいたという。ダスティにとっては尊敬する先輩からの最大の賛辞だった。
ダスティの素晴らしさは、まず何よりもその説得力のある歌唱にある。ソウルフルなリズムに乗せて自由に舞い踊るメロディ、そしてその歌詞のひとつひとつに込められたナチュラルな感情表現。白人がソウルを歌うと、どうしても必要以上に“黒さ”を意識して大仰になりがちだが、彼女の歌声にはそうした気負いのようなものが一切ない。しかも、非常に高度なテクニックを、さらりと自然に歌いのけてしまう。時には、まるで聴衆に語り聞かせるかのようにメロディをつむぎ出してしまうのは、まさに天性の勘だろう。彼女にとって歌とは、文字通り楽曲にひとつの生命を与える作業だったと言える。
ダスティはキャロル・キングの楽曲を数多くレコーディングしているが、そのキャロル・キングをして“多くのアーティストが私の作品を録音しているけど、ダスティ・スプリングフィールドほど的確に解釈をした人はいないわ”と言わしめている。同じく、ダスティによって数多くの楽曲を取り上げられたバート・バカラックも、“彼女が私の作品を歌うたびに非常に満足したものだ”と語っている。アメリカン・ポップスの黄金期を築き上げた二大巨頭による賛辞は、ダスティの歌い手としての卓越した実力を十分に物語っているだろう。
そして、ダスティのもう一つのユニークな点は、“黒人音楽”に多大な影響を受けながらも、決して黒人の真似事をしようとはしなかった事だろう。ソウルフルな歌唱力を生かしつつも、彼女はあくまでもポップ・ミュージックを歌い続けた。時にはカンツォーネを、時にはシャンソンを、そして時にはカントリーを。黒人アーティストとのセッションでさえ、彼女は必要以上に“黒さ”を強調する事がなかった。しかし、そのセンス、そのフィーリングにおいて、彼女の歌声は誰よりもソウルフルだった。彼女の音楽は、言い換えれば“白人にしか歌えないソウル・ミュージック”だったと言えるだろう。
その一方で、彼女は非常に気難しい完璧主義者だったと言われている。彼女自身が十分に納得するまでレコーディングが延々と続けられ、時にはミュージシャンやエンジニアを怒鳴り散らすことさえあったという。もともと、地味で控えめな性格だったダスティだが、その一方で音楽に関しては非常に情熱的な女性だった。普段は口数が少なくて人見知りが激しかったが、レコーディング・スタジオでは気性の激しいアーティストへと豹変した。だが、その背景には当時の音楽業界の事情が深く関わっていることも忘れてはならないだろう。
彼女が登場した60年代半ばの音楽業界は、プロデューサーという職業が完全には確立されていなかった。一応、ダスティにもデビュー当時からジョン・フランツというプロデューサーが付いていたが、他に幾つものプロジェクトを抱えていたために殆どスタジオにいる事はなかったのだ。そこで、ダスティは自ら現場を仕切るようになる。だが、60年代当時はまだまだ女性の社会的地位の低い時代。ましてや、男ばかりのレコーディング現場では、若いダスティがなめられても仕方ない状況だった。しかも、彼女は正式な音楽の教育を受けたわけではないので、楽譜も読めない。もちろん、彼女は自分の音楽を聴く耳、感性には誰よりも自信を持っていた。そうした状況から、彼女は自分の求める音楽を作り上げるために、スタジオの男たちと文字通り戦わざるを得なかった。彼らに自分を認めさせるためには、気性の激しさと気難しさで立ち向かわねばならなかったのである。
1939年4月16日、ロンドンに生まれたダスティは、本名をメアリー・イソベル・キャサリン・バーナデット・オブライエン(Mari Isobel
Cahterine Bernadette
O'Brien)という。幼い頃から音楽が大好きだった彼女の最大のアイドルはペギー・リーだったという。他にも、エラ・フィツジェラルド、ジェリー・ロール・モートンらに影響を受けた。
1958年にラナ・シスターズというボーカル・グループに参加し、レコード・デビューを果たすものの、兄トム・スプリングフィールド(本名ディオン・オブライエン)の影響でフォーク・ミュージックに傾倒していたダスティは、1960年に兄と友人のティム・フィールドと共にザ・スプリングフィールズを結成。フィリップス・レコードのプロデューサー、ジョン・フランツと契約をし、デビュー曲“Dear
John”が爆発的な大ヒットとなった。さらに62年には“Silver Threads and Gold
Needles”がアメリカでも大ヒットし、その年のエミー賞で最優秀グループ賞を受賞。一躍、全米でも注目を集めた。
彼女がソウル・ミュージックと出会ったのも、この頃だった。コンサート・ツアーで初めて渡米したダスティは、マーヴィン・ゲイやスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、マーサ&ザ・ヴァンデラズらモータウン系アーティストの音楽に強い衝撃を受けた。それまで、兄の影響下で音楽活動を行ってきたダスティは、これをきっかけに“自分らしい音楽”を模索するようになる。
1963年にザ・スプリングフィールズを脱退したダスティは、同年シングル“I Only Want To Be With
You”(邦題「二人だけのデート」)でソロ・デビューを果たす。モータウン風の軽快なリズムにポップでキャッチーなメロディが爽やかなこのシングルはたちまちヒット・チャートを駆け上がり、全英チャートで4位、全米チャートでもトップ10に入る大ヒットとなった。ここからダスティの快進撃が始まる。翌年には“Stay
Awhile”、“I Just Don't Know What To Do With My Self”、“Losing You”、65年には“Some Kind
of Lovin'”といった具合に次々と全英・全米トップ10ヒットを放ち、66年にはカンツォーネのカバー“You Don't Have To Say You
Love Me(邦題「この胸のときめきを)”が全英1位、全米5位を記録。さらに67年には映画「007/カジノ・ロワイヤル」の主題歌“The Look Of
Love”がアカデミー賞にノミネートされた。
しかし、60年代後半になると音楽シーンも様変わりし、サイケデリック・ロックやファンク・ソウルが人気を集めるようになる。ダスティのようなポップ・シンガーは時代遅れになりつつあった。そんな折、彼女のソウルフルな歌声にヒントを得たアトランティック・レコードのアイディアで、彼女はセントルイスと並ぶリズム&ブルースのメッカ、メンフィスでレコーディングを行うことになる。そこで生まれたのが不朽の名盤“Dusty
In
Memphis”である。プロデュースに当たったのは、ダスティの敬愛するアレサ・フランクリンのプロデューサー・チーム、トム・ダウド、ジェリーウェクスラー、そしてアリフ・マーディン。彼らは本格的なリズム&ブルース・アルバムを作るにあたって、あえてポップな楽曲を選んだ。唯一の例外は冒頭でも紹介した“Son
of a Preacher
Man”。この一見不釣合いな選択が、逆にダスティのディープでソウルフルな歌声を引き出すことに成功し、スノッブな批評家連中にも大絶賛された。これは、当時のポップ・スターのアルバムとしては異例の出来事だった。しかし、シングル“Son
of a Preacher
Man”は全米・全英共にヒット・チャートでトップ10に入る大ヒットとなったものの、アルバムは最高99位と全く売れなかった。
この頃からダスティはヒットに恵まれなくなってしまう。1970年の“How
Can I Be
Sure”を最後に、シングルを出してもヒット・チャートにすら入らなくなってしまった。1972年にはメジャーのアトランティックを離れ、ダンヒル・レコードへ移籍。ジャニス・イアンのカバー“In
The Winter”や、メリッサ・マンチェスターのカバー“Home To
Myself”(メリッサ本人がピアノを演奏)など、優れたレコーディングを残すものの、レコードは全く売れなかった。1970年に“イヴニング・スタンダード”紙のインタビューで、女性とも男性とも恋愛をするという“バイ・セクシュアル発言”をしたのもマイナス効果だったのかもしれない。今でこそ、K・D・ラングやジャニス・イアン、ジョージ・マイケルにエルトン・ジョン、最近では男性アイドル・グループ、イン・シンクのメンバーなど、同性愛・両性愛であることを公にするアーティストは珍しくないが、70年代当時は半ば自殺行為だったとも言えるだろう。もちろん、彼女ならではの率直さ、正直さから出た発言だったろうことは想像に難くないが、そのユニークな音楽性と共に彼女は時代の先を行き過ぎていた。
こうして一般大衆から急速に忘れ去られていったダスティは、次第にアルコールとドラッグに溺れていくようになる。
1978年にユナイテッド・アーティスツ・レコードと契約してカムバックを果たしたダスティだったが、相変わらずレコードは売れなかった。その後、何度かレコード会社を移籍するもヒットに恵まれない状況が続いたが、1987年に念願のチャートへのカムバックを果たすこととなる。ダスティの熱烈なファンだったペット・ショップ・ボーイズとのデュエット“What
Have I Done To Deserve
This?”である。ペット・ショップ・ボーイズらしいキャッチーでちょっとひねくれたポップなダンス・ナンバーで、全英2位を記録したほか、全米チャートでもトップ10に入る大ヒットとなり、再びダスティ・スプリングフィールドの名が世界中に知られるようになった。
さらに89年にはノスタルジックで爽やかなダンス・ポップ・ナンバー“In
Private”はスマッシュ・ヒットとなり、90年にリリースしたアルバム“Reputation”もトップ20に入った。しかし、全てが順調に見えた矢先、彼女の体を病魔が蝕んでいる事が発覚する。94年に乳癌に侵されている事が分かったダスティは治療に専念。リハビリから回復し、95年には彼女を敬愛するダリル・ホールとのデュエット“Wherever
Would I
Be”をリリース。さらに、新しいアルバムの準備も進んでいたものの、1999年3月2日帰らぬ人となってしまった。その2週間後、彼女はロックの殿堂入りを果たしている。
こうして我々の前から永遠に姿を消してしまったダスティだが、今年に入ってにわかにリバイバル・ブームの兆しを見せている。まず、今年の1月に彼女の半生を描いたミュージカル“Dusty”がオーストラリアのメルボルンで幕を開け、現在大ヒットを記録している。今後はイギリスでの上演も決定しており、将来的にはブロードウェイへの上陸も計画されている。また、アメリカでもユニバーサル・ピクチャーズが彼女の半生を描く映画“Dusty”の製作を発表しており、女優兼歌手のクリスティン・チェノウェスがダスティ役を演じる。ダスティ・スプリングフィールドは、今や世界の音楽史に燦然と輝く伝説となったのである。
“I Only Wanna Be With You”のテレビ映像 ココ で見れます!
“I Close My Eyes And Count to Ten”のテレビ映像 ココ で見れます!
“Son Of A Preacher Man”のテレビ映像 ココ で見れます!
Ev'rything's Coming Up Dusty
(1965) The Look Of Love
(1967) Where Am I Going?
(1967) ...Definitely
(1968)
(P)1989 BGO Records (UK)
(P)1999 Mercury Records
(USA)
(P)1998 Mercury Records
(UK)
(P)2001 Mercury Records
(UK)
1,Won't Be Long
2,Oh No! Not My
Baby
3,Long After Tonight Is All Over
4,La Bamba
5,Who Can I Turn
To?
6,Doodlin'
7,If It Don't Work Out
8,That's How Heartaches Are
Made
9,It Was Easier To Hurt Him
10,I've Been Wrong Before
11,I
Can't Hear You
12,I Had A Talk With My Man
13,Packin' Up1,The Look Of Love
2,Give Me Time
(L'Amore Se Ne Va)
3,They Long To Be Close To You
4,If You Go
Away
5,Sunny
6,Come Back To Me
7,What's It Gonna Be?
8,Welcome
Home
9,Small Town Girl
10,Take Me For A Little While
11,Chained
To A Memory
bonus tracks
12,I've Got A Good Thing
13,I Can't Wait
Until I See My Baby's Face
14,I'll Try Anything
15,It's
Over1,Bring Him Back
2,Don't Let Me
Lose This Dream
3,I Can't Wait Until I See My Baby's Face
4,Take Me
For A Little While
5,Chained To A Memory
6,Sunny
7,They Long To
Be Close To You
8,Welcome Home
9,Come Back To Me
10,If You Go
Away
11,Broken Blossoms
12,Where Am I Going?
bonus
tracks
13,I've Got a Good Thing
14,Don't Forget About Me
15,Time
After Time1,Ain't No Sun Since You've Been
Gone
2,Take Another Little Piece Of My Heart
3,Another Night
4,Mr
Dream Merchant
5,I Can't Give Back The Love I Feel For You
6,Love
Power
7,This Girl's In Love With You
8,I Only Wanna Laugh
9,Who
(Will Take My Place)?
10,I Think It's Gonna Rain Today
11,Morning
(Bom Dia)
12,Second Time Around
bonus tracks
13,No Stranger Am I
(Remix)
14,Meditation (Remix)
15,The Colour Of Your Eyes
(Remix)
16,Spooky
ダスティにとって2枚目のフル・アルバム。殆どがカバー曲で、全体的にモータウン・サウンドを意識したポップなリズム&ブルース・アルバムに仕上がってます。ストリングスやホーン・セクションを駆使したリッチなサウンドと、ダスティのソウルフルで暖かい歌声が非常にゴージャス。その一方で、兄トムの影響で少女時代はラテン音楽が好きだったという彼女らしく、#4では“ラ・バンバ”をファンキーにカバーしているのが印象的ですね。
やっぱり#1「恋の面影」が最高ですね。ジャジーでクールなサウンドにセクシーで気だるいダスティのボーカル。いろんなアーティストがカバーしていますが、ダスティには誰も敵いません。お得意のカンツォーネ・カバー#2、カーペンターズも歌った#3、そしてフランスのシンガー・ソングライター、ジャック・ブレルのカバー#4と、ノスタルジックでエレガントなポップ・ナンバーを存分に楽しめる1枚。ボーナス収録の#14もキャッチーかつダンサンブルで大好き!
こちらは同年にイギリスでリリースされたアルバム。アメリカ盤の“The
Look Of
Love”と楽曲が若干被ります。当時のポップ・アーティストは本当に量産体制でした。オープニングの#1から強烈にファンキーでダンサンブルなジャンプ・ナンバー。ソウルフルなダスティのボーカルも冴えまくりです。ヨーロピアン・ポップス的なアプローチの強かったアメリカ盤に比べ、こちらはノーザン・ソウル色の色濃いポップなR&Bアルバムに仕上がっています。
グルーヴィーなジャンプ・ナンバー#1で聴かせるダスティのボーカルの豪快で巧みなこと!ウルトラ・ファンキーなドラム・プレイが猛烈にカッコいい#6、バカラックの名曲を叙情的にカバーしたセンチメンタルなバラード#7、シャルル・アズナヴールの美しいシャンソン・バラードを優雅なボサノバ風にカバーした#9など、ダスティの円熟味を増した圧倒的な歌唱力・表現力を堪能できる素晴らしいアルバム。まさに至福の1枚です。
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Dusty In Memphis (1969) |
From Dusty... With Love (1970) |
A Brand New Me (1970) |
See All Her Faces (1972) |
(P)1990 Rhino Records (USA) | (P)2001 Mercury Records (UK) | (P)1992 Atlantic Recordings (USA) | (P)2002 Mercury Records (UK) |
1,Just A Little Lovin' 2,So Much Love 3,Son of a Preacher Man 4,I Don't Want To Hear It Anymore 5,Don't Forget About Me 6,Breakfast in Bed 7,Just One Smile 8,The Windmills of Your Mind 9,In The Land of Make Believe 10,No Easy Way Down 11,I Can't Make It Alove bonus tracks 12,Willie & Laura Mae Jones 13,That Old Sweet Roll (Hi-De-Ho) 14,What Do You Do When Love Dies |
1,Lost 2,Bad Case of the Blues 3,Never Love Again 4,Let Me In Your Way 5,Let's Get Together Soon 6,A Brand New Me 7,Joe 8,Silly Silly Fool 9,The Star of My Show 10,Let's Talk It Over bonus tracks 11,Richest Girl Alive (Remix) 12,Summer Love (Remix) 13,I Wanna Be A Free Girl (Remix) |
1,Lost 2,Bad Case of the Blues 3,Never Love Again 4,Let Me In Your Way 5,Let's Get Together Soon 6,Brand New Me 7,Joe 8,Silly, Silly Fool 9,The Star of My Show 10,Let's Talk It Over bonus tracks 11,I Wanna Be A Free Girl 12,What Good Is I Love You 13,What Do You Do When Love Dies 14,Haunted 15,Nothing Is Forever 16,Someone Who Cares 17,I Believe In You 18,I'll Be Faithful 19,I Can't Give Back The Love |
1,Mixed Up Girl 2,Crumbs Off The Table 3,Let Me Down Easy 4,Come For A Dream 5,Girls Can't Do What The Guys Do 6,I Start Counting 7,Yesterday When I Was Young 8,Girls It Ain't Easy 9,What Good Is I Love You 10,Willie & Laura Mae Jones 11,Someone Who Cares 12,Nothing Is Forever 13,See All Her Faces 14,That Old Sweet Roll (Hi-De-Ho) bonus tracks 15,Haunted 16,Have A Good Life Baby 17,What Are You Doing The Rest Of Your Life |
発売当時は全く売れなかったものの、批評家やファンには絶賛され、その後何度も再発され続けている不朽の名盤。白人のポップス歌手が黒人音楽のメッカでレコーディングするという先駆性が高く評価された部分もあると思いますが、ポップ・ミュージックが歌い手や演奏者の才能・感性次第でリズム&ブルースになり得る事を実証したという意味で画期的な一枚だったと言えるでしょう。ソフト&メロウな極上のソウル・ミュージックです。 | 前作でR&Bへの本格的なアプローチを聴かせたダスティ。本作ではケニー・ギャンブル&レオン・ハフにプロデュースを委ねています。ギャンブル&ハフと言えば、70年代フィリー・サウンドの立役者。本作でも、彼ら独特の“黒”すぎないスウィート&メロウなサウンドとダスティの安定感のある歌声との相性は抜群で、リッチでゴージャスでロマンティックなソウル・ミュージックを心行くまで堪能できます。スリー・ディグリーズやスピナーズのファンにもオススメ。 | こちらは、そのアメリカ盤。オリジナル・アルバムのラインナップは全く一緒。ただ、このCD盤にはボーナス・トラックが満載。いずれも、シングルでのみ発表されていた作品及びイギリスでのみ発売されていてアメリカでは未発表だった作品です。本CD発売当時は貴重なレア音源でしたが、ここ数年イギリスでの再発ラッシュでこれらの作品も続々とCD化されています。ダスティ・ファンにとっては、本当にいい時代になったもんです。 | ダスティにとって、アトランティック時代最後となったアルバム。今までのアルバムと違い、3つのプロジェクトに分かれてレコーディングされた作品を集めて構成されています。とはいえ、全体的な統一感はきっちりと保たれており、楽曲のクオリティも素晴らしいです。ファンキーなサンバのリズムに爽やかでメロウなメロディが気持ちいいジミー・ウェッブのカバー#1、エレガントなボサ#4、シャルル・アズナヴールの傑作カバー#7など、イージー・リスニング・タッチのポップなソウル・ミュージックが満載。 |
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Dusty In London |
It Begins Again (1978) |
Reputation (1990) |
Reputation (1990) |
(P)1999 Atlantic Recordings (USA) | (P)2002 Mercury Records (UK) | (P)1997 EMI Records (UK) | (P)1990 EMI Records (UK) |
1,Take Another Little Piece Of My
Heart 2,This Girl's In Love With You 3,How Can I Be Sure 4,Mixed Up Girl 5,I Will Come To You 6,I Only Wanna Laugh 7,A Song For You 8,Crumbs Off The Table 9,Let Me Down Easy 10,Who (Will Take My Place)? 11,Ain't No Sun Since You've Been Gone 12,Yesterday When I Was Young 13,I Start Counting 14,See All Her Faces 15,Wasn't Born To Follow 16,What Are You Doing The Rest Of Your Life? 17,Love Power 18,I Think It's Going To Rain Today 19,Morning 20,Girls It Ain't Easy 21,Another Night 22,Come For A Dream 23,Sweet Inspiration 24,The Second Time Around |
1,Turn Me Around |
1,Reputation |
1,Reputation |
1968年〜72年にかけて録音された作品の中から、アメリカではリリースされなかったものだけで選曲されたコンピレーション。こうしてみると、1970年以降はアメリカでは一部のシングル以外は殆ど発売されていなかった事が分かりますね。とりあえず、どの曲もイギリスでリイシューされたアルバムに収録されていますので、熱心なコレクターでない限りは手に入れる必要はないかもしれません。 | アルコールとドラッグを克服したダスティのカムバック・アルバム。ピーター・アレンやバリー・マニロウの作品を取り上げている事からも分かるように、AOR的なアプローチの濃厚な内容。AOR系のアーティストがソウル・ミュージックからの影響を強く受けている事を考えると自然な流れだったのかも。ダスティの歌声も迫力・貫禄共に十分。程よくディスコ・ソウルのテイストが盛り込まれているのもグッドです。 | ダスティ最後のアルバムに、未発表曲や12インチ・バージョンを加えた再発盤。ペット・ショップ・ボーイズがプロデュースに参加している事もあり、いかにも80〜90年代的なエレクトロ・ポップスに仕上がっています。ダスティの歌声は実年齢以上に老けこんでしまっていのが気になるものの、ソウルフルなセンスは健在です。個人的にはノスタルジックで爽やかな60'sっぽいダンス・ポップ#6と#14が大好き。 | こちらは大御所シェップ・ペティボーンによるダイナミックなリミックスが聴き応え十分な12インチ・バージョン。包み込むようなサウンド・エフェクトが豪快です。プロデュースはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやペット・ショップ・ボーイズ、アルファビル、OMDなどを手がけていたアンディ・リチャーズ。 |
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Blue For You |
Something Special |
Am I The Same Girl |
Hits Collection | |
(P)1993 Karussell Ltd (UK) | (P)1996 Mercury Records (UK) | (P)1996 Karussell Ltd. (UK) | (P)1997 Karussell International (UK) | |
1,I Just Don't Know What To Do With Myself |
1,Something Special 2,Reste Encore Un Instant 3,Je Ne Peux Pas Ten Vouloir 4,I'll Love You For A While 5,Needle In A Haystack 6,Tu Che Ne Sai 7,Di Fronte All'amore 8,I Will Always Want You 9,I'm Gonna Leave You 10,Small Town Girl 11,I've Got A Good Thing 12,Don't Forget About Me 13,No Stranger Am I 14,Don't Speak Of Love 15,Earthbound Gypsy 16,Wasn't Born To Follow 17,A Song For You 18,Haunted 19,I Am Your Child 20,You Set My Dreams To Music 21,Give Me The Night 22,Baby Blue (12" Version) 23,Your Love Still Brings Me To My Knees 24,It Goes Like It Goes |
1,Just One Smile 2,Something In Your Eyes 3,I'd Rather Leave While I'm In Love 4,Let Me Love You Once Before You Go 5,Tupelo Honey 6,I Just Fall In Love Again 7,What Are You Doing The Rest Of Your Life? 8,Who (Will Take My Place) 9,Who Can I Turn To 10,Joe 11,Who Could Be Lovin' You Other Than Me? 12,I've Been Wrong Before 13,I Can't Make It Alone 14,They Long To Be Close To You 15,My Colouring Book 16,If You Go Away 17,Sandra 18,No Easy Way Down 19,Breakfast In Bed 20,Long After Tonight Is Over 22,I Think It's Gonna Rain Today 23,Love Me By Name 24,The Look Of Love |
1,Son of a Preacher Man 2,I Close My Eyes And Count To Ten 3,Take Another Little Piece Of My Heart 4,All I See Is You 5,Stay Awhile 6,This Girl's In Love With You 7,Don't Let Me Lose This Dream 8,Welcome Home 9,Give Me Time 10,Sunny 11,Spooky 12,Give Me Time 13,Just One Smile 14,Breakfast In Bed 15,They Long To Be Close To You 16,The Windmills Of Your Mind 17,Haunted 18,Am I The Same Girl |
1,The Look Of Love 2,How Can I Be Sure 3,Stay A While 4,I Just Don't Know What To Do With Myself 5,Son of a Preacher Man 6,All Cried Out 7,I Will Come To You! 8,Some Of Your Lovin' 9,Give Me Time 10,I'm Coming Home Again 11,The Windmills Of Your Mind 12,Losing You 13,I Can't Make It Alone 14,Yesterday When I Was Young 15,Your Hurtin' Kinda Love 16,I Only Want To Be With You 17,All I See Is You 18,I'll Try Anything 19,I Close Me Eyes And Count To Ten 20,You Don't Have To Say You Love Me 21,What Good Is Love For You? |
比較的マニアックな選曲の廉価版ベスト。全体的にロマンティックでハート・ウォーミングな楽曲を中心に構成されており、個人的にもかなり好きな選曲です。特に、兄トムが作曲したフォーク・タッチの哀しげなバラード#9は傑作。他ではなかなか聴けない作品です。このKarussellというレーベル、ポリグラム傘下の廉価盤専門メーカーですが、マニアも唸るような選曲のベストを数多くリリースしてるので要注意です。 | こちらはヒット曲の外国語バージョンや、シングルのB面ソング、アルバム未収録曲、レア・バージョンなどを中心に選曲された非常にマニアックな2枚組ベスト。ここでしか聴けない作品も少なくないので、ファンならば必携です。中でも、洗練されたエレガントなメロウ・ダンス・ナンバー#22(CD 1)は非常にレアな12インチ・バージョンでの収録。また、俳優スティーブン・ドーフの親父さんが書いたCD 2の#4と#6もカントリー風の非常にメロウで美しいバラード。 | さすがKarussellらしい、大ヒット曲とマニアックなトラックをバランス良く配した絶妙の選曲が光る、非常にナイスな廉価版ベストです。ただ、数年前に日本のCMでも使われて話題になったクラシックスWのカバー#10が、音質の良くないモノラル・バージョンでの収録なのが残念。まあ、当時はまだリマスター&リミックス・バージョンがリリースされる前なので仕方ないのですが。バーバラ・アックリンの名曲をカバーした#18も最高です。 | 1963年から70年までの間にイギリスでシングル・カットされた楽曲を全て収録した、タイトル通りの究極のベスト盤。有名曲だけを適当に配した平凡なベスト・アルバムでお茶を濁さないのがKarussell盤らしいこだわりですね。とりあえずヒット曲は全てこれ一枚で手に入るので、初心者はこのCDか、カムバック後のシングルも含めた“Dusty : The Very Best Of Dusty Springfield”辺りから始めると良いでしょう。 |
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Beautiful Soul |
(P)2001 Universal Music (USA) |
1,Who Gets Your Love 2,Breakin' Up A Happy Home 3,Easy Evil 4,Mama's Little Girl 5,The Other side Of Life 6,Comin' And Goin' 7,I Just Wanna Be There 8,Who Could Be Loving You Other Than Me 9,Tupelo Honey 10,Of All The Things 11,Learn To Say Goodbye 12,Exclusively For Me 13,Turn Me Around 14,In The Winter 15,I Am Your Child 16,A Love Like Yours 17,Home To Myself 18,Make The Man Love Me 19,Angels 20,Beautiful Soul |
1972年〜74年までの間にダンヒル・レコードでレコーディングされた楽曲を集めたコンピレーション盤。ダンヒルといえば、ステッペンウルフやママス&パパスが在籍していたレーベル。72年のセッションは、R&Bに影響を受けた都会的なポップ・ロックに、74年のセッションはジャニス・イアンやメリッサ・マンチェスターのようなシンガー・ソングライター風のAORサウンドに仕上がっています。#14はジャニス・イアンの、#15はバリー・マニロウの、#17はメリッサ・マンチェスターのカバー。バリーとメリッサはそれぞれ本人がピアノを演奏しています。 |