ダニ・ブリヤン Dany Brillant
ダンディでセクシーな現代のアズナヴール
ダンディで硬派なボーカル、50年代〜60年代のポピュラー・ミュージックに影響を受けたスタイリッシュなサウンド、そしてセクシーで渋いルックス。フランク・シナトラとシャルル・アズナヴールに影響を受けたというが、まさにあの時代のダンディズムを現代に受け継いだ伊達男である。ジャズやシャンソン、ラテン、ロックン・ロール・・・そのノスタルジックで甘いメロディとサウンドには、ブリヤン流の美学が徹底的に貫かれている。時代の流行に一切惑わされず、己のスタイルを守り続ける孤高のアーティストと言っていいだろう。
1965年12月28日、ダニ・ブリヤンはチュニジアのチュニスに生まれた。生後数ヶ月で家族と共にフランスに移ったダニは、パリ郊外で育つ。14歳の誕生日に祖父からプレゼントされたギターを独学で弾きこなすようになり、プレスリーやシナトラ、ミシェル・ルグランなどの作品をカバーしていたという。大学では医学を学んだものの、20歳の時に中退。サン・ジェルマン・デュ・プレ界隈のキャバレーで弾き語りをして生計を立てながら、レコード会社にデモ・テープを持ち込む日々を送っていた。しかし、当時のレコード会社ディレクターの反応はいずれも同じものだったという。“君の音楽は時代遅れだ”と。そうした中で、唯一彼にチャンスを与えてくれたのがワーナー系列のWEAミュージックだった。
そうしてリリースされたのが1991年のアルバム“C'est
ca qui est
bon”。シングル・カットされた“Suzette”はヒット・チャートで1位を獲得し、折からのレトロ・ブームやラウンジ・ブームも手伝って大ヒットを記録した。続くセカンド・アルバム“C'est
toi”ではフル・オーケストラを動員したゴージャスで華麗なサウンドを展開し、こちらも大ヒット。さらに、キューバでレコーディングしたサード・アルバム“Havana”は、プラチナ・アルバムを獲得するほどのメガヒットとなった。
さらに97年にはフランス音楽界の殿堂オランピア劇場でのコンサートを大成功させ、99年には4枚目のアルバム“Nouveau
jour”をロンドンでレコーディング。その年の6月にはセリーヌ・ディオンのコンサートで前座を務め、秋にはラテン・バンドを従えたコンサート・ツアーも行った。そして、2001年にはローマにあるエンニオ・モリコーネのスタジオでレコーディングしたアルバム“Dolce
Vita”をリリース。2004年にはアメリカのニュー・オーリンズでレコーディングしたアルバム“Jazz...”を発表し、ここ日本でもリリースが実現した。
2005年に発表されたライブ・アルバム“Casino”以来、沈黙を守ったままだったダニ・ブリヤン。つい先ごろ、オリジナル・アルバムとしては3年ぶりとなる新作“Histoire
d'un
amour”をリリースしたばかり。敬愛するシナトラの“夜のストレンジャー”やダスティ・スプリングフィールドの“この胸のときめきを”、そして“ベサメ・ムーチョ”や“ヴォラーレ”などのスタンダード・ナンバーを、粋でモダンなラテン・ジャズとしてカバーした作品。久々に、ダニ・ブリヤンの世界を思い切り堪能できる1枚に仕上がっている。一部のリスナーからは“同じことの繰り返し”だと批判されているようだが、ファンとしては変にイメージ・チェンジされてしまっても困る。この大いなるマンネリズムこそが、ダニ・ブリヤン最大の魅力だと思うのだ。
“Suzette”のプロモ・クリップ ココ で見れます!
“Toi et
moi”のプロモ・クリップ ココ で見れます!
“Tu vuo' fa
l'Americano”のプロモ・クリップ ココ で見れます!
“Ca
l'fait...le Big Band”のプロモ・クリップ ココ で見れます!(カッコいいっす〜!)
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C'est ca qui est bon (1991) |
C'est toi (1993) |
Havana (1996) |
Nouveau jour (1999) |
(P)1991 WEA Music (France) |
(P)1993 WEA Music/V.K. (France) | (P)1996 WEA Music/V.K. (France) | (P)1999 Columbia/Sony (France) |
1,Viens a Saint Germain 2,Y'a qu'les filles qui m'interssent 3,Dormir avec toi 4,Quand le Jazz 5,Ma fiancee, elle est partie 6,Suzette 7,La nuit est a nous 8,Elle dit non, non, non 9,C'est ca qui est bon 10,Caroline est en Colere lyric & music by Dany Brillant produced by Varda Kakon/Daniel Lellouche |
1,C'est toi 2,Donne moi l'amour 3,J'vais voir ma p'tite poupee 4,J'aime la musique 5,Cherie 6,Tu as brise ma vie 7,Quand tu viens chez moi 8,Mais que veux-tu que je fasse 9,C'est pas vrai 10,Redonne moi ma chance lyric & music Dany Brillant produced by Dany Brillant |
1,Une fille comme ca 2,Les parfumes de l'Orient 3,Quand je vois tes yeux 4,Les envieux 5,Dis moi 6,La queue du chat 7,Pourtant 8,Ronsard 96 9,Le rat 10,Rien que toi lyric & music by Dany Brillant (except #9) produced by Rembert Euges & Alain Pewzner |
1,Toi et moi 2,Quand je s'rai beau 3,Le destin t'a donne ta chance 4,J'en ai assez 5,Comment c'est ton nom 6,Dieu 7,Garde la danse 8,Nous avions decide 9,Tout est dans les yeux 10,Hier encore lyric & music by Dany Brillant *except #10 by Charles Aznavour |
ダニのノスタルジック趣味が存分に発揮されたデビュー・アルバム。当時はハリー・コニック・ジュニアのフランス版といったようなイメージでした。ラテン・ジャズにシャンソンをブレンドしたような、小粋でお洒落な1枚。同時期のバイヤ・コン・ディオスやヴィクター・ラズロにも通じるような雰囲気のある作品です。ちょうど50年代のハリウッド・スタイルがリバイバルしていた時期だけに、絶妙のタイミングだったとも言えるでしょう。 |
前作よりもジャズ・スウィング色の濃くなったメロウでダンディなセカンド・アルバム。シナトラやディーン・マーティンというよりも、イヴ・モンタンやシャルル・アズナヴールといった雰囲気ですね。チャールストンのリズムにキャッチーで甘いメロディが心地よい#4なんか大好きです。今回は作詞・作曲だけでなくプロデュースもダニ自身が手掛けており、フレンチ・ポップスらしいエスプリに満ちたロマンティックな1枚に仕上がっています。 | タイトルの通り、キューバはハヴァナでレコーディングされたサード・アルバム。サルサやマンボのリズムに乗せて、甘くセクシーなメロディとボーカルを堪能出来る素晴らしいラテン・ジャズ・アルバムです。ダニの作品の中でも最高傑作と呼んでいい1枚。とろけるようなロマンティシズムとエレガンスはヨーロッパ人ならではの醍醐味で、決して本場のアーティストには出せないもの。フレンチ・ポップスとキューバ音楽の見事なコラボレーションです。オススメ! | こちらはロンドンでレコーディングされた4枚目のアルバム。今までの路線を踏襲しつつも、60年代のスウィンギン・ロンドン的なモダンな味付けがとてもお洒落な1枚。マンフレッド・マンやゾンビーズ辺りを彷彿とさせるジャジーでサイケなサウンドはカッコ良し。ダニの作品の中でも、最もロック色の強いアルバムと言えるでしょう。甘く切ないボサ・ナンバー#6もオススメ。本作の目玉であるアズナヴールのカバー#10は、打ち込みを使ったのが失敗だったかも。 |
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Dolce Vita (2001) |
Jazz...a la nouvelle-orleans (2004) |
Casino (2005) |
(P)2001 Soul Latin Jazz/Columbia(France) | (P)2004 Soul Latin Jazz/Columbia (France) | (P)2005 Soul Latin Jazz/Columbia (France) |
1,Tant qu'il y aura des
femmes 2,Dans les rues de Rome 3,Regarde-moi 4,Je voudrais tant que tu me donnes... 5,Si tu suis ton chemin 6,Ne va pas trop vite! 7,Parce que tu sais 8,Le rumeur 9,Dors 10,Tu vuo' fa l'Americano lyric & music by Dany Brillant (except #10) realisation : Mick Lanaro |
1,Un jour... 2,Ca l'fait...le Big Band 3,Oui! J'ai besoin de toi 4,Tu m'avais dit 5,J'habitais Saint-Germain-Des-Pres 6,Je t'attends 7,La Dolce Vita 8,A mon pere 9,Comme le jour et la nuit 10,Fly Me To The Moon lyric & music by Dany Brillant (except #10) realisation : Tracey Freeman |
1,Ca l'fait...le Big Band 2,Tu vuo' fa l'americano 3,Oui! J'ai besoin de toi 4,Un jour... 5,Fly Me To The Moon 6,Dieu 7,Garde la danse 8,Tout est dans les yeux 9,Comme de jour et la nuit 10,Je t'attends 11,Je voudrais tant que tu me donnes 12,Suzette 13,Quand je vois tes yeux 14,Tant qu'il y aura des femmes 15,Dans les rues de Rome |
古き良き時代のイタリアをイメージした、ノスタルジックで賑やかな素晴らしいアルバム。タイトルはフェリーニの「甘い生活」ですが、内容的には「黄金の七人」やヴィットリオ・デ・シーカの「昨日・今日・明日」辺りを彷彿とさせるような、洒脱でロマンチックでグルーヴィーな仕上がり。ボサノバからチャ・チャ・チャ、ナポリ民謡まで様々なエッセンスを散りばめた小粋なセンスはダニ・ブリヤンの独壇場。オススメです。 | ジャズの聖地ニュー・オーリンズでレコーディングした6枚目のアルバム。本格的なビッグ・バンド・ジャズ・アルバムに仕上がっています。しかし、そこはダニ・ブリヤンのこと、おフレンチ流のエスプリとエレガンスは健在で、実にお洒落でモダンな出来映え。このダンディなロマンティシズムは、アメリカ人には絶対に真似できません。また、名曲スタンダート#10では、シナトラを彷彿とさせるスインギーなボーカルを披露。 | ダニ・ブリヤンにとって初のライブ・アルバム。いずれもスタジオ・レコーディングと比べて遜色のない演奏ばかりで、ベスト盤としても十分に楽しめる1枚です。ただ、逆に言うとライブならではの実験性や意外性に欠けており、そういった意味では新鮮味に乏しい出来映えと言えるかもしれません。とりあえず、ファンなら買っておいて損はないであろう作品。初心者の方は、オリジナル・アルバムからどうぞ。 |
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