Brian De Palma on Blu-ray

 

 

 

悪魔のシスター
Sisters (1973)

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(P)2014 Twin/Paramount Japan (JP) (P)2014 Arrow Films (UK)
画質★★★☆☆ 音質★★★★☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:日本語/92分/地域コード: A/制作国:アメリカ

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(UK盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch リニアPCM/言語:英語/字幕:英語/93分/地域コード:B/制作国:アメリカ

<パッケージ仕様>
・ジャケット2種類(リバーシブル)
・フルカラー・ブックレット(40p)

<特典>
・ビジュアル・エッセイ「What the Devil Hath Joined Together」
・共同脚本家ルイザ・ローズの最新インタビュー
・女優ジェニファー・ソルトの最新インタビュー
・編集者ポール・ハーシュの最新インタビュー
・ユニット・マネージャー、ジェフリー・ヘイズの最新インタビュー
・デ・パルマ作品ガイド「The De Palma Digest」
・俳優ウィリアム・フィンレイのオーディオ・インタビュー(アーカイブ)
・オリジナル劇場予告編
・フォト・ギャラリー
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:エドワード・R・プレスマン
脚本:ブライアン・デ・パルマ
   ルイザ・ローズ
撮影:グレゴリー・サンダー
音楽:バーナード・ハーマン
出演:マーゴット・キダー
   ジェニファー・ソルト
   チャールズ・ダーニング
   ウィリアム・フィンレイ
   レスリー・ウィルソン
左同

 ご存知、ブライアン・デ・パルマ監督の出世作。美人モデルの自宅で一夜を過ごした黒人青年が何者かによって殺され、その現場を向かいのアパートから目撃していた女性記者が真相を探ったところ、恐ろしくも哀しきシャム双生児姉妹の秘密が浮かび上がっていく。ヒッチコックの「裏窓」や「サイコ」からインスパイアされた衝撃のスリラーである。
 筆者はパラマウントがディストリビュートした日本盤BDとカルト映画専門のArrow FilmsよりリリースされたUK盤BDの両方を購入。映像や音声の仕様が全く一緒なので同一マスターを使用しているように思われるかもしれないが、実際の本編を見比べれば一目瞭然。両者は全く別の原盤を使用している。
 日本盤の原盤ソースは定かでないものの、UK盤は米クライテリオン社がDVD用に作成したデジタル・リマスターを使用。なので、日本盤BDにはフィルムの傷や汚れが明らかに散見されるものの、UK盤BDではその殆どが丁寧に除去されている。とはいえ、どちらも画像イメージは全体的にボンヤリしており、フィルム・グレインのザラつきもかなり目立つ。ブルーレイの画質としては正直なところ及第点。恐らく元々のマスター・フィルムの状態がそんな感じなのだろう。とりあえずノイズ・フリーなUK盤の方に一応の軍配は上がるものの、全体的な映像のクオリティとしてはどっこいどっこいだ。音声も日本盤の方が僅かに劣るものの、大きな差があるというわけでもない。
 ただ、特典に関してはUK盤の方が大きくリードしていると言えよう。デ・パルマのインタビューが収録されていないのは惜しまれるものの、BD用に製作された関係者の最新インタビューはそれなりに充実。中でも、主演のマーゴット・キダーの親友で、彼女を介してデ・パルマ監督と知り合った(当時のマーゴットは彼の恋人だった)ジェニファー・ソルトのインタビューでは、映画界での成功を目指す仲間としての舞台裏の人間関係が語られていて非常に興味深い。
 また、'12年に亡くなった俳優ウィリアム・フィンレイが生前に残していた音声インタビューの中から、本作にまつわる部分だけを編集したオーディオ特典も一聴の価値アリ。そのほか、映画ジャーナリストのジャスティン・ハンフレイが本編映像を抽出しながら作品解説をするビジュアル・エッセイや、映画評論家マイク・サットンがデ・パルマ作品の映像を流しながら彼のキャリアを振り返るドキュメンタリー、日本を含む世界各国のポスターやスチル画像で構成されたフォト・ギャラリーなどが収録されている。重ね重ねになるが、デ・パルマのインタビューが未収録なのは片手落ちと言わざるを得ないものの、予告編すら収録されていない日本盤よりは良心的なパッケージだと言えよう。

 

 

ファントム・オブ・パラダイス
Phantom of the Paradise (1974)

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(P)2014 Scream Factory (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤2枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio・2.0ch DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/92分/制作国:アメリカ

<BD特典>
・ジェシカ・ハーパー、ゲリット・グレアム、アーチー・ハーン、ピーター・エルブリング、ジェフリー・コマナーによる音声解説
・プロダクション・デザイナー、ジャック・フィスクによる音声解説
・ブライアン・デ・パルマ監督 最新インタビュー
・ポール・ウィリアムス 最新インタビュー
・特殊メイク担当トム・バーマン 最新インタビュー
<DVD特典>
・製作者エドワード・プレスマン 最新インタビュー
・ドラム奏者ゲイリー・マラバー 最新インタビュー
・「Paradise Regained」 メイキング・ドキュメンタリー
・ギレルモ・デル・トロ監督とポール・ウィリアムスの対談
・衣装デザイン ロサナ・ノートンのインタビュー
・別テイク集
・スワン・ソング アウト・テイク
・オリジナル劇場予告編
・TV&ラジオ・スポット集
・スチル・ギャラリー
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:エドワード・R・プレスマン
脚本:ブライアン・デ・パルマ
撮影:ラリー・バイザー
音楽:ポール・ウィリアムス
出演:ポール・ウィリアムス
   ウィリアム・フィンレイ
   ジェシカ・ハーパー
   ジョージ・メモリ
   ハロルド・オブロング
   アーチー・ハーン
   ジェフリー・コマナー
   ゲリット・グレアム

 異論はあるかもしれないが、筆者にとってデ・パルマの代表作といえば「ファントム・オブ・パラダイス」。ストーリーとしては芸術家の才能を食い物にする音楽業界のバックストーリーに「ファウスト」伝説を絡めたダーク・ファンタジーなのだが、ポップでユーモラスな語り口に表現主義的なゴシック・ホラー・テイストを加味した独特のシュールな世界感といい、アメリカン・ポップスの真髄を濃縮したようなバラエティ豊かなサウンドトラックといい、デ・パルマをはじめとする関係者の才気がほとばしる見事な仕上がり。あまりにも斬新すぎたせいか、劇場公開当時は興業的な惨敗を喫したものの、現在に至るまでカルト映画として熱烈に愛され続けている異端の傑作だ。
 米国スクリーム・ファクトリー・レーベルからリリースされたコレクターズ・エディションは、本編と音声特典、一部映像特典を含んだブルーレイと、残りの映像特典を詰め込んだDVDの2枚組。フルHDにてテレシネされた本編の画質はほぼパーフェクトだ。何よりも目を奪われるのは鮮烈で豊かな色彩。原色カラーがしっかりと再現されており、黒にも十分な深みがある。陰影のコントラストがハッキリしているので、全体的な印象も見事なくらいシャープだ。はじめの10分くらいは部分的に僅かな傷が散見されるものの、目を凝らして見ない限りは気付かない程度。つい今しがた撮ったばかりです、とでも言わんばかりの鮮明な映像が嬉しい。
 本編音声は5.1chと2.0chの2種類をDTS-HDにて収録。音楽が重要な要素を占める作品だが、5.1chのサラウンド・リミックスは重量感も広がりもハンパなく、サウンド・エンジニアは実にいい仕事をしている。ジェシカ・ハーパーやゲリット・グレアムら主要キャストによる音声解説がまた賑やかで楽しい。また、パッケージには表記されていないものの、プロダクション・デザイナーのジャック・フィスクによる音声解説も収録されており、セット・ドレッサーとしてクレジットされている女優シシー・スペイセクの具体的な仕事内容などにも触れている。本作の後に2人が結婚したことはご存知のとおり。
 で、特典映像がまたてんこ盛り。デ・パルマ監督とポール・ウィリアムスのインタビューはそれぞれ30分以上に及んでおり、当時の舞台裏エピソードが存分に語られている。また、特殊メイクのトム・バーマンによれば、メイク・デザイナーとしてクレジットされているジョン・チェンバースは、実は撮影前に降板していたのだとか。どうやら、20世紀フォックスはオスカー受賞者のネームバリューが欲しかったために、彼の名前をクレジットに残したようだ。また、別テイク集ではヒロインのオーディション・シーンなどを別アングルから撮影した未公開映像を収録。本作の熱烈なファンであるギレルモ・デル・トロ監督とポール・ウィリアムスの対談映像は'13年に撮影されたもので、デル・トロが音楽にも造詣が深いことがよく分かる。ウィリアムスによれば、ゲリット・グレアムのボーカルは吹き替えでなく本人の声をそのまま使ったほうが良かったのではないかと思っているそうだ。
 いずれにせよ、本編映像のクオリティといい、特典の充実ぶりといい、メーカー側の手間と暇と愛情が目一杯詰まった素晴らしいパッケージ。これで実売価格20ドル以下なのだから!まさに、一家に1セット必携の保存版だ。

 

 

愛のメモリー
Obsession (1976)

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(P)2011 Arrow Video (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(UK盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格1080p/音声:5.1DTS-HD Master Audio ; LPCM Mono Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード: ALL/ 98分/制作国:アメリカ

<パケージ仕様>
ジャケット4種類(リバーシブル)
復刻版ポスター(リバーシブル)封入
復刻版オリジナル脚本封入

<特典映像>
メイキング・ドキュメンタリー(デ・パルマ監督、クリフ・ロバートソン、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドほか関係者多数出演)
オリジナル劇場予告編
デ・パルマ監督初期短編映画集(「Woton's Wake」「The Responsive Eyes」)
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ジョージ・リット
   ハリー・N・ブラム
脚本:ポール・シュレイダー
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:バーナード・ハーマン
出演:クリフ・ロバートソン
   ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド
   ジョン・リスゴー
   シルヴィア・クーンバ・ウィリアムス
   ワンダ・ブラックマン

 デ・パルマ作品の中ではワリと埋もれがちではあるものの、今も数多くの根強いファンを持つ作品。最愛の妻と幼い娘を誘拐され殺された男性が、その16年後にイタリアのフィレンツェで妻と瓜二つの若い女性と出会う。ヒッチコックの「めまい」のバリエーションとも言えるが、その全編を包む寂しげなロマンティシズムこそが本作の真骨頂。「ミッドナイト・クロス」と並んで“泣けるサスペンス”の代表格に位置する映画である。
 で、とりあえず値段の安さで英国Arrow Video版のブルーレイを購入。本編の仕様は日本盤と同一なので、恐らく同じマスターを使用しているのだろう。'70年代の映画にありがちなフィルムのザラつきが気になる人は気になるかもしれないが、それもハイビジョンの高画質ゆえのこと。過去のDVD盤と比較すれば、その映像の美しさは一目瞭然だ。5.1chのDTS-HD音声も迫力があり、ドラマチックなムードをいやがおうにも高めてくれる。
 特典映像のドキュメンタリーは過去のデラックス版DVDに収録されていたものと一緒。日本盤ブルーレイにも入っている。ビデオマスターをそのまま使用しているため、こちらはあまり画質的によろしくない。その一方、この英国盤で嬉しいのはデ・パルマ監督の初期短編映画2本を見ることができることであろう。
 1962年製作の「Wonton's Wake」は、サイレント期のドイツ表現主義やロシアン・アヴァンギャルドなどに誘発された怪奇幻想譚。「プラーグの学生」や「カリガリ博士」、「オペラの怪人」、「戦艦ポチョムキン」などにオマージュを捧げており、今見てもかなりアナーキーでパンクな作品だ。デ・パルマ映画の常連ウィリアム・フィンレイの若き日の怪優ぶりを目の当たりにできるのも嬉しい。もう1本の「The Responsive Eye」は1966年に発表された作品で、その前年にニューヨーク近代美術館で開かれたオプ・アート展の模様を記録したドキュメンタリーである。
 さらに、Arrow Videoらしくパッケージに凝っているのも大きな魅力。最大の目玉は、付録として封入されたポール・シュレイダーのオリジナル脚本であろう。ストーリーの大筋は完成版と同じなのだが、結果的に撮影されなかったシーンも多数含まれており、本編と見比べながら読むのも一興だ。また、4種類から選べるジャケットデザインのうちの一つには、劇場公開時の日本版ポスターが使用されている。商品の完成度としても非常にレベルが高い。

 

 

フューリー
Fury (1978)

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(P)2013 Arrow Films (UK)
画質★★★★☆ 音声★★★★★
ブルーレイ仕様(UK盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:4.0ch DTS-HD MA ・2.0ch PCM Mono/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/118分/制作国:アメリカ

<パッケージ仕様>
・ジャケット2種類(リバーシブル)
・フルカラー・ブックレット(40p)

<特典>
・撮影監督リチャード・H・クラインの最新インタビュー
・女優フィオナ・ルイスの最新インタビュー
・製作インターン、サム・アーヴィン・ジュニアの最新インタビュー
・ブライアン・デ・パルマ監督のインタビュー(78年当時)
・製作者フランク・ヤブランスのインタビュー(78年当時)
・女優キャリー・スノッドグレスのインタビュー(78年当時)
・女優エイミー・アーヴィングのインタビュー(78年当時)
・「Double Negative」(サム・アーヴィング監督)
・オリジナル劇場予告編
・舞台裏スチル・ギャラリー
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:フランク・ヤブランス
原作:ジョン・ファリス
脚本:ジョン・ファリス
撮影:リチャード・H・クライン
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:カーク・ダグラス
   ジョン・カサヴェテス
   キャリー・スノッドグレス
   チャールズ・ダーニング
   エイミー・アーヴィング
   アンドリュー・スティーヴンス
   フィオナ・ルイス
   ルターニャ・アルダ
   ウィリアム・フィンレイ

 「キャリー」('76)の大ヒットで一躍ハリウッドの寵児となったデ・パルマが、再び超能力をテーマにしつつ、秘密組織の陰謀やスパイ活動を絡めたアクション・スリラーに仕立て上げた作品。特殊能力を持つ息子を秘密組織に奪われた父親の追跡劇を軸に、余計な説明を省いたテンポの良いストーリー展開はよく出来ており、ケレン味たっぷりなデ・パルマ監督の演出も冴えている。「スキャナーズ」を先駆けたようなクライマックス(こちらは人体爆破だけれど)のインパクトもバッチリだ。
 オリジナルのカメラネガから2K解像度でテレシネされたUK盤ブルーレイは、部分的にイメージがぼやけている箇所も希に散見されるものの、それ以外は概ねクリアでシャープな高画質だ。ナイト・シーンではフィルム・グレインのザラつきが目立つことは否めないが、フィルムの傷や汚れはほぼなし。音声トラックは4.0chにリミックスされたDTS-HDと、非圧縮のリニアPCMで収録されたオリジナルのモノラル音声の2種類。さらに、ジョン・ウィリアムスの音楽スコアのみを楽しめるオプション・トラックも用意されている。
 特典映像の充実具合もまずまず。中でも、「ソイレント・グリーン」や「スタートレック」で知られる撮影監督リチャード・H・クラインのインタビューは中身が濃い。“私が関わった映画の中でも技術的には最高レベルの作品”と誇らしげに語るクラインは、まるで昨日のことのように撮影当時をハッキリと記憶しており、創意工夫を凝らした舞台裏のエピソードを雄弁に披露している。また、フィオナ・ルイスは本作だけでなくポランスキーの「吸血鬼」など、ほかの出演作についても言及しており、映画ファンには興味深いインタビューとなっている。さらに、撮影当時の監督やキャストのインタビューは、あくまでもプロモーション目的なので通り一辺倒な内容ではあるものの、映像資料としては貴重だといえよう。
 なお、短編映画「Double Negative」は本作の製作インターンとして参加し、後に「殺しのドレス」の監督アシスタントも務めたサム・アーヴィン・ジュニアが自主制作で監督した作品。自分の作品を勝手に編集されることに不満を持った映画監督が、ネガフィルムを奪還すべく映画会社の倉庫に忍び込むという内容で、デ・パルマ映画の常連俳優ウィリアム・フィンレイも顔を出している。

 

 

殺しのドレス
Dressed To Kill (1980)

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(P)2011 MGM/20th Century Fox (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio・2.0ch Mono/言語:英語・フランス語/字幕:英語・スペイン語・フランス語/地域コード:A/ 105分/制作国:アメリカ

<特典>
・メイキング・ドキュメンタリー(ブライアン・デ・パルマ監督、アンジー・ディッキンソン、ナンシー・アレン、デニス・フランツ、キース・ゴードンら出演)
・完全版、R指定版、TV版の映像比較
・「Slashing Dressed To Kill」ドキュメンタリー
・「An Appreciation by Keith Gordon」ドキュメンタリー
・アニメーション・フォト・ギャラリー
・オリジナル劇場予告編
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ジョージ・リット
脚本:ブライアン・デ・パルマ
撮影:ラルフ・ボード
音楽:ピノ・ドナッジョ
出演:マイケル・ケイン
   アンジー・ディッキンソン
   ナンシー・アレン
   キース・ゴードン
   デニス・フランツ
   デヴィッド・マーグリーズ

 デ・パルマ監督の、いわゆる“ヒッチコック風サスペンス”の中では最高峰に位置すると個人的に思っている傑作。前半と後半でヒロインが変わる展開は「サイコ」そのままだけれども、セックスとバイオレンスを全面に押し出したえげつなさはデ・パルマならではの持ち味。多重人格を題材にしたトリックは、確かにあざといといえばあざといけれど、そんな欠点も細部まで緻密に計算されたカメラワークの素晴らしさで全部帳消しだ。
 日本ではいまだブルーレイ発売されていない本作。上記の北米盤BDは、基本的には日本でも発売された'06年の2枚組アルティメット・コレクションDVDをそのまま移植している。ただ、かなり解像度が粗かったDVDに比べると、BD版は画像のきめがとても細かく、一見しただけでも両者の差は歴然。というか雲泥の差。全体的に色の深みにもシャープネスにも欠ける映像は、改めてBD用に高解像度のテレシネ作業が必要かと思われるが、現時点ではこれがベストのクオリティだろう。とはいえ、もともとフォーカスが甘めで撮影されている作品なので、たとえデジタル・リマスターされたとしても、なかなか輪郭クッキリのピカピカな高画質というわけにはいかないのだろうけれど。
 ただ、本BDで最も残念なのは、特典映像の一部が削られていることだろう。DVDに収録されていたドキュメンタリー「殺しのドレスとニューヨーク」と宣伝用フォトギャラリーの2つがBDでは未収録となっている。画質的に若干劣るとされるUK盤BDにはナンシー・アレンやアンジー・ディッキンソンの新しいロング・インタビュー(フランス盤からの移植)も収録されているらしいので、いずれは手に入れておかねばなるまいと思案中だ。

 

 

ミッドナイト・クロス
Blow Out (1981)

BLOW_OUT-BD.JPG
(P)2013 Arrow Films (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(UK盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.40:1/音声:2.0 ch Stereo PCM/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/108分/制作国:アメリカ

<パッケージ仕様>
・ジャケット2種類(リバーシブル)
・フルカラー・ブックレット(36p)

<特典>
・撮影監督ヴィルモス・ジグモンドの最新インタビュー
・女優ナンシー・アレンの最新インタビュー
・製作者ジョージ・リットの最新インタビュー
・作曲家ピノ・ドナッジョの最新インタビュー
・撮影舞台裏フォト・ギャラリー
・オリジナル劇場予告編
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ジョージ・リット
脚本:ブライアン・デ・パルマ
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:ピノ・ドナッジョ
出演:ジョン・トラヴォルタ
   ナンシー・アレン
   ジョン・リスゴー
   デニス・フランツ
   ピーター・ボイデン

 これまた傑作。この時期のデ・パルマ映画にハズレなしってことで、交通事故に見せかけた大統領候補暗殺に利用されたお人好しの娼婦と、その現場を目撃してしまった映画の録音技師が、殺し屋に命を狙われつつも事件の真相を突き止めようとする。なにしろ役者よし、ロケーションよし、カメラよし。デ・パルマの凝りまくった演出も冴えており、さらにピノ・ドナッジョの美し過ぎる音楽スコアがドラマを盛り上げる。クライマックスなんぞ涙なしでは見れまい。これほど泣けるサスペンスってのも珍しかろう。
 アメリカでは天下のクライテリオン社からBDがリリースされているが、筆者はたまたま値下げしていたUK盤BDをチョイス。よくよくクレジットを見たら、本編マスターはクライテリオンの提供だった。35ミリのネガフィルムから2K解像度でテレシネを行い、デ・パルマ監督自身の監修のもとで修復作業が施されたとのこと。確かに高画質であることに間違いはないのだが、ちょっとばかり説明が必要になってくるかもしれない。
 というのも、オープニングからしばらくは、'80年代の低予算映画にありがちなソフトフォーカスが仇となってしまい、全体的に今ひとつ画像の鮮明さに欠けるのだ。だが、主人公が深夜の屋外で自然音を拾うシーンになると一変。ナイト・シーンにも関わらず細部までクッキリとディテールが際立ち、深みのある黒や適度なグレインがフィルムらしい美しさを醸し出す。これはなかなかのもの。さすがはクライテリオンの仕事といったところだ。
 しかし、終盤の娼婦サリーが殺し屋バークの正体に気付くあたりから再び画像がボヤけ始め、グレインもかなり目立つように。DVDよりも解像度が高いのはハッキリと分かるが、それだからこそなのか、素材フィルムの欠点が強調されてしまっているように感じる。もちろん、旧DVD盤に比べれば十分な高画質なのだけれど。
 音声はオリジナルのステレオ音声を非圧縮のリニアPCMで収録。こちらはすこぶる高音質で、下手にサラウンド化するよりも良かったのかもしれない。特に音楽スコアのダイナミックな再現力はピカイチ。決してリミックスを否定するわけではないが、本来聞こえるべき音で聞こえるというのはひとつの理想だ。
 で、特典映像はクライテリオン盤と別にUK盤オリジナルのコンテンツを収録。デ・パルマのインタビューがないのは惜しまれるが、その分、撮影監督のヴィルモス・ジグモンドが舞台裏のエピソードを存分に語っている。当時「未知との遭遇」や「天国の門」など大作映画の仕事が続いた彼にとって、久々の低予算映画はいい気分転換だったようだ。また、ピノ・ドナッジョのインタビューでは、「キャリー」に始まるデ・パルマとのコラボレーション全般についても言及されている。'94年に行われたデ・パルマとタランティーノの対談を完全収録したブックレットも読み応えたっぷりだ。

 

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